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特開2023-83684顕微鏡システム、投影ユニット、画像投影方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083684
(43)【公開日】2023-06-16
(54)【発明の名称】顕微鏡システム、投影ユニット、画像投影方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/00 20060101AFI20230609BHJP
【FI】
G02B21/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021197518
(22)【出願日】2021-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】322004393
【氏名又は名称】株式会社エビデント
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100182936
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 直樹
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 歩
【テーマコード(参考)】
2H052
【Fターム(参考)】
2H052AA13
2H052AF22
2H052AF24
2H052AF25
(57)【要約】
【課題】顕微鏡装置を用いた目視観察における画像検査を支援する。
【解決手段】顕微鏡システム1は、接眼レンズ103の物体側に標本Sの光学像Pを形成する顕微鏡光学系110と、標本Sに対する検査に関する検査情報と顕微鏡光学系110の倍率に関する倍率情報に基づいて、光学像Pと比較するための比較画像の画像データを生成する処理装置200と、処理装置200で生成された画像データに基づいて、比較画像を、光学像Pが形成される像面に重畳する重畳装置である投影ユニット120と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接眼レンズを含み、前記接眼レンズの物体側に標本の光学像を形成する顕微鏡光学系と、
前記標本に対する検査に関する検査情報と前記顕微鏡光学系の倍率に関する倍率情報に基づいて、前記光学像と比較するための比較画像の画像データを生成する処理装置と、
前記処理装置で生成された前記画像データに基づいて、前記比較画像を、前記光学像が形成される像面に重畳する重畳装置と、を備える
ことを特徴とする顕微鏡システム。
【請求項2】
請求項1に記載の顕微鏡システムにおいて、
前記検査情報は、前記標本を用いて行われる病理診断で診断される疾病を特定する疾病情報を含み、
前記比較画像の内容は、前記疾病に関連する注目部分の大きさを表現するものを含み、
前記処理装置は、前記疾病情報と前記倍率情報とに基づいて、前記比較画像の大きさを決定する
ことを特徴とする顕微鏡システム。
【請求項3】
請求項1に記載の顕微鏡システムにおいて、
前記検査情報は、
前記標本を用いて行われる病理診断で診断される疾病を特定する疾病情報と、
前記疾病の進行度を特定する進行度情報と、を含み、
前記比較画像の内容は、前記疾病に関連する注目部分の大きさを表現するものを含み、
前記処理装置は、前記疾病情報と前記進行度情報と前記倍率情報とに基づいて、前記比較画像の大きさを決定する
ことを特徴とする顕微鏡システム。
【請求項4】
請求項1に記載の顕微鏡システムにおいて、
前記検査情報は、前記標本を用いて行われる病理診断で診断される疾病を特定する疾病情報を含み、
前記比較画像の内容は、前記疾病に関連する注目部分の画像を含み、
前記処理装置は、
前記疾病情報に基づいて、前記比較画像の内容を決定し、
前記倍率情報に基づいて、前記比較画像の大きさを決定する
ことを特徴とする顕微鏡システム。
【請求項5】
請求項1に記載の顕微鏡システムにおいて、
前記検査情報は、
前記標本を用いて行われる病理診断で診断される疾病を特定する疾病情報と、
前記疾病の進行度を特定する進行度情報と、を含み、
前記比較画像の内容は、前記疾病に関連する注目部分の画像を含み、
前記処理装置は、
前記疾病情報と前記進行度情報とに基づいて、前記比較画像の内容を決定し、
前記倍率情報に基づいて、前記比較画像の大きさを決定する
ことを特徴とする顕微鏡システム。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の顕微鏡システムにおいて、さらに、
前記標本の容器に付された識別情報を読み出す識別情報リーダと、を備え、
前記処理装置は、
前記識別情報リーダで読み出した前記識別情報に基づいて、外部システムから前記標本に関する標本情報と前記標本を採取された患者に関する患者情報の少なくとも一方を含む補足情報を取得し、
前記検査情報と前記倍率情報と前記補足情報とに基づいて、前記画像データを生成する
ことを特徴とする顕微鏡システム。
【請求項7】
請求項6に記載の顕微鏡システムにおいて、
前記処理装置は、複数の検査候補の中から前記補足情報に基づいて選択された検査候補の情報を前記検査情報として取得する
ことを特徴とする顕微鏡システム。
【請求項8】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の顕微鏡システムにおいて、
前記処理装置は、複数の検査候補の中からユーザの操作によって選択された検査候補の情報を前記検査情報として取得し、
前記重畳装置は、
前記処理装置が前記検査情報を取得する前に、前記複数の検査候補を前記像面に重畳し、
前記処理装置が前記検査情報を取得した後に、前記比較画像を前記像面に重畳する
ことを特徴とする顕微鏡システム。
【請求項9】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の顕微鏡システムにおいて、さらに、
前記標本の像を撮像する撮像装置を備え、
前記処理装置は、複数の検査候補の中から前記撮像装置で生成された標本画像の画像データに基づいて選択された検査候補の情報を前記検査情報として取得する
ことを特徴とする顕微鏡システム。
【請求項10】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の顕微鏡システムにおいて、さらに、
前記標本の容器に付された識別情報を読み出す識別情報リーダと、を備え、
前記処理装置は、前記識別情報リーダで読み出した前記識別情報と、外部システムから取得した検査対象標本に関する標本情報と前記検査対象標本を採取された患者に関する患者情報の少なくとも一方を含む補足情報と、に基づいて、前記標本が前記検査対象標本か否かを判定し、
前記重畳装置は、前記処理装置が前記標本は前記検査対象標本ではないと判定すると、警告画像を前記像面に重畳する
ことを特徴とする顕微鏡システム。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の顕微鏡システムにおいて、
前記標本は、スライドガラスとカバーガラスに挟まれている
ことを特徴とする顕微鏡システム。
【請求項12】
顕微鏡光学系を含む顕微鏡システム用の投影ユニットであって、
標本に対する検査に関する検査情報と前記顕微鏡光学系の倍率に関する倍率情報に基づいて、前記顕微鏡光学系に含まれる接眼レンズの物体側に形成される光学像と比較するための比較画像の画像データを生成する処理部と、
前記処理部で生成された前記画像データに基づいて、前記比較画像を、前記光学像が形成される像面に重畳する重畳部と、を備える
ことを特徴とする投影ユニット。
【請求項13】
顕微鏡光学系を含む顕微鏡システムが行う画像投影方法であって、
前記顕微鏡光学系に含まれる接眼レンズの物体側に標本の光学像を形成し、
前記標本に対する検査に関する検査情報と前記顕微鏡光学系の倍率に関する倍率情報に基づいて、前記光学像と比較するための比較画像の画像データを生成し、
生成された前記画像データに基づいて、前記比較画像を、前記光学像が形成される像面に重畳する
