(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008380
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】割当計画作成システム、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0631 20230101AFI20230112BHJP
【FI】
G06Q10/06 302
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021111906
(22)【出願日】2021-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】弁理士法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 美都成
(72)【発明者】
【氏名】小牧 大輔
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 達広
(72)【発明者】
【氏名】小林 雄一
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA09
(57)【要約】
【課題】割当計画の妥当性を向上する。
【解決手段】候補割当対象を割当先に割り当てた割当計画を作成する割当計画作成システム100は、遷移尤度算出部114と、割当計画作成部115とを備える。遷移尤度算出部114は、過去の人材毎のポジションを記録した計画履歴に基づいて、人材毎の複数のポジションの遷移を遷移コンテキストとして抽出し、抽出した遷移コンテキストから尤度を算出する。割当計画作成部115は、ポジション毎の人材の属性の制約条件を満たす候補人材を特定し、特定した候補人材の属性とポジションとのマッチ度を算出し、算出したマッチ度と、尤度とに基づいて、ポジションに対する候補人材の適合度を算出し、算出した適合度に基づいて候補人材をポジションに割り当てた割当計画を作成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
候補割当対象を割当先に割り当てた割当計画を作成する割当計画作成システムであって、
過去の割当対象毎の前記割当先を記録した計画履歴に基づいて、前記割当対象毎の複数の前記割当先の遷移を遷移コンテキストとして抽出し、抽出した遷移コンテキストから尤度を算出する遷移尤度算出部と、
前記割当先毎の前記割当対象の属性の制約条件を満たす候補割当対象を特定し、特定した前記候補割当対象の属性と前記割当先とのマッチ度を算出し、算出した前記マッチ度と、前記尤度とに基づいて、前記割当先に対する前記候補割当対象の適合度を算出し、算出した前記適合度に基づいて前記候補割当対象を前記割当先に割り当てた割当計画を作成する割当計画作成部と、を備える割当計画作成システム。
【請求項2】
前記遷移尤度算出部は、
前記計画履歴に基づいて、前記割当対象毎の複数の連続する前記割当先の遷移を遷移パターンとして抽出して、抽出した複数の前記遷移パターンから前記遷移コンテキストを抽出する遷移コンテキスト抽出部と、
前記遷移コンテキスト抽出部が抽出した前記遷移コンテキストに含まれる最長パスの長さを前記尤度として算出する最尤コンテキスト算出部と、を備える、
請求項1に記載の割当計画作成システム。
【請求項3】
前記割当計画作成部は、前記マッチ度に基づいて一次割当計画を作成し、作成した前記一次割当計画を前記適合度に基づいて補正して前記割当計画を作成する、
請求項1に記載の割当計画作成システム。
【請求項4】
前記割当計画作成部が作成した前記割当計画を表示する表示端末を備える、
請求項1に記載の割当計画作成システム。
【請求項5】
前記遷移コンテキスト抽出部は、前記候補割当対象と属性が類似する他の候補割当対象の遷移パターンを抽出する、
請求項2に記載の割当計画作成システム。
【請求項6】
前記遷移コンテキスト抽出部は、記録が新しい前記計画履歴に基づいて、前記遷移パターンを抽出する、
請求項2に記載の割当計画作成システム。
【請求項7】
候補割当対象を割当先に割り当てた割当計画を作成する割当計画作成方法であって、
過去の割当対象毎の前記割当先を記録した計画履歴に基づいて、前記割当対象毎の複数の前記割当先の遷移を遷移コンテキストとして抽出し、抽出した遷移コンテキストから尤度を算出し、
前記割当先毎の前記割当対象の属性の制約条件を満たす候補割当対象を特定し、特定した前記候補割当対象の属性と前記割当先とのマッチ度を算出し、算出した前記マッチ度と、前記尤度とに基づいて、前記割当先に対する前記候補割当対象の適合度を算出し、算出した前記適合度に基づいて前記候補割当対象を前記割当先に割り当てた割当計画を作成する割当計画作成方法。
【請求項8】
前記割当計画を作成するステップは、前記マッチ度に基づいて一次割当計画を作成し、作成した前記一次割当計画を前記適合度に基づいて補正して前記割当計画を作成する、
請求項1に記載の割当計画作成方法。
【請求項9】
候補割当対象を割当先に割り当てた割当計画を作成する割当計画作成方法であって、
過去の割当対象毎の前記割当先を記録した計画履歴に基づいて、前記割当対象毎の複数の前記割当先の遷移を遷移コンテキストとして抽出し、抽出した遷移コンテキストから尤度を算出するステップと、
前記割当先毎の前記割当対象の属性の制約条件を満たす候補割当対象を特定し、特定した前記候補割当対象の属性と前記割当先とのマッチ度を算出し、算出した前記マッチ度と、前記尤度とに基づいて、前記割当先に対する前記候補割当対象の適合度を算出し、算出した前記適合度に基づいて前記候補割当対象を前記割当先に割り当てた割当計画を作成するステップとを有する割当計画作成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、割当計画作成システム、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
人材と、タスク、リソースまたはポジションとの組み合わせの中から最適な割当を計画する事象は、数多い。例えば、組織内の人事異動における人事ポストまたは人事ポジションへの人材の割当計画と、航空機のフライトスケジュールのようなタスクに対する乗務員の割当計画とが挙げられる。こうした割当計画の立案では、タスクに期待される人材要件と、各人材の属性との適合性を、数理計画法を用いて評価する手法が取られることが多い。タスクの要件には、タスクの遂行に必要なスキルと、業務の経験年数とが含まれる。
