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  • 特開-サドル付分水栓コア挿入機 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083691
(43)【公開日】2023-06-16
(54)【発明の名称】サドル付分水栓コア挿入機
(51)【国際特許分類】
   F16L 55/18 20060101AFI20230609BHJP
   F16L 55/00 20060101ALI20230609BHJP
   B25B 27/073 20060101ALI20230609BHJP
【FI】
F16L55/18 B
F16L55/00 C
B25B27/073 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021197527
(22)【出願日】2021-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000201593
【氏名又は名称】前澤給装工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100073623
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 幸吉
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100098246
【弁理士】
【氏名又は名称】砂場 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】西東 敏夫
【テーマコード(参考)】
3C031
【Fターム(参考)】
3C031DD10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】回転操作用ロッドの下降が容易でハンドルの回転作業を最小限にできる分水栓コア挿入機を提供する。
【解決手段】ハンドル固着部材2の上側部に、高さ調整部材3の調整おねじ31と螺合する高さ調整めねじ21を刻設し、これと螺合する高さ調整おねじ31を刻設した高さ調整部材3を、コア部材をコア取付け部材に保持着装して配水管の穿孔穴まで下降挿入する回転操作用ロッド1の頂部に設定し、回転操作用ロッド1の頂部における高さ調整部材3の回動により、分水栓コアの設定位置をサドル付分水栓部材長による高さ位置と調整できるようにした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドル固着部材の上側部に、高さ調整部材の調整ねじと螺合する高さ調整ねじを刻設し、これと螺合する高さ調整ねじを刻設した高さ調整部材を、コア部材をコア取付け部材に保持着装して配水管の穿孔穴部まで下降挿入する回転操作用ロッドの頂部に設定し、前記高さ調整部材とハンドル固着部材を回動可能に設定すると共に、回転操作用ロッドの頂部における高さ調整部材の回動により、分水栓コアの設定位置をサドル付分水栓部材長による高さ位置と調整できるようにしたサドル付分水栓コア挿入機。
【請求項2】
ハンドル固着部材の下部に、内装間隙を残して回転操作用ロッドを内装挿通する外装スリーブを着合し、下半部に中空空洞部を形成した回転操作用ロッドを、同空洞部から前記内装間隙に通ずる通孔を設定して前記外装スリーブを挿通するように構成した請求項1記載のサドル付分水栓コア挿入機。
【請求項3】
ハンドル固着部材の下部に着合する外装スリーブの外表部に、ハンドル固着部材の下降を規制する突き当て面を形成するようにした請求項1又は請求項2記載のサドル付分水栓コア挿入機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サドル付分水栓の穿孔作業後に、配水管の穿孔穴部の防触、通水径確保等のために設定するサドル付分水栓コアの穿孔穴部への嵌挿に用いる分水栓コア挿入機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
分水栓コアの穿孔穴部への嵌挿については、単に挿入しただけでは、挿入部の隙間から水が浸入してしまうので、穿孔部の内面に対してしっかりと密着させなければならない。そのため、コアの挿嵌は穿孔部の内壁に対してコアに圧力をかけて拡径し密着させる必要がある。
【0003】
従来技術として特許文献1記載発明は、ねじ式でハンドルを回転させてコアを穿孔穴部まで下降させ、更に回転させることで穿孔穴部にコアを拡径して取付ける。特許文献2記載発明はハンドルの押下げにより穿孔穴部付近までコアを押下げることにより、下降推進のための回転数を減少させると共に、カムピンをカム溝に沿って移動させることで穿孔穴部にコアを拡径して取付けている。
【0004】
