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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083723
(43)【公開日】2023-06-16
(54)【発明の名称】テーブル型ウィルス等不活化装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 8/22 20210101AFI20230609BHJP
   A61L 9/20 20060101ALI20230609BHJP
   F24F 8/108 20210101ALI20230609BHJP
   F24F 8/80 20210101ALI20230609BHJP
【FI】
F24F8/22
A61L9/20
F24F8/108 210
F24F8/80 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021197578
(22)【出願日】2021-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000214272
【氏名又は名称】長瀬産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】松本 好家
【テーマコード(参考)】
4C180
【Fターム(参考)】
4C180AA07
4C180DD03
4C180HH05
4C180HH18
4C180MM08
(57)【要約】
【課題】簡便な構成でウィルス等を不活化するテーブル型ウィルス等不活化装置を提供すること。
【解決手段】テーブル型ウィルス等不活化装置1は、開口K、K1、K2、K3、K4を有する天板3と、該天板3の裏面に設けられ、前記開口K、K1、K2、K3、K4からの空気を導入する第1の開口部Pと、該第1の開口部Pから導入した空気を流動させて外部へ排出する第2の開口部Qと、を有する空気流路形成体6と、前記第1の開口部Pから空気を導入し、前記第2の開口部Qから空気を排出する空気流動装置7と、紫外線を照射する紫外線照射源9と、を備え、前記紫外線照射源9は、前記第1の開口部Pと前記第2の開口部Qの間に設置して、前記空気流路形成体6内の空気に対して紫外線を照射自在とすると共に、着脱自在とされている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有する天板と、
該天板の裏面に設けられ、前記開口からの空気を導入する第1の開口部と、該第1の開口部から導入した空気を流動させて外部へ排出する第2の開口部と、を有する空気流路形成体と、
前記第1の開口部から空気を導入し、前記第2の開口部から空気を排出する空気流動装置と、
紫外線を照射する紫外線照射源と、を備え、
前記紫外線照射源は、前記第1の開口部と前記第2の開口部の間に設置して、前記空気流路形成体内の空気に対して紫外線を照射自在とすると共に、着脱自在とされている、テーブル型ウィルス等不活化装置。
【請求項2】
前記空気流路形成体には、フィルタが設けられ、前記紫外線照射源は、前記フィルタに紫外線を照射するように配置される、請求項1に記載のテーブル型ウィルス等不活化装置。
【請求項3】
前記空気流路形成体には、塵埃を集塵する集塵機構が設けられる、請求項1または2に記載のテーブル型ウィルス等不活化装置。
【請求項4】
前記紫外線照射源からは、第1の紫外線と第2の紫外線とが照射される、請求項1から3のいずれか1項に記載のテーブル型ウィルス等不活化装置。
【請求項5】
前記紫外線照射源は、紫外線の主波長が206nm、222nm、253nm、283nm、308nm、のいずれかである、請求項1から4のいずれか1項に記載のテーブル型ウィルス等不活化装置。
【請求項6】
前記紫外線照射源は、着脱されて照射源保持装置に保持され、ウィルス等の不活化をおこなう、請求項1から5のいずれか1項に記載のテーブル型ウィルス等不活化装置。
【請求項7】
前記照射源保持装置は、保持された前記紫外線照射源を回転駆動し、ウィルス等の不活化をおこなう、請求項6に記載のテーブル型ウィルス等不活化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーブル型ウィルス等不活化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レストラン、食堂、居酒屋等の飲食店では、複数人が集まる食事の際、ウィルス感染の危険がある、空気中に拡散しているマイクロ飛沫等をいかに防ぐかが課題となっている。会話するときは、マスク等で口元を覆い、飲食する際にはマスクを外し無言で食物や飲み物などを摂取することが推奨されているが、実際そのような個人の行動に制限を設けるような対策には限界がある。
