(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083788
(43)【公開日】2023-06-16
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法および情報処理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20230101AFI20230609BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20230609BHJP
【FI】
G06Q10/06
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021197683
(22)【出願日】2021-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100190942
【弁理士】
【氏名又は名称】風間 竜司
(72)【発明者】
【氏名】櫻田 孔司
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA06
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】適切な相手に気軽に相談しやすくすることが可能な、新規かつ改良された情報処理装置を提供する。
【解決手段】他の装置と通信する通信部と、ユーザ間でのコミュニケーションの開始しやすさを定量的に表す心理的距離を算出する心理的距離算出部と、前記ユーザが利用する端末から他のユーザとの交流を要求する交流要求メッセージが前記通信部により受信されると、前記心理的距離に基づいて、前記交流要求メッセージの送信先を決定する制御部と、を備える、情報処理装置が提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の装置と通信する通信部と、
ユーザ間でのコミュニケーションの開始しやすさを定量的に表す心理的距離を算出する心理的距離算出部と、
前記ユーザが利用する端末から他のユーザとの交流を要求する交流要求メッセージが前記通信部により受信されると、前記心理的距離に基づいて、前記交流要求メッセージの送信先を決定する制御部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記心理的距離算出部は、前記ユーザの各々の位置情報に基づいて、前記ユーザ間の距離を算出し、
前記ユーザ間の距離に基づいて前記心理的距離を算出し、
前記心理的距離は、前記ユーザ間の距離が短いほど、短くなるように算出される、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記交流要求メッセージの送信元である端末を利用するユーザである要求元ユーザからの前記心理的距離が短いユーザから順に、複数のユーザを、前記交流要求メッセージの送信先として決定し、
前記心理的距離が短いユーザから順に前記交流要求メッセージが送信されるよう、送信順序を決定する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記交流要求メッセージの送信先のユーザとして決定された送信先ユーザの各々からの応答待機時間を、前記要求元ユーザとの前記心理的距離が短いユーザほど、前記応答待機時間が相対的に長くなるように設定し、
前記送信先ユーザが前記交流要求メッセージに対し応答したか否かを検出する、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記送信先ユーザが前記交流要求メッセージに対し応答したか否かを、前記送信先ユーザが前記交流要求メッセージに対する応答メッセージを送信したことにより検出する、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記送信先ユーザが利用する端末に前記交流要求メッセージが送信された後、当該交流要求メッセージに設定された応答待機時間内に当該送信先ユーザが応答したことが検出されなかった場合に、当該送信先ユーザの次に前記心理的距離が短い他の送信先ユーザが利用する端末に対して、前記通信部に前記交流要求メッセージを送信させる、請求項4または5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記送信先ユーザのうち、前記要求元ユーザからの前記心理的距離が最も短いユーザが利用する端末に対して、前記通信部から、前記交流要求メッセージおよび前記交流要求メッセージの送信手順情報を送信させる制御を行い、
前記送信手順情報は、前記送信先ユーザの各々が利用する端末を示す情報、前記送信順序、前記応答待機時間、および、送信指示情報を含み、
前記送信指示情報は、前記ユーザが利用する端末の各々に、前記応答待機時間内に該端末のユーザが前記交流要求メッセージに対する応答をしたことが検出されず、かつ、前記送信順序に該端末の次の送信先を指定する情報が含まれている場合、前記送信順序に従って、該端末の次の送信先に指定されている端末に対して、前記交流要求メッセージおよび前記送信手順情報を送信させる指示である、
請求項4または5に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記交流要求メッセージの要求元ユーザとの前記心理的距離が基準範囲内である1以上のユーザを、前記メッセージの送信先として決定する、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記送信先のユーザの各々が利用する端末に、前記要求元ユーザの位置を示す情報を、前記交流要求メッセージとともに出力させる、請求項2から8のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記心理的距離算出部は、前記ユーザの各々の状態を示す状態情報に基づいて、前記心理的距離を算出する、請求項2から9のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記状態情報は、前記ユーザの各々がどの程度リラックスした状態であるかを示すリラックス度である、請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記心理的距離算出部は、前記ユーザが位置するエリアに応じて前記ユーザのリラックス度を決定する、請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記心理的距離算出部は、前記ユーザの各々が利用する端末により検出された前記ユーザのリラックス度を取得する、請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項14】
ネットワーク計算部をさらに備え、
前記制御部は、前記交流要求メッセージを解析して前記メッセージに関連するキーワードを決定し、
前記ネットワーク計算部は、前記交流要求メッセージに応答したユーザの識別情報、前記キーワード、および、前記キーワードに関連する交流要求メッセージに該ユーザが応答した累計回数、を関連付けて、ノウフーデータとして記憶部に記憶させる制御を行い、
前記心理的距離算出部は、前記ノウフーデータに基づいて、前記心理的距離を算出する、請求項10から13のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記心理的距離算出部は、各ユーザが前記キーワードに関連する交流要求メッセージに応答した累計回数に基づいて、各ユーザの前記キーワード毎の知識強度を示す知識マッチ度を算出し、
前記算出の結果に基づいて、前記交流要求メッセージに含まれる前記キーワードへの前記知識マッチ度が高いユーザほど、前記要求元ユーザとの心理的距離が短くなるように前記心理的距離を算出する、請求項14に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記制御部は、前記交流要求メッセージに対して前記送信先のユーザが応答したことを、前記要求元ユーザと該送信先のユーザ間の交流として検出し、
前記ネットワーク計算部は、前記検出の結果に基づいて、各ユーザ間で交流が行われた回数を算出し、
前記算出の結果に基づいて、各ユーザ間の結びつきの強度を示す紐帯強度データを出力し、
前記心理的距離算出部は、前記紐帯強度データに基づいて前記心理的距離を算出する、請求項15に記載の情報処理装置。
【請求項17】
前記制御部は、前記送信先のユーザが、該送信先のユーザが利用する端末から前記交流要求メッセージに対する応答メッセージを送信したことを、前記交流として検出する、請求項16に記載の情報処理装置。
【請求項18】
前記心理的距離算出部は、前記ユーザ間の距離、前記ユーザの各々の状態情報、前記ユーザの各々の知識マッチ度、および、前記ユーザ間の紐帯強度をパラメータとして用い、前記パラメータの各々に、所定の重み値を掛け合わせることにより、前記心理的距離を算出する、請求項16または17のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項19】
他の装置と通信することと、
ユーザ間でのコミュニケーションの開始しやすさを定量的に表す心理的距離を算出することと、
前記ユーザが利用する端末から他のユーザとの交流を要求する交流要求メッセージが受信されると、前記心理的距離に基づいて、前記交流要求メッセージの送信先を決定することと、
を含む、コンピュータにより実行される情報処理方法。
【請求項20】
他の装置と通信する通信部と、
ユーザ間でのコミュニケーションの開始しやすさを定量的に表す心理的距離を算出する心理的距離算出部と、
前記ユーザが利用する端末から他のユーザとの交流を要求する交流要求メッセージが前記通信部により受信されると、前記心理的距離に基づいて、前記交流要求メッセージの送信先を決定する制御部と、
を含む、情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法および情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
組織の構成員の各々が保有する知識を構成員間で共有することは、新たな知識の創造に有効と考えられる。例えば、特許文献1には、組織の構成員の行動情報から様々な知識項目について情報を有している構成員を抽出し、また、構成員間の対話情報から各構成員間の親密度を決定することによって、情報を求めている検索者が、目的の知識を有している人を知り、その人と、その人と自分との間につながりを有している中間者と、を知ることができる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、目的の知識を有している人を知ることが出来ても、実際に話しかける、または、メールを送るなどの行動をとることに心理的ハードルを感じる場合がある。このような理由により、適切な相談相手が誰かを知るだけでは、気軽に相談することが難しいという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、適切な相手に気軽に相談しやすくすることが可能な、新規かつ改良された情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、他の装置と通信する通信部と、ユーザ間でのコミュニケーションの開始しやすさを定量的に表す心理的距離を算出する心理的距離算出部と、前記ユーザが利用する端末から他のユーザとの交流を要求する交流要求メッセージが前記通信部により受信されると、前記心理的距離に基づいて、前記交流要求メッセージの送信先を決定する制御部と、を備える、情報処理装置が提供される。
【0007】
前記心理的距離算出部は、前記ユーザの各々の位置情報に基づいて前記ユーザ間の距離を算出し、前記ユーザ間の距離に基づいて前記心理的距離を算出し、前記心理的距離は、前記ユーザ間の距離が短いほど、短くなるように算出されてもよい。
