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特開2023-83735遮断器操作支援システム、通信端末、遮断器操作制限装置、遮断器操作支援方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083735
(43)【公開日】2023-06-16
(54)【発明の名称】遮断器操作支援システム、通信端末、遮断器操作制限装置、遮断器操作支援方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20230609BHJP
   H02B 1/14 20060101ALI20230609BHJP
【FI】
H02J13/00 M
H02B1/14 A
H02J13/00 301K
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021197601
(22)【出願日】2021-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】山内 将規
【テーマコード(参考)】
5G016
5G064
【Fターム(参考)】
5G016CF03
5G064AA01
5G064BA02
5G064BA05
5G064CA09
5G064CA10
5G064DA02
5G064DA05
(57)【要約】
【課題】電気設備の制御盤や配電盤に集中して設けられた複数の遮断器を対象とした場合や外部電源の遮断時であっても、遮断器の誤遮断/誤投入を容易且つ確実に防止すること。
【解決手段】遮断器Anに対し電池電源により動作する遮断器操作制限装置30Anを、遮断器Anに対応した識別情報Anを登録して装着する。作業端末10は、制御盤Aの作業工程に対応した作業工程確認データを表示部に表示させ、全遮断器Anの識別情報Anを含む操作ロック信号を各遮断器操作制限装置30Anに送信し、一旦全遮断器Anの開閉レバーSWの操作を制限する。作業端末10は、作業工程の工程毎に、作業内容に遮断器Anの開閉(投入/遮断)の作業がある場合、同遮断器Anの識別情報Anを含む点灯信号および操作ロック解除信号を制限装置30Anに送信し、表示灯32を点灯させて作業対象である遮断器Anを作業者Hに報知し、開閉レバーSWの制限を解除し操作可能にする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者により操作される通信端末と、前記通信端末との通信機能を備え遮断器に設けられる遮断器操作制限装置と、を含む遮断器操作支援システムであって、
前記遮断器操作制限装置は、
前記通信端末から送信される点灯信号に応じて点灯し消灯信号に応じて消灯する表示灯と、
前記遮断器の開閉レバーの動きを制限する第1位置と制限しない第2位置とに動く制限部材と、
前記通信端末から送信される制限解除信号に応じて前記制限部材を前記第1位置から前記第2位置へ動作させ、前記通信端末から送信される制限信号に応じて前記制限部材を前記第2位置から前記第1位置へ動作させるレバー制限部と、を備え、
前記通信端末は、
表示部と、
前記作業者が行なう複数の作業工程のうち、少なくとも一つの作業工程の作業内容として前記遮断器を遮断または投入する作業内容を記録した作業工程データを記憶する作業工程データ記憶部と、
前記作業工程データに記録された作業工程毎に、前記作業者により操作される確認操作部を付加した作業工程確認データを前記表示部に表示させる確認データ表示部と、
前記作業工程データに記録された作業工程毎に、前記作業内容が前記遮断器を遮断または投入する作業内容であるかを判定する作業内容判定部と、
前記作業内容判定部により前記作業内容が前記遮断器を遮断または投入する作業内容であると判定した場合に、前記遮断器操作制限装置へ点灯信号および制限解除信号を送信する制限解除信号送信部と、
前記点灯信号および制限解除信号を送信した後に、前記作業内容が前記遮断器を遮断または投入する作業内容であると判定された前記作業工程確認データの作業工程に対応する前記確認操作部が操作された場合に、前記遮断器操作制限装置へ消灯信号および制限信号を送信する制限信号送信部と、を備えた、
遮断器操作支援システム。
【請求項2】
前記遮断器操作制限装置は、複数の前記遮断器に各々設けられ、設けた遮断器の識別情報を記憶し、
前記通信端末において、
前記制限解除信号送信部は、前記作業内容判定部により前記作業内容が前記遮断器を遮断または投入する作業内容であると判定した場合に、判定した遮断器の識別情報を含む点灯信号および制限解除信号を送信し、
前記制限信号送信部は、前記点灯信号および制限解除信号を送信した後に、前記作業内容が前記遮断器を遮断または投入する作業内容であると判定された前記作業工程確認データの作業工程に対応する前記確認操作部が操作された場合に、判定した遮断器の識別情報を含む消灯信号および制限信号を送信し、
前記遮断器操作制限装置において、
前記表示灯は、前記通信端末から送信される当該遮断器操作制限装置を設けた遮断器の識別情報を含む点灯信号に応じて点灯し消灯信号に応じて消灯し、
