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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083789
(43)【公開日】2023-06-16
(54)【発明の名称】電力計測システム及び分電盤
(51)【国際特許分類】
   G01R 21/00 20060101AFI20230609BHJP
   G01R 31/55 20200101ALI20230609BHJP
   G01R 31/50 20200101ALI20230609BHJP
   H02B 1/40 20060101ALI20230609BHJP
【FI】
G01R21/00 R
G01R31/55
G01R31/50
H02B1/40 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021197686
(22)【出願日】2021-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永利 英昭
(72)【発明者】
【氏名】一村 省互
【テーマコード(参考)】
2G014
5G211
【Fターム(参考)】
2G014AA07
2G014AB01
2G014AC15
5G211AA11
5G211AA12
5G211DD14
5G211DD15
5G211DD16
5G211DD27
5G211DD36
5G211DD37
5G211GG05
5G211GG06
5G211GG10
(57)【要約】
【課題】誤施工を検出できるようにすること。
【解決手段】電力計測システム10は、電圧処理部と、電流検出器8Aと、判定部と、を備える。電圧処理部は、複数の電源PsA、PsBの各々から電力を供給される複数の幹線TLA、TLBのいずれかである第1幹線に印加される入力電圧を計測し、確認信号を第1幹線を介して送信又は受信する。電流検出器8Aは、複数の幹線TLA、TLBのいずれかである第2幹線から分岐する分岐回路に流れる入力電流を検出し、確認信号を第2幹線を介して送信又は受信する。判定部は、電圧処理部及び電流検出器8Aのいずれか一方に確認信号を送信させ、電圧処理部及び電流検出器8Aのうち確認信号を送信させていない方が確認信号を受信するか否かによって、第1幹線と第2幹線とが同一の幹線であるか否かを判定する判定処理を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電源の各々から電力を供給される複数の幹線のいずれかである第1幹線に印加される入力電圧を計測し、確認信号を前記第1幹線を介して送信又は受信する電圧処理部と、
前記複数の幹線のいずれかである第2幹線から分岐する分岐回路に流れる入力電流を検出し、前記確認信号を前記第2幹線を介して送信又は受信する電流検出器と、
前記電圧処理部及び前記電流検出器のいずれか一方に前記確認信号を送信させ、前記電圧処理部及び前記電流検出器のうち前記確認信号を送信させていない方が前記確認信号を受信するか否かによって、前記第1幹線と前記第2幹線とが同一の幹線であるか否かを判定する判定処理を行う判定部と、を備える
電力計測システム。
【請求項2】
前記確認信号は、電圧信号である
請求項1に記載の電力計測システム。
【請求項3】
前記電圧処理部及び前記電流検出器の少なくとも一方は、前記電圧信号を受信する信号受信部を有する
請求項2に記載の電力計測システム。
【請求項4】
前記確認信号は、電流信号である
請求項1に記載の電力計測システム。
【請求項5】
前記確認信号は、送信元である前記電圧処理部又は前記電流検出器を識別するための識別情報を含む
請求項1~4のいずれか1項に記載の電力計測システム。
【請求項6】
前記複数の幹線のいずれかである複数の前記第1幹線の各々に印加される前記入力電圧を計測する複数の前記電圧処理部と、
前記複数の幹線のいずれかである複数の前記第2幹線の各々から分岐する複数の分岐回路に流れる入力電流を検出する複数の前記電流検出器と、を備え、
前記判定部は、前記判定処理において、前記複数の電圧処理部の各々及び前記複数の電流検出器の各々のいずれか一方に前記確認信号を時分割で送信させ、前記複数の電圧処理部の各々及び前記複数の電流検出器の各々のうち前記確認信号を送信させていない方が前記確認信号を受信するか否かによって、前記複数の第1幹線と前記複数の第2幹線とのうち、同一の幹線である前記第1幹線と前記第2幹線との組み合わせを求める
請求項1~5のいずれか1項に記載の電力計測システム。
【請求項7】
ユーザからの入力を受け付ける入力部を更に備え、
前記判定部は、前記入力に応じて前記判定処理を行う
請求項1~6のいずれか1項に記載の電力計測システム。
【請求項8】
前記判定部による前記判定処理の判定結果を表示する表示部を更に有する
請求項1~7のいずれか1項に記載の電力計測システム。
【請求項9】
前記判定部による前記判定処理の判定結果を外部装置に送信する外部通信部を更に有する
請求項1~8のいずれか1項に記載の電力計測システム。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の電力計測システムと、
前記電力計測システムが備える前記電圧処理部と前記電流検出器とを少なくとも収容するキャビネットと、を有する
分電盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は電力計測システム及び分電盤に関し、より詳細には、電圧及び電流の計測結果から電力を算出する電力計測システム及び分電盤に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の電力計測システムは、処理部と、通信部と、を備える。処理部は、回路に流れる電流を検出する電流検出器の検出結果に基づいて、回路の電力を動作プログラムに従って求める。通信部は、電流検出器の検出結果に関する情報を出力する又は電流検出器の検出結果に関する情報の入力を受け付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-106311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているような電力計測システムにおいて、電流検出器が計測対象の回路とは異なる回路に誤施工されると、計測対象の回路に流れる電流を正しく測定することができないため、誤施工を検出したいという要望があった。
【0005】
本開示は上記事由に鑑みてなされ、誤施工を検出することができる電力計測システム及び分電盤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る電力計測システムは、電圧処理部と、電流検出器と、判定部と、を備える。前記電圧処理部は、複数の電源の各々から電力を供給される複数の幹線のいずれかである第1幹線に印加される入力電圧を計測し、確認信号を前記第1幹線を介して送信又は受信する。前記電流検出器は、前記複数の幹線のいずれかである第2幹線から分岐する分岐回路に流れる入力電流を検出し、前記確認信号を前記第2幹線を介して送信又は受信する。前記判定部は、前記電圧処理部及び前記電流検出器のいずれか一方に前記確認信号を送信させ、前記電圧処理部及び前記電流検出器のうち前記確認信号を送信させていない方が前記確認信号を受信するか否かによって、前記第1幹線と前記第2幹線とが同一の幹線であるか否かを判定する判定処理を行う。
【0007】
本開示の一態様に係る分電盤は、前記電力計測システムと、キャビネットと、を有する。前記キャビネットは、前記電力計測システムが備える前記電圧処理部と前記電流検出器とを少なくとも収容する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、誤施工を検出できる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る電力計測システムの正常施工状態のブロック図である。
図2図2は、同上の電力計測システムのブロック図である。
図3図3は、同上の電力計測システムの誤施工状態のブロック図である。
図4図4は、同上の電力計測システムが備える電流検出器の斜視図である。
図5図5は、同上の電力計測システムが備える電流検出器の側面図である。
図6図6は、同上の電力計測システムが備える電流検出器の斜視図である。
図7図7は、同上の電力計測システムが備える判定部による判定動作のフローチャートである。
図8図8は、変形例1の電力計測システムが備える判定部による判定動作のフローチャートである。