【0008】
前記制御部は、前記交流要求メッセージの送信元である端末を利用するユーザである要求元ユーザからの前記心理的距離が短いユーザから順に、複数のユーザを、前記交流要求メッセージの送信先として決定し、前記心理的距離が短いユーザから順に前記交流要求メッセージが送信されるよう、送信順序を決定してもよい。
【0009】
前記制御部は、前記交流要求メッセージの送信先のユーザとして決定されたユーザの各々からの応答待機時間を、前記要求元ユーザとの前記心理的距離が短いユーザほど、前記応答待機時間が相対的に長くなるように設定し、前記送信先ユーザが前記交流要求メッセージに対し応答したか否かを検出してもよい。
【0010】
前記制御部は、前記送信先ユーザが前記交流要求メッセージに対し応答したか否かを、前記送信先ユーザが前記交流要求メッセージに対する応答メッセージを送信したことにより検出してもよい。
【0011】
前記制御部は、前記送信先ユーザが利用する端末に前記交流要求メッセージが送信された後、当該交流要求メッセージに設定された応答待機時間内に当該送信先ユーザが応答したことが検出されなかった場合に、当該送信先ユーザの次に前記心理的距離が短い他の送信先ユーザが利用する端末に対して、前記通信部に前記交流要求メッセージを送信させてもよい。
【0012】
前記制御部は、前記送信先ユーザのうち、前記要求元ユーザからの前記心理的距離が最も短いユーザが利用する端末に対して、前記通信部から、前記交流要求メッセージおよび前記交流要求メッセージの送信手順情報を送信させる制御を行ってもよく、前記送信手順情報は、前記送信先ユーザの各々が利用する端末を示す情報、前記送信順序、前記応答待機時間、および、送信指示情報を含んでもよく、前記送信指示情報は、前記ユーザが利用する端末の各々に、前記応答待機時間内に該端末のユーザが前記交流要求メッセージに対する応答をしたことが検出されず、かつ、前記送信順序に該端末の次の送信先を指定する情報が含まれている場合、前記送信順序に従って、該端末の次の送信先に指定されている端末に対して、前記交流要求メッセージおよび前記送信手順情報を送信させる指示であってもよい。
【0013】
前記制御部は、前記交流要求メッセージの要求元ユーザとの前記心理的距離が基準範囲内である1以上のユーザを、前記メッセージの送信先として決定してもよい。
【0014】
前記制御部は、前記送信先のユーザの各々が利用する端末に、前記要求元ユーザの位置を示す情報を、前記交流要求メッセージとともに出力させてもよい。
【0015】
前記心理的距離算出部は、前記ユーザの各々の状態を示す状態情報に基づいて、前記心理的距離を算出してもよい。
【0016】
前記状態情報は、前記ユーザの各々がどの程度リラックスした状態であるかを示すリラックス度であってもよい。
【0017】
前記心理的距離算出部は、前記ユーザが位置するエリアに応じて前記ユーザのリラックス度を決定してもよい。
【0018】
前記心理的距離算出部は、前記ユーザの各々が利用する端末により検出された前記ユーザのリラックス度を取得してもよい。
【0019】
前記情報処理装置は、ネットワーク計算部をさらに備えてもよく、前記制御部は、前記交流要求メッセージを解析して前記メッセージに関連するキーワードを決定し、前記ネットワーク計算部は、前記交流要求メッセージに応答したユーザの識別情報、前記キーワード、および、前記キーワードに関連する交流要求メッセージに該ユーザが応答した累計回数、を関連付けて、ノウフーデータとして記憶部に記憶させる制御を行い、前記心理的距離算出部は、前記ノウフーデータに基づいて、前記心理的距離を算出してもよい。
【0020】
前記心理的距離算出部は、各ユーザが前記キーワードに関連する交流要求メッセージに応答した累計回数に基づいて、各ユーザの前記キーワード毎の知識強度を示す知識マッチ度を算出してもよく、前記算出結果に基づいて、前記交流要求メッセージに含まれる前記キーワードへの前記知識マッチ度が高いユーザほど、前記要求元ユーザとの心理的距離が短くなるように前記心理的距離を算出してもよい。
【0021】
前記制御部は、前記交流要求メッセージに対して前記送信先ユーザが応答したことを、前記要求元ユーザと該送信先ユーザ間の交流として検出し、前記ネットワーク計算部は、前記検出結果に基づいて、各ユーザ間で交流が行われた回数を算出し、前記算出結果に基づいて、各ユーザ間の結びつきの強度を示す紐帯強度データを出力し、前記心理的距離算出部は、前記紐帯強度データに基づいて前記心理的距離を算出してもよい。
【0022】
前記制御部は、前記送信先ユーザが、該送信先ユーザが利用する端末から前記交流要求メッセージに対する前記応答メッセージを送信したことを、前記交流として検出してもよい。
【0023】
前記心理的距離算出部は、前記ユーザ間の距離、前記ユーザの各々の状態情報、前記ユーザの各々の知識マッチ度、および、前記ユーザ間の紐帯強度をパラメータとして用い、前記パラメータの各々に、所定の重み値を掛け合わせることにより、前記心理的距離を算出してもよい。
【0024】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、他の装置と通信することと、ユーザ間でのコミュニケーションの開始しやすさを定量的に表す心理的距離を算出することと、前記ユーザが利用する端末から他のユーザとの交流を要求する交流要求メッセージが受信されると、前記心理的距離に基づいて、前記交流要求メッセージの送信先を決定することと、を含む、コンピュータにより実行される情報処理方法が提供される。
【0025】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、他の装置と通信する通信部と、ユーザ間でのコミュニケーションの開始しやすさを定量的に表す心理的距離を算出する心理的距離算出部と、前記ユーザが利用する端末から他のユーザとの交流を要求する交流要求メッセージが前記通信部により受信されると、前記心理的距離に基づいて、前記交流要求メッセージの送信先を決定する制御部と、を含む、情報処理システムが提供される。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように本発明によれば、適切な相手に気軽に相談しやすくすることが可能な、新規かつ改良された情報処理装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一実施形態による情報処理システムの概要を説明するための説明図である。
【
図2】同実施形態による端末10および情報処理装置20の構成例を説明する説明図である。
【
図3】同実施形態による情報処理システムの動作例を示すフローチャートである。
【
図4】同実施形態による心理的距離算出部264により収集される状況データの具体例を説明する説明図である。
【
図5】同実施形態による心理的距離算出部264が算出する心理的距離算出結果T20を示す説明図である。
【
図6】同実施形態による制御部260が決定する、送信先ユーザ、送信順序、および、各送信先ユーザ毎の応答待機時間の具体例を説明する説明図である。
【
図7】同実施形態によるノウフーデータの一例を示す説明図である。
【
図8】同実施形態による紐帯強度データの一例を示す説明図である。
【
図9】同実施形態による心理的距離算出部264が算出する心理的距離算出結果T21を示す説明図である。
【
図10】同実施形態による情報処理システムの、交流要求メッセージの送信制御を説明するための概念図である。
【
図11】同実施形態の変形例2による情報処理システムの、交流要求メッセージの送信制御を説明するための概念図である。
【
図12】同実施形態の変形例2による通信部220が送信する送信手順情報の具体例を説明する説明図である。
【
図13】同実施形態による情報処理装置20のハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0029】
また、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットまたは数字を付して区別する場合もある。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、複数の構成要素の各々に同一符号のみを付する。
【0030】
<1.本発明の一実施形態による情報処理システムの概要>
本発明の一実施形態は、ユーザ間で、ある事項について他のユーザに相談または雑談をしたいときに生じ得る、話しかけづらいという心理的ハードルを低減して、適切な相手に気軽に相談することを可能とする情報処理システムに関する。本実施形態は、例えば、同一の組織の構成員の各々の間で、互いに質問または相談を行う場合、および知識の共有を促進したい場合などに適用される。以下、本実施形態では、ユーザUの各々が同一のオフィスビルで勤務している状況を想定し説明を行う。
【0031】
図1は、本実施形態による情報処理システムの概要を説明するための説明図である。
図1に示したように、本実施形態による情報処理システムは、複数のユーザUと、ユーザUが利用する端末10A~10Eと、情報処理装置20とを含む。端末10と情報処理装置20とは、ネットワーク5を介して通信可能に構成されている。
【0032】
本実施形態において、上記複数のユーザUは、各ユーザを一意に識別可能とするユーザIDを付与されている。
図1に示した例では、各ユーザを示す符号U1~U5の後に括弧書きで示したID123~ID127が、ユーザU1~U5に割り振られた各々のユーザIDを示す。なお、本実施形態においては、ユーザIDを3桁の数字としたが、本発明はこの例に限定されない。ユーザIDは、各ユーザを一意に識別可能とする情報であればよく、形式は特に限定されない。
【0033】
また、本実施形態において、ユーザUの各々は、
図1に示した通り、目的別にエリア分けされた、複数の場所のいずれかに居る場合を想定する。
図1に示した例では、ユーザUの各々が居るオフィスビル内にA04エリア(休憩エリア)~A07エリア(個室エリア)の、4つのエリアがあり、ユーザUの各々は、当該4つのエリアのいずれかに居る場合を想定して説明する。
【0034】
A04エリア(休憩エリア)は、ユーザUが休憩することを目的としたエリアである。A05エリア(交流エリア)は、ユーザU間で、雑談、打ち合わせ、または、相談などの交流を行うことを目的としたエリアである。A06エリア(集中エリア)は、集中して作業をしたいときに利用されるエリアである。A07エリア(個室エリア)は、来客対応、会議、または、周囲に音が漏れない状況を必要とする場合などに利用される、周囲とは区切られた個室のエリアである。なお、本実施形態では、ユーザUの各々が居るオフィスビル内に上記4つのエリアがあり、ユーザUの各々がそのいずれかに居る場合を想定して説明を行うが、本発明はこの例に限定されない。エリアの数および目的は上述した4つに限定されず、また、別の用途のエリアがあってもよい。
【0035】
図1に示した例では、ユーザU1とユーザU2はA04エリア(休憩エリア)に居ることが理解される。また、ユーザU3はA05エリア(交流エリア)に、ユーザU4はA06エリア(集中エリア)に、ユーザU5はA07エリア(個室エリア)に、それぞれ居ることが理解される。
【0036】
さらに、
図1において、ユーザU1~U5が示されている位置の位置関係は、物理空間における各ユーザUの相対的な位置関係を示している。すなわち、ユーザU1を基点としたとき、ユーザU1からの物理的距離が最も近いのは同一エリアに居るユーザU2であり、2番目に近い位置に居るのはA05エリア(交流エリア)に居るユーザU3である。また、ユーザU1から3番目に近い位置に居るのはA06エリア(集中エリア)に居るユーザU4であり、最も離れた位置に居るのはA07エリア(個室エリア)に居るユーザU5である。
