(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083732
(43)【公開日】2023-06-16
(54)【発明の名称】家畜用センサモジュール取付具
(51)【国際特許分類】
A01K 29/00 20060101AFI20230609BHJP
【FI】
A01K29/00 D
A01K29/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021197598
(22)【出願日】2021-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】503086961
【氏名又は名称】株式会社ジオ
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【弁理士】
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】大木 恒雄
(72)【発明者】
【氏名】小森 敦
(72)【発明者】
【氏名】中井 利匡
(72)【発明者】
【氏名】扇谷 諭
(72)【発明者】
【氏名】井澤 正
(72)【発明者】
【氏名】山本 綾子
(57)【要約】
【課題】牛の尻尾の炎症等を防ぐことができ、センサが位置ずれしたり、脱落するのを防止し、牛の尻尾に対するセンサの取り外し、取付作業を容易にすることが可能な家畜用センサモジュール取付具を提供する。
【解決手段】家畜に、生体データ計測用のセンサモジュールを取り付けるための家畜用センサモジュール取付具であり、ポケットにセンサモジュールを保持して牛1の尻尾2の少なくとも臀端に近接する尾根部3の腹側に巻回される伸縮性の弾性被覆帯20を有し、この弾性被覆帯20を少なくともエラストマー含有の材料により網目構造に形成してその厚さを1mm以上6mm以下とする。弾性被覆帯20が伸縮性や弾性を有するので、例え尻尾2が徐々に細くなる円錐形でも、弾性被覆帯20が尻尾2の径に応じ、伸縮して密接し、弾性被覆帯20が容易に脱落することがない。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
家畜に、生体データ計測用のセンサモジュールを取り付けるための家畜用センサモジュール取付具であって、
センサモジュールを保持して牛の尻尾の少なくとも臀端に近接する尾根部の腹側に巻き付けられる伸縮性の弾性被覆帯を有し、この弾性被覆帯を少なくともエラストマー含有の材料により略網目構造に形成してその厚さを1mm以上6mm以下としたことを特徴とする家畜用センサモジュール取付具。
【請求項2】
センサモジュールに、弾性被覆帯の網目に嵌合係止する係止部を設けた請求項1記載の家畜用センサモジュール取付具。
【請求項3】
弾性被覆帯を、エラストマーと強化繊維とを含有した材料により形成した請求項1又は2記載の家畜用センサモジュール取付具。
【請求項4】
弾性被覆帯の牛の尻尾に対向する対向部に、牛の尻尾に接触する突起を形成した請求項1、2、又は3記載の家畜用センサモジュール取付具。
【請求項5】
弾性被覆帯の網目を区画する複数の区画線部を交差させて交差部とし、区画線部を伸縮の容易な伸長容易部とし、交差部を非伸長容易部とした請求項1ないし4の何れかに記載の家畜用センサモジュール取付具。
【請求項6】
弾性被覆帯に、センサモジュール用のポケットを形成した請求項1ないし5の何れかに記載の家畜用センサモジュール取付具。
【請求項7】
弾性被覆帯の牛の尻尾に対向する非伸長容易部に突起を形成した請求項5又は6記載の家畜用センサモジュール取付具。
【請求項8】
弾性被覆帯の牛の尻尾に対向する非伸長容易部の対向面に台座部を形成し、この台座部に、突起を形成した請求項5又は6記載の家畜用センサモジュール取付具。
【請求項9】
突起を、断面略U字形、断面略J字形、断面略鋸歯形、断面略錐体形、断面略錐台形、及び中空の断面略楕球形の少なくとも何れかに形成した請求項4ないし8の何れかに記載の家畜用センサモジュール取付具。
【請求項10】
弾性被覆帯の重なった両端部を締結する締結具を備え、この締結具を、弾性被覆帯の重なった両端部に嵌め合わされる略U字形に形成し、締結具の内面には、弾性被覆帯の重なった両端部の網目を貫通する複数の係止軸を突出形成した請求項1ないし9の何れかに記載の家畜用センサモジュール取付具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家畜の健康管理や受胎適正期の判別等に使用される家畜用センサモジュール取付具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
畜産業において、牛は、豚や鶏等と比べ、飼養頭数が少ないものの、単価が高く、長期の健康を維持させる必要があり、しかも、人工授精をしているため、畜産のターゲットとして最適である。従来、牛の健康管理や受胎適正期を判別したい場合には、図示しないが、牛の尻尾に、生体データ検出用のウェアラブルセンサを固定具を介して取り付け、ウェアラブルセンサが検出した生体データをホストシステムに集約して解析することにより、少人数で牛群管理したり、受胎適正期を判別するようにしている。