図9図9は、変形例3の電力計測システムが備える判定部による判定動作のフローチャートである。
図10図10は、変形例3の電力計測システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施形態に係る電力計測システム10について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態及び変形例は、本開示の一例に過ぎず、本開示は、実施形態及び変形例に限定されない。この実施形態及び変形例以外であっても、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、下記の実施形態(変形例を含む)は、適宜組み合わせて実現されてもよい。
【0011】
(1)概要
まず、本実施形態に係る電力計測システム10の概要について、模擬的なブロック図である図1図3を参照して説明する。なお図1図3において、ブロック間を結ぶ線はブロック間の電気的な接続関係を示すものであり、実際の電線の本数とは異なる場合がある。
【0012】
電力計測システム10は、例えば、工場又は事務所等の需要家の施設において、分電盤100内に配置されて用いられる。なお、電力計測システム10は、集合住宅などの住宅用の施設に適用されてもよい。
【0013】
電力計測システム10は、図1及び図2に示すように、電圧処理部12Aと、電流検出器81Aと、判定部16Aと、を備える。なお、電圧処理部12Aと、電流検出器81Aは、分電盤100が有するキャビネット200に収容される。
【0014】
電圧処理部12Aは、電源PsA、PsBの各々から電力を供給される幹線TLA、TLBのいずれかである第1幹線に印加される入力電圧を計測する。換言すると、第1幹線とは、幹線TLA、TLBのうち、電圧処理部12Aの計測対象の幹線である。また、電圧処理部12Aは、第1幹線を介して、確認信号を送信又は受信する。電力計測システム10における確認信号の送信及び受信の詳細は本節において後述する。
【0015】
電流検出器81Aは、幹線TLA、TLBのいずれかである第2幹線から分岐する分岐回路に流れる入力電流を検出する。換言すると、第2幹線とは、幹線TLA、TLBのうち、電流検出器81Aの検出対象の分岐回路の分岐元の幹線である。また、電流検出器81Aは、第2幹線を介して、確認信号を送信又は受信する。
【0016】
ここで、図1に示すような電力計測システム10が正しく施工された状態(以下、正常施工状態)では、ある分岐回路の電力計測に用いられる電圧処理部12Aと電流検出器81Aとは、第1幹線と第2幹線とが同一の幹線(例えば幹線TLA)となるように設置される。これにより、電力計測システム10は、電源PsAから、幹線TLAの分岐回路C1Aを介して負荷21Aに供給される電力を計測することができる。
【0017】
次に、電力計測システム10が、第1幹線と第2幹線とが異なるように誤施工された場合の一例について図3を参照して説明する。
【0018】
図3で示すような誤施工された状態(以下、誤施工状態)において、幹線TLAの分岐回路C1A~C4Aの電力計測に用いる電圧処理部12Aは、幹線TLAに印加される入力電圧を計測するように設置されている。つまり、第1幹線はTLAである。一方、幹線TLAの分岐回路C1Aの電力計測に用いる電流検出器81Aは、本来であれば、図1に示すように分岐回路C1Aに流れる入力電流を検出するように設置されるところを、誤って幹線TLBの分岐回路C1Bに流れる入力電流を検出するように設けられている。つまり誤施工状態において、電流検出器81Aに対応する第2幹線は幹線TLBである。
【0019】
このように第1幹線と第2幹線とが異なっている誤施工状態においては、電力計測システム10は、電源PsAから幹線TLAの分岐回路C1Aを介して負荷21Aに供給される電力を正しく計測することができない。
【0020】
本実施形態では、判定部16は、上記のような誤施工を検出する処理を行う。具体的には、判定部16は、電圧処理部12A及び電流検出器81Aのいずれか一方に確認信号を送信させる。判定部16は、電圧処理部12A及び電流検出器81Aのうち確認信号を送信させていない方が確認信号を受信するか否かによって、第1幹線と第2幹線とが同一の幹線であるか否かを判定する判定処理を行う。これにより、電力計測システム10は、誤施工を検出することができる。
【0021】
(2)詳細
(2.1)構成
以下に、本実施形態の電力計測システム10の構成について図1及び図2に基づいて説明する。なお、以下では電力計測システム10が正常施工状態であることを前提として説明を行う。
【0022】
本実施形態の電力計測システム10は、図1に示すように、電力計測機器である基本ユニット1Aを備える。基本ユニット1Aは、電源PsAから例えば単相3線式で供給される電力を計測する。なお基本ユニット1Aは、三相3線式で供給される電力を測定するように構成されてもよい。
【0023】
電源PsAからの電力は幹線TLAを通じて供給される。幹線TLAからは分岐回路C1A~C4Aが例えば4個の分岐ブレーカ4Aによって互いに並列に分岐している。幹線TLAは、第1電圧線L1、第2電圧線L2及び中性線LNを含む。本実施形態では、一例として、4つの負荷(負荷21A~24A)が、分岐回路C1A~C4Aにそれぞれ接続されている場合を想定する。
【0024】
電力計測機器である基本ユニット1Aは、電圧入力端子11Aと、電流入力端子13Aと、制御部6Aと、を有している。
【0025】
電圧入力端子11Aは、図1に示すように、幹線TLAに電気的に接続されている。電圧入力端子11Aには、電源PsAから幹線TLAに印加される入力電圧が入力される。幹線TLAに印加された入力電圧は、各分岐ブレーカ4Aを介して分岐回路C1A~C4Aのそれぞれに印加されている。なお、幹線TLAと電圧入力端子11Aとの間の電路上にブレーカが設けられてもよい。
【0026】
電流入力端子13Aは、例えば4つの端子(端子71A~74A)を含む。端子71A~74Aの各々には出力線L3を介して電流検出器8Aが接続可能である。ここで出力線L3は電流検出器を接続する側が分岐しており、2つの電流検出器8Aを接続可能である。つまり端子71A~74Aの各々は、2つの電流検出器8Aを接続可能である。
【0027】
電流検出器8Aは、例えば、変流器(CT: Current Transformer)である。正常施工状態では、4つの電流検出器8A(電流検出器81A~84A)が幹線TLAから分岐する分岐回路C1A~C4Aにそれぞれ取り付けられる。つまり、電流検出器81A~84Aの検出対象の分岐回路の分岐元の幹線である第2幹線は、幹線TLAである。
【0028】
分岐回路C1A、C2Aに各々設置される電流検出器81A、82Aは出力線L3を介して端子71Aに接続される。分岐回路C3A、C4Aに各々設置される電流検出器83A、84Aは出力線L3を介して端子72Aに接続される。
【0029】
以下、一例として分岐回路C1Aに取り付けられる電流検出器81Aについて説明する。なお、電流検出器82A~84Aも電流検出器81Aと同様の構成を有しているため、ここでは説明を省力する。
【0030】
電流検出器81Aは、図4及び図5に示すように、本体部40と、リード線41と、保持部42と、を有する。
【0031】
本体部40は、内部に電流を検出する電流検出部50(図2参照)を収容する。本体部40は、本体下部401と、本体上部402と、を有する。本体下部401は、例えば矩形箱状に形成されている。本体上部402は、図4における一方向(以下方向DR1)の長さが本体下部401よりも短い矩形箱状に形成されている。本体上部402は、下方に開口した開口部403を有する。開口部403は、方向DR1と垂直な断面が例えばU字状である。また本体上部402は、本体下部401の設けられた篏合突起404と篏合する篏合部405を有する。
【0032】
電流検出器81Aは、方向DR1が、測定対象の被覆電線の軸方向と略一致するように、測定対象の被覆電線に取り付けられる。具体的には、方向DR1が測定対象の被覆電線の軸方向と略一致するように測定対象の被覆電線を開口部403に収容した状態で、本体下部401の篏合突起404と本体上部402の篏合部405とを篏合させることによって、電流検出器81Aは測定対象の被覆電線に取り付けられる。本実施形態においては、電流検出器81Aは、分岐回路C1Aに含まれる被覆電線L01、L02のうち被覆電線L01に取り付けられている。つまり、電流検出器81Aは、方向DR1が被覆電線L01の軸方向と略一致するように被覆電線L01に取り付けられている。なお、被覆電線L01、L02は、単相3線式で電力を供給する幹線TLAの第1電圧線L1及び中性線LN(図1参照)と各々電気的に接続している被覆電線である。なお、被覆電線L01は第2電圧線L2と電気的に接続していてもよい。
