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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083794
(43)【公開日】2023-06-16
(54)【発明の名称】布類検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/898 20060101AFI20230609BHJP
【FI】
G01N21/898 A
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021197697
(22)【出願日】2021-12-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】502407130
【氏名又は名称】株式会社プレックス
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江浪 寧彦
(72)【発明者】
【氏名】伊賀 哲平
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA40
2G051AB01
2G051AB02
2G051BA01
2G051BA08
2G051BA20
2G051BB01
2G051BB03
2G051CA04
2G051CA06
2G051CB01
2G051CB02
2G051DA06
(57)【要約】
【課題】ベルトコンベヤやカメラの設置場所の制約を少なくし、コストも低く抑えることにある。
【解決手段】拡げられた布類を所定搬送経路に沿って搬送するベルトコンベヤと、その搬送経路に向けてベルトコンベヤに対する固定位置に配置され、ベルトコンベヤにより搬送経路に沿って搬送されている布類の表側と裏側のうち一方の側の表面の、その搬送方向に直交する方向の全体に亘りかつその搬送方向の少なくとも一部分に亘る投光領域に均一に投光する投光手段と、ベルトコンベヤにより搬送経路に沿って搬送されている布類の投光領域を透過した投光手段からの光を少なくとも含む照明によって、布類の表側と裏側のうち他方の側のみの表面を2次元的に撮影してその画像データを出力するカメラと、その画像データに基づき布類の全体の異常の有無および異常がある場合のその種類を判定して出力する異常判定手段と、を具える布類検査装置である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡げられた布類の表側と裏側の表面および内部における異常を検査する布類検査装置において、
拡げられた前記布類を所定搬送経路に沿って搬送するベルトコンベヤと、
前記搬送経路に向けて前記ベルトコンベヤに対する固定位置に配置され、前記ベルトコンベヤにより前記搬送経路に沿って搬送されている前記布類の表側と裏側のうち一方の側の表面の、その搬送方向に直交する方向の全体に亘りかつその搬送方向の少なくとも一部分に亘る投光領域に均一に投光する投光手段と、
前記ベルトコンベヤにより前記搬送経路に沿って搬送されている前記布類の前記投光領域を透過した前記投光手段からの光を少なくとも含む照明によって、前記布類の表側と裏側のうち他方の側のみの表面を2次元的に撮影してその画像データを出力するカメラと、
前記画像データに基づき前記布類の全体の異常の有無および異常がある場合のその種類を判定して出力する異常判定手段と、
を具えることを特徴とする布類検査装置。
【請求項2】
前記投光手段は、LEDと、そのLEDによって端面から内部に供給された光を内部で拡散させ、板面に導いてそこから前記投光領域に均一に投光する導光板と、を有するものであることを特徴とする、請求項1記載の布類検査装置。
【請求項3】
前記ベルトコンベヤを前記布類の搬送方向に繋げて2台配置し、前記投光手段を前記2台のベルトコンベヤの間の前記搬送経路に向けて固定配置したことを特徴とする、請求項1または2記載の布類検査装置。
【請求項4】
前記ベルトコンベヤのベルトに対する上側の近接位置に前記投光手段を固定配置し、
前記ベルトが、前記投光手段から前記ベルトの走行方向前方または後方に外れた位置で前記布類を付勢して前記布類に前記投光手段を乗り越えさせることを特徴とする、請求項1または2記載の布類検査装置。
【請求項5】
前記ベルトコンベヤにより搬送経路に沿って搬送されている布類の、前記カメラが撮影する前記他方の側の表面をその他方の側から照明する照明手段をさらに具えていることを特徴とする、請求項1から4までの何れか1項記載の布類検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、布類洗濯工場等においてアイロンローラ等から搬出された、拡げられた布類の表面または内部の汚れや破れ等の異常を検出する布類検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リネンサプライ業では布類洗濯工場において、病院やホテル等で使用されたシーツや布団カバー等の布類を洗濯した後、半乾きの状態で展張機により展張し、アイロンローラに送ってアイロン掛けし、折畳み機により折畳んで病院やホテル等へ再度供給している。
【0003】
従って、上記洗濯処理中の布類の表面または内部に汚れや破れ等の異常があった場合には、その布類を上述した通常の洗濯処理ラインから排除して別途処理する必要がある。このため布類洗濯工場には、アイロンローラ等から搬出された拡げられた布類の汚れや破れ等の異常を検査する布類検査装置が設けられており、このような布類検査装置は一般的には、シーツのような1枚生地の布類の異常に対しては一方の側の表面をカメラで撮影して検査を行い、包布やデュベカバーのような2枚生地の布類の異常や一方の側のみの表面の画像では検出しにくい擦り汚れ等の異常に対しては両側の表面をカメラで撮影して検査を行うことが多い。本願出願人も、布類の表面および内部における汚れや破れ等の異常を検出する布類検査装置として従来、例えば特許文献1記載のものを提案している。
【0004】