【0003】
固定具は、例えば着脱自在の粘着テープ、包帯、使い捨てテープ、ベルト、ロープ等からなり、牛の尻尾に緊締されることにより、尻尾にウェアラブルセンサを圧接する(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】W02016/174840号公報
【特許文献2】特開平11‐32609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、牛の尻尾は、臀端に近い尾根部から先端部にかけて細くなる略円錐形なので、固定具が緊締されても、固定具が脱落し易いという問題がある。この問題を踏まえ、牛の尻尾に固定具をきつく緊締すると、尻尾にウェアラブルセンサが強く圧接されるので、尻尾の皮膚に炎症が発生し易くなるという大きな問題が新たに生じる。この問題を解消するには、牛の尻尾に固定具を緩く巻けば良いが、そうすると、皮膚の炎症を防ぐことはできるものの、牛が尻尾を振った場合に、ウェアラブルセンサが固定具内で動き、ウェアラブルセンサが簡単に位置ずれしたり、固定具から抜けて脱落することとなる。
【0006】
また、牛の尻尾にウェアラブルセンサを取り付ける場合、牛の健康等を長期に亘って管理する観点から、子牛の段階でウェアラブルセンサを取り付けることが好ましいが、子牛の尻尾の太さは3cm前後であるのに対し、成牛の尻尾の太さは7cm前後である。したがって、牛の成長に伴い、尻尾からウェアラブルセンサを取り外した後、再度取り付ける必要があるが、牛を多頭飼育する場合には、取付作業が実に面倒で煩雑となる。この取付作業の煩雑化は、将来、畜産農家の作業従事者の減少が予想されるので、深刻な問題となる。
【0007】
本発明は上記に鑑みなされたもので、牛の尻尾の炎症等を防ぐことができ、センサが位置ずれしたり、脱落するのを防止し、牛の尻尾に対するセンサの取り外し、取付作業を容易にすることが可能な家畜用センサモジュール取付具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明においては上記課題を解決するため、家畜に、生体データ計測用のセンサモジュールを取り付けるためのものであって、
センサモジュールを保持して牛の尻尾の少なくとも臀端に近接する尾根部の腹側に巻き付けられる伸縮性の弾性被覆帯を有し、この弾性被覆帯を少なくともエラストマー含有の材料により略網目構造に形成してその厚さを1mm以上6mm以下としたことを特徴としている。
【0009】
なお、センサモジュールに、弾性被覆帯の網目に嵌合係止する係止部を設けることができる。
また、弾性被覆帯を、エラストマーと強化繊維とを含有した材料により形成することができる。
また、弾性被覆帯の牛の尻尾に対向する対向部に、牛の尻尾に接触する突起を形成することもできる。
また、弾性被覆帯の厚みと幅の少なくもいずれか一方を変更することにより、弾性被覆帯に伸長容易部と非伸長容易部とをそれぞれ形成することが可能である。
【0010】
また、弾性被覆帯の網目を区画する複数の区画線部を交差させて交差部とし、区画線部を伸縮の容易な伸長容易部とし、交差部を非伸長容易部とすることが可能である。
また、弾性被覆帯に、センサモジュール用のポケットを形成することが可能である。
また、弾性被覆帯の牛の尻尾に対向する非伸長容易部に突起を形成することも可能である。
【0011】
また、弾性被覆帯の牛の尻尾に対向する非伸長容易部の対向面に台座部を形成し、この台座部に、突起を形成することができる。
また、突起を、断面略U字形、断面略J字形、断面略鋸歯形、断面略錐体形、断面略錐台形、及び中空の断面略楕球形の少なくとも何れかに形成することができる。
さらに、弾性被覆帯の重なった両端部を締結する締結具を備え、この締結具を、弾性被覆帯の重なった両端部に嵌め合わされる略U字形に形成し、締結具の内面には、弾性被覆帯の重なった両端部の網目を貫通する複数の係止軸を突出形成することもできる。
【0012】
ここで、特許請求の範囲におけるセンサモジュールは、円板型タイプ、多角形の箱型タイプ、太い柱型タイプや細長い柱型タイプ等を特に問うものではない。また、エラストマーには、熱可塑性エラストマーと熱硬化性エラストマーのいずれもが含まれる。略網目構造の網目は、矩形、多角形、円形、楕円形等のいずれでも良い。この網目を区画する区画線部は、斜線でも良いし、直線等でも良い。
【0013】
非伸長容易部は、伸長容易部よりも幅広に形成したり、肉厚に形成することができる。また、突起や台座は、単数でも良いが、複数が好ましい。さらに、台座部は、伸長容易部や非伸長容易部よりも幅広に形成したり、肉厚に形成することができる。この台座部は、非伸長容易部に別体のエラストマー板として形成することができるし、非伸長容易部を肉厚にして一体化することもできる。
【0014】