【0003】
特許文献1には、空気清浄機の上面に吸い込み口を設けたテーブルを設け、吸い込み口の下流に集塵部と光触媒フィルタと殺菌灯を備えたテーブル型空気清浄機が開示されている。集塵部で吸着を逃れた細菌やウィルスは、殺菌灯を光触媒フィルタに照射することによって発生したOHラジカルとスーパーオキサイドイオンにより殺菌、不活化される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-141933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の空気清浄機では、細菌やウィルスの殺菌、不活化には、集塵フィルタと光触媒フィルタと殺菌灯を備えることが必要であり、装置として構成が複雑となる。また集塵フィルタは、長期間の使用により目詰まりや経年劣化を起こす可能性があり日常のメンテナンスに手間がかかる恐れがある。
【0006】
本発明は、上述した実情に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、簡便な構成でウィルス等を不活化するテーブル型ウィルス等不活化装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明のテーブル型ウィルス等不活化装置は、開口を有する天板と、該天板の裏面に設けられ、前記開口からの空気を導入する第1の開口部と、該第1の開口部から導入した空気を流動させて外部へ排出する第2の開口部と、を有する空気流路形成体と、前記第1の開口部から空気を導入し、前記第2の開口部から空気を排出する空気流動装置と、紫外線を照射する紫外線照射源と、を備え、前記紫外線照射源は、前記第1の開口部と前記第2の開口部の間に設置して、前記空気流路形成体内の空気に対して紫外線を照射自在とすると共に、着脱自在とされている。
このような発明によれば、天板の開口より天板上の空間の空気を空気流路形成体内部に導入し、この空気に紫外線照射源によって紫外線を照射するので、簡便な構造で天板上の空間の空気のウィルス等を不活化することができる。また、紫外線照射源は、取り外し、紫外線照射源を移動させ、適宜その周辺のウィルス等を不活化することができる。
【0008】
本発明の一態様においては、前記空気流路形成体には、フィルタが設けられ、前記紫外線照射源は、前記フィルタに紫外線を照射するように配置される。
このような構成によれば、フィルタに紫外線が照射されるので、フィルタに付着したウィルス等を不活化することができる。
【0009】
本発明の一態様においては、前記空気流路形成体には、塵埃を集塵する集塵機構が設けられる。
このような構成によれば、集塵機構によって塵埃を集塵できるので、排出する空気の清浄度を担保することができる。
【0010】
本発明の一態様においては、前記紫外線照射源からは、第1の紫外線と第2の紫外線とが照射される。
このような構成によれば、紫外線照射源から2種類の放射線が照射されるので、ウィルス等を不活化するのに適した紫外線の組合せを選択できる。
【0011】
本発明の一態様においては、前記紫外線照射源は、紫外線の主波長が206nm、222nm、253nm、283nm、308nm、のいずれかである。
このような構成によれば、ウィルスなどを不活化する紫外線の波長として好適なものを選択することができる。
【0012】
本発明の一態様においては、前記紫外線照射源は、着脱されて照射源保持装置に保持され、ウィルス等の不活化をおこなう。
このような構成によれば、紫外線照射源が、照射源保持装置に保持されるので、安全に安定して周辺のウィルス等の不活化をおこなうことができる。
【0013】
本発明の一態様においては、前記照射源保持装置は、保持された前記紫外線照射源を回転駆動し、ウィルス等の不活化をおこなう。
