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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083733
(43)【公開日】2023-06-16
(54)【発明の名称】環境防災機器装着具及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A01G 23/00 20060101AFI20230609BHJP
   A01G 7/00 20060101ALI20230609BHJP
【FI】
A01G23/00 551Z
A01G7/00 603
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021197599
(22)【出願日】2021-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】503086961
【氏名又は名称】株式会社ジオ
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【弁理士】
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】大木 恒雄
(72)【発明者】
【氏名】小森 敦
(72)【発明者】
【氏名】中井 利匡
(72)【発明者】
【氏名】扇谷 諭
(72)【発明者】
【氏名】井澤 正
(72)【発明者】
【氏名】山本 綾子
(57)【要約】
【課題】被巻装直立体の損傷を防止でき、環境防災機器が位置ずれするのを防止したり、環境防災機器の取付位置を容易に変更できる環境防災機器装着具及びその使用方法を提供する。
【解決手段】樹木1に巻き付けられて環境センサ10を保持する弾性被覆帯20と、弾性被覆帯20用の締結具とを備え、弾性被覆帯20は、エラストマー含有の材料により形成された伸縮自在の網目構造部21と、網目構造部21の両端部分からそれぞれ屈曲可能に突き出た複数の係止部とを含み、締結具は、中空のブロックと、ブロックにコイルバネを介して嵌入される締結子とを含み、ブロックの周壁の対向部に、複数の係止部挿入用の連通口を穿孔するとともに、ブロックの表面に、締結子用の嵌入口を穿孔し、締結子の周壁には、ブロックの連通口に連通する複数の係止部挿入用の貫通口を穿孔する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被巻装直立体に巻き付けられて環境防災機器を保持する弾性被覆帯と、この弾性被覆帯用の締結具とを備えた環境防災機器装着具であって、
弾性被覆帯は、少なくともエラストマー含有の材料により形成された伸縮自在の網目構造部と、この網目構造部の両端部分からそれぞれ屈曲可能に突き出た複数の係止部とを含み、
締結具は、中空のブロックと、このブロックにバネ部材を介して嵌め入れられる締結子とを含み、ブロックの周壁に、弾性被覆帯の複数の係止部挿入用の連通口を設けるとともに、ブロックの表裏いずれかの面に、締結子用の嵌入口を設け、締結子には、ブロックの連通口に連通する弾性被覆帯の複数の係止部挿入用の貫通口を設けたことを特徴とする環境防災機器装着具。
【請求項2】
被巻装直立体を樹木とし、環境防災機器を、環境センサとビーコンの少なくともいずれか一方とした請求項1記載の環境防災機器装着具。
【請求項3】
被巻装直立体と弾性被覆帯の網目構造部との間に環境防災機器を介在させるようにした請求項1又は2記載の環境防災機器装着具。
【請求項4】
請求項1、2、又は3記載に記載の環境防災機器装着具の使用方法であって、弾性被覆帯の網目構造部に環境防災機器を保持させ、被巻装直立体に弾性被覆帯を巻き付けてその両端部分の複数の係止部を締結具のブロックの連通口と締結子の貫通口とにそれぞれ挿入することを特徴とする環境防災機器装着具の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹木等の被巻装直立体に使用される環境防災機器装着具及びその使用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
