前記制御部は、少なくとも、ブラシのブラシ毛が、磁気ギャップに挿入された状態となる直前、および、前記ブラシ毛が、磁気ギャップに挿入された状態となった直後は、前記加熱コイルへの通電を行う構成とした請求項2に記載の高周波誘導半田付装置。
前記ブラシは、中心軸から外周方向にブラシ毛が伸びた円板状とし、前記可動手段によって円板状のブラシを中心軸の周りを回動させる構成とした請求項4に記載の高周波誘導半田付装置。
前記制御部は、ブラシのブラシ毛が、磁気ギャップ内から、この磁気ギャップ外に出た状態となった後に、前記可動手段によってブラシを回動させる構成とした請求項5に記載の高周波誘導半田付装置。
前記制御部は、ブラシのブラシ毛が、磁気ギャップ外に出た状態となった後に、前記可動手段によってブラシを回動させ、ブラシ毛を捕集物除去手段に、こすりつける構成とした請求項6に記載の高周波誘導半田付装置。
前記制御部は、掃除手段による前記磁気ギャップの掃除実行前から、この掃除手段による磁気ギャップの掃除実行中まで、前記加熱コイルへの通電を行う構成とした請求項1~8のいずれか一つに記載の高周波誘導半田付装置。
前記制御部は、前記半田付手段による半田付け回数が、所定回数に到達すると、前記掃除手段によって磁気ギャップの掃除を実行する構成とした請求項1~9のいずれか一つに記載の高周波誘導半田付装置。
前記制御部に、掃除確認手段を接続し、前記制御部は、掃除手段による前記磁気ギャップの掃除作業終了後、前記位置調整手段によって、半田付手段を掃除確認手段側に移動させる構成とした請求項1~10のいずれか一つに記載の高周波誘導半田付装置。
前記制御部は、前記掃除確認手段によって掃除不良状態を検出すると、掃除手段による前記磁気ギャップの掃除作業を、再度、実行する構成とした請求項11に記載の高周波誘導半田付装置。
前記掃除確認手段は、検出部が、基台と、この基台から突出した突出部とにより構成され、前記突出部が、磁気ギャップ間に進入された状態となる構成とした請求項11または12に記載の高周波誘導半田付装置。
本発明は、例えば、回路基板に装着された電子部品の端子を、高周波誘導加熱し、この端子部に供給された半田を溶融させ、前記端子を、回路基板のランドに半田付けする高周波誘導半田付装置に関するものである。
本特許出願人は、下記(特許文献1)により、いわゆる半田ごてを用いることなく、例えば、回路基板のランドに、電子部品の端子を半田付けする高周波誘導半田付装置を提案している。
具体的には、高周波誘導半田付装置は、半田付け対象物を保持する保持手段と、この保持手段によって保持された半田付け対象物に対し、その磁気ギャップから磁束を供給する磁気コア、および、この磁気コアに磁束を供給する加熱コイルを有する半田付手段と、この半田付手段と前記保持手段との相対位置を調整する位置調整手段と、を備えた構成となっている。
また、前記半田付手段の磁気コアは、前記磁気ギャップの距離を調整可能な構成となっている。
この高周波誘導半田付装置は、電子部品の端子を、磁気コアの磁気ギャップに配置し、磁気ギャップの磁束にて、端子を高周波誘導加熱するものであるので、半田付けスピードを速くすることが出来る。
すなわち、従来の半田ごてを用いたものは、半田ごてからの熱伝導で電子部品の端子を加熱するものであるので、端子の温度が、半田の溶融温度にまで上昇する時間が長くなり、その結果として、半田付けスピードを速めることが難しかった。
特に、電子部品がトランスのような場合には、端子が大きく、熱容量も大きいものとなるので、半田ごてからの熱伝導で端子の温度を、半田が溶融するまでの温度に上昇させるのには長時間がかかり、その結果として、半田付けスピードを速めることが難しかった。
これに対して上記(特許文献1)の高周波誘導半田付装置では、電子部品の端子自体を高周波誘導加熱するものであるので、端子の温度が、半田の溶融温度に上昇するまでの時間を短くすることが出来、その結果として、半田付けスピードを速めることができる。
そして、この目的を達成するために本発明の高周波誘導半田付装置は、磁気ギャップを掃除する掃除手段を設け、この掃除手段と前記位置調整手段と加熱コイルを制御部に接続し、