前記レバー制限部は、前記通信端末から送信される当該遮断器操作制限装置を設けた遮断器の識別情報を含む制限解除信号に応じて前記制限部材を前記第1位置から前記第2位置へ動作させ、前記通信端末から送信される当該遮断器操作制限装置を設けた遮断器の識別情報を含む制限信号に応じて前記制限部材を前記第2位置から前記第1位置へ動作させる、
請求項1に記載の遮断器操作支援システム。
【請求項3】
前記通信端末は、
前記作業内容判定部により前記作業内容が前記遮断器を遮断または投入する作業内容であるかを判定する前に、前記制限信号を送信する全遮断器制限信号送信部を備えた、
請求項1または請求項2に記載の遮断器操作支援システム。
【請求項4】
前記通信端末は、
前記作業工程確認データの全ての作業工程に対応する前記確認操作部が操作された場合に、前記制限解除信号を送信する全遮断器制限解除信号送信部を備えた、
請求項1ないし請求項3の何れか一項に記載の遮断器操作支援システム。
【請求項5】
前記遮断器操作制限装置は、
前記遮断器に着脱自在な制限装置筐体を有し、
少なくとも、前記通信端末との通信機能と、前記表示灯と、前記レバー制限部とを動作させるための電池電源を備えた、
請求項1ないし請求項4の何れか一項に記載の遮断器操作支援システム。
【請求項6】
前記通信端末は、
前記作業者により強制停止操作が行なわれた場合または外部から異常発生信号が受信された場合、前記制限解除信号を送信する異常時制限解除信号送信部を備えた、
請求項1ないし請求項5の何れか一項に記載の遮断器操作支援システム。
【請求項7】
請求項1に記載の遮断器操作支援システムにおける通信端末。
【請求項8】
請求項1に記載の遮断器操作支援システムにおける遮断器操作制限装置。
【請求項9】
作業者により操作される通信端末と、前記通信端末との通信機能を備え遮断器に設けられる遮断器操作制限装置と、により行う遮断器操作支援方法であって、
前記遮断器操作制限装置により、
当該遮断器操作制限装置が備えた表示灯を、前記通信端末から送信される点灯信号に応じて点灯し消灯信号に応じて消灯することと、
前記遮断器の開閉レバーの動きを制限する第1位置と制限しない第2位置とに動く制限部材を、前記通信端末から送信される制限解除信号に応じて前記第1位置から前記第2位置へ動作させ、前記通信端末から送信される制限信号に応じて前記第2位置から前記第1位置へ動作させることと、を行ない、
前記通信端末により、
前記作業者が行なう複数の作業工程のうち、少なくとも一つの作業工程の作業内容として前記遮断器を遮断または投入する作業内容を記録した作業工程データを記憶することと、
前記作業工程データに記録された作業工程毎に、前記作業者により操作される確認操作部を付加した作業工程確認データを表示部に表示させることと、
前記作業工程データに記録された作業工程毎に、前記作業内容が前記遮断器を遮断または投入する作業内容であるかを判定することと、
前記作業内容が前記遮断器を遮断または投入する作業内容であると判定した場合に、前記遮断器操作制限装置へ点灯信号および制限解除信号を送信することと、
前記点灯信号および制限解除信号を送信した後に、前記作業内容が前記遮断器を遮断または投入する作業内容であると判定された前記作業工程確認データの作業工程に対応する前記確認操作部が操作された場合に、前記遮断器操作制限装置へ消灯信号および制限信号を送信することと、を行なう、
ようにした遮断器操作支援方法。
【請求項10】
作業者により操作される通信端末と、
遮断器に設けられ、前記通信端末との通信機能と、前記通信端末から送信される点灯信号に応じて点灯し消灯信号に応じて消灯する表示灯と、前記遮断器の開閉レバーの動きを制限する第1位置と制限しない第2位置とに動く制限部材と、前記通信端末から送信される制限解除信号に応じて前記制限部材を前記第1位置から前記第2位置へ動作させ、前記通信端末から送信される制限信号に応じて前記制限部材を前記第2位置から前記第1位置へ動作させるレバー制限部と、を備えた遮断器操作制限装置と、を含む遮断器操作支援システムの前記通信端末の制御部に実行させるプログラムであって、
前記制御部を、
前記作業者が行なう複数の作業工程のうち、少なくとも一つの作業工程の作業内容として前記遮断器を遮断または投入する作業内容を記録した作業工程データを記憶する作業工程データ記憶部、
前記作業工程データに記録された作業工程毎に、前記作業者により操作される確認操作部を付加した作業工程確認データを表示部に表示させる確認データ表示部、
前記作業工程データに記録された作業工程毎に、前記作業内容が前記遮断器を遮断または投入する作業内容であるかを判定する作業内容判定部、
前記作業内容判定部により前記作業内容が前記遮断器を遮断または投入する作業内容であると判定した場合に、前記遮断器操作制限装置へ点灯信号および制限解除信号を送信する制限解除信号送信部、
前記点灯信号および制限解除信号を送信した後に、前記作業内容が前記遮断器を遮断または投入する作業内容であると判定された前記作業工程確認データの作業工程に対応する前記確認操作部が操作された場合に、前記遮断器操作制限装置へ消灯信号および制限信号を送信する制限信号送信部、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、遮断器操作支援システム、通信端末、遮断器操作制限装置、遮断器操作支援方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電気設備の切換えやメンテナンスの作業を行う場合、作業対象となる設備の一部または全部の通電を停止させて作業を行う。作業者は、作業の手順を表記した作業工程表などを確認しながら、作業対象となる設備に対応した遮断器の遮断および投入を行う。