【0037】
なお、ユーザUが居る各エリアは、必ずしも同一の部屋内である必要はない。各エリア間は仕切りまたは壁、通路等で仕切られていてもよい。または、各エリアは、オフィスビル内の別の部屋、または、別のフロアにあってもよい。
【0038】
端末10は、ユーザUが利用する情報処理端末であり、端末10同士の間、または、情報処理装置20と端末10との間で、無線通信または有線通信によりデータの送受信を行う機能を有する。また、端末10は、データの入力および出力機能を有する。ユーザUは、端末10を操作して、他のユーザUに宛ててメッセージを作成し、送信することができる。さらに、ユーザUは、端末10を用いて、他のユーザからのメッセージの内容を確認することができる。
図1に示した例では、端末10は、スマートフォンである。または、端末10は、ユーザUが携行して移動することが出来る情報処理端末であればよく、タブレット端末、スマートウォッチ、携帯端末、または、ノートブック型パーソナルコンピュータなどであってもよい。
【0039】
情報処理装置20は、端末10からユーザUが作成したメッセージを受信し、宛先のユーザUへ送信する機能を有する。また、情報処理装置20は、端末10から受信したメッセージが他のユーザUとの交流を要求する交流要求メッセージである場合、宛先として適切な送信先のユーザUと、送信順序を決定して、決定した送信先ユーザに上記メッセージを送信する制御を行う。特に、情報処理装置20は、各ユーザU間の物理的距離と、各ユーザUのリラックス度に基づいて、上記宛先として適切な送信先のユーザUを決定する。情報処理装置20は、上記要求元ユーザから見て物理的距離が近く、かつ、リラックス度が高いユーザUから優先的に、上記メッセージの送信先に決定する。
【0040】
ユーザUの各々は、ある分野について他のユーザUに質問または相談をしたいと思ったとき、端末10から交流要求メッセージを情報処理装置20に送信することで、情報処理装置20を介して他のユーザUに質問または相談を行うことができる。
【0041】
(課題の整理)
ここで、組織の構成員の各々が保有する知識を構成員間で共有することは、新たな知識の創造に有効と考えられる。そのため、近年、様々な技術が検討されている。例えば、様々な知識項目について情報を有している構成員を抽出し、また、構成員間の親密度を決定することによって、情報を求めている検索者が、目的の知識を有している人を知り、その人と、その人と自分との間につながりを有している中間者と、を知ることができる技術が検討されている。
【0042】
しかし、目的の知識を有する人を知ることが出来たとしても、その人に実際に話しかけたり、メールなどのツールを用いてコミュニケーションを開始したりすること自体に心理的ハードルが生じ、気軽に相談することが難しい場合がある。例えば、目的の知識を有する人と初対面である場合には、話しかけづらいという心理的ハードルが生じやすい。また、目的の知識を有している人との間に直接的なつながりがなく、目的の人までの間に中間者が多いと、多くの人に協力をお願いする必要が生じるので、上記のような心理的ハードルはさらに高くなる。さらに、目的の知識を有している人、または、中間者と面識があったとしても、相手の現在の状況が分からないために、今は仕事で忙しいのではないか、今話しかけたら迷惑ではないか、といった遠慮が生じ、実際にコミュニケーションを開始するには至りづらい場合もある。
【0043】
そこで、本件発明者は、上記事情を一着眼点にして本発明の実施形態を創作するに至った。本発明の実施形態によれば、適切な相手に、気軽に相談しやすくすることが可能である。以下、このような本発明の実施形態による情報処理システムの各構成および動作を、順次詳細に説明する。
【0044】
<2.構成例>
<2-1.端末10>
図2は、本実施形態による端末10および情報処理装置20の構成例を説明する説明図である。本実施形態による端末10は、ユーザUが利用する端末である。
図2に示したように、端末10は、通信部120、出力部140、入力部160、および、制御部180を有する。
【0045】
(通信部120)
通信部120は、通信インターフェースによって構成され、ネットワーク5を介して、他の端末10、および、情報処理装置20と通信を行う。例えば、通信部120は、制御部180の制御に従って、交流要求メッセージを情報処理装置20に送信する。また、通信部120は、情報処理装置20から上記交流要求メッセージに対する応答メッセージを受信する。
【0046】
(出力部140)
出力部140は、制御部180の制御に従って、各種情報を出力する機能を有する。例えば、出力部140は、情報処理装置20から受信した応答メッセージを出力する。出力部140は、各種情報を文字情報または画像により表示してもよいし、音声により出力してもよい。または、出力部140は、ユーザUが認識可能な他の様態で各種情報を出力してもよい。ユーザUは、このような出力部140により、他のユーザUから受信したメッセージの内容を確認することが出来る。
【0047】
(入力部160)
入力部160は、ユーザUによって操作され、各種情報の入力を受け付ける機能を有する。入力部160は、例えば、タッチパネル、キーボード、または、マウスなどで実現される。または、入力部150は、ユーザUの音声を検出するマイクロフォンであってもよい。ユーザUは、入力部160により、メッセージを作成することができる。また、ユーザUは、入力部160を操作することにより、通信部120から情報処理装置20へ上記メッセージを送信させることが出来る。
【0048】
(制御部180)
制御部180は、端末10における動作全般を制御する。例えば、制御部180は、通信部120と情報処理装置20との通信を制御する機能を有する。また、制御部180は、端末10の各々を利用しているユーザUの状況を示すデータである個別状況データを、通信部120から情報処理装置20に送信させる制御を行う。上記個別状況データは、送信日時、端末10自身の物理的位置、端末10を利用しているユーザUのユーザIDを対応付けた情報である。制御部180は、例えば、端末10自身の通信可能範囲内にあるWi-fi、または、あらかじめオフィス内に設置されたビーコンとの通信を行うことにより、端末10の位置情報を取得し、取得した位置情報を上記物理的位置としてもよい。
【0049】
<2-2.情報処理装置20>
続いて、本実施形態による情報処理装置20の構成例を説明する。本実施形態による情報処理装置20は、
図2に示したように、通信部220、記憶部240、および、制御部260を有する。
【0050】
(通信部220)
通信部220は、通信インターフェースによって構成され、ネットワーク5を介して、端末10の各々と通信を行う機能を有する。例えば、通信部220は、端末10からユーザUが作成したメッセージを受信する。また、通信部220は、制御部260の制御に従い、上記メッセージの送信先に決定されたユーザUに、上記メッセージを送信する。さらに、通信部220は、いずれかのユーザUから送信された交流要求メッセージに対する応答メッセージを端末10から受信すると、制御部260の制御に従って、当該応答メッセージを上記交流要求メッセージの要求元のユーザUが利用する端末10に送信する。
【0051】
(記憶部240)
記憶部240は、制御部260を動作させるためのプログラムおよびデータを記憶することが可能な記憶装置である。また、記憶部240は、制御部260の動作の過程で必要となる各種データを一時的に記憶することもできる。例えば、記憶装置は、不揮発性の記憶装置であってもよい。
【0052】
(制御部260)
制御部260は、情報処理装置20における動作全般を制御する。例えば、情報処理装置20は、通信部220と端末10の各々の通信を制御する。また、制御部260は、端末10から記憶部240を介してメッセージを受信すると、当該メッセージを解析し、当該メッセージが他のユーザUとの交流を要求する交流要求メッセージであるか否かを検出する。また、制御部260は、上記交流要求メッセージに対して、上記交流要求メッセージの要求元ユーザ以外のユーザUから応答メッセージが送信されたことを、上記要求元ユーザと上記応答メッセージを送信したユーザUとの間での交流として検出する。制御部260は、上記交流を検出すると、交流要求検出データを生成する。このような制御部260は、ネットワーク計算部262および心理的距離算出部264としての機能を有する。
【0053】
ネットワーク計算部262は、制御部260から、各ユーザU間で交流があったことを示す交流検出データを取得し、上記交流検出データに基づいて、各ユーザU間の結びつきの強度を示す紐帯強度データを出力する。また、ネットワーク計算部262は、上記交流検出データに基づいて、各ユーザUがどの分野の知識を有しているかを示すノウフーデータを出力する。ネットワーク計算部262は、出力した上記紐帯強度データ、および、上記ノウフーデータを、ネットワークデータとして記憶部240に記憶させる処理を行う。上記交流検出データ、上記紐帯強度データ、および、上記ノウフーデータの具体例は、後述の動作例において詳細に説明する。
【0054】
心理的距離算出部264は、端末10の各々から個別状況データを取得し、当該個別状況データに基づいて、状況データを生成する機能を有する。状況データは、上記個別状況データに含まれる送信日時、ユーザID、および、端末10の各々の物理的位置の情報と、端末10を利用しているユーザUの各々のリラックス度を含む。心理的距離算出部264は、上記個別状況データに含まれるユーザUの物理的位置に基づいて、ユーザUが居るエリアから、上記リラックス度を決定する。上記状況データの具体例は、後述の動作例において詳細に説明する。
【0055】
また、心理的距離算出部264は、ネットワーク計算部262から、上記紐帯強度データおよび上記ノウフーデータを取得する。心理的距離算出部264は、上記状況データ、上記紐帯強度データ、および、上記ノウフーデータに基づいて、各ユーザU間でのコミュニケーションの開始しやすさを示す、心理的距離を算出する。心理的距離の詳細な算出方法の例については、後述の動作例において詳細に説明する。
【0056】
制御部260は、端末10から交流要求メッセージを受信すると、心理的距離算出部264から上記心理的距離を取得し、上記心理的距離に基づいて、上記心理的距離が最も短いユーザUから順に、複数のユーザを、上記交流要求メッセージの送信先ユーザとして決定する。さらに、制御部260は、上記交流要求メッセージの送信順序、および、送信先ユーザ毎の応答待機時間を決定する。制御部260は、決定した上記送信先ユーザ、上記送信順序、および、上記応答待機時間に基づいて、上記交流要求メッセージを通信部220から送信先ユーザの各々が利用する端末10に送信させる制御を行う。
【0057】
上記説明したように、情報処理装置20の制御部260は、心理的距離算出部264により算出された心理的距離に基づいて交流要求メッセージの送信先を決定し、かつ、上記交流要求メッセージを、決定した送信先ユーザに送信する制御を行う。この構成により、ユーザUの各々は、相談に適した相手を知らない場合でも、情報処理装置20に交流要求メッセージを送信することで、当該交流要求メッセージが相談に適した相手に送信される。さらに、ユーザUの各々は、情報処理装置20に交流要求メッセージを送信すれば、情報処理装置20が相談に適した相手へ交流要求メッセージを送信してくれるので、自分から相手に話しかけたり相談したりすることには心理的ハードルを感じるという場合でも、気軽に相談してみようと思うきっかけを得ることが出来る。
【0058】
<3.動作>
以上、
図2を参照して、本実施形態による端末10および情報処理装置20の構成例を説明した。続いて、
図3を参照し、本実施形態による情報処理システムの動作を整理する。なお、本動作例では、