この布類検査装置は、アイロンローラの下流側に配置される折畳み機と組み合わされて布類の表側と裏側の表面および内部を検査するものであり、アイロンローラに連なる1番目のベルトコンベヤ上を搬送して白色領域および黒色領域を順次に持つ検査板上を乗り越える布類の上向きの表面(通常は裏側の表面)における反射光および検査板から反射した透過光を上方から1番目のカメラで撮影し、次いでその1番目のベルトコンベヤの終端部から下部にかけて向き合わせた2番目のベルトコンベヤで、1番目のベルトコンベヤの終端部から垂れ下がった布類を裏返してから、その布類を1番目のベルトコンベヤと2番目のベルトコンベヤとで挟んで搬送し、その2番目のベルトコンベヤの終端部から3番目のベルトコンベヤに引き渡す間に、上記と同様の検査板を背景として布類のもう一方の表面(通常は表側の表面)における反射光および検査板から反射した透過光を2番目のカメラで撮影し、これらのカメラで撮影した画像から布類の表側と裏側の表面および内部における汚れ等の異常を検出し、その異常が検出された布類は、通常の洗濯処理ラインから排除される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-285109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、本願出願人が上記従来の布類検査装置についてさらに研究を進めたところ、上記従来の布類検査装置は、布類の表側と裏側の表面を2台のカメラにより別個の位置でそれぞれ撮影して異常を検出することから、ベルトコンベヤによる布類の搬送経路が複雑になるので、ベルトコンベヤや2台のカメラの設置場所の制約が大きくなり、それらのコストも嵩むという不都合があることが判明した。そして、シーツ等の1枚物やデュベカバー等の薄い2枚物の布類に対しては、充分な光量で均一に投光すれば透過光からだけでも種々の異常を検出できることも判明した。

【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上述の如き従来の布類検査装置の課題を解決するものであり、この発明の布類検査装置は、
拡げられた布類の表側と裏側の表面および内部における異常を検査する布類検査装置において、
拡げられた前記布類を所定搬送経路に沿って搬送するベルトコンベヤと、
前記搬送経路に向けて前記ベルトコンベヤに対する固定位置に配置され、前記ベルトコンベヤにより前記搬送経路に沿って搬送されている前記布類の表側と裏側のうち一方の側の表面の、その搬送方向に直交する方向の全体に亘りかつその搬送方向の少なくとも一部分に亘る投光領域に均一に投光する投光手段と、
前記ベルトコンベヤにより前記搬送経路に沿って搬送されている前記布類の前記投光領域を透過した前記投光手段からの光を少なくとも含む照明によって、前記布類の表側と裏側のうち他方の側のみの表面を2次元的に撮影してその画像データを出力するカメラと、
前記画像データに基づき前記布類の全体の異常の有無および異常がある場合のその種類を判定して出力する異常判定手段と、
を具えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
この発明の布類検査装置にあっては、ベルトコンベヤが、拡げられた布類を所定搬送経路に沿って搬送し、その搬送経路に向けてベルトコンベヤに対して固定位置に配置された投光手段が、ベルトコンベヤによりその搬送経路に沿って搬送されている布類の表側と裏側のうち一方の側の表面の、その搬送方向に直交する方向の全体に亘りかつその搬送方向の少なくとも一部分に亘る投光領域に均一に投光し、例えばビデオカメラ等からなるカメラが、ベルトコンベヤにより搬送経路に沿って搬送されている布類の上記投光領域を透過した投光手段からの光を含む照明によって、布類の表側と裏側のうち他方の側のみの表面を、動画若しくは、布類上で搬送方向に撮影部分がずれた複数枚の静止画で2次元的に撮影してその撮影部分の画像データを出力し、その画像データから異常判別手段が、布類の異常の有無および異常がある場合のその種類を判別して出力する。
【0009】
従って、この発明の布類検査装置によれば、投光手段から投光されて、搬送されている布類の表側と裏側のうち一方の側の表面からその布類の少なくとも一部分に亘る投光領域を透過した光を含む照明によって、表側と裏側のうち他方の側のみの表面をカメラで撮影し、その画像データから布類の両側の表面内部の異常を検出することから、表側と裏側をカメラで撮影する場合よりも単純な布類の搬送経路で、表側と裏側をカメラで撮影する場合と同程度の高い検査能力が得られるので、ベルトコンベヤやカメラの設置スペースの制約が少なくなり、ベルトコンベヤやカメラのためのコストも低く抑えることができる。
【0010】
なお、この発明の布類検査装置においては、前記投光手段は、LEDと、そのLEDによって端面から内部に供給された光を内部で拡散させ、板面に導いてそこから前記投光領域に均一に投光する導光板と、を有するものであってもよく、このようにすれば投光手段を薄くて軽い構成のものにすることができる。
【0011】
また、この発明の布類検査装置においては、前記ベルトコンベヤを前記布類の搬送方向に繋げて2台配置し、前記投光手段を前記2台のベルトコンベヤの間の前記搬送経路に向けて固定配置してもよく、このようにすれば搬送経路に向けて投光手段を固定配置したベルトコンベヤを簡易な構成のものにすることができる。
【0012】
一方、この発明の布類検査装置においては、前記ベルトコンベヤのベルトに対する上側の近接位置に前記投光手段を固定配置し、前記ベルトが、前記投光手段から前記ベルトの走行方向前方または後方に外れた位置で前記布類を付勢して前記布類に前記投光手段を乗り越えさせるようにしてもよく、このようにすれば搬送経路に沿って発光板を固定配置したベルトコンベヤを1台のベルトコンベヤで構成できることから、例えば従来から設置されているベルトコンベヤを用いて、ベルトコンベヤの配置上の制約およびコストを抑えることができる。
【0013】
そして、この発明の布類検査装置においては、前記ベルトコンベヤにより搬送経路に沿って搬送されている布類の、前記カメラが撮影する前記他方の側の表面をその他方の側から照明する例えばLEDライト等の照明手段をさらに具えていてもよく、このようにすれば前記他方の側の表面をより明確に撮影することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】この発明の布類検査装置の一実施形態を示す構成図である。
