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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083758
(43)【公開日】2023-06-16
(54)【発明の名称】足場板におけるハッチ装置
(51)【国際特許分類】
   E04G 5/08 20060101AFI20230609BHJP
【FI】
E04G5/08 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021197629
(22)【出願日】2021-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000101662
【氏名又は名称】アルインコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077791
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 収二
(72)【発明者】
【氏名】北 翔磨
(57)【要約】
【課題】足場板の開口部を蓋体により開閉自在とするハッチ装置を提供する。
【解決手段】開放姿勢(P2)とされた蓋体を左右一対のリンクアーム(20)を起立姿勢(Q2)で固定ロック状態(K)にすることにより保持する姿勢保持機構(16)と、前記ロックを解除してロック解除状態(K)にすることによりリンクアーム(20)を折畳み姿勢(Q1)とするための解除機構(24)を設けた構成において、作業者が解除機構(24)を操作する正規の使用法ではなく、指先等で直接に一方のリンクアーム(20)をロック解除状態(K)にしたときでも、他方のリンクアーム(20)はロック解除状態(K)を維持するように構成したアーム連動機構(27)を設けている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
足場板の上下空間を連通する開口部を蓋体により開閉自在に閉鎖して成るハッチ装置であり、前記蓋体(8)は、開口部(7)の枠部に枢結された基端部の枢軸(10)を中心として、開口部を閉鎖した閉鎖姿勢(P1)と、起立することにより開口部を開放した開放姿勢(P2)との間で回動される構成において、前記蓋体を開放姿勢とした状態で保持する姿勢保持機構(16)と、該保持を解除する解除機構(24)が設けられており、
前記姿勢保持機構(16)は、前記蓋体(8)に回動自在に軸支された操作軸(18)と、前記操作軸の両端の軸端部(18a)と前記開口部(7)の左右両側枠部の間に跨設された左右一対のリンクアーム(20)により構成され、
前記リンクアーム(20)は、蓋体を開放姿勢(P2)から閉鎖姿勢(P1)に向けて回動したとき、前記操作軸に押動されて前進移動することにより開口部の側枠部に沿う折畳み姿勢(Q1)とされ、蓋体を閉鎖姿勢(P1)から開放姿勢(P2)に向けて回動したとき、前記操作軸に牽引されて後進移動することにより起立姿勢(Q2)とされ、
前記起立姿勢(Q2)においてリンクアームの係合部(21)を前記左右両側枠部に設けたロック溝(23)に落とし込み嵌入することにより固定ロック状態(L)とされ、該固定ロック状態で蓋体の開放姿勢(P2)を保持するように構成されており、
前記解除機構(24)は、操作片(25)により回動される操作軸(18)の解除方向(V) の回動をリンクアーム(20)に伝達することによりリンクアームを解除方向(W)に回動させ、前記固定ロック状態(L)とされたリンクアームをロック溝から引き上げ脱出させたロック解除状態(K)とするように構成されて成ることを特徴とする足場板におけるハッチ装置。
【請求項2】
足場板の上下空間を連通する開口部を蓋体により開閉自在に閉鎖して成るハッチ装置であり、前記蓋体(8)は、開口部(7)の枠部に枢結された基端部の枢軸(10)を中心として、開口部を閉鎖した閉鎖姿勢(P1)と、起立することにより開口部を開放した開放姿勢(P2)との間で回動される構成において、前記蓋体を開放姿勢とした状態で保持する姿勢保持機構(16)と、該保持を解除する解除機構(24)が設けられており、
前記姿勢保持機構(16)は、前記蓋体(8)に回動自在に軸支された操作軸(18)と、前記開口部(7)の左右両側枠部に沿って設けられた左右一対の案内支持手段(19)と、前記操作軸の両端の軸端部(18a)と案内支持手段(19)の間に跨設された左右一対のリンクアーム(20)により構成され、前記リンクアーム(20)は、基端部の軸支孔(20a)に前記軸端部(18a)を嵌挿すると共に、先端部の係合部(21)を前記案内支持手段(19)の案内路(22)に摺動自在に係合しており、
前記リンクアーム(20)は、蓋体を開放姿勢(P2)から閉鎖姿勢(P1)に向けて回動したとき、前記操作軸に押動されて前記係合部(21)を前記案内路(22)に沿って前進移動することにより開口部の側枠部に沿う折畳み姿勢(Q1)とされ、
蓋体を閉鎖姿勢(P1)から開放姿勢(P2)に向けて回動したとき、前記操作軸に牽引されて前記係合部(21)を前記案内路(22)に沿って後進移動することにより起立姿勢(Q2)とされ、前記係合部(21)を前記案内路の端部に連設されたロック溝(23)に落とし込み嵌入することにより固定ロック状態(L)とされ、該固定ロック状態で蓋体の開放姿勢(P2)を保持するように構成されており、