【0003】
このような作業を行う場合に、作業対象ではない遮断器の誤遮断/誤投入が発生すると、設備機器や作業者に悪影響を及ぼしてしまう可能性がある。
【0004】
従来、プラント設備の定修時における制御電源の遮断・投入操作を誤らないように、遮断と投入の順序を事前に制御装置に入力し、遮断器に設けた表示灯の点灯によって遮断と投の順序を表示させることで、誤遮断/誤投入を防止する制御電源の切換支援装置が考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
また、区分開閉器を有する配電線での異電源間無停電切換えを行う切換装置であって、無線伝送装置を有し、仮設用開閉器の投入インターロックを解除して同期投入を実行する技術が考えられている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平3-86020号公報
【特許文献2】特開2006-33921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の制御電源の切換支援装置では、外部電源の遮断時には、遮断器に設けた表示灯を点灯させることができず、当該切換支援装置を使用できない。また表示灯を点灯させたとしても、遮断器の誤遮断/誤投入を物理的に阻止することはできない。
【0008】
従来の異電源間の無停電切換装置は、区分開閉器を有する配電線での異電源間無停電切換えを行うものであって、電気設備の制御盤や配電盤に集中して設けられた複数の遮断器を対象として使用することはできない。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、電気設備の制御盤や配電盤に集中して設けられた複数の遮断器を対象とした場合や外部電源の遮断時であっても、遮断器の誤遮断/誤投入を容易且つ確実に防止することが可能になる遮断器操作支援システム、通信端末、遮断器操作制限装置、遮断器操作支援方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態の遮断器操作支援システムは、
作業者により操作される通信端末と、前記通信端末との通信機能を備え遮断器に設けられる遮断器操作制限装置と、を含む遮断器操作支援システムであって、
前記遮断器操作制限装置は、
前記通信端末から送信される点灯信号に応じて点灯し消灯信号に応じて消灯する表示灯と、
前記遮断器の開閉レバーの動きを制限する第1位置と制限しない第2位置とに動く制限部材と、
前記通信端末から送信される制限解除信号に応じて前記制限部材を前記第1位置から前記第2位置へ動作させ、前記通信端末から送信される制限信号に応じて前記制限部材を前記第2位置から前記第1位置へ動作させるレバー制限部と、を備え、
前記通信端末は、
表示部と、
前記作業者が行なう複数の作業工程のうち、少なくとも一つの作業工程の作業内容として前記遮断器を遮断または投入する作業内容を記録した作業工程データを記憶する作業工程データ記憶部と、
前記作業工程データに記録された作業工程毎に、前記作業者により操作される確認操作部を付加した作業工程確認データを前記表示部に表示させる確認データ表示部と、
前記作業工程データに記録された作業工程毎に、前記作業内容が前記遮断器を遮断または投入する作業内容であるかを判定する作業内容判定部と、
前記作業内容判定部により前記作業内容が前記遮断器を遮断または投入する作業内容であると判定した場合に、前記遮断器操作制限装置へ点灯信号および制限解除信号を送信する制限解除信号送信部と、
前記点灯信号および制限解除信号を送信した後に、前記作業内容が前記遮断器を遮断または投入する作業内容であると判定された前記作業工程確認データの作業工程に対応する前記確認操作部が操作された場合に、前記遮断器操作制限装置へ消灯信号および制限信号を送信する制限信号送信部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る遮断器操作支援システム1の全体の構成を示す外観図。
図2】制御盤20の遮断器20A1に装着した遮断器操作制限装置30A1の構成を代表して示す外観図。
図3】遮断器操作制限装置30Aを一体にして含む遮断器20Aの構成を示す外観図。
図4】作業端末(通信端末)10の電子回路の構成を示すブロック図。
図5】作業端末10の作業工程データ記憶領域12bに記憶される作業工程データ(12b)の一例を示す図。
図6】作業端末10の作業工程確認データ記憶領域12cに記憶される作業工程確認データ(12c)の一例を示す図。
図7】遮断器操作制限装置30A1の電子回路の構成を示すブロック図。
図8】遮断器操作支援システム1の作業端末10が実行する遮断器操作支援処理を示すフローチャート。
図9】作業端末10の遮断器操作支援処理に従った遮断器操作制限装置30A1~30A7の動作を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態の遮断器操作支援システム、通信端末、遮断器操作制限装置、遮断器操作支援方法およびプログラムについて、図面を参照して説明する。