この制御部は、前記掃除手段による前記磁気ギャップの掃除時には、前記加熱コイルへの通電を行う構成としたものである。
また、本発明では、前記掃除手段を、磁気ギャップに挿入された状態となるブラシ毛を有するブラシにより構成した。
さらに、本発明の制御部は、ブラシのブラシ毛が、磁気ギャップに挿入された状態となる直前、および、このブラシ毛が、磁気ギャップに挿入された状態となった直後は、前記加熱コイルへの通電を行う構成とした。
また、本発明では、前記ブラシの可動手段を設け、この可動手段を制御部に接続した。
さらに、本発明のブラシは、中心軸から外周方向にブラシ毛が伸びた円板状とし、可動手段によって円板状のブラシを中心軸の周りを回動させる構成とした。
また、本発明の制御部は、ブラシのブラシ毛が、磁気ギャップ内から、この磁気ギャップ外に出た状態となった後に、可動手段によってブラシを所定角度回動させる構成とした。
さらに、本発明の制御部は、ブラシのブラシ毛が、磁気ギャップ外に出た状態となった後に、可動手段によってブラシを所定角度回動させ、ブラシ毛を捕集物除去手段にこすりつける構成とした。
また、本発明の制御部は、可動手段によってブラシを360度よりも多く回転させる構成とした。
さらに、本発明の制御部は、掃除手段による前記磁気ギャップの掃除実行前から、この掃除手段による磁気ギャップの掃除実行中まで、前記加熱コイルへの通電を行う構成とした。
また、本発明の制御部は、半田付手段による半田付け回数が、所定回数に到達すると、掃除手段によって磁気ギャップの掃除を実行する構成とした。
さらに、本発明は、制御部に、掃除確認手段を接続し、前記制御部は、掃除手段による前記磁気ギャップの掃除作業終了後、前記位置調整手段によって、半田付手段を掃除確認手段側に移動させる構成とした。
また、本発明の制御部は、前記掃除確認手段によって掃除不良状態を検出すると、掃除手段による前記磁気ギャップの掃除作業を、再度、実行する構成とした。
さらに、本発明の掃除確認手段は、検出部が、基台と、この基台から突出した突出部とにより構成され、前記突出部が、磁気ギャップ間に進入された状態となる構成とした。
以上のように本発明の高周波誘導半田付装置は、磁気ギャップを掃除する掃除手段を設け、この掃除手段と位置調整手段と加熱コイルを制御部に接続し、この制御部は、掃除手段による前記磁気ギャップの掃除時には、加熱コイルへの通電を行う構成としたものであるので、作業性を向上させることができる。
すなわち本発明は、掃除手段による磁気ギャップの掃除時には、加熱コイルへの通電を行い、磁気コアの磁気ギャップ部を温度上昇させ、磁気ギャップ部に付着したフラックスを軟化させ、その状態で、掃除手段による磁気ギャップの掃除を行うので、付着したフラックスの除去が行いやすくなる。
このため、効率的な半田付けを行うために、磁気ギャップの適宜狭い間隔としても、磁気ギャップ部に端子をスムーズに配置することが出来、作業性の良いものとなる。
また、掃除手段による磁気ギャップの掃除も、適宜、容易に行えるので、この点からも作業性の良いものとなる。
以下本発明の一実施形態を、添付図面を用いて説明する。
図1~
図4において、1は高周波誘導半田付装置を示している。
この高周波誘導半田付装置1は、平板状のベース2の後方両側に所定間隔をおいて2本の支柱体3が立設配置されている。
また、2本の支柱体3間で、ベース2の中心にはY軸方向(
図1の手前から奥方向、
図3における左右方向)に向けてY軸軌道体4が配置されている。
さらに、支柱体3の上部には、X軸方向(
図1、
図2の左右方向)に向けてX軸軌道体5が配置されている。
また、X軸軌道体5に案内されてX軸方向に移動する基体6にはZ軸方向(
図2、
図3の上下方向)に向けてZ軸軌道体7が配置されている。
さらに、Z軸軌道体7には、このZ軸軌道体7によってZ軸方向(上下方向)に移動する半田付手段8が装着されている。
Y軸軌道体4には
図3に示すようにモータ9、X軸軌道体5には
図3に示すようにモータ10、Z軸軌道体7には
図1に示すようにモータ11が配置されている。
これらモータ9、10、11で、半田付手段8の位置調整手段が構成されている。