前記解除機構(24)は、前記操作軸を回動する操作片(25)と、前記操作軸の軸端部(18a)と、該軸端部を嵌挿したリンクアームの軸支孔(20a)により構成され、操作軸(18)の解除方向(V)の回動をリンクアーム(20)に伝達することによりリンクアームを解除方向(W)に回動させ、前記固定ロック状態(L)とされた係合部をロック溝から引き上げ脱出したロック解除状態(K)とするように構成されると共に、前記軸端部(18a)と軸支孔(20a)の間にアーム連動機構(27)を構成しており、
前記アーム連動機構(27)は、リンクアーム(20)から軸端部(18a)に向けて伝達される解除方向の回動に関して、リンクアームを前記固定ロック状態(L)からロック解除状態(K)となる角度θcの範囲で回動したとき、リンクアームの回動を軸端部に伝達しない又は軸端部を前記角度θcよりも小さい角度だけ回動させるように構成されて成る
ことを特徴とする足場板におけるハッチ装置。
【請求項3】
前記係合部(21)は、リンクアーム(20)の先端部から側方に突出するピンにより形成されており、
前記案内支持手段(19)の案内路(22)は、前記係合部を摺動自在に挿入した状態で上下から保持する上下縁部(22a,22b)を備えたスロットにより形成され、該スロットの端部から下向きに凹設された凹部により前記ロック溝(23)を形成しており、
前記スロットの上縁部(22a)をロック溝(23)の上方位置に延長することにより、係合部(21)の上動を制限する上動規制手段(22c)を構成して成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の足場板におけるハッチ装置。
【請求項4】
前記解除機構(24)を構成する操作片(25)は、基端部の軸支孔(25a)に前記操作軸(18)を嵌挿した操作レバーにより構成されており、
操作片(25)を解除方向(U)に回動したとき、該操作片の軸支孔(25a)と操作軸(18)の間に設けた連動遅延機構(26)を介して操作軸を解除方向(V)に回動させるように構成され、
前記連動遅延機構(28)は、操作片(25)を解除方向(U)に回動したとき、該操作片が所定角度θaを超えて回動するまでは、操作片の回動を操作軸に伝達させないように構成されて成ることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の足場板におけるハッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足場板の上下空間を連通する開口部を蓋体により開閉自在に閉鎖したハッチ装置において、蓋体を起立した開放姿勢の状態で保持するための姿勢保持機構を設けたものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、足場板により作業床を上下階層状に構築した仮設足場において、一部の足場板には上下空間を連通する開口部と該開口部を開閉自在に閉鎖する蓋体を備えたハッチ装置が設けられ、前記開口部に臨んで梯子や階段等の昇降手段が設置されている。これにより、作業者は、蓋体を開放姿勢として開口部を開口させた状態で、昇降手段を昇降することにより、上下階の間を往来することができる。
【0003】
また、足場板をチェーン等で吊下げることにより構築された吊り足場においても、同様のハッチ装置が設けられており、緊急時の避難や、その他の目的のために使用される。
【0004】
このようなハッチ装置は、常時は、蓋体で開口部を閉鎖することにより作業者の転落を防止するが、上述の目的のために蓋体を起立させることにより開口部を開放し、目的を達成した後は、再び、蓋体を閉鎖姿勢とすることにより開口部を閉鎖する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3820360号公報
【特許文献2】特許第5978148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ハッチ装置の蓋体は、、開口部の枠部に枢結された基端部の枢軸を中心として、開口部を閉鎖した閉鎖姿勢と、起立することにより開口部を開放した開放姿勢との間で回動されるように構成することが望ましい。
【0007】
この際、蓋体は、起立した開放姿勢から閉鎖姿勢に向けて自重等により簡単に回動するので、蓋体を開放姿勢の状態で保持するための姿勢保持機構を設けることが望ましい。
【0008】
姿勢保持機構は、種々の手段により構成することが可能であるが、閉鎖姿勢と開放姿勢の間における蓋体の回動動作を円滑に行わせ、しかも、開放姿勢とされた蓋体を確実かつ安定して保持できるようにするためには、蓋体に回動自在に軸支された操作軸と、開口部の左右両側枠部に沿って設けられた左右一対の案内支持手段と、操作軸の両端の軸端部と案内支持手段の間に跨設された左右一対のリンクアームにより構成することが好ましい。
【0009】
これによれば、リンクアームは、蓋体を閉鎖姿勢から開放姿勢に向けて回動したとき、操作軸により牽引されるリンクアームの先端部を案内支持手段の案内路に沿って後進移動させると共に、起立姿勢とされたリンクアームの先端部に設けた係合部を案内路の端部に設けられたロック溝に落とし込み嵌入させるように構成することができるので、固定ロックされたリンクアームにより、蓋体の開放姿勢を確実に保持することが可能になる。
【0010】
ところで、上記のように構成された姿勢保持機構の保持を解除する解除手段は、従来の場合、リンクアームに操作片を設け、作業者(ユーザ)が操作片を介してリンクアームを持ち上げることにより、固定ロックを解除させるように構成しているが、蓋体を閉鎖姿勢に向けて回動するときリンクアームのロックが折畳み方向に移動するため、作業者の手指をリンクアームに接近させることは危険であり望ましくない。
