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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023000838
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 33/42 20200101AFI20221222BHJP
   D06F 33/62 20200101ALI20221222BHJP
【FI】
D06F33/42
D06F33/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021101886
(22)【出願日】2021-06-18
(71)【出願人】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】川口 智也
(72)【発明者】
【氏名】谷越 修
【テーマコード(参考)】
3B167
【Fターム(参考)】
3B167AA15
3B167AE02
3B167AE04
3B167AE05
3B167BA23
3B167JA31
3B167KA18
3B167KA52
3B167KA63
3B167KA75
3B167KA78
3B167KB01
3B167KB16
3B167LA05
3B167LA23
3B167LC02
3B167LD03
3B167LD12
3B167LE04
3B167LF11
3B167LG05
(57)【要約】
【課題】脱水工程において洗濯槽の水噛みの発生を低減することができる洗濯機を提供する。
【解決手段】全自動洗濯機1は、洗濯脱水槽を駆動する駆動モータ31と、駆動モータ31を制御する制御部101と、外槽の底面部と洗濯脱水槽の底面部との間の空間に配置された一対の電極を含み、外槽内の水位に応じて変化する一対の電極の間に流れる電流を検出して、検出した電流の大きさを示す検出信号を出力する水位検出器60と、を備える。制御部101は、洗濯脱水槽の回転を脱水回転数まで立ち上げる途中に、水位検出器60からの検出信号に基づいて外槽内の水位を検出し、検出した水位に基づいて、外槽からの排水が円滑に行われにくい排水不良状態が生じていると判定した場合に、排水不良状態が生じていない場合よりも脱水回転数までの洗濯脱水槽の回転の立ち上がりが遅くなるよう駆動モータ31を制御する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に弾性的に支持された外槽と、
前記外槽から排水を行うための排水部と、
前記外槽内に回転可能に配置され、洗濯物が収容される洗濯槽と、
前記洗濯槽を駆動する駆動モータと、
前記駆動モータを制御して、前記洗濯槽を所定の脱水回転数で回転させる脱水工程を実行する制御部と、
前記外槽の底面部と前記洗濯槽の底面部との間の空間に配置された一対の電極を含み、前記外槽内の水位に応じて変化する前記一対の電極の間に流れる電流を検出し、検出した電流の大きさを示す検出信号を出力する検出部と、を備え、
前記制御部は、
前記洗濯槽の回転を前記脱水回転数まで立ち上げる途中に、前記検出部からの前記検出信号に基づいて前記水位を検出し、
検出した前記水位に基づいて、前記外槽からの排水が円滑に行われない排水不良状態が生じていると判定した場合に、前記排水不良状態が生じていない場合よりも前記脱水回転数までの前記洗濯槽の回転の立ち上がりが遅くなるよう前記駆動モータを制御する、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
請求項1に記載の洗濯機において、
前記制御部は、検出した前記水位の大きさに基づいて、前記排水不良状態が生じているか否かを判定する、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の洗濯機において、
前記制御部は、検出した前記水位の変動の大きさに基づいて、前記排水不良状態が生じているか否かを判定する、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一項に記載の洗濯機において、
前記制御部は、
前記脱水回転数よりも低い第1検出回転数で前記洗濯槽を回転させ、その間に前記検出部から前記検出信号を取得して前記水位を検出し、
前記排水不良状態が生じている場合に、前記排水不良状態が生じていない場合よりも、前記第1検出回転数で前記洗濯槽を回転させる時間を長くする、あるいは、前記第1検出回転数から前記洗濯槽の回転数を上昇させるときの加速度を小さくすることにより、前記脱水回転数までの前記洗濯槽の回転の立ち上がりが遅くなるようにする、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項5】
請求項4に記載の洗濯機において、
前記外槽の底面部には、当該底面部の内面から凹む凹部が形成され、
前記一対の電極は、前記凹部の底面から上方に突き出し、
前記制御部は、
前記脱水回転数よりも低く前記第1検出回転数よりも高い第2検出回転数で前記洗濯槽を回転させ、その間に前記検出部により前記水位を検出し、
検出した前記水位が閾値よりも小さい場合に、前記脱水回転数の値を小さくする、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項6】
筐体内に弾性的に支持された外槽と、
前記外槽から排水を行うための排水部と、
前記外槽内に回転可能に配置され、洗濯物が収容される洗濯槽と、
前記洗濯槽を駆動する駆動モータと、
前記駆動モータを制御して、前記洗濯槽を所定の脱水回転数で回転させる脱水工程を実行する制御部と、
前記外槽の底面部と前記洗濯槽の底面部との間の空間において、前記外槽の底面部から所定の高さに位置する発光素子および受光素子を含み、これら発光素子と受光素子との間の光の透過率を検出し、検出した透過率に応じた検出信号を出力する検出部と、を備え、
前記制御部は、
前記洗濯槽を前記脱水回転数まで立ち上げる途中に、前記検出部からの前記検出信号に基づいて前記所定の高さに水が存在するか否かを検出し、
前記所定の高さに水が存在する場合に、前記所定の高さに水が存在しない場合よりも前記洗濯槽の回転の立ち上がりが遅くなるよう前記駆動モータを制御する、
ことを特徴とする洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗濯機では、洗い工程およびすすぎ工程の後に脱水工程が行われる。脱水工程では、洗濯物が収容される洗濯槽、即ち洗濯脱水槽やドラムが高速回転し、洗濯槽に生じる遠心力により洗濯物から水が絞り出される。洗濯物から排出された水は、洗濯槽を囲む外槽内に排出され、排水ホース等からなる排水路を通って機外へ排出される(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-103419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
排水ホース内にリント等の異物が蓄積したり、排水ホースが機外で適正に設置されなかったりした場合、外槽からの排水性が悪化し得る。このような状態で脱水工程が行われた場合、洗濯物から排出された水が外槽から円滑に排出されず、洗濯槽の回転数を所定の脱水回転数まで立ち上げる途中で、回転する洗濯槽と外槽の底部に溜まった水とが接触する、いわゆる水噛みが発生する虞があり、水噛みによる異音が発生する虞がある。
【0005】