このような構成によれば、照射源保持装置が紫外線照射源を回転駆動するので、紫外線照射源の周辺の広範囲にわたって紫外線を照射してウィルス等を不活化することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、簡便な構成でウィルス等を不活化するテーブル型ウィルス等不活化装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係るテーブル型ウィルス等不活化装置の天板を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係るテーブル型ウィルス等不活化装置を下方から見た斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係るテーブル型ウィルス等不活化装置の空気流路形成体まわりの構成を示す斜視図である。
図4図3のA-A断面矢視図である。
図5】本発明の実施形態に係るテーブル型ウィルス等不活化装置の開口に備えられるスリット板の平面図である。
図6】本発明の実施形態に係るテーブル型ウィルス等不活化装置の開口に備えられるパンチングプレートの斜視図である。
図7】本発明の実施形態に係るテーブル型ウィルス等不活化装置を下方から見た斜視図である。
図8図7の波線B部分の拡大図である。
図9】本発明の実施形態に係る紫外線照射源を保持した照射源保持装置の正面図である。
図10】本発明の実施形態に係る紫外線照射源を保持した照射源保持装置の側面図である。
図11】本発明の実施形態に係る紫外線照射源を保持した照射源保持装置の動作を説明するための模式図である。
図12】本発明の実施形態に係るテーブル型ウィルス等不活化装置の模式的側断面図である。
図13】本発明の実施形態に係るテーブル型ウィルス等不活化装置の要部の拡大断面図である。
図14】本発明の実施形態に係るテーブル型ウィルス等不活化装置の紫外線照射源に使用される紫外線ランプの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るテーブル型ウィルス等不活化装置の天板を示す斜視図である。
図1に示すように、本実施形態におけるテーブル型ウィルス等不活化装置1は、開口Kを有する天板3を備えている。天板上の開口Kは、天板上の基準点Jから放射方向に延びるスリット状の複数の開口Kを備えている。本実施形態では、図に示すように、4つの開口K1、K2、K3、K4を備えている。開口K1、K2、K3、K4のそれぞれには、図5に示すスリット板11と図6に示すパンチ孔12aを有するパンチングプレート12がこの順に各開口K1、K2、K3、K4を覆うように装着されている。
【0017】
図5に示すように、スリット板11には、スリット11aが設けられており、一方の端部11bから他方の端部11cへむけて幅が漸次変化するように形成されている。本実施形態では、一方の端部11bの幅h1は、他方の端部11cの端部の幅h2より小さく、端部11bから端部11cにむけて幅がh1からh2に増大する。このスリット板11によって、各開口K1、K2、K3、K4が覆われており、実効的な空気の流路を制限している。図1に示すように、本実施形態では、基準点Jは、天板3の中央付近に配置され、開口K1の上部に示すように、スリット板11の向きは、スリット11aの幅が狭い側の端部11bが基準点Jの側になるように配置されている。
【0018】
図2は、本発明の実施形態に係るテーブル型ウィルス等不活化装置を下方から見た斜視図である。
図2に示すように、本実施形態におけるテーブル型ウィルス等不活化装置1は、上述した天板3の裏面に、開口K1、K2、K3、K4を覆うダクト5と、ダクト5の内部空間を介して各開口K1、K2、K3、K4と連通する空気流路形成体6と、天板3を支持する支持部材17を備えている。本実施形態では、ダクト5は、開口K1、K2、K3、K4を覆う直方体形状のカバーであり、その内部空間は、天板3の開口K1、K2、K3、K4と後述する空気流路形成体6の第1の開口部Pと連通している。支持部材17は、天板3にネジ止めまたは接着される天板支持板19、19と、天板支持板19、19に結合されて下方に延びる脚部21、21と、この脚部21、21を固定し、支持部材17の構造を補強する脚部固定部材23と、各脚部21、21に結合して、床に対して脚部21、21を垂直に保つ脚部支持部材25、25を備えている。
【0019】
図3は、本発明の実施形態に係るテーブル型ウィルス等不活化装置1の空気流路形成体6まわりの構成を示す斜視図である。空気流路形成体6は、開口K1、K2、K3、K4からダクト5の内部空間を介して、空気を導入する第1の開口部Pと、この第1の開口部Pから導入した空気を流動させて外部へ排出する第2の開口部Qと、を備えている。空気流路形成体6は、第1の開口部Pを有する照射経路形成体61と第2の開口部Qを有する排出経路形成体62によって構成されており、照射経路形成体61と排出経路形成体62は、連通孔61eによってその空気流路が連通している。