【0033】
本体部40に収容される電流検出部50は、本体下部401の内部から外部に延びるリード線41及びリード線41に接続される出力線L3を介して、被覆電線L01に流れる入力電流に応じた電流信号である入力信号を端子71Aに出力する。なお、電流検出部50による入力電流の検出及び入力信号の入力には周知の技術が用いられるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0034】
電流検出器81Aが取り付けられていない被覆電線L02は、保持部42によって保持されている。保持部42は、例えば、方向DR1を軸方向とする円筒の一部が欠けた形状の部位であり、本体下部401の側面に、例えばねじ等の固定部材で固定されている。なお、保持部42は、本体下部401と連続して形成されていてもよい。保持部42は、被覆電線L02の軸方向と保持部42の軸方向である方向DR1が略一致するように、被覆電線L02を保持する。つまり、被覆電線L01の開口部403に収容された部分の軸方向と、被覆電線L02の保持部42に保持された部分の軸方向とはいずれも方向DR1であり、互いに平行となる。なお、ここでいう「平行」とは、完全に平行な状態に限定されず、平行な状態から数度程度ずれている状態も含む。
【0035】
電流検出器81Aは、後述する制御部6Aが備える信号出力部122Aから幹線TLAを介して送信される確認信号SAを受信する信号受信部51を更に有する。ここで信号出力部122Aからの確認信号SAは、第1電圧線L1と中性線LNとの間、及び第2電圧線L2と中性線LNとの間に印加される交流電圧信号である。第1電圧線L1と中性線LNとの間に印加される確認信号SAと、第2電圧線L2と中性線LNとの間に印加される確認信号SAとは例えば同時に印加される。また、第1電圧線L1と中性線LNとの間に印加される確認信号SAと、第2電圧線L2と中性線LNとの間に印加される確認信号SAとは時分割で送信されてもよい。つまり確認信号SAは、被覆電線L01と被覆電線L02との間に印加される。なお、確認信号はパルス電圧信号であってもよい。
【0036】
信号受信部51は、図5に示すように、互いに平行かつ面積の等しい2枚の平板電極P1、P2を有するコンデンサCp(単層セラミックコンデンサ等)を備える。なお図5においては、コンデンサCp以外の信号受信部51の構成要素については図示を省略している。信号受信部51は、2枚の平板電極P1、P2が被覆電線L01及び被覆電線L02と各々対向するように本体下部401の内部に設けられる。ここで、コンデンサCpは、平板電極P1と被覆電線L01との最短距離D1と、平板電極P2と被覆電線L02との最短距離D2とが等しくなるように配置される。
【0037】
信号受信部51は、受信した確認信号SAに応じた応答信号RAを出力線L3を介して端子71Aに出力する。信号受信部51による確認信号SAの受信動作及び応答信号RAの入力動作については、「(2.2)判定処理の動作説明」において詳しく説明する。
【0038】
制御部6Aは、例えば、1以上のプロセッサ(マイクロプロセッサ)と1以上のメモリとを含むコンピュータシステムにより実現され得る。つまり、1以上のプロセッサが1以上のメモリに記憶された1以上のプログラム(アプリケーション)を実行することで、制御部6Aとして機能する。プログラムは、ここでは制御部6Aのメモリに予め記録されているが、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0039】
制御部6Aは、電圧計測部121A及び信号出力部122Aを有する電圧処理部12Aと、電流計測部14Aと、信号処理部60Aと、電力算出部15Aと、判定部16と、記憶部30Aと、を備える。なお、図2において、電圧処理部12Aと、電圧処理部12Aが有する電圧計測部121A及び信号出力部122Aと、電流計測部14Aと、信号処理部60Aと、電力算出部15Aと、判定部16とは、実体のある構成を示しているわけではなく、制御部6Aによって実現される機能を示している。
【0040】
電圧計測部121Aは幹線TLAから電圧入力端子11Aに入力される入力電圧を測定する。つまり、電圧計測部121Aの測定対象の幹線である第1幹線は幹線TLAである。電圧計測部121Aによる入力電圧の測定結果は記憶部30Aに記憶される。
【0041】
信号出力部122Aは、電圧入力端子11A及び第1幹線である幹線TLAを介して確認信号SAを送信(出力)する。ここで確認信号SAは、例えば電圧信号である。また確認信号SAは、送信元である信号出力部122Aを備える電圧処理部12Aを識別するための識別情報(例えば確認信号SAの送信元に固有の周波数)を含む。信号出力部122Aから送信された電圧信号である確認信号SAは、上述したように、幹線TLAから分岐する分岐回路C1A~C4Aの各々に設けられる電流検出器81A~84Aによって受信される。
【0042】
電流計測部14Aは、電流検出器81A、82Aから端子71Aに入力される入力信号、及び、電流検出器83A、84Aから端子72Aに入力される入力信号に基づいて、分岐回路C1A~C4Aの各々に流れる入力電流を計測する。電流計測部14Aによる入力電流の計測結果は記憶部30Aに記憶される。
【0043】
信号処理部60Aは、電流検出器81A、82Aから端子71Aに入力される応答信号RA、及び、電流検出器83A、84Aから端子72Aに入力される応答信号RAに基づいて、応答信号RAに対応する確認信号SAに含まれる識別情報を検出する。
【0044】
電力算出部15Aは、電圧計測部121Aによって計測された入力電圧及び電流計測部14Aによって計測された入力電流の測定結果に基づいて、負荷21A~24Aで各々消費される有効電力及び負荷21A~24Aに各々供給される皮相電力を算出する。
【0045】
判定部16は、判定処理を行う。なお判定処理には、基本ユニット1Aと後述する異種系統ユニット1Bとの通信による処理が含まれるため、本節において異種系統ユニット1Bについて述べた後に説明する。
【0046】
基本ユニット1Aは、判定部16による判定処理の判定結果を外部装置90に送信する外部通信部31を更に有する。ここで、外部通信部31が通信を行う外部装置90は、例えばスマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末、パーソナルコンピュータ等の情報端末である。
【0047】
外部通信部31は、制御部6Aによって制御される通信モジュールである。具体的には外部通信部31は、例えばBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)の規格に準拠した通信方式で、外部装置90と近距離無線通信を行うように構成されている通信モジュールである。「BLE」は、無線PAN(Personal Area Network)技術であるBluetooth(登録商標)の仕様における、低消費電力仕様の呼称である。尚、外部通信部31の通信方式は、BLEに限定されず、無線局の免許が不要な通信方式であれば、ZigBee(登録商標)、920MHz帯の特定小電力無線局(免許を要しない無線局)、Wi-Fi(登録商標)等の通信規格に準拠した通信方式でもよい。なお、外部通信部31は、通信ケーブルを介して外部装置90と有線通信を行う通信モジュールであってもよい。
【0048】
また電力計測システム10は、図1及び図2に示すように、基本ユニット1Aに接続される表示設定ユニット9を更に備える。表示設定ユニット9は、基本ユニット1Aが備える差込口17に接続される。基本ユニット1Aと、表示設定ユニット9とは、有線通信により通信を行う。なお、基本ユニット1Aと、表示設定ユニット9とは無線通信によって通信を行ってもよい。
【0049】
表示設定ユニット9は、入力部91と、表示部92と、を備える。
【0050】
入力部91は、電力計測システム10のユーザからの入力を受け付ける。判定部16は、入力部91がユーザによる入力を受け付けると、判定処理を実施する。入力部91は、例えば、複数の釦を含み、この場合「入力」とは複数の釦の押操作を示す。なお入力部91は、例えばスマートフォン等の外部装置90からのユーザの入力を、例えば外部通信部31を介して受け付けてもよい。
【0051】
表示部92は、例えば液晶ディスプレイ又は有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ等のディスプレイである。表示部92は、判定部16による判定処理の判定結果を表示する。なお、表示部92は、例えば、電力算出部15A及び後述する異種系統ユニット1Bが備える電力算出部15Bによる有効電力及び皮相電力の算出結果を表示してもよい。