【0011】
そこで、蓋体の開放姿勢の保持を解除するためには、操作軸に操作レバーを設けることにより、操作軸を解除方向に回動させるように構成し、これによりリンクアームを解除方向に回動させ、前記係止部をロック溝から引き上げて脱出させることによりロックを解除するように構成した解除機構を設けることが好ましい。
【0012】
ところが、ロック解除を行う際に、作業者(ユーザ)は、開放姿勢とされた蓋体の左右両側で起立姿勢とされたリンクアームを視認したとき、従来技術に倣って、指先で直接にリンクアームを回動させ、前記係止部をロック溝から脱出させれば、これによりロックを解除して蓋体を閉鎖姿勢にすることができると認識し得るので、その場合、前記操作レバーを操作する正規の使用方法ではなく、指先で直接にリンクアームを押動してロックを解除しようとするおそれがある。
【0013】
しかしながら、このような場合、左右一対のリンクアームのうち、一方のリンクアームのロックが解除されるや否や、両方のリンクアームのロックが解除され、蓋体が自重により一挙に閉鎖方向に回動し、これと同時にリンクアームが折畳み方向に移動するので、作業者の指を詰める等の危険がある。
【0014】
本発明は、上述のようなリンクアームにより蓋体の開放姿勢を確実かつ安定的に保持する姿勢保持機構を設けると共に、蓋体を開放姿勢から閉鎖姿勢に向けて姿勢変更する際の作業の安全性を確保したハッチ装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
そこで、本発明が第1の手段として構成したところは、足場板の上下空間を連通する開口部を蓋体により開閉自在に閉鎖して成るハッチ装置であり、前記蓋体は、開口部の枠部に枢結された基端部の枢軸を中心として、開口部を閉鎖した閉鎖姿勢と、起立することにより開口部を開放した開放姿勢との間で回動される構成において、前記蓋体を開放姿勢とした状態で保持する姿勢保持機構と、該保持を解除する解除機構が設けられており、前記姿勢保持機構は、前記蓋体に回動自在に軸支された操作軸と、前記操作軸の両端の軸端部と前記開口部の左右両側枠部の間に跨設された左右一対のリンクアームにより構成され、前記リンクアームは、蓋体を開放姿勢から閉鎖姿勢に向けて回動したとき、前記操作軸に押動されて前進移動することにより開口部の側枠部に沿う折畳み姿勢とされ、蓋体を閉鎖姿勢から開放姿勢に向けて回動したとき、前記操作軸に牽引されて後進移動することにより起立姿勢とされ、前記起立姿勢においてリンクアームの係合部を前記左右両側枠部に設けたロック溝に落とし込み嵌入することにより固定ロック状態とされ、該固定ロック状態で蓋体の開放姿勢を保持するように構成されており、前記解除機構は、操作片により回動される操作軸の解除方向の回動をリンクアームに伝達することによりリンクアームを解除方向に回動させ、前記固定ロック状態とされたリンクアームをロック溝から引き上げ脱出させたロック解除状態とするように構成されて成る点にある。
【0016】
また、本発明が第2の手段として構成したところは、足場板の上下空間を連通する開口部を蓋体により開閉自在に閉鎖して成るハッチ装置であり、前記蓋体は、開口部の枠部に枢結された基端部の枢軸を中心として、開口部を閉鎖した閉鎖姿勢と、起立することにより開口部を開放した開放姿勢との間で回動される構成において、前記蓋体を開放姿勢とした状態で保持する姿勢保持機構と、該保持を解除する解除機構が設けられており、前記姿勢保持機構は、前記蓋体に回動自在に軸支された操作軸と、前記開口部の左右両側枠部に沿って設けられた左右一対の案内支持手段と、前記操作軸の両端の軸端部と案内支持手段の間に跨設された左右一対のリンクアームにより構成され、前記リンクアームは、基端部の軸支孔に前記軸端部を嵌挿すると共に、先端部の係合部を前記案内支持手段の案内路に摺動自在に係合しており、前記リンクアームは、蓋体を開放姿勢から閉鎖姿勢に向けて回動したとき、前記操作軸に押動されて前記係合部を前記案内路に沿って前進移動することにより開口部の側枠部に沿う折畳み姿勢とされ、蓋体を閉鎖姿勢から開放姿勢に向けて回動したとき、前記操作軸に牽引されて前記係合部を前記案内路に沿って後進移動することにより起立姿勢とされ、前記係合部を前記案内路の端部に連設されたロック溝に落とし込み嵌入することにより固定ロック状態とされ、該固定ロック状態で蓋体の開放姿勢を保持するように構成されており、前記解除機構は、前記操作軸を回動する操作片と、前記操作軸の軸端部と、該軸端部を嵌挿したリンクアームの軸支孔により構成され、操作軸の解除方向の回動をリンクアームに伝達することによりリンクアームを解除方向に回動させ、前記固定ロック状態とされた係合部をロック溝から引き上げ脱出したロック解除状態とするように構成されると共に、前記軸端部と軸支孔の間にアーム連動機構を構成しており、前記アーム連動機構は、リンクアームから軸端部に向けて伝達される解除方向の回動に関して、リンクアームを前記固定ロック状態からロック解除状態となる角度の範囲で回動したとき、リンクアームの回動を軸端部に伝達しない又は軸端部を前記角度よりも小さい角度だけ回動させるように構成されて成る点にある。
【0017】
好ましい実施形態において、前記係合部は、リンクアームの先端部から側方に突出するピンにより形成されており、前記案内支持手段の案内路は、前記係合部を摺動自在に挿入した状態で上下から保持する上下縁部を備えたスロットにより形成され、該スロットの端部から下向きに凹設された凹部により前記ロック溝を形成しており、前記スロットの上縁部をロック溝の上方位置に延長することにより、係合部の上動規制手段を構成している。