図2】上記実施形態の布類検査装置が検査する異常の状態を示す断面図であり、(a)は1枚生地の布類の場合、(b)は2枚生地の布類の場合を示す。
図3】上記実施形態の布類検査装置が1枚生地の布類をカメラで撮影した画像であり、(a)は投光器を用いた透過光の場合、(b)は投光器に代えて黒色の検査板を用いた反射光の場合を示す。
図4】この発明の布類検査装置の他の一実施形態を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施形態を実施例によって、図面に基づき詳細に説明する。ここに、図1は、この発明の布類検査装置の一実施形態を示す構成図であり、図中符号1,2はベルトコンベヤ、3は投光手段としての投光器、4はビデオカメラ、5は画像処理部、6は記憶部、7はLEDライト、Aは布類の搬送方向、Cは検査対象の布類をそれぞれ示す。なお、図では各ベルトコンベヤ1,2のベルトを駆動するモータは、図示を省略する。
【0016】
この実施形態の布類検査装置は、布類洗濯工場等においてアイロンローラの下流側に布類Cの搬送方向であるA方向に並べて配置され、シーツ等の1枚物やデュベカバー等の薄い2枚物の布類Cの搬送経路を上向きのベルトに沿って形成する通常の2台のベルトコンベヤ1,2と、それらのベルトコンベヤ1,2の間の布類Cの搬送経路の下方の固定位置にその搬送経路に向けて上向きに配置された投光器3と、を具えており、投光器3は、検査のために充分な光量の例えば白色の光を発光する高輝度の複数のLED(発光ダイオード)と、それらのLEDが発光した光を適度に拡散させ、ベルトコンベヤ1,2により上記搬送経路に沿ってA方向に搬送されて投光器3の上方を通過している布類Cの表側と裏側のうち一方の側である下側の表面の、その布類CのA方向に直交する水平方向の全体に亘りかつその布類CのA方向の少なくとも一部分に亘る投光領域Rに均一に投光する、例えばアクリル樹脂製レンズ等の光学部品と、を有している。
【0017】
この実施形態の布類検査装置はまた、ベルトコンベヤ1,2により上記搬送経路に沿って搬送されている布類Cの、少なくとも投光器3から上向きに投光されて上記投光領域Rを透過した光によって、布類Cの表側と裏側のうち他方の側である上側のみの表面を動画若しくは布類C上で搬送方向に撮影部分がずれた複数枚の静止画で2次元的に撮影してその撮影部分の画像データを出力する1台または複数台のビデオカメラ4と、予め画像処理プログラムを与えられた通常のコンピュータにより構成され、ビデオカメラ4から入力されたその画像データに基づき布類Cの全体における汚れや破れ等の異常の有無および異常がある場合のその異常の種類を判定して出力する異常判定手段としての画像処理部5と、を具えている。
【0018】
この実施形態の布類検査装置はさらに、通常のメモリ等により構成され、画像処理部5による判定結果のデータを読み出し可能に記憶する画像記憶部6と、ベルトコンベヤ1,2により上記搬送経路に沿って搬送されている布類Cの、ビデオカメラ4が撮影する上記他方の側である上側のみの表面をその他方の側から例えば白色光で照明する、照明手段としての2つのLEDライト7と、上記判定結果のデータを画面上に表示する図示しないディスプレイ装置と、を具えている。
【0019】
この実施形態の布類検査装置にあっては、ベルトコンベヤ1,2が、拡げられた布類Cをそれらの上向きのベルトに沿って延在する搬送経路に沿って搬送し、ベルトコンベヤ1,2の間の布類Cの搬送経路の下方の固定位置にその搬送経路に向けて上向きに配置された投光器3が、ベルトコンベヤ1,2によりその搬送経路に沿って搬送されている布類Cの表側と裏側のうち一方の側(通常はアイロンローラから出る際に上向きになる裏側)の表面の、その搬送方向に直交する方向の全体に亘りかつその搬送方向の少なくとも一部分に亘る投光領域Rに均一に投光し、ビデオカメラ4が、ベルトコンベヤ1,2により搬送経路に沿って搬送されている布類Cの投光領域Rを透過した投光器3からの光と、2つのLEDライト7による照明とによって、布類Cの表側と裏側のうち他方の側(通常はアイロンローラから出る際に下向きになる表側)のみの表面を、動画若しくは、布類C上で搬送方向に撮影部分がずれた複数枚の静止画で2次元的に撮影してその撮影部分の画像データを出力し、その画像データから画像処理部5が、画像処理プログラムにより布類Cの異常の有無および異常がある場合のその種類を判別して画像記憶6および上記ディスプレイ装置に出力する。
【0020】
従って、この実施形態の布類検査装置によれば、投光器3から投光されて、搬送されている布類Cの表側と裏側のうち一方の側の表面からその布類Cの少なくとも一部分に亘る投光領域Rを透過した光を含む照明によって、表側と裏側のうち他方の側のみの表面をビデオカメラ4で撮影し、その画像データから布類Cの両側の表面の擦り汚れや内部の染み汚れや、破れ等の異常を検出することから、表側と裏側をカメラで撮影する場合よりも単純な布類の搬送経路で、表側と裏側をカメラで撮影する場合と同程度の高い検査能力が得られるので、ベルトコンベヤやカメラの設置スペースの制約が少なくなり、ベルトコンベヤやカメラのためのコストも低く抑えることができる。
【0021】
しかも、この実施形態の布類検査装置によれば、投光器3は、高輝度の複数のLEDと、それらのLEDが発光した光を適度に拡散させて投光領域Rに均一に投光する光学部品とを有する構成のものであるので、投光器3を簡易で軽いものとすることができる。
【0022】
また、この実施形態の布類検査装置においては、ベルトコンベヤ1,2を布類Cの搬送方向に並べて2台配置し、投光器3をそれら2台のベルトコンベヤ1,2の間の搬送経路に向けてその下方に固定配置しているので、搬送経路に向けて投光器を固定配置したベルトコンベヤを簡易に構成することができる。
【0023】
そして、この実施形態の布類検査装置においては、ベルトコンベヤ1,2により搬送経路に沿って搬送されている布類Cの、ビデオカメラ4が撮影する上向きの側の表面を上側から照明する2台のLEDライト7をさらに具えているので、布類Cの上向きの表面をより明確に撮影することができる。
【0024】