また、脱水工程において、洗濯槽の回転数を立ち上げる際に外槽が大きく振動した場合も、洗濯物から排出された水が外槽内で揺れて円滑に排出されず、洗濯槽の水噛みが発生する虞がある。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、脱水工程において洗濯槽の水噛みの発生を低減することができる洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る洗濯機は、筐体内に弾性的に支持された外槽と、前記外槽から排水を行うための排水部と、前記外槽内に回転可能に配置され、洗濯物が収容される洗濯槽と、前記洗濯槽を駆動する駆動モータと、前記駆動モータを制御して、前記洗濯槽を所定の脱水回転数で回転させる脱水工程を実行する制御部と、前記外槽の底面部と前記洗濯槽の底面部との間の空間に配置された一対の電極を含み、前記外槽内の水位に応じて変化する前記一対の電極の間に流れる電流を検出し、検出した電流の大きさを示す検出信号を出力する検出部と、を備える。ここで、前記制御部は、前記洗濯槽の回転を前記脱水回転数まで立ち上げる途中に、前記検出部からの前記検出信号に基づいて前記水位を検出し、検出した前記水位に基づいて、前記外槽からの排水が円滑に行われない排水不良状態が生じていると判定した場合に、前記排水不良状態が生じていない場合よりも前記脱水回転数までの前記洗濯槽の回転の立ち上がりが遅くなるよう前記駆動モータを制御する。
【0008】
なお、「外槽からの排水が円滑に行われない排水不良状態」には、判定時点で外槽からの排水が円滑に行われていない状態になっていることのみならず、判定後に洗濯槽の回転数が上昇したときに外槽からの排水が円滑に行われない状態になることも含まれる。
【0009】
上記の構成によれば、排水不良状態が生じている場合に、洗濯物からの水の排出が抑えられるので、洗濯槽の底面部に接するまで外槽内に水が溜まることが抑制され、洗濯槽の水噛みの発生を低減することができる。さらに、水噛みによる異音の発生も低減することができる。
【0010】
また、本態様に係る洗濯機では、前記制御部は、検出した前記水位の大きさに基づいて、前記排水不良状態が生じているか否かを判定する。
【0011】
排水部の排水性が悪化することによって外槽からの排水が円滑に行われない場合、外槽内の水位が増加する。
【0012】
上記の構成によれば、制御部は、検出部により検出した水位の大きさに基づいて、排水不良状態が生じているか否かを判定するので、排水部の排水性が悪化したことに起因する排水不良状態の発生を検出できる。
【0013】
また、本態様に係る洗濯機では、前記制御部は、検出した前記水位の変動の大きさに基づいて、前記排水不良状態が生じているか否かを判定する。
【0014】
外槽が大きく振動することにより、外槽内の水が揺れて排出が円滑に行われない場合、外槽の大きな振動により外槽内の水位の変動が大きくなる。
【0015】
上記の構成によれば、制御部は、検出部により検出した水位の変動の大きさに基づいて、排水不良状態が生じているか否かを判定するので、外槽が大きく振動したことに起因する排水不良状態の発生を検出できる。
【0016】
また、本態様に係る洗濯機では、前記制御部は、前記脱水回転数よりも低い第1検出回転数で前記洗濯槽を回転させ、その間に前記検出部から前記検出信号を取得して前記水位を検出し、前記排水不良状態が生じている場合に、前記排水不良状態が生じていない場合よりも、前記第1検出回転数で前記洗濯槽を回転させる時間を長くする、あるいは、前記第1検出回転数から前記洗濯槽の回転数を上昇させるときの加速度を小さくすることにより、前記脱水回転数までの前記洗濯槽の回転の立ち上がりが遅くなるようにする。
【0017】
上記の構成によれば、第1検出回転数で前記洗濯槽を回転させる時間が長くされる場合、外槽内の水位が低下した状態で、洗濯槽の回転数を第1検出回転数から上昇させることができるので、その後の回転数上昇により第1検出回転数時よりも洗濯物から水が多く排出されても、洗濯槽の底面部に接するまで外槽内に水が溜まることが抑制され、洗濯槽の水噛みの発生を低減することができる。
【0018】
また、第1検出回転数から洗濯槽の回転数を上昇させるときの加速度を小さくした場合、第1検出回転数からの回転数上昇時に洗濯物から排出される水は少なくなるので、洗濯槽の底面部に接するまで外槽内に水が溜まることが抑制され、洗濯槽の水噛みの発生を低減することができる。
【0019】
上記の構成とされた場合、さらに、前記外槽の底面部には、当該底面部の内面から凹む凹部が形成され、前記一対の電極は、前記凹部の底面から上方に突き出すような構成が採られ得る。この場合、前記制御部は、前記脱水回転数よりも低く前記第1検出回転数よりも高い第2検出回転数で前記洗濯槽を回転させ、その間に前記検出部により前記水位を検出し、検出した前記水位が閾値よりも小さい場合に、前記脱水回転数の値を小さくする。
【0020】
上記の構成によれば、洗濯槽の回転が第1検出回転数から立ち上がるまでの間に、洗濯物から出て外槽内に排出された水の一部が凹部に溜まる。洗濯槽の回転が第1検出回転数から立ち上がって第2検出回転数に達するまでの間に外槽が大きく振動すると、凹部内に溜まった水が、飛散して凹部内から抜け、第2検出回転数に達した際に凹部内に水が残ることを抑制できる。
【0021】
検出部は、一対の電極が凹部の底面から上方に突き出すような構成であるため、凹部における水位を検出できる。そして、外槽の振動が大きいために凹部から水が抜け、第2検出回転数において検出部により検出された水位が閾値よりも低くなった場合には、脱水回転数の値が低くされる。これにより、洗濯槽が脱水回転数で回転するときの外槽の振動を低減できる。
【0022】
本発明の第2の態様に係る洗濯機は、筐体内に弾性的に支持された外槽と、前記外槽から排水を行うための排水部と、前記外槽内に回転可能に配置され、洗濯物が収容される洗濯槽と、前記洗濯槽を駆動する駆動モータと、前記駆動モータを制御して、前記洗濯槽を所定の脱水回転数で回転させる脱水工程を実行する制御部と、前記外槽の底面部と前記洗濯槽の底面部との間の空間において、前記外槽の底面部から所定の高さに位置する発光素子および受光素子を含み、これら発光素子と受光素子との間の光の透過率を検出し、検出した透過率に応じた検出信号を出力する検出部と、を備える。ここで、前記制御部は、前記洗濯槽を前記脱水回転数まで立ち上げる途中に、前記検出部からの前記検出信号に基づいて前記所定の高さに水が存在するか否かを検出し、前記所定の高さに水が存在する場合に、前記所定の高さに水が存在しない場合よりも前記洗濯槽の回転の立ち上がりが遅くなるよう前記駆動モータを制御する。
【0023】
上記の構成によれば、外槽から水の排出が円滑に行われない状態になっている場合に、洗濯物からの水の排出が抑えられるので、洗濯槽の底面部に接するまで外槽内に水が溜まることが抑制され、洗濯槽の水噛みの発生を低減することができる。さらに、水噛みによる異音の発生も低減することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、脱水工程において洗濯槽の水噛みの発生を低減することができる洗濯機を提供できる。
【0025】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明によりさらに明らかとなろう。ただし、以下の実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、実施形態1に係る、全自動洗濯機の側面断面図である。
図2図2(a)は、実施形態1に係る、外槽の平面断面図である。図2(b)は、実施形態1に係る、図2(a)のA-A´線の位置で切断された、外槽における水位検出器の周辺の側面断面図である。
図3図3は、実施形態1に係る、全自動洗濯機の構成を示すブロック図である。
図4図4は、実施形態1に係る、脱水工程での制御部による制御処理を示すフローチャートである。
図5図5は、実施形態1に係る、水噛み防止制御処理を示すフローチャートである。
図6図6(a)は、実施形態1に係る、水噛み防止制御処理に含まれる水位異常判定処理を示すフローチャートである。図6(b)は、実施形態1に係る、水位異常判定処理に用いられる検出信号の基準値を取得するため基準値取得処理を示すフローチャートである。
図7図7は、実施形態1に係る、水噛み防止制御処理に含まれる振動異常判定処理を示すフローチャートである。
図8図8は、変更例1に係る、水噛み防止制御処理を示すフローチャートである。