【0052】
電力計測システム10は、図1及び図2に示すように、基本ユニット1Aに接続される異種系統ユニット1Bを備える。異種系統ユニット1Bは接続部18を有し、基本ユニット1Aが備える増設用接続部19と、接続部18とが接続される。基本ユニット1Aと、異種系統ユニット1Bとは、例えば有線通信により通信を行う。なお、基本ユニット1Aと、異種系統ユニット1Bとは無線通信によって通信を行ってもよい。
【0053】
異種系統ユニット1Bは電力計測機器であり、電源PsBから例えば三相3線式で供給される電力を計測する。なお異種系統ユニット1Bは、単相3線式で供給される電力を測定するように構成されてもよい。
【0054】
電源PsBからの電力は幹線TLBを通じて供給される。幹線TLBからは分岐回路C1B~C4Bが例えば4個の分岐ブレーカ4Bによって互いに並列に分岐している。幹線TLBは、R相の電線Tr、S相の電線Ts、及びT相の電線Ttを含む。本実施形態では、一例として、1つの負荷(負荷21B)が、分岐回路C1Bに接続されている場合を想定する。
【0055】
異種系統ユニット1Bは、電圧入力端子11Bと、電流入力端子13Bと、制御部6Bと、を有している。
【0056】
電圧入力端子11Bは、図1に示すように、幹線TLBに電気的に接続されている。電圧入力端子11Bには、電源PsBから幹線TLBに印加される入力電圧が入力される。幹線TLBに印加された入力電圧は、各分岐ブレーカ4Bを介して分岐回路C1B~C4Aのそれぞれに印加されている。なお、幹線TLBと電圧入力端子11Bとの間の電路上にブレーカが設けられてもよい。
【0057】
電流入力端子13Bは、例えば4つの端子(端子71B~74B)を含む。端子71B~74Bの各々には出力線L3を介して電流検出器8Bが接続可能である。
【0058】
本実施形態では、1つの電流検出器8B(電流検出器81B)が幹線TLBから分岐する分岐回路C1B取り付けられる。つまり、電流検出器81Bの検出対象の分岐回路の分岐元は幹線TLBであり、幹線TLBが第2幹線である。
【0059】
電流検出器81Bは、出力線L3を介して端子71Bに接続されている。
【0060】
電流検出器81Bは、図1図2及び図6に示すように、電流検出器8Aと同様の構成を持つ電流検出器81C、82Cを含む。電流検出器81C、82Cは出力線L3を介して端子71Bに接続される。つまり、電流検出器81Bは、出力線L3を介して端子71Bに接続される。
【0061】
図6に示すように、電流検出器81C、82Cは分岐回路C1Bに含まれる被覆電線L11~L13のうち被覆電線L11、L13に取り付けられる。被覆電線L12は電流検出器81Cが有する保持部42に保持されている。ここで、被覆電線L11~L13は、三相3線式で電力を供給する幹線TLBのR相の電線Tr、S相の電線Ts及びT相の電線Tt(図1参照)と各々電気的に接続している被覆導線である。
【0062】
電流検出器81C、82Cの各々が有する電流検出部50(図2参照)は、被覆電線L11及び被覆電線L13に流れる入力電流に応じた入力信号を、出力線L3を介して端子71Bに出力する。
【0063】
電流検出器81Cが有する信号受信部51(図2参照)は、後述する制御部6Bが備える信号出力部122Bから幹線TLBを介して送信される確認信号SBを受信する。ここで信号出力部122Bからの確認信号SBは、R相の電線TrとS相の電線Tsとの間に印加される交流電流信号である。つまり、確認信号SBは、被覆電線L11と被覆電線L12との間に印加される。また電流検出器81Cが有する信号受信部51は、受信した確認信号SBに応じた交流電圧信号である応答信号RBを出力線L3を介して端子71Bに出力する。
【0064】
制御部6Bは、例えば、1以上のプロセッサ(マイクロプロセッサ)と1以上のメモリとを含むコンピュータシステムにより実現され得る。つまり、1以上のプロセッサが1以上のメモリに記憶された1以上のプログラム(アプリケーション)を実行することで、制御部6Bとして機能する。プログラムは、ここでは制御部6Bのメモリに予め記録されているが、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0065】
制御部6Bは、電圧計測部121B及び信号出力部122Bを有する電圧処理部12Bと、電流計測部14Bと、信号処理部60Bと、電力算出部15Bと、記憶部30Bと、を備える。
【0066】
電圧計測部121Bは幹線TLBから電圧入力端子11Bに入力される入力電圧を測定する。つまり、電圧計測部121Bの測定対象の幹線である第1幹線は幹線TLBである。電圧計測部121Bによる入力電圧の測定結果は記憶部30Bに記憶される。
【0067】
信号出力部122Bは、電圧入力端子11B及び第1幹線である幹線TLBを介して、電圧信号である確認信号SBを送信する。確認信号SBは、送信元である信号出力部122Bを備える電圧処理部12Bを識別するための識別情報(例えば電圧処理部12Bに固有の周波数)を含む。信号出力部122Bから送信された確認信号SBは、分岐回路C1Bに設けられた電流検出器81Bによって受信される。
【0068】
電流計測部14Bは、電流検出器81Bから端子71Bに入力される入力信号に基づいて、分岐回路C1Bに流れる入力電流を計測する。電流計測部14Bによる入力電流の計測結果は記憶部30Bに記憶される。
【0069】
信号処理部60Bは、電流検出器81Bから端子71Bに入力される応答信号RBに基づいて、応答信号RBに対応する確認信号SBに含まれる識別情報を検出する。
【0070】
電力算出部15Bは、電圧計測部121Bによって計測された入力電圧及び電流計測部14Bによって計測された入力電流の測定結果に基づいて、負荷21Bで消費される有効電力及び負荷21Bに供給される皮相電力を算出する。
【0071】
ここで、上述した制御部6Aに含まれる判定部16が行う判定処理について説明する。
【0072】
まず、電力計測システム10は、上述のように、電圧処理部12A、12Bと、電流検出器81A~84A、81Bと、を備える。電圧処理部12Aが有する電圧計測部121A及び電圧処理部12Bが有する電圧計測部121Bは、2つの第1幹線(幹線TLA、TLB)に印加される入力電圧を各々計測する。電流検出器81A~84A、81Bは、各々に対応する5つの分岐回路に流れる入力電流を各々検出する。5つの分岐回路は各々に対応する第2幹線から分岐する。なお本実施形態では、5つの分岐回路の各々が分岐する第2幹線は幹線TLA又は幹線TLBのいずれかである。例えば、図1に示すような正常施工状態においては、電流検出器81A~84Aに各々対応する4つの分岐回路が分岐する第2幹線はともに幹線TLAであり、電流検出器81Bに対応する1つの分岐回路が分岐する第2幹線は幹線TLBである。
【0073】
ここで判定部16は、判定処理において、電圧計測部121Aの測定対象の幹線である第1幹線と、電流検出器81A~84Aの検出対象の4つの分岐回路の各々の分岐元の第2幹線とが同一の幹線であるか否かを判定する。判定部16は、信号出力部122Aに第1幹線を介して確認信号SAを送信させ、電流検出器81A~84Aの各々が第2幹線を介して確認信号SAを受信するか否かを確認する。
【0074】
また判定部16は、判定処理において、電圧計測部121Bの測定対象の幹線である第1幹線と、電流検出器81Bの検出対象の分岐回路の分岐元の第2幹線とが同一の幹線であるか否かを判定する。判定部16は、信号出力部122Bから第1幹線に確認信号SBを送信させ、電流検出器81Bが第2幹線を介して確認信号SBを受信するか否かを確認する。換言すると、判定部16は、判定処理において、信号出力部122A、122Bに確認信号SA、SBを各々送信させ、電流検出器81A~84Aが確認信号SAを受信するか否か、電流検出器81Bが有する電流検出器81Cが確認信号SBを受信するか否かを確認する。これにより、電圧計測部121A、121Bの各々の測定対象である2つの第1幹線(本実施形態における幹線TLA、TLB)と、電流検出器81A~84A、81Bの各々が設置される5つの分岐回路の分岐元の第2幹線とのうち、同一の幹線である第1幹線と第2幹線との組み合わせを求める。
【0075】
(2.2)判定処理の動作説明
本実施形態の電力計測システム10が備える判定部16による判定処理の動作について、図1図3、及びフローチャートである図7に基づいて説明する。
【0076】
まず、電力計測システム10のユーザは、表示設定ユニット9の入力部91が備える1又は複数の釦を押操作して、電動計測システム10をテストモードに移行させる(ST1)。