【0003】
これらタスクの遂行に必要なスキルと、業務の経験年数とを制約条件式として定式化した上で、各人材が有する属性が、そのタスクの要件をどの程度満たしうるかを、各人材の属性と制約条件とのマッチ度として定量評価することによって、タスクに人材を割り当てることができる。定量評価により、任意のタスクへのマッチ度が最大の人材を特性することができる。
【0004】
しかし、制約条件式によるタスク要件の定義が不十分な場合、割当計画の作成者は、マッチ度が上位の人材から順に手動で最終候補人材を選択する必要がある。そのため、対象となる人材の人数、またはタスクの数が多い場合、割当計画の作成者には、選択の判断が負担となる。
【0005】
そのため、特許文献1には、割当計画の作成者に対して、候補人材の選択を支援するGUI機能が開示されている。割当計画の作成者に対する負担は、上述のように制約条件式として定義される人材要件の抽出が不十分であることに起因する。
【0006】
これに対して、特許文献2には、過去の計画履歴から、定式化されていない割当計画の作成者の暗黙知を抽出し、抽出した暗黙知を制約条件式として表現する技術も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第6729922号公報
【特許文献2】国際公開第2018/220885号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
組織に属する人材と、組織の人事ポストまたは人事ポジションとを組み合わせた割当計画の作成を支援する技術として、特許文献1が開示されている。特許文献1の技術は、制約条件を用いてポスト毎に複数の候補従業員を割り当てる割当計画を作成して、候補従業員の選択を支援している。
【0009】
組織内の人事異動では、ある時点でのポストに対する人材の条件の適合度だけではなく、組織内での中長期的な人材育成の観点から、連続または断続的に2つを超えるポストを歴任させるキャリアパスを踏まえて配置を決定することがある。こうした配置決定は、従来、人事部の担当者の暗黙知と、過去の経験則とを用いているため、単純なポストに対する人材の条件適合だけでは判断できない。
【0010】
特許文献1では、選択可能なポストと候補従業員との組み合わせを出力することで候補従業員の選択を支援する。しかし、上述のキャリアパスを含む、制約条件に表現できない暗黙知を踏まえて候補従業員を抽出しないため、複数の候補従業員に対して人手を介して選択しなければならない。
【0011】
暗黙知を数理計画法で扱う技術として特許文献2が開示されている。特許文献2の技術では、製品製造計画に関して、過去に立案された製品製造工程におけるタスクの遷移である生産順序に関する計画パターンを抽出している。この計画パターンは、前後した生産順序のパターンである。前後関係では、2つ以上の順序性を含むパスを考慮することができない。そのため、上述の2つを超えるポストを歴任するキャリアパスのような暗黙知を計画立案に反映することができない。
【0012】
本発明では、上記課題に鑑みてなされたもので、その目的は、割当計画の妥当性を向上する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明は、候補割当対象を割当先に割り当てた割当計画を作成する割当計画作成システムであって、過去の割当対象毎の前記割当先を記録した計画履歴に基づいて、前記割当対象毎の複数の前記割当先の遷移を遷移コンテキストとして抽出し、抽出した遷移コンテキストから尤度を算出する遷移尤度算出部と、前記割当先毎の前記割当対象の属性の制約条件を満たす候補割当対象を特定し、特定した前記候補割当対象の属性と前記割当先とのマッチ度を算出し、算出した前記マッチ度と、前記尤度とに基づいて、前記割当先に対する前記候補割当対象の適合度を算出し、算出した前記適合度に基づいて前記候補割当対象を前記割当先に割り当てた割当計画を作成する割当計画作成部と、を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、割当計画の妥当性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施例1に係る割当計画作成システムの模式図。
【
図2】実施例1に係る遷移尤度算出部および割当計画作成部の模式図。
【
図3】実施例1に係る計画履歴DBのデータ構造例を示す図。
【
図4】実施例1に係る割当計画実行パラメータDBのデータ構造例を示す図。
【
図5】実施例1に係る人材属性DBのデータ構造例を示す図。
【
図6】実施例1に係るポジション要件DBのデータ構造例を示す図。
【
図7】実施例1に係る遷移パターンDBのデータ構造例を示す図。
【
図8】実施例1に係る遷移コンテキストDBのデータ構造例を示す図。
【
図9】実施例1に係る候補人材ポジション情報のデータ構造例を示す図。
【
図10】実施例1に係る属性マッチ度情報のデータ構造例を示す図。
【
図11】実施例1に係る最尤コンテキスト情報のデータ構造例を示す図。
【
図12】実施例1に係る割当計画作成システムの処理を示すフローチャート。
【
図13】実施例1に係る割当計画作成システムの処理を示すフローチャート。
【
図14】実施例1に係る割当計画作成処理を示すフローチャート。
【
図16】実施例1に係る情報処理装置のハードウェア構成例を示す図。
【
図17】実施例2に係る割当計画作成システムの模式図。
【
図18】実施例2に係る計画履歴のデータ構造例を示す図。
【
図19】実施例2に係る人材属性DBのデータ構造例を示す図。
【
図20】実施例2に係るタスク要件DBのデータ構造例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態に係る割当計画作成システムの具体例を、図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は実施例によって限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示される。
【実施例0017】
図1は、実施例1に係る割当計画作成システムの模式図である。