【0018】
更に好ましい実施形態において、前記解除機構を構成する操作片は、基端部の軸支孔に前記操作軸を嵌挿した操作レバーにより構成されており、操作片を解除方向に回動したとき、該操作片の軸支孔と操作軸の間に設けた連動遅延機構を介して操作軸を解除方向に回動させるように構成され、前記連動遅延機構は、操作片を解除方向に回動したとき、該操作片が所定角度を超えて回動するまでは、操作片の回動を操作軸に伝達させないように構成されている。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、蓋体8は、姿勢保持機構16により、左右一対のリンクアーム20L、20Rを左右一対の案内支持手段19L、19Rに案内させながら折畳み姿勢Q1と起立姿勢Qの間で回動させられるので、回動の動作が円滑となる。しかも、開放姿勢P2とされた蓋体8は、左右両側から固定ロック状態Lとされたリンクアーム20L、20Rにより支持されるので、開放姿勢P2が確実かつ安定して保持され、安全に作業を行うことができる。
【0020】
そして、アーム連動機構27の構成により、蓋体8を開放姿勢P2に保持したリンクアーム20L、20Rに関して、作業者が指先で一方のリンクアーム20L(20R)を回動させることにより係止部21を固定ロック状態Lからロック解除状態Kまで上動させた場合でも、他方のリンクアーム20R(20L)は固定ロック状態Lを維持しており、蓋体8を開放姿勢P2としたまま保持しているので、指を負傷する等の危険を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の1実施形態に係るハッチ装置を設けた足場板に関して、蓋体を閉鎖姿勢として開口部を閉鎖した状態を示す斜視図である。
図2】本発明の1実施形態に係るハッチ装置を設けた足場板に関して、蓋体を開放姿勢として開口部を開口した状態を示す斜視図である。
図3】ハッチ装置を示しており、(A)は開口部と蓋体を分離した状態で示す斜視図、(B)はリンクアームの先端部と案内手段を示す斜視図である。
図4】蓋体を開放姿勢とした状態で示す斜視図である。
図5】姿勢保持機構と解除機構に関して、(A)は全体を示す斜視図、(B)は一方のリンクアームの固定ロック状態を拡大して示す斜視図、(C)は他方のリンクアームの固定ロック状態を拡大して示す斜視図である。
図6】姿勢保持機構と解除機構の作用に関して、(A)は蓋体が閉鎖姿勢とされた状態を示す側面図、(B)は蓋体が閉鎖姿勢から開放姿勢に向けて回動中の状態を示す側面図、(C)は開放姿勢とされた蓋体が固定ロック状態とされたリンクアームにより保持された状態を示す側面図である。
図7】姿勢保持機構と解除機構の作用に関して、(A)は蓋体を開放姿勢から閉鎖姿勢とするための操作方法を示す側面図、(B)は蓋体が開放姿勢から閉鎖姿勢に向けて回動中の状態を示す側面図である。
図8】解除機構の1実施形態に関して、操作軸と操作片及びリンクアームの軸支孔との関係を示す斜視図である。
図9】解除機構に関して、(A)及び(B)は操作片の軸支孔と操作軸との関係を示す断面図、(C)及び(D)は操作軸の軸端部とリンクアームの軸支孔との関係を示す断面図、(E)は解除方向に関する操作片の回動角度とリンクアームの回動角度の関係を説明する側面図である。
図10】操作片と操作軸とリンクアームの作用に関して、(A)は操作片を解除方向に第1段階だけ回動したときの状態を示す側面図、(B)は拡大図である。
図11】操作片と操作軸とリンクアームの作用に関して、(A)は操作片を解除方向に第2段階まで回動したときの状態を示す側面図、(B)は拡大図である。
図12】操作片と操作軸とリンクアームの作用に関して、(A)は操作片を解除方向に第3段階まで回動したときの状態を示す側面図、(B)は拡大図である。
図13】リンクアームと操作軸の間におけるアーム連動機構の作用に関して、リンクアームを解除方向に回動したときの状態を示す側面図である。
図14】(A)は左右のリンクアームが固定ロック状態で起立姿勢とされた状態を示す斜視図、(B)は一方のリンクアームが解除方向に回動された状態を示す斜視図、(C)は一方のリンクアームの係合部がロック溝から脱出したロック解除状態を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳述する。
【0023】
図1及び図2は、ハッチ装置を設けた足場板1を例示している。図例の場合、仮設足場を構築するための足場板を図示しているが、これに限定されるものではなく、吊り足場を構築するための足場板としても良い。
【0024】
足場板1は、並設された一対の桁側フレーム2、2の両端部を妻側フレーム3により連結した長方形の枠組を構成しており、図例の場合、桁側フレーム2、2の各端部に固設されたフック金具を介して仮設足場の横架材に架設することにより使用される。
【0025】
長方形の枠組は、長手方向の中間部に位置して桁側フレーム2、2を中間フレーム4により連結しており、これにより、第1枠部1Aと第2枠部1Bを形成している。
【0026】
第1枠部1Aは、床板5を敷設しており、作業床を提供する。これに対して、第2枠部1Bは、足場板1の上下空間を連通する開口部7を形成し、該開口部7を開閉自在に閉鎖する蓋体8を設けることにより、ハッチ装置6を構成している。この際、蓋体8は、前記床板5と同一材料を使用した蓋板9を設けており、閉鎖状態としたとき、蓋板9が床板5と面一に支持されるように構成し、これにより作業床を提供する。