図1に示したA04エリア(休憩エリア)エリアとA05エリア(交流エリア)エリアとの間の距離を30m、A04エリア(休憩エリア)エリアとA06エリア(集中エリア)エリアとの間の距離を60m、A04エリア(休憩エリア)エリアとA07エリア(個室エリア)エリアとの間の距離を90mとする。また、本動作例で説明する情報処理システムの処理フローの開始時点では、いずれのユーザUからも、未だ交流要求メッセージの送信および応答メッセージの送信が行われたことがない状態であるとする。
【0059】
図3は、同実施形態による情報処理システムの動作例を示すフローチャートである。まず、情報処理装置20の心理的距離算出部264は、状況データを収集する(S700)。心理的距離算出部264は、端末10の各々からユーザUの各々の状態を示す個別状況データを取得し、当該個別状況データに基づいて、状況データを生成する。心理的距離算出部264は、状況データの収集を、所定の時間間隔で定期的に行う。例えば、心理的距離算出部264は、1分毎に、状況データの収集を行ってもよい。
【0060】
図4は、心理的距離算出部264により収集される状況データの具体例を説明する説明図である。
図4に示すように、状況データD1には、日時、ユーザID、物理的位置、および、リラックス度が対応付けられている。
【0061】
日時は、端末10が、情報処理装置20に対して、当該状況データD1に含まれるユーザIDおよび物理的位置の情報を送信した日時の情報である。
図4に示した例では、状況データD1に含まれる日時は、全ての行において9月27日(月)13:00である。すなわち、
図4に示した状況データD1のユーザIDと物理的位置の情報は、いずれも、上記日時に端末10から情報処理装置20に送信された情報であることが理解される。
【0062】
ユーザIDは、ユーザUの各々に付与されている識別情報である。
図4に示した例では、ユーザIDは、123、124、125、126、および、127を含む。なお、本実施形態において、各図面に示したユーザID123~127は、ユーザU1~ユーザU5の各々に、
図1に示した通りの対応関係で付与されているものとする。
【0063】
物理的位置は、ユーザUの各々が居る場所を示す情報である。
図4に示した例では、9月27日(月)13:00の時点に、ユーザIDが123であるユーザU1と、ユーザIDが124であるユーザU2の物理的位置は、A04エリア(休憩エリア)であることが理解される。同様に、同時刻の、ユーザIDが125であるユーザU3の物理的位置はA05エリア(交流エリア)、ユーザIDが126であるユーザU4の物理的位置はA06エリア(集中エリア)、ユーザIDが127であるユーザU5の物理的位置はA07エリア(個室エリア)であることが理解される。
【0064】
リラックス度は、ユーザUの各々が、どの程度リラックスした状態であるかを示す情報である。リラックス度は、状態情報の一例である。心理的距離算出部264は、ユーザUの各々の物理的位置に基づいて、各ユーザUが居るエリア毎に、当該エリアに居るユーザUのリラックス度を、0~100の範囲の値で決定する。
【0065】
例えば、
図4に示した例では、A04エリア(休憩エリア)に居るユーザU1およびユーザU2は、休憩中であることが推定されるので、心理的距離算出部264は、ユーザU1およびユーザU2のリラックス度を100とする。また、A05エリア(交流エリア)に居るユーザU3は、他のユーザUと交流できる状態であり、ある程度リラックスした状態であることが推定されるので、心理的距離算出部264は、ユーザU3のリラックス度を67とする。A06エリア(集中エリア)に居るユーザU4は、集中して作業を行っていることが推定されるので、心理的距離算出部264は、ユーザU4のリラックス度を33とする。A07エリア(個室エリア)に居るユーザU5は、個室で来客対応または会議などを行っていることが推定されるので、心理的距離算出部264は、ユーザU5のリラックス度を0とする。なお、上記エリア毎のリラックス度の値は一例である。心理的距離算出部264は、リラックス度を他の値に決定してもよい。また、エリア毎のリラックス度は、あらかじめ定められた値でもよいし、情報処理装置20の操作者によって、任意の値に設定されてもよい。
【0066】
次に、情報処理装置20の制御部260は、端末10の各々からメッセージを受信すると、当該メッセージを解析して、当該メッセージが、他のユーザUとの交流を要求する交流要求メッセージであるか否かを検出する。また、制御部260は、当該メッセージを解析して、当該メッセージに関連するキーワードを決定する。制御部260によるメッセージの解析方法は、本願出願時に知られた自然言語処理の技術を用いてよい。また、上記キーワードは、当該メッセージに含まれるキーワードであってもよいし、当該メッセージが関連する分野を表すキーワードであってもよい。
【0067】
本動作例では、ユーザIDが123のユーザU1が、上記交流要求メッセージとして、「誰かAIに詳しい人はいませんか?」というメッセージを端末10Aから情報処理装置20に送信した場合を例に説明する。
【0068】
制御部260は、上記メッセージを解析して、当該メッセージが交流要求メッセージであると検出すると、当該交流要求メッセージの要求元ユーザのユーザIDと、当該交流要求メッセージに関連するキーワードとを対応付け、交流要求データとして、心理的距離算出部に出力する(S710/Yes)。本動作例では、制御部260は、「誰かAIに詳しい人はいませんか?」という上記交流要求メッセージを解析して、当該メッセージに関連するキーワードを「AI」と決定する。さらに、制御部260は、要求元ユーザのユーザID123と、キーワード「AI」とを対応付けて、交流要求データとして心理的距離算出部264に出力する。
【0069】
制御部260は、上記メッセージが交流要求メッセージであると検出されなかった場合は(S710/No)、再度、S700の処理を行う。
【0070】
心理的距離算出部264は、制御部260から上記交流要求データを取得すると、要求元ユーザであるユーザU1と他のユーザUとの間の心理的距離を算出する(S720)。ここで、制御部260による心理的距離の算出方法を詳細に説明する。
【0071】
心理的距離算出部264は、S700で生成した状況データと、ネットワーク計算部262により出力される紐帯強度データ、および、ノウフーデータに基づいて、要求元ユーザであるユーザU1と、他のユーザUとの間でのコミュニケーションの開始しやすさを示す、心理的距離を算出する(S720)。心理的距離算出部264は、心理的距離を、0~100の範囲の値で算出する。ここで、要求元ユーザと、1の他のユーザUの2者間の心理的距離をLとしたとき、心理的距離算出部264は、以下の式を用いて心理的距離Lを算出してもよい。
【0072】
L=p1×x1+p2×(100-x2)+p3×(100-x3)+p4×(100-x4)
(数式1)
p1:0.5(第一の重み値)
x1:要求元ユーザと他のユーザUの2者間の物理的距離
p2:0.1(第二の重み値)
x2:他のユーザUのリラックス度
p3:0.3(第三の重み値)
x3:他のユーザUの知識マッチ度
p4:0.1(第四の重み値)
x4:要求元ユーザと他のユーザUとの紐帯強度
【0073】
x1は、交流要求メッセージの要求元ユーザと、他のユーザUの2者間の物理的距離の値である。心理的距離算出部264は、状況データに含まれる各ユーザの物理的位置を用いて、上記2者間の物理的距離を算出する。本実施形態では、物理的距離x1は、距離1mを1とし、距離100m以上は上限100で表され、0~100の数値で表されるとする。上記数式1に示した通り、心理的距離算出部264は、上記2者間の心理的距離Lを、上記2者間の物理的距離が近いほど短く、上記2者間の物理的距離が遠いほど長くなるよう算出することが理解される。
【0074】
x2には、状況データに含まれる各ユーザUのリラックス度(0~100)の値が用いられる。心理的距離算出部264は、数式1に示した通り、x2を100から除算した値に、重み値p2を掛けて、心理的距離Lを算出する。従って、上記2者間の心理的距離Lは、他のユーザUのリラックス度が高いほど短くなり、他のユーザUのリラックス度が低いほど長くなるよう算出されることが理解される。
【0075】
x3は、心理的距離算出部264が、ネットワーク計算部262から取得したノウフーデータに基づいて算出する、他のユーザUの知識マッチ度である。知識マッチ度とは、制御部260が決定する、各交流要求メッセージの関連キーワード毎に、各ユーザUの上記キーワード毎の知識強度を定量的に表したデータである。
【0076】
上記知識マッチ度を算出するために、心理的距離算出部264は、制御部260から取得した交流要求データに基づいて、交流要求メッセージに関連するキーワードを特定する。さらに、心理的距離算出部264は、ネットワーク計算部262から取得したノウフーデータに基づいて、当該キーワードに関連する、これまでに検出された交流要求メッセージに、上記他のユーザUが応答した累計回数を取得する。そして、心理的距離算出部264は、当該累計回数を10倍した数を、知識マッチ度x3とする。なお、心理的距離算出部264は、知識マッチ度x3を、0~100の範囲の数値で表し、当該累計回数が10回以上である場合は知識マッチ度x3を上限100とする。
【0077】
例えば、AIというキーワードに関連する交流要求メッセージに対して、あるユーザUが累計3回応答したことがある場合は、当該ユーザUの、AIというキーワードに対する知識マッチ度は、応答回数3回の10倍の、30となる。
【0078】
心理的距離算出部264は、数式1に示す通り、x3を100から除算した値に重み値p3を掛けることにより、心理的距離Lを算出する。従って、心理的距離Lは、上記他のユーザUの、交流要求メッセージの関連キーワードとの知識マッチ度が高いほど、短く算出されることが理解される。反対に、心理的距離Lは、上記他のユーザUの上記知識マッチ度が低いほど、長く算出されることが理解される。
【0079】
x4は、ネットワーク計算部262により算出される、要求元ユーザと上記他のユーザUとの間の結びつきの強度を表す、紐帯強度の値である。なお、ネットワーク計算部262による上記紐帯強度の算出とは、ネットワーク計算部による紐帯強度の出力の一形態である。
【0080】
ネットワーク計算部262は、上記紐帯強度を、制御部260から取得した交流検出データに基づいて算出する。より具体的には、ネットワーク計算部262は、上記紐帯強度を、あるユーザUと他のユーザUの各々との間で交流が検出された回数によって、0~100の範囲の値で表す。ネットワーク計算部262は、あるユーザUと他のユーザUの各々との間での交流回数が100以上である場合は、紐帯強度を上限100とする。
【0081】
例えば、ユーザU1が送信した交流要求メッセージに、ユーザU2が、過去に5回応答メッセージを送信したことがあった場合、ユーザU1とユーザU2との紐帯強度は、交流回数の5となる。
【0082】
心理的距離算出部264は、ネットワーク計算部262から取得した上記紐帯強度の値をx4として用いる。また、心理的距離算出部264は、数式1に示す通り、紐帯強度x4を100から除算した値に、重み値p4を掛けて、心理的距離Lを算出する。従って、心理的距離Lは、要求元ユーザと、他のユーザUとの間で交流が行われた回数が多いほど短くなるように算出されることが理解される。
【0083】
p1、p2、p3およびp4は、x1~x4の値の各々の重み値である。本実施形態においては、第一の重み値p1を0.5、第二の重み値p2を0.1、第三の重み値p3を0.3、第四の重み値p4を0.1とする。このような重み値の値を用いることにより、本実施形態においては、心理的距離Lには、ユーザ間の物理的距離を表すx1の値の変化が最も反映されることが理解される。この構成により、要求元ユーザであるユーザU1からの他のユーザUに対するコミュニケーションの開始しやすさを表す心理的距離Lは、ユーザU1との物理的距離が近いユーザUほど、短く算出されることが理解される。また、上記構成により、心理的距離Lは、物理的距離x1の次に、知識マッチ度x3の値の重みを重くして算出されることが理解される。さらに、上記構成により、心理的距離Lの算出において、他のユーザUのリラックス度x2と、ユーザU間の紐帯強度x4の重みは同等であり、物理的距離x1および知識マッチ度x3よりも軽く設定されていることが理解される。