【0013】
<遮断器操作支援システム1の構成>
図1は、実施形態に係る遮断器操作支援システム1の全体の構成を示す外観図である。
【0014】
実施形態の遮断器操作支援システム1は、現場の作業者Hにより操作されるタブレット端末などの作業端末(通信端末)10と、制御盤20などに設けられた複数の遮断器20A1,20A2,…の各々に着脱自在に装着して使用される遮断器操作制限装置30A1,30A2,…とを含む。
【0015】
図1に示す制御盤“A”20は、7個の遮断器“A1”20A1~“A7”20A7を有し、当該遮断器“A1”20A1~“A7”20A7の各々に遮断器操作制限装置30A1~30A7が装着される。なお、作業の対象に含まれる制御盤20や遮断器20Anの数、当該遮断器20Anの数に対応して用意される遮断器操作制限装置30Anの数が、実施形態の構成に限定されないのは勿論である。
【0016】
図2は、制御盤20の遮断器20A1に装着した遮断器操作制限装置30A1の構成を代表して示す外観図である。
【0017】
ここで、図2(A)は、遮断器20A1の開閉レバーSWがOFF(遮断)の位置に操作された状態であって、遮断器操作制限装置30A1のレバーロック部31のロックピン31Pにより開閉レバーSWの操作が物理的に制限(ロック)された状態の正面図、同図(B)は同図(A)の側面図、同図(C1)は同図(A)の上面図、同図(C2)は遮断器操作制限装置30A1のロックピン31Pによる開閉レバーSWの操作の制限(ロック)が解除された状態の上面図である。
【0018】
遮断器操作制限装置30A1は、遮断器20A1の箱型の筐体に対して、その左右の両側面を挟持するように正面側から装着されるコの字型の筐体(制限装置筐体)を有し、制限装置筐体は、その正面に、遮断器20A1の開閉レバーSWが少なくともその操作範囲において露出するように形成される。
【0019】
遮断器操作制限装置30A1は、その正面に、遮断器20A1の開閉レバーSWの操作範囲を横切るような第1位置にロックピン31Pを突出または横切らない第2位置に引込める、例えばソレノイド式のレバーロック部31と、突出したロックピン31Pの先端を受けるピン受部31Rと、LEDなどの表示灯32と、を備える。
【0020】
レバーロック部31のロックピン31Pを突出させた状態では、遮断器20A1の開閉レバーSWの遮断と投入の操作は物理的に制限されて阻止される。
【0021】
また遮断器操作制限装置30A1は、作業端末10と近距離無線通信BTするためのBluetooth(登録商標)などの近距離無線通信部33を内蔵して備える。
【0022】
遮断器操作制限装置30A1のレバーロック部31は、当該制限装置30A1を装着した遮断器20A1の識別情報を含んで作業端末10から近距離無線通信BTにより送信される操作ロック信号に応じてロックピン31Pを突出させ、操作ロック解除信号に応じてロックピン31Pの突出を解除し同ロックピン31P引込める。
【0023】
遮断器操作制限装置30A1の表示灯32は、当該制限装置30A1を装着した遮断器20A1の識別情報を含んで作業端末10から近距離無線通信BTにより送信される点灯信号に応じて点灯し、消灯信号に応じて消灯する。
【0024】
図3は、遮断器操作制限装置30Aを一体にして含む遮断器20Aの構成を示す外観図である。
【0025】
図2では、遮断器操作制限装置30A1を遮断器20A1に必要に応じて装着して使用する場合の構成を示したが、新たな制御盤20を設置する場合など、新たな遮断器20Aを設ける場合には、図3に示すように、当該新たな遮断器20Aに遮断器操作制限装置30Aを一体に含めて構成してよい。
【0026】
<作業端末(通信端末)10の構成>
図4は、作業端末(通信端末)10の電子回路の構成を示すブロック図である。
【0027】
作業端末10は、制御部(CPU:Central Processing Unit)11を備える。
【0028】
制御部11には、システムおよびデータバスを介して、記憶部12、記録媒体読取部13、通信部14、タッチパネル式表示部15、近距離無線通信部16が接続される。
【0029】
制御部11は、フラッシュメモリなどの記憶部12に予め記憶される遮断器操作支援プログラム12a、あるいはメモリカードなどの外部記録媒体から記録媒体Mから記録媒体読取部13を介して読み取られ記憶部12に記憶される遮断器操作支援プログラム12a、あるいは通信ネットワーク(インターネットなど)N上のWEBサーバ40(ここではプログラムサーバ)から通信部14を介してダウンロードされ記憶部12に記憶される遮断器操作支援プログラム12aに従い、回路各部の動作を制御する。
【0030】
作業端末10の電子回路は、乾電池または充電池を使用した電池電源BAにより駆動される。
【0031】
記憶部12には、遮断器操作支援プログラム12aを記憶するプログラム記憶領域のほか、作業工程データ記憶領域12b、作業工程確認データ記憶領域12c、作業データ記憶領域12dなどが確保される。
【0032】
図5は、作業端末10の作業工程データ記憶領域12bに記憶される作業工程データ(12b)の一例を示す図である。
【0033】