また、特許文献3記載発明は、これまで作業者の感覚に頼っていたコアの押下げによる挿入完了位置について、本体の下降動作を挿入棒に伝達するスプリングを用いることにより挿入完了の目印が突き出すようにして、作業者の感覚に頼らず挿入完了を把握できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10-180648号公報
【特許文献2】特開2017-127946号公報
【特許文献3】特開2019-107705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2記載発明のように、機器を回動するハンドルが設定されたカムピンと、分水栓コアを保持着装するヘッドを備えた軸部材を、カムピンを軸部材に設けた溝部に嵌合させてコアを圧入させる構成の場合、サドル付分水栓の部材長が異なると、コアの設置位置が合わなくなる。
【0007】
従って、配水管の穿孔部に取付けられるサドル付分水栓の部材としての長さ(高さ)が問題となる。すなわち、現在用いられているサドル付分水栓は、例えば、取出し呼び径25の場合、中間構造体の無いAF型では図2に示される分水栓天端部から管頂までの長さSは86mm、中間構造体のあるAS型では100mm、異なる中間構造体によるBS型では102mmとなっており、サドル付分水栓の部材長やメーカーごとに、それぞれに対応した機具が必要となる。
【0008】
また、コア部材を圧入ヘッドに保持着装して配水管の穿孔穴まで下降挿入する回転ロッドの下降推進については、ねじ式回転による下降推進では、回転数が多く、必要以上に無駄な時間と労力を要することになる。
加えて、下降時に下方から侵入する流水の水圧が負荷されるため、垂直方向への下降推進にも困難が伴う。
【0009】
特許文献2記載発明では、同明細書添付図面1に示されるようにカムピンはカム溝を移動するので、上下移動する範囲に変化はなく、サドル付分水栓の部材長の高さ位置が初期設定値と異なる場合には、コアの設定位置が上下にずれてしまい、穿孔穴部の防触等が十分にできない恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記した課題に対応しようとするものであり、回転操作用ロッドは上下動可能に両側に回転操作用のハンドルバーを螺入着合して着装するハンドル固着部材に挿通される。前記回転操作用ロッドの頂部に、下部に設定するハンドル固着部材と螺合する調整おねじを刻設した高さ調整部材を回動可能に設定すると共に、前記ハンドル固着部材の上側部に、前記頂部の高さ調整部材の調整おねじと螺合する調整めねじを刻設した。なお、上記調整ねじに台形ねじを用いることにより螺進効率を高めることができる。
【0011】
これにより、分水栓コアを保持着装して配水管の穿孔穴部まで挿入する回転操作用ロッドと高さ調整部材の調整ねじの回動によって位置を調整することができるので、サドル付分水栓の部材長の高さが異なる場合にも簡単に対応できるものである。
【0012】
前記回転操作用ロッドは、その下半部に中空空洞部が形成され、同空洞部には後記外装スリーブとの内装間隙に通ずる通孔が穿設され、更に、外表部に突き当て面を形成し、頂部にハンドル固着部材の下側部と着合して、下端にサドル付分水栓と着装する分水栓取付け部材を連接し、回動可能に外装スリーブに内装される。
【0013】
回転操作用ロッドの下端部には、コア取付け部材が連接され、配水管の穿孔穴部に当接して分水栓コアの配水管穿孔穴部への嵌挿を円滑に行われる構造が確保されている。
【0014】
回転操作用ロッドを以上のように構成することにより、これを下降推進する場合、回転操作用ロッドと外装スリーブとの内装間隙に前記通孔を通じて流水を侵入させ、回転操作用ロッドの中空空洞部と内装間隙を同圧として、回転操作用ロッドの推進を円滑に行えるようにした。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、上記のようにハンドル固着部材と高さ調整部材に高さ調整機構を設けることで、高さが異なるサドル付分水栓に対応し、また、コアを設置位置付近まで下降させる工程と、コアを拡径する工程を分けた。下降する工程を前記同圧構造としたので、回転操作用ロッドの下降が容易でハンドルの回転数が減り、穿孔穴上部にコアのテーパー部が当たった状態から拡径させるので回転作業を最小限にすることができた。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施例を示すもので、本発明によるサドル付分水栓コア挿入機の縦断面正面図である。
図2】同じく、コア挿入機の回転操作用ロッドの右半分を縦断面として要部構造を示した、分水栓コアをコア取付け部材に保持着装して配管の穿孔穴まで下降挿入した状態における全体正面図である。
図3】同じく、分水栓コアを配水管穿孔穴部に挿入し、コア挿入機を分水栓から取外す状況を示す全体正面図である。