図2は、上記実施形態の布類検査装置が検査する異常の状態を示す断面図であり、図2(a)は1枚生地の布類の場合、図2(b)は2枚生地の布類の場合を示す。また図3は、上記実施形態の布類検査装置が1枚生地の布類をカメラで撮影した画像であり、図3(a)は投光器を用いた透過光の場合、図3(b)は投光器に代えて従来の黒色の検査板を用いた反射光の場合を示す。
【0025】
図2(a),(b)に示すように、布類の汚れや破れの中で、汚れについては大きく分けると2種類あり、布類の生地の内部まで浸透している染み汚れと、生地の表面のみに付着している擦り汚れがある。ここで、図2(a)の1枚生地のシーツについて、符号B1は染み汚れ、B2は表側の擦り汚れ、B3は裏側の擦り汚れ、B4は破れを示し、図2(b)の2枚生地の包布・デュベカバーについて、符号B5は1枚目の染み汚れ、B6は1枚目の表側の擦り汚れ、B7は2枚目の染み汚れ、B8は2枚目の裏側の擦り汚れを示す。
【0026】
実際に1枚生地について異常を検出したところ、従来の黒色の検査板の反射光を用いた場合にはB3で検出不可、B4で検出困難であったが、この実施形態の投光器3の透過光を用いた場合にはB1~B4の全てについて検出可であった。それゆえこの実施形態の投光器3の透過光を用いれば、2枚生地についてもB5,B6で検出可能となるとともにB7,B8で検出不可でなく検出困難となることが予想されるので、1枚生地では2台のカメラを用いる場合と同様の良好な結果が得られ、2枚生地でも投光器の光度をさらに高めることで従来の黒色の検査板より大幅な改善が期待できることが判明した。
【0027】
図3(a),(b)に画像で示すように、実際にシーツ(1枚生地)において、上述の染み汚れB1と裏側の擦り汚れB3を、上記実施形態の布類検査装置で投光器3を用いてカメラ撮影した場合と、従来の一般的な黒色の検査板を用いてカメラ撮像した場合とを比較すると、特に裏側の擦り汚れB3について、この実施形態の投光器3の透過光を用いる場合の方が、黒色の検査板の反射光を用いる場合よりも明確に汚れを捉えることができることが分かる。
【0028】
図4は、この発明の布類検査装置の他の一実施形態を示す構成図であり、図4中、先の実施形態におけると同様の部分はそれと同一の符号にて示す。すなわち、この実施形態の布類検査装置は、布類洗濯工場等においてアイロンローラの下流側に布類Cの搬送方向であるA方向に延在するように配置され、布類Cの搬送経路を上向きのベルトに沿って形成する通常の1台のベルトコンベヤ1と、そのベルトコンベヤ1上にその上向きのベルトに対し僅かな隙間を開けてそのベルトに沿って板面が延在するように固定配置された投光手段としての発光板8と、その発光板8の前後端面に密接する位置でベルトコンベヤ1上にその上向きのベルトに対し僅かな隙間を開けて固定配置されて発光板8に対する布類Cの乗り越えを助ける2つの傾斜台9と、を具えている。
【0029】
発光板8は、検査のために充分な光量の例えば白色光を発光する高輝度の複数のLED(発光ダイオード)と、それらのLEDによって端面から内部に供給された光を内部で拡散させ、上向きの板面に導いて、ベルトコンベヤ1により上記搬送経路に沿ってA方向に搬送されて傾斜板9の助けで発光板8上を通過している布類Cの表側と裏側のうち一方の側である下側の表面の、その布類CのA方向に直交する水平方向の全体に亘りかつその布類CのA方向の少なくとも一部分に亘る投光領域Rに上向きの板面から均一に投光する、例えばアクリル樹脂製等の導光板と、を有している。
【0030】
この実施形態の布類検査装置はまた、ベルトコンベヤ1により上記搬送経路に沿って搬送されている布類Cの、少なくとも発光板8の上向きの板面から投光されて上記投光領域Rを透過した光によって、布類Cの表側と裏側のうち他方の側である上側のみの表面を動画若しくは布類C上で搬送方向に撮影部分がずれた複数枚の静止画で2次元的に撮影してその撮影部分の画像データを出力する1台または複数台のビデオカメラ4と、予め画像処理プログラムを与えられた通常のコンピュータにより構成され、ビデオカメラ4から入力されたその画像データに基づき布類Cの全体における汚れや破れ等の異常の有無および異常がある場合のその異常の種類を判定して出力する異常判定手段としての画像処理部5と、を具えている。
【0031】
この実施形態の布類検査装置はさらに、通常のメモリ等により構成され、画像処理部5による判定結果のデータを読み出し可能に記憶する画像記憶部6と、ベルトコンベヤ1により上記搬送経路に沿って搬送されている布類Cの、ビデオカメラ4が撮影する上記他方の側の表面をその他方の側から例えば白色光で照明する、照明手段としての2つのLEDライト7と、上記判定結果のデータを画面上に表示する図示しないディスプレイ装置と、を具えている。
【0032】
この実施形態の布類検査装置にあっては、ベルトコンベヤ1が、拡げられた布類Cをそれらの上向きのベルトに沿って延在する搬送経路に沿って搬送し、その搬送経路に沿って板面が延在するようにベルトコンベヤ1に対して固定位置に配置された発光板8が、ベルトコンベヤ1によりその搬送経路に沿って搬送されている布類Cの表側と裏側のうち一方の側(通常は裏側)の表面の、その搬送方向に直交する方向の全体に亘りかつその搬送方向の少なくとも一部分に亘る投光領域Rに上向きの板面から均一に投光し、ビデオカメラ4が、ベルトコンベヤ1により搬送経路に沿って搬送されている布類Cの投光領域Rを透過した、発光板8の上向きの板面からの光と、2つのLEDライト7による照明によって、布類Cの表側と裏側のうち他方の側(通常は表側)のみの表面を、動画若しくは、布類C上で搬送方向に撮影部分がずれた複数枚の静止画で2次元的に撮影してその撮影部分の画像データを出力し、その画像データから画像処理部5が、画像処理プログラムにより布類Cの異常の有無および異常がある場合のその種類を判別して画像記憶6および上記ディスプレイ装置に出力する。
【0033】
従って、この実施形態の布類検査装置によれば、発光板8の上向きの板面から投光されて、搬送されている布類Cの表側と裏側のうち一方の側の表面からその布類Cの少なくとも一部分に亘る投光領域Rを透過した光を含む照明によって、表側と裏側のうち他方の側のみの表面をビデオカメラ4で撮影し、その画像データから布類Cの両側の表面の擦り汚れや内部の染み汚れや、破れ等の異常を検出することから、表側と裏側をカメラで撮影する場合よりも単純な布類の搬送経路で、表側と裏側をカメラで撮影する場合と同程度の高い検査能力が得られるので、ベルトコンベヤやカメラの設置スペースの制約が少なくなり、ベルトコンベヤやカメラのためのコストも低く抑えることができる。