作業工程データ(12b)は、電気設備の切換えやメンテナンスの作業を行う現場の作業手順(工程)に応じた作業内容を表データにして作成したもので、作業の事前に、作業端末10により作成して記憶部12に記憶させてもよいし、記録媒体Mから読み込んで記憶部12に記憶させてもよいし、通信部14や近距離無線通信部16あるいは外部入出力端子(図示せず)を介してPC(Personal Computer)などの外部の情報機器から読み込んで記憶部12に記憶させてもよい。
【0034】
作業工程データ(12b)には、図5に示すように、現場で行なう作業の工程毎に、例えば作業対象となる制御盤20および遮断器20Aの識別情報(ここでは、制御盤“A”、遮断器“A7”“A5”)とその作業内容(OFF(遮断)またはON(投入))、作業対象となる配線の識別情報(ここでは、配線“A7-0002”“A5-0013”)とその作業内容(外すまたは接続する)など、遮断器20Aを投入または遮断する作業と、それ以外の作業とを含むデータが記録される。
【0035】
また、作業工程データ(12b)は、当該作業工程データに含まれ作業対象となる全ての制御盤20の識別情報(ここでは、制御盤“A”)と、同制御盤20に設けられた全ての遮断器20Aの識別情報(ここでは、遮断器“A1”~“A7”)と、を含んでよい。
【0036】
図6は、作業端末10の作業工程確認データ記憶領域12cに記憶される作業工程確認データ(12c)の一例を示す図である。
【0037】
作業工程確認データ(12c)は、作業工程データ記憶領域12bに記憶された作業工程データ(12b)(図5参照)に基づいて、作業者Hが、工程毎の作業内容とその実施を確認しつつ該当する各作業を進めていくために、タッチパネル式表示部15に表示させて使用するデータであり、図6に示すように、作業工程データ(12b)の工程とその作業内容の項目毎に、確認ボタンCH(確認操作部)が対応付けられて付加される。
【0038】
作業データ記憶領域12dには、遮断器操作支援プログラム12aに従い制御部11により生成されるか制御部11により入出力される各種のデータが、必要に応じて一時的に記憶される。
【0039】
このように構成された遮断器操作支援システム1の作業端末10は、制御部11が遮断器操作支援プログラム12aに従い遮断器操作制限装置30A1~30A7と連携して各部の動作を制御し、ハードウエアとソフトウエアとが協働して動作することにより、後述の動作説明で述べるような遮断器操作支援機能を実現する。
【0040】
<遮断器操作制限装置30A1の構成>
図7は、遮断器操作制限装置30A1の電子回路の構成を示すブロック図である。
【0041】
なお、他の遮断器操作制限装置30A2~30A7の構成も同様である。
【0042】
遮断器操作制限装置30A1は、制御部(CPU)34を備える。
【0043】
制御部34には、システムおよびデータバスを介して、図1および図2で前述したレバーロック部31、表示灯32、近距離無線通信部33が接続されるほか、記憶部35、外部入出力部36が接続される。
【0044】
制御部34は、記憶部35に予め記憶される制限装置制御プログラム35aに従い、回路各部の動作を制御する。
【0045】
遮断器操作制限装置30A1の電子回路は、乾電池または充電池を使用した電池電源BAにより駆動される。
【0046】
記憶部35には、制限装置制御プログラム35aを記憶するプログラム記憶領域のほか、遮断器ID登録領域35bなどが確保される。
【0047】
遮断器ID登録領域35bには、遮断器操作制限装置30A1を装着する対象の遮断器20A1の識別情報“A1”が、当該制限装置30A1を遮断器20A1に装着する際に、作業者端末10から外部入出力部36あるいは近距離無線通信部33を介して入力され記憶される。この際、作業端末10を操作する作業者Hは、例えば、装着対象の遮断器20A1の筐体に表記されている識別記号“A1”を参照して入力する。
【0048】
このように構成された遮断器操作支援システム1の遮断器操作制限装置30A1~30A7は、制御部34が制限装置制御プログラム35aに従い作業端末10と連携して各部の動作を制御し、ハードウエアとソフトウエアとが協働して動作することにより、後述の動作説明で述べるような遮断器操作制限機能を実現する。
【0049】
次に、実施形態の遮断器操作支援システム1の動作について説明する。
【0050】
<遮断器操作支援システム1の動作>
図8は、遮断器操作支援システム1の作業端末10が実行する遮断器操作支援処理を示すフローチャートである。
【0051】
図9は、作業端末10の遮断器操作支援処理に従った遮断器操作制限装置30A1~30A7の動作を示す図である。
【0052】
ここでは、図1で示した構成の制御盤“A”20を作業対象に含めた作業工程(図5参照)に従って、作業者Hが作業を行なう場合を仮定して説明する。
【0053】
先ず、制御盤“A”20の遮断器“A1”20A1~“A7”20A7に装着した遮断器操作制限装置30A1~30A7の各レバーロック部31は、制御部34により駆動電源を印加しないデフォルトの状態でロックピン31Pを引込めた状態に設定されており、図9(A)に示すように、全ての遮断器“A1”20A1~“A7”20A7がON(投入)の状態で開閉レバーSWの制限(ロック)が解除されている。
【0054】
作業者Hは、これから行う作業の作業工程データ(12b)を、作業端末10に入力し作業工程データ記憶領域12bに記憶させる。