図9図9(a)は、変更例1に係る、水噛み防止制御処理に含まれる水位検出処理を示すフローチャートである。図9(b)は、変更例1に係る、水噛み防止制御処理に含まれる水位異常判定処理を示すフローチャートである。
図10図10は、変更例2に係る、水噛み防止制御処理を示すフローチャートである。
図11図11は、変更例3に係る、脱水工程での制御部による制御処理を示すフローチャートである。
図12図12は、変更例3に係る、振動防止制御処理を示すフローチャートである。
図13図13は、実施形態2に係る、外槽における水位検出器の周辺の側面断面図である。
図14図14は、実施形態2に係る、水噛み防止制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の洗濯機の一実施形態である全自動洗濯機1について、図面を参照して説明する。
【0028】
<実施形態1>
図1は、実施形態1に係る、全自動洗濯機1の側面断面図である。
【0029】
全自動洗濯機1は、外観を構成する筐体10を備える。筐体10は、上下の面が開放された方形筒状の胴体部11と、胴体部11の上面を覆う上面板12と、胴体部11を支持する脚台13とを含む。上面板12には、洗濯物の投入口14が形成される。投入口14は、開閉可能な上蓋15により覆われる。
【0030】
筐体10内には、上面が開口する外槽20が、防振装置を有する4本の吊棒21により弾性的に吊り下げ支持される。外槽20は、ほぼ円筒状の周面部201と、ほぼ円盤状の底面部202とを有する。
【0031】
外槽20内には、上面が開口する洗濯脱水槽22が配置される。洗濯脱水槽22は、ほぼ円筒状の周面部22aと、ほぼ円盤状の底面部22bとを有し、鉛直方向に延びる回転軸を中心に回転する。洗濯脱水槽22の周面部22aには、全周に亘って多数の脱水孔22cが形成される。洗濯脱水槽22は、本発明の洗濯槽に相当する。
【0032】
洗濯脱水槽22の上部には、バランスリング23が設けられる。洗濯脱水槽22の底部には、パルセータ24が回転可能に配置される。パルセータ24の表面には、放射状に複数の羽根24aが設けられる。
【0033】
外槽20の底面部202には、外側に、洗濯脱水槽22およびパルセータ24を駆動するトルクを発生させる駆動部30が配置される。駆動部30は、駆動モータ31と、伝達機構部32とを含む。伝達機構部32は、クラッチ機構32aを有し、当該クラッチ機構32aによる切替操作により、洗い工程およびすすぎ工程では、駆動モータ31のトルクをパルセータ24のみに伝達してパルセータ24のみを回転させ、脱水工程では、駆動モータ31のトルクをパルセータ24および洗濯脱水槽22に伝達してパルセータ24および洗濯脱水槽22を一体的に回転させる。
【0034】
外槽20の底面部202には、排水口部203が形成される。排水口部203には、排水部40が接続される。排水部40は、排水バルブ41と、排水バルブ41に接続された排水ホース42と、を含む。排水バルブ41が開放されると、洗濯脱水槽22および外槽20に溜められた水が排水ホース42を通じて機外へ排出される。
【0035】
上面板12の後部には、洗濯脱水槽22内、即ち外槽20内に水道水を供給するための給水部50が配置される。給水部50は、給水バルブ51を有する。給水バルブ51の入水口51aは、給水ホースを介して水道栓に接続される。給水バルブ51が開放されると、水道栓からの水道水が給水路52を流れて、注水口53から洗濯脱水槽22内へ供給される。
【0036】
図2(a)は、実施形態1に係る、外槽20の平面断面図である。図2(b)は、実施形態1に係る、図2(a)のA-A´線の位置で切断された、外槽20における水位検出器60の周辺の側面断面図である。
【0037】
外槽20の底面部202には、中心側から外周縁側に向かって延びる段差部204が設けられ、底面部202の内面が、段差部204の右側から図2の破線矢印の方向に周回するに従って低くなるように傾斜する。底面部202の内面が最も低い段差部204の左側には、底面部202を凹ませるようにして排水凹部205が形成され、排水凹部205内に排水口部203が設けられる。また、外槽20の底面部202の内面は、中心側から外周縁側に向かって下方に傾斜する。
【0038】
外槽20の底面部202には、外周縁近傍であって、排水凹部205の左側、即ち底面部202の内面が高い側の近傍に、下方に僅かに突出する円筒形の取付口206が形成される。取付口206には、電極式の導電率センサが、水位検出器60として下方から取り付けられる。水位検出器60は、本発明の検出部に相当する。
【0039】
水位検出器60は、上側部分60aが下側部分60bよりも外径の小さな円柱状を有し、上側部分60aが取付口206に嵌め込まれる。下側部分60bと取付口206との間にパッキン210が設けられ、水封がなされる。上側部分60aの先端部は、底面部202の内面よりも上方に突出し、中央部に溝部61を有する。溝部61の底面は、取付口206の周囲の底面部202の内面よりも低く、底面部202の内面よりも低い溝部61の部分が、底面部202の内面から凹む残水ポケット207となる。本実施形態1では、残水ポケット207は方形状の凹部である。残水ポケット207は、円形等、如何なる形状の凹部であってもよい。残水ポケット207は、本発明の凹部に相当する。
【0040】
水位検出器60には、溝部61における対向する2つの側壁面に、一対の電極62が設けられる。一対の電極62は、方形の板状を有し、底面部202における残水ポケット207の底面から上方に突き出すように、底面部202と洗濯脱水槽22の底面部22bとの間の空間に配置される。
【0041】
水位検出器60は、後述する脱水工程での制御処理において、外槽20内の水位の検出に用いられる。脱水工程において、洗濯物から排出された水が外槽20から排出される際、一部の水が水位検出器60の部分を通過し、残水ポケット207に水が溜まる。外槽20から排水され切らず、排水凹部205から水が溢れてきた場合には、水位検出器60の周辺に、残水ポケット207の上面より高く水が溜まり得る。少なくとも残水ポケット207内に水が溜まると、一対の電極62の間に水が存在する状態になる。
【0042】
外槽20内の水位を検出する際、水位検出器60には、一対の電極62に電圧が印加される。一対の電極62の間に水が存在する場合、その水の導電率に対応する電流が電極間に流れる。外槽20内の水位が高くなって一対の電極62の間に存在する水の水位が高くなるほど、水に接する電極62の表面積が大きくなるため、電流は大きくなる。
【0043】
水位検出器60は、一対の電極62の間に存在する水の水位、即ち外槽20内の水位に応じて変化する一対の電極62の間に流れる電流を検出し、検出した電流の大きさを示す検出信号を制御部101に出力する。本実施形態1では、検出信号は電圧信号であり、この場合、外槽20内の水位が高いほど電圧値が大きくなる。水位検出器60では、一対の電極62の下端が位置する残水ポケット207の底面から一対の電極62の上端の位置までの外槽20内の水位を検出できる。
【0044】
図3は、実施形態1に係る、全自動洗濯機1の構成を示すブロック図である。
【0045】
全自動洗濯機1は、上述した構成に加え、制御ユニット100を備える。制御ユニット100は、制御部101、記憶部102、モータ駆動部103、クラッチ駆動部104、給水駆動部105および排水駆動部106を含む。また、全自動洗濯機1は、操作部110と水位センサ120とを備える。
【0046】
操作部110は、全自動洗濯機1に対する電源の投入および遮断を行うための電源ボタン、洗濯運転を開始および一時停止させるためのスタート/一時停止ボタン、洗濯運転に係る複数の運転コースの中から任意の運転コースを選択するためのコース選択ボタンなど、各種の操作ボタンを含む。操作部110は、ユーザに操作された操作ボタンに応じた入力信号を制御部101に出力する。
【0047】
水位センサ120は、ダイヤフラム式の水位センサであり、外槽20の底部に設けられたエアトラップにホースを介して接続される。水位センサ120は、エアトラップ内の空気圧を検出することにより、洗濯脱水槽22内、即ち外槽20内の水位を検出し、検出した水位に応じた水位信号を制御部101に出力する。