本発明によれば、牛の尻尾にセンサモジュールを取り付けたい場合には、略網目構造の弾性被覆帯にセンサモジュールを保持させ、牛の尻尾の少なくとも臀端に近接する尾根部の腹側にセンサモジュールを接触させて位置決めし、尻尾の尾根部等に弾性被覆帯を巻き付けて固定すれば、尻尾にセンサモジュールを押し付けて取り付けることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、牛の尻尾の炎症等を防ぐことができ、センサモジュールが位置ずれしたり、脱落するのを防止することができるという効果がある。また、牛の尻尾に対するセンサモジュールの取り外し、取付作業を容易にすることができる。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、弾性被覆帯のセンサモジュール用の収容部を省略することができるので、弾性被覆帯の構成の簡素化を図ることができる。
請求項3記載の発明によれば、弾性被覆帯を、エラストマーと強化繊維とを含有した材料により形成するので、弾性被覆帯の強度を向上させたり、牛の尻尾に対し、弾性被覆帯を滑りにくくすることができる。
請求項4記載の発明によれば、牛の尻尾の尾根部に突起が刺さるので、例え牛の尻尾が徐々に細くなる形でも、弾性被覆帯が尻尾の径に応じて伸縮して密接し、弾性被覆帯が容易に脱落することがない。
【0017】
請求項5記載の発明によれば、区画線部を伸縮の容易な伸長容易部とし、交差部を伸縮の少ない非伸長容易部とするので、弾性被覆帯の非伸長容易部以外を容易に伸縮させることが可能となる。
請求項6記載の発明によれば、弾性被覆帯に、センサモジュール用のポケットを形成するので、牛の尻尾からセンサモジュールが位置ずれしたり、脱落するのを防止することが可能となる。
【0018】
請求項7記載の発明によれば、弾性被覆帯の牛の尻尾に対向する非伸長容易部に突起を形成するので、牛の尻尾から突起が離れにくくなり、牛の尻尾に突起を持続的に接触させることが可能となる。
請求項8記載の発明によれば、伸長容易部の伸長に拘わらず、牛の尻尾方向に突き出た台座部により、牛の尻尾に圧力を持続的に加えることが可能となる。また、牛の尻尾に台座部の突起を持続的に接触させ、台座部の突起の滑り止め機能を向上させることができる。
【0019】
請求項9記載の発明によれば、突起が一種類に限定されることがなく、突起の多種多様化が期待できる。
請求項10記載の発明によれば、締結具が略U字形なので、弾性被覆帯の巻かれて重なった両端部の位置ずれを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係る家畜用センサモジュール取付具の実施形態における牛を模式的に示す全体説明図である。
【
図2】本発明に係る家畜用センサモジュール取付具の実施形態における牛の尻尾を模式的に示す拡大説明図である。
【
図3】本発明に係る家畜用センサモジュール取付具の実施形態における弾性被覆帯を模式的に示す平面説明図である。
【
図4】本発明に係る家畜用センサモジュール取付具の実施形態における弾性被覆帯を模式的に示す正面説明図である。
【
図5】本発明に係る家畜用センサモジュール取付具の実施形態における弾性被覆帯を模式的に示す断面説明図である。
【
図6】本発明に係る家畜用センサモジュール取付具の実施形態における弾性被覆帯を模式的に示す裏面説明図である。
【
図7】本発明に係る家畜用センサモジュール取付具の実施形態における弾性被覆帯の一部と複数の突起を模式的に示す要部斜視図である。
【
図8】本発明に係る家畜用センサモジュール取付具の第2の実施形態における弾性被覆帯を模式的に示す裏面説明図である。
【
図9】本発明に係る家畜用センサモジュール取付具の第2の実施形態における弾性被覆帯のポケット付近を模式的に示す裏面説明図である。
【
図10】本発明に係る家畜用センサモジュール取付具の第2の実施形態における弾性被覆帯の斜線部、交差部、台座部、及び突起を模式的に示す説明図である。
【
図11】本発明に係る家畜用センサモジュール取付具の第3の実施形態における弾性被覆帯を模式的に示す平面説明図である。
【
図12】本発明に係る家畜用センサモジュール取付具の第3の実施形態における弾性被覆帯を模式的に示す正面説明図である。
【
図13】本発明に係る家畜用センサモジュール取付具の第3の実施形態における弾性被覆帯を模式的に示す断面説明図である。
【
図14】本発明に係る家畜用センサモジュール取付具の第3の実施形態における弾性被覆帯を模式的に示す裏面説明図である。
【
図15】本発明に係る家畜用センサモジュール取付具の第3の実施形態における弾性被覆帯の台座部と複数の突起を模式的に示す斜視説明図である。
【
図16】本発明に係る家畜用センサモジュール取付具の第4の実施形態における弾性被覆帯の台座部と複数の突起を模式的に示す斜視説明図である。
【
図17】本発明に係る家畜用センサモジュール取付具の第5の実施形態における弾性被覆帯の台座部と複数の突起を模式的に示す図で、(a)図は断面側面図、(b)図は平面図、(c)図は正面図である。
【
図18】本発明に係る家畜用センサモジュール取付具の第6の実施形態における弾性被覆帯の台座部と複数の突起を模式的に示す図で、(a)図は断面側面図、(b)図は平面図である。