【0018】
本実施形態では、組織の人事異動に関する「割当対象」の一例としての人材を、「割当先」の一例としての人事ポストあるいは人事ポジションに割り当てた割当計画(人事異動計画とも呼ぶ)を作成する割当計画作成システム100について例示する。本実施形態は、人材に対する、人材に割り当て可能なタスク、ポジションまたはリソースの割当計画の作成に関わるものであり、人事異動は、発明の一適用例である。
【0019】
割当計画作成システム100は、ユーザ101に操作される。割当計画作成システム100は、操作端末111と、計画作成実行管理部112と、テーブルデータ操作端末113と、遷移尤度算出部114と、割当計画作成部115とを備える。さらに、割当計画作成システム100は、計画履歴データベース(以下、DB)121と、割当計画実行パラメータDB122と、人材属性DB123と、ポジション要件DB124とを備える。
【0020】
ユーザ101は、割当計画作成システム100に人事異動計画の作成を指示したり、作成された人事異動計画を利用する利用者である。ユーザ101は、数理計画法を用いた人事異動計画の作成に必要な人材の属性情報を管理する人材属性DB123と、ポジションに割り当てられる人材に求められる要件を管理するポジション要件DB124とに情報を入力する。
【0021】
操作端末111は、ユーザ101から入力された情報と、作成された人事異動計画とを描画する。操作端末111は、ユーザ102から、人事異動計画の作成に必要な情報の入力を受け付ける。操作端末111は、受け付けたデータを計画作成実行管理部112に出力する。
【0022】
計画作成実行管理部112は、操作端末111から入力された情報のパラメータを、割当計画実行パラメータDB122に保存した後、そのパラメータを遷移尤度算出部114と割当計画作成部115とに出力する。
【0023】
テーブルデータ操作端末113は、ユーザ101から、数理計画の実行に必要な人材属性DB123と、ポジション要件DB124に蓄積される情報の入力および修正を受け付ける。人材属性DB123と、ポジション要件DB124とは、テーブルデータ操作端末113を介して作成されても良いし、組織が備える人事管理システムから自動入力を受け付けても良い。
【0024】
遷移尤度算出部114は、計画作成実行管理部112からのパラメータと、計画履歴DB121内のデータと、割当計画作成部115が作成するポジションに対する「候補割当対象」の一例としての候補人材に関するデータとの入力を受け付ける。遷移尤度算出部114は、これら入力されたパラメータおよびデータに基づいて、遷移コンテキストを作成し、ポジションに割り当てられた候補人材毎に遷移コンテキストを加味したポジション割り当ての尤度を算出する。
【0025】
割当計画作成部115は、計画作成実行管理部112からのパラメータ入力と、人材属性DB123内のデータと、ポジション要件DB124内のデータとの入力を受け付けて、数理計画法を用いた人材に対するポジションの割当計画を作成する。さらに、割当計画作成部115は、作成した割当計画に関するデータを、遷移尤度算出部114に出力することによって算出される遷移コンテキストを加味した人材とポジションとの組毎の「尤度」の一例としての遷移尤度を受け付けて最終的な割当計画を作成する。
【0026】
計画履歴DB121は、割当計画作成部115が作成した割当計画と、過去に手動で作成された人事異動に関する情報とを保持するテーブルである。計画履歴DB121のテーブル構造の一例は、
図3で説明する。
【0027】
割当計画実行パラメータDB122は、割当計画の作成に関するパラメータを管理するテーブルである。割当計画の作成に関するパラメータには、異動対象の人材リストと、空ポジションリストとが含まれる。割当計画実行パラメータDB122には、数理計画法で利用される種々の設定値と制約条件とが入力されても良い。割当計画実行パラメータDB122のテーブル構造の一例は、
図4で説明する。
【0028】
人材属性DB123は、組織に属する各人材の属性情報を管理するテーブルである。割当計画実行パラメータDB123のテーブル構造の一例は、
図5で説明する。
【0029】
ポジション要件DB124は、組織を構成する各ポジションの人材要件を管理するテーブルである。テーブルで管理される情報は、数理計画法を用いた割当計画作成において、制約条件として利用される。ポジション要件DB124のテーブル構造の一例は、
図6で説明する。
【0030】
図2は、実施例1に係る遷移尤度算出部および割当計画作成部の模式図である。
【0031】
遷移尤度算出部114は、遷移パターン抽出部201と、遷移情報検索部202と、遷移コンテキスト抽出部203と、最尤コンテキスト算出部204と、遷移パターンDB221と、遷移コンテキストDB222とを有する。
【0032】
遷移パターン抽出部201は、計画履歴DB121で管理される計画履歴を入力として受付け、遷移パターンを抽出して、抽出した遷移パターンを遷移パターンDB221に蓄積する。遷移パターン抽出部201による遷移パターン抽出処理は、計画履歴DB121に新しいデータが登録される毎に実行しても良い。遷移パターンとは、一定の期間における任意の人材の連続的なポジションの移動である。例えば、従業員Aが人事部の一般社員、係長、課長、部長のポジションを数年の時間を要して順に遷移した場合、上述のポジションの遷移が従業員Aの遷移パターンである。
【0033】
遷移情報検索部202は、候補人材ポジション情報233から数理計画法を用いて作成された、任意のポジションに対する候補人材の割当計画に関する情報の入力を受付ける。遷移情報検索部202は、入力された割当計画に関する情報に基づいて、遷移パターンDB221から遷移コンテキストの作成に必要な遷移パターンを検索して、検索結果を遷移コンテキスト抽出部203に出力する。
【0034】
遷移コンテキスト抽出部203は、遷移情報検索部202が検索の結果得た遷移パターンのリスト情報とポジションと人材の割当計画に関する情報との入力を受付ける。遷移コンテキスト抽出部203は、遷移パターンを用いて遷移コンテキストを抽出し、抽出した遷移コンテキストを遷移コンテキストDB222に保存すると共に最尤コンテキスト算出部204に出力する。遷移コンテキストとは、複数の遷移パターンで構成された重み付き有向グラフである。遷移コンテキストの一例は、
