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  • 特開-模擬花びら、花造形体及び置物 図1
  • 特開-模擬花びら、花造形体及び置物 図2
  • 特開-模擬花びら、花造形体及び置物 図3
  • 特開-模擬花びら、花造形体及び置物 図4
  • 特開-模擬花びら、花造形体及び置物 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083766
(43)【公開日】2023-06-16
(54)【発明の名称】模擬花びら、花造形体及び置物
(51)【国際特許分類】
   A41G 1/00 20060101AFI20230609BHJP
【FI】
A41G1/00 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021197646
(22)【出願日】2021-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】521532927
【氏名又は名称】クラリス・フラワーデザイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125265
【弁理士】
【氏名又は名称】貝塚 亮平
(72)【発明者】
【氏名】矢吹 順子
(57)【要約】
【課題】実際の花を基にしたものや造花にかかわらず、花本来の鑑賞性の低下を抑制しつつメッセージ性の付与等の付加価値を容易に高めることができるようにする。
【解決手段】花造形体2は、複数の花びら4を備えた花本体としてのプリザーブドフラワー6と、花びら4とは異なる材質で構成され、複数の花びら4間に挿し込んで混成配置された模擬花びら8a、8b、8cと、を有している。プリザーブドフラワー6は赤色の一輪のバラを特殊処理してなる。各模擬花びら8a、8b、8cは、例えば表面が黒色系の布生地10で花びら4の外郭を模して構成され、その表面には文字11a、11b、11cが貼り付けなどによって表示されている。模擬花びら8a、8b、8cは布地の質感を呈しており、色は、花びら4が赤色系であるのに対して黒色系である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の花びらを備えた花造形体の前記花びら間に混成配置される模擬花びらであって、
前記花びらとは異なる材質で構成されていることを特徴とする模擬花びら。
【請求項2】
前記花びら間に挿し込んで配置可能な構成を有していることを特徴とする請求項1に記載の模擬花びら。
【請求項3】
色、形状のうち少なくとも一つが前記花びらとは異なることを特徴とする請求項1又は2に記載の模擬花びら。
【請求項4】
文字及び/又は図柄が表示されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の模擬花びら。
【請求項5】
複数の前記花びらを備えた花本体と、前記花びらとは異なる材質で構成され、前記花びら間に該花びらよりも少ない数をもって混成配置される模擬花びらと、を有する花造形体であって、
前記模擬花びらが請求項1乃至4のいずれか一項に記載のものであることを特徴とする花造形体。
【請求項6】
前記模擬花びらが前記花びら又は前記花本体に固定されていることを特徴とする請求項5に記載の花造形体。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の花造形体を透明又は半透明の容器に収容してなる置物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は模擬花びら、該模擬花びらを含む花造形体及び該花造形体を備えた置物に関する。
【背景技術】
【0002】
誕生日祝いや引っ越し祝い、店舗の開店祝いなどにおいて、例えば生花のブーケを贈呈することが行われているが、生花は保存期間(鑑賞期間)が極めて短いことから、近年においては、長期保存が可能なプリザーブドフラワー等が好まれている。プリザーブドフラワーやドライフラワーあるいは造花等、花の形をした花造形体は、ケースに収容してパッケージ化したものもあり、生花のブーケに比べて記念品や贈呈品としての商品性が高く、インテリア性も有している。
【0003】