【
図19】本発明に係る家畜用センサモジュール取付具の第7の実施形態における弾性被覆帯の台座部と複数の突起を模式的に示す図で、(a)図は断面側面図、(b)図は平面図、(c)図は正面図である。
【
図20】本発明に係る家畜用センサモジュール取付具の第8の実施形態における突起の変形例を模式的に示す図で、(a)図は断面略U字形の突起を示す断面図、(b)図は断面略J字形の突起を示す断面図、(c)図は断面略鋸歯形の突起を示す断面図、(d)図は断面略円錐形の突起を示す断面図、(e)図は断面略角錐形の突起を示す断面図、(f)図は中空の断面略楕球形の突起を示す断面図である。
【
図21】本発明に係る家畜用センサモジュール取付具の第9の実施形態を模式的に示す表面側の斜視説明図である。
【
図22】本発明に係る家畜用センサモジュール取付具の第9の実施形態を模式的に示す裏面側の斜視説明図である。
【
図23】本発明に係る家畜用センサモジュール取付具の第9の実施形態における巻かれた弾性被覆帯を模式的に示す表面側の斜視説明図である。
【
図24】本発明に係る家畜用センサモジュール取付具の第9の実施形態における巻かれた弾性被覆帯を模式的に示す裏面側の斜視説明図である。
【
図25】本発明に係る家畜用センサモジュール取付具の第9の実施形態におけるセンサモジュールを模式的に示す表面側の斜視説明図である。
【
図26】本発明に係る家畜用センサモジュール取付具の第9の実施形態におけるセンサモジュールを模式的に示す裏面側の斜視説明図である。
【
図27】本発明に係る家畜用センサモジュール取付具の第10の実施形態を模式的に示す図で、(a)図は締結具を示す側面図、(b)図は弾性被覆帯の端部と締結具を示す説明図である。
【
図28】本発明に係る家畜用センサモジュール取付具の第11の実施形態を模式的に示す図で、(a)図は締結具を示す側面図、(b)図は弾性被覆帯の端部と締結具を示す説明図である。
【
図29】本発明に係る家畜用センサモジュール取付具の第12の実施形態を模式的に示す図で、(a)図は締結具を示す側面図、(b)図は弾性被覆帯の端部と締結具を示す説明図である。
【
図30】本発明に係る家畜用センサモジュール取付具の第12の実施形態における締結具と開放した挟持片を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態を説明すると、本実施形態における家畜用センサモジュール取付具は、
図1ないし
図7に示すように、家畜である牛1に、生体データ計測用のセンサモジュール10を取り付けるための取付具であり、センサモジュール10を保持して牛1の尻尾2に取り付けられる伸縮性の弾性被覆帯20を有し、この弾性被覆帯20を少なくともエラストマー含有の材料により網目構造に形成してその牛1の尻尾2に対向する対向面に、牛1の尻尾2に接触する複数の突起27を形成することにより、国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)の目標9の達成に貢献する。
【0022】
牛1は、
図1に示すように、子牛でも成牛でも良いが、健康状態等を長期に亘って管理したい場合には、子牛が良い。この牛1は、細長い尻尾2の腹側(
図1の下側、裏側)、具体的には、尻尾2の臀端に近い尾根部3の毛の少ない腹側(裏側)に、センサモジュール10が所定の圧力で密接される。尻尾2は、
図1や
図2に示すように、例えば牛1が標準形の和牛の場合、牛1の臀端に近接する尾根部3と、この尾根部3に隣接する勾配部4と、この勾配部4から細長く伸びる中間部5と、この中間部5の先端に形成される先端部6とを備え、勾配部4が急激に細くなる。
【0023】
尾根部3から勾配部4に亘る領域は、毛の少ない腹側(
図2の左側)の伸縮が小さく、毛で覆われた外側が大きく伸縮するという特徴を有する。尾根部3の腹側は、センサモジュール10の密接の対象となるが、これは毛が少ないので、牛1の体表温を高精度、かつ安定して測定することができるからである。加えて、牛1の尻尾2は、馬の尻尾2ほど丈夫ではないので、毛で覆われた先端部6が雑に扱われると、千切れるおそれがあるからである。また、勾配部4の周長は、例えば尾根部3の周長が240mm前後の場合には、140mm前後が一般的である。中間部5の周長は、例えば尾根部3の周長が240mm前後の場合には、一般的には120mm前後である。
【0024】
センサモジュール10は、光透過性を有する小型の薄い収納ボックス11を備え、この収納ボックス11に、牛1の生体データである体表温を連続して測定して検出する体温センサ、この体温センサの検出した検出信号を受信装置や中継装置を介してインターネットのクラウドシステムに送信する通信回路、これら体温センサと通信回路とを制御する制御回路、及び体温センサ・通信回路・制御回路に所定の期間電力を給電する電源が少なくとも内蔵されており、弾性被覆帯20に保持される(
図1、
図3参照)。
【0025】