【0020】
照射経路形成体61は、上板61a、底板61b、側板61c、61c、端板61dによってその空気流路を覆う立方体状に形成されており、端板61dの対向する方向に連通口61eが開口しており、排出経路形成体62内部と連通している。上板61aには、第1の開口部Pが設けられている。第1の開口部Pの回りには、フランジ61fが張り出しており、このフランジ61fの孔61gにボルト、ネジ等をとおして、ダクト5の底部にダクト5の内部空間と第1の開口部Pが連通するように空気流路形成体6が固定される。排出経路形成体62は、連通口61eから第2の開口部Qまでの空気流路を画成しており、上板62a、底板62b、側板62c、62cを備えている。上板62a、底板62b、側板62c、62cは、第2の開口部Qを、連通路61eよりその図上横方向の幅が大きくなるように形成している。
【0021】
このように形成された空気流路形成体6の第2の開口部Qには空気流動装置としてファン7が設けられ、第1の開口部Pと前記第2の開口部Qとの間には、空気流路形成体6内の空気に対して紫外線を照射する紫外線照射源9が設けられている。空気流動装置のファン7は、天板3の開口K1、K2、K3、K4からこれらの開口Kの上部の空気を吸引するために用いられ、吸引する風速は、1.6m/sec~3.3m/sec、好適には2m/secほどであればよい。この範囲の風速であれば、人の感覚的に風の流れをそれほど意識させずに空気を吸引してウィルス等を不活化できる。この風速は、適切な風量との関係を考慮して適宜設定することができる。
【0022】
紫外線照射源9は、フレーム9a内に紫外線を放射するエキシマランプ9bが備えられ、フレーム9aの側部には、エキシマランプ9bを冷却する冷却ファン9cが設けられている。エキシマランプ9bは、側板61cに設けられた開口部Rから空気流路形成体6内の空気に対して紫外線を照射する。このときウィルス等不活化のため照射される紫外線の主波長は、206nm、222nm、253nm、283nm、308nm、のいずれかであるとよい。本実施形態では、側板61cの開口部Rから紫外線を照射しているが、これに限定されず、空気流路形成体6内の空気に紫外線を照射できればいかなる形態であってもよい。例えば、開口部Rに変えてエキシマランプ9bから紫外線が照射される側板61cの一部分を紫外線が透過する透明な材質で形成してよい。
【0023】
図4は、図3のA-A断面矢視図である。本実施形態における空気流路形成体6は、図に示すように、第1の開口部Pに第1のフィルタ13が設けられ、第2の開口部Qに第2のフィルタ15が設けられている。第2のフィルタ15は、好適には、HEPAフィルタが採用される。なお、本実施形態では、図1に示す基準点Jの直下に第1の開口部Pが配置されるように、空気流路形成体6がダクト5に固定されている。
【0024】
次に、上述のように構成されたテーブル型ウィルス等不活化装置1の動作について説明する。テーブル型ウィルス等不活化装置1が起動すると、空気流動装置のファン7に電源が入り、紫外線照射源9のエキシマランプ9bが点灯し、冷却ファン9cがエキシマランプ9bの冷却のため回転を開始する。空気流動装置のファン7は、回転し、空気を第2の開口部Qから排出する。その時、天板3に設けられた開口K1、K2、K3、K4の上部にある空気が、開口K1、K2、K3、K4それぞれのパンチングプレート12とスリット板11を通過してダクト5内に導入される。ダクト5内に導入された空気は、ダクト5の底部に固定された空気流路形成体6の第1の開口部Pに吸引される。
【0025】
図4矢印Eに示すように、第1の開口部Pに吸引された空気は、第1のフィルタ13を透過して、空気流路形成体6の照射経路形成体61内に導入される。照射経路形成体61内に導入された空気は、照射経路形成体61内の開口部Rの前を通過するときに、紫外線照射源9のエキシマランプ9bにより開口部Rから紫外線を照射される。この紫外線の照射により、空気中に含まれるウィルス等が不活化される。開口部Rの前を通過した空気は、連通口61eから排出経路形成体62内に移動して第2の開口部Qに向かう。第2の開口部Qには、HEPAフィルタ15が備えられており、細かい塵埃などは、ここで吸着されてさらに空気が清浄化される。清浄化された空気は、ファン7に吸引されて矢印Fに示すように空気流路形成体6の外部に排出される。