【0027】
(ハッチ装置)
前記開口部7は、図3(A)に示すように、桁側フレーム2、2と妻側フレーム3及び中間フレーム4により枠組み形成されており、それぞれにより、開口基枠7a、開口先端枠部7b、開口両側枠部7c、7dが構成されている。
【0028】
前記蓋体8は、図3(A)及び図4に示すように、蓋基枠部8a、蓋先端枠部8b、蓋両側枠部8c、8dにより矩形に枠組み形成され、枠組を上から前記蓋板9により被い、前記開口部7に嵌入することにより該開口部7を閉鎖する。尚、蓋体8は、閉鎖状態において、開口部7の枠部に形成された載置部に載置され、下方から支持される。
【0029】
前記蓋体8の枠組を構成する蓋基枠部8aの両端から突設された枢軸10を開口両側枠部7c、7dに形成された枢支孔に軸支することにより、蓋体6は、基端側の枢軸10を中心として、開口部7を閉鎖した閉鎖姿勢P1と、傾動起立して開口部7を開放した開放姿勢P2との間で回動するように構成されている。尚、枢軸10と枢支孔の関係は、反対に構成しても良く、つまり、枢軸10を開口両側枠部7c、7dに設け、枢支孔を蓋基枠部8aの両端に設けても良い。
【0030】
(閉鎖係止機構)
閉鎖姿勢P1としたとき、蓋先端枠部8bの両端部を開口両側枠部7c、7dに係脱自在に係止ロックするための閉鎖係止機構11が設けられている。閉鎖係止機構11は、蓋先端枠部8bの両端部から進退自在に突出する先端係止部12aを有する一対のロッド部材12と、前記先端係止部12aを挿入係止するように開口両側枠部7c、7dに設けた係止孔(図示省略)により構成されている。
【0031】
前記ロッド部材12は、蓋板9の下面に設けられた支持金具13を介して蓋先端枠部8bに沿って摺動自在に支持され、スプリング14により、先端係止部12aを突出させるように弾発付勢されている。
【0032】
前記ロッド部材12の尾端部は、ほぼU形に折り返して折曲することによりグリップ部12bを形成しており、蓋板9には、左右一対のロッド部材12、12のグリップ部12bに臨む窓孔15が開設されている(図1参照)。
【0033】
図示省略しているが、前記先端係止部12aにはガイドテーパ面が形成されており、蓋体8を開放姿勢P2から閉鎖姿勢P1に向けて回動したとき、ガイドテーパ面が係止孔のボス部に摺擦され、ロッド部材12をスプリング14に抗して摺動させることにより先端係止部12aを後退させ、先端係止部12aが係止孔に臨むと同時にスプリング14により突出させて挿入係止する自動係止ロック構造が構成されている。
【0034】
開口部7を開口させるため、閉鎖係止機構11により係止ロックされた蓋体9を閉鎖姿勢P1から開放姿勢P2とするときは、作業者の手指を前記窓孔15に挿入し、左右一対のロッド部材12、12のグリップ部12b、12bを握持することにより、グリップ部12b、12bを相互に近接させる方向にロッド部材12、12をスプリング14に抗して移動すれば、先端係止部12aが係止孔から抜き出され、係止ロックが解除される。これにより、蓋体8は、枢軸10を中心として起立方向に回動することにより、開放姿勢P2とすることができる。
【0035】
(姿勢保持機構)
前記蓋体8を開放姿勢P2とした状態で保持するための姿勢保持機構16が設けられている。図3ないし図5に示すように、姿勢保持機構16は、蓋体8の蓋板9の下面にブラケット17を介して回動自在に軸支された操作軸18と、前記開口部7の開口両側枠部7b、7cに沿って設けられた左右一対の案内支持手段19L、19R(左右を区別しないときは単に案内支持手段19という場合がある)と、前記操作軸18の両端の軸端部18aと案内支持手段19の間に跨設された左右一対のリンクアーム20L、20R(左右を区別しないときは単にリンクアーム20という場合がある)により構成されている。
【0036】
前記リンクアーム20は、基端部に前記操作軸18の軸端部18aを嵌挿し、先端部の側方に突設されたピンから成る係合部21を前記案内支持手段19に設けた案内路22に摺動自在に係合している。この際、案内路22は、前記係合部21を摺動自在に挿入した状態で上下から保持する上下縁部22a、22bを備えたスロットにより形成され、該スロットの端部から下向きに凹設された凹部によりロック溝23を形成しており、スロットの上縁部22aをロック溝23の上方位置に延長し、該延長部により係合部21の上動を制限する上動規制手段22cを構成している。
【0037】
尚、図面に示す案内支持手段19L、19Rは、案内路21の両端に一対の凹部を設けているが、これは同一構成とした案内支持手段19により左勝手19Lと右勝手19Rを兼用させるためであり、案内路22の先端側(開口基枠部7aに臨む側)の凹部は、機能的には不要なものであると理解されたい。
【0038】
これにより、係合部21は、案内路22に沿って進退移動方向に摺動自在に係合されている。以下、案内路22の先端側(開口先端枠部7bに臨む側)に向かう移動を「前進移動」とし、反対に、案内路22の基端側(開口基枠部7aに臨む側)に向かう移動を「後進移動」として説明する。
【0039】
図6(A)に示すように、蓋体8を閉鎖姿勢P1としたとき、リンクアーム20は、操作軸18の軸端部18aと案内路22の間において、開口側枠部7c(7d)に沿う折畳み姿勢Q1とされ、係合部21を前進移動させ、案内路22の先端側に位置させている。
【0040】