ことを特徴とする画像投影方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の開示は、顕微鏡システム、投影ユニット、画像投影方法に関する。
【背景技術】
【0002】
病理診断の分野では、色と濃淡の情報は極めて重要である。このため、接眼レンズを覗いて光学像で診断を行いたいといったニーズが存在する。これは、一般に、デジタル画像は、光学像と比較して、色再現性とダイナミックレンジにおいて劣ることがあるためである。
【0003】
しかしながら、接眼レンズを覗いて診断を行う場合、診断中に病理医が様々な参考情報を確認するためには、その度、接眼レンズから目を離さなければならず、効率良く診断作業を進めることが難しい。このような技術的な課題に関連する技術は、例えば、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載の装置によれば、透過型の液晶素子を用いて視野内にスケールを表示することで、光学像とスケールを同時に観察することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平05-157974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
病理診断において、多くの場合、長さや大きさは重要な判断要素である。しかしながら、単にスケールを視野内に表示するだけでは、病理医へのサポートは必ずしも十分ではない。これは、診断する疾病の種類や進行度によって判断基準となる長さや大きさが異なるためである。従って、たとえスケールが表示されていたとしても、病理医には診断中にその判断基準となる情報を得るために接眼レンズから目を離す必要性が生じ得る。
【0006】
以上では、病理診断を例に説明したが、病理診断に限らず、各種診断を含む人間の判断を伴う検査において、同様の技術的な課題が生じ得る。以上のような実情を踏まえ、本発明の一側面に係る目的は、顕微鏡装置を用いた目視観察における画像検査を支援する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る顕微鏡システムは、接眼レンズを含み、前記接眼レンズの物体側に標本の光学像を形成する顕微鏡光学系と、前記標本に対する検査に関する検査情報と前記顕微鏡光学系の倍率に関する倍率情報に基づいて、前記光学像と比較するための比較画像の画像データを生成する処理装置と、前記処理装置で生成された前記画像データに基づいて、前記比較画像を、前記光学像が形成される像面に重畳する重畳装置と、を備える。
【0008】
本発明の一態様に係る投影ユニットは、顕微鏡光学系を含む顕微鏡システム用の投影ユニットであって、標本に対する検査に関する検査情報と前記顕微鏡光学系の倍率に関する倍率情報に基づいて、前記顕微鏡光学系に含まれる接眼レンズの物体側に形成される光学像と比較するための比較画像の画像データを生成する処理部と、前記処理部で生成された前記画像データに基づいて、前記比較画像を、前記光学像が形成される像面に重畳する重畳部と、を備える。
【0009】
本発明の一態様に係る画像投影方法は、顕微鏡光学系を含む顕微鏡システムが行う画像投影方法であって、前記顕微鏡光学系に含まれる接眼レンズの物体側に標本の光学像を形成し、前記標本に対する検査に関する検査情報と前記顕微鏡光学系の倍率に関する倍率情報に基づいて、前記光学像と比較するための比較画像の画像データを生成し、生成された前記画像データに基づいて、前記比較画像を、前記光学像が形成される像面に重畳する。
【発明の効果】
【0010】
上記の態様によれば、顕微鏡装置を用いた目視観察における画像検査を支援する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態に係る顕微鏡システム1の構成を例示した図である。
図2】顕微鏡システム1が行う画像投影処理のフローチャートの一例である。
図3図2に示す画像データ生成処理のフローチャートの一例である。
図4】処理装置200の構成を例示した図である。
図5】顕微鏡システム1が行う画像投影処理のフローチャートの別の例である。
図6】顕微鏡システム1の接眼レンズ103経由で観察される画像の一例である。
図7】顕微鏡システム1の接眼レンズ103経由で観察される画像の別の例である。
図8】顕微鏡システム1の接眼レンズ103経由で観察される画像の更に別の例である。
図9】顕微鏡システム1の接眼レンズ103経由で観察される画像の更に別の例である。
図10】顕微鏡システム1の接眼レンズ103経由で観察される画像の更に別の例である。
図11】処理装置400の構成を例示した図である。
図12】第2の実施形態に係る顕微鏡システムが行う画像投影処理のフローチャートの一例である。
図13】第2の実施形態に係る顕微鏡システムの接眼レンズ103経由で観察される画像の一例である。
図14】第3の実施形態に係る顕微鏡システム2の構成を例示した図である。
図15】処理装置500の構成を例示した図である。
図16】処理装置510の構成を例示した図である。
図17】第3の実施形態に係る顕微鏡システムが行う画像投影処理のフローチャートの一例である。
図18】処理装置700の構成を例示した図である。
図19】処理装置710の構成を例示した図である。
図20】第4の実施形態に係る顕微鏡システムが行う画像投影処理のフローチャートの一例である。
図21】処理装置800の構成を例示した図である。
図22】処理装置810の構成を例示した図である。
図23】第5の実施形態に係る顕微鏡システムが行う画像投影処理のフローチャートの一例である。
図24】第5の実施形態に係る顕微鏡システムの接眼レンズ103経由で観察される画像の一例である。
図25】第6の実施形態に係る顕微鏡システム3の構成を例示した図である。
図26】処理装置900の構成を例示した図である。
図27】処理装置910の構成を例示した図である。
図28】第6の実施形態に係る顕微鏡システムが行う画像投影処理のフローチャートの一例である。
図29】第7の実施形態に係る顕微鏡システム4の構成を例示した図である。
図30】処理装置を実現するためのコンピュータ1000のハードウェア構成を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1の実施形態]
図1は、本実施形態に係る顕微鏡システム1の構成を例示した図である。顕微鏡システム1は、病理医が病理診断で用いる顕微鏡システムである。顕微鏡システム1は、少なくとも、接眼レンズ103を含む顕微鏡光学系110と、処理装置200と、投影ユニット120を備えている。
【0013】
顕微鏡システム1では、処理装置200は、病理診断において病理医が標本Sの像(光学像P)と比較するための比較画像の画像データを生成する。さらに、投影ユニット120は、処理装置200が生成した画像データに基づいて比較画像を顕微鏡光学系110によって光学像Pが形成される像面に重畳する。これにより、接眼レンズ103を覗いて標本Sを観察する病理医は、病理診断中に標本Sと比較すべき情報(比較画像)が光学像P上に重畳した画像を見ることができる。このため、顕微鏡システム1によれば、病理医は、診断中に接眼レンズ103から目を離す機会が減少し、効率良く診断作業を進めることが可能となる。
【0014】
さらに、顕微鏡システム1では、処理装置200は、標本Sに対する検査に関する検査情報と顕微鏡光学系110の倍率に関する倍率情報に基づいて、比較画像の画像データを生成する。ここで、標本Sに対する検査に関する検査情報とは、典型的には、標本Sを用いて行われる病理診断で診断される疾病を特定する疾病情報である。例えば、病理医が標本Sを観察して大腸がんを診断する場合であれば、“大腸がん”という疾病名(疾病の種類)は、検査情報の一例である。また、疾病の進行度まで診断する場合であれば、検査情報には進行度に関する情報が含まれてもよく、“大腸がんのステージ2”という疾病名と進行度の組み合わせも、検査情報の一例である。
【0015】