しかしながら、プリザーブドフラワー等の花造形体は花としての鑑賞性を有するに止まり、単調性を否めない。この点に関して、例えば特許文献1には、メッセージ性を付与して付加価値を高めたメッセージフラワーが提案されている。この特許文献1に開示されたメッセージフラワーは、クレープペーパーなどで作製した造花として構成され、お祝いの文字列や図柄を切り抜き加工で表現した切り抜き装飾を施す構成となっている。切り抜き装飾は花びらや葉に直接施してもよく、後付けとしてもよい構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3233219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のメッセージフラワーのように、切り抜き装飾を花びらや葉に直接施す作業は、造花においては花造形体の組み立て前にパンチング等の手段により花びらや葉に加工できるため、困難性はない。しかしながら、実際の花を基にしたプリザーブドフラワーやドライフラワーには、花びらを分離できないタイプのものも存在するため、特にそのようなものにおいては作業が煩雑で面倒である。加えて、花びらや葉に直接切り抜き加工を施すことは、技術上容易でないため製作費がかさむおそれがあるうえに、花びらの素材感を低減させることにもなる。また、文字列等の切り抜き装飾を後付けする構成では、細くて繊細な切り抜き装飾が花びら等の外部に突出して存在するため、花びらのまとまり感が阻害され、花本来の鑑賞性が低下することを否めなかった。
【0006】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、実際の花を基にしたものや造花にかかわらず、花本来の鑑賞性の低下を抑制しつつメッセージの付与等によって付加価値を容易に高めることができる模擬花びら、及びそれを用いた花造形体及び置物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の模擬花びらは、複数の花びら(4)を備えた花造形体(2)の花びら(4)間に混成配置される模擬花びら(8a、8b、8c)であって、花びら(4)とは異なる材質で構成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る模擬花びらによれば、模擬花びらが花びらとは異なる材質で構成されていることによって、質感の違いによる異質性を混在させることができる。それにより、花本来の鑑賞性の低下を抑制しつつ、重厚感や高級感、華やかさ等を付与でき、付加価値を高めることができる。
【0009】
また、上記の模擬花びら(8a、8b、8c)は、花びら(4)間に挿し込んで配置可能な構成を有していることを特徴とする。これによれば、花びらを分離できないタイプのプリザーブドフラワーやドライフラワーにおいても後工程で容易に配置でき、花造形体の作成が容易となる。また、配置のやり直しが任意にできるため、最終的な花造形体のデザイン決定における自由度を高めることができる。造花においても組み立て後の配置が可能であるため、同様の利点を享受できる。
【0010】
また、上記の模擬花びら(8a、8b、8c)は、色、形状のうち少なくとも一つが花びら(4)とは異なることを特徴とする。これによれば、質感の違いとも相まって、付加価値をさらに高めることができる。
【0011】
また、上記の模擬花びら(8a、8b、8c)は、文字及び/又は図柄が表示されていることを特徴とする。これによれば、文字や図柄によるメッセージ性を付与することができ、付加価値をさらに高めることができる。
【0012】
また、上記目的を達成するために、本発明の花造形体は、複数の花びら(4)を備えた花本体(6)と、花びら(4)とは異なる材質で構成され、花びら(4)間に該花びら(4)よりも少ない数をもって混成配置される模擬花びら(8a、8b、8c)と、を有する花造形体(2)であって、模擬花びら(8a、8b、8c)が上記いずれかの構成を備えたものであることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る花造形体によれば、模擬花びらの材質が異なることによって質感の違いによる異質性を混在させることができ、花本来の鑑賞性の低下を抑制しつつ、重厚感や高級感、華やかさ等を付与でき、付加価値を高めることができる。また、花びらを分離できないタイプのプリザーブドフラワーやドライフラワーにおいても後工程で容易に配置でき、花造形体の作成が容易となる。また、配置のやり直しが任意にできるため、最終的な花造形体のデザイン決定における自由度を高めることができる。造花においても組み立て後の配置が可能であるため、同様の利点を享受できる。また、模擬花びらの色、形状のうち少なくとも一つが花びらとは異なる場合には、質感の違いとも相まって、付加価値をさらに高めることができる。また、模擬花びらに文字及び/又は図柄が表示されている場合には、文字や図柄によるメッセージ性を付与することができ、付加価値をさらに高めることができる。
【0014】