この状態から、蓋体8を開放姿勢P2に向けて回動すると、図6(B)に示すように、リンクアーム20は、基端部が操作軸18の軸端部18aに牽引されることにより、係合部21を案内路22に沿って後進移動しつつ、係合部21から軸端部18aに向けて起立方向に傾動する。
【0041】
そこで、図6(C)に示すように、蓋体8が開放姿勢P2に達したとき、リンクアーム20は、案内路22に沿って後進移動した係合部21がロック溝23に落とし込み嵌入されることにより固定ロックされる(以下、この状態を「固定ロック状態L」という)。これにより、リンクアーム20は、係合部21から軸端部18aに向けて傾斜起立する起立姿勢Q2とされた状態で、前進移動及び後進移動が阻止されており、蓋体8を開放姿勢P2として保持する。
【0042】
姿勢保持機構16は、蓋体8に軸支した操作軸18の両端の軸端部18a、18aと開口部7の開口両側枠部7c、7dの相互において、左右一対のリンクアーム20L、20Rを左右一対の案内支持手段19L、19Rに案内させながら折畳み姿勢Q1と起立姿勢Q2の間で姿勢変更させるように構成されている。従って、蓋体8の姿勢を左右両側から保持することにより、蓋体8の回動時の動作を円滑に行うことができるので、枢軸10の歪変形等を招来するおそれはない。
【0043】
そして、開放姿勢P2とされた蓋体8は、左右両側から固定ロック状態Lとされたリンクアーム20L、20Rにより支持されているので、開放姿勢P2として確実かつ安定して保持され、外力等を受けたときでも、蓋体8が閉鎖姿勢P1に向けて不慮に回動するという危険はなく、安全に作業を行うことができる。
【0044】
(解除機構)
前記蓋体8を開放姿勢P2から閉鎖姿勢P1とするために、リンクアーム20の固定ロック状態Lを解除する解除機構24が設けられている。図5及び図8に示すように、解除機構24は、前記操作軸18を回動する操作レバーから成る操作片25と、操作片25と操作軸18の間に設けた連動遅延機構26により構成されている。更に、操作軸18の軸端部18aとリンクアームの基端部の間には、アーム連動機構27が構成されている。
【0045】
図7(A)に示すように、リンクアーム20を起立姿勢Q2とした状態で、作業者が操作片25を指先で解除方向U(操作レバー持ち上げ方向)に回動すると、操作軸18の回動を介してリンクアーム20が解除方向Wに回動され、係止部21をロック溝23から引き上げることにより脱出させ、固定ロック状態が解除される(以下、この状態を「ロック解除状態K」という)。これにより、図7(B)に示すように、リンクアーム20の係合部21を案内路21に沿って前進移動させながら、蓋体8を開放姿勢P2から閉鎖姿勢P1に向けて回動することができる。
【0046】
この際、引き上げられた係止部21は、ロック溝23から脱出したロック解除状態Kにおいて、上動規制手段22cに当接することにより上動が規制され、これにより、位置決めされた状態で案内路21に向けて好適に前進移動させられる。
【0047】
ところで、リンクアーム20の固定ロックを解除するための機構に関して、本発明に対する比較例を説明すると、仮に、操作軸18の軸端部18aをリンクアーム20の基端部に直結(一体固定)し、操作軸18を操作片25の基端部に直結(一体固定)した構成とする場合は、次のような危険がある。即ち、第一の危険として、作業者が操作片25に触れたとき直ちに操作軸18が回動されるので、同時に左右一対のリンクアーム20L、20Rの固定ロックが解除され、不慮に蓋体8が閉鎖姿勢P1に向けて回動するおそれがあり、作業者の身体を負傷する危険がある。また、第二の危険として、発明の課題に関して上述したように、もしも、作業者が指先で一方のリンクアーム20L(R)を回動させることにより固定ロック状態を解除すると、これにより操作軸18が回動され、他方のリンクアーム20R(L)も同時に固定ロック状態が解除されるので、蓋体8が一挙に閉鎖姿勢P1に向けて回動し、折畳み姿勢Q1に向けて移動するリンクアーム20により、作業者の指等を負傷する危険がある。
【0048】
(連動遅延機構及びアーム連動機構)
そこで、このような危険を防止するため、前記連動遅延機構26は、操作片25を解除方向に回動したとき、該操作片25が所定角度を超えて回動するまでは、操作片25の回動を操作軸18に伝達させないように構成されている。つまり、操作片25は、解除方向の回動に遊びを有しており、操作軸18の回動開始を遅延させる。従って、作業者は、指先で操作片25を回動する際、遊びを超えて操作軸18(更にはリンクアーム20)に回動が伝達されるときの負荷を指先で感じることにより、リンクアーム20の固定ロック状態Lが解除されることを予知しながら安全に作業を行うことができる。
【0049】
また、前記アーム連動機構27は、操作軸18の解除方向の回動をリンクアーム20に伝達する経路とは反対の経路、つまり、リンクアーム20の解除方向の回動を操作軸18の軸端部18aに伝達する経路に関して、リンクアーム20を前記固定ロック状態Lからロック解除状態Kとなる角度θxの範囲で解除方向Wに回動した場合、リンクアーム20の回動が軸端部18aに伝達されないか、又は伝達を許すとしても、軸端部18aを前記角度θxよりも小さい角度だけしか回動させないように構成している。
【0050】
従って、もしも、左右のリンクアーム20L、20Rのうち、作業者が指先で一方のリンクアーム20L(29R)を回動させ、係止部21を固定ロック状態Lからロック解除状態Kまで上動させても、他方のリンクアーム20R(L)は固定ロック状態Lを維持している。これにより、蓋体8の開放姿勢P2が保持され、蓋体8が閉鎖姿勢P1に向けて回動することはない。