都市の緑地や森林において、樹木の育つ環境条件を調べたり、樹木の活力度を判定したり、暑さ対策を施すため、樹木の温度や湿度等を測定(特許文献1参照)する場合には、環境センサが使用される。この環境センサは、図示しないが、樹木に専用の釘やボルトが打ち込まれることにより装着される。また、専用の釘やボルトを使用しないときには、環境センサに金属帯を挿通し、この金属帯を樹木に巻き付けて緊締することにより装着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平04‐341122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来における環境センサは、以上のように構成され、樹木に専用の釘やボルトが打ち込まれることにより装着されるので、釘やボルトの錆びで樹木が傷んで活力度が失われてしまうという問題がある。これに対し、金属帯を樹木に巻き付けて緊締することで装着される場合には、樹木の損傷を防止することができるものの、金属帯の緊締の度合い等により、環境センサが簡単に位置ずれして樹木の温度や湿度等の測定に支障を来すという大きな問題が新たに生じる。また、樹木の種類や高さ、生育条件(日向日陰)により、樹木の温度が異なるのに鑑み、環境センサの測定箇所を変更しようとしても、金属帯のきつい緊締により、自由に変更するのは困難である。
【0005】
本発明は上記に鑑みなされたもので、被巻装直立体の損傷を防止することができ、しかも、環境防災機器が位置ずれするのを防止したり、環境防災機器の取付位置を容易に変更することのできる環境防災機器装着具及びその使用方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明においては上記課題を解決するため、被巻装直立体に巻き付けられて環境防災機器を保持する弾性被覆帯と、この弾性被覆帯用の締結具とを備えたものであって、
弾性被覆帯は、少なくともエラストマー含有の材料により形成された伸縮自在の網目構造部と、この網目構造部の両端部分からそれぞれ屈曲可能に突き出た複数の係止部とを含み、
締結具は、中空のブロックと、このブロックにバネ部材を介して嵌め入れられる締結子とを含み、ブロックの周壁に、弾性被覆帯の複数の係止部挿入用の連通口を設けるとともに、ブロックの表裏いずれかの面に、締結子用の嵌入口を設け、締結子には、ブロックの連通口に連通する弾性被覆帯の複数の係止部挿入用の貫通口を設けたことを特徴としている。
【0007】
なお、被巻装直立体を樹木とし、環境防災機器を、環境センサとビーコンの少なくともいずれか一方とすることができる。
また、被巻装直立体と弾性被覆帯の網目構造部との間に環境防災機器を介在させることができる。
【0008】
また、本発明においては上記課題を解決するため、請求項1、2、又は3記載に記載の環境防災機器装着具の使用方法であって、
弾性被覆帯の網目構造部に環境防災機器を保持させ、被巻装直立体に弾性被覆帯を巻き付けてその両端部分の複数の係止部を締結具のブロックの連通口と締結子の貫通口とにそれぞれ挿入することを特徴としている。
【0009】
ここで、特許請求の範囲における被巻装直立体は、弾性被覆帯を巻き付けることが可能な直立体で、少なくとも各種の樹木、杭、柱、支柱、棒、標木等が含まれる。被巻装直立体が樹木の場合には、成木、広葉樹、天然木、高木、落葉樹、広葉樹、花木、果樹、緑樹、針葉樹、鉢植えの木等が含まれる。この被巻装直立体は、完全に直立していても良いし、傾斜していても良い。
【0010】
環境防災機器と取付具とは、これらを重ねて弾性被覆帯に共通の締結ビス等で位置決めして取り付けることができる。また、環境防災機器が環境センサの場合、温度、湿度、UV、気圧、PM2.5等のうち、少なくとも温度を測定して検出するセンサであるのが好ましい。弾性被覆帯には、必要数の環境防災機器を保持させることができる。さらに、バネ部材には、少なくとも必要数の板バネやコイルバネ等が含まれる。
【0011】
本発明によれば、環境防災機器を使用する場合には、弾性被覆帯の網目構造部に環境防災機器を保持させ、被巻装直立体に弾性被覆帯を巻き付けてその一端部分の複数の係止部を締結具のブロックの連通口と締結子の貫通口とにそれぞれ挿入し、他端部分の複数の係止部を締結具のブロックの連通口と締結子の貫通口とにそれぞれ挿入すれば、被巻装直立体に環境防災機器を装着して使用することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、被巻装直立体の損傷を有効に防止することができるという効果がある。また、環境防災機器が位置ずれするのを防止したり、環境防災機器の取付位置を容易に変更することができるという効果がある。