なお、モータ9、10、11には、それぞれ、スクリューネジが連結され、このスクリューネジの回転により、各部の移動が行われるが、このような構造は良く知られているものなので、図面の煩雑化を避けるために省略している。
また、Y軸軌道体4上には、このY軸軌道体4をY軸方向に移動する移動体12を介して移動基体13が配置されている。
移動基体13の上面前方側には、半田付け対象物14を保持するU字状の保持手段15が固定されている。
Z軸軌道体7によってZ軸方向(上下方向)に移動する半田付手段8は、
図1~
図4、および
図7、
図8にも示すように保持手段15によって保持された半田付け対象物14に対し、その磁気ギャップ16から磁束を供給する磁気コア17、および、この磁気コア17に磁束を供給する加熱コイル18を有する。
磁気コア17、加熱コイル18の構成は、基本的には上記(先行文献1)と同じような構造であるが、本実施形態では、左右のネジ19を緩め、磁気ギャップ16の距離を調整し、再び、ネジ19を締めることで、左右の磁気コア17先端間の磁気ギャップ16の距離を、半田付け対象物14に合わせて調整するようにしている。つまり、上記(先行文献1)では磁気ギャップ16の距離調整を、モータによって調整したが、本実施形態では、ネジ19を緩め、次に、磁気ギャップ16の距離を手動で調整し、その後、ネジ19を締めることで、磁気ギャップ16の距離を、調整するようにしている。
本実施形態における、磁気ギャップ16の距離調整、また、そのための磁気コア17の形状、構造も、上記(先行文献1)で説明されていることであるので、説明の煩雑化を避けるため、この部分の説明は、この程度とする。
本実施形態では、半田付け対象物14は、回路基板20に配置された複数の端子21であるので、端子21の太さ寸法に合わせて、磁気ギャップ16の距離を、調整している。
また、
図7、
図8に示すように、磁気ギャップ16で磁束による高周波誘導加熱された端子21には、半田供給装置22から糸半田(図示せず)が供給され、この糸はんだが端子21の熱で溶融し、端子21と回路基板20のランド(図示せず)を半田付けするようになっている。
つまり、加熱コイル18に高周波電流を流すと、この加熱コイル18から高周波磁束が発生し、この高周波磁束が磁気コア17に流入し、磁気ギャップ16にも流れ、端子21を高周波誘導加熱することができる。
したがって、この端子21に半田供給装置22から糸半田(図示せず)を供給し、当接させれば、この糸はんだが端子21の熱で溶融し、端子21と回路基板20のランド(図示せず)が半田付けされるのである。
なお、本実施形態では、磁気コア17の冷却は、磁気コア17に熱伝導的に結合された伝熱板に二つのファン23から送風し、放熱させることによって行うようにしている。
以上のように、本実施形態では、半田付け対象物14を保持する保持手段15のY軸方向移動をY軸軌道体4のモータ9で行い、また半田付手段8のX方向の移動をX軸軌道体5のモータ10で行い、Z方向の移動をZ軸軌道体7のモータ11で行い、これらにより、半田付手段8と前記保持手段15で保持された半田付け対象物14との相対位置を調整する位置調整手段が構成されている。
また、本実施形態では、磁気コア17の左右のネジ19を緩め、磁気ギャップ16の距離を調整し、再び、ネジ19を締めることで、左右の磁気コア17先端間の磁気ギャップ16の距離を、半田付け対象物14に合わせて調整するようにしている。
本実施形態では、半田付け対象物14は、回路基板20に配置された複数の端子21であるので、端子21の太さ寸法に合わせて、磁気ギャップ16の距離を、調整している。
以上の構成は、上記(先行文献1)に記載されたものに類似する構成である。
本実施形態の特徴は、この半田付手段8の磁気ギャップ16を掃除する掃除手段24を設けたことである。
すなわち、
図1~
図6から理解されるように、移動基体13の上面前方側には、半田付け対象物14を保持するU字状の保持手段15が固定され、移動基体13の後方右側に掃除手段24が設けられているのである。
また、移動基体13の後方左側には、掃除確認手段25を設けている。
掃除手段24は、
