(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083801
(43)【公開日】2023-06-16
(54)【発明の名称】ウォーターサーバー
(51)【国際特許分類】
B67D 3/00 20060101AFI20230609BHJP
F25D 11/00 20060101ALI20230609BHJP
【FI】
B67D3/00 Z
B67D3/00 H
F25D11/00 102A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021197706
(22)【出願日】2021-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】316003276
【氏名又は名称】株式会社コスモライフ
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100127340
【弁理士】
【氏名又は名称】飛永 充啓
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(72)【発明者】
【氏名】荒川 眞吾
【テーマコード(参考)】
3E082
3L045
【Fターム(参考)】
3E082AA01
3E082BB01
3E082CC01
3E082DD01
3E082EE01
3E082EE05
3E082FF09
3L045AA07
3L045BA01
3L045CA01
3L045DA02
3L045PA04
(57)【要約】
【課題】輸送コストが低く抑えられ、かつ、ユーザーにとって使い勝手のよいウォーターサーバーを提供する。
【解決手段】筐体1が、床面Fに設置される下部筐体1Bと、下部筐体1Bに上下にスライド可能に嵌合する上部筐体1Aとで構成され、冷水タンク2および冷水注出口3は、上部筐体1Aと一体に上下動するように上部筐体1Aに設けられ、サーバー設置前は、上部筐体1Aを下降させて筐体1が収縮したサーバー収縮状態で輸送され、サーバー設置後は、上部筐体1Aを上昇させて筐体1が伸長したサーバー伸長状態で使用される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体(1)と、
前記筐体(1)の内部に配置される冷水タンク(2)と、
前記冷水タンク(2)内の飲料水を冷却する冷却装置(20)と、
前記冷水タンク(2)内の低温の飲料水を前記筐体(1)の外部に注出する冷水注出口(3)と、
を有するウォーターサーバーにおいて、
前記筐体(1)が、床面(F)に設置される下部筐体(1B)と、前記下部筐体(1B)に上下にスライド可能に嵌合する上部筐体(1A)とで構成され、
前記冷水タンク(2)および前記冷水注出口(3)は、前記上部筐体(1A)と一体に上下動するように前記上部筐体(1A)に設けられ、
サーバー設置前は、前記上部筐体(1A)を下降させて前記筐体(1)が収縮したサーバー収縮状態で輸送され、サーバー設置後は、前記上部筐体(1A)を上昇させて前記筐体(1)が伸長したサーバー伸長状態で使用されることを特徴とするウォーターサーバー。
【請求項2】
前記上部筐体(1A)に固定された上部筐体側被連結部(30)と、
前記下部筐体(1B)に固定された下部筐体側被連結部(31)と、
前記上部筐体側被連結部(30)と前記下部筐体側被連結部(31)の間を連結するとともに、前記上部筐体側被連結部(30)と前記下部筐体側被連結部(31)の連結距離を変化させる連結距離可変機構(32)と、を更に有し、
前記上部筐体側被連結部(30)は、前記上部筐体側被連結部(30)と前記下部筐体側被連結部(31)の連結距離が短くなるときに前記上部筐体(1A)が上昇するように、前記下部筐体側被連結部(31)よりも下側に配置されている請求項1に記載のウォーターサーバー。
【請求項3】
前記連結距離可変機構(32)は、ねじ軸(39)と、前記ねじ軸(39)に係合するナット部(47)と、前記ねじ軸(39)に対する前記ナット部(47)の軸方向移動を前記上部筐体側被連結部(30)と前記下部筐体側被連結部(31)の上下方向の相対移動に変換する運動変換機構(40)とを有するねじ式ジャッキである請求項2に記載のウォーターサーバー。
【請求項4】
前記連結距離可変機構(32)は、前記上部筐体側被連結部(30)と前記下部筐体側被連結部(31)の間に引張方向の付勢力を付与するガススプリング(55)である請求項2に記載のウォーターサーバー。
【請求項5】
前記冷却装置(20)は、冷媒を圧縮するコンプレッサ(21)と、そのコンプレッサ(21)から吐出された高温の冷媒と外気との間で熱交換を行なう熱交換器(22)と、その熱交換器(22)を通過した冷媒を減圧して温度を低下させる膨張弁(23)と、その膨張弁(23)を通過した低温の冷媒と前記冷水タンク(2)との間で熱交換を行なう冷却管(24)とを有し、
前記コンプレッサ(21)、前記熱交換器(22)、前記膨張弁(23)、前記冷却管(24)は、いずれも前記上部筐体(1A)と一体に上下動するように設けられ、
前記上部筐体(1A)は、左右に対向する一対の上部側板(9)と、前記一対の上部側板(9)の前端同士の間の前面開口を閉じるように取り付けられた前面パネル(10)と、前記一対の上部側板(9)の上端同士の間の上端開口を閉じるように取り付けられた天板(11)とを有し、
前記熱交換器(22)は、前記一対の上部側板(9)の後端同士の間に形成される背面開口を覆うように取り付けられた網板状の部材であり、前記熱交換器(22)は、前記一対の上部側板(9)の下端に対応する高さよりも低い位置まで前記上部筐体(1A)から下方に突出して設けられ、