図8で説明する。
【0035】
最尤コンテキスト算出部204は、遷移コンテキスト抽出部203が抽出した遷移コンテキストから、N-gramの遷移で構成される最大のパスを特定して最尤コンテキストとして計算する。N-gramとは、N個の接続したポジション間の異動を一つのコンテキストとしてみなす手法である。最尤コンテキストとは、個別のN-gramのパスに含まれるポジション間の重みの値の総計のうち最大の値をとるものである。最尤コンテキストは、重み付けをノード間の距離とみなした場合に、最大パスであるとみなすこともできる。
【0036】
遷移パターンDB221は、遷移パターン抽出部201が抽出した遷移パターンを管理するテーブルである。遷移パターンDB221のテーブル構造の一例は、
図7で説明する。
【0037】
遷移コンテキストDB222は、遷移コンテキスト抽出部203が抽出した遷移コンテキストを管理するテーブルである。遷移コンテキストDBのテーブル構造の一例は、
図8で説明する。
【0038】
割当計画作成部115は、数理計画ループ処理管理部211と、ポジション-人材属性マッチ度計算部212と、ポジション-人材総合適合度算出部213と、算出結果一次管理部214とを有する。さらに、割当計画作成部115は、対象ポジション一次DB231と、対象人材一次DB232と、候補人材ポジション情報233と、属性マッチ度情報234と、最尤コンテキスト情報235とを有する。
【0039】
数理計画ループ処理管理部211は、対象ポジション一次DB231が管理する空ポジション一覧について、各空ポジションに順に適用される候補人材の割当処理のループ実行を管理する。数理計画ループ処理管理部211は、処理の対象となる空ポジションに関する情報をポジション-人材属性マッチ度計算部212に出力する。
【0040】
ポジション-人材属性マッチ度算出部212は、数理計画法を用いた空ポジションに対する候補人材毎の「マッチ度」の一例としての属性マッチ度情報234を算出して、属性マッチ度情報234の大きさによって候補人材をランク付けする。ポジション-人材属性マッチ度算出部212は、数理計画ループ処理管理部211から割り当て対象となる空ポジション情報を一件受付け、対象人材一次DB232から候補人材のリストを受け付ける。さらに、ポジション-人材属性マッチ度算出部212は、空ポジションに割り当てられる人材に求められる要件に関する情報をポジション要件DB124、各候補人材の属性に関する情報を人材属性DB123からそれぞれ受け付ける。ポジション-人材属性マッチ度算出部212は、これら受け付けた情報に基づいて、数理計画法を適用して、対象の空ポジションに対するランク付けされた候補人材のリストを算出する。候補人材リストには、候補人材毎に算出される属性マッチ度に閾値を用いて上位数名に絞っても良い。
【0041】
ポジション-人材総合適合度算出部213は、ポジション-人材属性マッチ度算出部212が算出した属性マッチ度情報234と、最尤コンテキスト情報235とを用いて、空ポジションに対する候補人材のランク付けを、最尤コンテキストを加味して計算することにより「適合度」の一例としての総合適合度を算出する。
【0042】
算出結果一次管理部214は、ポジション-人材総合適合度算出部213が算出した、各空ポジションに対する候補人材毎の最尤コンテキスト情報を含む情報を管理する。算出結果一次管理部214は、数理計画ループ処理管理部211によるループ処理が終了次第、管理するデータを一つの計画として結合して計画履歴DB121に登録する。
【0043】
対象ポジション一次DB231は、割当計画実行パラメータDB122が管理するテーブルデータの一部と同等の構造を持つテーブルである。対象ポジション一次DB231の詳細は、
図4で示す対象ポジション情報401である。対象ポジション情報401のテーブル構造は、
図4で説明する。
【0044】
対象人材一次DB231は、割当計画実行パラメータDB122が管理するテーブルデータの一部と同等の構造を持つテーブルである。対象人材一次DB231のより詳細は、
図4で示す対象人材情報431である。対象ポジション情報431のテーブル構造は、
図4で説明する。
【0045】
候補人材ポジション情報233は、任意の空ポジションに対して、ポジション-人材属性マッチ度算出部212で算出した候補人材が示されるデータである。候補人材ポジション情報233のデータ構造の一例は、
図9で示す。
【0046】
属性マッチ度情報234は、任意のポジションに対して、ポジション-人材属性マッチ度算出部212で算出した、候補人材と候補人材毎の属性マッチ度とが示されるデータである。属性マッチ度情報234のデータ構造の一例は、
図10で示す。
【0047】
最尤コンテキスト情報235は、候補人材ポジション情報233に含まれる各候補人材に対して、遷移コンテキストに基づいて、異動が期待されるポジションへの遷移が実現した場合に期待される遷移パスの尤度を含むデータである。最尤コンテキスト情報235のデータ構造の一例は、
図11で示す。
【0048】
図3は、実施例1に係る計画履歴DBのデータ構造例を示す図である。
【0049】
計画履歴DB121は、項目値(カラム値)として、計画ID301と、ポジションID302と、候補人材ID303と、適合度304と、遷移尤度305と、総合適合度306と、最終候補307と、素案枝番308とを格納するテーブルである。計画履歴DB121の各行311は、各候補人材の情報を示す。計画履歴DB121の行311のまとまり312は、一回の計画作成処理で生成される情報を示す。
【0050】
計画ID301は、ユーザ101によって実施される一回の計画作成処理で作成された割当計画に付与される識別子である。ポジションID302は、割当計画で候補人材が示されるポジションを特定する識別子である。候補人材ID303は、そのポジションへの割当候補である候補人材を識別する識別子である。適合度304は、ポジション-人材属性マッチ度算出部212で算出されたポジションと人材属性とが適合する度合いである。
【0051】
遷移尤度305は、最大コンテキスト算出部204で算出された値である。総合適合度306は、適合度304と遷移尤度305を掛け合わせた値である。最終候補307は、ポジションID302の候補人材303の中で最大の総合適合度306を持つ候補人材303を識別するためのフラグ情報である。素案枝番308は、ポジション-人材属性マッチ度算出部212の内部で実行された局所解算出処理を識別する識別子である。尚、総合適合度306の算出方法は、一例であり、掛け合わせ以外の処理を用いて計算されていても良い。