図9~
図11に示すように、移動基体13上にネジ26で固定されたL字金具27と、このL字金具27にネジ28で固定されたモータ29と、このモータ29のシャフト30に連結されたブラシ31を備えている。つまり、モータ29はブラシ31を可動させる可動手段となっているのである。
前記ブラシ31は、中心軸から外周方向にブラシ毛が伸びた円板状とし、可動手段の一例であるモータ29によって回動する構成となっている。
具体的には、円板状のブラシ31の回転軸32は、
図10の様に、ブラシ31の中心の貫通孔33を、モータ29とは反対側から貫通し、連結具34、ネジ34aによってモータ29のシャフト30に連結されている。
回転軸32は貫通孔33に圧入状態とするので、モータ29を起動すれば、回転軸32とともにブラシ31を回転させることが出来る。
また、ブラシ31の両面には、ブラシ31保持用の軸31aを設けており、この軸31aはカバー35の軸受部36によって回動自在に保持されている。
カバー35はブラシ31の後方半分程度を覆った構成としている。
つまり、ブラシ31の前方側、つまり半田付け対象物14を保持するU字状の保持手段15側は、カバー35から露出した状態となっている。
また、カバー35内において、ブラシ31の回動時に、このブラシ31の先端側が触れる部分には、
図10のごとく、捕集物除去手段としての円柱37を設けている。
あとで詳細に説明するが、カバー35内でブラシ31の先端側を円柱37に、こすりつけ、ブラシ31が捕集したフラックスをカバー35内に落下させ、ブラシ31のフラックス除去効果を長期間維持するのである。
なお、円柱37はネジ38でカバー35内に固定され、また、カバー35はネジ39で移動基体13上に固定され、さらに、カバー35内の下部には、受皿35aが着脱自在に設けられている。
このため、受皿35aの中に、フラックスが大量に蓄積されたときには、カバー35を移動基体13から取り外し、受皿35a内からフラックスを取り除き、また、円柱37もカバー35内から取り外し、簡単に掃除することが出来る。
次に、これら
図9~
図12に示されている掃除確認手段25について説明する。
本実施形態では、移動基体13の上面前方側には、半田付け対象物14を保持するU字状の保持手段15が固定され、移動基体13の後方左側に掃除手段24が設けられ、移動基体13の後方左側には、掃除確認手段25を設けられている。
具体的には、掃除確認手段25は、
図12のようにネジ40によって移動基体13の後方左側に固定されている。
この掃除確認手段25は、いずれも上方に突出した状態の検出部41と熱電対42を備えている。
検出部41は、
図27に示すように、基台43と、この基台43から上方に突出した突出部44とにより構成され、掃除確認時には、前記突出部44が、磁気ギャップ16間に進入した状態となる構成となっている。
図31は、制御ブロック図を示している。
制御部45には、Y軸軌道体4のモータ9、X軸軌道体5のモータ10、Z軸軌道体7のモータ11、掃除手段24のモータ29、磁気コア17冷却用のファン23が接続されている。
また、加熱コイル18はIH電源46を介して制御部45に接続されている。
さらに、タイマー47、メモリ48、表示灯49も、制御部45に接続されている。
以上の構成において、半田付け、その後の掃除などについて説明する。
先ず、半田付け作業を行う前に、今回、半田付けする端子21に対して磁気コア17をどの程度下降させる(Z軸方向下降)かの調整を行う。
図34は、その状態を示しており、先ずは、半田付手段8が原点位置(
図1~
図4の状態)に存在するか否かの確認が行われる(
図36のS1、S2)。
半田付手段8が原点位置(
図1~
図4の状態)に存在することが確認されると、Y軸軌道体4のモータ9、X軸軌道体5のモータ10を起動し、半田付手段8を原点位置(
図1~
図4の状態)から、高さ測定位置(
図34の検出部41上方位置)まで移動させる(
図36のS3、S4)。
次に、Z軸軌道体7のモータ11を起動し、半田付手段8を下降させ、
図34のように、磁気コア17の磁気ギャップ16内に、検出部41の突出部44が進入した状態とし、さらに、基台43が押されるまで、磁気コア17を、下降(Z軸)させる(