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、環境防災機器が環境センサの場合には、例えば樹木の表面温度等を測定して樹木の育つ環境条件を調査したり、樹木の活力度を判定することができる。また、環境防災機器がビーコンの場合には、樹木の位置情報を検出し、この位置情報の変化により、地滑りや土砂崩れ等の災害を予測して防災に資することができる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、弾性被覆帯の網目構造部に環境防災機器を複数の締結ビス等により敢えて取り付けて保持させる必要がないので、部品点数を削減したり、作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る環境防災機器装着具の実施形態を模式的に示す正面説明図である。
図2】本発明に係る環境防災機器装着具の実施形態を模式的に示す側面説明図である。
図3】本発明に係る環境防災機器装着具の実施形態における弾性被覆帯の展開状態を模式的に示す表面説明図である。
図4】本発明に係る環境防災機器装着具の実施形態における弾性被覆帯の展開状態を模式的に示す裏面説明図である。
図5】本発明に係る環境防災機器装着具の実施形態における締結具を模式的に示す斜視説明図である。
図6】本発明に係る環境防災機器装着具の実施形態における締結具の周壁を模式的に示す斜視説明図である。
図7】本発明に係る環境防災機器装着具の実施形態における締結具を模式的に示す分解斜視図である。
図8】本発明に係る環境防災機器装着具の第2の実施形態を模式的に示す正面説明図である。
図9】本発明に係る環境防災機器装着具の第2の実施形態を模式的に示す斜視説明図である。
図10】本発明に係る環境防災機器装着具の第2の実施形態における弾性被覆帯の展開状態を模式的に示す表面説明図である。
図11】本発明に係る環境防災機器装着具の第2の実施形態における弾性被覆帯の展開状態を模式的に示す裏面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態を説明すると、本実施形態における環境防災機器装着具は、図1ないし図7に示すように、被巻装直立体である樹木1に巻き付けられて環境センサ10を保持する弾性被覆帯20と、弾性被覆帯20用の複数の締結具30とを備えた装着具であり、国連サミットで採択されたSDGs(国連の持続可能な開発のための国際目標であり、17のグローバル目標と169のターゲット(達成基準)からなる持続可能な開発目標)の目標9の達成に貢献する。
【0017】
樹木1は、図1図2に示すように、例えば都市の緑地の成木からなり、幹の上部表面、中央部表面、又は下部表面等に環境センサ10が弾性被覆帯20を介して接触する。
【0018】
環境センサ10は、図1ないし図4に示すように、例えば小型のケース11に、樹木1の幹の表面温度を連続して測定して検出する温度センサ、この温度センサの検出した検出信号を受信装置や中継装置を介してインターネットのクラウドシステムに送信する通信回路、これら温度センサと通信回路とを制御する制御回路、及び温度センサ・通信回路・制御回路に所定の期間電力を給電する電源が少なくとも内蔵され、任意の取付具12に重ねて収容可能とされており、ケース11又は取付具12が弾性被覆帯20の表面側に保持される。
【0019】
環境センサ10は、市販されているセンサ、例えばオムロン株式会社製、株式会社セネコム製、センシリオン株式会社製のセンサ等が使用されるのが好ましい。この環境センサ10の電源の容量は、環境センサ10の交換期間やメンテナンス期間に応じて選択される。このような環境センサ10により、樹木1の表面温度がインターネットのクラウドシステムに常時又は定期的に送信されれば、専用のコンピュータ機器や携帯端末により、樹木1の活力度を容易に判定したり、良好な暑さ対策等が大いに期待できる。
【0020】
取付具12は、耐候性や耐水性を有する治具であれば良いが、長期に亘る耐久性や入手の容易化を図る観点からすると、市販されている既存のケースであるのが好ましい。例えば、株式会社タカチ電機工業製のWP8‐10C〔製品名〕であるのが好ましい。この取付具12は、望ましくは、背面部における複数の取付箇所に固定用の取付孔がそれぞれ穿孔され、各取付孔を貫通する複数の締結ビス等の止め具が付属する。このような取付具12は、環境センサ10を安定した状態で収容し、この収容した状態で弾性被覆帯20の表面に複数の締結ビスを介して螺着される。
【0021】