処理装置200が検査情報に基づいて比較画像の画像データを生成することで、病理医へ検査目的(診断目的)に応じた情報(比較画像)が提供されることになるため、病理医による診断を技術的に支援することができる。さらに、検査情報に加えて倍率情報を加味することで、光学像面に光学像Pに対して適切なサイズの比較画像を重畳することができる。例えば、対物レンズ101の倍率が10倍の場合と40倍の場合では、像面に投影される比較画像のサイズを異ならせることができる。すでに述べたように病理診断において大きさは非常に重要な情報である。標本Sと比較すべき情報が適切な大きさで提供されることで、病理医による診断をさらに支援することができる。
【0016】
以下、図1を参照しながら、顕微鏡システム1の構成についてさらに詳細に説明する。顕微鏡システム1は、図1に示すように、顕微鏡100と、処理装置200と、入力装置300と、を備えている。
【0017】
顕微鏡100は、例えば、正立顕微鏡であるが、倒立顕微鏡であってもよい。顕微鏡100は、対物レンズ101と結像レンズ102と接眼レンズ103とを含む顕微鏡光学系110を備えている。顕微鏡光学系110は、接眼レンズ103の物体側に、対物レンズ101と結像レンズ102によって標本Sの光学像Pを形成する。顕微鏡100では、病理医は、標本Sの光学像Pを、接眼レンズ103を介して観察することが可能であり、目視観察のメリットを享受することができる。
【0018】
標本Sは、例えば、図1に示すように、検体TSがスライドガラスSGとカバーガラスCGに挟まれた状態で固定されたプレパラート(スライド標本)である。ただし、標本Sは、スライド標本に限らず、ウェルプレートやディッシュなど他の容器に収容されたものであってもよい。
【0019】
顕微鏡100は、さらに、接眼レンズ103を備えた接眼鏡筒と、対物レンズ101が固定される顕微鏡本体との間に、投影ユニット120を備えている。投影ユニット120は、比較画像を光学像面に重畳する重畳装置の一例であり、この例では、顕微鏡本体から出力される無限遠光束に作用する中間鏡筒である。投影ユニット120は、顕微鏡100に対して着脱可能であってもよい。
【0020】
投影ユニット120は、投影装置121を備えている。投影装置121が発光することで、投影ユニット120は、比較画像を光学像面に投影する。投影装置121は、例えば、液晶デバイス、デジタルミラーデバイスなどであり、処理装置200で生成された画像データに基づいてその発光が制御される。投影ユニット120には、さらに、投影装置121からの光を接眼レンズ103へ至る観察光路に導くための、ハーフミラーなどの光偏向素子やレンズなどが設けられている。
【0021】
処理装置200は、例えば、顕微鏡100を制御するコントロールボックスである。処理装置200は、処理装置200に含まれる処理回路が所定のプログラムを実行することで上述した比較画像を生成し、その比較画像を投影ユニット120へ出力するように構成されている。
【0022】
入力装置300は、顕微鏡システム1の利用者である病理医が操作する装置であり、処理装置200に接続されている。入力装置300は、例えば、キーボード、マウス、ジョイスティック、タッチパネルなどを含んでもよい。
【0023】
以上のように構成された顕微鏡システム1は、図2及び図3に示す画像投影処理を行う。図2は、顕微鏡システム1が行う画像投影処理のフローチャートの一例である。図3は、図2に示す画像データ生成処理のフローチャートの一例である。以下、図2及び図3を参照しながら、顕微鏡システム1の画像投影方法について説明する。
【0024】
まず、顕微鏡システム1は、標本Sの光学像Pを形成する(ステップS10)。ここでは、対物レンズ101が取り込んだ標本Sからの光を結像レンズ102が像面に集光することで、顕微鏡光学系110が接眼レンズ103の物体側に標本Sの光学像Pを形成する。
【0025】
次に、顕微鏡システム1は、比較画像の画像データを生成する(ステップS20)。ここでは、処理装置200が所定のプログラムを実行して図3に示す画像データ生成処理を実行する。具体的には、まず、処理装置200は、比較画像の内容を光学像Pとの比較に適した内容に決定し(ステップS21)、比較画像の大きさを光学像Pとの比較に適した大きさに決定する(ステップS22)。その後、処理装置200は、ステップS21とステップS22で決定した内容と大きさに従って、比較画像の画像データを生成する(ステップS23)。生成された画像データは、投影ユニット120へ出力される。
【0026】
最後に、顕微鏡システム1は、比較画像を光学像面に重畳する(ステップS30)。ここでは、投影装置121が画像データに基づいて発光制御されることで、投影装置121から出射した光が光学像面に結像し、比較画像が形成される。これにより、光学像Pに比較画像が重畳される。
【0027】
顕微鏡システム1では、処理装置200によって生成された比較画像が標本Sの光学像とともに接眼レンズ103を経由で目視観察される。これにより、病理医は、標本Sの光学像に基づく病理診断中に、接眼レンズ103から目を離すことなく比較画像と光学像を比較して効率診断を行うことができる。また、比較画像が診断に適した内容と大きさで投影されることで、比較作業を容易に行うことができる。
【0028】
図4は、処理装置200の構成を例示した図である。図5は、顕微鏡システム1が行う画像投影処理のフローチャートの別の例である。図6から図9は、顕微鏡システム1の接眼レンズ103経由で観察される画像の例である。以下、図4から図9を参照しながら、顕微鏡システム1が行う画像投影方法の具体例について詳細に説明する。
【0029】
まず、処理装置200の構成について説明する。処理装置200は、図4に示すように、検査情報取得部201と、内容決定部202と、大きさ決定部203と、画像データ生成部204を含んでいる。処理装置200では、例えば、プログラムが実行されることで、処理装置200に含まれる電気回路がこれらの各部として動作する。
【0030】
検査情報取得部201は、検査情報を取得する。検査情報は、標本Sを用いて行われる病理診断で診断される疾病を特定する疾病情報を含んでいる。この例では、疾病の名称である。検査情報取得部201は、検査候補リストとユーザの選択とを入力として受け付けて、検査情報を大きさ決定部203へ出力するように構成されている。
【0031】
内容決定部202は、比較画像の内容を決定する。比較画像の内容には、疾病に関連する注目部分の大きさを表現するものが含まれている。ここで、注目部分とは例えば病変部分である。内容決定部202は、予め決められた形状で注目部分の大きさを表現する画像を比較画像の内容として決定し、その内容を画像データ生成部204へ出力するように構成されている。予め決められた形状は、特に限定しないが、例えば、U字型、矢印、直線などであってもよい。
【0032】
大きさ決定部203は、比較画像の大きさを決定する。大きさ決定部203は、検査情報取得部201から出力された検査情報(疾病情報)と、顕微鏡光学系110の倍率に関する倍率情報とに基づいて、比較画像の大きさを決定し、その大きさを画像データ生成部204へ出力するように構成されている。
【0033】
なお、大きさ決定部203は、比較画像の大きさを、光学像Pと直接対比可能な大きさに決定することが望ましい。例えば、癌細胞がどの層まで及んでいるか、また、どのくらいの深さまで達しているかといった基準で診断が行われる場合であれば、診断基準となる深さの光学像上での大きさが比較画像によって確認できることが望ましい。このため、大きさ決定部203は、検査情報に基づいてその診断基準となる深さを特定し、倍率情報に基づいてその深さに対応する光学像上における長さを特定することで、比較画像の大きさを決定することが望ましい。
【0034】
画像データ生成部204は、比較画像の画像データを生成する。画像データ生成部204は、内容決定部202から出力された比較画像の内容と、大きさ決定部203から出力された比較画像の大きさに基づいて、比較画像の画像データを生成し、投影ユニット120へ出力する。
【0035】
図5に示す画像投影処理が開始されると、顕微鏡システム1は、光学像を形成する(ステップS101)。ステップS101の処理は、顕微鏡100によって行われる。なお、ステップS101の処理は、図2に示すステップS10の処理で説明したとおりである。
【0036】
さらに、顕微鏡システム1は、疾病リストを取得する(ステップS102)。ここでは、処理装置200(検査情報取得部201)が、処理装置200が有する記憶装置から、複数の疾病情報がリストされた疾病リストを取得する。疾病リストには、例えば、“疾病A”、“疾病B”、“疾病C”が含まれている。