【0052】
図4は、実施例1に係る割当計画実行パラメータDBのデータ構造例を示す図である。
【0053】
割当計画実行パラメータDB122は、一回の計画作成処理で対象とする人材とポジションとを格納するテーブルである。割当計画実行パラメータDB122は、項目値(カラム値)として、対象ポジション情報401と、対象人材情報431とを格納するテーブルである。対象ポジション情報401は、候補人員を特定する必要のある空ポジションのリスト情報であり、対象人材情報431は、ポジションに割り当てられる可能性のある人材のリスト情報である。
【0054】
対象ポジション情報401は、項目値(カラム値)として、計画ID301と、候補人材を割り当てるべきポジションを示す空ポジション411とを格納するテーブルである。対象ポジション情報401の各行421は、個別のポジションを示す。
【0055】
対象人材情報431は、項目値(カラム値)として、計画ID301と、異動の可能性がある人材を識別する対象人材441とを格納するテーブルである。対象人材情報431の各行451は、個別の対象人材を示す。
【0056】
図5は、実施例1に係る人材属性DBのテーブル構造の一例を示す図である。
【0057】
人材属性DB123は、一般的な人事情報または個別従業員の経歴情報のように、割当計画作成システム100の外部にある情報を参照しても良い。人材属性DB123は、項目値(カラム値)として、人材を特定する人材ID501と、そのほか人材に関する属性情報とを格納するテーブルである。ここでは、一例として属性の例を挙げる。
【0058】
人材属性DB123は、項目値(カラム値)として、人材の年次502と、現在のポジションの識別子を示す現ポジションID503と、職位を示す等級504と、人材が要する多様なスキルに関する情報を有するスキル505,506を格納するテーブルである。スキル情報は、スキルを有するかどうかの真偽値または数値を有してもよい。人材属性DB123の各行511は、個別の人材情報を示す。
【0059】
人材属性DB123は、主に数理計画法による人材の属性とポジション要件とのマッチ度判定の際に、各対象人材の属性情報の参照先として利用される。
【0060】
図6は、実施例1に係るポジション要件DBのデータ構造例を示す図である。
【0061】
ポジション要件DB124は、一般的な人事情報として割当計画作成システム100の外部に管理されている情報を参照しても良い。ポジション要件DB124は、項目値(カラム値)として、各ポジションの識別子であるポジションID601と、ポジションの説明情報および要件とを格納するテーブルである。
【0062】
ポジション要件DB124は、ポジションの説明情報として、部署602と役職603とを有する。ポジション要件DB124のポジションの説明情報は、一例であり、職位または等級のような他の情報が管理されていても良い。
【0063】
ポジション要件DB124は、ポジションの要件の一例として、ポジションに就任可能な最小年次604と、最小等級605と、必須スキル606,607とを有する。スキル情報は、スキルを有するかどうかの真偽値や数値を有してもよい。ポジション要件DB124の各行611は、各ポストに関する情報を示す。
【0064】
図7は、実施例1に係る遷移パターンDBのデータ構造例を示す図である。
【0065】
遷移パターンDB221は、項目値(カラム値)として、パターンID701と、人材ID702と、元ポジションID703と、先ポジションID704と、計画ID301とを格納するテーブルである。
【0066】
パターンID701は、パターンの識別子である。人材ID702は、人材の識別子である。元ポジションID703は、各人材の過去の異動について異動元である。先ポジションID704は、異動先である。計画ID301は、異動計画を含む計画の識別子である。遷移パターンDB221の各行711は、人材の一回の異動(遷移)を示す。
【0067】
遷移パターンDB221の遷移パターン712は、計画履歴121に含まれる異動履歴を人材IDでグルーピングした任意の人材を示す。
図7下部は、一個のパターンID701に含まれる任意の人材の遷移(移動)のパターンをグラフ表現したものである。遷移パターンは、計画履歴DB121が更新される毎に作成または更新しても良い。
【0068】
図8は、実施例1に係る遷移コンテキストDBのテーブル構造例を示す図である。
【0069】
遷移コンテキストDB222は、管理するデータを複数のテーブルで管理しても良い。
図8の例では、遷移コンテキストのメタデータを管理するコンテキストメタデータ管理テーブル801と、コンテキストを示すコンテキスト情報821とを有する。
【0070】
コンテキストメタデータ管理テーブル801は、801は、項目値(カラム値)として、コンテキストID811と、参照パターンIDリスト812と、起点ポジションID813と、グラフID814とを格納するテーブルである。遷移コンテキストDB222の各行815は、一個のメタデータを示す。尚、起点ポジションID813は、数理計画法により算出された候補人材毎にコンテキスト情報を作成する際、対象の候補人材の現ポジションID503と同等の値になる。
【0071】
コンテキストID811は、各コンテキストの識別子である。参照パターンID812は、コンテキストの作成にあたり利用されたパターンIDのリストである。起点ポジションIDリスト813は、コンテキストの起点となるポジションの識別子である。グラフID814は、コンテキスト情報を示すグラフデータの識別子である。
【0072】
コンテキスト情報821は、重み付き有向グラフを表現するデータであり、グラフを識別するグラフID814と、グラフを構成するノードの遷移先831と、遷移元832とを有する。遷移コンテキストは、数理計画法により算出された特定のポジションへの候補人材毎に作成される。コンテキスト情報821の各行は、各コンテキスト例841を示す。
【0073】