【0048】
モータ駆動部103は、制御部101から出力された制御信号に従って、駆動モータ31を駆動する。モータ駆動部103は、駆動モータ31の回転数を検出する回転センサ、インバータ回路等を含み、制御部101により設定された回転数で駆動モータ31が回転するよう、駆動電力を調整する。
【0049】
クラッチ駆動部104は、制御部101から出力された制御信号に従って、伝達機構部32のクラッチ機構32aを駆動する。給水駆動部105は、制御部101からの制御信号に従って、給水バルブ51を駆動する。排水駆動部106は、制御部101からの制御信号に従って、排水バルブ41を駆動する。
【0050】
記憶部102は、EEPROM、RAM等を含む。記憶部102には、各種運転コースの洗濯運転を実行するためのプログラムが記憶される。また、記憶部102には、洗濯運転に用いられる各種の運転条件が記憶される。
【0051】
制御部101は、CPU等を含み、記憶部102に記憶されたプログラムに従い、モータ駆動部103、クラッチ駆動部104、給水駆動部105、排水駆動部106等を制御する。
【0052】
全自動洗濯機1では、制御部101による制御の下、各種運転コースの洗濯運転が行われる。洗濯運転では、洗い工程、中間脱水工程、すすぎ工程および最終脱水工程が順番に実行される。洗濯コースによっては、すすぎ工程が2回実行される場合があり、この場合、最初のすすぎ工程の後に中間脱水工程が実行される。
【0053】
洗い工程の前には、洗濯物の負荷量検出が行われる。負荷量検出では、たとえば、洗濯物の投入後に洗濯脱水槽22内に水がない状態でパルセータ24が回転し、駆動モータ31の駆動電流や駆動モータ31が停止するまでの惰性回転量に基づいて負荷量が決定される。検出された負荷量に応じて、洗い工程やすすぎ工程での水位や時間が決定される。
【0054】
洗い工程およびすすぎ工程では、洗濯脱水槽22内に水が溜められた状態で、パルセータ24が右方向および左方向に回転する。パルセータ24の回転により洗濯脱水槽22内に水流が発生する。洗い工程では、洗濯脱水槽22内に洗剤が投入され、発生した水流と洗剤とにより洗濯物が洗われる。すすぎ工程では、発生した水流により洗濯物がすすがれる。
【0055】
中間脱水工程および最終脱水工程では、洗濯脱水槽22およびパルセータ24が一体となって所定の脱水回転数で高速回転する。洗濯脱水槽22に発生する遠心力の作用により、洗濯物が脱水される。脱水工程では、排水バルブ41が開放された状態にある。洗濯物から絞り出された水は、脱水孔22cを通って外槽20内に排出され、排水口部203および排水ホース42を通って機外に排出される。
【0056】
なお、中間脱水工程と最終脱水工程は、脱水工程であり、以降、これらを区別しない場合、単に脱水工程と称する。
【0057】
ところで、排水ホース42内にリント等の異物が蓄積したり、排水ホース42が機外で適正に設置されなかったりした場合、外槽20からの排水性が悪化し得る。このような状態で脱水工程が行われた場合、洗濯物から排出された水が外槽20から円滑に排出されず、洗濯脱水槽22の回転数を脱水回転数まで立ち上げる途中で、回転する洗濯脱水槽22と外槽20の底部に溜まった水とが接触する、いわゆる水噛みが発生する虞があり、水噛みによる異音が発生する虞がある。
【0058】
また、脱水工程において、洗濯脱水槽22の回転数を立ち上げる際に外槽20が大きく振動した場合も、洗濯物から排出された水が外槽20内で揺れて円滑に排出されず、洗濯脱水槽22の水噛みが発生する虞がある。
【0059】
そこで、本実施形態1では、脱水工程において、洗濯脱水槽22の回転数を立ち上げる際に、洗濯脱水槽22の水噛みの発生を防止するための水噛み防止制御処理が実行される。
【0060】
図4は、実施形態1に係る、脱水工程での制御部101による制御処理を示すフローチャートである。図5は、実施形態1に係る、水噛み防止制御処理を示すフローチャートである。図6(a)は、実施形態1に係る、水噛み防止制御処理に含まれる水位異常判定処理を示すフローチャートである。図6(b)は、実施形態1に係る、水位異常判定処理に用いられる検出信号の基準値を取得するため基準値取得処理を示すフローチャートである。図7は、実施形態1に係る、水噛み防止制御処理に含まれる振動異常判定処理を示すフローチャートである。
【0061】
図4を参照して、脱水工程が開始されると、制御部101は、洗濯脱水槽22の目標回転数を第1回転数に設定して、駆動モータ31を起動する(S101)。第1回転数は、洗濯脱水槽22および外槽20が、共振により水平方向に大きく振動する、いわゆる横共振点の回転数(たとえば、50~60rpm)よりも少し高い回転数とされ、たとえば、120rpmとされる。
【0062】
洗濯脱水槽22の回転数が第1回転数に到達すると(S102:YES)、制御部101は、洗濯脱水槽22の回転数を第1回転数に維持し(S103)、維持開始から第1維持時間が経過するのを待つ(S104)。第1維持時間は、数十秒程度の時間、たとえば30秒であり、洗濯脱水槽22内の洗濯物の負荷量等に応じて脱水工程の前に設定される。第1維持時間が経過する間に、第1回転数で作用する遠心力により排出可能な分量の水の大部分が洗濯物から絞り出され得る。
【0063】
第1維持時間が経過すると(S104:YES)、制御部101は、目標回転数を第2回転数に設定して、洗濯脱水槽22の回転数を上昇させる(S105)。第2回転数は、洗濯脱水槽22および外槽20が、共振により鉛直方向に大きく振動する、いわゆる縦共振点の回転数(たとえば、200~220rpm)よりも少し高い回転数とされ、たとえば、240rpmとされる。
【0064】
洗濯脱水槽22の回転数が第2回転数に到達すると(S106:YES)、制御部101は、洗濯脱水槽22の回転数を第2回転数に維持し(S107)、維持開始から第2維持時間が経過するのを待つ(S104)。第2維持時間は、第1維持時間よりも長い数十秒~1分程度の時間、たとえば50秒であり、洗濯脱水槽22内の洗濯物の負荷量等に応じて脱水工程の前に設定される。また、第2維持時間は、図5に示す水噛み防止制御により延長され得る。第2維持時間が経過する間に、第2回転数で作用する遠心力により排出可能な分量の水の大部分が洗濯物から排出され得る。
【0065】
第2維持時間が経過すると(S108:YES)、制御部101は、目標回転数を脱水回転数に設定して、洗濯脱水槽22の回転数を上昇させる(S109)。脱水回転数は、たとえば、800rpmとされる。最終脱水工程の脱水回転数が、中間脱水工程の脱水回転数より高くされてもよい。
【0066】
第2維持時間が終わりに近づくにつれて洗濯物から排出される水の量は少なくなるが、洗濯脱水槽22の回転数が第2回転数からさらに上昇すると、洗濯物に作用する遠心力が増加し、第2回転数のときよりも多くの水が洗濯物から排出され得る。
【0067】
洗濯脱水槽22の回転数が脱水回転数に到達すると(S110:YES)、制御部101は、洗濯脱水槽22の回転数を脱水回転数に維持し(S111)、維持開始から脱水時間が経過するのを待つ(S112)。脱水時間は、数分~十数分程度の時間であり、洗濯脱水槽22内の洗濯物の負荷量等に応じて脱水工程の前に設定される。
【0068】
脱水時間が経過すると(S112:YES)、制御部101は、駆動モータ31を停止させて、洗濯脱水槽22を停止させる(S113)。こうして、脱水工程が終了する。
【0069】
なお、第1回転数および第2回転数は、低速領域の回転数であり、脱水回転数は、高速領域の回転数である。
【0070】
図4の脱水工程の制御処理と並行して、制御部101により、図5の水噛み防止制御処理が実行される。
【0071】
図5を参照して、制御部101は、洗濯脱水槽22の回転数が第2回転数に到達したか否かを監視する(S201)。第2回転数は、本発明の第1検出回転数に相当する。
【0072】