弾性被覆帯20は、図1ないし図4に示すように、例えば少なくともエラストマー含有の材料により形成された伸縮自在の網目構造部21と、この網目構造部21の両端部分から左右横方向にそれぞれ屈曲可能に突出した複数の係止部25とを備え、570mm以上×300mm以下、好ましくは580mm×280mm程度の大きさを有する可撓性の帯形に形成され、樹木1の幹に巻着されて湾曲する。この弾性被覆帯20は、少なくともエラストマー含有の材料により成形された樹脂シートがレーザ切削加工されることで形成される。
【0022】
弾性被覆帯20を形成する樹脂シートの材料は、弾性被覆帯20の位置ずれを防止する観点から、全体が均質で摩擦力に優れる熱可塑性エラストマー又は熱硬化性エラストマーが選択され、必要に応じて強化繊維が添加される。熱可塑性エラストマーとしては、静摩擦係数が0.3以上、好ましくは0.5以上、より好ましくは1.0以上の滑りにくい柔軟な軟質のウレタンゴムやポリウレタン樹脂等があげられる。
【0023】
これに対し、熱硬化性エラストマーとしては、静摩擦係数が0.3以上、好ましくは0.5以上、より好ましくは1.0以上で、撥水性、耐候性、耐寒性等に優れる硬度30°以上のシリコーンゴム等があげられる。また、強化繊維としては、特に限定されるものではないが、例えば弾性被覆帯20の強度や摩擦係数を向上させるガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維等があげられる。
【0024】
樹脂シートの厚さは、特に限定されるものではないが、弾性被覆帯20の長期に亘る耐久性等を考慮すると、1mm以上6mm以下、好ましくは1.5mm以上5mm以下、より好ましくは2mm前後が良い。この樹脂シートの厚さ設定に伴い、弾性被覆帯20の厚さは、1mm以上6mm以下、好ましくは1.5mm以上5mm以下、より好ましくは2mm前後とされる。
【0025】
弾性被覆帯20の網目構造部21は、複数の網目22がXY方向に隣接して並ぶことで形成され、各網目22が中空の菱形に形成されており、各網目22を区画する複数の斜線部23がバイアス構造を形成する。このような網目構造部21は、網目22を区画する複数の斜線部23がバイアス構造を構成するので、圧縮力や伸長力が作用した場合、伸縮して歪を分散し、位置ずれを有効に防止する。
【0026】
複数(本実施形態では4本)の係止部25は、網目構造部21の両端部分からそれぞれ複数突出し、各係止部25が可撓性を有する紐形に形成される。網目構造部21の一端部分における複数(本実施形態では2本)の係止部25は、弾性被覆帯20の巻着時に網目構造部21の他端部分における複数(本実施形態では2本)の係止部25と相対向して重なる。
【0027】
各締結具30は、図5ないし図7に示すように、平面矩形で中空のブロック31と、このブロック31にコイルバネを介して圧入される円板形の締結子34とを備え、これらブロック31と締結子34が所定の樹脂(例えば、ポリカーボネート樹脂やポリブチレンテレフタレート樹脂等)、あるいは金属によりそれぞれ形成される。
【0028】
ブロック31は、周壁の相対する対向部に、弾性被覆帯20の複数の係止部25挿入用の連通口32が穿孔され、表面には、締結子34用の嵌入口33が平面円形に穿孔される。また、締結子34は、周壁にブロック31の連通口32に連通する貫通口35が穿孔され、この貫通口35が弾性被覆帯20の複数の係止部25挿入用に利用される。コイルバネは、ブロック31と締結子34との間に圧縮状態で介在され、ブロック31から外部に締結子34を弾圧付勢するよう機能する。この弾圧付勢機能により、ブロック31の連通口32から締結子34の貫通口35が位置ずれすることで、連通口32、貫通口35、及び連通口32に挿通された弾性被覆帯20の複数の係止部25が抜け落ちることなく拘束される。
【0029】
上記構成において、環境センサ10を使用する場合には、弾性被覆帯20の網目構造部21における斜線部23や交差部24に環境センサ10を付属の複数の締結ビスを介して螺着保持させ、環境センサ10を位置決めする。この際、網目構造部21における斜線部23や交差部24に取付具12と環境センサ10を付属の複数の締結ビスを介して螺着保持させ、取付具12に環境センサ10を位置決め収容することができる。また、網目構造部21に取付具12と環境センサ10を共通の締結ビスにより位置決めして螺着保持させることにより、部品点数を削減することができる。
【0030】