【0037】
顕微鏡システム1は、疾病リスト画像を光学像面へ重畳する(ステップS103)。ここでは、処理装置200がステップS102で取得した疾病リストに基づいて複数の疾病の名称を並べた画像(疾病リスト画像)の画像データを生成し、投影ユニット120へ出力する。投影ユニット120が画像データに基づいて疾病リスト画像を光学像面へ重畳する。これにより、図6に示す画像が接眼レンズ103経由で観察される。図6に示す光学像M1は、上述した光学像Pに相当し、リスト画像L1が上述した疾病リスト画像に相当する。
【0038】
その後、病理医が入力装置300を操作して、リスト画像L1中の複数の疾病(換言すると、複数の検査候補)の中から特定の疾病を選択すると、顕微鏡システム1では、処理装置200(検査情報取得部201)が、その選択を検出して(ステップS104YES)、選択された疾病(検査候補)の情報を検査情報として取得する(ステップS105)。
【0039】
顕微鏡システム1は、顕微鏡光学系110の倍率情報を取得する(ステップS106)。ここでは、処理装置200が、病理医が入力装置300を用いて手動で入力した倍率情報を取得してもよく、顕微鏡100が読み取った顕微鏡光学系110に付された識別情報に基づいて倍率情報を取得してもよい。なお、倍率情報は、光学像Pの投影倍率を特定できる情報であればよい。倍率そのものであってもよいし、既知の情報に基づいて倍率に換算可能な焦点距離などの情報であってもよい。
【0040】
検査情報と倍率情報が取得されると、顕微鏡システム1は、比較画像の内容と大きさを決定する(ステップS107、ステップS108)。ステップS107では、処理装置200(内容決定部202)が比較画像の内容を、疾病に関連する注目部分の大きさを表現する形状の画像(例えばU字型の画像)に決定する。
【0041】
ステップS108では、処理装置200(大きさ決定部203)が検査情報と倍率情報に基づいて比較画像の大きさを決定する。より具体的には、処理装置200は、検査情報から診断する疾病を特定することで疾病に関連する基準となる長さを特定し、光学像面においてその長さを光学像の倍率だけ拡大した長さになるように比較画像の大きさを決定する。例えば、大腸がんの診断では、粘膜下層への湿潤の程度(SM湿潤距離)が判断材料として利用されることがあるため、検査情報が大腸がんを特定している場合であれば、処理装置200は、判断基準となる湿潤距離(μm)を特定し、特定した湿潤距離から比較画像の大きさを決定してもよい。
【0042】
なお、検査情報から湿潤距離のような判断基準となる長さを決定する際には、処理装置200は、予め用意された参考基準情報を参照してもよい。参考基準情報の具体例は、例えば、各種の疾病の診断ガイドラインなどである。また、処理装置200は、予め診断ガイドラインから抽出した疾病ごとの判断基準となる長さを疾病と関連付けて記憶してもよく、その関連付けられた情報を参照して、検査情報から判断基準となる長さを決定してもよい。
【0043】
内容と大きさが決定されると、顕微鏡システム1は、比較画像の画像データを生成する(ステップS109)。ここでは、処理装置200(画像データ生成部204)がステップS107で決定した内容で且つステップS108で決定した大きさを有する比較画像の画像データを生成し、投影ユニット120へ出力する。
【0044】
最後に、顕微鏡システム1は、比較画像を光学像面へ重畳する(ステップS110)。ここでは、投影ユニット120が処理装置200から出力された画像データに基づいて光学像面に比較画像を投影する。これにより、図7に示す画像が接眼レンズ103経由で観察される。
【0045】
図7に示すリスト画像L2はステップS104で検出した病理医によって選択された疾病Aを示している。また、比較画像C1は、光学像M1と比較すべき大きさを表現する画像(U字型画像)であり、病理医が選択した疾病Aに関連する基準長さを示している。病理医が異なる疾病を選択することで、例えば、図8に示すように、リスト画像L3が示す疾病Bに関連する基準長さに対応する比較画像C2が像面に投影される。病理医は、比較画像C2を光学像M1中の注目部分を比較することで、標本Sが採取された患者が疾病Bに罹患しているなどを診断することができる。このため、比較画像C2は、注目部分との比較を容易にするために、図9に示すように、病理医が入力装置300を操作することで視野内の任意の位置に投影できることが望ましい。
【0046】
なお、リスト画像を光学像M1が投影される領域からずらして投影する例を示したが、リスト画像は光学像M1に重なって投影されてもよい。また、検査情報として疾病情報を例示したが、検査情報は、疾病情報に加えて、その疾病の進行度を特定する進行度情報を含んでもよい。進行度は、例えば、ステージ(病期)である。検査情報が進行度情報を含む場合には、図10に示すように、像面に投影されるリスト画像L4は、疾病の名称と進行度との組み合わせを並べた画像であってもよい。処理装置200(大きさ決定部203)は、病理医が選択した組み合わせに応じて、疾病情報と進行度情報と倍率情報に基づいて比較画像の大きさを決定してもよく、その結果、組み合わせで選択した進行度の疾病に関連する基準長さを有する比較画像が光学像M1とともに像面に投影されてもよい。
【0047】
本実施形態に係る顕微鏡システム1及び画像投影方法によれば、光学像に基づく目視観察による病理診断を支援することが可能であり、病理医の作業負担を軽減することができる。
【0048】
[第2の実施形態]
図11は、処理装置400の構成を例示した図である。図12は、本実施形態に係る顕微鏡システムが行う画像投影処理のフローチャートの一例である。図13は、本実施形態に係る顕微鏡システムの接眼レンズ103経由で観察される画像の一例である。以下、図11から図13を参照しながら、本実施形態に係る顕微鏡システムが行う画像投影方法の具体例について詳細に説明する。
【0049】
なお、本実施形態に係る顕微鏡システムは、処理装置200の代わりに処理装置400を含む点が顕微鏡システム1とは異なっている。処理装置400は、図11に示すように、検査情報取得部401と、内容決定部402と、大きさ決定部403と、画像データ生成部404を含んでいる。処理装置400では、例えば、プログラムが実行されることで、処理装置400に含まれる電気回路がこれらの各部として動作する。
【0050】
検査情報取得部401は、検査情報を取得する。検査情報取得部401は、取得した検査情報を内容決定部402に出力する点が、第1の実施形態に係る処理装置200の検査情報取得部201とは異なっている。
【0051】
内容決定部402は、比較画像の内容を決定する。より具体的には、内容決定部402は、検査情報取得部401から出力された検査情報(疾病情報)に基づいて、比較画像の内容を決定し、画像データ生成部404へ出力する。比較画像の内容には、検査情報によって特定される疾病に関連する注目部分の画像が含まれている。ここで、注目部分とは例えば病変部分である。即ち、内容決定部402は、予め記憶されている複数の疾病の病変部分の画像の中から検査情報によって特定される疾病の病変部分の画像を比較画像の内容として決定する。
【0052】
大きさ決定部403は、比較画像の大きさを決定する。より具体的には、大きさ決定部403は、顕微鏡光学系110の倍率に関する倍率情報に基づいて、比較画像の大きさを決定し、その大きさを画像データ生成部404へ出力するように構成されている。大きさ決定部403は、例えば、倍率情報が示す顕微鏡光学系110の倍率と予め記憶されている病変部分の画像の倍率に基づいて画像変換の倍率を算出し、算出した倍率から比較画像の大きさを決定してもよい。
【0053】
画像データ生成部404は、比較画像の画像データを生成する。画像データ生成部404の動作は、第1の実施形態に係る処理装置200の画像データ生成部404と同様であり、生成した画像データを投影ユニット120へ出力する。
【0054】
図12に示す画像投影処理のステップS201からステップS206は、図5に示す画像投影処理のステップS101からステップS106と同様である。
【0055】