制御部101は、洗濯脱水槽22の回転数が第2回転数に到達すると(S201:YES)、水位検出器60を動作させて、即ち一対の電極62に電圧を印加して、水位検出器60から出力された検出信号、即ち電圧値の取得を開始する(S202)。検出信号は、所定のサンプリングレート、たとえば、0.1秒間間隔で取得される。
【0073】
制御部101は、検出信号の取得開始から所定の取得時間、たとえば15秒が経過すると(S203:YES)、水位検出器60の動作を停止させて、検出信号の取得を終了する(S204)。こうして、複数の検出信号が取得される。
【0074】
次に、制御部101は、図6(a)の水位異常判定処理を実行するとともに(S205)、図7の振動異常判定処理を実行する(S206)。
【0075】
図6(a)を参照して、制御部101は、取得した複数の検出信号の値、即ち電圧値の平均値を算出する(S301)。次に、制御部101は、記憶部102から検出信号の基準値を読み出す(S302)。基準値は、図6(b)の基準値取得処理により取得される。
【0076】
基準値取得処理は、洗い工程およびすすぎ工程の終盤のタイミング、たとえば、パルセータ24が動作を停止してから排水を開始するまでの間に実行される。このとき、水位検出器60の一対の電極62は、全体が外槽20内に溜められた水に没した状態となり、この状態において水位検出器60から出力された検出信号の値、即ち電圧値が基準値とされる。一対の電極62全体が水没してしまうと、水位が変化しても検出信号は変化しない。よって、基準値は、外槽20内の水位が、一対の電極62の上端の高さの水位、即ち水位検出器60が検出可能な上限水位にあるときの検出信号の値ということになる。
【0077】
図6(b)を参照して、制御部101は、水位検出器60を動作させて、水位検出器60からの検出信号の取得を開始する(S401)。検出信号は、所定のサンプリングレート、たとえば、0.1秒間間隔で取得される。
【0078】
制御部101は、検出信号の取得開始から所定の取得時間、たとえば15秒が経過すると(S402:YES)、水位検出器60の動作を停止して、検出信号の取得を終了する(S403)。
【0079】
制御部101は、取得した複数の検出信号の平均値を算出し(S404)、算出した平均値を基準値として記憶部102に記憶する(S405)。
【0080】
洗い工程で取得された基準値は洗い工程の後の脱水工程で用いられ、すすぎ工程で取得された基準値はすすぎ工程の後の脱水工程で用いられる。
【0081】
図6(a)に戻り、制御部101は、S301で算出した平均値をS302で読みだした基準値で割ることにより、水位判定値を求める(S303)。水位判定値は、外槽20内の水位を、水位検出器60が検出可能な上限水位に対する比率で表した値であり、1以下の値をとる。このように、制御部101は、水位検出器60から取得した検出信号から、外槽20内の水位を、水位判定値の形態で検出する。
【0082】
一対の電極62に流れる電流は、外槽20内の水位が同じでも、外槽20内に溜められた水の導電率によって異なる。外槽20内の水の導電率は、その水に含まれる洗剤や汚れ成分によって変化し得る。本実施形態1では、上記のように、脱水工程と同じ水が溜められた直前の洗い工程やすすぎ工程で取得した基準値を用いることにより、水の導電率の違いに影響されにくく、外槽20内の水位を精度良く検出できる。
【0083】
次に、制御部101は、水位判定値が所定の水位閾値よりも大きいか否かを判定する(S304)。水位閾値は、たとえば、0.9の値とされる。
【0084】
排水ホース42への異物の蓄積などにより排水部40の排水性が悪化し、外槽20からの排水が円滑に行われない排水不良状態が生じている場合、洗濯物から排出された水が外槽20内に溜まり、外槽20内の水位が高くなる。これにより、水位判定値が水位閾値よりも大きくなる。
【0085】
制御部101は、水位判定値が水位閾値よりも大きいと判定すると(S304:YES)、水位異常の設定を行う(S305)。こうして、水位異常判定処理が終了する。
【0086】
次に、図7を参照して、制御部101は、取得時間において、初期の所定時間を除く時間を複数の区間に分割する(S501)。取得時間が15秒である場合、たとえば、3秒~15秒の12秒の時間が、2秒ごとの6つの区間に分割される。
【0087】
次に、制御部101は、分割した各区間で取得された検出信号、即ち電圧値の最小値と最大値の差分値を算出する(S502)。外槽20が振動すると、外槽20内の水が波立って外槽20内の水位、即ち一対の電極62の間に存在する水の水位が変動する。差分値は、水位の変動の大きさを示す。
【0088】
なお、差分値を算出する区間に取得時間の初期の所定時間、たとえば、3秒未満の時間が除かれているのは、水位検出器60の動作開始直後は、突入電流等の影響により検出動作が安定せず、検出信号の精度が低いためである。よって、水位検出器60の検出動作が安定した後に、検出信号の取得を開始するのであれば、前記初期の所定時間は不要となる。
【0089】
次に、制御部101は、各区間の差分値を合算して、合算値である振動判定置を求める(S503)。そして、制御部101は、振動判定値が所定の振動閾値よりも大きいか否かを判定する(S504)。
【0090】
外槽20からの排水が円滑に行われないような大きさの振動が外槽20に発生している場合、外槽20内の水位の変動が大きくなり、振動判定値が振動閾値よりも大きくなる。
【0091】
制御部101は、振動判定値が振動閾値よりも大きいと判定すると(S504:YES)、振動異常の設定を行う(S505)。こうして、振動異常判定処理が終了する。
【0092】
なお、S503において、各区間の差分値の平均値が算出されて、平均値が振動判定値とされてもよい。この場合、S504の判定では、合算値が振動判定値である場合の振動閾値を差分値の総数で割った値が振動閾値に設定されることになり、合算値が振動判定値であるときのS504での判定と、実質的に同じ判定が行われることになる。
【0093】
本実施形態1では、一対の電極62の間が残水ポケット207となっており、外槽20の周囲の底面部202に比べて水が溜まりやすく、外槽20が振動したとき、一対の電極62の間に波立ちが生じやすい。このため、外槽20の振動の大きさが検出しやすい。
【0094】
図5に戻り、図6(a)の水位異常判定処理および図7の振動異常判定処理が終了すると、制御部101は、これら異常判定処理の結果、水位異常および振動異常のうち、少なくとも何れかの異常の設定が行われているか否かを判定する(S207)。
【0095】
制御部101は、少なくとも何れかの異常の設定が行われている場合(S207)、外槽20からの排水が円滑に行われない排水不良状態が生じていると見做し、洗濯脱水槽22の回転数が第2回転数に維持される第2維持時間を所定時間、たとえば10秒間、延長する(S208)。
【0096】
上述のとおり、第2維持時間が終わりに近づくにつれて洗濯物から排出される水の量は少なくなる。よって、排水不良状態が発生していても、第2維持時間が延長された場合には、延長されない場合よりも外槽20内の水位が低下した状態で、洗濯脱水槽22の回転数を第2回転数から上昇させることができる。よって、洗濯物に作用する遠心力が増加し、洗濯物から再度多くの水が排出されるようになっても、洗濯脱水槽22の底面部22bに接するまで外槽20内に水が溜まることが抑制され、洗濯脱水槽22の水噛みの発生を低減することができる。
【0097】
<実施形態1の効果>
本実施形態1によれば、全自動洗濯機1は、外槽20の底面部202と洗濯脱水槽22の底面部22bとの間の空間に配置された一対の電極62を含み、外槽20内の水位に応じて変化する一対の電極62の間に流れる電流を検出して、検出した電流の大きさを示す検出信号を出力する水位検出器60を備え、制御部101が、洗濯脱水槽22の回転を脱水回転数まで立ち上げる途中に、水位検出器60からの検出信号に基づいて外槽20内の水位を検出し、検出した水位に基づいて、外槽20からの排水が円滑に行われない排水不良状態が生じていると判定した場合に、排水不良状態が生じていない場合よりも脱水回転数までの洗濯脱水槽22の回転の立ち上がりが遅くなるよう駆動モータ31を制御する。