【0077】
電力計測システム10がテストモードに移行すると、判定部16は、信号出力部122A、122Bに、第1幹線を介して確認信号SA、SBを送信させる(ST2)。詳細には、判定部16は、信号出力部122Aに、電圧入力端子11A及び第1幹線である幹線TLAを介して確認信号SAを送信させ、信号出力部122Bに、電圧入力端子11B及び第1幹線である幹線TLBを介して確認信号SBを送信させる。信号出力部122Aによる確認信号SAの送信と、信号出力部122Bによる確認信号SBの送信とは、例えば同じタイミングで実行される。ここで、確認信号SAは、上述したように、幹線TLAの第1電圧線L1と中性線LNとの間、及び、第2電圧線L2と中性線LNとの間に印加される交流電圧信号である。確認信号SAは、送信元である信号出力部122Aを備える電圧処理部12Aに固有の周波数faの電圧信号である。また、上述したように、確認信号SBは、幹線TLBのR相の電線TrとS相の電線Tsとの間に印加される交流電圧信号である。確認信号SBは、送信元である信号出力部122Bを備える電圧処理部12Bに固有の周波数fbの電圧信号である。なお、周波数fa及び周波数fbは、電源PsA及び電源PsBから供給される入力電圧の商用電源周波数(50Hz又は60Hz)と比較して十分に大きい周波数である。
【0078】
以下、電力計測システム10が図1に示すような正常施工状態の場合と、図3に示すような誤施工状態の場合とに分けて、判定動作について説明する。
【0079】
まず、電力計測システム10が正常施工状態の場合について説明する。
【0080】
信号出力部122Aから送信された確認信号SAは幹線TLAから分岐する分岐回路C1A~C4Aに各々印加され、信号出力部122Bから送信された確認信号SBは幹線TLBから分岐する分岐回路C1Bに印加される。そして、確認信号SAは電流検出器81A~84Aの各々によって受信され、確認信号SBは電流検出器81Bが有する電流検出器81Cによって受信される。つまり、確認信号SAは第2幹線である幹線TLAを介して電流検出器81A~84Aの各々によって受信され、確認信号SBは第2幹線である幹線TLBを介して電流検出器81Cによって受信される(ST3)。
【0081】
ここで、確認信号の電流検出器による受信動作について、電流検出器81Aを例に説明する。確認信号SAが分岐回路C1Aに印加されると、幹線TLAの第1電圧線L1に接続されている被覆電線L01と、幹線TLAの中性線LNに接続されている被覆電線L02との間に周波数faの交流電圧が印加される。このとき、図5に示すように信号受信部51が有するコンデンサCpの平板電極P1と被覆電線L01とは空間を隔てて対向しているため、寄生容量をもつ。また、コンデンサCpの平板電極P2と被覆電線L02とは空間を隔てて対向しているため、寄生容量をもつ。これにより、平板電極P1と被覆電線L01の間及び、平板電極P2と被覆電線L02との間で分極が発生し、平板電極P1と平板電極P2との間に、周波数が周波数faであり、位相が確認信号SAと同じである交流電圧信号である応答信号RAが発生する。つまり、電流検出器81Aは、確認信号SAを受信して応答信号RAに変換する。
【0082】
信号受信部51は、応答信号RAを出力線L3を介して端子71Aに送信(入力)する(ST4)。同様に、電流検出器82Aが有する信号受信部51は応答信号RAを端子71Aに送信し、電流検出器83A、84Aの各々が有する信号受信部51は応答信号RAを端子72Aに送信する。また、電流検出器81Cが有する信号受信部51は応答信号RBを端子71Bに送信する。ここで、応答信号RBは、周波数が周波数fbであり、位相が確認信号SBと同じである交流電圧信号である。
【0083】
信号処理部60Aは、端子71A、72Aの各々に入力された応答信号RAの周波数を解析する(ST5)。信号処理部60Bは、端子71Bに入力された応答信号RBの周波数を解析する(ST5)。
【0084】
判定部16は、信号処理部60Aが解析した端子71A、72Aの各々に入力された応答信号RAの周波数と、信号出力部122Aが出力した確認信号SAの周波数とが一致しているか否かを判定する(ST6)。また判定部16は、信号処理部60Bが解析した端子71Bに入力された応答信号RBの周波数と、信号出力部122Bが出力した確認信号SBの周波数とが一致しているか否かを判定する(ST6)。
【0085】
ここで、上述したように、確認信号SAの周波数及び応答信号RAの周波数は周波数faである。よって、判定部16は、端子71A、72Aの各々に入力された応答信号RAの周波数と、信号出力部122Aが出力した確認信号SAの周波数とが一致していると判定する(ST6:Yes)。換言すると、判定部16は、端子71Aに接続された電流検出器81A、82A及び端子72Aに接続された電流検出器83A、84Aが確認信号SAを受信したと判定する。この結果から、判定部16は、確認信号SAの送信に介在した第1幹線(幹線TLA)と、確認信号SAの受信に介在した第2幹線(幹線TLA)とが同一の幹線であると判定する(ST7)。
【0086】
また、確認信号SB及び応答信号RBの周波数はともに周波数fbである。よって、判定部16は、端子71Bに入力された応答信号RBの周波数と、信号出力部122Bが出力した確認信号SBの周波数とが一致していると判定する(ST6:Yes)。換言すると、判定部16は、端子71Bに接続された電流検出器81Bが有する電流検出機81Cが確認信号SBを受信したと判定する。この結果から、判定部16は、確認信号SBの送信に介在した第1幹線(幹線TLB)と、確認信号SBの受信に介在した第2幹線(幹線TLB)とが同一の幹線であると判定する(ST7)。
【0087】
判定部16は、第1幹線及び第2幹線の一致、不一致の判定が完了すると、判定処理における判定結果を表示部92に表示させる(ST9)。なお、表示部92に表示される判定結果は、第1幹線と第2幹線との一致又は不一致に加え、第1幹線と第2幹線との一致又は不一致の判定結果から推定される電力計測システム10における誤施工発生の有無を含んでもよい。電力計測システム10のユーザは、表示部92に表示された判定結果を確認することによって、端子71Aに接続された電流検出器81A、82A及び端子72Aに接続された電流検出器83A、84Aが、幹線TLAから分岐している分岐回路に設置されていることを確認することができる。また、ユーザは端子71Bに接続された電流検出器81Bが有する電流検出器81Cが、幹線TLBから分岐している分岐回路に設置されていることを確認することができる。つまり、ユーザは電力計測システム10に誤施工が発生している可能性が低いことを確認することができる。
【0088】
次に、電力計測システム10が図3に示すような誤施工状態の場合について説明する。誤施工状態においては、正常施工状態とは異なり、端子71Bに接続された電流検出器81Bが有する電流検出器81Cは分岐回路C1Aの被覆電線L01に取り付けられている。また分岐回路C1Aの被覆電線L02は電流検出器81Cの保持部42に保持されている。端子71Bに接続された電流検出器81Bが有する電流検出器82Cは分岐回路C2Aの被覆電線L01に取り付けられている。また分岐回路C2Aの被覆電線L02は電流検出器82Cの保持部42に保持されている。また端子71Aに接続された電流検出器81Aは、82Aは分岐回路C1Bの被覆電線L11、被覆電線L13に各々設置されている。また分岐回路C1Bの被覆電線L12は、電流検出器81Aの保持部42に保持されている。
【0089】
信号出力部122Aから送信された確認信号SAは幹線TLAから分岐する分岐回路C1A~C4Aに各々印加され、信号出力部122Bから送信された確認信号SBは幹線TLBから分岐する分岐回路C1Bに印加される。ここで、確認信号SAは電流検出器81C、82C、83A、84Aの各々によって受信され、確認信号SBは電流検出器81Aによって受信される。つまり、確認信号SAは電流検出器81C、82C、83A、84Aに、第2幹線である幹線TLAを介して受信され、確認信号SBは電流検出器81Aに、第2幹線である幹線TLBを介して受信される(ST3)。
【0090】
電流検出器81C、82Cの各々が有する信号受信部51は、確認信号SAに応じた応答信号RAを端子71Bに送信し、電流検出器83A、84Aの各々が有する信号受信部51は、応答信号RAを端子72Aに送信する(ST4)。また電流検出器81Aが有する信号受信部51は、確認信号SBに応じた応答信号RBを端子71Aに送信する(ST4)。
【0091】