【0026】
以上述べたように、本実施形態では、天板3に設けられた開口Kから開口K上部の空気を吸引し、空気流路形成体6内に導入し、空気流路形成体6内を流動する空気に対して紫外線照射源から紫外線を照射してウィルス等を不活化するので、簡便な構成でウィルス等を不活化するテーブル型ウィルス等不活化装置を提供することができる。紫外線照射源は、紫外線の主波長が206nm、222nm、253nm、283nm、308nm、のいずれかに設定されるので、ウィルスの不活化が効率良く実施可能である。天板3上の開口Kは、天板3上の基準点Jから放射方向に延びるスリット状の複数の開口Kとされているので、テーブルに着席する人と人との間の空気を吸引し一種のエアーカーテンを形成するので、隣の人同士の飛沫を防止することができる。天板3の開口Kは、一方の端部から他方の端部へむけて幅が漸次変化する形状とされるので、吸引する空気の流量を均一化することができる。空気流路形成体6の第1の開口部に第1のフィルタが設けられ、前記第2の開口部に第2のフィルタが設けられるので、排出する空気の清浄度がさらに担保される。
【0027】
なお、本実施形態では、天板3の形状は図1において矩形状に描写され、開口Kは、十字の位置に4つのK1、K2、K3、K4のように設けられたが、これに限定されない。例えば、天板3の形状は、円形状としてよいし、開口Kは、天板3上の基準点Jから放射方向に延びる複数の開口Kが設けられてよい。また、本実施形態では、紫外線を照射する照射源としてエキシマランプが採用されたが、これに限定されずウィルス等を不活化する効果のある主波長を含むものであればいかなる光源でも採用してよい。例えば、深紫外LED等を採用してよい。または、所謂殺菌灯と呼ばれる低圧水銀灯を採用してもよい。
【0028】
(変形例1)
上述の紫外線照射源9は、空気流路形成体6の開口部Rから空気流路形成体6内の空気に紫外線を照射しているが、本変形例では、紫外線照射源6の上部に駆動可能な遮蔽板を設け遮蔽板が開放された場合、ダクト5内を通過して開口Kから紫外線が外部に照射されるように構成する。開口Kから紫外線が照射されるときは、天板3の上面は、裏面にアルミ等の反射膜を有するカバーで覆うようにする。このように構成することで、夜間の飲食店等顧客がいないときにカバーの裏面から反射した紫外線によって天板上のウィルス等を不活化することが可能となる。また、人体に比較的無害とされる206nm、222nmを主波長とするランプを使う場合は、カバーをせず直接空気を殺菌する事も可能である。
【0029】
(変形例2)
本変形例では、テーブル型ウィルス等不活化装置1の空気の流れを上述の実施形態とは逆流させ、天板3の下方の空気を吸引しウィルス等を不活化させる。具体的には、ファン7を逆回転させ、第2の開口部Qから空気を取り入れ空気流路形成体6内の空気にエキシマランプ9bで紫外線を照射しウィルス等を不活化する。ウィルス等を不活化された空気は、第1の開口部Pからダクト5内に流動され、天板3の開口Kから外部に放出される。上記第1の変形例1、本第2の変形例2は、飲食店が閉店後に店内を清浄化する状況を想定しており、上述の実施形態とともに動作モードを切り換えて使用可能になるように実装してよい。
【0030】
(変形例3)
本変形例が、上述の実施形態と異なるのは、第2のフィルタ15としてHEPAフィルタに加えてオゾンフィルタを用いる点である。このオゾンフィルタによって、紫外線照射源9によりオゾンが発生した場合は、オゾンを吸着し、オゾンの外部への流出を防ぐことができる。第2のフィルタ15の構成としては、これに限定されず、HEPAフィルタまたはオゾンフィルタのいずれか又はその双方を第2のフィルタ15として選択してよい。
【0031】
尚、上記実施形態では、空気流動装置のファン7は、第2の開口部Qに配置されたが、これに限定されず、第1の開口部Pの前または、第1の開口部Pから第2の開口部Qにいたる経路の中間に配置されてもよい。すなわち、第1の開口部Pから空気を導入し、第2の開口部Qから空気を排出する空気の流動をつくることができればその配置は、各実施の状況に適応して適宜選択されてよい。また、使用される空気流動装置としてのファン7の個数も1個に限定されるものではなく、例えば第1のフィルタ13の前後、および/または第2のフィルタ15の前後などに、複数のファン7が採用されてよい。ファン7の個数や位置の選択は、ファン7の騒音と実際のテーブル上での吸引能力とのバランス等を考慮して、各実施の状況に適応して適宜選択されてよい。