【0034】
しかも、この実施形態の布類検査装置によれば、ベルトコンベヤ1のベルトが発光板8の下を走行して発光板8および傾斜台9から走行方向前方または後方に外れた位置で布類Cを付勢して傾斜台9の助けで発光板8を乗り越えさせるように発光板8および傾斜台9をベルトコンベヤ1上に固定配置しているので、搬送経路に沿って発光板を固定配置したベルトコンベヤを1台のベルトコンベヤで構成できることから、例えば従来から設置されているベルトコンベヤを用いて、ベルトコンベヤの配置上の制約およびコストをさらに抑えることができる。
【0035】
以上、図示例に基づき説明したが、この発明は上述の例に限定されるものでなく特許請求の範囲の記載範囲内で適宜変更し得るものであり、例えば上記実施形態では投光器3や発光板8が投光する光は白色光としているが、これを例えば布類Cの生地の色や汚れの色に応じて汚れが明確に見えるような色の光に変更してもよく、LEDライト7の照明光についてもその色を同様に変更してもよい。
【0036】
さらに、LEDライト7の数も投光領域Rの広さ等に応じて2つから適宜変更することができる。また、傾斜台9を一体的に有するように発光板8を形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
かくしてこの発明の布類検査装置によれば、投光手段から投光されて、搬送されている布類の表側と裏側のうち一方の側の表面からその布類の少なくとも一部分に亘る投光領域を透過した光を含む照明によって、表側と裏側のうち他方の側のみの表面をカメラで撮影し、その画像データから布類の両側の表面内部の異常を検出することから、表側と裏側をカメラで撮影する場合よりも単純な布類の搬送経路で、表側と裏側をカメラで撮影する場合と同程度の高い検査能力が得られるので、ベルトコンベヤやカメラの設置スペースの制約が少なくなり、ベルトコンベヤやカメラのためのコストも低く抑えることができる。
【符号の説明】
【0038】
1,2 ベルトコンベヤ
3 投光器
4 ビデオカメラ
5 画像処理部
6 画像記憶部
7 LEDライト
8 発光板
9 傾斜台
A 搬送方向
B1~B8 汚れ
C 布類
R 投光領域
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2022-10-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
布類洗濯工場の洗濯処理ラインにて洗濯処理中の布類の表側と裏側の表面および内部における異常を検査する布類検査装置において、
拡げられた前記布類を所定搬送経路に沿って搬送するベルトコンベヤと、
前記ベルトコンベヤに対し1箇所の固定位置に設定された領域であって、前記ベルトコンベヤにより前記搬送経路に沿って搬送されている前記布類がその領域を通るとその布類の表側と裏側のうち一方の側の表面の、前記搬送方向に直交する方向では全体に亘るとともに前記搬送方向では少なくとも一部分に亘投光領域に対して、前記布類の前記一方の側から均一に投光する、前記搬送経路に向けて前記ベルトコンベヤに対し1箇所に固定配置された投光手段と、
前記ベルトコンベヤにより前記搬送経路に沿って搬送されている前記布類前記投光領域において前記一方の側から透過した前記投光手段からの光を少なくとも含む照明によって、前記布類の表側と裏側のうち他方の側から前記布類を2次元的に撮影してその画像データを出力する、前記搬送経路に向けて前記ベルトコンベヤに対し1箇所に固定配置されたカメラと、
前記画像データに基づき前記布類の全体の異常の有無および異常がある場合のその種類を判定して出力する異常判定手段と、
を具えることを特徴とする布類検査装置。
【請求項2】
前記投光手段は、LEDと、そのLEDによって端面から内部に供給された光を内部で拡散させ、板面に導いてそこから前記投光領域に均一に投光する導光板と、を有するものであることを特徴とする、請求項1記載の布類検査装置。
【請求項3】
前記ベルトコンベヤを前記布類の搬送方向に繋げて2台配置し、前記投光手段を前記2台のベルトコンベヤの間の前記搬送経路に向けて固定配置したことを特徴とする、請求項1または2記載の布類検査装置。
【請求項4】
前記ベルトコンベヤのベルトに対する上側の近接位置に前記投光手段を固定配置し、
前記ベルトが、前記投光手段から前記ベルトの走行方向前方または後方に外れた位置で前記布類を付勢して前記布類に前記投光手段を乗り越えさせることを特徴とする、請求項1または2記載の布類検査装置。
【請求項5】
前記ベルトコンベヤにより搬送経路に沿って搬送されている布類の、前記カメラが撮影する前記他方の側の表面をその他方の側から照明する照明手段をさらに具えていることを特徴とする、請求項1から4までの何れか1項記載の布類検査装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
この発明は、上述の如き従来の布類検査装置の課題を解決するものであり、この発明の布類検査装置は、
布類洗濯工場の洗濯処理ラインにて洗濯処理中の布類の表側と裏側の表面および内部における異常を検査する布類検査装置において、
拡げられた前記布類を所定搬送経路に沿って搬送するベルトコンベヤと、
前記ベルトコンベヤに対し1箇所の固定位置に設定された領域であって、前記ベルトコンベヤにより前記搬送経路に沿って搬送されている前記布類がその領域を通るとその布類の表側と裏側のうち一方の側の表面の、前記搬送方向に直交する方向では全体に亘るとともに前記搬送方向では少なくとも一部分に亘投光領域に対して、前記布類の前記一方の側から均一に投光する、前記搬送経路に向けて前記ベルトコンベヤに対し1箇所に固定配置された投光手段と、
前記ベルトコンベヤにより前記搬送経路に沿って搬送されている前記布類前記投光領域において前記一方の側から透過した前記投光手段からの光を少なくとも含む照明によって、前記布類の表側と裏側のうち他方の側から前記布類を2次元的に撮影してその画像データを出力する、前記搬送経路に向けて前記ベルトコンベヤに対し1箇所に固定配置されたカメラと、