【0051】
図示実施形態の場合、図8に示すように、操作軸18を全長にわたり断面角形とされたロッドにより形成すると共に、操作片25の基端部とリンクアーム20の基端部にそれぞれロッドの断面と相似形とされた角形の軸支孔25a及び軸支孔20aを形成しており、操作軸18を操作片25の軸支孔25aに遊嵌状態で挿通することにより連動遅延機構26を構成し、操作軸18の軸端部18aをリンクアーム20の軸支孔20aに遊嵌状態で挿通することによりアーム連動機構27を構成している。
【0052】
図8に示す実施例において、操作軸18の断面形状は、一方の辺X1と他方の辺X2を備えた矩形(好ましくはX1=X2の正方形)に形成され、操作片25の軸支孔25aの形状は、一方の辺Y1と他方の辺Y2を備えた矩形(好ましくはY1=Y2の正方形)に形成され、リンクアーム20の軸支孔20aの形状は、一方の辺Z1と他方の辺Z2を備えた矩形(好ましくはZ1=Z2の正方形)に形成されており、それぞれの辺の長さは、X1<Y1<Z1かつX2<Y2<Z2となるように構成されている。
【0053】
この点に関して、操作片25と操作軸18の関係を図9(A)(B)に示している。図9(A)に示すように操作片25の軸支孔25aの中心に操作軸18を遊嵌した状態から、図9(B)に示すように操作片25を解除方向Uに回動しても、操作片25の軸支孔25aの回動は、直ちに操作軸18に伝達されることはない。図9(B)に示すように操作片25が所定角度を超えて回動するとき、軸支孔25aと操作軸18の辺Y及び辺Xないし角部が当接して咬み合い、それ以上に操作片25が回動されたときに操作軸18を同行して回動させる。
【0054】
また、操作軸18の軸端部18aとリンクアーム20の軸支孔20aの関係を図9(C)(D)に示している。図9(C)に示すように軸端部18aが軸支孔29aの中心に遊嵌されている状態から、上述の操作片25の回動を受けた操作軸18の軸端部18aが図9(D)に示すように解除方向Vに回動しても、軸端部18aの軸支孔20aの回動は、直ちに軸支孔20aに伝達されることはない。図9(D)に示すように軸端部18aが所定角度を超えて回動するとき、軸端部18aと軸支孔20aの辺X及び辺Zないし角部が当接して咬み合い、それ以上に軸端部18aが回動されたときに軸支孔20aと共にリンクアーム20を同行して回動させる。
【0055】
上記の構成に関して、図9(E)は、リンクアーム20を固定ロック状態Lとして起立姿勢Q2とした状態で、操作片25を解除方向Uに回動したときの作用を示している。操作片25は、待機位置0から、順次、位置a、位置b、位置cのように回動される。この際、位置bから位置cまで回動されたとき、リンクアーム20を角度θcだけ持ち上げ、係合部20をロック溝22から脱出させる。
【0056】
操作片25は、第1段階として、前記待機位置0から前記位置aに回動したとき、図10に示すように、角度θaだけ回動されるが、この回動範囲は、操作片25の遊びとされている。つまり、操作片25の回動は操作軸18に伝達されないので、操作軸18は回動しない。操作片25が位置aまで回動されたとき、初めて、軸支孔25aと操作軸18の辺
Y及び辺Xないし角部が当接して咬み合う。
【0057】
引き続き、第2段階として、操作片25を前記位置aから前記位置bに回動したとき、図11に示すように、角度θbだけ回動される。このとき、軸支孔25aと操作軸18の当接した辺Yと辺Xを介して、操作軸18を解除方向Vに同じ角度θbだけ同行して回動させる。しかしながら、この第2段階では、操作軸18の回動は、リンクアーム20の軸支孔20aに伝達されず、リンクアーム20は回動しない。第2段階において、操作軸18が角度θbだけ回動されたとき、初めて、操作軸18と軸支孔20aの辺X及び辺Zないし角部が当接して咬み合う。
【0058】
そこで、更に引き続いて、第3段階として、操作片25を前記位置bから前記位置cに回動すると、図12に示すように、角度θcだけ回動される。このとき、相互に咬合した辺Y及び辺Xないし角部を介して操作軸18が同じ角度θcだけ同行して回動されると共に、相互に咬合した辺X及び辺Zないし角部を介してリンクアーム20が解除方向Wに同じ角度θcだけ回動される。このとき、リンクアーム20の係合部20がロック溝22から脱出させられ、固定ロック状態Lからロック解除状態Kに移動する。
【0059】
図13及び図14は、作業者が操作軸18を回動する正規の方法ではなく、手指等で直接にリンクアーム20だけを解除方向Wに回動したときにおける前記アーム連動機構27の作用を示している。
【0060】
前記アーム連動機構27は、左右のリンクアーム20L、20Rのうち、一方のリンクアーム20Rの軸支孔20aに一方の軸端部18aを嵌挿し、所定姿勢とした状態で固定しており、他方の軸端部18aを他方のリンクアーム20Lの軸支孔20aの中心に嵌挿している。図例の場合、一方の軸端部18aは、軸端面にビス28を螺着することにより一方のリンクアーム20Rに固定されている。以下、一方のリンクアーム20Rを固定側のリンクアーム20Rとし、他方のリンクアーム20Lを遊動側のリンクアーム20Lとして説明する。
【0061】
上述のように、遊動側のリンクアーム20Lは、操作軸18の軸端部18aとリンクアーム20Lの軸支孔20a間において、辺X及び辺ZをX<Zとして構成されており、正規の使用方法で操作片25により操作軸18を解除方向Vに回動した場合は、軸端部18aが角度θbまで回動されたとき辺Xないし角部が軸支孔20aの辺Zないし角部に当接され、軸端部18aが更に角度θcまで回動されたときリンクアーム20Lの軸支孔20aを同行して回動することにより、リンクアーム20Lを同じ角度θcだけ解除方向Wに回動させるように構成されている。