検査情報と倍率情報が取得されると、顕微鏡システムは、比較画像の内容と大きさを決定する(ステップS207、ステップS208)。ステップS207では、処理装置400(内容決定部402)は、検査情報に基づいて比較画像の内容を決定する。より具体的には、処理装置400は、比較画像の内容を、予め処理装置400に記憶されている複数の疾病の病変部分の画像の中から、検査情報によって特定される疾病に関連する注目部分の画像(例えばがん細胞の画像)に決定し、その画像を読み出して画像データ生成部404へ出力する。
【0056】
ステップS208では、処理装置400(大きさ決定部403)が倍率情報に基づいて比較画像の大きさを決定する。より具体的には、処理装置400は、例えば光学像の倍率が40倍であれば、比較画像の倍率も40倍に決定し、その情報を画像データ生成部404へ出力する。
【0057】
内容と大きさが決定されると、顕微鏡システムは、比較画像の画像データを生成する(ステップS209)。ここでは、処理装置400(画像データ生成部404)がステップS207で内容決定部402から出力された画像をステップS208で大きさ決定部403から出力された情報に基づいて拡大又は縮小して比較画像の画像データを生成する。生成した画像データは、投影ユニット120へ出力される。
【0058】
最後に、顕微鏡システムは、比較画像を光学像面へ重畳する(ステップS210)。ここでは、投影ユニット120が処理装置400から出力された画像データに基づいて光学像面に比較画像を投影する。これにより、図13に示す画像が接眼レンズ103経由で観察される。
【0059】
図13に示す比較画像C3は、リスト画像L3が示す疾病Bの病変部分の画像であり、光学像M1と同じ倍率を有している。これにより、病理医は、例えば、比較画像C3が示す病変を光学像M1中の注目部分を比較することで、標本Sが採取された患者が疾病Bに罹患しているかを診断することができる。なお、比較画像C3も比較画像C2と同様に、病理医が入力装置300を操作することで視野内の任意の位置に投影できることが望ましい。
【0060】
本実施形態に係る顕微鏡システム及び画像投影方法によっても、第1の実施形態と同様に、光学像に基づく目視観察による病理診断を支援することが可能であり、病理医の作業負担を軽減することができる。
【0061】
[第3の実施形態]
図14は、本実施形態に係る顕微鏡システム2の構成を例示した図である。本実施形態に係る顕微鏡システム2は、処理装置200の代わりに処理装置500を含む点と、識別装置600を含む点と、処理装置500が外部システム10に接続されている点が、顕微鏡システム1とは異なっている。また、本実施形態に係る顕微鏡システム2に用いられる標本Siは、標本Si(スライドガラスSG)に識別情報IDが付されている点が、標本Sとは異なっている。
【0062】
識別装置600は、標本Siに付された識別情報を読み出す識別情報リーダである。識別情報は、例えば、一次元又は2次元コードである。なお、識別情報は手書き又は印刷された文字情報であってもよい。その場合、識別装置600は撮像装置を含んでもよく、撮像装置で取得した画像から文字認識により識別情報を読み出してもよい。
【0063】
外部システム10は、例えば、標本作成者が入力した標本に関する情報(標本情報)と臨床医が入力した患者に関する情報(患者情報)を管理するシステムである。以降では、外部システム10で管理されている標本情報と患者情報を補足情報と記す。なお、補足情報は、標本情報のみを意味してもよく、患者情報のみを意味してもよく、その両方を意味してもよい。
【0064】
図15は、処理装置500の構成を例示した図である。処理装置500は、検査情報取得部501と、内容決定部502と、大きさ決定部503と、画像データ生成部504と、補足情報取得部505を含んでいる。処理装置500では、例えば、プログラムが実行されることで、処理装置500に含まれる電気回路がこれらの各部として動作する。
【0065】
処理装置500は、第1の実施形態に係る処理装置200の変形例と見做すことができる。処理装置500は、補足情報取得部505を含む点と、大きさ決定部503が補足情報に基づいて比較画像の大きさを決定する点が、第1の実施形態に係る処理装置200とは異なっている。検査情報取得部501、内容決定部502、画像データ生成部504は、検査情報取得部201、内容決定部202、画像データ生成部204と同様である。
【0066】
補足情報取得部505は、識別装置600が標本Siから読み出した識別情報IDに基づいて外部システム10から補足情報を取得して、大きさ決定部503へ出力する。なお、外部システム10で管理される補足情報は、予め識別情報IDと関連付けられている。これにより、補足情報取得部505は、識別情報に基づいて標本Si(検体TS)に関する標本情報と標本Si(検体TS)が採取された患者に関する患者情報を取得することができる。
【0067】
標本情報は、特に限定しないが、材料(例えば、細胞、組織の種類、細胞、組織の採取場所)、染色(例えば、染色の有無、染色方法)、その他(作成方法)を含んでもよい。また、患者情報は、特に限定しないが、患者名、性別、年齢、既往歴、その他(月経周期、最終月経)を含んでもよい。
【0068】
大きさ決定部503は、比較画像の大きさを決定する。より具体的には、大きさ決定部503は、検査情報と倍率情報と補足情報に基づいて、比較画像の大きさを決定し、その大きさを画像データ生成部504へ出力するように構成されている。大きさ決定部503は、検査情報と倍率情報に加えて、補足情報を考慮する点が、大きさ決定部203とは異なっている。これにより、補足情報に含まれる患者の性別や年齢などに応じて診断基準が異なる場合であっても、比較画像の大きさを適切に決定することができる。
【0069】
なお、画像データ生成部504は、画像データ生成部204と同様に動作するが、画像データ生成部504に入力される比較画像の内容と大きさは、検査情報と倍率情報と補足情報をから導かれる。従って、画像データ生成部204とは異なり、画像データ生成部504は、検査情報と倍率情報と補足情報に基づいて画像データを生成している。
【0070】
顕微鏡システム2は、処理装置500の代わりに図16に示す処理装置510を含んでもよい。処理装置510は、第2の実施形態に係る処理装置400の変形例と見做すことができる。処理装置510は、補足情報取得部515を含む点と、内容決定部512が補足情報に基づいて比較画像の内容を決定する点が、処理装置400とは異なっている。検査情報取得部511、大きさ決定部513、画像データ生成部514は、検査情報取得部401、大きさ決定部403、画像データ生成部404と同様である。
【0071】
補足情報取得部515は、識別装置600が標本Siから読み出した識別情報IDに基づいて外部システム10から補足情報を取得して、内容決定部512へ出力する。内容決定部512は、比較画像の内容を決定する。より具体的には、内容決定部512は、検査情報と補足情報に基づいて、比較画像の内容を決定し、その内容を画像データ生成部514へ出力するように構成されている。内容決定部512は、検査情報に加えて、補足情報を考慮する点が、内容決定部402とは異なっている。これにより、補足情報に含まれる患者の性別や年齢などに応じて病変部分の形態に変化が生じる場合であっても、比較画像の内容を適切に決定することができる。
【0072】
図17は、本実施形態に係る顕微鏡システム2が行う画像投影処理のフローチャートの一例である。以下、図17を参照しながら、顕微鏡システム2が行う画像投影方法の具体例について詳細に説明する。
【0073】
図17に示す画像投影処理が開始されると、顕微鏡システム2は、識別装置600から識別情報を取得し(ステップS301)、取得した識別情報に基づいて外部システム10から補足情報を取得する(ステップS302)。補足情報には、標本Siに関する標本情報と標本Siが採取された患者に関する患者情報の少なくとも一方が含まれている。その後、行われるステップS303からステップS309の処理は、図5に示す画像投影処理のステップS101からステップS107の処理と同様である。
【0074】