前記画像データに基づき前記布類の全体の異常の有無および異常がある場合のその種類を判定して出力する異常判定手段と、
を具えることを特徴としている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
この発明の布類検査装置にあっては、布類洗濯工場の洗濯処理ラインにおける布類の洗濯処理中に、ベルトコンベヤが、拡げられた布類を所定搬送経路に沿って搬送し、その搬送経路に向けてベルトコンベヤに対し1箇所に固定配置された投光手段が、ベルトコンベヤに対し1箇所の固定位置に設定された領域であって、ベルトコンベヤにより前記搬送経路に沿って搬送されている布類がその領域を通るとその布類の表側と裏側のうち一方の側の表面の、前記搬送方向に直交する方向では全体に亘るとともに前記搬送方向では少なくとも一部分に亘投光領域に対して、前記布類の前記一方の側から均一に投光する。そして、前記搬送経路に向けてベルトコンベヤに対し1箇所に固定配置された例えばビデオカメラ等からなるカメラが、ベルトコンベヤにより前記搬送経路に沿って搬送されている布類を前記投光領域において前記一方の側から透過した投光手段からの光を少なくとも含む照明によって、前記布類をその表側と裏側のうち他方の側から、ラインセンサでの1次元的な撮影でなく例えば動画若しくは、布類上で搬送方向に撮影部分がずれた複数枚の静止画で2次元的に撮影してその画像データを出力し、その画像データから異常判別手段が、布類の異常の有無および異常がある場合のその種類を判別して出力する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
従って、この発明の布類検査装置によれば、搬送経路に向けてベルトコンベヤに対し1箇所に固定配置された投光手段から均一に投光されて、ベルトコンベヤにより搬送経路に沿って搬送されている布類の表側と裏側のうち一方の側の表面の少なくとも一部分に亘るようにベルトコンベヤに対し1箇所の固定位置に設定された投光領域においてその布類前記一方の側から透過した光を含む照明によって、前記布類をその表側と裏側のうち他方の側から、搬送経路に向けてベルトコンベヤに対し1箇所に固定配置されたカメラで撮影し、その画像データから異常判別手段で、布類の両側の表面および内部の異常を検出することから、表側と裏側を別個に配置されたカメラで撮影する場合よりも単純な布類の搬送経路で、表側と裏側を別個に配置されたカメラで撮影する場合と同程度の高い検査能力が得られるので、ベルトコンベヤやカメラの設置スペースの制約が少なくなり、ベルトコンベヤやカメラのためのコストも低く抑えることができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
従って、この実施形態の布類検査装置によれば、投光器3から投光されて、搬送されている布類Cの表側と裏側のうち一方の側の表面からその布類Cの少なくとも一部分に亘る投光領域Rを透過した光を含む照明によって、布類Cを、その表側と裏側のうち他方の側からビデオカメラ4で撮影し、その画像データから布類Cの両側の表面の擦り汚れや内部の染み汚れや布類Cの破れ等の異常を検出することから、表側と裏側を別個のカメラで撮影する場合よりも単純な布類の搬送経路で、表側と裏側を別個のカメラで撮影する場合と同程度の高い検査能力が得られるので、ベルトコンベヤやカメラの設置スペースの制約が少なくなり、ベルトコンベヤやカメラのためのコストも低く抑えることができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
従って、この実施形態の布類検査装置によれば、発光板8の上向きの板面から投光されて、搬送されている布類Cの表側と裏側のうち一方の側の表面からその布類Cの少なくとも一部分に亘る投光領域Rを透過した光を含む照明によって、布類Cを、その表側と裏側のうち他方の側からビデオカメラ4で撮影し、その画像データから布類Cの両側の表面の擦り汚れや内部の染み汚れや布類Cの破れ等の異常を検出することから、表側と裏側を別個のカメラで撮影する場合よりも単純な布類の搬送経路で、表側と裏側を別個のカメラで撮影する場合と同程度の高い検査能力が得られるので、ベルトコンベヤやカメラの設置スペースの制約が少なくなり、ベルトコンベヤやカメラのためのコストも低く抑えることができる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0037】
かくしてこの発明の布類検査装置によれば、搬送経路に向けてベルトコンベヤに対し1箇所に固定配置された投光手段から均一に投光されて、ベルトコンベヤにより搬送経路に沿って搬送されている布類の表側と裏側のうち一方の側の表面の少なくとも一部分に亘るようにベルトコンベヤに対し1箇所の固定位置に設定された投光領域においてその布類前記一方の側から透過した光を含む照明によって、前記布類をその表側と裏側のうち他方の側から、搬送経路に向けてベルトコンベヤに対し1箇所に固定配置されたカメラで撮影し、その画像データから異常判別手段で、布類の両側の表面および内部の異常を検出することから、表側と裏側を別個に配置されたカメラで撮影する場合よりも単純な布類の搬送経路で、表側と裏側を別個に配置されたカメラで撮影する場合と同程度の高い検査能力が得られるので、ベルトコンベヤやカメラの設置スペースの制約が少なくなり、ベルトコンベヤやカメラのためのコストも低く抑えることができる。
【手続補正書】
【提出日】2023-03-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
布類洗濯工場の洗濯処理ラインにて洗濯処理中の布類の表側と裏側の表面および内部における異常を検査する布類検査装置において、
拡げられた前記布類を所定搬送経路に沿って搬送するベルトコンベヤと、
前記ベルトコンベヤに対し1箇所の固定位置に設定された領域であって、前記ベルトコンベヤにより前記搬送経路に沿って搬送されている前記布類がその領域を通るとその布類の表側と裏側のうち一方の側の表面の、前記搬送方向に直交する方向では全体に亘るとともに前記搬送方向では少なくとも一部分に亘る投光領域に対して、前記布類の前記一方の側から均一に投光する、前記搬送経路に向けて前記ベルトコンベヤに対し1箇所に固定配置された投光手段と、