信号処理部60Aは、端子71Aに入力された応答信号RB及び端子72Aに入力された応答信号RAの周波数を解析する(ST5)。信号処理部60Bは、端子71Bに入力された応答信号RAの周波数を解析する(ST5)。
【0092】
判定部16は、信号処理部60Aが解析した端子71Aに入力された応答信号RBの周波数と、信号出力部122Aが出力した確認信号SAの周波数とが一致しているか否かを判定する(ST6)。
【0093】
また判定部16は、信号処理部60Aが解析した端子72Aに入力された応答信号RAの周波数と、信号出力部122Aが出力した確認信号SAの周波数とが一致しているか否かを判定する(ST6)。
【0094】
また判定部16は、信号処理部60Bが解析した端子71Bに入力された応答信号RAの周波数と、信号出力部122Bが出力した確認信号SBの周波数とが一致しているか否かを判定する(ST6)。
【0095】
ここで、上述したように、確認信号SAの周波数及び応答信号RAの周波数は周波数faであり、確認信号SBの周波数及び応答信号RBの周波数は周波数fbである。
【0096】
したがって、判定部16は、端子71Aに入力された応答信号RBの周波数と、信号出力部122Aが出力した確認信号SAの周波数とが不一致であると判定する(ST6:No)。換言すると、判定部16は、端子71Aに接続された電流検出器81A、82Aが確認信号SAを受信していないと判定する。この結果から、判定部16は、確認信号SAの送信に介在した第1幹線(幹線TLA)と、端子71Aに接続された電流検出器81A、82Aにおける確認信号SBの受信に介在した第2幹線(幹線TLB)とが同一の幹線ではないと判定する(ST8)。
【0097】
また判定部16は、端子72Aに入力された応答信号RAの周波数と、信号出力部122Aが出力した確認信号SAの周波数が一致すると判定する(ST6:Yes)。換言すると、判定部16は、端子72Aに接続された電流検出器83A、84Aが確認信号SAを受信したと判定する。この結果から、判定部16は、確認信号SAの送信に介在した第1幹線(幹線TLA)と、端子72Aに接続された電流検出器83A、84Aにおける確認信号SAの受信に介在した第2幹線(幹線TLA)とが同一の幹線であると判定する(ST7)。
【0098】
また判定部16は、端子71Bに入力された応答信号RAの周波数と、信号出力部122Bが出力した確認信号SBの周波数とが不一致であると判定する(ST6:No)。換言すると、判定部16は、端子71Bに接続された電流検出器81C、82Cが確認信号SBを受信していないと判定する。この結果から、判定部16は、確認信号SBの送信に介在した第1幹線(幹線TLB)と、端子71Bに接続された電流検出器81C、82Cにおける確認信号SAの受信に介在した第2幹線(幹線TLA)とが同一の幹線ではないと判定する(ST8)。
【0099】
判定部16は、第1幹線及び第2幹線の一致、不一致の判定が完了すると、判定処理における判定結果を表示部92に表示させる(ST9)。電力計測システム10のユーザは、表示部92に表示された判定結果を確認することによって、端子71Aに接続された電流検出器81A、82Aが、幹線TLAから分岐している分岐回路に設置されておらず、端子71Bに接続された電流検出器81C、82Cが、幹線TLBから分岐している分岐回路に設置されていないことを確認することができる。つまりユーザは電力計測システム10に誤施工が発生している可能性があることを確認することができる。
【0100】
(3)変形例
以下、上記実施形態の変形例について説明する。ただし上記実施形態と共通する構成要素については同じ参照符号を付して、適宜その説明を省略する。また、以下に説明する変形例の各構成は、上記実施形態で説明した各構成と適宜組み合わせて適用可能である。
【0101】
(3.1)変形例1
本変形例1は、判定動作において、信号出力部122Aによる確認信号の送信と、信号出力部122Bによる確認信号の送信とが、時分割で実行される点で上記の実施形態とは異なる。つまり、本変形例1では、判定部16は、判定処理において、電圧処理部12Aが有する信号出力部122A及び電圧処理部12Bが有する信号出力部122Bの各々に確認信号を時分割で送信させ、電流検出器81A~84A、81B(81C、82C)の各々が確認信号を受信するか否かを確認する。これにより、電圧計測部121A、121Bの各々の測定対象である2つの第1幹線(幹線TLA、TLB)と、電流検出器81A~84A、81B(81C、82C)の各々が設置される分岐回路の幹線である5つの第2幹線とのうち、同一の幹線である第1幹線と第2幹線との組み合わせを求める。これにより、判定部16は、複数の電圧計測部121A、121Bと、複数の電流検出器81A~84A、81B(81C、82C)とから、同一の幹線に接続された電圧計測部と電流検出器の組み合わせを求めている。
【0102】
以下、本変形例1における判定動作について、フローチャートである図8を参照して説明する。なお実施形態と共通する動作においては説明を省略する。また、以下の説明においては、電力計測システム10が図3に示すような誤施工状態にある場合について説明する。
【0103】
電動計測システム10がテストモードに移行する(ST11)と、判定部16は、信号出力部122Aに、電圧入力端子11A及び第1幹線である幹線TLAを介して、所定の識別情報(振幅、周波数)を有するの交流電圧信号である第1確認信号を送信させる(ST12)。
【0104】
第1確認信号は電流検出器81C、82C、83A、84Aに、第2幹線である幹線TLAを介して受信される(ST13)。
【0105】
電流検出器81C、82Cの各々が有する信号受信部51は、第1確認信号に応じた第1応答信号を端子71Bに送信し(ST14)、第1応答信号は端子71Bを介して信号処理部60Bによって受信される。電流検出器83A、84Aの各々が有する信号受信部51は、第1応答信号を端子72Aに送信し(ST14)、第1応答信号は端子72Aを介して信号処理部60Aによって受信される。
【0106】
判定部16は、信号処理部60Aが端子71A、72Aを介して第1応答信号を受信したか否かを判定する(ST15)。
【0107】
ここで、判定部16は、信号処理部60Aは端子72Aを介して第1応答信号を受信した(ST15:Yes)と判定する。換言すると、判定部16は、端子72Aに接続された電流検出器83A、84Aが第1確認信号を受信したと判定する。この結果から、判定部16は、端子72Aに接続されている電流検出器83A、84Aが設置されている分岐回路(分岐回路C3A、C4A)が分岐する第2幹線(幹線TLA)と、第1確認信号の送信に介在した第1幹線(幹線TLA)とが同一であると判定する(ST16)。
【0108】
また判定部16は、第1確認信号が送信されてから所定の時間内に第1応答信号を受信しない場合に、信号処理部60Aは端子71Aを介して第1応答信号を受信していないと判定する(ST15:No)。換言すると、判定部16は、端子71Aに接続された電流検出器81A、82Aが第1確認信号を受信していないと判定する。この結果から、判定部16は、端子71Aに接続されている電流検出器81A、82Aが設置されている分岐回路(分岐回路C1B)が分岐する第2幹線(幹線TLB)と、第1確認信号の送信に介在した第1幹線(幹線TLA)とが同一でないと判定する(ST17)。
【0109】
判定部16は、第1応答信号の受信の確認が完了すると、信号出力部122Bに、電圧入力端子11B及び第1幹線である幹線TLBを介して、第1確認信号と同じ識別情報を有する交流電圧信号である第2確認信号を送信させる(ST18)。つまり、判定部16は、第1確認信号と第2確認信号とは時分割で送信させる。なお、第2確認信号の識別情報は、第1確認信号の識別情報と異なっていてもよい。また、第2確認信号は、第1確認信号が送信されてから所定の時間が経過した場合に、送信されてもよい。
【0110】
第2確認信号は電流検出器81A、82Aに、第2幹線である幹線TLBを介して受信される(ST19)。
【0111】
電流検出器81A、82Aの各々が有する信号受信部51は、第2確認信号に応じた第2応答信号を端子71Aに送信し(ST20)、第2応答信号は端子71Aを介して信号処理部60Aによって受信される。
【0112】
判定部16は、信号処理部60Bが端子71Bを介して第2応答信号を受信したか否かを判定する(ST21)。ここで、判定部16は、第2確認信号が送信されてから所定の時間内に第2応答信号を受信しない場合に、信号処理部60Bは端子71Bを介して第2応答信号を受信していない(ST21:No)と判定する。換言すると、判定部16は、端子71Bに接続された電流検出器81C、82Cが第2確認信号を受信していないと判定する。この結果から、判定部16は、端子71Bに接続されている電流検出器81C、82Cが設置されている分岐回路(分岐回路C1A、C2A)が分岐する第2幹線(幹線TLA)と、第2確認信号の送信に介在した第1幹線(幹線TLB)とが同一でないと判定する(ST23)。