体温センサが採用されるのは、牛1の健康状態の管理や病変を発見するには、牛1の生体データのうち、体表温が最も重要となるからである。また、電源の容量は、センサモジュール10の交換期間やメンテナンス期間に応じて選択される。このようなセンサモジュール10で牛1の体表温がインターネットのクラウドシステムに常時送信されれば、専用のコンピュータ機器や携帯端末により、牛1の健康管理、受胎適正期の判別、分娩時期の予知精度の向上、子牛の病変の早期発見等が大いに期待できる。
【0026】
弾性被覆帯20は、
図3ないし
図6に示すように、少なくともエラストマー含有の材料により、170mm以上×40mm以下、好ましくは176mm×36mm程度の大きさを有する可撓性の帯形に成形されるとともに、複数の網目21を有する網目構造に形成され、摩擦係数が0.3以上、好ましくは0.5以上、より好ましくは1.0以上に設定されており、牛1の尻尾2の尾根部3及び勾配部4付近に着脱自在に巻着される。この弾性被覆帯20を成形する材料は、弾性被覆帯20の位置ずれを防止する観点から、全体が均質で摩擦力に優れる熱可塑性エラストマー又は熱硬化性エラストマーが選択され、必要に応じて強化繊維が添加される。
【0027】
熱可塑性エラストマーとしては、静摩擦係数が0.3以上、好ましくは0.5以上、より好ましくは1.0以上の滑りにくい柔軟な軟質のウレタンゴムやポリウレタン樹脂等があげられる。これに対し、熱硬化性エラストマーとしては、静摩擦係数が0.3以上、好ましくは0.5以上、より好ましくは1.0以上で、撥水性、耐候性、耐寒性等に優れるシリコーンゴム等があげられる。強化繊維としては、特に限定されるものではないが、例えば弾性被覆帯20の強度や摩擦係数を向上させるガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維等があげられる。
【0028】
弾性被覆帯20は、
図3、
図6、
図7に示すように、複数の網目21がXY方向に隣接して並ぶ横長の網目構造に形成され、中央部付近にセンサモジュール10用のポケット22が底の浅い断面略U字形に一体形成されており、このポケット22に、尻尾2の尾根部3腹側に密接するセンサモジュール10が着脱自在に嵌入して位置決め保持される。複数の網目21は、その大部分がそれぞれ中空の菱形に形成され、僅かな一部がそれぞれ中空の三角形に形成される。
【0029】
各網目21は、複数の斜線部23に包囲して区画形成され、この複数の斜線部23が交差して複数の交差部24を形成しており、各交差部24が隣接する網目21と網目21の角間に位置して斜線部23の幅以上、好ましくは斜線部23の幅よりも幅広に形成される。このような斜線部23と交差部24は、斜線部23が相対的に伸縮の容易な伸長容易部25とされ、交差部24が伸縮の容易ではない非伸長容易部26とされる。
【0030】
弾性被覆帯20の厚さは、特に限定されるものではないが、長期に亘る耐久性等を考慮すると、1mm以上6mm以下、好ましくは2mm以上5mm以下が良い。この弾性被覆帯20の厚さは、全体が均一でも良いが、伸長容易部25の伸縮性を高めたい場合には、斜線部23が薄肉に形成され、交差部24が相対的に厚肉に形成されても良い。例えば、斜線部23の厚さが2mmの場合、交差部24の厚さは、2.5mmや3mm等に形成される。
【0031】
各突起27は、
図7に示すように、狗尾草(えのころぐさ)、換言すれば、先細りの円錐形に形成され、弾性被覆帯20の尻尾2に対向する複数の交差部24における対向面、換言すれば、複数の非伸長容易部26における対向面にそれぞれ60°の角度で傾斜して一体化されており、尻尾2の尾根部3や勾配部4に突き刺さる。突起27は、伸縮しにくい非伸長容易部26の対向面に形成されることにより、尻尾2の尾根部3や勾配部4から離れることなく、尻尾2に持続的に突き刺さり、弾性被覆帯20の滑り止めとして機能する。
【0032】
このような弾性被覆帯20は、網目21を区画する複数の斜線部23がバイアス構造を構成するので、圧縮力や伸長力が作用した場合、伸縮して歪を分散し、位置ずれを有効に防止することができる。
【0033】
上記構成において、牛1の尻尾2にセンサモジュール10を取り付けたい場合には、可撓性の弾性被覆帯20のポケット22にセンサモジュール10を嵌入し、尻尾2の尾根部3の腹側にセンサモジュール10を接触させて位置合わせし、尻尾2の尾根部3及び勾配部4付近に弾性被覆帯20を曲げながら巻き付けるとともに、この弾性被覆帯20の左右両端部をバンド等の締結具で締結し、その後、尾根部3の腹側にセンサモジュール10を再度位置合わせして最終的に位置決めすれば、尻尾2にセンサモジュール10を押し付けて取り付け、牛1の健康状態を管理することができる。
【0034】
牛1を管理する場合、牛1が頻繁に尻尾2を振っても、滑りにくいエラストマー製で軽量の弾性被覆帯20が尻尾2に追従するので、センサモジュール10や弾性被覆帯20の位置ずれが少なく、牛1の体表温を安定して得ることができ、牛1の発熱等を早期に発見することができる。また、センサモジュール10が尻尾2の尾根部3と弾性被覆帯20との間に介在され、弾性被覆帯20から外部に露出しないので、牛1の糞尿による汚染が減少する。
【0035】