前記ベルトコンベヤにより前記搬送経路に沿って搬送されている前記布類を前記投光領域において前記一方の側から透過した前記投光手段からの光を少なくとも含む照明によって、前記布類の表側と裏側のうち他方の側から前記布類を2次元的に撮影してその画像データを出力する、前記搬送経路に向けて前記ベルトコンベヤに対し1箇所に固定配置されたカメラと、
前記画像データに基づき前記布類の全体の異常の有無および異常がある場合のその種類を判定して出力する異常判定手段と、
を具え
前記投光手段は、LEDと、そのLEDによって端面から内部に供給された光を内部で拡散させ、板面に導いてそこから前記投光領域に均一に投光する導光板と、を有して薄くて軽く構成され、前記ベルトコンベヤのベルトに対する上側の近接位置に固定配置されたものであり、
前記ベルトが、前記投光手段から前記ベルトの走行方向前方または後方に外れた位置で前記布類を付勢して、前記布類に薄くて軽い前記投光手段を乗り越えさせることを特徴とする布類検査装置。
【請求項2】
前記ベルトコンベヤにより搬送経路に沿って搬送されている布類の、前記カメラが撮影する前記他方の側の表面をその他方の側から照明する照明手段をさらに具えていることを特徴とする、請求項記載の布類検査装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
さらにこの発明の布類検査装置、前記投光手段、LEDと、そのLEDによって端面から内部に供給された光を内部で拡散させ、板面に導いてそこから前記投光領域に均一に投光する導光板と、を有して薄くて軽く構成されたものであることを特徴としている。これにより、前記投光手段を前記ベルトコンベヤのベルトに対する上側の近接位置に固定配置しても、そのベルトで搬送される布類に、投光手段を乗り越えさせることができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
さらにこの発明の布類検査装置前記ベルトコンベヤのベルトに対する上側の近接位置に前記投光手段を固定配置し、前記ベルトが、前記投光手段から前記ベルトの走行方向前方または後方に外れた位置で前記布類を付勢して前記布類に薄くて軽い前記投光手段を乗り越えさせるようにしたことを特徴としている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
これにより、搬送経路に沿って発光板を固定配置したベルトコンベヤを1台のベルトコンベヤで構成できることから、例えば従来から設置されているベルトコンベヤを用いて、ベルトコンベヤの配置上の制約およびコストを抑えることができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
図1】この発明の布類検査装置の一参考形態を示す構成図である。
図2】上記参考形態の布類検査装置が検査する異常の状態を示す断面図であり、(a)は1枚生地の布類の場合、(b)は2枚生地の布類の場合を示す。
図3】上記参考形態の布類検査装置が1枚生地の布類をカメラで撮影した画像であり、(a)は投光器を用いた透過光の場合、(b)は投光器に代えて黒色の検査板を用いた反射光の場合を示す。
図4】この発明の布類検査装置の一実施形態を示す構成図である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
以下、この発明の実施形態と参考形態を、図面に基づき詳細に説明する。ここに、図1は、この発明の布類検査装置の一参考形態を示す構成図であり、図中符号1,2はベルトコンベヤ、3は投光手段としての投光器、4はビデオカメラ、5は画像処理部、6は記憶部、7はLEDライト、Aは布類の搬送方向、Cは検査対象の布類をそれぞれ示す。なお、図では各ベルトコンベヤ1,2のベルトを駆動するモータは、図示を省略する。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
この参考形態の布類検査装置は、布類洗濯工場等においてアイロンローラの下流側に布類Cの搬送方向であるA方向に並べて配置され、シーツ等の1枚物やデュベカバー等の薄い2枚物の布類Cの搬送経路を上向きのベルトに沿って形成する通常の2台のベルトコンベヤ1,2と、それらのベルトコンベヤ1,2の間の布類Cの搬送経路の下方の固定位置にその搬送経路に向けて上向きに配置された投光器3と、を具えており、投光器3は、検査のために充分な光量の例えば白色の光を発光する高輝度の複数のLED(発光ダイオード)と、それらのLEDが発光した光を適度に拡散させ、ベルトコンベヤ1,2により上記搬送経路に沿ってA方向に搬送されて投光器3の上方を通過している布類Cの表側と裏側のうち一方の側である下側の表面の、その布類CのA方向に直交する水平方向の全体に亘りかつその布類CのA方向の少なくとも一部分に亘る投光領域Rに均一に投光する、例えばアクリル樹脂製レンズ等の光学部品と、を有している。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
この参考形態の布類検査装置はまた、ベルトコンベヤ1,2により上記搬送経路に沿って搬送されている布類Cの、少なくとも投光器3から上向きに投光されて上記投光領域Rを透過した光によって、布類Cの表側と裏側のうち他方の側である上側のみの表面を動画若しくは布類C上で搬送方向に撮影部分がずれた複数枚の静止画で2次元的に撮影してその撮影部分の画像データを出力する1台または複数台のビデオカメラ4と、予め画像処理プログラムを与えられた通常のコンピュータにより構成され、ビデオカメラ4から入力されたその画像データに基づき布類Cの全体における汚れや破れ等の異常の有無および異常がある場合のその異常の種類を判定して出力する異常判定手段としての画像処理部5と、を具えている。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
この参考形態の布類検査装置はさらに、通常のメモリ等により構成され、画像処理部5による判定結果のデータを読み出し可能に記憶する画像記憶部6と、ベルトコンベヤ1,2により上記搬送経路に沿って搬送されている布類Cの、ビデオカメラ4が撮影する上記他方の側である上側のみの表面をその他方の側から例えば白色光で照明する、照明手段としての2つのLEDライト7と、上記判定結果のデータを画面上に表示する図示しないディスプレイ装置と、を具えている。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