【0084】
なお、上記重み値p1~p4の値は一例である。p1~p4の値には、心理的距離Lの算出結果に、x1~x4のそれぞれの値をどの程度の重みで反映させたいかに応じて、適宜、他の値が用いられてもよい。また、x1~x4は、パラメータの一例である。
【0085】
本動作例では、いずれのユーザUの間でも未だ交流が行われていない場合を例に説明する。そのため、本動作例では、上記知識マッチ度x3の算出に用いられる、ユーザUの各々が、あるキーワードを含む交流要求データに応答した累計回数は、初期値の0であるとする。従って、本動作例では、知識マッチ度x3の値は初期値の0とする。また、同様に、上記紐帯強度x4も、初期値0であるとする。
【0086】
図5は、本動作例において心理的距離算出部264が数式1を用いて算出した心理的距離の算出結果例を示す説明図である。なお、
図5に示した例では、数式1を用いて算出された心理的距離を、小数点以下の値を四捨五入した値で示す。心理的距離算出部264は、要求元ユーザであるユーザU1と、他のユーザU2~U5との間の、それぞれの心理的距離を算出する。なお、
図5に示した心理的距離算出結果T20に含まれるユーザID124~ユーザID127は、それぞれ、ユーザU2~ユーザU5を示す。
【0087】
心理的距離算出結果T20の2行目に示した通り、要求元ユーザであるユーザU1と、ユーザU2(ユーザID124)との間の心理的距離は40である。まず、心理的距離算出部264は、
図4に示した状況データD1に基づいて、ユーザU1とユーザU2との物理的距離を算出する。状況データD1に示した通り、ユーザU1とユーザU2は、いずれもA04エリア(休憩エリア)の同一エリアに居ることが理解される。従って、心理的距離算出部264は、ユーザU1とユーザU2との間の物理的距離を0と算出し、x1の値を0とする。
【0088】
続いて、心理的距離算出部264は、
図4に示した状況データD1に基づいて、ユーザU2のリラックス度x2の値を、
図5の心理的距離算出結果T20に示した通り、100とする。
【0089】
次に、心理的距離算出部264は、ネットワーク計算部262から、交流要求メッセージに関連するキーワードである「AI」を含む過去の交流要求データにユーザU2が応答した累計回数を取得する。本動作例では、上記累計回数は初期値の0であるので、心理的距離算出部264は、
図5の心理的距離算出結果T20に示した通り、x3の値を0とする。
【0090】
さらに、心理的距離算出部264は、ネットワーク計算部262から、ユーザU1とユーザU2との間の紐帯強度の値を取得する。本動作例では、上記紐帯強度は初期値の0であるので、心理的距離算出部264は、
図5の心理的距離算出結果T20に示した通り、x4の値を0とする。
【0091】
心理的距離算出部264は、上記説明したx1~x4の値を数式1に当てはめ、ユーザU1とユーザU2の心理的距離を、
図5の心理的距離算出結果T20に示した通り、40と算出する。
【0092】
同様の手順で、心理的距離算出部264は、ユーザU1と、ユーザU3~U5の各々との間の心理的距離を、
図5の心理的距離算出結果T20に示した通り、それぞれ58、77、95と算出する。上記算出結果により、ユーザU1を基点としたとき、最も心理的距離が短いのはユーザU2(ユーザID124)であることが理解される。また、ユーザU1と2番目に心理的距離が短いのはユーザU3(ユーザID125)、3番目に心理的距離が短いのはユーザU4(ユーザID126)であり、最も心理的距離が長いのはユーザU5(ユーザID127)であることが理解される。
【0093】
続いて、制御部260は、心理的距離算出部264が算出した心理的距離算出結果T20に基づいて、ユーザU1からの交流要求メッセージの送信先ユーザと、送信順序、および、各送信先ユーザの応答待機時間を決定する(S749)。
【0094】
図6は、制御部260が決定した送信先ユーザ、送信順序、および、各送信先ユーザの応答待機時間の具体例を説明する説明図である。
図6に示した通り、送信順序テーブルT30には、送信順序、ユーザID、心理的距離、および、応答待機時間、が関連付けられている。
【0095】
送信順序とユーザIDは、それぞれ、制御部260が
図5に示した心理的距離算出結果T20に基づいて決定した送信順序と、送信先ユーザとを示す。
図6に示した通り、制御部260は、送信先ユーザとしてユーザU2(ユーザID124)、ユーザU3(ユーザID125)、ユーザU4(ユーザID126)、および、ユーザU5(ユーザID127)の複数のユーザUを送信先に決定したことが理解される。また、制御部260は、上記ユーザU2~ユーザU5への交流要求メッセージの送信順序を、心理的距離が短い順に従って、ユーザU2を1番目、ユーザU3を2番目、ユーザU4を3番目、ユーザU5を4番目に決定したことが理解される。
【0096】
心理的距離は、心理的距離算出結果T20に示した、心理的距離算出部264によって算出された、ユーザU1と、ユーザU2~ユーザU5とのそれぞれの間の心理的距離の値である。
【0097】
応答待機時間は、送信先ユーザに決定されたユーザUの各々から応答を待つ時間を表し、制御部260により設定される。
図6に示した例では、ユーザU2(ユーザID124)からの応答待機時間は5分に設定されている。また、ユーザU3(ユーザID125)からの応答待機時間は4分、ユーザU4(ユーザID126)からの応答待機時間は2分、ユーザU5(ユーザID127)からの応答待機時間は1分に設定されている。従って、制御部260は、送信先ユーザのうち心理的距離が最も短いユーザほど、応答待機時間が長くなるように、上記応答待機時間を設定したことが理解される。
【0098】
なお、制御部260は、各ユーザUの応答待機時間を、要求元ユーザと各ユーザUの間の心理的距離Lに応じて、以下に示す数式2のように算出してもよい。
応答待機時間(単位/分)=(100-L)×0.1
(数式2)
【0099】
この構成により、交流要求メッセージの要求元ユーザであるU1から見て心理的距離が短いユーザほど、上記応答待機時間が長く設定されるので、要求元ユーザから見てできるだけ心理的距離の小さい相手から応答が返ってくる可能性を高めることが出来る。従って、要求元ユーザに、心理的ハードル面での安心感を与える効果が期待できる。
【0100】
続いて、制御部260は、決定した上記送信順序に従って、通信部220に、送信順序が1番目の送信先ユーザであるユーザU2が利用する端末10Bへ、要求元ユーザであるユーザU1からの交流要求メッセージを送信させる制御を行う(S740)。
【0101】
次に、制御部260は、上記交流要求メッセージを送信した送信先ユーザUから、当該交流要求メッセージに対する応答メッセージを通信部220が受信したか否かを検出する。応答メッセ―ジが検出されない場合(S750/No)、制御部260は、当該送信先ユーザUに設定した応答待機時間が経過したか否かを判定する。
【0102】
上記応答待機時間が経過していない場合は(S755/No)、再度、応答待機時間が経過するまで、S750の応答メッセージの検出を行う。本動作例では、送信順序が1番目であるユーザU2から応答メッセージが送信されなかった場合を例に説明する。
【0103】
制御部260は、ユーザU2からの応答メッセージが検出されないまま、ユーザU1に設定された応答待機時間である5分が経過した場合(S755/Yes)、S730で決定した送信順序に従って、ユーザU2の次の送信先ユーザが指定されているか否かを判定する。
【0104】
S757において、次の送信先ユーザUが指定されていない場合は(S757/No)、制御部260は当該交流要求メッセージの送信制御をそれ以上行わず、S770に進む。そして、情報処理装置20の操作者によりシステムの終了指示があった場合(S770/Yes)、一連の処理を終了する。システムの終了指示がない場合には(S770/No)、再度、S700の状況データの収集を開始する。
【0105】
本動作例では、
図6に示した送信順序テーブルT30の通り、ユーザU2の次の送信先ユーザにはユーザU3が指定されている。従って、制御部260は、S757において、次の送信先があると判定し(S757/Yes)、再度S740の処理を行う。すなわち、制御部260は、送信順序に従って、次の送信先であるユーザU3の利用するCに、上記交流要求メッセージを通信部220から送信させる制御を行う(S740)。
【0106】
本動作例では、S740の処理においてユーザU3の利用するCに、上記交流要求メッセージが送信された後、ユーザU3から、ユーザU3に設定された応答待機時間である4分以内に、上記交流要求メッセージへの応答メッセージが送信されたとする。すると、制御部260は、通信部220が、ユーザU3からの上記交流要求メッセージへの応答メッセージを受信したことを検出する(S750/Yes)。さらに、制御部260は、上記応答メッセージを、要求元ユーザであるユーザU1の利用する端末10Aに、通信部220から送信させる制御を行う。
【0107】
また、制御部260は、上記交流要求メッセージの要求元ユーザのユーザID、応答メッセージを送信した送信先ユーザUのユーザID、および、上記交流要求メッセージに関連するキーワード、の情報を関連付けて、交流検出データを生成する。本動作例では、制御部260は、要求元ユーザであるユーザU1のユーザID123と、応答メッセージを送信したユーザU3のユーザID125と、AIというキーワードと、を関連付けて、交流検出データを生成する。制御部260は、生成した交流検出データを、ネットワーク計算部262に供給する。
【0108】
ネットワーク計算部262は、制御部260から上記交流検出データを取得すると、ネットワークデータを更新する(S760)。
図7および
図8は、ネットワーク計算部262により更新されたネットワークデータの具体例を説明するための説明図である。
【0109】
図7は、上記ネットワークデータに含まれるノウフーデータの一例を示す説明図である。
図7に示した通り、ノウフーデータD2は、ユーザIDと、(キーワード、応答回数)の2つの項目を含む。
【0110】
図7に示したノウフーデータD2のうち、2行目の(キーワード、応答回数)行には、制御部260が検出した過去の交流要求データに関連するキーワードと、各ユーザUが当該キーワードを含む交流要求メッセージに応答した累計回数の組が、括弧書きで示されている。例えば本動作例では、ネットワーク計算部262が、制御部260から取得した交流検出データに基づいて、ユーザID125の列のデータを、(AI、1)という値に更新する。これは、AIというキーワードに関連する交流要求メッセージに対して、ユーザID125のユーザU3が、1回応答したことを表す。
【0111】
一方、ユーザID123は交流要求元ユーザであるため、ネットワーク計算部262は、ユーザID123の列のデータを更新しない。また、ユーザU2(ユーザID124)は、上記交流要求メッセージに応答待機時間内に応答したことが検出されなかったため、ネットワーク計算部262は、ユーザID124の列についても、データを更新しない。ユーザU4(ユーザID126)、ユーザU5(ユーザID127)については、ユーザU3(ユーザID125)が上記交流要求メッセージに応答待機時間内に応答したので、ユーザU4とユーザU5には上記交流要求メッセージが送信されていない。すなわち、ユーザU1と、ユーザU4とユーザU5との間では、交流が検出されない。従って、ネットワーク計算部262は、ユーザID126およびユーザID127の列についても、データを更新しない。