【0055】
作業端末10において、例えばタッチパネル式表示部15に表示させた遮断器操作支援プログラム12aを起動させるためのアイコンが、作業者Hによりタッチ操作されると、制御部11は、遮断器操作支援プログラム12aに従い、図8に示す遮断器操作支援処理を開始する。
【0056】
制御部11は、作業工程データ記憶領域12bに記憶された作業工程データ(12b)(図5参照)に基づいて、図6に示すように作業工程確認データ記憶領域12cに記憶された作業工程確認データ(12c)を、タッチパネル式表示部15に表示させる(ステップS0)。
【0057】
制御部11は、作業工程データ(12b)(図5参照)に含まれる、作業対象の制御盤“A”20が有する全ての遮断器20A1~20A7の識別情報“A1”~“A7”を読み出し、読み出した遮断器20A1~20A7の識別情報“A1”~“A7”を含む操作ロック信号を、近距離無線通信BTにより遮断器操作制限装置30A1~30A7へ送信する(ステップS1)。
【0058】
遮断器20A1~20A7に装着された遮断器操作制限装置30A1~30A7の制御部34は、何れも自身の遮断器ID登録領域35bに登録されている装着対象の遮断器20Anの識別情報Anを含む操作ロック信号が、作業端末10から受信されるのに応じて、レバーロック部31のロックピン31Pを突出させ、該当する遮断器20Anの開閉レバーSWの操作を制限(ロック)する。
【0059】
すると、図9(B)に示すように、制御盤“A”20の全ての遮断器“A1”20A1~“A7”20A7の開閉レバーSWは、各対応する遮断器操作制限装置30A1~30A7のロックピン31Pにより制限された状態になり、一旦、全ての遮断器“A1”20A1~“A7”に対する無用な操作が阻止される。
【0060】
ここで、作業端末10の制御部11は、例えば、タッチパネル式表示部15に表示させた強制停止用のアイコンがタッチ操作されたか否かに基づいて、作業者Hにより強制停止操作が行なわれたか否かを判定する(ステップS2)。強制停止操作は、例えば、作業対象である設備に、作業者H自らが作業を止めなければならない異常事態を発見した場合に行なわれる。
【0061】
作業者Hにより強制停止操作が行なわれたと判定された場合には(ステップS2(Yes))、制御部11は、作業対象の制御盤“A”20が有する全ての遮断器20A1~20A7の識別情報“A1”~“A7”を含む操作ロック解除信号を、遮断器操作制限装置30A1~30A7へ送信する(ステップS10)。
【0062】
すると、遮断器操作制限装置30A1~30A7の制御部34は、何れも自身が装着された遮断器20Anの識別情報Anを含む操作ロック解除信号が、作業端末10から受信されるのに応じて、図9(A)で示したようにレバーロック部31のロックピン31Pを引込め、該当する遮断器20Anの開閉レバーSWの制限(ロック)を解除する。
【0063】
これにより、作業者Hは、行っている作業を速やかに中断し、発見した異常事態に対応できる。
【0064】
また一般に、制御盤20や配電盤は、故障などの異常を検知し、当該制御盤20や配電盤を監視対象に含む中央監視装置へ異常の発生する通知する異常発生信号を送信する機能を有している。
【0065】
作業端末10の制御部11は、制御盤“A”20での異常の発生に応じて送信される異常発生信号が受信されたか否かを判定する(ステップS3)。
【0066】
制御盤“A”20からの異常発生信号が受信されたと判定された場合にも(ステップS3(Yes))、前述の作業者Hによる強制停止操作が行なわれた場合と同様に、制御部11は、作業対象の制御盤“A”20が有する全ての遮断器20A1~20A7の識別情報“A1”~“A7”を含む操作ロック解除信号を、遮断器操作制限装置30A1~30A7へ送信し(ステップS10)、図9(A)で示したように全ての遮断器20A1~20A7の開閉レバーSWの制限(ロック)を解除する。
【0067】
これにより、作業者Hは、行っている作業を速やかに中断し、作業対象の制御盤“A”20での異常の発生に対応できる。
【0068】
ステップS2において作業者Hにより強制停止操作が行なわれたと判定されない場合(ステップS2(No))、およびステップS3において制御盤“A”20からの異常発生信号が受信されないと判定された場合(ステップS3(No))である正常な状態では、制御部11は、以下に説明するように、作業工程データ記憶領域12bに記憶された作業工程データ(12b)(図5参照)に基づいて、当該作業工程データ(12b)に記録された工程毎の作業内容に応じた遮断器操作支援処理を実行する(ステップS4~S8)。
【0069】
すなわち、制御部11は、作業工程データ(12b)に記録された次の作業(最初は工程[1])の作業内容が、遮断器を開閉(投入/遮断)する作業であるか否かを判定する(ステップS4)。
【0070】
ここで、工程[1]の作業内容「遮断器“A7”OFF」に基づき、次の作業内容が遮断器を開閉(投入/遮断)する作業であると判定されると(ステップS4(Yes))、制御部11は、作業対象の遮断器“A7”20A7の識別情報“A7”を含む点灯信号および操作ロック解除信号を、遮断器操作制限装置30A7へ送信する(ステップS5)。
【0071】