【0098】
この構成によれば、排水不良状態が生じている場合に、洗濯物からの水の排出が抑えられるので、洗濯脱水槽22の底面部22bに接するまで外槽20内に水が溜まることが抑制され、洗濯脱水槽22の水噛みの発生を低減することができる。さらに、水噛みによる異音の発生も低減することができる。
【0099】
さらに、本実施形態1によれば、制御部101は、脱水回転数よりも低い第2回転数で洗濯脱水槽22を回転させ、その間に水位検出器60から検出信号を取得して外槽20内の水位を検出し、排水不良状態が生じている場合に、排水不良状態が生じていない場合よりも、第2回転数で洗濯脱水槽22を回転させる時間が長くなるように駆動モータ31を制御する。
【0100】
この構成によれば、外槽20内の水位が低下した状態で、洗濯脱水槽22の回転数を第2回転数から上昇させることができるので、その後の回転数上昇により第2回転数時よりも洗濯物から水が多く排出されても、洗濯脱水槽22の底面部22bに接するまで外槽20内に水が溜まることが抑制され、洗濯脱水槽22の水噛みの発生を低減することができる。
【0101】
さらに、排水部40の排水性が悪化することによって外槽20からの排水が円滑に行われない場合、外槽20内の水位が増加する。
【0102】
本実施形態1によれば、制御部101は、図6(a)に示す水位異常判定処理を実行することにより、水位検出器60により検出した水位の大きさに基づいて、排水不良状態が生じているか否かを判定するので、排水部40の排水性が悪化したことに起因する排水不良状態の発生を検出できる。
【0103】
さらに、外槽20が大きく振動することにより、外槽20内の水が揺れて排出が円滑に行われない場合、外槽20の大きな振動により外槽20内の水位の変動が大きくなる。
【0104】
本実施形態1によれば、制御部101は、図6(b)に示す振動異常判定処理を実行することにより、水位検出器60により検出した水位の変動の大きさに基づいて、排水不良状態が生じているか否かを判定するので、外槽20が大きく振動したことに起因する排水不良状態の発生を検出できる。
【0105】
<変更例1>
図8は、変更例1に係る、水噛み防止制御処理を示すフローチャートである。図9(a)は、変更例1に係る、水噛み防止制御処理に含まれる水位検出処理を示すフローチャートである。図9(b)は、変更例1に係る、水噛み防止制御処理に含まれる水位異常判定処理を示すフローチャートである。
【0106】
上記実施形態1の全自動洗濯機1では、図5等に示すように、水噛み防止制御処理において、洗濯脱水槽22が第2回転数で回転している間に検出された外槽20内の水位に基づいて水位異常が生じているか否かの判定が行われた。
【0107】
これに対し、本変更例1の全自動洗濯機1では、図8等に示すように、水噛み防止制御処理において、洗濯脱水槽22が第1回転数で回転している間に検出された外槽20内の水位と、洗濯脱水槽22が第2回転数で回転している間に検出された外槽20内の水位とに基づいて水位異常が生じているか否かの判定が行われる。
【0108】
以下、上記実施形態1の水噛み防止制御処理から変更された点について説明する。
【0109】
図8を参照して、制御部101は、洗濯脱水槽22の回転数が第1回転数に到達したか否かを監視する(S211)。制御部101は、洗濯脱水槽22の回転数が第1回転数に到達すると(S211:YES)、図9(a)の水位検出処理を実行する(S212)。
【0110】
図9(a)を参照して、制御部101は、水位検出器60を動作させて、水位検出器60からの検出信号の取得を開始する(S311)。検出信号は、所定のサンプリングレート、たとえば、0.1秒間間隔で取得される。
【0111】
制御部101は、検出信号の取得開始から所定の取得時間、たとえば15秒が経過すると(S312:YES)、水位検出器60の動作を停止して、検出信号の取得を終了する(S313)。
【0112】
次に、制御部101は、取得した複数の検出信号の平均値を算出する(S314)。さらに、制御部101は、記憶部102から検出信号の基準値を読み出し(S315)、平均値を基準値で割ることにより、第1判定値を求める(S316)。第1判定値は、記憶部102に記憶される。
【0113】
図8に戻り、制御部101は、洗濯脱水槽22の回転数が第2回転数に到達した後、水位検出器60からの検出信号の取得を終了すると(S201~S204)、S205において、図6(a)の水位異常判定処理に替えて、図9(b)の水位異常判定処理を実行する。
【0114】
図9(b)を参照して、制御部101は、取得した複数の検出信号の平均値を算出する(S321)。さらに、制御部101は、記憶部102から検出信号の基準値を読み出し(S322)、平均値を基準値で割ることにより、第2判定値を求める(S323)。
【0115】
次に、制御部101は、第1判定値を記憶部102から読み出して第2判定値と合算することにより、水位判定値を求める(S324)。そして、制御部101は、水位判定値が所定の水位閾値よりも大きいか否かを判定する。(S325)。水位閾値は、図6(a)の水位異常判定処理に用いられる水位閾値の2倍の値とされ、たとえば、1.8の値とされる。
【0116】
制御部101は、水位判定値が水位閾値よりも大きいと判定すると(S325:YES)、水位異常の設定を行う(S326)。
【0117】
なお、S324において、第1判定値と第2判定値の平均値が算出されて、平均値が水位判定値とされてもよい。この場合、S325の判定の水位閾値は、図6(a)S304の判定の水位閾値と同じ値とされることになり、合算値が水位判定値であるときのS325での判定と、実質的に同じ判定が行われることになる。
【0118】
さらに、第1判定値および第2判定値が、それぞれ別個に、図6(a)のS304の判定と同じ値の水位閾値と比較され、何れかの判定値が水位閾値よりも大きい場合に、水位異常の設定が行われるようにしてもよい。また、第1判定値と第2判定値とで、比較される水位閾値の値が変えられてもよい。
【0119】
本変更例1によれば、水位異常の判断に、第1回転数において洗濯物から脱水が行われているときの外槽20内の水位が考慮される。よって、排水不良状態が発生しているか否かの判断をより適正に行うことができる。
【0120】
<変更例2>
図10は、変更例2に係る、水噛み防止制御処理を示すフローチャートである。
【0121】
上記実施形態1の全自動洗濯機1では、図5に示すように、水噛み防止制御処理において、水位異常および振動異常のうち、少なくとも何れかの異常の設定が行われた場合に、第2維持時間が延長された。
【0122】
これに対し、本変更例2の全自動洗濯機1では、図10に示すように、水噛み防止制御処理において、水位異常および振動異常のうち、少なくとも何れかの異常の設定が行われた場合に、洗濯脱水槽22の回転数を第2回転数から上昇させるときの加速度が小さくされる。
【0123】
図10に示す本変更例2の水噛み防止制御処理では、図5に示す上記実施形態1の水噛み防止制御処理のS208の処理に替えて、S222~S224の処理が実行される。
【0124】
図10を参照して、制御部101は、S207において、水位異常および振動異常のうち、少なくとも何れかの異常の設定が行われているか否かを判定する。そして、制御部101は、何れの異常の設定も行われていない場合(S207:NO)、第2回転数から上昇させるときの加速度を、第1加速度、たとえば30rpm/sに設定する(S221)。これにより、図4の制御処理のS109において、制御部101は、洗濯脱水槽22の回転数が第1加速度で脱水回転数まで上昇するように駆動モータ31を制御する。
【0125】
一方、制御部101は、少なくとも何れかの異常の設定が行われている場合(S207:YES)、第2回転数から上昇させるときの加速度を、第1加速度よりも小さい第2加速度、たとえば10rpm/sに設定する(S222)。これにより、図4の制御処理のS109において、制御部101は、洗濯脱水槽22の回転数が第2加速度で上昇するように駆動モータ31を制御する。