【0112】
図7に示した例では、ユーザID125の列以外には、(キーワード、応答回数)のデータが示されていないため、ユーザID125以外のユーザには、未だ知識マッチ度が1以上であると算出されたキーワードがないことが理解される。
【0113】
図8は、上記ネットワークデータに含まれる紐帯強度のデータである。紐帯強度データD3は、全てのユーザUの組み合わせにおいて、各ユーザU間の紐帯強度を示すマトリクス表である。例えば、紐帯強度データD3において、1列目がユーザID124、かつ、1行目がユーザID123であるセルに示された値は、ユーザU2(ユーザID124)と、ユーザU1(ユーザID123)との間の紐帯強度を示す。斜線のセルは、重複するユーザUの組み合わせを除外するものである。
【0114】
本動作例では、ネットワーク計算部262が、制御部260から取得した交流検出データに基づいて、
図8に示したように、ユーザID125の列の、ユーザID123の行のセルを、1の値に更新する。これは、交流要求メッセージの要求元ユーザであるユーザU1(ユーザID123)と、当該交流要求メッセージに対する応答メッセージを送信したユーザU3(ユーザID125)との間で交流が行われた回数が1であり、両者間の紐帯強度が1であることを示す。一方、斜線のセルを除く他のセルには、全て0が示されている。従って、ユーザU1とユーザU3以外のユーザU間では、未だ交流が検出されていないことが理解される。
【0115】
ネットワーク計算部262がS760において
図7および
図8に示したネットワークデータの更新を完了すると、制御部260は、情報処理装置20の操作者により、システムを終了する指示が行われたか否かを判定する。システムを終了する指示が行われた場合には(S770/Yes)、情報処理装置20は一連の処理を終了する。システムを終了する指示が行われない場合には(S770/No)、情報処理装置20は、S700~S770の処理を、再度、繰り返す。
【0116】
(補足1)
以上、
図3を用いて、本実施形態による情報処理システムの動作を整理した。ここで、上記説明した動作に続いて、再度、ユーザU1が「AI」というキーワードに関連する交流要求メッセージを情報処理装置20に送信した場合に、上記動作例におけるS760のネットワークデータの更新によって、心理的距離算出部264が算出する心理的距離の値がどう変化するかを説明する。なお、ユーザU1~ユーザU5が居る物理的位置は、
図4の状況データD1の位置から、変化していないものとする。
【0117】
まず、再度ユーザU1(ユーザID123)から「AI」というキーワードに関連する交流要求メッセージが、情報処理装置20に送信されたとする。制御部260は、S710において、上記交流要求メッセージに基づいて、交流要求を検出すると、交流要求データを生成して心理的距離算出部264に供給する。
【0118】
続いて、心理的距離算出部264がS720の処理を行い、ユーザU1と各ユーザUの心理的距離を算出する。
図9は、心理的距離算出部264が算出した心理的距離算出結果T21を示す説明図である。
図9に示した例では、
図5に示した心理的距離算出結果T20と比べ、ユーザID125の行に示した知識マッチ度x3が、0から10に変化している。また、紐帯強度x4は、0から1に変化している。さらに、心理的距離は、58から55に変化している。なお、
図9において、心理的距離の値には、数式1を用いて算出された値を、小数点以下の値を四捨五入して示している。
図9に示した心理的距離算出結果T21の値は、上記説明した動作例において、S760でネットワーク計算部262により更新された後のネットワークデータ(ノウフーデータD2および紐帯強度データD3)に基づいて算出された値である。
【0119】
図7のノウフーデータD2に示した通り、ユーザU3(ユーザID125)の、AIというキーワードに関連する交流要求メッセージへの応答回数は1である。従って、心理的距離算出部264は、数式1を用いてユーザU1とユーザU3との間の心理的距離Lを算出するにあたり、知識マッチ度x3を、上記応答回数1を10倍した値である10とする。
【0120】
また、
図8の紐帯強度データD3に示した通り、ユーザU3(ユーザID125)と、要求元ユーザであるユーザU1(ユーザID123)との紐帯強度は、1である。従って、心理的距離算出部264は、数式1を用いて心理的距離Lを算出するにあたり、紐帯強度x4を、1とする。
【0121】
従って、
図5に示した心理的距離算出結果T20の心理的距離の算出時と比べて、知識マッチ度x3の値は、0から10に変化している。同様に、紐帯強度x4の値は、0から1に変化する。その結果、心理的距離算出部264により算出される心理的距離Lは、
図9に示した通り、55から58に変化する。
【0122】
以上、
図9を用いて、ネットワークデータが更新され、ユーザU間の紐帯強度、および、各ユーザUの知識マッチ度が変化した場合に、心理的距離算出部264による心理的距離の算出結果がどう変化するかを説明した。
【0123】
(補足2)
図10は、上記動作例において説明した、本実施形態による情報処理システムの、交流要求メッセージの送信制御を説明するための概念図である。
図10に示した概念図のうち、ユーザU1~ユーザU5、端末10A~端末10E、情報処理装置20、および、A04エリア(休憩エリア)~A07エリア(個室エリア)は、
図1を用いて説明した通りであるので、ここでの詳細な説明を省略する。また、
図10に示す概念図は、端末10の各々と情報処理装置20との間の通信経路を表す、実線RI1およびR1~R2と、二重線の矢印A1と、破線矢印R3およびR4と、を含む。さらに、
図10に示す概念図は、各通信経路でやり取りされるメッセージを表す、交流要求メッセージM1および応答メッセージM2を含む。
【0124】
図10に示した通り、上記説明した本動作例において、まず、A04エリア(休憩エリア)に居るユーザU1が、端末10Aから、情報処理装置20に交流要求メッセージを送信する(通信経路RI1)。情報処理装置20は、端末10Aから受信したメッセージが交流要求メッセージであると検出すると、要求元ユーザであるユーザU1と各ユーザUとの間の心理的距離を算出する。さらに、情報処理装置20は、当該心理的距離の算出結果に基づいて、送信先ユーザ、送信順序、および、応答待機時間を決定する。
【0125】
情報処理装置20は、決定した上記送信順序に従って、送信順序が1番目であるユーザU2の利用する端末10Bに対し、交流要求メッセージM1を送信する(通信経路R1)。
図10に示した通り、送信順序が1番目のユーザU2は、ユーザU1と同じA04エリア(休憩エリア)に居り、ユーザUの中で、ユーザU1からの物理的距離が最も近いことが理解される。情報処理装置20は、ユーザU2からの上記交流要求メッセージに対する応答を、設定した応答待機時間が経過するまで待つ。
【0126】
ユーザU2が上記交流要求メッセージに対する応答メッセージを送信しなかった場合、情報処理装置20は、送信順序が2番目であるユーザU3の利用する端末10Cに対して、上記交流要求メッセージM1を送信する(通信経路R2)。ユーザU3は、
図10に示した通り、A05エリア(交流エリア)に居り、また、ユーザU1から2番目に物理的距離が近いユーザであることが理解される。ユーザU3は、端末10Cから、上記交流要求メッセージに対する応答メッセージM2を、情報処理装置20に対して送信する(通信経路A1)。
【0127】
情報処理装置20は、ユーザU3からの応答メッセージを応答待機時間内に受信すると、送信順序を3番目に決定したユーザU4、および、送信順序を4番目に決定したユーザU5に対しては、交流要求メッセージM1を送信しない(通信経路R3、通信経路R4)。情報処理装置20は、ユーザU3から受信した応答メッセージM2を、要求元ユーザであるユーザU1が利用する端末10Aに送信し、当該交流要求メッセージM1に係る送信制御の処理を終了する。以上、
図10を参照して、上記動作例において説明した、情報処理システムによる交流要求メッセージの送信制御を整理した。
【0128】
<4.作用効果>
以上説明した本発明によれば、多様な効果が得られる。例えば、本実施形態による情報処理装置20の心理的距離算出部264は、ユーザU間のコミュニケーションの開始しやすさを示す心理的距離を、ユーザU間の物理的距離に基づいて、ユーザU間の物理的距離が近いほど心理的距離が短くなるように算出する。そして、制御部260は、心理的距離が短いユーザUから優先的に、交流要求メッセージの送信先に決定する。この構成により、要求元ユーザから見て物理的に距離が近く、話しかけやすい相手から優先的に交流要求メッセージが送信される。従って、要求元ユーザにとって、交流要求メッセージを送信する際の、他のユーザUとコミュニケーションを開始しづらいという心理的ハードルを低減することができる。また、要求元ユーザから物理的距離が近い相手であれば、交流要求メッセージを見て応答してくれる可能性も高くなる。例えば、要求元ユーザと、送信先ユーザがお互いの視界内に入るような距離に居る場合、送信先ユーザから要求元ユーザに気軽に声をかけてくれる可能性も高い。さらに、コミュニケーション理論の分野においては、一般に、対面のコミュニケーションおよびデジタルコミュニケーションのどちらの方法であっても、ユーザ同士のコミュニケーションの頻度と、ユーザ間の物理的距離には、負の相関関係があることが知られている。このことからも、上記構成により、要求元ユーザが、他のユーザUとのコミュニケーションを開始しやすくする効果が得られると言える。
【0129】
また、本実施形態による情報処理装置20の心理的距離算出部264は、ユーザUの各々のリラックス度に基づいて、ユーザU間の心理的距離を算出する。そして、制御部260は、心理的距離が短いユーザUから優先的に、交流要求メッセージの送信先に決定する。この構成により、リラックス度が高く、交流要求メッセージに応答してくれる可能性が高いユーザUから優先的に、交流要求メッセージの送信先に決定される。ユーザU同士が、お互いの視界内に入るような近い距離感に居ない場合でも、送信先ユーザが休憩中などリラックスした状態であれば、送信先ユーザが交流要求メッセージに応答してくれる可能性が高まる。また、送信先ユーザの状況に応じて、交流要求メッセージの送信制御が行われるので、要求元ユーザに、相談に適した相手が仕事で忙しいのではないか、話しかけない方がよいのではないか、という遠慮を生じさせづらくすることができる。すなわち、要求元ユーザの、他のユーザUに話しかけづらいという心理的ハードルを低減することができる。
【0130】
また、本実施形態による情報処理装置20の心理的距離算出部264は、各ユーザUの知識マッチ度に基づいて、ユーザU間の心理的距離を算出する。そして、制御部260は、心理的距離が短いユーザから優先的に、交流要求メッセージの送信先に決定する。この構成により、要求元ユーザの質問または相談したい分野に関連する知識を持っており、要求元ユーザの質問または相談したい事項に答えられる可能性が高いユーザUに、交流要求メッセージが送信される。従って、要求元ユーザは、ある事項に関して適した相談相手を知らない場合でも、情報処理装置20を介して、適切な相手に質問または相談を行うことが出来る。
【0131】
また、本実施形態による情報処理装置20の心理的距離算出部264は、ユーザU間の紐帯強度に基づいて、ユーザU間の心理的距離を算出する。そして、制御部260は、心理的距離が短いユーザから優先的に、交流要求メッセージの送信先に決定する。この構成により、要求元ユーザから見て、過去に交流をしたことがあり、交流回数が多いユーザUほど優先的に、交流要求メッセージの送信先に決定される。従って、要求元ユーザから見て、よりコミュニケーションを開始しやすい相手が送信先ユーザに決定されるので、要求元ユーザが情報処理装置20に交流要求メッセージを送信する際の、他のユーザUにコミュニケーションを開始しづらいという心理的ハードルを、さらに低減することが出来る。また、要求元ユーザと過去に交流をしたことがある送信先ユーザであれば、交流要求メッセージに対して気軽に応答してくれる可能性が高いので、要求元ユーザが質問または相談に応答してもらえる可能性を高めることが出来る。