図4】同じく、配水管の穿孔穴部まで下降挿入した分水栓コアのテーパー部が、配水管穿孔穴の頂部に当接した状態を示す配水管穿孔穴部と分水栓コア先端当接部位の拡大縦断面正面図である。
図5】同じく、ハンドル固着部材が外装スリーブからの抜け出しを防ぐ押さえ部材の平面図である。
図6】同じく、図5に図示する押さえ部材の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明すると、1は回転操作用ロッドで、頂部に、下部に設定するハンドル固着部材2と螺合する調整おねじ31を刻設した高さ調整部材3を回動可能に設定する。前記ハンドル固着部材2の上側部内周に、前記高さ調整部材3の調整おねじ31と螺動して位置調整する調整めねじ21が刻設される。
【0018】
回転操作用ロッド1は、その下半部に中空空洞部12が形成され、同空洞部12には後記外装スリーブ5との内装間隙51に通ずる通孔13が穿設されており、外表部に、分水栓コアCが配水管穿孔穴部P1に嵌挿され先端が拡径される下降位置を示す突き当て面52が形成される外装スリーブ5に、抜け止めフランジ11により外装スリーブから上昇方向に抜け出さないように挿嵌されている。なお、抜け止めフランジ11には同圧構造のための内装間隙51内を移動するOリングが取付けられている。
【0019】
外装スリーブ5は、その頂部がハンドル固着部材2の下側部と着合して、下端に分水栓取付け部材8を連接し、回転操作用ロッド1との止水部材のOリングを持ちながら内装している。
【0020】
ハンドル固着部材2は、回転操作用ロッド1を上下動可能に挿通して両側に回転操作用のハンドルバー6を螺入着合して着装し、外装スリーブ5の上端部に着合している。高さ調整部材3の回動により高さ調整した後に、ハンドルバー6によりハンドル固着部材2を下降推進させて分水栓コアCを拡径して圧着する。押さえ部材4はその上面に刻設された工具掛け溝41により回動され、下部に刻設されたおねじ42が外装スリーブ5の内周に刻設されためねじと螺合し、ハンドル固着部材2の抜け出しを防止するようになっている。
【0021】
回転操作用ロッド1は上記のように外装スリーブ5内に内装間隙51を残して内装されているので、下降推進される場合、回転操作用ロッド1と外装スリーブ5との内装間隙51にコア取付け部材7と回転操作用ロッド1と前記通孔13を通じて流水が侵入し、回転操作用ロッドの中空空洞部と内装間隙を同圧として、回転操作用ロッドの下降推進を円滑に行える。
【0022】
本願サドル付分水栓コア挿入機の取付けは、配水管Pの分水位置にサドル付分水栓Wを取付け、分水孔を穿設し、コア挿入機を取付けると共に、高さ調整部材3を押下げて調整めねじ21に螺合させ、ハンドル固着部材2の下端が外装スリーブの突き当て面52に当接するまで回動下降させることにより、分水栓コアCは配水管穿孔穴部P1に嵌挿され、穿孔部P1に圧着される。なお、高さ調整部材3と回転操作用ロッド1は相互に回転可能で、ハンドル固着部材がハンドル固着部材の降下長さRを降下する間は、回転操作用ロッド1が回転しないようにすることで分水栓コアCが回転しないので破損を防ぐことができるようにすると良い。また、呼び径の異なる分水栓に取付ける場合には、分水栓取付け部材8とサドル付分水栓Wの間にアダプターを用いると良い。
【0023】
以上により、分水栓コアCの穿孔穴部への嵌挿を完了したところで、ハンドル固着部材2が押さえ部材4の下部に当接するまで回転上昇させた後、ハンドル固着部材2と高さ調整部材3とを螺脱させ、更に引き上げて高さ調整部材3とハンドル固着部材2の着合前の当初位置まで戻して、分水栓コア挿入機の取外しを行うものである。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本願発明に係るサドル付分水栓コア挿入機は、ハンドル固着部材と高さ調整部材に高さ調整機構を設けることで、高さが異なるサドル付分水栓の高さ調整に対応し、また、分水栓コアを設置位置付近まで下降させる工程と、コアを拡径する工程を分けて下降する工程を前記同圧構造としたので、回転操作用ロッドの下降が容易でハンドルの回転数が減り、穿孔穴上部に分水栓コアが当たった状態から拡径させるので回転作業を最小限にすることができたので、水道施設産業上に高度の利用価値を有するものである。
【符号の説明】
【0025】
1 回転操作用ロッド
11 抜け止めフランジ
12 回転操作用ロッドの中空空洞部
13 通孔
2 ハンドル固着部材
21 ハンドル固着部材の調整めねじ
3 高さ調整部材
31 高さ調整部材の調整おねじ
4 押さえ部材
5 外装スリーブ
51 内装間隙
52 外装スリーブの突き当て面
6 ハンドルバー
7 コア取付け部材
8 分水栓取付け部材
C 分水栓コア
P 配水管
P1 配水管穿孔穴部
R ハンドル固着部材の降下長さ
S サドル付分水栓の部材長
W サドル付分水栓
図1
図2
図3
図4
図5
図6