【0113】
判定部16は、第2応答信号の受信の確認が完了すると、判定処理における判定結果を表示部92に表示させる(ST24)。電力計測システム10のユーザは、表示部92に表示された判定結果を確認することによって、端子71Aに接続された電流検出器81A、82Aが、幹線TLAから分岐する分岐回路に設置されておらず、端子71Bに接続された電流検出器81C、82Cが、幹線TLBから分岐する分岐回路に設置されていないことを確認することができる。つまりユーザは電力計測システム10に誤施工が発生している可能性があることを確認することができる。
【0114】
(3.2)変形例2
本変形例2は、判定動作において、信号出力部122A、122Bから送信される確認信号が交流電流信号である点で上記の実施形態及び変形例1とは異なる。
【0115】
例えば、信号出力部122Aは、電圧入力端子11A及び第1幹線である幹線TLAを介して交流電流信号である確認信号SA1を送信(出力)する。確認信号SA1は、送信元である信号出力部122Aを備える電圧処理部12Aに固有の周波数fa1をもつ。なお、周波数fa1は、電源PsAから供給される入力電圧の商用電源周波数(50Hz又は60Hz)と比較して十分に大きい周波数である。
【0116】
図1に示すような正常施工状態において、信号出力部122Aから送信された確認信号SA1は、分岐回路C1A~C4Aの各々に設けられる電流検出器81A~84Aによって受信される。詳細には、確認信号SA1は、電流検出器81A~84Aの各々が有する電流検出部50によって受信される。
【0117】
例えば電流検出器81Aが有する電流検出部50は、確認信号SA1に応じた電流信号である応答信号RA1を端子71Aに出力する。応答信号RA1は、確認信号SA1と同じ周波数fa1をもつ。ここで、電流検出器81Aが有する電流検出部50は、幹線TLAに印加される入力電圧によって分岐回路C1Aに流れる入力電流に応じた電流信号である入力信号も端子71Aに入力している。つまり、応答信号RA1は、分岐回路C1Aに流れる入力電流に応じた入力信号に重畳されて、端子71Aに入力される。
【0118】
信号処理部60Aは、分岐回路C1Aに流れる入力電流に応じた入力信号に応答信号RA1が重畳された電流信号を周波数帯によってフィルタリングし、応答信号RA1を抽出する。そして信号処理部60Aは、応答信号RA1に含まれる周波数fa1を解析する。
【0119】
なお、負荷21A~24Aを待機状態にして、信号出力部122Aがより大きな交流電流信号である確認信号SA1を幹線TLAを介して送信することによって、負荷21A~24Aが誤作動する可能性を低減させつつ、信号処理部60Aに、より高精度に応答信号RA1を検出させることができる。この場合、電力計測システム10のユーザが電動計測システム10をテストモードに移行させた際に、表示部92に、負荷21A~24Aを待機状態とすることを促すメッセージが表示されるようにしてもよい。
【0120】
(3.3)変形例3
本変形例3は、以下の点で上記の実施形態、変形例1及び変形例2とは異なる。つまり本変形例3では、判定部16は、第2幹線を介して電流検出器81A~84Aに第1確認信号~第4確認信号を各々送信させ、第1幹線を介して電圧処理部12Aが有する電圧計測部121Aが第1確認信号~第4確認信号を受信するか否かによって、第1幹線と第2幹線とが同一の幹線であるか否かを判定する。また判定部16は、第2幹線を介して電流検出器81Bが有する電流検出器81C、82Cに第5確認信号、第6確認信号を各々送信させ、第1幹線を介して電圧処理部12Bが有する電圧計測部121Bが第5確認信号、第6確認信号を受信するか否かによって、第1幹線と第2幹線とが同一の幹線であるか否かを判定する。なお第1確認信号~第6確認信号は同じ識別情報(例えば周波数)を有してもよいし、互いに異なった識別情報を有してもよい。
【0121】
以下、本変形例3における判定動作について、フローチャートである図9を参照して説明する。なお以下の説明においては、電力計測システム10が図3に示すような誤施工状態にある場合について説明する。
【0122】
本変形例3では、図10に示すように、電圧処理部12A、12Bは信号出力部122A、122Bを各々含まなくてもよい。また、電流検出器81A~84Aの各々は信号出力部123Aを有し、電流検出器81Bが有する電流検出器81C、82Cの各々は信号出力部123Bを有する。信号出力部123A、123Bは例えば電流が流れるコイルを含む。
【0123】
電動計測システム10がテストモードに移行する(ST31)と、判定部16は、電流検出器81Aが有する信号出力部123Aに、第2幹線(図3における幹線TLB)を介して、第1確認信号を送信させる(ST32)。一例として、信号出力部123Aは、信号出力部123Aに含まれるコイルに交流電流を流すことで発生する磁界を、第1確認信号に変換して送信する。
【0124】
判定部16は、電圧処理部12Aが有する電圧計測部121Aが、電圧計測部121Aの計測対象である第1幹線(TLA)を介して、第1確認信号を受信したか否かを判定する(ST33)。ここでは、第1確認信号は幹線TLBを介して電圧計測部121Bに送信される。したがって判定部16は、第1確認信号が送信されてから所定の時間内に第1確認信号を受信しない場合に、電圧計測部121Aが、第1幹線(幹線TLA)を介して、第1確認信号を受信していないと判定する(ST33:Nо)。この結果から、判定部16は、電圧計測部121Aの計測対象である第1幹線(幹線TLA)と、第1確認信号の送信に介在した第2幹線(幹線TLB)とが同一でないと判定する(ST35)。
【0125】
判定部16は、第1確認信号の受信の確認が完了すると、電流検出器82Aが有する信号出力部123Aに、第2幹線(図3における幹線TLB)を介して、第2確認信号を送信させる(ST32)。なお、第2確認信号、及び後述する第3確認信号~第6確認信号の受信の確認動作は第1確認信号の受信確認動作と同様なので、フローチャートである図9においては図示を省略している。
【0126】
判定部16は、電圧処理部12Aが有する電圧計測部121Aが、電圧計測部121Aの計測対象である第1幹線(TLA)を介して、第2確認信号を受信したか否かを判定する。ここでは、第2確認信号は幹線TLBを介して電圧計測部121Bに送信される。したがって判定部16は、第2確認信号が送信されてから所定の時間内に第2確認信号を受信しない場合に、電圧計測部121Aが、第1幹線(幹線TLA)を介して、第2確認信号を受信していないと判定する。この結果から、判定部16は、電圧計測部121Aの計測対象である第1幹線(幹線TLA)と、第2確認信号の送信に介在した第2幹線(幹線TLB)とが同一でないと判定する。
【0127】
判定部16は、第2確認信号の受信の確認が完了すると、電流検出器83Aが有する信号出力部123Aに、第2幹線(図3における幹線TLA)を介して、第3確認信号を送信させる。
【0128】
判定部16は、電圧処理部12Aが有する電圧計測部121Aが、電圧計測部121Aの計測対象である第1幹線(TLA)を介して、第3確認信号を受信したか否かを判定する。ここでは、第3確認信号は幹線TLAを介して電圧計測部121Aに送信される。したがって判定部16は、電圧計測部121Aが、第1幹線(幹線TLA)を介して、第3確認信号を受信したと判定する。この結果から、判定部16は、電圧計測部121Aの計測対象である第1幹線(幹線TLA)と、第3確認信号の送信に介在した第2幹線(幹線TLA)とが同一であると判定する。
【0129】
判定部16は、第3確認信号の受信の確認が完了すると、電流検出器84Aが有する信号出力部123Aに、第2幹線(図3における幹線TLA)を介して、第4確認信号を送信させる。
【0130】
判定部16は、電圧処理部12Aが有する電圧計測部121Aが、電圧計測部121Aの計測対象である第1幹線(TLA)を介して、第4確認信号を受信したか否かを判定する。ここでは、第4確認信号は幹線TLAを介して電圧計測部121Aに送信される。したがって判定部16は、電圧計測部121Aが、第1幹線(幹線TLA)を介して、第4確認信号を受信したと判定する。この結果から、判定部16は、電圧計測部121Aの計測対象である第1幹線(幹線TLA)と、第4確認信号の送信に介在した第2幹線(幹線TLA)とが同一であると判定する。