【0132】
<5.変形例>
(変形例1)
なお、上記説明した動作例では、心理的距離算出部264が数式1を用いて心理的距離を算出するとした。しかし、本発明はこの例に限定されない。数式1は、心理的距離の算出式の一例であり、心理的距離算出部264は、他の算出式を用いて、心理的距離を算出してもよい。また、数式1において用いた変数(物理的距離x1、リラックス度x2、知識マッチ度x3、および、紐帯強度x4)のほかに、他の変数が用いられてもよい。または、x1~x4の変数を、適宜組み合わせて、心理的距離の算出に用いてもよい。例えば、要求元ユーザが、質問または相談したい事項の知識を有している、相談相手として適した複数のユーザUを知っている場合は、要求元ユーザUが、交流要求メッセージの送信時に、送信先ユーザの候補を指定してもよい。その場合、情報処理装置20は、要求元ユーザであるユーザUからの、送信先ユーザに指定された候補ユーザUの各々との心理的距離を、物理的距離x1、リラックス度x2、および、紐帯強度x4の3つの変数に基づいて、算出してもよい。
【0133】
(変形例2)
また、上記動作例では、情報処理装置20の制御部260が、通信部220に、端末10の各々と交流要求メッセージまたは応答メッセージの送受信をさせるとしたが、本発明はこの例に限定されない。例えば、制御部260は、制御部260が決定した送信順序、送信先ユーザ、送信先端末、および、送信先ユーザの各々に設定した応答待機時間と、送信指示情報とを、送信手順情報として、交流要求メッセージとともに、1番目の送信先ユーザが利用する端末10に送信してもよい。さらに、端末10の各々が、受信した上記送信手順情報に従って、送信順序が自端末の次の端末10に、上記交流要求メッセージおよび上記送信手順情報を送信してもよい。
【0134】
図11は、このような変形例2による、情報処理システムの送信制御を説明するための概念図である。
図11に示した概念図のうち、ユーザU1~ユーザU5、端末10A~端末10E、A04エリア(休憩エリア)~A07エリア(個室エリア)の各エリア、および、ユーザU1~ユーザU5の物理的位置は、
図1および
図10を用いて上記説明した通りであるので、ここでの詳細な説明を省略する。
図11に示した概念図は、
図10に示した本実施形態による動作例の概念図とは、実線矢印(RI11、R11~R14)および二重線矢印A11で示された通信経路と、交流要求メッセージおよび送信手順情報M21と、応答メッセージM22と、が異なる。
【0135】
変形例2では、まず、要求元ユーザU1が、端末10Aから情報処理装置20に対して、交流要求メッセージを送信する(通信経路R11)。すると、情報処理装置20の制御部260は、
図3を用いて上記説明した本実施形態による動作例と同様に、S700~S740の処理を行う。そして、制御部260は、送信順序を1番目に決定した送信先ユーザであるユーザU2が利用する端末10Bに対して、通信部220から、上記交流要求メッセージと送信手順情報を送信する(通信経路R11)。
【0136】
図12は、このような変形例2で通信部220から各端末10に送信される送信手順情報の具体例を示す説明図である。
図12に示したように、送信手順情報T40は、送信順序、ユーザID、送信先端末、心理的距離、および、応答待機時間を含む。さらに、送信手順情報T40は、
図12に図示しない、送信指示情報を含む。
【0137】
送信手順情報T40に示した項目のうち、送信順序、ユーザID、心理的距離、応答待機時間は、
図6を用いて説明した、送信順序テーブルT30に含まれる同一項目と同一の内容であるので、ここでの詳細な説明を省略する。
【0138】
送信先端末は、ユーザID列に示された送信先ユーザの各々が利用する端末10を識別するための情報である。例えば、送信手順情報T40の2行目に示したように、送信順序が1番目のユーザU2(ユーザID124)が利用している端末は、端末10Bである事が理解される。
【0139】
また、
図12に図示しない送信指示情報とは、端末10の各々に、自端末を利用するユーザUが、送信手順情報T40に示された各々の応答待機時間内に、受信した交流要求メッセージに対して応答したことが検出されなかった場合、かつ、送信手順情報T40に自端末の次の送信先端末の情報が含まれている場合には、当該次の送信先端末に、上記交流要求メッセージと、送信手順情報T40とを送信させる指示である。
【0140】
図11および
図12に示した例では、情報処理装置20から上記交流要求メッセージおよび上記送信手順情報T40を受信した端末10Bが、端末10Bを利用しているユーザU2からの上記交流要求メッセージに対する応答を、自端末に設定された応答待機時間5分が経過しても検出しなかったとする。なお、端末10の各々による、応答の有無の検出方法は、特に限定しない。端末10の各々は、例えば、ユーザUが自端末を操作し、上記交流要求メッセージに対する応答メッセージの送信を指示する操作を行ったことを、応答として検出してもよい。
【0141】
次に、端末10Bは、送信手順情報T40に含まれる送信順序に従って、次の送信先端末である端末10Cに、上記交流要求メッセージおよび上記送信手順情報T40を送信する(通信経路R12)。
【0142】
以下同様に、端末10Cおよび端末10Dの各々は、自端末を利用しているユーザU3およびユーザU4が、上記交流要求メッセージに対する応答を、各端末に設定された応答待機時間内に検出しなかったとする。すると、上記交流要求メッセージおよび送信手順情報T40は、端末10Cから端末10D、次いで、端末10Dから端末10Eの順に、次の送信順序の端末へ送信される(通信経路R13、通信経路R14、交流要求メッセージおよび送信手順情報M21)。
【0143】
端末10Eは、端末10Dから上記交流要求メッセージおよび送信手順情報T40を受信すると、自端末に設定された応答待機時間1分が経過するか、ユーザU5からの上記交流要求メッセージに対する応答が検出されるまで、待機する。ここでは、ユーザU5が、上記応答待機時間内に、上記交流要求メッセージに対する応答メッセージを作成し、端末10に当該応答メッセージの送信を指示する操作を行ったとする。
【0144】
端末10Eは、ユーザU5が応答を行ったことを検出すると、当該応答メッセージを、要求元ユーザであるユーザU1が利用している端末10Aに対して送信する(通信経路A11および応答メッセージM22)。
【0145】
このように、本発明は、端末10の各々に、情報処理装置20の制御部260が決定した送信順序に従って、リレー形式で交流要求メッセージと送信手順情報を送信させる構成をとることも可能である。このような変形例2の構成によれば、情報処理装置20の処理負荷を低減しながら、上記説明した実施形態と同様の効果を得ることが出来る。
【0146】
(変形例3)
また、上記動作例では、情報処理装置20の制御部260が、送信先ユーザに決定したユーザUの利用する端末10に対し、1台ずつ交流要求メッセージを送信して、1台ずつ応答を待つ例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、制御部260は、送信先ユーザに決定した複数のユーザUの各々に対して、応答待機時間の終了時点が揃うようなタイミングで、通信部220に上記交流要求メッセージを送信させてもよい。
【0147】
より具体的には、制御部260が
図6に示した送信順序テーブルT30の内容で送信順序、送信先ユーザ、および応答待機時間を決定したとすると、制御部260は、通信部220に、ユーザU2(ユーザID124)に対して交流要求メッセージを送信した時刻から1分後に、ユーザU3(ユーザID125)に対しても交流要求メッセージを送信させる。同様に、制御部260は、通信部220に、上記時刻から3分後にユーザU4(ユーザID126)に対して、同時刻から4分後にユーザU5(ユーザID127)に対して、交流要求メッセージを送信させる。すると、送信先ユーザに決定された複数のユーザUに設定された応答待機時間が同じタイミングで終了する。この間、制御部260は、いずれかのユーザUから上記交流要求メッセージに対する応答を検出した場合には、その時点で上記送信制御をやめてもよい。または、制御部260は、いずれかのユーザUからの応答を検出したとしても、送信先に決定した全てのユーザUに対して、上記のような時刻差をつけて交流要求メッセージを送信してもよい。
【0148】
または、制御部260は、心理的距離算出部264が算出した心理的距離に基づいて、心理的距離が基準範囲(例えば、0以上50以下)内である複数のユーザUを送信先ユーザに決定し、当該複数のユーザUに対して、通信部220から、一斉に交流要求データを送信させてもよい。
【0149】
このような構成により、要求元ユーザが、送信先ユーザに決定された複数のユーザUのうち、いずれかのユーザUからの応答をもらうまでに待機する時間を、短縮することが出来る。このような変形例5は、要求元ユーザが、とにかく急いで誰かから応答が欲しい、というような場合に、特に有効である。
【0150】
(変形例4)
また、上記動作例では、心理的距離算出部264が、各ユーザUのリラックス度を、ユーザUの各々が位置するエリアによって決定するとしたが、本発明はこの例に限定されない。例えば、端末10の各々が、
図2に図示しないセンサを備え、当該センサによって各ユーザUの心拍数または発汗量を計測し、情報処理装置20に対して当該計測結果を送信してもよい。そして、心理的距離算出部264は、当該計測結果に基づいて各ユーザUのリラックス度を決定してもよい。または、端末10が、自端末を利用しているユーザUの自端末の操作量を情報処理装置20に送信し、心理的距離算出部264が、当該操作量に基づいて各ユーザUのリラックス度を決定してもよい。または、端末10が、上記計測結果または上記操作量に基づいて、自端末を利用しているユーザUのリラックス度を決定し、決定した当該リラックス度を情報処理装置20に送信してもよい。このような構成により、ユーザUが居る場所が用途別に目的を定められておらず、ユーザUの位置によってリラックス度を決定することが難しい場合でも、心理的距離算出部264が各ユーザUのリラックス度に基づいて心理的距離を算出することが出来る。
【0151】
(変形例5)
また、上記動作例では、情報処理装置20の制御部260が、通信部220から端末10の各々に、交流要求メッセージを送信させるとしたが、本発明はこの例に限定されない。例えば、制御部260は、通信部220に、上記交流要求メッセージに加えて、要求元ユーザの位置を示す情報を送信し、端末10の各々に出力させてもよい。このような構成により、上記交流要求メッセージを受信した送信先ユーザの各々は、要求元ユーザの位置を知ることが出来る。要求元ユーザと送信先ユーザの各々の距離が近い場合には、送信先ユーザの各々は、直接要求元ユーザに話しかけることもできる。従って、送信先ユーザが、交流要求メッセージに応答する可能性をより高めることが出来る。
【0152】
(変形例6)
また、上記動作例では、情報処理装置20の制御部260は、ユーザUの各々から交流要求メッセージに対する応答があったことを、当該ユーザUが利用する端末10から通信部220が応答メッセージを受信したことにより検出するとしたが、本発明はこの例に限定されない。例えば、制御部260は、要求元ユーザと、送信先ユーザであるユーザUの位置情報に基づいて、要求元ユーザと当該ユーザUとが直接対話可能な位置に一定時間滞在するようになったことを、当該要求元ユーザが上記交流要求メッセージに対して応答したこととして検出してもよい。より具体的には、制御部260は、上記要求元ユーザと当該ユーザUとの間の物理的距離が、基準値(例えば1m)以下となり、かつ、当該物理的距離が基準値以下の状況が一定時間(例えば5分)継続したことを検出した場合に、当該ユーザUが、上記交流要求メッセージに対して応答したと検出してもよい。