上記構成によれば、弾性被覆帯20が伸縮性や弾性を有し、しかも、尻尾2の尾根部3や勾配部4に複数の突起27が刺さるので、例え牛1の尻尾2が徐々に細くなる円錐形でも、弾性被覆帯20が尻尾2の径に応じて伸縮して密接し、弾性被覆帯20が容易に脱落することがない。また、尻尾2にセンサモジュール10の収納ボックス11が密接しても、収納ボックス11が強く圧接されることがないので、センサモジュール10を非侵襲的に装着することができ、尻尾2の皮膚に炎症が発生するおそれを有効に排除することができる。また、弾性被覆帯20を緩く巻く必要がないので、例え牛1が尻尾2を振ったり、成長しても、センサモジュール10が弾性被覆帯20から抜け、センサモジュール10が簡単に位置ずれしたり、脱落するのを有効に防止することができる。
【0036】
また、弾性被覆帯20が単なる帯ではなく、網目構造の帯なので、優れた伸縮性や変形性、自由度を得ることができる。特に、弾性被覆帯20の斜線部23を伸長容易部25とし、交差部24を非伸長容易部26とすれば、伸縮性や変形性を大幅に向上させることができる。したがって、牛1の成長に伴い、尻尾2を被覆する弾性被覆帯20が伸びて順応するので、牛1の尻尾2からセンサモジュール10を取り外した後、再度取り付ける作業を大幅に減少させることが可能である。この効果は、将来、畜産農家の作業従事者の減少が予想されるので、非常に有意義である。また、弾性被覆帯20の厚さが1mm以上6mm以下なので、強度を維持して長期に亘る耐久性を確保することが可能となる。
【0037】
また、弾性被覆帯20が両端部のみ開口した筒形構造ではなく、中空部分の多い網目構造なので、弾性被覆帯20の通気性が向上し、尻尾2の尾根部3及び勾配部4付近が蒸れて疾病の原因となるのを有効に防止することが可能となる。また、牛1の受胎率の低下と分娩間隔の延長は、生産性を阻害するため、従来より大きな問題となっているが、本実施形態によれば、発情が見つけられない牛1でも、授精の適期を判定することができる。さらに、事前に分娩を予知することができ、人工授精実施率や受胎率が向上したり、事故のない安全な分娩の増加が期待できる。
【0038】
次に、
図8ないし
図10は本発明の第2の実施形態を示すもので、この場合には、弾性被覆帯20の牛1の尻尾2に対向する複数の非伸長容易部26を台座部28にそれぞれ突出形成し、各台座部28に、連続した複数の突起27を一体形成するようにしている。
【0039】
各台座部28は、伸長容易部25の対向面よりも高く形成され、尻尾2の尾根部3や勾配部4に圧力を持続的に加える作用部として機能する。また、複数の突起27は、尻尾2の尾根部3や勾配部4に対向する台座部28の対向面に並べて一体形成され、垂直に起立して尻尾2の尾根部3や勾配部4に密接する。各突起27は、例えば先細りの角錐形に形成され、尻尾2に持続的に密接し、面接触部分を減少させて弾性被覆帯20の滑り止めとして機能する。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0040】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、台座部28が伸長容易部25よりも高位に位置するので、尻尾2に突起27を持続的に密接し、突起27の滑り止め機能を向上させることができるのは明らかである。
【0041】
次に、
図11ないし
図15は本発明の第3の実施形態を示すもので、この場合には、弾性被覆帯20の牛1の尻尾2に対向する複数の非伸長容易部26に肉厚の台座部28をそれぞれ一体形成し、各台座部28を平面略楕円形に形成してその対向面に複数の突起27を傾けて配列形成するようにしている。
【0042】
台座部28は、牛1の尻尾2に対向する非伸長容易部26の対向面に形成されるが、非伸長容易部26の伸縮を抑制したい場合には、必要に応じ、非伸長容易部26の牛1の尻尾2に対向しない非対向面にも形成される。また、複数の突起27は、平面視で略菱形を描くよう配列される。各突起27は、例えば先細りの小さな角錐形に形成され、台座部28の牛1の尻尾2に対向する対向面に所定の角度(例えば、45°、60°)で傾斜して一体化されており、尻尾2の尾根部3や勾配部4に刺さって毛に絡まる。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0043】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、台座部28が非伸長容易部26よりも高位に位置するので、尻尾2の毛に複数の突起27を持続的、かつ容易に絡め、突起27の滑り止め機能を向上させることができるのは明らかである。
【0044】
次に、
図16は本発明の第4の実施形態を示すもので、この場合には、弾性被覆帯20の牛1の尻尾2に対向する複数の非伸長容易部26に肉厚の台座部28をそれぞれ一体形成し、各台座部28を平面略楕円形に形成してその対向面に複数の突起27を配列形成し、各突起27を断面略U字形に形成するようにしている。
【0045】