【0131】
判定部16は、第4確認信号の受信の確認が完了すると、電流検出器81Cが有する信号出力部123Bに、第2幹線(図3における幹線TLA)を介して、第5確認信号を送信させる。
【0132】
判定部16は、電圧処理部12Bが有する電圧計測部121Bが、電圧計測部121Bの計測対象である第1幹線(TLB)を介して、第5確認信号を受信したか否かを判定する。ここでは、第5確認信号は幹線TLAを介して電圧計測部121Aに送信される。したがって判定部16は、第5確認信号が送信されてから所定の時間内に第5確認信号を受信しない場合に、電圧計測部121Bが、第1幹線(幹線TLB)を介して、第5確認信号を受信していないと判定する。この結果から、判定部16は、電圧計測部121Bの計測対象である第1幹線(幹線TLB)と、第5確認信号の送信に介在した第2幹線(幹線TLA)とが同一でないと判定する。
【0133】
判定部16は、第5確認信号の受信の確認が完了すると、電流検出器82Cが有する信号出力部123Bに、第2幹線(図3における幹線TLA)を介して、第6確認信号を送信させる。
【0134】
判定部16は、電圧処理部12Bが有する電圧計測部121Bが、電圧計測部121Bの計測対象である第1幹線(TLB)を介して、第6確認信号を受信したか否かを判定する。ここでは、第6確認信号は幹線TLAを介して電圧計測部121Aに送信される。したがって判定部16は、第6確認信号が送信されてから所定の時間内に第6確認信号を受信しない場合に、電圧計測部121Bが、第1幹線(幹線TLB)を介して、第6確認信号を受信していないと判定する。この結果から、判定部16は、電圧計測部121Bの計測対象である第1幹線(幹線TLB)と、第6確認信号の送信に介在した第2幹線(幹線TLA)とが同一でないと判定する。
【0135】
判定部16は、第6確認信号の受信の確認が完了すると、判定処理における判定結果を表示部92に表示させる(ST33)。電力計測システム10のユーザは、表示部92に表示された判定結果を確認することによって、端子71Aに接続された電流検出器81A、82Aが、幹線TLAから分岐する分岐回路に設置されておらず、端子71Bに接続された電流検出器81C、82Cが、幹線TLBから分岐する分岐回路に設置されていないことを確認することができる。つまりユーザは電力計測システム10に誤施工が発生している可能性があることを確認することができる。
【0136】
(3.4)その他の変形例
以下、実施形態のその他の変形例を列挙する。以下の変形例は、適宜組み合わせて実現されてもよい。
【0137】
電力計測システム10は、判定部16による判定処理の判定結果を音声によって報知する音声報知部を更に備えてもよい。音声報知部は、例えば表示設定ユニット9に備えられる。
【0138】
本開示における電力計測システム10は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における電力計測システム10としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0139】
(4)まとめ
以上述べたように、第1の態様に係る電力計測システム(10)は、電圧処理部(12A)と、電流検出器(8A)と、判定部(16)と、を備える。電圧処理部(12A)は、複数の電源(PsA、PsB)の各々から電力を供給される複数の幹線(TLA、TLB)のいずれかである第1幹線に印加される入力電圧を計測し、確認信号を第1幹線を介して送信又は受信する。電流検出器(8A)は、複数の幹線(TLA、TLB)のいずれかである第2幹線から分岐する分岐回路に流れる入力電流を検出し、確認信号を第2幹線を介して送信又は受信する。判定部(16)は、電圧処理部(12A)及び電流検出器(8A)のいずれか一方に確認信号を送信させ、電圧処理部(12A)及び電流検出器(8A)のうち確認信号を送信させていない方が確認信号を受信するか否かによって、第1幹線と第2幹線とが同一の幹線であるか否かを判定する判定処理を行う。
【0140】
この態様によれば、第1幹線と第2幹線とが同一の幹線であるか否かを確認することによって、電力計測システム(10)の誤施工を検出することができる。
【0141】
第2の態様に係る電力計測システム(10)では、第1の態様において、確認信号は電圧信号である。
【0142】
この態様によれば、回路の分岐による確認信号の強度低下を低減することができる。
【0143】
第3の態様に係る電力計測システム(10)では、第2の態様において、電圧処理部(12A)及び電流検出器(8A)の少なくとも一方は、電圧信号を受信する信号受信部(51)を有する。
【0144】
この態様によれば、電圧信号である確認信号を高精度で受信することができる。
【0145】
第4の態様に係る電力計測システム(10)では、第1の態様において、確認信号は、電流信号である。
【0146】
この態様によれば、電流検出器(8A)において、入力電流の検出機構によって確認信号を検出することができ、電流検出器(8A)の構造を単純化することができる。
【0147】
第5の態様に係る電力計測システム(10)では、第1~第4のいずれかの態様において、確認信号は、送信元である電圧処理部(12A)又は電流検出器(8A)を識別するための識別情報を含む。
【0148】
この態様によれば、受信した確認信号の送信元の電圧処理部(12A)又は電流検出器(8A)を特定することができる。
【0149】
第6の態様に係る電力計測システム(10)は、第1~第5のいずれかの態様において、複数の電圧処理部(12A、12B)と、複数の電流検出器(8A、8B)と、を備える。複数の電圧処理部(12A、12B)は、複数の幹線(TLA、TLB)のいずれかである複数の第1幹線の各々に印加される入力電圧を計測する。複数の電流検出器(8A、8B)は、複数の幹線(TLA、TLB)のいずれかである複数の第2幹線の各々から分岐する複数の分岐回路に流れる入力電流を検出する。判定部(16)は、判定処理において、複数の電圧処理部(12A、12B)の各々及び複数の電流検出器(8A、8B)の各々のいずれか一方に確認信号を時分割で送信させる。判定部(16)は、複数の電圧処理部(12A、12B)の各々及び複数の電流検出器(8A、8B)の各々のうち確認信号を送信させていない方が確認信号を受信するか否かによって、複数の第1幹線と複数の第2幹線とのうち、同一の幹線である第1幹線と第2幹線との組み合わせを求める。
【0150】
この態様によれば、確認信号に、送信元である電圧処理部(12A、12B)又は電流検出器(8A、8B)に識別情報を付与することなく、電力計測システム(10)の誤施工を検出することができる。
【0151】
第7の態様に係る電力計測システム(10)では、第1~第6のいずれかの態様において、ユーザからの入力を受け付ける入力部(91)を更に備える。判定部(16)は、入力に応じて判定処理を行う。
【0152】
この態様によれば、ユーザが任意のタイミングで判定部(16)に判定処理を実施させることができる。
【0153】
第8の態様に係る電力計測システム(10)は、第1~第7のいずれかの態様において、判定部(16)による判定処理の判定結果を表示する表示部(92)を更に有する。
【0154】
この態様によれば、ユーザが判定処理の判定結果を容易に確認することができる。
【0155】
第9の態様に係る電力計測システム(10)は、第1~第8のいずれかの態様において、判定部(16)による判定処理の判定結果を外部装置(90)に送信する外部通信部(31)を更に有する。
【0156】
この態様によれば、判定処理の判定結果を外部装置(90)において確認することができる。
【0157】
第10の態様に係る分電盤(100)では、第1~第9の態様の電力計測システム(10)と、電力計測システム(10)が備える電圧処理部(12A)と電流検出器(8A)とを少なくとも収容するキャビネット(200)と、を有する。
【0158】
この態様によれば、電力計測システム(10)の誤施工を検出することができる分電盤(100)を提供することができる。
【0159】
なお、第2~第9の態様は電力計測システム(10)に必須の構成ではなく、適宜省略が可能である。
【符号の説明】
【0160】
10 電力計測システム
16 判定部
31 外部通信部
51 信号受信部
90 外部装置
91 入力部
92 表示部
100 分電盤
200 キャビネット
12A 電圧処理部
12B 電圧処理部
8A 電流検出器
8B 電流検出器
PsA 電源
PsB 電源
TLA 幹線
TLB 幹線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10