【0032】
(第2実施形態)
図7は、本発明の第2実施形態を説明するためのテーブル型ウィルス等不活化装置1を下方から見た斜視図である。図8は、図7の波線B部分の拡大図である。本実施形態においては、紫外線照射源9は、空気流路形成体6より、着脱レバー9dにより着脱可能とされている。したがって、取り外した紫外線照射源9は、天板3上、またはその外部に設置して、その周辺に紫外線を照射自在となる。
【0033】
例えば、テーブル型ウィルス等不活化装置1を設置した飲食店等の店舗において、営業時間内では、第1実施形態に記載した動作によってウィルス等の不活化をおこなう。店舗の閉店後、紫外線照射源9を着脱レバー9dにより空気流路形成体6より、取り外す。この紫外線照射源9を、店舗の従業員が手で保持し、テーブル他、店内に紫外線を照射し、ウィルス等を不活化する。従業員が紫外線照射源9で店内に紫外線を照射するときは必ずゴーグル、手袋を着用する。本実施形態では、第1実施形態の作用効果に加え、紫外線照射源9を取り外し、任意の場所に対して紫外線を照射してウィルス等を不活化できるので、紫外線照射源9を、様々な場所で有効に活用することができる。
【0034】
(第3実施形態)
図9は、本実施形態に係る紫外線照射源9を保持した照射源保持装置80の正面図である。図10は、その側面図である。本実施形態では、上述のように取り外した紫外線照射源9を照射源保持装置80に保持し、ウィルス等の不活化をおこなう。照射源保持装置80は、キャスター87を備えて移動自在とされた移動板85と、移動板85上に固定される保持部材81と制御部89とを備えている。紫外線照射源9は、保持部材81から延長され紫外線照射源9内を貫通するロッド(図示せず)の先端に固定ハンドル83をねじ止めすることによって、照射源保持装置80に固定される。
【0035】
上述したように紫外線照射源9を保持した照射源保持装置80は、紫外線照射をおこなう場所までキャスター87を利用して搬送され、紫外線照射源9の電源を投入することによって紫外線を照射する。紫外線照射源9は、照射源保持装置80に回転自在に保持されている。図11は、紫外線照射源9が回転駆動されているところを示す模式図である。紫外線照射源9は、矢印Uのように回転駆動される。このとき、紫外線照射源9から照射される紫外線は、紫外線照射範囲Wで表されるように広範囲にわたって照射される。制御部89は、この回転駆動の回転角度、回転速度等を制御する。また、制御部89は、タイマーを備えており、任意の時間に紫外線照射源9の電源を入れて回転駆動させ、任意の時間に紫外線照射源9を停止させることができる。本実施形態では、第1、第2実施形態の作用効果に加え、自動的に照射時間、回転照射範囲を制御できるので、省力化したうえで、確実にウィルス等の不活化が可能となる。
【0036】
(第4実施形態)
図12は、本実施形態に係るテーブル型ウィルス等不活化装置10の模式的側断面図である。図13は、要部の拡大図であり、図14は、本実施形態で使用される紫外線ランプの斜視図である。
本実施形態に係るテーブル型ウィルス等不活化装置10が、第1実施形態と異なる点は、空気流路形成体6の第1の開口部Pと第2の開口部Qの間にはフィルタ101が設けられ、紫外線照射源9とフィルタ101は、このフィルタ101に紫外線Vを照射する位置に配置されている。フィルタ101は、例えばHEPAフィルタが採用できる。
【0037】
空気流路形成体6には、塵埃を集塵する集塵機構102が設けられている。この集塵機構102は、サイクロンセパレータ102aと集塵ボックス102bを備えている。サイクロンセパレータ102aの側壁には第1の開口部Pが、天板3の各開口Kに対応して複数設けられている。図12に示すように、開口Kは、ダクト5に連通するように設けられており、ダクト5の底部に連通する導管103を介して開口Pに接続されている。
【0038】
本実施形態に係る紫外線照射源9は、第1の紫外線と第2の紫外線とが照射される。紫外線照射源としては、例えば低圧水源ランプ110が使用される。
図13は、本実施形態の紫外線照射源9に使用される紫外線ランプ110の斜視図である。本実施形態に係る紫外線ランプ110は、波長が160nm以上の光が透過する第1の領域Sと波長が220nm以上の光が透過する第2の領域Tとを有する石英管115を口金111a、111bで挟んだ構成とされている。