図36のS5)。
磁気コア17の先端で検出部41の基台43が押されると、タッチスイッチよりなる検出部41がOFFとなり、Z軸軌道体7のモータ11を停止し、磁気コア17の下降も停止する(
図36のS6、S7)。
図34は、この磁気コア17の下降が停止した状態を示している。
続いて、この時のZ位置を
図31のメモリ48に登録する(
図36のS8)。
つまり、今回、半田付けする端子21に応じた高さに、検出部41の基台43の高さを設定している。
次に、この高さで端子21への適切な半田付けが出来るか、否かの判定について、
図35、
図37を用いて説明する。
図35は、Y軸軌道体4のモータ9、X軸軌道体5のモータ10を駆動し、半田付手段8を熱電対42へと移動させた状態を示している。
この
図35の状態にするには、先ず、Y軸軌道体4のモータ9、X軸軌道体5のモータ10を起動し、半田付手段8を熱電対42の真上へと移動させる(
図37のS1)。
次に、Z軸軌道体7のモータ11を起動し、熱電対42が、半田付手段8の磁気ギャップ16内に進入した状態とする(
図37のS2)。
なお、
図35のDrefは、端子21が半田付手段8の磁気ギャップ16内に進入した状態を考慮した予め設定した値である。
この状態で加熱コイル18に通電し、磁気ギャップ16にて熱電対42を高周波誘導加熱する。
この時、加熱コイル18への通電開始から、通電終了までの間、熱電対42の熱データを継続的に測定し、測定を終了する(
図37のS3、S4、S5、S6、S7、S8)。
また、S4~S8までの時間は、実際に端子21を加熱する時間を考慮して決定する。
加熱コイル18への通電を停止した後には、Z軸軌道体7のモータ11を起動し、半田付手段8を熱電対42の上方の定位置まで上昇させる(
図37のS9)。
続いて、Y軸軌道体4のモータ9、X軸軌道体5のモータ10を起動し、半田付手段8を、
図1~
図4に示す定位置へと移動させる(
図37のS10)。
この状態で、次に、熱電対42の測定熱データが、判定基準と比較して許容範囲内にあるか、否かの判定が行われ、許容範囲内であれば、
図31に示す表示灯49で正常表示を行い、終了となる(
図37のS11、S12、S13)。
また、熱電対42の測定熱データが、判定基準と比較して許容範囲内に無い場合には、
図31に示す表示灯49で異常表示を行う(
図37のS11、S14、S13)。
例えば、初期設定した磁気ギャップ16が広すぎる場合には、このような状況が発生するので、管理者は、ネジ19を緩め、磁気ギャップ16を可能な範囲で狭くし、その後、ネジ19を締め、再度、
図36のS1からS8、および
図37のS1からS13までを実行させる。
なお、このような再調整の時には、
図36のS1からS8を飛ばして、
図37のS1からS13までを実行させるようにしても良い。
以上の運転前調整が終了すると、Y軸軌道体4のモータ9、X軸軌道体5のモータ10を起動し、半田付手段8を、
図5~
図8に示す半田付け位置へと移動させる。
先ずは、
図5、
図6に示すように、半田付手段8が端子21の真上になる様に移動調整し、その後、
図7、
図8に示すようにZ軸軌道体7のモータ11を起動し、半田付手段8を、
図34で設定した位置まで下降させ、加熱コイル18に通電し、磁気ギャップ16の磁束で端子21を高周波誘導加熱し、半田供給装置22から糸半田(図示せず)を供給し、糸半田を端子21の熱で溶融させ、端子21と回路基板20のランド(図示せず)を半田付けする。
本実施形態で特徴的なのは、端子21の加熱を、高周波誘導加熱によって行うものであるという事である。
このため、半田ごてを接触させて端子21の温度を上昇させる従来品に比較して、半田付手段8における磁気コア17の磁気ギャップ16部分の摩耗が少なく、メンテナンス無しで連続運転が可能になるという特徴がある。
一方では、端子21を高周波誘導加熱する場合には、磁気ギャップ16を狭くし、端子21との距離を小さくする必要もある。
しかし、そのようにすると糸半田の溶融時に、半田に含まれているフラックスの一部が蒸散し、磁気コア17の磁気ギャップ16部分に付着しやすくなる。