複数の突起27は、台座部28の長軸方向に所定のピッチでずれて配列される。各突起27は、例えば起立した断面略逆U字形に湾曲形成され、台座部28の牛1の尻尾2に対向する対向面に一体化されており、尻尾2の尾根部3や勾配部4の毛に絡まるよう機能する。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、台座部28が非伸長容易部26よりも高位に位置するので、尻尾2の毛に複数の突起27を持続的、かつ容易に絡め、突起27の滑り止め機能を向上させることができる。
【0046】
次に、
図17(a)、(b)、(c)は本発明の第5の実施形態を示すもので、この場合には、弾性被覆帯20の牛1の尻尾2に対向する複数の非伸長容易部26に肉厚の台座部28をそれぞれ一体形成し、各台座部28を平面略楕円形に形成してその対向面に多数の突起27を配列形成するようにしている。
【0047】
複数の突起27は、平面視で数字の8字を描くよう配列される。各突起27は、例えば先細りの小さな角錐形に形成され、台座部28の牛1の尻尾2に対向する対向面に垂直に起立して一体化されており、尻尾2の尾根部3や勾配部4に刺さって毛に絡まる。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、台座部28が非伸長容易部26よりも高位に位置するので、尻尾2の毛に複数の突起27を持続的に絡め、突起27の滑り止め機能を向上させることができる。
【0048】
次に、
図18(a)、(b)は本発明の第6の実施形態を示すもので、この場合には、弾性被覆帯20の牛1の尻尾2に対向する複数の非伸長容易部26に肉厚の台座部28をそれぞれ一体形成し、各台座部28を平面略楕円形に形成してその周縁部に複数の突起27を配列形成するようにしている。
【0049】
各台座部28は、尻尾2に対する追従性や変形性を向上させる観点から、中央部が平面楕円形に凹み形成され、対向面の周縁部周方向に多数の突起27が一列に並べて配列形成されており、各突起27が小さな略鋸歯形に形成される。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、台座部28や突起27の形状の多様化が大いに期待できる。
【0050】
次に、
図19(a)、(b)、(c)は本発明の第7の実施形態を示すもので、この場合には、弾性被覆帯20の牛1の尻尾2に対向する複数の非伸長容易部26に肉厚の台座部28をそれぞれ一体形成し、各台座部28を平面略楕円形に形成してその対向面の長軸方向に複数本の溝を並べて形成することにより、台座部28の対向面短軸方向に細長い複数の突起27を並べて配列形成して各突起27を先細りの細い断面三角形に形成するようにしている。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0051】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、台座部28や突起27の形状の多様化に資することができる。また、突起27が先細りの細い断面三角形なので、尻尾2の毛に簡単に絡めることができる。
【0052】
次に、
図20(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)は本発明の第8の実施形態を示すもので、この場合には、弾性被覆帯20の突起27を、断面略U字形、断面略J字形(鉤爪形)、断面略鋸歯形、断面略円錐形、断面略角錐形、及び中空の断面略楕球形の少なくとも何れかとし、必要に応じ、これらを組み合わせるようにしている。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、突起27の形状の多様化に資することが可能となる。
【0053】
次に、
図21ないし
図26は本発明の第9の実施形態を示すもので、この場合には、センサモジュール10を四角い薄い箱型とし、このセンサモジュール10のケース11の表裏両面に保護シート12をそれぞれ貼着し、センサモジュール10の牛1の尻尾2の尾根部3の腹側に密接しない裏面の保護シート12に、弾性被覆帯20の網目21に嵌合係止する複数の係止部13を突出形成するようにしている。
【0054】
各保護シート12は、特に限定されるものではないが、例えばウレタンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、延伸ポリプロピレン樹脂フィルム、二軸延伸ポリスチレン樹脂フィルム等があげられる。また、各係止部13は、保護シート12から突出して弾性被覆帯20の網目21を貫通する突出片の自由端部に平面略菱形に一体形成され、網目21の周縁部に係止してセンサモジュール10の脱落を防止するよう機能する。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0055】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、弾性被覆帯20の網目21を利用してセンサモジュール10を保持させるので、弾性被覆帯20のポケット22を省略することができ、弾性被覆帯20の構成の簡素化を図ることが可能となる。また、弾性被覆帯20の中央部以外の部分にセンサモジュール10を自由に保持させたり、弾性被覆帯20に多様な形のセンサモジュール10を容易に保持させることが可能となる。