また、上記の花造形体(2)では、模擬花びら(8a、8b、8c)が花びら(4)又は花本体(6)に固定されていてもよい。これによれば、花造形体に外部からの強い振動が加わった場合などにおいても、花造形体の形崩れを防止することができる。
【0015】
また、上記目的を達成するために、本発明の置物(12)は、上記いずれかの構成を備えた花造形体を透明又は半透明の容器(18)に収容してなることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る置物によれば、花造形体の経年劣化を抑制できるとともに、記念品や贈呈品としての取り扱い性、流通性を向上させることができ、インテリア性の向上も図ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、実際の花を基にしたものや造花にかかわらず、花本来の鑑賞性の低下を抑制しつつメッセージ性の付与等の付加価値を容易に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る花造形体を示す平面図である。
図2図1で示した花造形体を構成する各模擬花びらの平面展開図である。
図3図1で示した花造形体における模擬花びらの配置方法を示す斜視図である。
図4図1で示した花造形体を構成する各模擬花びらの形状の変形例を示す図である。
図5図1で示した花造形体を収容した置物を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係る花造形体2をその上側から見た状態を示している。例えば店舗の開店祝いなど各種の贈呈品としての花造形体2は、複数の花びら4を備えた花本体としてのプリザーブドフラワー6と、プリザーブドフラワー6の花びら4とは異なる材質で構成され、複数の花びら4間に挿し込んで混成配置された模擬花びら8a、8b、8cと、を有している。プリザーブドフラワー6は、例えば赤色などの色の一輪のバラなどの花を、プリザーブドフラワーを制作するための周知の方法で処理したものである。各模擬花びら8a、8b、8cは、図2に示すように、複数の花びら4のまとまり感を阻害しないように、表面が例えば黒色系の布生地10で花びら4の外郭を模して形成されている。模擬花びら8aには「To the future with you」の文字11a、模擬花びら8bには「Excellent」の文字11b、模擬花びら8cには会社名の文字11cがそれぞれ例えば金色など布生地10自体とは異なる色で表示されている。ここでの文字(文字列の概念を含む)11a、11b、11cは、着色以外にも例えば金箔の貼り付けなどの手法によって表示してもよい。また、図示は省略するが、会社名の文字11cに加えて、会社のロゴマークなどの図柄を合わせて表示してもよい。なお、模擬花びら8a、8b、8cに会社名やロゴマークを表示する場合は、当該会社名やロゴマークが他の花びらなどで隠れないような配置で記載することが望ましい。あるいは、ロゴマークや会社名を表示する模擬花びら8a、8b、8cは、特にロゴマークや会社名の部分が他の花びらで隠れないように、他の花びらができる限り重ならない位置に配置することが望ましい。
【0021】
各模擬花びら8a、8b、8cは、材質の違いにより花びら4とは質感(光沢、表面性状の概念を含む)が異なるとともに、色、形状のうち少なくとも一つが異なっている。ここでは質感と共に色が異なっている。すなわち、プリザーブドフラワー6の各花びら4は実際のバラなどの生花が素材となっているために限りなく実際の花に近い質感を有しているのに対し、模擬花びら8a、8b、8cは布地など人工物の質感を呈している。色は、例えば、花びら4が赤色系であるのに対して模擬花びら8a、8b、8cは黒色系であり、重厚なコントラストを呈している。また、文字11a、11b、11cが例えば金色であるためにその重厚感が一層高められているとともに、高級感、華やかさも醸し出されている。
【0022】
図1に示すように、各模擬花びら8a、8b、8cは花びら4の形状に模して作製されているので、複数の花びら4のまとまりの中で形状的な違和感がない状態でメッセージ付与による付加価値が高められている。プリザーブドフラワー6の基本を構成する各花びら4には何らの加工も施していないので、花びら4自体に人工的な加工痕が残ることによる素材感の低下もない。バラの花としての花びらのまとまり感が阻害されず、異素材の付加による外観の見劣りを、特許文献1に記載の切り抜き装飾を後付けするような構成に比べて抑制することができる。
【0023】
模擬花びら8a、8b、8cは、花びら4間に挿し込んで配置可能な構成を有している。なお、ここでいう「挿し込んで配置可能」とは、花びら4間に違和感なく挿し込める厚みを有し、且つ、挿し込んだ際に各花びら4の湾曲形状に沿って変形可能な柔軟性を有し又は湾曲状に曲げ癖を付けることが可能な材質を有することを意味する。