環境センサ10を位置決めしたら、樹木1の幹に弾性被覆帯20を直接巻き付けてその一端部分の複数の係止部25を締結具30のブロック31の連通口32と締結子34の貫通口35とにそれぞれ挿入し、その後、他端部分の複数の係止部25を締結具30のブロック31の連通口32と締結子34の貫通口35とにそれぞれ挿入すれば、樹木1の幹に環境センサ10を露出状態に装着して樹木1の幹の表面温度を測定・検出することができる。
【0031】
上記によれば、環境センサ10を使用するため、樹木1に専用の釘やボルトを打ち込む必要がないので、釘やボルトの錆びで樹木1が傷んで活力度が失われてしまうのを有効に防止することができる。また、締結具30のブロック31の連通口32から締結子34の貫通口35が位置ずれするので、弾性被覆帯20の複数の係止部25が抜け落ちるのを有効に防止することができる。したがって、環境センサ10が簡単に位置ずれして樹木1の温度測定に支障を来すことがない。
【0032】
また、締結具30の締結子34を強く押圧すれば、弾性被覆帯20の複数の係止部25を容易に緩めることができるので、環境センサ10の測定箇所を自由に変更することができる。また、弾性被覆帯20が単なる帯ではなく、伸縮性や弾性を有する網目構造の帯なので、優れた伸縮性や変形性、自由度を得ることが可能となる。したがって、例え樹木1が成長しても、弾性被覆帯20が樹木1の径に応じて伸縮して密接し、弾性被覆帯20が容易に脱落することがない。さらに、弾性被覆帯20が中空部分の多い網目構造なので、弾性被覆帯20の通気性向上が大いに期待できる。
【0033】
次に、図8ないし図11は本発明の第2の実施形態を示すもので、この場合には、樹木1の上下方向に弾性被覆帯20を拡大形成し、この弾性被覆帯20の裏面と樹木1の幹の表面との間に環境センサ10を介在させるようにしている。
【0034】
本実施形態において、環境センサ10を使用する場合には、樹木1の幹に環境センサ10を押し付けながら弾性被覆帯20を巻き付けてその一端部分の複数の係止部25を締結具30のブロック31の連通口32と締結子34の貫通口35とにそれぞれ挿入するとともに、他端部分の複数の係止部25を締結具30のブロック31の連通口32と締結子34の貫通口35とにそれぞれ挿入すれば、樹木1の幹に環境センサ10を装着して樹木1の幹の表面温度を測定することができる。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0035】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、弾性被覆帯20を拡大形成して樹木1との間に環境センサ10を被包し、樹木1に環境センサ10を圧接するので、弾性被覆帯20の網目構造部21に取付具12を複数の締結ビスにより特に螺着保持させる必要がない。したがって、部品点数を削減したり、作業性を向上させることができるのは明らかである。
【0036】
なお、上記実施形態の環境センサ10は、円柱形、矩形や多角形等の箱形でも良い。また、上記実施形態の取付具12は、板形でも良いし、箱形等でも良く、環境センサ10と一体化しても良い。また、上記実施形態では弾性被覆帯20を570mm以上×300mm以下の大きさとしたが、樹木1の周長に応じ、自由に変更しても良い。また、弾性被覆帯20の網目構造部21における交差部24に、樹木1の表面に刺さる突起を形成しても良い。また、弾性被覆帯20の網目22は、円形、楕円形、矩形、多角形等に形成することができる。
【0037】
また、複数の係止部25は、2本、6本、10本等に増減することができる。また、弾性被覆帯20にビーコンを保持させて防災用の位置情報を検出可能とし、樹木1の位置情報の変化により山崩れ等を予測し、周辺住民の避難に資するようにしても良い。弾性被覆帯20にビーコンを保持させる場合、樹木1の他、杭、柱、支柱、標木等に弾性被覆帯20を巻き付けることができる。さらに、弾性被覆帯20には、環境センサ10とビーコンを共に保持させることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明に係る環境防災機器装着具及びその使用方法は、農業、林業、都市整備、防災等の分野で使用される。
【符号の説明】
【0039】
1 樹木(被巻装直立体)
10 環境センサ(環境防災機器)
11 ケース
12 取付具
20 弾性被覆帯
21 網目構造部
22 網目
25 係止部
30 締結具
31 ブロック
32 連通口
33 嵌入口
34 締結子
35 貫通口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11