この参考形態の布類検査装置にあっては、ベルトコンベヤ1,2が、拡げられた布類Cをそれらの上向きのベルトに沿って延在する搬送経路に沿って搬送し、ベルトコンベヤ1,2の間の布類Cの搬送経路の下方の固定位置にその搬送経路に向けて上向きに配置された投光器3が、ベルトコンベヤ1,2によりその搬送経路に沿って搬送されている布類Cの表側と裏側のうち一方の側(通常はアイロンローラから出る際に上向きになる裏側)の表面の、その搬送方向に直交する方向の全体に亘りかつその搬送方向の少なくとも一部分に亘る投光領域Rに均一に投光し、ビデオカメラ4が、ベルトコンベヤ1,2により搬送経路に沿って搬送されている布類Cの投光領域Rを透過した投光器3からの光と、2つのLEDライト7による照明とによって、布類Cの表側と裏側のうち他方の側(通常はアイロンローラから出る際に下向きになる表側)のみの表面を、動画若しくは、布類C上で搬送方向に撮影部分がずれた複数枚の静止画で2次元的に撮影してその撮影部分の画像データを出力し、その画像データから画像処理部5が、画像処理プログラムにより布類Cの異常の有無および異常がある場合のその種類を判別して画像記憶6および上記ディスプレイ装置に出力する。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
従って、この参考形態の布類検査装置によれば、投光器3から投光されて、搬送されている布類Cの表側と裏側のうち一方の側の表面からその布類Cの少なくとも一部分に亘る投光領域Rを透過した光を含む照明によって、布類Cを、その表側と裏側のうち他方の側からビデオカメラ4で撮影し、その画像データから布類Cの両側の表面の擦り汚れや内部の染み汚れや布類Cの破れ等の異常を検出することから、表側と裏側を別個のカメラで撮影する場合よりも単純な布類の搬送経路で、表側と裏側を別個のカメラで撮影する場合と同程度の高い検査能力が得られるので、ベルトコンベヤやカメラの設置スペースの制約が少なくなり、ベルトコンベヤやカメラのためのコストも低く抑えることができる。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
しかも、この参考形態の布類検査装置によれば、投光器3は、高輝度の複数のLEDと、それらのLEDが発光した光を適度に拡散させて投光領域Rに均一に投光する光学部品とを有する構成のものであるので、投光器3を簡易で軽いものとすることができる。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
また、この参考形態の布類検査装置においては、ベルトコンベヤ1,2を布類Cの搬送方向に並べて2台配置し、投光器3をそれら2台のベルトコンベヤ1,2の間の搬送経路に向けてその下方に固定配置しているので、搬送経路に向けて投光器を固定配置したベルトコンベヤを簡易に構成することができる。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
そして、この参考形態の布類検査装置においては、ベルトコンベヤ1,2により搬送経路に沿って搬送されている布類Cの、ビデオカメラ4が撮影する上向きの側の表面を上側から照明する2台のLEDライト7をさらに具えているので、布類Cの上向きの表面をより明確に撮影することができる。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
図2は、上記参考形態の布類検査装置が検査する異常の状態を示す断面図であり、図2(a)は1枚生地の布類の場合、図2(b)は2枚生地の布類の場合を示す。また図3は、上記参考形態の布類検査装置が1枚生地の布類をカメラで撮影した画像であり、図3(a)は投光器を用いた透過光の場合、図3(b)は投光器に代えて従来の黒色の検査板を用いた反射光の場合を示す。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
実際に1枚生地について異常を検出したところ、従来の黒色の検査板の反射光を用いた場合にはB3で検出不可、B4で検出困難であったが、この参考形態の投光器3の透過光を用いた場合にはB1~B4の全てについて検出可であった。それゆえこの参考形態の投光器3の透過光を用いれば、2枚生地についてもB5,B6で検出可能となるとともにB7,B8で検出不可でなく検出困難となることが予想されるので、1枚生地では2台のカメラを用いる場合と同様の良好な結果が得られ、2枚生地でも投光器の光度をさらに高めることで従来の黒色の検査板より大幅な改善が期待できることが判明した。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
図3(a),(b)に画像で示すように、実際にシーツ(1枚生地)において、上述の染み汚れB1と裏側の擦り汚れB3を、上記参考形態の布類検査装置で投光器3を用いてカメラ撮影した場合と、従来の一般的な黒色の検査板を用いてカメラ撮像した場合とを比較すると、特に裏側の擦り汚れB3について、この参考形態の投光器3の透過光を用いる場合の方が、黒色の検査板の反射光を用いる場合よりも明確に汚れを捉えることができることが分かる。
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
図4は、この発明の布類検査装置の一実施形態を示す構成図であり、図4中、先の参考形態におけると同様の部分はそれと同一の符号にて示す。すなわち、この実施形態の布類検査装置は、布類洗濯工場等においてアイロンローラの下流側に布類Cの搬送方向であるA方向に延在するように配置され、布類Cの搬送経路を上向きのベルトに沿って形成する通常の1台のベルトコンベヤ1と、そのベルトコンベヤ1上にその上向きのベルトに対し僅かな隙間を開けてそのベルトに沿って板面が延在するように固定配置された投光手段としての発光板8と、その発光板8の前後端面に密接する位置でベルトコンベヤ1上にその上向きのベルトに対し僅かな隙間を開けて固定配置されて発光板8に対する布類Cの乗り越えを助ける2つの傾斜台9と、を具えている。