勿論、1回の付着フラックス量は微々たるものであるが、上述のごとく、本実施形態では長時間の連続半田付けが可能になるというのも特徴でもあるので、連続半田付け時には、磁気コア17の磁気ギャップ16部分に大量のフラックスが付着、蓄積し、磁気ギャップ16を狭くし、端子21が入りにくくなる可能性もある。
そこで、本実施形態では、移動基体13の後方右側に掃除手段24を設けた。
図13~
図21、および
図32、
図33は掃除手段24による掃除工程を示すものである。
半田付けを実行し、半田付け回数が、例えば3000回に到達までは、半田付けが継続される(
図32のS1、S2、S3、S4)。
半田付け回数が3000回に到達すると、メモリ48内の仕事数をn=1とし、Z軸軌道体7のモータ11を起動し、半田付手段8を端子21上方の原点位置まで上昇させる(
図32のS5、S6)。
次に、Y軸軌道体4のモータ9、X軸軌道体5のモータ10を起動し、半田付手段8を、掃除位置へと移動させる(
図32のS7)。
掃除位置とは、半田付手段8の磁気ギャップ16が掃除手段24のブラシ31の前方で、ブラシ31には接触していない位置である。
次に、Z軸軌道体7のモータ11を起動し、
図13~
図15に示すように、半田付手段8の磁気ギャップ16が掃除手段24のブラシ31の前方に対向する位置で、ブラシ31には接触していない位置に移動させる(
図32のS8)。
この状態で、加熱コイル18に通電するとともに、
図31のタイマー47を起動させる(
図32のS9)。
この時点(半田付手段8の磁気ギャップ16が掃除手段24のブラシ31の前方で、ブラシ31には接触していない位置)で、加熱コイル18に通電すると、磁気コア17の磁気ギャップ16部分も温度上昇し、磁気ギャップ16部に付着したフラックスを軟化させ始めることが出来る。
そして、磁気ギャップ16部に付着したフラックスの軟化が始まった状態で、Y軸軌道体4のモータ9を駆動し、
図16~
図18のように、半田付手段8の磁気ギャップ16をブラシ31側に移動させ、磁気ギャップ16内にブラシ31が進入した状態とする(
図32のS10)。
なお、本実施形態においては、加熱コイル18の通電開始から、半田付手段8の磁気ギャップ16をブラシ31側に移動させるまでの時間は、0.5秒としている。
つまり、磁気ギャップ16部に付着したフラックス全体が完全に液状の様に軟化した状態で、半田付手段8の磁気ギャップ16をブラシ31側に移動させると、フラックスがブラシ31によって磁気ギャップ16のブラシ31とは反対側に押し出され、このブラシ31によって捕集し難い状態が発生する。これに対して、加熱コイル18の通電開始から、半田付手段8の磁気ギャップ16をブラシ31側に移動させるまでの時間を、例えば、0.5秒にすると、フラックスは、軟化はしているが粘り気のある状態であり、この状態であれば、ブラシ31によって捕集することが出来るのである。
図16~
図18の状態を20秒間維持し、その後、Z軸軌道体7のモータ11を起動し、
図19~
図21に示すように、半田付手段8の磁気ギャップ16が掃除手段24のブラシ31の上方まで移動した状態とし、この
図19~
図21で加熱コイル18への通電をOFFとし、その後、Z軸軌道体7のモータ11を起動し、半田付手段8を原点位置まで上昇させる(
図32のS11、S12、S13、S14)。
この掃除工程において、掃除手段24は、ブラシ31を備え、前記ブラシ31は、中心軸から外周方向にブラシ毛が伸びた円板状としている。
このため、
図16~
図18のように、半田付手段8の磁気ギャップ16をブラシ31側に移動させ、磁気ギャップ16内にブラシ31が進入した状態とし、その後、
図19~
図21に示すように、半田付手段8の磁気ギャップ16が掃除手段24のブラシ31の上方まで移動した状態とすると、磁気ギャップ16部に付着、蓄積されたフラックスは、ブラシ31のブラシ毛にかき取られた状態となる。
つまり、磁気ギャップ16部に付着、蓄積されたフラックスは掃除された状態となり、以降の半田付け作業に支障が出ることがない。