【0024】
模擬花びら8a、8b、8cは、予め花本体としてのプリザーブドフラワー6とは別部材として多種多様なデザインものが作製され、花造形体2を作製する者が質感、色、形状等のデザイン性の観点から依頼者等の要求に沿って任意に選択できるものである。図3に示すように、模擬花びら8aは、例えば花びら4の湾曲に沿った若干の曲げ癖を付けた状態で花びら4間の隙間に挿し込んで配置され、挿し込みによる部材間の摩擦によって保持される。必要な場合には接着剤やテープ等の接合手段で花びら4に部分的に固定するようにしてもよい。模擬花びら8b、8cについても同様である。単に花びら4の間に挿し込む配置仕様であるので、実際の花を基にしたものや造花にかかわらず後加工的に模擬花びら8a、8b、8cを配置することができる。これにより、花びら4に直に文字等の加工をする方式に比べて、複数の模擬花びら8a、8b、8cの位置を任意に変えて最終的に花造形体2の外観デザインを決定できる自由度(利点)を有している。また、花びら4の素材感を損なうこともない。
【0025】
本実施形態では各模擬花びら8a、8b、8cを同じ外形形状としたが、例えば図4(a)に符号8a′で示すように、下方両端部を斜めにカットした形状としてもよい。また図4(b)に符号8b′で示すように、下方中央を尖らせた形状としてもよく、図4(c)に符号8c′で示すように、下方に尖った部分を2つ有する形状としてもよい。下方を尖らせた形状の場合、材質が金属やプラスチック等の硬質素材であれば、花びら4やプリザーブドフラワー6の芯に突き刺して固定することもできる。
【0026】
次に、模擬花びら8a、8b、8cの材質等について説明する。上記では布生地10を例示したが、それ以外にも、金属製薄板やプラスチックフィルム、厚紙、シフォン系素材、メッシュ素材等でもよい。形状も上記に限定されない。模擬花びら8a、8b、8cの本体(材質生地)への文字及び/又は図柄の表示方法としては、印刷、貼付、熱融着、火炎による焦がし、塗布(スプレーによるものを含む)等の方法を採用することができる。特に金属板の場合には、パンチング、エッチングやレーザーによる表面処理、ショットピーニング等による文字や図柄を表示することができる。また、シフォン系素材、メッシュ素材に文字を貼付する等の構成では、模擬花びら8a、8b、8cの生地の繊細さとも相まって、華やかさを付加することができる。
【0027】
図5は、花造形体2を備えた置物12を示している。置物12は、上記の花造形体2と、該花造形体2を保持する透明な容器状の花ホルダ14と、花ホルダ14が固定された台座プレート16と、これらの外側を密閉状態に覆う透明又は半透明のボックス形状の容器18とを有している。容器18としては、例えばガラス製やアクリル製のものを採用することができる。このように花造形体2をパッケージ化することにより、記念品や贈呈品としての取り扱い性、流通性が向上するとともに、インテリア性も向上し、花造形体2の経年劣化も抑制することができる。
【0028】
上記の実施形態では花本体としてプリザーブドフラワー6を例示したが、本発明はこれに限定されず、生花、ドライフラワーや造花についても同様に実施することができる。花の種類や色も上記に限定されない。造花については、元々実際の花びらを模した花びらで構成されるものであるが、本発明における模擬花びらは、造花を構成する花びらとも異なる材質で構成されることにより明確に区別されるものである。模擬花びら8の数は上記の3つに限定されず、花本体6の花としての外観(鑑賞性等)を損なわない範囲で適宜に決定されるものである。なお、模擬花びら8の数は花本体6の花びら4の数よりも少ない数であることが望ましいが、必ずしもそれに限定される訳では無い。
【0029】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、模擬花びら8a、8b、8cを花びら4間に後加工的に挿し込んで配置する構成としたが、造花の花造形体2を組み付ける段階で、造花の花びら要素と共に重ね合わせるようにして配置してもよい。また、造花に限らず、模擬花びら8a、8b、8cを線材で支持して花びら間に組み付け配置するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0030】
2 花造形体
4 花びら
6 プリザーブドフラワー(花本体)
8a、8b、8c 模擬花びら
10 布生地
11a、11b、11c 文字
12 置物
14 花ホルダ
16 台座プレート
18 容器
図1
図2
図3
図4
図5