【0126】
このように、外槽20からの排水が円滑に行われない排水不良状態にある場合には、排水不良状態にない場合よりも、洗濯脱水槽22回転が第2回転数からゆっくりと立ち上げられるので、立ち上がり途中での洗濯物からの水の排出が抑えられる。これにより、洗濯脱水槽22の底面部22bに接するまで外槽20内に水が溜まることが抑制され、洗濯脱水槽22の水噛みの発生を低減することができる。
【0127】
その後、制御部101は、洗濯脱水槽22の回転数が第3回転数に達したか否かを監視する(S223)。第3回転数は、第2回転数よりも高く脱水回転数よりも低い中速領域の回転数であり、たとえば、500rpmに設定される。
【0128】
洗濯脱水槽22の回転数が第3回転数に達するころには、既に洗濯物から多くの水が絞り出されているため、洗濯物から出る水の量は少なくなる。このため、加速度を上昇させても、洗濯脱水槽22の水噛みの発生を低減することができる。
【0129】
よって、制御部101は、洗濯脱水槽22の回転数が第3回転数に達すると(S223:YES)、加速度を第1加速度に設定する(S224)。これにより、図4の制御処理のS109において、制御部101は、第1加速度で脱水回転数まで上昇するように駆動モータ31を制御する。
【0130】
以上、本変更例2によれば、外槽20からの排水が円滑に行われない排水不良状態が発生した場合、制御部101は、洗濯脱水槽22の回転数を第2回転数から上昇させるとき加速度が小さくする。これにより、第2回転数からの回転数上昇時に洗濯物からの水の排出が少なくなるので、洗濯脱水槽22の底面部22bに接するまで外槽20内に水が溜まることが抑制され、洗濯脱水槽22の水噛みの発生を低減することができる。
【0131】
なお、上記の例では、洗濯脱水槽22の回転数が、第3回転数に到達すると、第2加速度から、第2加速度より大きな第1加速度に変更された。しかしながら、第2加速度のまま脱水回転数まで洗濯脱水槽22の回転が立ち上げられてもよい。この場合、脱水回転数までの立ち上がり時間は長くなるが、洗濯脱水槽22の水噛みの発生をより低減することができる。
【0132】
また、本変更例2の構成を、上記変更例1の構成に適用できる。この場合、図8のS208の処理が、図10のS221ないしS224の処理に置き換えられる。
【0133】
<変更例3>
図11は、変更例3に係る、脱水工程での制御部101による制御処理を示すフローチャートである。図12は、変更例3に係る、振動防止制御処理を示すフローチャートである。
【0134】
本変更例3の全自動洗濯機1では、洗濯脱水槽22の回転数が、第2回転数から脱水回転数へ立ち上げられる途中において、一時的に第3回転数に維持される。そして、第3回転数において、水位検出器60により検出された水位に基づいて外槽20の振動を防止する振動防止制御処理が実行される。
【0135】
図11を参照して、制御部101は、洗濯脱水槽22の回転数を第2回転数に維持してから第2維持時間が経過すると(S108:YES)、目標回転数を第3回転数、たとえば、500rpmに設定して、洗濯脱水槽22の回転数を上昇させる(S121)。
【0136】
洗濯脱水槽22の回転数が第3回転数に到達すると(S122:YES)、制御部101は、洗濯脱水槽22の回転数を第3回転数に維持し(S123)、維持開始から第3維持時間が経過するのを待つ(S124)。第3維持時間は、数十秒程度の時間とされ得る。
【0137】
第3維持時間が経過すると(S124:YES)、制御部101は、目標回転数を脱水回転数に設定して、洗濯脱水槽22の回転数を上昇させる(S109)。
【0138】
制御部101は、図11の制御処理と並行して、図5の水噛み防止制御処理に加え、図12の振動防止制御処理を実行する。
【0139】
図12を参照して、制御部101は、洗濯脱水槽22の回転数が第3回転数に到達したか否かを監視する(S601)。第3回転数は、本発明の第2検出回転数に相当する。
【0140】
制御部101は、洗濯脱水槽22の回転数が第3回転数に到達すると(S601:YES)、水位検出器60を動作させて、水位検出器60からの検出信号の取得を開始する(S602)。検出信号は、所定のサンプリングレート、たとえば、0.1秒間間隔で取得される。
【0141】
制御部101は、検出信号の取得開始から所定の取得時間、たとえば15秒が経過すると(S603:YES)、水位検出器60の動作を停止して、検出信号の取得を終了する(S604)。
【0142】
次に、制御部101は、取得した複数の検出信号の平均値を算出する(S605)。さらに、制御部101は、記憶部102から検出信号の基準値を読み出し(S606)、平均値を基準値で割ることにより、判定値を求める(S607)。判定値は、水位検出器60の一対の電極62の間に存在する外槽20内の水の水位を示す値である。
【0143】
次に、制御部101は、判定値が所定の閾値よりも小さいか否かを判定する(S608)。閾値は、残水ポケット207の深さよりも低い水位に相当する値とされ、たとえば、0.5の値とされる。
【0144】
第2回転数等の低速領域において、洗濯物から出て外槽20内に排出された水の一部が残水ポケット207に溜まる。通常の場合は、洗濯脱水槽22の回転が第2回転数から中速領域である第3回転数に立ち上げられたときにも、残水ポケット207内に水が残ったままとなる。しかしながら、洗濯脱水槽22の回転が第2回転数から第3回転数に立ち上げられる間に外槽20が大きく振動した場合は、残水ポケット207から水が飛散しやすく、残水ポケット207内に水が残ることを抑制できる。
【0145】
外槽20が大きく振動せずに残水ポケット207に十分に水が残っている場合、判定値は閾値以上となる。制御部101は、判定値が閾値以上である場合(S608:NO)、脱水回転数を標準回転数、たとえば800rpmに設定する(S609)。これにより、図11の制御処理のS111において、制御部101は、洗濯脱水槽22を標準回転数で回転させる。
【0146】
一方、外槽20が大きく振動することで残水ポケット207から水が排出された場合、判定値は閾値よりも小さくなる。制御部101は、判定値が閾値より小さい場合(S608:YES)、脱水回転数を標準回転数よりも低い低速回転数、たとえば700rpmに設定する(S610)。これにより、図11の制御処理のS111において、制御部101は、洗濯脱水槽22を低速回転数で回転させる。
【0147】
このように、本変更例3によれば、洗濯脱水槽22の回転が第3回転数、即ち中速領域まで立ち上げられた際に、残水ポケット207内の水が排出されていることにより、外槽20が大きく振動していることが検出されると、脱水回転数が低くされる。よって、洗濯脱水槽22が脱水回転数で回転するときの外槽20の振動を低減できる。
【0148】
<実施形態2>
図13は、実施形態2に係る、外槽20における水位検出器70の周辺の側面断面図である。
【0149】
本実施形態2の全自動洗濯機1では、外槽20の底面部202に、水位検出器60に替えて、フォトセンサタイプの水位検出器70が配置される。全自動洗濯機1のその他の構成は、上記実施形態1に示す構成と同様である。水位検出器70は、本発明の検出部に相当する。
【0150】
図13に示すように、水位検出器70は、外槽20の底面部202に設けられた取付口206に下方から取り付けられる。水位検出器70は、上側部分70aが下側部分70bよりも外径の小さな円柱状を有し、上側部分70aが取付口206に嵌め込まれる。下側部分70bと取付口206との間にパッキン210が設けられ、水封がなされる。上側部分70aの先端部は、底面部202の内面よりも上方に突出し、中央部に溝部71を有する。
【0151】
水位検出器70の先端部の内部には、溝部71を挟んで互いに対向するように発光素子72と受光素子73とが配置される。溝部71の対向する2つの側面壁には、発光素子72および受光素子73の正面に、光を通す窓74が設けられる。
【0152】