また、本実施形態では、磁気ギャップ16内にブラシ31が進入する前から、進入状態、退出までの間、加熱コイル18に通電しているので、磁気コア17の磁気ギャップ16部分も温度上昇し、磁気ギャップ16部に付着したフラックスを軟化させることが出来るので、ブラシ31によるフラックス除去効果が高いものとなる。
このような掃除工程が終了すると、次には、掃除確認工程を実行する。
すなわち、本実施形態では、
図22~
図26にも示すように移動基体13の後方右側に掃除手段24が設けられ、移動基体13の後方左側には、掃除確認手段25を設けられている。
掃除確認手段25は、上述のごとく、検出部41を備え、検出部41は、
図27に示すように、基台43と、この基台43から上方に突出した突出部44とにより構成され、掃除確認時には、前記突出部44を、磁気ギャップ16間に進入させた状態とする構成となっている。
そこで、上記掃除工程の終了後に、Y軸軌道体4のモータ9、X軸軌道体5のモータ10を起動し、半田付手段8を、
図23~
図24の掃除確認位置へと移動させる(
図33のS1)。
この
図23~
図24の掃除確認位置で冷却期間(例えば15秒)保持し、半田付手段8の磁気ギャップ16部の温度が低下するまで待つ(
図33のS2)。
つまり、万が一磁気ギャップ16部にフラックスが残存していた時には、それを、再び硬化させ、掃除確認が行いやすくするのである。
そして、この冷却期間が終了すると、Z軸軌道体7のモータ11を起動し、半田付手段8を降下させ、
図25、
図26、
図27の様に、掃除確認手段25における検出部41の突出部44が磁気ギャップ16に進入した状態とする(
図33のS3)。
この半田付手段8の降下は、検出部41によって半田付手段8の降下を検出するまで行われる(
図33のS4)。
なお、この掃除確認時においては、
図27の位置まで半田付手段8を降下させる。
この掃除確認時における半田付手段8の降下位置(掃除におけるZ位置)は、
図34で説明した半田付け時におけるZ方向降下位置よりも0.5mm上方の位置としており、このデータはメモリ48に保持されている。
図27の状態は、磁気ギャップ16部に、フラックスが残存していない状態を示しており、この状態では、上記
図34、
図36の説明でも理解されるように、磁気コア17の先端で検出部41の基台43が押されないので、タッチスイッチよりなる検出部41はOFFとならず、ON状態を維持している。
制御部45は、タッチスイッチよりなる検出部41がOFFとならず、ON状態を維持していることで、掃除完了と判断し、次には、Z軸軌道体7のモータ11を起動し、半田付手段8をZ軸としての原点位置まで上昇させる(
図33のS5)。
そして、次の半田付け指示が無い場合には、Y軸軌道体4のモータ9、X軸軌道体5のモータ10を起動し、半田付手段8をY軸、X軸としての原点位置まで移動させ、終了となる(
図33のS6、S7、S8)。
(S6)において、次の半田付け指示があった場合、Y軸軌道体4のモータ9、X軸軌道体5のモータ10を起動し、次の半田位置に半田付手段8を移動させ、次に、Z軸軌道体7のモータ11を起動し、半田付手段8を半田位置に下降させ、
図32のS4へと移行させる(
図33のS9、S10)。
また、(
図33のS9)の次には、
図9~
図11に示した掃除手段24のモータ29を起動し、ブラシ31を10回転、つまり3600度プラス18度回転させる(
図33のS11)。
つまり、掃除完了後には、毎回、3618度ブラシ31を回転させるのである(磁気ギャップ16に対して、掃除時に対応するブラシ31部分を、毎回変化させるため)。
このブラシ回転により、ブラシ31を、捕集物除去手段として用いた円柱37にこすりつけ、ブラシ31がかき取ったフラックスをカバー35内の下方の受皿35a内に落下、除去させるのである。
つまり、カバー35内でブラシ31のブラシ毛、先端側を円柱37に、こすりつけ、ブラシ35が捕集したフラックスをカバー35内の受皿35a内へと落下、除去、移動させることで、ブラシ35のフラックス除去効果を長期間維持するのである。