比較画像の内容が決定すると、さらに、顕微鏡システム2は、比較画像の大きさを決定する(ステップS310)。ステップS310では、処理装置500(大きさ決定部503)が検査情報と倍率情報と補足情報に基づいて比較画像の大きさを決定し、その情報を画像データ生成部404へ出力する。その後、行われるステップS311からステップS312の処理は、図5に示す画像投影処理のステップS109からステップS110の処理と同様である。
【0075】
本実施形態に係る顕微鏡システム及び画像投影方法によっても、第1の実施形態と同様に、光学像に基づく目視観察による病理診断を支援することが可能であり、病理医の作業負担を軽減することができる。さらに、本実施形態では、病理医は、患者に関連する情報(患者情報、標本情報)に基づいて作成されたその患者の診断に適した比較画像を用いて診断を行うことできる。
【0076】
[第4の実施形態]
図18は、処理装置700の構成を例示した図である。本実施形態に係る顕微鏡システムは、処理装置500の代わりに処理装置700を含む点が顕微鏡システム2とは異なっている。処理装置700は、図18に示すように、検査情報取得部701と、内容決定部702と、大きさ決定部703と、画像データ生成部704と、補足情報取得部705を含んでいる。処理装置700では、例えば、プログラムが実行されることで、処理装置700に含まれる電気回路がこれらの各部として動作する。
【0077】
処理装置700は、第3の実施形態に係る処理装置500の変形例と見做すことができる。処理装置700は、補足情報取得部705が補足情報を検査情報取得部701にも出力する点、検査情報取得部701が病理医の選択操作なしで検査情報を取得する点が、第3の実施形態に係る処理装置500とは異なっている。内容決定部702、大きさ決定部703、画像データ生成部704は、内容決定部502、大きさ決定部503、画像データ生成部504と同様である。
【0078】
検査情報取得部701は、検査情報を取得する。検査情報取得部701は、検査候補リストに含まれる複数の検査候補の中から、補足情報取得部705で取得した補足情報に基づいて選択された検査候補の情報を検査情報として取得する点が、処理装置500の検査情報取得部501とは異なっている。例えば、補足情報に標本Siを採取した採取場所(例えば、大腸など)の情報が含まれている場合には、その情報に基づいて、検査情報取得部701は、複数の検査候補の中から特定の疾病(例えば、大腸がん)を選択して検査情報として取得してもよい。
【0079】
本実施形態に係る顕微鏡システムは、処理装置700の代わりに図19に示す処理装置710を含んでもよい。処理装置710は、第3の実施形態に係る処理装置510の変形例と見做すことができる。処理装置710は、補足情報取得部715が補足情報を検査情報取得部711にも出力する点、検査情報取得部711が病理医の選択操作なしで検査情報を取得する点が、第3の実施形態に係る処理装置510とは異なっている。内容決定部712、大きさ決定部713、画像データ生成部714は、内容決定部512、大きさ決定部513、画像データ生成部514と同様である。なお、検査情報取得部711は、検査情報を内容決定部712に出力する点を除き、検査情報取得部701と同様である。
【0080】
図20は、本実施形態に係る顕微鏡システムが行う画像投影処理のフローチャートの一例である。以下、図20を参照しながら、本実施形態に係る顕微鏡システムが行う画像投影方法の具体例について詳細に説明する。
【0081】
図20に示す画像投影処理のステップS401からステップS404の処理は、図17に示す画像投影処理のステップS301からステップS304の処理と同様である。
【0082】
疾病リストが取得されると、顕微鏡システムは、補足情報に基づいて選択された疾病情報を検査情報として出力する(ステップS405)。ここでは、処理装置700(検査情報取得部701)は、ステップS404で取得した疾病リストの中からステップS402で取得した補足情報に基づいて選択した疾病の情報を検査情報として出力する。その後、行われるステップS406からステップS410の処理は、図17に示す画像投影処理のステップS308からステップS312の処理と同様である。
【0083】
本実施形態に係る顕微鏡システム及び画像投影方法によっても、第1の実施形態と同様に、光学像に基づく目視観察による病理診断を支援することが可能であり、病理医の作業負担を軽減することができる。また、本実施形態では、第3の実施形態と同様に、病理医は、患者に関連する情報(患者情報、標本情報)に基づいて作成されたその患者の診断に適した比較画像を用いて診断を行うことできる。さらに、本実施形態では、病理医は、診断する疾病を選択する操作を省略することが可能であり、即座に診断に取り掛かることができる。
【0084】
[第5の実施形態]
図21は、処理装置800の構成を例示した図である。本実施形態に係る顕微鏡システムは、処理装置700の代わりに処理装置800を含む点が第4の実施形態に係る顕微鏡システムとは異なっている。処理装置800は、図21に示すように、検査情報取得部801と、内容決定部802と、大きさ決定部803と、画像データ生成部804と、補足情報取得部805と、警告判定部806を含んでいる。処理装置800では、例えば、プログラムが実行されることで、処理装置800に含まれる電気回路がこれらの各部として動作する。
【0085】
処理装置800は、第4の実施形態に係る処理装置700の変形例と見做すことができる。処理装置800は、警告判定部806を含む点と、補足情報取得部805が識別情報を用いることなく補足情報を取得する点と、補足情報取得部805が補足情報を警告判定部806にも出力する点が、第4の実施形態に係る処理装置700とは異なっている。検査情報取得部801、内容決定部802、大きさ決定部803、画像データ生成部804は、検査情報取得部701、内容決定部702、大きさ決定部703、画像データ生成部704と同様である。
【0086】
補足情報取得部805は、外部システム10から補足情報を取得する点は、補足情報取得部705と同様である。ただし、補足情報取得部705が識別情報に基づいて補足情報を取得するのに対して、補足情報取得部805は外部システム10から自動的に配信される補足情報を取得する点が異なっている。
【0087】
警告判定部806は、識別情報と補足情報とに基づいて、識別情報が付された標本Siが補足情報に関する検査対象標本か否かを判定する。これは、処理装置800では、補足情報取得部805が取得した補足情報は外部システム10から配信された補足情報であり、その補足情報が標本Siに関する情報であるか否かについては確証がないためである。警告判定部806は、標本Siが補足情報取得部805で取得した補足情報に関する検査対象標本でないと判定すると、警告画像を投影ユニット120へ出力する。
【0088】
本実施形態に係る顕微鏡システムは、処理装置800の代わりに図22に示す処理装置810を含んでもよい。処理装置810は、第4の実施形態に係る処理装置710の変形例と見做すことができる。処理装置810は、警告判定部816を含む点と、補足情報取得部815が識別情報を用いることなく補足情報を取得する点と、補足情報取得部815が補足情報を警告判定部816にも出力する点が、第4の実施形態に係る処理装置710とは異なっている。検査情報取得部811、内容決定部812、大きさ決定部813、画像データ生成部814は、検査情報取得部711、内容決定部712、大きさ決定部713、画像データ生成部714と同様である。
【0089】
図23は、本実施形態に係る顕微鏡システムが行う画像投影処理のフローチャートの一例である。図24は、本実施形態に係る顕微鏡システムの接眼レンズ103経由で観察される画像の一例である。以下、図23及び図24を参照しながら、本実施形態に係る顕微鏡システムが行う画像投影方法の具体例について詳細に説明する。
【0090】
図23に示す画像投影処理のステップS501からステップS503の処理は、図20に示す画像投影処理のステップS401からステップS403の処理と同様である。
【0091】
識別情報と補足情報が取得されると、顕微鏡システムは、識別情報と補足情報に基づいて標本Siの正誤を判定する(ステップS504)。ここでは、処理装置800(警告判定部806)は、標本Siに付された識別情報を用いて、外部システム10から取得した補足情報が標本Siに関する情報か否かを判定する。