遮断器操作制限装置30A7において、作業端末10から送信された遮断器“A7”20A7の識別情報“A7”を含む点灯信号および操作ロック解除信号が受信されると、制御部34は、図9(C)に示すように、表示灯32を点灯させて工程[1]の作業対象である遮断器“A7”20A7を作業者Hに報知すると共に、レバーロック部31のロックピン31Pを引込め、当該遮断器“A7”20A7の開閉レバーSWの制限(ロック)を解除し、同開閉レバーSWの操作を可能にする。
【0072】
これにより、作業者Hは、タッチパネル式表示部15に表示されている作業工程確認データ(12c)(図6参照)の工程[1]の作業内容「遮断器“A7”OFF」に従って作業を行なう際に、作業対象の遮断器“A7”20A7を、点灯された表示灯32によって容易且つ誤りなく確認できるだけでなく、同遮断器“A7”20A7だけ開閉レバーSWの制限(ロック)が解除されたことで、誤操作なく同遮断器“A7”20A7の開閉レバーSWをONからOFF(遮断)へ操作できる。
【0073】
こうして作業者Hが工程[1]の作業を完了したことに応じて、作業者Hにより、表示部15に表示されている作業工程確認データ(12c)(図6参照)の工程[1]の確認ボタンCHがタッチ操作されチェックマークが表示されると(ステップS6(Yes))、制御部11は、作業対象の遮断器“A7”20A7の識別情報“A7”を含む消灯信号および操作ロック信号を、遮断器操作制限装置30A7へ送信し、その表示灯32を消灯させると共とに、遮断器“A7”20A7の開閉レバーSWの操作を再び制限(ロック)した状態にする(ステップS7)。
【0074】
制御部11は、表示部15に表示させた作業工程確認データ(12c)の全ての工程の確認ボタンCHにチェックマークを表示させたか否かに基づいて、全ての作業が終了したか否かを判定する(ステップS8)。
【0075】
ここでは、工程[1]の確認ボタンCHにチェックマークを表示させた状態であり、全ての作業は終了していないと判定され(ステップS8(No))、制御部11は、ステップS4からの処理を繰り返す。
【0076】
すなわち、制御部11は、作業工程データ(12b)に記録された次の作業(工程[2])の作業内容が、遮断器を開閉(投入/遮断)する作業であるか否かを判定する(ステップS4)。
【0077】
ここで、工程[2]の作業内容「配線“A7-0002”外す」に基づき、次の作業内容が遮断器を開閉(投入/遮断)する作業ではないと判定されると(ステップS4(No))、制御部11は、作業工程確認データ(12c)(図6参照)の当該工程[2]の確認ボタンCHに対するチェックマークの表示を待機する(ステップS9)。
【0078】
作業者Hは、作業工程確認データ(12c)(図6参照)の工程[2]の作業内容「配線“A7-0002”外す」に従って作業を行ない、当該工程[2]の作業を完了したことに応じて、同工程[2]の確認ボタンCHをタッチ操作してチェックマークを表示させる(ステップS9(Yes))。
【0079】
すると制御部11は、前述同様に全ての作業は終了していないと判定し(ステップS8(No))、ステップS4からの処理を繰り返す。
【0080】
ここで、次の作業である工程[3]の作業内容「遮断器“A5”OFF」に基づき、次の作業内容が遮断器を開閉(投入/遮断)する作業であると判定されると(ステップS4(Yes))、制御部11は、作業対象の遮断器“A5”20A5の識別情報“A5”を含む点灯信号および操作ロック解除信号を、遮断器操作制限装置30A5へ送信する(ステップS5)。
【0081】
遮断器操作制限装置30A5において、作業端末10から送信された遮断器“A5”20A5の識別情報“A5”を含む点灯信号および操作ロック解除信号が受信されると、制御部34は、図9(D)に示すように、表示灯32を点灯させて工程[3]の作業対象である遮断器“A5”20A5を作業者Hに報知すると共に、レバーロック部31のロックピン31Pを引込め、当該遮断器“A5”20A5の開閉レバーSWの制限(ロック)を解除し、同開閉レバーSWの操作を可能にする。
【0082】
これにより、作業者Hは、前述同様に、作業工程確認データ(12c)(図6参照)の工程[3]の作業内容「遮断器“A5”OFF」に従って作業を行なう際に、作業対象の遮断器“A5”20A5を、点灯された表示灯32によって容易且つ誤りなく確認できるだけでなく、同遮断器“A5”20A5だけ開閉レバーSWの制限(ロック)が解除されたことで、誤操作なく同遮断器“A5”20A5の開閉レバーSWをONからOFF(遮断)へ操作できる。
【0083】
作業者Hが工程[3]の作業を完了したことに応じて、作業者Hにより、作業工程確認データ(12c)(図6参照)の工程[3]の確認ボタンCHがタッチ操作されチェックマークが表示されると(ステップS6(Yes))、制御部11は、作業対象の遮断器“A5”20A5の識別情報“A5”を含む消灯信号および操作ロック信号を、遮断器操作制限装置30A5へ送信し、その表示灯32を消灯させると共とに、遮断器“A5”20A5の開閉レバーSWの操作を再び制限(ロック)した状態にする(ステップS7)。
【0084】
この後、作業工程データ(12b)(図5参照)および当該作業工程データ(12b)に対応する作業工程確認データ(12c)(図6参照)に従って、前述同様に、作業端末10と遮断器操作制限装置30A1~30A7との連携した処理および作業者Hによる作業が進められる。