発光素子72および受光素子73は、外槽20の底面部202と洗濯脱水槽22の底面部22bの間の空間において、底面部202の内面から所定の高さに位置する。発光素子72から発せられた光が受光素子73で受けられる。受光素子73の受光量は、発光素子72と受光素子73との間の光の透過率により変化する。水位検出器70は、光の透過率を検出し、検出した透過率に応じた検出信号を制御部101に出力する。本実施形態2では、検出信号は電圧信号である。
【0153】
発光素子72および受光素子73の高さ位置に水が存在しない場合、水位検出器70は、空気の透過率を検出する。発光素子72および受光素子73の高さ位置に水が存在する場合、水位検出器70は、水の透過率を検出する。
【0154】
図14は、実施形態2に係る、水噛み防止制御処理を示すフローチャートである。
【0155】
本実施形態2では、上記実施形態1と同様、脱水工程において、制御部101は、図5に示す制御処理を実行する。さらに、制御部101は、図5に示す制御処理と並行して、図14に示す水噛み防止制御処理を実行する。
【0156】
図14を参照して、制御部101は、洗濯脱水槽22の回転数が第2回転数に到達すると(S701:YES)、水位検出器70を動作させて、即ち発光素子72を発光させて、水位検出器60からの検出信号の取得を開始する(S702)。検出信号は、所定のサンプリングレート、たとえば、0.1秒間間隔で取得される。
【0157】
制御部101は、検出信号の取得開始から所定の取得時間、たとえば15秒が経過すると(S703:YES)、水位検出器60の動作を停止させて、検出信号の取得を終了する(S704)。
【0158】
次に、制御部101は、取得した複数の検出信号の平均値を算出する(S705)。検出信号の平均値は、水位検出器70の発光素子72と受光素子73との間の光の透過率を示す。
【0159】
制御部101は、平均値が閾値から所定範囲内にあるか否かを判定する(S706)。閾値は、脱水工程の直前の洗い工程またはすすぎ工程で外槽20内に溜められた水の透過率を示す値である。即ち、制御部101は、洗い工程およびすすぎ工程の終盤のタイミング、たとえば、パルセータ24が動作を停止してから排水を開始するまでの間に、所定時間、水位検出器70を動作させて、検出信号を取得する。そして、制御部101は、取得した複数の検出信号の平均値を算出して、算出した平均値を閾値に決定する。
【0160】
排水ホース42への異物の蓄積などにより、外槽20からの排水が円滑に行われない排水不良状態が生じている場合、洗濯物から排出された水が外槽20内に溜まっていき、外槽20内の水位が増加して、発光素子72と受光素子73の高さ位置に水が存在する状態となる。これにより、水位検出器70は、水の透過率を検出するため、検出信号の平均値が閾値から所定範囲内となる。
【0161】
制御部101は、平均値が閾値から所定範囲内であると判定した場合(S706:YES)、排水不良状態が生じている見做し、第2維持時間を所定時間、たとえば10秒間、延長する(S208)。
【0162】
なお、洗濯運転の開始直前など、外槽20内に水がない状態で水位検出器70により空気の透過率を検出し、空気の透過率を閾値としてもよい。この場合は、S706において平均値が閾値から所定範囲内にないと判定した場合に、S707において第2維持時間が延長される。
【0163】
さらに、制御部101は、洗濯脱水槽22を第1回転数で回転させている間にも、S702~S705と同様の処理を実行し、水位検出器70から検出信号の平均値を取得してもよい。この場合、制御部101は、第1回転数で取得した平均値と第2回転数で取得した平均値とを合算または平均化し、S706において、合算または平均化した値が、この値に対して設定された閾値から所定範囲内になるか否かを判定する。
【0164】
さらに、水位検出器70は、発光素子72と受光素子73の隣に水位検出器60と同様な一対の電極を備え、電極間に流れる電流に応じた検出信号をさらに出力する構成とされてもよい。この場合、図14の水噛み防止制御処理の中で、制御部101は、電流に応じた検出信号を取得し、図6(b)の振動異常判定処理を行う。そして、制御部101は、S706で平均値が閾値から所定範囲内にあると判定するか、振動異常判定処理で振動異常が設定された場合に、S707の第2維持時間の延長を行う。さらにこの場合に、図14の水噛み防止制御処理の中で、制御部101が、図6(a)の水位異常判定処理を行い、水位異常判定処理で水位異常の設定がなされたときにも第2維持時間の延長を行ってもよい。
【0165】
さらに、本実施形態2において、上記変更例2と同様、図14のS707の処理が図10のS221~S224の処理に置き換えられることにより、S706での判定に応じて第2回転数から回転数を上昇させるときの加速度が変更されるようにしてもよい。
【0166】
<実施形態2の効果>
本実施形態2によれば、全自動洗濯機1は、外槽20の底面部202と洗濯脱水槽22の底面部22bとの間の空間において、外槽20の底面部202から所定の高さに位置する発光素子72および受光素子73を含み、これら発光素子72と受光素子73との間の光の透過率を検出し、検出した透過率に応じた検出信号を出力する水位検出器70を備え、制御部101が、洗濯脱水槽22を脱水回転数まで立ち上げる途中に、水位検出器70からの検出信号に基づいて上記所定の高さに水が存在するか否かを検出し、上記所定の高さに水が存在する場合に、上記所定の高さに水が存在しない場合よりも洗濯脱水槽22の回転の立ち上がりが遅くなるよう駆動モータ31を制御する。
【0167】
この構成によれば、排水不良状態が発生している場合に、洗濯物からの水の排出が抑えられるので、洗濯脱水槽22の底面部22bに接するまで外槽20内に水が溜まることが抑制され、洗濯脱水槽22の水噛みの発生を低減することができる。さらに、水噛みによる異音の発生も低減することができる。
【0168】
<その他の変更例>
上記実施形態1では、図5の水噛み防止制御処理において、図6(a)の水位異常判定処理と図6(b)の振動異常判定処理の双方が実行された。しかしながら、水噛み防止制御処理の中で、水位異常判定処理および振動異常判定処理の何れか一方のみを実行してもよい。
【0169】
さらに、上記実施形態1では、外槽20の底面部202に残水ポケット207が設けられ、水位検出器60の一対の電極62が残水ポケット207の底面から上方に突出した。しかしながら、外槽20の底面部202に残水ポケット207が設けられない構成が採られてもよい。この場合、水位検出器60の一対の電極62が底面部202の内面から上方に突出するような構成が採られるとよい。
【0170】
さらに、上記実施形態1の水位検出器60が、一対の電極62の間に流れる電流の変化により、洗い工程で溜められた水の汚れを検出する汚れ検出器として兼用されてもよい。同様に、上記実施形態2の水位検出器70が、発光素子72と受光素子73との間の光の透過率の変化により、洗い工程で溜められた水の汚れを検出する汚れ検出器として兼用されてもよい。さらに、水位検出器60,70として、一対の電極と、発光素子および受光素子とを備えるセンサが用いられてもよく、この場合、このセンサにより洗い工程において水の汚れを検出してもよい。
【0171】
さらに、上記実施形態1,2では、全自動洗濯機1に本発明が適用された例が示された。しかしながら、衣類の乾燥機能が搭載された全自動洗濯乾燥機に本発明を適用することもできる。さらに、本発明は、洗濯槽として横軸型のドラムを備えるドラム式洗濯機およびドラム式洗濯乾燥機に適用することもできる。
【0172】
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0173】
1 全自動洗濯機(洗濯機)
10 筐体
20 外槽
22 洗濯脱水槽(洗濯槽)
31 駆動モータ
40 排水部
60 水位検出器(検出部)
62 電極
70 水位検出器(検出部)
72 発光素子
73 受光素子
101 制御部
207 残水ポケット(凹部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14