また、円柱37はネジ38でカバー35内に固定され、また、カバー35はネジ39で移動基体13上に固定されているので、カバー35内の受皿35a内にフラックスが大量に蓄積されたときには、カバー35を移動基体13から取り外し、受皿35a内からフラックスを取り除き、また、円柱37もカバー35内から取り外し、簡単に掃除することが出来る。
次に、(
図33のS4)において、掃除確認時に、メモリ48で保持した上記掃除におけるZ位置よりも早くタッチスイッチよりなる検出部41がOFFになると、掃除不良処理が行われる。
図28、
図29、
図30は磁気コア17先端間の磁気ギャップ16部に残存フラックスが存在している状態を示している。
この内、
図28は、磁気コア17先端間の磁気ギャップ16部への残存フラックス量が少なく、また、磁気コア17先端への垂れ下がり状態のわずかな量の残存フラックスAが発生している状態を示している。
この場合には、磁気コア17を、上記掃除確認時のZ位置(半田付け時におけるZ方向降下位置よりも0.5mm上方位置)まで下降させても、残存フラックスAが検出部41の基台43を押し、タッチスイッチよりなる検出部41をOFFとすることは無いので、掃除不良とは判定せず、
図33のS5へと移行する。
これに対して
図29では、磁気コア17先端への垂れ下がり状態の大きな残存フラックスBが存在している状態を示している。
この場合には、磁気コア17が、上記掃除確認時のZ位置まで下降する前に、残存フラックスBが検出部41の基台43を押し、タッチスイッチよりなる検出部41をOFFとするので、掃除不良と判定する。
また、
図30は磁気コア17先端間の磁気ギャップ16部に大きな残存フラックスCが存在している状態を示している。
この場合には、磁気コア17が、上記掃除確認時のZ位置まで下降する前に、残存フラックスCが検出部41の突出部44を押し、タッチスイッチよりなる検出部41をOFFとするので、掃除不良と判定する。
(
図33のS4で)掃除不良と判定されると、次に、メモリ48内の仕事数(n)が3よりも小さいか、否かの判定が行われ、メモリ48内の仕事数(n)が3よりも小さい場合には、掃除手段24のモータ29を起動し、ブラシ31を360度プラス18度回転させ、次に、
図32のS6へと移行する(
図33のS12、S13)。
すなわち、前記制御部45は、前記掃除確認手段25によって掃除不良状態を検出すると、掃除手段24による前記磁気ギャップ16の掃除作業を、再度、実行する構成としたのである。
これに対して(
図33のS12)で仕事数(n)が3よりも多くなると、異常状態と判断し、
図31の表示灯49で異常表示を行い、終了動作を行う(
図33のS14、S8)。
図38、
図39は半田付手段8の他の例となる磁気コア50、51を示している。
Cの字状の磁気コア50と、逆Cの字状の磁気コア51の、それぞれの一端側(上端側)を重ね合わせて連続する磁路を形成し、磁気コア50、51の他端間には磁気ギャップ52を形成している。
特徴的なのは、磁気ギャップ52側を細く、長くしたことである。
つまり、半田付けする端子の近傍に、他の電子部品などが存在する時には、磁気ギャップ52側を細く、長くすることが有用となることがある。
ただし、磁気コア50、51の磁気ギャップ52側を細く、長くすると、磁気抵抗が大きくなるので、内側には磁路増加部50a、51aを設けている。
磁路増加部50a、51aは、互いに対向する側の面を内側に突出することで形成したが、ここの面積が大きくなると、その磁路増加部50a、51aからの漏れ磁束が多くなるので、内側の断面積は小さく、外側に向けて徐々に大きくなる形状とした。
また、この磁路増加部50a、51a間の距離は、磁気ギャップ52の距離よりも大きくした。
図40は半田付手段8の他の例となる磁気コア53、54を示している。
ほぼ直線状の磁気コア53と、逆Cの字状の磁気コア54の、それぞれの一端側(上端側)を重ね合わせて連続する磁路を形成し、磁気コア53、54の他端間には磁気ギャップ55を形成している。
特徴的なのは、磁気コア53を略直線状としたことである。
つまり、半田付けする端子の近傍に、他の電子部品などが存在する時には、磁気コア53を略直線状にすることが有用となることがある。