【0056】
次に、
図27(a)、(b)は本発明の第10の実施形態を示すもので、この場合には、弾性被覆帯20の巻かれて重なった左右両端部を締結する専用の締結具30を備え、この締結具30を、弾性被覆帯20の巻かれて重なった左右両端部に嵌合される浅底の略U字形に屈曲形成し、締結具30の長辺内面には、弾性被覆帯20の重なった左右両端部の網目21を貫通する複数(例えば、3本等)のボルト31を間隔をおいて突出形成し、各ボルト31の重なった左右両端部の網目21を貫通した先端部に固定用のナット32を着脱自在に螺嵌するようにしている。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0057】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、締結具30が略U字形なので、弾性被覆帯20の巻かれて重なった左右両端部の位置ずれを防止することができる。
【0058】
次に、
図28(a)、(b)は本発明の第11の実施形態を示すもので、この場合には、弾性被覆帯20の巻かれて重なった左右両端部を締結する専用の締結具30を備え、この締結具30を、弾性被覆帯20の巻かれて重なった左右両端部に嵌合される浅底の略U字形に屈曲形成し、締結具30の長辺内面に、弾性被覆帯20の重なった左右両端部の網目21を貫通する複数(例えば、3本等)の係止軸33を間隔をおいて突出形成し、各係止軸33を細長い茸形に形成するとともに、係止軸33の重なった左右両端部の網目21を貫通した拡径の先端部に固定用の固定片34を着脱自在に嵌入するようにしている。
【0059】
固定片34は、例えばポリプロピレン樹脂等を用いて薄板に成形され、係止軸33の拡径の先端部用の貫通孔が穿孔される。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、締結具30が略U字形なので、弾性被覆帯20の巻かれて重なった左右両端部の位置ずれを有効に防止することができる。また、締結具30や係止軸33の材質を合成樹脂に変更して軽量化やコスト削減を図ることができる。
【0060】
次に、
図29(a)、(b)と
図30は本発明の第12の実施形態を示すもので、この場合には、弾性被覆帯20の巻かれて重なった左右両端部を締結する専用の締結具30を備え、この締結具30を、弾性被覆帯20の巻かれて重なった左右両端部に嵌合される浅底の略U字形に屈曲形成し、締結具30の長辺内面に、弾性被覆帯20の重なった左右両端部の網目21を貫通する複数(例えば、3本等)の係止軸33を間隔をおいて突出形成し、締結具30の一方の屈曲短辺に、係止軸33の重なった左右両端部の網目21を貫通した先端部用の挟持片35を揺動自在に軸支させるようにしている。
【0061】
挟持片35は、細長い浅底の略U字形(溝形)に屈曲形成され、複数の係止軸33の先端部に貫通される固定孔36が一列に並べて穿孔されており、締結具30の他方の屈曲短辺に着脱自在に係着される。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、締結具30が略U字形なので、弾性被覆帯20の左右両端部の位置ずれを防止することができる。また、相対向する締結具30と挟持片35とが弾性被覆帯20の重なった左右両端部を挟持するので、締結具30が外れて弾性被覆帯20が位置ずれするのを防止することができる。
【0062】
なお、上記実施形態における牛1は、乳牛や肉牛でも良い。また、上記実施形態では弾性被覆帯20のポケット22にセンサモジュール10を着脱自在に嵌入したが、何らこれに限定されるものではなく、嵌入して粘着しても良いし、嵌入して接着固定しても良い。また、係止部13は、楕円形や多角形等に形成しても良い。また、弾性被覆帯20のポケット22に防水性や防塵性を付与しても良い。また、台座部28は、平面円形でも良いし、多角形等とすることもできる。また、一対の保護シート12を省略したり、センサモジュール10の牛1の尻尾2の尾根部3の腹側に密接しない裏面に複数の係止部13を直接形成することもできる。さらに、締結具30を上記第1~第9の実施形態に適宜利用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明に係る家畜用センサモジュール取付具は、少なくとも牧畜業や酪農業の分野で使用される。
【符号の説明】
【0064】
1 牛(家畜)
2 尻尾
3 尾根部
4 勾配部
5 中間部
6 先端部
10 センサモジュール
12 保護シート
13 係止部
20 弾性被覆帯
21 網目
22 ポケット
23 斜線部(区画線部)
24 交差部
25 伸長容易部
26 非伸長容易部
27 突起
28 台座部
30 締結具
31 ボルト(係止軸)
32 ナット
33 係止軸
34 固定片
35 挟持片
36 固定孔