【0092】
標本Siが正しい標本であると判定されると(ステップS505YES)、その後、顕微鏡システムは、ステップS506からステップS512の処理を行う。これらの処理は、図20に示す画像投影処理のステップS404からステップS410の処理と同様である。
【0093】
一方、標本Siが誤った標本であると判定されると(ステップS505NO)、顕微鏡システムは、警告画像を光学像面へ重畳する(ステップS513)。ここでは、処理装置800(警告判定部806)が警告画像の画像データを生成し、投影ユニット120へ出力する。投影ユニット120は、処理装置800から出力された警告画像の画像データに基づいて、光学像面に警告画像を投影する。これにより、図24に示す画像が接眼レンズ103経由で観察される。
【0094】
図24に示す警告画像W1は、標本Siを取り違えている可能性について病理医に通知するための画像である。病理医は、警告画像W1によって標本の取り違えの可能性を把握することができる。なお、注意を促すマークからなる警告画像W1を投影する例を示したが、警告画像W1は警告内容を文字情報で示した画像であってもよい。
【0095】
本実施形態に係る顕微鏡システム及び画像投影方法によっても、第1の実施形態と同様に、光学像に基づく目視観察による病理診断を支援することが可能であり、病理医の作業負担を軽減することができる。また、本実施形態では、第3の実施形態と同様に、病理医は、患者に関連する情報(患者情報、標本情報)に基づいて作成されたその患者の診断に適した比較画像を用いて診断を行うことできる。また、本実施形態では、第5の実施形態と同様に、病理医は、診断する疾病を選択する操作を省略することが可能であり、即座に診断に取り掛かることができる。さらに、本実施形態では、観察する標本が診断すべき標本か否かが自動的に確認されるため、標本の取り違えを防止することができる。
【0096】
[第6の実施形態]
図25は、本実施形態に係る顕微鏡システム3の構成を例示した図である。本実施形態に係る顕微鏡システム3は、顕微鏡100の代わりに顕微鏡100aを含む点と、処理装置200の代わりに処理装置900を含む点が、顕微鏡システム1とは異なっている。
【0097】
顕微鏡100aは、撮像装置130を含んでいる点と、接眼鏡筒が3眼鏡筒であり、接眼鏡筒に撮像装置130が装着されている点が顕微鏡100とは異なっている。撮像装置130は、標本Sの像を撮像し、標本画像の画像データを処理装置900へ出力する。
【0098】
図26は、処理装置900の構成を例示した図である。処理装置900は、検査情報取得部901と、内容決定部902と、大きさ決定部903と、画像データ生成部904と、画像解析部905を含んでいる。処理装置900では、例えば、プログラムが実行されることで、処理装置900に含まれる電気回路がこれらの各部として動作する。
【0099】
処理装置900は、画像解析部905を含む点と、検査情報取得部901が病理医の選択操作なしで検査情報を取得する点が、第1の実施形態に係る処理装置200とは異なっている。内容決定部902、大きさ決定部903、画像データ生成部904は、内容決定部202、大きさ決定部203、画像データ生成部204と同様である。
【0100】
画像解析部905は、撮像装置130から取得した標本画像の画像データを解析し、解析結果を検査情報取得部901へ出力する。画像解析部905で行われる解析は、特に限定しないが、例えば、深層学習により得られた学習済みモデルを用いた画像分類である。画像解析部905は、標本画像に写っている標本Sを分類して分類結果を解析結果として検査情報取得部901へ出力する。
【0101】
検査情報取得部901は、検査情報を取得する。検査情報取得部901は、検査候補リストに含まれる複数の検査候補の中から、画像解析部905から出力された解析結果に基づいて選択された検査候補の情報を検査情報として取得し、大きさ決定部903へ出力する。即ち、処理装置900は、標本画像の画像データに基づいて選択された検査候補の情報を検査情報として取得する。
【0102】
本実施形態に係る顕微鏡システムは、処理装置900の代わりに図27に示す処理装置910を含んでもよい。処理装置910は、画像解析部915を含む点と、検査情報取得部911が病理医の選択操作なしで検査情報を取得する点が、第2の実施形態に係る処理装置400とは異なっている。内容決定部912、大きさ決定部913、画像データ生成部914は、内容決定部412、大きさ決定部413、画像データ生成部414と同様である。
【0103】
図28は、本実施形態に係る顕微鏡システムが行う画像投影処理のフローチャートの一例である。以下、図28を参照しながら、本実施形態に係る顕微鏡システムが行う画像投影方法の具体例について詳細に説明する。
【0104】
図28に示す画像投影処理が開始されると、本実施形態に係る顕微鏡システムでは、処理装置900が撮像装置130から標本画像の画像データを取得し(ステップS601)、取得した標本画像の画像データを解析し、解析結果を生成する(ステップS602)。その後、行われるステップS603からステップS604の処理は、図5に示す画像投影処理のステップS101からステップS102の処理と同様である。
【0105】
解析結果と疾病リストを取得すると、顕微鏡システムは、解析結果に基づいて選択された疾病の情報を検査情報として取得する(ステップS605)。ここでは、処理装置900(検査情報取得部901)は、疾病リストに含まれる複数の検査情報の中から解析結果に基づいて選択された検査候補の情報を検査情報として取得する。処理装置900は、例えば、解析結果が標本Sを大腸から採取した組織であることを示している場合であれば、複数の疾病の中から例えば大腸がんを検査情報として選択してもよい。
【0106】
その後、行われるステップS606からステップS610の処理は、図5に示す画像投影処理のステップS106からステップS110の処理と同様である。
【0107】
本実施形態に係る顕微鏡システム及び画像投影方法によっても、第1の実施形態と同様に、光学像に基づく目視観察による病理診断を支援することが可能であり、病理医の作業負担を軽減することができる。さらに、本実施形態では、第5の実施形態と同様に、病理医は、診断する疾病を選択する操作を省略することが可能であり、即座に診断に取り掛かることができる。
【0108】
[第7の実施形態]
図29は、本実施形態に係る顕微鏡システム4の構成を例示した図である。本実施形態に係る顕微鏡システム4は、顕微鏡100の代わりに顕微鏡100bを含む点と、処理装置200の代わりに処理装置200aを含む点が、顕微鏡システム1とは異なっている。
【0109】
顕微鏡100bは、投影ユニット120の代わりに投影ユニット120aを含む点が顕微鏡100とは異なっている。投影ユニット120aは、顕微鏡システム用の投影ユニットであり、投影ユニット120に相当する投影部122に加えて、処理部123を備えている点が、投影ユニット120とは異なっている。投影部122は、像面に比較画像を投影する重畳部の一例である。
【0110】
処理部123は、図4に示す処理装置200の構成と同様の構成を有している。即ち、処理部123は、検査情報取得部201、内容決定部202、大きさ決定部203、画像データ生成部204と同様の処理を実行する。一方、処理装置200aは、処理装置200と同様に顕微鏡装置のコントロールボックスであるが、投影ユニット120の投影制御に関与しない点が、処理装置200とは異なる。
【0111】
本実施形態に係る顕微鏡システム及び画像投影方法によっても、第1の実施形態と同様に、光学像に基づく目視観察による病理診断を支援することが可能であり、病理医の作業負担を軽減することができる。さらに、本実施形態では、既存の顕微鏡システムに投影ユニット120aを取り付けることで、顕微鏡システム1と同様の画像投影処理を実行することができる。
【0112】
以上では、処理部123が図4に示す処理装置200の機能的な構成の全てを有する例で説明したが、処理部123は、図4に示す処理装置200の機能的な構成の一部を有してもよく、処理装置200aが残りの構成を有してもよい。また、以上では、処理部123が図4に示す処理装置200の機能的な構成の一部または全部を有する例で説明したが、処理部123は、他の実施形態に係る処理装置の機能的な構成の一部又は全部を有してもよい。例えば、処理部123は、図11に示す処理装置400の機能的な構成の一部又は全部を有してもよい。