ここで、遷移コンテキストの作成方法の一例を説明する。まず、候補人材の現ポジションID503を検索クエリとして、遷移パターンDB221の元ポジションID703に上述の現ポジションID503を含む遷移パターンを複数取得する。遷移パターンを結合することでコンテキスト例841に示すコンテキスト例が作成できる。コンテキスト例841には、各ノード(ポジションに相当)間の遷移の重み付け値が示されている。しかし、この重み付け値は、同一のポジションを起点とする一回の遷移パターンの個数の合計を、遷移先のポジションに遷移したパターンの個数の合計で割った値である。重み付け値の算出方法は、一例であり、例えば遷移パターンの計画時期が若い遷移には大きな重み付け値を与えることで、現在に近い時点で発生した遷移ほど重要な遷移であるとみなしても良い。
【0074】
さらに、上述の候補人材と、検索結果に含まれる遷移パターンの人材(人材ID702から特定)との関係性を考慮して、類似する(関係の深い)遷移パターンに大きな重み付け値を与えてもよい。これは、例えば従業員の間に指導者と被指導者との関係がある場合に、組織内での昇進またはポジション移動に類似性がみなせる場合に、こうした暗黙知を反映させる手法の一つである。これにより、遷移コンテキストの抽出精度を向上させることができる。暗黙知とは、過去の計画履歴に含まれる、ある属性を持った人材とポジションとの組合せの時間経過または場所の移動に伴う遷移のコンテキストであり、このコンテキストは、あるポジションから別のポジションへの2つを超える遷移を含む。
【0075】
図9は、実施例1に係る候補人材ポジション情報のデータ構造例を示す図である。
【0076】
候補人材ポジション情報233は、ポジションID302と、候補人材303と、現ポジション503とを含む。候補人材ポジション情報233の各行901は、各候補人材の情報を示す。
【0077】
ポジションID302は、数理計画法により候補人材が算出されたポジションを示す。候補人材303は、候補人材の識別子を示す。現ポジション503は、各候補人材の現ポジションを示す。
【0078】
図10は、実施例1に係る属性マッチ度情報のデータ構造例を示す図である。
【0079】
属性マッチ度情報234は、ポジションID302と、候補人材303と、現ポジション503と、適合度304と、素案枝番308とを含む。属性マッチ度情報234の各行1001は、各候補人材の情報を示す。
【0080】
ポジションID302は、数理計画法により候補人材が算出されたポジションを示す。
候補人材303は、候補人材の識別子を示す。現ポジション503は、各候補人材の現ポジションを示す。適合度304は、数理計画法によって算出された上述のポジションのポジション要件と候補人材の属性のマッチ度を示す。素案枝番308は、ポジション-人材属性マッチ度算出部212の内部で実行された局所解算出処理を識別する枝番である。
【0081】
図11は、実施例1に係る最尤コンテキスト情報のデータ構造例を示す図である。
【0082】
最尤コンテキスト情報235は、候補人材ポジション情報233に含まれるポジションID302の各候補人材303の最尤コンテキスト情報を示す情報であり、遷移尤度305と、コンテキストID811とを含む。最尤コンテキスト情報235の各行1101は、各候補人材の最尤コンテキスト情報を示す。最尤コンテキストとは、候補人材毎に作成されたコンテキストID811のグラフの中で、規定のN-gramのパスの中で各遷移の重み付け値の最大の値をつなげたものである。
【0083】
図11下部は、最尤コンテキストの一例である。上述の遷移尤度305は、最尤コンテキストに含まれる各遷移の重み付け値の合計値である。遷移尤度は、単純な合計値でなくてもよい。例えば、起点となるポジションから離れる毎に定数をかけて、遠いパスの重要度を高めたり、低めたりしても良い。
【0084】
図12及び
図13は、実施例1に係る割当計画作成システムの処理を示すフローチャートである。
【0085】
計画作成処理では、割当計画作成システム100による割当計画作成を処理するメインフローC以前に、必要なデータを取得して管理する処理として、サブフローA,Bが実行される。サブフローAは、遷移パターンDB221を作成する処理である。サブフローBは、人材属性DB123と、ポジション要件DB124とを作成する処理である。
【0086】
遷移パターン抽出部201は、計画履歴DB121内のデータを取得して、抽出した遷移パターン情報を遷移パターンDB221に蓄積する(S1211)。
【0087】
次に、ユーザ101は、テーブルデータ操作端末113を介して、割当計画の作成に必要な情報として、人材属性DB123と、ポジション要件DB124とを入力する(S1221)。
【0088】
次に、テーブルデータ操作端末113は、入力された情報を人材属性DB123とポジション要件124とに保存する(S1222)。
【0089】
次に、ユーザ101は、操作端末111を介して、計画作成実行管理部112に計画作成に関するデータとして、対象ポジション一次DB231と、対象人材一次DB232とに情報を入力する(S1311)。
【0090】
次に、計画作成実行管理部112は、入力情報を対象ポジション一次DB231と、対象人材一次DB232とにそれぞれ保存した後に、これらの情報を遷移尤度算出部114と割当計画作成部115とに入力する(S1312)。
【0091】
次に、遷移尤度算出部114の遷移情報検索部202は、入力された候補人材ポジション情報233から候補人材303を一行取り出して遷移コンテキスト抽出と最尤コンテキスト算出をループ実行する。本ステップからS1317までのステップは、候補人材303の各行に対して処理をループ実行する(S1313)。
【0092】
次に、遷移情報検索部202は、遷移パターンDB221から候補人材の現ポジション情報503を含む遷移パターンを検索して、検索結果を遷移コンテキスト抽出部203に入力する(S1314)。
【0093】
次に、遷移コンテキスト抽出部203は、S1314で検索した複数の遷移パターンから遷移コンテキスト例841に示す有向遷移グラフを作成して、遷移コンテキストDB222に保存した後、最尤コンテキスト算出部204に入力する(S1315)。
【0094】
次に、最尤コンテキスト算出部204は、入力情報について候補人材の現ポジション503とポジションID302とを結ぶパスを含むN-gramのルートのうち、通過するパスの重み付け値の合計が最大になるものを最尤コンテキストとして取得する(S1316)。
【0095】