【0062】
(固定側のリンクアームを回動したときの作用)
そこで、正規の使用方法ではなく、左右一対のリンクアームのうち、固定側のリンクアーム20Rを解除方向Wに向けて角度θcまで回動したときの作用を説明する。尚、リンクアーム20Rが角度θcまで回動されると、係合部20がロック溝22に係止した固定ロック状態Lから係止解除したロック解除状態Lまで上動するが、上動規制手段22cにより係止部20の上動が規制されているので、角度θcを超えて回動することはない。
【0063】
固定側のリンクアーム20Rを角度θcまで回動すると、これに固定された操作軸18も角度θcまで回動する。しかしながら、遊動側のリンクアーム20Lは、角度θcよりも小さい角度θx(θx=θc―θb)しか回動しない。従って、遊動側のリンクアーム20Lは、係止部21を固定ロック状態Lとして維持している。
【0064】
(遊動側のリンクアームを回動したときの作用)
反対に、左右一対のリンクアームのうち、遊動側のリンクアーム20Lを解除方向Wに向けて角度θcまで回動したときの作用を説明する。
【0065】
遊動側のリンクアーム20Lが角度θcまで回動したとき、該アーム20Lの係合部20がロック溝22に係止した固定ロック状態Lから係止解除したロック解除状態Lまで上動する。しかしながら、操作軸10は角度θcよりも小さい角度θx(θx=θc―θb)しか回動しない。このため、固定側のリンクアーム20Rは、角度θcまで回動することはなく固定ロック状態Lを維持している。因みに、この場合も、上動規制手段22cにより係止部20の上動を規制しているので、遊動側のリンクアーム20Lが前記角度θcを超えて回動することはない。
【0066】
(別の実施形態)
前記操作軸18の軸端部18aの辺Xと軸支孔20aの辺ZをX<Zに形成することにより構成されたアーム連動機構27は、遊動側のリンクアーム20Lにおいて、辺Xと辺Zないし角部が当接するまでの回動角度θbと、該リンクアーム20Lの係止部21を固定ロック状態Lからロック解除状態Kまで上動させる回動角度θcの関係を、θb>θcに形成することができる。
【0067】
この場合、固定側のリンクアームRを解除方向Wに向けて角度θcまで回動することにより、操作軸18を同じ角度θcまで回動しても、操作軸18の回動は遊動側のリンクアーム20Lの軸支孔20aに伝達されないので、遊動側のリンクアーム20Lが回動することはない。
【0068】
反対に、遊動側のリンクアームLを解除方向Wに向けて角度θcまで回動しても、遊動側のリンクアーム20Lの回動は操作軸18に伝達されないので、固定側のリンクアームRが回動することはない。
【0069】
上記のようなアーム連動機構27の構成によれば、蓋体8を開放姿勢P2として保持したリンクアーム20L、20Rに関して、作業者が正規の使用方法ではなく、指先で一方のリンクアーム20L(20R)を回動させることにより係止部21を固定ロック状態Lからロック解除状態Kまで上動させた場合でも、他方のリンクアーム20R(20L)は固定ロック状態Lを維持しているので、蓋体8を開放姿勢P2のまま保持させることができ、作業者の指を負傷する等の危険を防止することが可能である。
【0070】
(更に別の実施形態)
前記アーム連動機構27は、図示実施形態の場合、操作軸18(軸端部18a)の断面形状と軸支孔20aの孔形状を矩形として、辺X及び辺ZをX<Zに形成することにより構成しているが、本発明は、このような構成に限定されるものではない。例えば、断面ほぼ円形のロッドから成る操作軸18の表面に軸方向に延びるリブを設けると共に、該操作軸18を挿入するリンクアーム20の軸支孔20aに前記リブを遊挿する溝を設け、解除方向の回動に関して、リブと溝側面の相互に遊びとなる空間を形成することにより、アーム連動機構27を構成しても良い。この場合、操作軸18のリブと軸支孔20aの溝の間において、上述のような一方を角度θcまで回動したとき、他方が角度θcよりも小さい角度θx(θx=θc―θb)しか回動しない関係を形成することができ、これにより、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0071】
1 足場板
1A 第1枠部
1B 第2枠部
2 桁側フレーム
3 妻側フレーム
4 中間フレーム
5 床板
6 ハッチ装置
7 開口部
7a 開口基枠部
7b 開口先端枠部
7c、7d 開口両側枠部
8 蓋体
8a 蓋基枠部
8b 蓋先端枠部
8c、8d 蓋両側枠部
9 蓋板
10 枢軸
11 閉鎖係止機構
12 ロッド部材
12a 先端係止部
12b グリップ部
13 支持金具
14 スプリング
15 窓孔
16 姿勢保持機構
17 ブラケット
18 操作軸
18a 軸端部
19L、19R 案内支持手段
20L、20R リンクアーム
20a 軸支孔
21 係合部
22 案内路
22a 上縁部
22b 下縁部
22c 上動規制手段
23 ロック溝
24 解除機構
25 操作片
25a 軸支孔
26 連動遅延機構
27 アーム連動機構
28 ビス
P1 閉鎖姿勢
P2 開放姿勢
Q1 折畳み姿勢
Q2 起立姿勢
U、V、W 解除方向
L 固定ロック状態
K ロック解除状態
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14