【0153】
または、制御部260は、端末10が備えるマイクロフォンにより検出された、要求元ユーザおよび当該ユーザUの音声を解析して、当該要求元ユーザと当該ユーザUが直接対話していることを認識し、当該ユーザUから上記交流要求メッセージに対する応答が行われたと検出してもよい。あるいは、制御部260は、当該ユーザUが利用する端末10に、「口頭で応答する」ボタンを出力させ、ユーザUが当該ボタンを押下したことを、応答があったとして検出してもよい。または、制御部260は、要求元ユーザが利用する端末10に、「口頭で応答があった」ボタンを出力させ、要求元ユーザが当該ボタンを押下したことにより、応答があったことを検出してもよい。
【0154】
上記のような構成により、要求元ユーザと送信先ユーザとの物理的距離が近い場合には、送信先ユーザは口頭で要求元ユーザに対する応答を行う選択をすることが出来る。特に、送信先ユーザと要求元ユーザの物理的距離が近く、送信先ユーザが応答メッセージを送信するよりも口頭で要求元ユーザに話しかける方が早いような場合は、上記の構成は特に有効である。従って、要求元ユーザは、送信先ユーザからの応答を、より得やすくなる。このような変形例6は、上述した変形例5と組み合わせると、送信先ユーザが要求元ユーザの位置を端末10で確認できるので、より有効である。
【0155】
(変形例7)
また、上記動作例では、情報処理装置20の通信部220が応答メッセージを受信したことを、制御部260が、当該ユーザUからの交流要求メッセージに対する応答として検出し、当該ユーザUと、上記交流要求メッセージの要求元ユーザとの交流として検出するとした。そして、制御部260が検出した上記交流回数に応じて、ネットワーク計算部262が、各ユーザUの、交流要求メッセージに含まれるキーワード毎のノウフーデータ(知識強度)を更新するとした。しかし、本発明はこの例に限定されない。例えば、制御部260は、上記応答メッセージを解析し、当該応答メッセージの内容に応じて、要求元ユーザと当該ユーザUとの交流回数を1とみなすか判定してもよい。
【0156】
上記構成により、例えば、応答メッセージの内容が「すみません、今忙しくて答えられません」または「分からないです」といった、実質的に要求元ユーザからの質問または相談に答える内容ではないと推定される場合には、当該ユーザUの、当該交流要求メッセージに含まれるキーワードに対する知識強度を増加させないことが可能になる。従って、各ユーザUのキーワード毎の知識強度を、より精度高く推定することが出来る。
【0157】
(変形例8)
また、上記動作例では、制御部260が交流要求メッセージを検出すると、制御部260は送信先ユーザを決定して上記交流要求メッセージの送信制御を行うとしたが、本発明はこの例に限定されない。例えば、制御部260は、交流要求メッセージを受信した後に、心理的距離算出部264が算出する心理的距離に基づいて決定した送信先ユーザおよび送信順序の情報を、要求元ユーザの利用する端末10に送信し、端末10に出力させる制御を行ってもよい。そして、要求元ユーザが、端末10を操作することにより、送信先ユーザおよび送信順序の情報を閲覧して、いずれかの送信先ユーザに口頭で話しかけるか、情報処理装置20に交流要求メッセージを送信させるか、選択出来るようにしてもよい。このような構成により、要求元ユーザは、適切な相談相手として提示された送信先ユーザを把握し、当該送信先ユーザに話しかける心理的ハードルが低い状況であるときは、自分自身で話しかける選択をすることが出来る。従って、要求元ユーザはより柔軟に各ユーザUに対して質問または相談をする方法を選ぶことが出来る。
【0158】
<6.ハードウェア構成図>
以上、本発明の一実施形態を説明した。上述した、情報処理装置20による、心理的距離の算出、心理的距離に基づいた送信先ユーザと送信順序の決定、および、各端末10への送信制御は、ソフトウェアと、情報処理装置20のハードウェアとの協働により実現される。以下では、本発明の実施形態による情報処理装置20のハードウェア構成例について説明する。端末10のハードウェア構成も、情報処理装置20のハードウェア構成と同様に実現され得る。
【0159】
なお、以下に説明する情報処理装置20のハードウェア構成例は、情報処理装置20および端末10のハードウェア構成の一例に過ぎない。したがって、情報処理装置20および端末10のそれぞれのハードウェア構成は、以下に説明する情報処理装置20のハードウェア構成から不要な構成が削除されてもよいし、新たな構成が追加されてもよい。
【0160】
図13は、本発明の実施形態による情報処理装置20のハードウェア構成例を示す図である。情報処理装置20は、CPU(Central Processing Unit)1001と、ROM(Read Only Memory)1002と、RAM(Random Access Memory)1003と、内部バス1004と、入出力インターフェース1010と、表示装置1011と、入力装置1012と、音声出力部1013と、記憶装置1014と、ドライブ1015と、ネットワークインターフェース1016と、外部インターフェース1017と、を備えることができる。
【0161】
CPU1001は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って情報処理装置20内の動作全般を制御する。CPU1001が後述するROM1002、RAM1003およびソフトウェアと協働することにより、例えば、制御部260の機能が実現され得る。
【0162】
ROM1002は、CPU1001が使用するプログラムおよび演算パラメータ等を記憶する。RAM1003は、CPU1001の実行において使用するプログラム、およびその実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。
【0163】
CPU1001、ROM1002、RAM1003は、内部バス1004によって相互に接続され、さらに入出力インターフェース1010を介して後述する表示装置1011、入力装置1012、音声出力部1013、記憶装置1014、ドライブ1015、ネットワークインターフェース1016および外部インターフェース1017と接続される。
【0164】
表示装置1011は、例えば、CRTディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)、OLED装置などの表示装置であり、映像データを映像に変換して出力する。また、入力装置1012は、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、センサ、スイッチおよび制御回路などから構成され得る。また、音声出力部1013は、スピーカおよびヘッドホンなどの音声出力装置であり、音声データなどを音声に変換して出力する。
【0165】
記憶装置1014は、本実施形態による記憶部240の一例として構成されたデータ記憶用の装置である。記憶装置1014は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含んでいてもよい。記憶装置1014は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)、あるいは同等の機能を有するメモリ等で構成される。この記憶装置1014は、ストレージを駆動し、CPU1001が実行するプログラムまたは各種データを記憶する。
【0166】
ドライブ1015は、記憶媒体用リーダライタであり、情報処理装置20に内蔵、または外付けされる。ドライブ1015は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリなどのリムーバブル記憶媒体に記憶されている情報を読み出して、RAM1003に出力する。また、ドライブ1015は、リムーバブル記憶媒体に情報を書き込むことも可能である。
【0167】
ネットワークインターフェース1016は、例えば、インターネットなどの通信網に接続するためのデバイス等で構成された通信インターフェースである。また、ネットワークインターフェース1016は、有線LAN(Local Area Network)または無線LAN対応通信装置であってもよいし、有線による通信を行うワイヤー通信装置であってもよい。
【0168】
外部インターフェース1017は、例えばUSB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1394ポート、SCSI(Small Computer System Interface)ポート、RS-232Cポートまたは光オーディオ端子などのような外部接続機器を接続するための接続ポートで構成された接続インターフェースである。
【0169】
<7.補足>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0170】
例えば、上記実施形態では、端末10の制御部180が、自端末の位置情報を、端末10の通信可能範囲内にあるWi-fi、または、あらかじめオフィス内に設置されたビーコンとの通信を行うことにより取得するとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、端末10の制御部180は、GPS(Global Positioning System)、または、IMES(Indoor Messaging System)を利用して、自端末の位置情報を取得してもよい。
【0171】
また、上記実施形態では、ユーザUの各々が、同一のオフィスビルに勤務している場合を例に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、ユーザUの各々は、それぞれの自宅または任意の場所でリモートワークを行っていてもよい。
【0172】
また、上記実施形態では、ユーザUの各々が同一のオフィスビルに勤務する、同一組織の構成員同士であるとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば本発明は、複数の組織の構成員同士で質問または相談を行いたい場面にも適用できる。あるいは、本発明は、大学、専門学校、塾などの、各種の教育組織等において利用することも出来る。
【0173】
また、上述した実施形態の内容および補足で説明した内容を、各々組み合わせてもよい。
【0174】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本発明に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0175】
また、本実施形態による情報処理装置20の動作の処理におけるステップは、必ずしもフローチャートに記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。例えば、情報処理装置20の動作の処理における各ステップは、フローチャートに記載した順序と異なる順序で処理されてもよく、並列的に処理されてもよい。
【0176】
また、コンピュータに内蔵されるCPU、ROMおよびRAMなどのハードウェアに、上述した端末10または情報処理装置20が有する構成と同等の機能を発揮させるための1以上のプログラムも作成可能である。
【符号の説明】
【0177】
10 端末10
120 通信部120
140 出力部140
160 入力部160
180 制御部180
20 情報処理装置20
220 通信部220
240 記憶部240
260 制御部260
262 ネットワーク計算部262
264 心理的距離算出部264