次に、遷移情報検索機能202は、候補人材ポジション情報233に処理されていない行が存在するか判定して、存在しなければ(S1317:NO)、ループ処理を終了する(S1317)。
【0096】
次に、最尤コンテキスト算出部204は、候補人材ポジション情報233に含まれるすべての候補人材に対応する最尤コンテキストを結合して、最尤コンテキスト情報235としてポジション-人材総合適合度算出部213に入力する(S1318)。
【0097】
割当計画作成部115は、計画作成実行管理部112からの入力である対象ポジション一次DB231と、対象人材一次DB232と、人材属性DB123と、ポジション要件DB124と、最尤コンテキスト算出部204の入力から、計画履歴121の行311のまとまり312に相当するデータを作成する。割当計画作成部115は、作成したデータを計画履歴DB121に登録する(S1319)。
【0098】
次に、ユーザ101は、操作端末111を介して、作成された割当計画を参照および利用する(S1320)。
【0099】
図14は、実施例1に係る割当計画作成処理を示すフローチャートである。
【0100】
割当計画作成部115は、計画作成実行管理部112から計画作成に関するパラメータとして、対象ポジション一次DB231(対象ポジション情報401と同等)のデータテーブルと、対象人材一次DB232(対象人材情報431と同等)のデータテーブルとを受付け、一時データとして保持する(S1411)。
【0101】
次に、数理計画ループ処理管理部211は、対象ポジション一次DB231から候補人材の割当対象となる空ポジション情報421を一行取得して、取得した行のポジション411への候補人材の算出をループ実行する(S1412)。
【0102】
次に、ポスト-人材属性マッチ度算出部212は、対象人材一次DB232から対象人材情報を、人材属性DB123から対象人材の属性情報を、ポジション要件DB124から対象ポジションの要件情報を取得する(S1413)。
【0103】
次に、ポジション-人材属性マッチ度算出部212は、取得した各情報と数理計画法を用いて対象ポジション411に対する候補人材の属性マッチ度を計算して、候補人材ポジション情報233を遷移情報検索部202に、属性マッチ度情報234をポジション-人材総合適合度算出部213に入力する(S1414)。
【0104】
次に、ポスト-人材総合適合度算出部213は、属性マッチ度情報234と、最尤コンテキスト計算部204が算出する最尤コンテキスト情報235の入力を受ける(S1415)。
【0105】
次に、ポスト-人材総合適合度算出部213は、候補人材1001毎に属性マッチ度情報234の適合度304と、最尤コンテキスト情報235の遷移尤度305とを掛け合わせた総合適合度306を算出して、総合適合度306が尤も高い候補人材を最終候補307とする(S1416)。
【0106】
次に、数理計画ループ処理実行部211は、対象ポジション一次DB231に処理されていない行が存在しないか判定して、存在しなければ(S1417:NO)、処理のループ実行を終了する(S1417)。
【0107】
次に、算出結果一次管理部214が、ポジション-人材総合適合度算出部213の出力を保持し、保持している情報を結合して最終計画として計画履歴DB121に入力する(S1418)。
【0108】
図15は、実施例1に係る移動者決定画面を示す図である。
【0109】
割当計画作成システム100を用いて作成された割当計画は、操作端末111上に描画される。操作端末111上の描画GUIは、ポジション毎の割当情報を表示する割当情報1501と、そのポジションの各候補人材の最尤コンテキスト情報を示す候補人材別最終コンテキスト情報1502である。
【0110】
割当情報1501は、対象ポジションを示す空ポスト1511と、最終候補人材であるかどうかの真偽値を示す最終候補1512と、候補人材1513と、総合適合度1514と、総合適合度の算出過程1515を有する。算出過程1515には、属性マッチ度1516と、最尤コンテキストの尤度1517とを有する。さらに、候補人材別最尤コンテキスト情報1502は、候補人材毎の遷移コンテキスト情報1421を有する。
【0111】
図16は、実施例1に係る情報処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【0112】
割当計画作成システム100は、情報処理装置1600を備える。各情報処理装置1600は、演算装置1601と、メインメモリ1602と、補助記憶装置1603と、通信インタフェース1604と、メディアインタフェース1605と、入出力装置1606とを備える。演算装置1601は、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサである。
【0113】
メインメモリ1602は、プログラム及びデータ等が展開される、RAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)である。補助記憶装置1602は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(SolID State Drive)、又はフラッシュメモリである。
通信インタフェース1603は、他の情報処理装置と通信する、ネットワークインタフェースカードである。メディアインタフェース1604には、外部記憶媒体1607が接続される。入出力装置1605は、キーボード若しくはタッチパネル等の入力装置及びモニタ若しくはディスプレイ等の出力装置を含む。
【0114】
これら演算装置1601と、メインメモリ1602と、補助記憶装置1603と、通信インタフェース1604と、メディアインタフェース1605と、入出力装置1606とは、バスで互いに接続されている。なお、外部記憶媒体1607は、例えば、通信媒体(すなわち有線、無線、光のネットワーク、またはそのネットワークを伝搬する搬送波またはディジタル信号)、又はメディアインタフェース1605に着脱可能な物である。なお、情報処理装置1600は、入出力装置1606を介して管理端末(図示せず)に接続している。
【0115】
これまでに説明した、各情報処理装置1600の各機能は、専用ハードウェアにより、又は、演算装置1601がメインメモリ1602又は補助記憶装置1603に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより実現される。また、各プログラムは、外部記憶媒体1607にあらかじめ記録されていてもよいし、所定の通信ネットワークを介して、必要なときに導入されてもよい。