【0113】
図30は、上述した処理装置又は投影ユニット120aを実現するためのコンピュータ1000のハードウェア構成を例示した図である。図30に示すハードウェア構成は、例えば、プロセッサ1001、メモリ1002、記憶装置1003、読取装置1004、通信インタフェース1006、及び入出力インタフェース1007を備える。なお、プロセッサ1001、メモリ1002、記憶装置1003、読取装置1004、通信インタフェース1006、及び入出力インタフェース1007は、例えば、入出力インタフェース1008を介して互いに接続されている。
【0114】
プロセッサ1001は、例えば、シングルプロセッサであっても、マルチプロセッサやマルチコアプロセッサであってもよい。プロセッサ1001は、記憶装置1003に格納されているプログラムを読み出して実行することで、上述した検査情報取得部、内容決定部、大きさ決定部、画像データ生成部、補足情報取得部、警告判定部、画像解析部として動作する。
【0115】
メモリ1002は、例えば、半導体メモリであり、RAM領域およびROM領域を含んでいてよい。記憶装置1003は、例えばハードディスク、フラッシュメモリ等の半導体メモリ、または外部記憶装置である。
【0116】
読取装置1004は、例えば、プロセッサ1001の指示に従って記憶媒体1005にアクセスする。記憶媒体1005は、例えば、半導体デバイス、磁気的作用により情報が入出力される媒体、光学的作用により情報が入出力される媒体などにより実現される。なお、半導体デバイスは、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリである。また、磁気的作用により情報が入出力される媒体は、例えば、磁気ディスクである。光学的作用により情報が入出力される媒体は、例えば、CD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disk)、Blu-ray Disc等(Blu-rayは登録商標)である。
【0117】
通信インタフェース1006は、例えば、プロセッサ1001の指示に従って、他の装置と通信する。入出力インタフェース1007は、例えば、入力装置および出力装置との間のインタフェースである。入力装置は、入力装置300と識別装置600を含んでもよい。また、例えば、ユーザからの指示を受け付けるキーボード、マウス、タッチパネルなどのデバイスであってもよい。出力装置は、例えばディスプレイなどの表示装置、およびスピーカなどの音声装置である。
【0118】
プロセッサ1001が実行するプログラムは、例えば、下記の形態でコンピュータ1000に提供される。
(1)記憶装置1003に予めインストールされている。
(2)記憶媒体1005により提供される。
(3)プログラムサーバなどのサーバから提供される。
【0119】
なお、図30を参照して述べた処理装置、及び、投影ユニットを実現するためのコンピュータ1000のハードウェア構成は例示であり、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、上述の構成の一部が、削除されてもよく、また、新たな構成が追加されてもよい。また、別の実施形態では、例えば、上述の電気回路の一部または全部の機能がFPGA(Field Programmable Gate Array)、SoC(System-on-a-Chip)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、およびPLD(Programmable Logic Device)などによるハードウェアとして実装されてもよい。
【0120】
上述した実施形態は、発明の理解を容易にするために具体例を示したものであり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。上述の実施形態を変形した変形形態および上述した実施形態に代替する代替形態が包含され得る。つまり、各実施形態は、その趣旨および範囲を逸脱しない範囲で構成要素を変形することが可能である。また、1つ以上の実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより、新たな実施形態を実施することができる。また、各実施形態に示される構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよく、または実施形態に示される構成要素にいくつかの構成要素を追加してもよい。さらに、各実施形態に示す処理手順は、矛盾しない限り順序を入れ替えて行われてもよい。即ち、本発明の顕微鏡システム、投影ユニット、画像投影方法は、特許請求の範囲の記載を逸脱しない範囲において、さまざまな変形、変更が可能である。
【0121】
上述した実施形態では、重畳装置の一例として投影ユニットを例示したが、顕微鏡システムは、重畳装置として対物レンズ101と接眼レンズ103の間の光路上に配置された透過型液晶素子を含む表示装置を有してもよい。透過型液晶素子は、光学像が形成される像面に配置されて、投型液晶素子で表示した画像を光学像に直接重畳してもよい。
【0122】
以上では、診断の判断基準となる長さ(基準長さ)の一例として深達度に関連する湿潤距離を例示したが、基準長さは、深達度に限らず侵襲度や分化度に関連する長さであってもよい。また、以上では、長さを含む大きさに注目して比較画像が生成される例を示したが、比較画像は、大きさよりもむしろ形状に注目したものであってもよい。顕微鏡システムは、形状に注目した比較画像を用いることで、異形細胞の発見を支援することによって診断を支援してもよい。
【0123】
本明細書において、“Aに基づいて”という表現は、“Aのみに基づいて”を意味するものではなく、“少なくともAに基づいて”を意味し、さらに、“少なくともAに部分的に基づいて”をも意味している。即ち、“Aに基づいて”はAに加えてBに基づいてもよく、Aの一部に基づいてよい。
【符号の説明】
【0124】
1、2、3、4 顕微鏡システム
10 外部システム
100、100a、100b 顕微鏡
101 対物レンズ
102 結像レンズ
103 接眼レンズ
110 顕微鏡光学系
120、120a 投影ユニット
121 投影装置
122 投影部
123 処理部
130 撮像装置
200、400、500、510、700、710、800、810、900、910
処理装置
201、401、501、511、701、711、801、811、901、911
検査情報取得部
202、402、502、512、702、712、802、812、902、912
内容決定部
203、403、503、513、703、713、803、813、903、913
大きさ決定部
204、404、504、514、704、714、804、814、904、914
画像データ生成部
300 入力装置
505、515、705、715、805、815 補足情報取得部
600 識別装置
806、816 警告判定部
905、915 画像解析部
1000 コンピュータ
1001 プロセッサ
1002 メモリ
1003 記憶装置
1004 読取装置
1005 着脱可能記記憶媒体
1006 通信インタフェース
1007 入出力インタフェース
1008 バス
S、Si 標本
SG スライドガラス
P 光学像
L1、L2、L3、L4 リスト画像
M1 光学像
CG カバーガラス
C1、C2、C3 比較画像
W1 警告画像
TS 検体
ID 識別情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11
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図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
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図25
図26
図27
図28
図29
図30