【0085】
そして制御部11により、作業工程確認データ(12c)の全ての工程の確認ボタンCHにチェックマークが表示されたことに基づいて、全ての作業が終了したと判定されると(ステップS8(Yes))、制御部11は、作業対象の制御盤“A”20が有する全ての遮断器20A1~20A7の識別情報“A1”~“A7”を含む操作ロック解除信号を、遮断器操作制限装置30A1~30A7へ送信し(ステップS10)、図9(A)で示したように全ての遮断器20A1~20A7の開閉レバーSWの制限(ロック)を解除し、一連の遮断器操作支援処理を終了する。
【0086】
<実施形態のまとめ>
以上のように、実施形態の遮断器操作支援システム1によれば、作業対象の制御盤“A”20に設けられた複数の遮断器“A1”20A1,“A2”20A2,…に対して、電池電源BAにより動作する遮断器操作制限装置30A1,30A2,…を、各遮断器“A1”20A1,“A2”20A2,…に対応した識別情報“A1”“A2”…を登録して装着する。
【0087】
作業端末10は、作業対象として含まれる制御盤“A”20に対する作業工程データ(12b)に対応した作業工程確認データ(12c)をタッチパネル式表示部15に表示させ、全ての遮断器“A1”20A1,“A2”20A2,…の識別情報“A1”“A2”…を含む操作ロック信号を各遮断器操作制限装置30A1,30A2,…に送信して、一旦、全遮断器“A1”20A1,“A2”20A2,…の開閉レバーSWの操作を制限(ロック)する。
【0088】
そして作業端末10は、作業工程データ(12b)の工程毎に、その作業内容に遮断器“An”20Anの開閉(投入/遮断)の作業がある場合には、同遮断器“An”20Anの識別情報“An”を含む点灯信号および操作ロック解除信号を該当する遮断器操作制限装置30Anに送信し、その表示灯32を点灯させて、当該工程の作業対象である遮断器“An”20Anを作業者Hに報知すると共に、同遮断器“An”20Anの開閉レバーSWの制限(ロック)を解除し操作可能にする。
【0089】
作業者Hが、表示中の作業工程確認データ(12c)に従い、操作の制限(ロック)が解除された遮断器“An”20Anの開閉レバーSWを操作して当該工程の作業を完了し、作業工程確認データ(12c)の同工程に対応付けられた確認ボタンCHをタッチ操作すると、作業端末10は、同遮断器“An”20Anの識別情報“An”を含む消灯信号および操作ロック信号を該当する遮断器操作制限装置30Anに送信し、その表示灯32を消灯させると共に、同遮断器“An”20Anの開閉レバーSWの操作を再び制限(ロック)し、全遮断器“A1”20A1,“A2”20A2,…の操作を制限(ロック)した状態に戻す。
【0090】
次の工程に対応する作業内容が、遮断器“An”20Anの開閉(投入/遮断)ではない場合、作業端末10は、表示中の作業工程確認データ(12c)の同工程に対応付けられた確認ボタンCHが作業者Hによりタッチ操作されたと判定してから、次の工程の作業内容に従った処理を繰り返す。
【0091】
よって、実施形態の遮断器操作支援システム1によれば、電気設備の制御盤や配電盤に集中して設けられた複数の遮断器を対象とした場合や外部電源の遮断時、遮断器以外の作業内容を含む場合であっても、遮断器の誤遮断/誤投入を容易且つ確実に防止することが可能になる。
【0092】
<他の実施形態>
前記実施形態の作業端末10の遮断器操作支援処理(図8参照)では、制御盤“A”20からの異常発生信号が受信された場合に(ステップS3(Yes))、全ての遮断器20A1~20A7の識別情報“A1”~“A7”を含む操作ロック解除信号を、遮断器操作制限装置30A1~30A7へ送信し(ステップS10)、全ての遮断器20A1~20A7の開閉レバーSWの制限(ロック)を解除する構成とした。
【0093】
これに限らず、制御盤“A”20からの異常発生信号を、遮断器操作制限装置30A1~30A7が直接受信するように構成し、全遮断器20A1~20A7の開閉レバーSWの制限(ロック)を解除してもよい。
【0094】
また、前記実施形態の遮断器操作制限装置30A1,30A2,…のレバーロック部31は、ロックピン31Pを突出または引込める構成として、遮断器20A1の開閉レバーSWの操作を、何れも自動的に制限(ロック)または制限解除した。
【0095】
これに限らず、例えばロックピン31Pが踏切の遮断機の如く、その一端を支点として他端が上下方向に円弧状に回動するように構成し、開閉レバーSWの制限(ロック)は作業者Hが手動で行い、制限解除をレバーロック部31で自動的に行なう構成としてもよい。
【0096】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0097】
1…遮断器操作支援システム、H…作業者、10…作業端末(通信端末)、
20…制御盤“A”、20An…遮断器、SW…開閉レバー、
30An…遮断器操作制限装置、31…レバーロック部、31P…ロックピン、
31R…ピン受部、32…表示灯、33…近距離無線通信部、BT…近距離無線通信。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9