【0039】
石英管115内部には、アルゴンなどの希ガスと水銀が封入されている。口金111a、111bには、石英管115内部にアーク放電を発生させるための電極ピン(図示せず)が設けられている。電極ピンは、石英管115の内部にあるアーク放電のための電極(図示せず)に連結されている。石英管115の第1の領域Sの第1の管部115aは、合成石英、または溶融石英により形成されている。石英管115の第2の領域Tの第2の管部115bは、オゾンレス石英によって形成されている。
【0040】
上記のように構成された低圧水銀ランプが点灯すると、図14に示すように、第1の管部115aからは、主に波長254nmと185nmの第1の紫外線が放射される。第2の管部115bからは、主に波長254nmの第2の紫外線が放射される。管部115aから放射される波長185nmの紫外線は、空気中の酸素(O)に作用してオゾン(O)を発生させる効果を有している。管部115a、115bから放射される波長254nmの紫外線は、オゾン(O)を分解して酸素(O)を生成する効果を有している。
【0041】
上述のように構成したテーブル型ウィルス等不活化装置10が起動すると、紫外線照射源9の紫外線ランプ110が点灯し、ファン7が回転し、開口Kからウィルス等cと塵埃dを含む、天板3上部の空気の吸引が開始される。
【0042】
開口Kから吸引された空気は、ダクト5、導管103を介して第1の開口部Pに導入される。開口Pは、筒状の形状をもつサイクロンセパレータ102aの側壁に設けられている。開口Pに導入される空気は、サイクロンセパレータ102aの側壁の垂線に対して角度をもって導入されており、これら複数の開口Pから導入された空気は、サイクロンセパレータ102a内部で螺旋流を生じさせる。この螺旋流の遠心力の作用により、質量を有する塵埃dは、空気と分離され、下方に連通して配置された集塵ボックス102bに回収される。塵埃dを分離された空気は、吸入管104より紫外線照射源9が紫外線Vを照射している空間120に吸入される。
【0043】
空間120において、紫外線照射源9により紫外線Vを照射されてウィルス等cが不活化される。空間120に吸入されウィルス等cが不活化された空気は、フィルタ101を透過してファン7に吸引され、塵埃d、ウィルス等cが取り除かれた清浄な空気が第2の開口部Qより外部に放出される。
本実施形態では、上記で説明した以外の部分については、第1実施形態と同様の構成を採用しているので、その説明を省略する。
【0044】
以上述べたように、本実施形態に係るテーブル型ウィルス等不活化装置10は、第1実施形態の作用効果に加え、空気流路形成体6に設けられたフィルタ101に紫外線照射源から紫外線Vが照射されるように構成されているので、フィルタ110にウィルス等cの不活化効果を有する酵素などをコーティングすることなく、フィルタ110表面のウィルス等を不活化することができる。したがって、フィルタ110のコストを低減することができる。テーブル型ウィルス等不活化装置10が動作している間は、紫外線Vがフィルタ110に照射され続けるので、仮にフィルタ110を透過するようなウィルス等があったとしても、安全に不活化されているので、危険なウィルス等が外部に漏洩することを防止することができる。空気流路形成体6には、集塵機構102が設けられるので、フィルタ等を使用した場合と異なり、フィルタ自体の抵抗や目詰まり等に関係なく、かつファンの容量を増大させることなく空気流路形成体6内の流量を担保することができる。紫外線照射源9には、2種類の紫外線が照射されるので、オゾンの発生、消滅を制御して、適切な組合せの紫外線を照射することによりウィルス等不活化の効率を向上することができる。
【0045】
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 テーブル型ウィルス等不活化装置
3 天板
6 空気流路形成体
7 空気流動装置
9 紫外線照射源
13 第1のフィルタ
15 HEPAフィルタまたはオゾンフィルタのいずれか又はその双方(第2のフィルタ)
80 照射源保持装置
101 フィルタ
102 集塵機構
J 基準点
K、K1~K4 開口
P 第1の開口部
Q 第2の開口部
V 紫外線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14