【0116】
この構成によれば、候補人材をポジションに割り当てた割当計画を作成する割当計画作成システム100は、遷移尤度算出部114と、割当計画作成部115とを備える。遷移尤度算出部114は、過去の人材毎のポジションを記録した計画履歴に基づいて、人材毎の複数のポジションの遷移を遷移コンテキストとして抽出し、抽出した遷移コンテキストから尤度を算出する。割当計画作成部115は、ポジション毎の人材の属性の制約条件を満たす候補人材を特定し、特定した候補人材の属性とポジションとのマッチ度を算出し、算出したマッチ度と、尤度とに基づいて、ポジションに対する候補人材の適合度を算出し、算出した適合度に基づいて候補人材をポジションに割り当てた割当計画を作成する。
【0117】
これにより、過去の計画履歴から2つを超えるポジションの遷移コンテキストを抽出することで、数理計画法を用いた割当計画の作成処置過程で遷移コンテキストを考慮した計画の立案が可能になる。したがって、割当計画の妥当性を向上することができる。さらに、遷移コンテキストは過去に人手で作成された計画履歴に基づいて作成するだけでなく、割当計画作成システム100で作成して得た割当計画を履歴として追加して蓄積することで、コンテキストの元となる情報が拡充されコンテキストや、それを用いて算出される計画の妥当性を継続的に改善することができる。
本発明の実施形態に係る割当計画作成システムの具体例を、図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は実施例によって限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示される。
本実施形態では、路線航空業者において乗務にあたる人材を、個別の運行スケジュールに割り当てられる「割当先」の一例としての乗務タスクに割り当てた割当計画を作成する割当計画案作成システム1700について例示する。本実施形態は、人材に対する、人材に割り当て可能なタスク、ポジションまたはリソースの割当計画の作成に関わるものであり、運航スケジュールを構成するタスクへの人材割当は、発明の一適用例である。
さらに、本実施例は、実施例1とは異なる計画立案への適用例である。しかし、割当計画案作成システムを構成する機能や処理フローが共通である。異なる計画立案への適用には、割当計画の算出に必要なデータおよびデータを管理するテーブルの変更を要するため、本実施例では、実施例1の割当計画案作成システム100と異なる管理テーブルの例示を行う。
計画履歴DB1711は、項目値(カラム値)として、計画ID301と、タスクID1701と、候補人材ID303と、適合度304と、遷移尤度305と、総合適合度306と、最終候補307と、素案枝番308とを格納するテーブルである。計画履歴DB1711の各行1811は、各候補人材の情報を示す。計画履歴DB1711の行311のまとまり312は、一回の計画作成処理で生成される情報を示す。尚、総合適合度306の算出方法は、一例であり、掛け合わせ以外の処理を用いて算出されていても良い。
計画ID301は、ユーザ101によって実施される一回の計画案作成処理で作成された計画案に付与される識別子である。タスクID1701は、割当計画案で候補人材に割り当てるタスクを特定する識別子である。候補人材ID303は、タスクへの割当候補である候補人材を識別する識別子である。適合度304は、タスク-人材属性マッチ度算出部212で算出されたタスクと人材属性とが適合する度合いである。
遷移尤度305は、最大コンテキスト計算機能204で算出された値である。総合適合度306は、適合度304と遷移尤度305を掛け合わせた値である。最終候補307は、タスクID1701の候補人材303の中で最大の総合適合度306を持つ候補人材303を識別するためのフラグ情報である。素案枝番308は、タスク-人材属性マッチ度計算機能212の内部で実行された局所解算出処理を識別する識別子である。
人材属性DB1701は、項目値(カラム値)として、人材ID1901と、現拠点1902と、言語1903と、等級1904と、路線(1)飛行回数1906とを格納するテーブルである。
人材ID1901は、乗務に従事する人材の識別子である。現拠点1902は、人材が計画立案時または計画の実施時に滞在する空港を示す。言語1903は、人材の使用可能な言語を示す。等級1904は、人材が実施可能な乗務の上限を示す。路線(1)飛行回数1905は、航空路線毎の飛行経験の熟練度を示す。人材属性DB1701の各行は、人材毎の属性である個別人材情報1911を示す。尚、人材属性DB1701の項目値(テーブル列)は、上述された項目値以外の属性を有しても良い。
タスク要件DB1702は、項目値(カラム値)として、タスクID2001と、フライトID2002と、等級2003と、言語2004と、最小インターバル2005と、出発拠点2006と、到着拠点2007とを格納するテーブルである。タスク要件DB1602の各行は、タスク毎の要件であるタスク別要件1911を示す。
タスクID2001は、運航スケジュールを構成する個別のタスクの識別子である。フライトID2002は、タスクが紐づく運航スケジュールの識別子である。等級2003は、タスクの実施に要求される人財の等級である。言語2004は、タスクを実施する人材に要求する言語である。最小インターバル2005は、タスクを実施する人材が過去に実施したタスクと、そのタスクの間に取得しているべき最小のインターバルである。出発拠点2006は、タスクが紐づく運航スケジュールの出発拠点である。到着拠点2007は、タスクが紐づく運航スケジュールの到着拠点である。タスク要件DB1702の項目値は、上述された項目値以外の属性を有しても良い。
この構成によれば、過去の計画履歴から2つを超えるタスクの遷移コンテキストを抽出することで、数理計画法を用いた割当計画の作成処置過程で遷移コンテキストを考慮した計画の立案が可能になる。したがって、割当計画の妥当性を向上することができる。
例えば、遷移コンテキスト抽出部203は、記録が新しい計画履歴に基づいて、遷移パターンを抽出してもよい。これにより、計画履歴の精度を向上させることができる。