前記熱交換器(22)の前記上部筐体(1A)から下方に突出する部分が、前記下部筐体(1B)の背面の外側に対向するように配置されている請求項1から4のいずれかに記載のウォーターサーバー。
【請求項6】
前記サーバー伸長状態での前記筐体(1)の高さ寸法が1100mm以上であり、前記サーバー収縮状態での前記筐体(1)の高さ寸法が900mm以下である請求項1から5のいずれかに記載のウォーターサーバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ウォーターサーバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、主にオフィスや病院などでウォーターサーバーが利用されてきたが、近年、水の安全や健康への関心の高まりから、一般家庭にもウォーターサーバーが普及しつつある。ウォーターサーバーは、一般に、筐体と、筐体の内部に配置される冷水タンクと、冷水タンク内の飲料水を冷却する冷却装置と、冷水タンク内の低温の飲料水を筐体の外部に注出する冷水注出口とを有し、いつでもすぐに美味しい冷水を利用することができるという利便性を有する(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ウォーターサーバーは、一般に、外国で製造したものが使用される。そして、外国で製造したウォーターサーバーを国内に輸送するに際しては、個々に梱包した多数のウォーターサーバーを規格寸法の海上コンテナ(40フィートコンテナ等)に積み込み、コンテナ単位での輸送を行なうことが多い。
【0005】
ここで、多数のウォーターサーバーを海上コンテナに積み込むとき、ウォーターサーバーの内部の配管に負荷がかかったり、ウォーターサーバーのコンプレッサが故障したりするのを防止するため、ウォーターサーバーは、横倒しせずに、立てた状態で積み込む必要がある。このとき、立てた状態のウォーターサーバーを複数段に積み上げたときの合計高さが、コンテナ内寸の高さ寸法に対応すれば、効率的にウォーターサーバーを海上コンテナに積み込むことができるが、ウォーターサーバーは、ユーザーにとって使い勝手のよいことを目的に寸法設定されることから、立てた状態のウォーターサーバーを複数段に積み上げたときの合計高さは、一般に、コンテナ内寸の高さ寸法に対応したものとはならず、効率的な積み込みが難しいという問題がある。
【0006】
また近年、国内において、ウォーターサーバーをユーザーに配送(二次輸送)する際の配送料金が高騰している。国内での配送料金は、配送物の三辺の合計寸法が20cm大きくなるごとに段階的に高くなり、さらに、三辺の合計寸法が20cm大きくなるごとの配送料金の上昇幅は、三辺の合計寸法が大きいほど大きくなるという料金体系が取られることが多い。ここで、ウォーターサーバーを配送する場合、ウォーターサーバーは、高さ寸法が大きいことから、三辺の合計寸法が大きくなり、特に配送コストが高くなりやすい傾向にある。
【0007】
そこで、ウォーターサーバーの配送コストを低減するため、ウォーターサーバーの筐体の高さ寸法を低くするという方法をとることが考えられるが、ウォーターサーバーの筐体の高さ寸法を低くすると、その分、冷水注出口の位置が低くなるので、ウォーターサーバーの使い勝手が悪くなってしまう。
【0008】
この発明が解決しようとする課題は、輸送コストが低く抑えられ、かつ、ユーザーにとって使い勝手のよいウォーターサーバーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、この発明では、以下の構成のウォーターサーバーを提供する。
筐体と、
前記筐体の内部に配置される冷水タンクと、
前記冷水タンク内の飲料水を冷却する冷却装置と、
前記冷水タンク内の低温の飲料水を前記筐体の外部に注出する冷水注出口と、
を有するウォーターサーバーにおいて、
前記筐体が、床面に設置される下部筐体と、前記下部筐体に上下にスライド可能に嵌合する上部筐体とで構成され、
前記冷水タンクおよび前記冷水注出口は、前記上部筐体と一体に上下動するように前記上部筐体に設けられ、
サーバー設置前は、前記上部筐体を下降させて前記筐体が収縮したサーバー収縮状態で輸送され、サーバー設置後は、前記上部筐体を上昇させて前記筐体が伸長したサーバー伸長状態で使用されることを特徴とするウォーターサーバー。
【0010】
このようにすると、ウォーターサーバーの筐体が、床面に設置される下部筐体と、下部筐体に上下にスライド可能に嵌合する上部筐体とで構成されているので、サーバー設置前は、上部筐体を下降させて筐体が収縮したサーバー収縮状態で輸送することで、ウォーターサーバーの輸送コストを低く抑えることができる。一方、サーバー設置後は、上部筐体を上昇させて筐体を伸長させることで、冷水注出口の位置を高くし、ユーザーにとってのウォーターサーバーの使い勝手を確保することが可能である。
【0011】
前記上部筐体に固定された上部筐体側被連結部と、
前記下部筐体に固定された下部筐体側被連結部と、
前記上部筐体側被連結部と前記下部筐体側被連結部の間を連結するとともに、前記上部筐体側被連結部と前記下部筐体側被連結部の連結距離を変化させる連結距離可変機構と、を更に有し、
前記上部筐体側被連結部は、前記上部筐体側被連結部と前記下部筐体側被連結部の連結距離が短くなるときに前記上部筐体が上昇するように、前記下部筐体側被連結部よりも下側に配置されている構成を採用すると好ましい。
【0012】
このようにすると、ウォーターサーバーの使用時に、上部筐体の支持が安定したものとなる。すなわち、上部筐体に固定された上部筐体側被連結部と、下部筐体に固定された下部筐体側被連結部との連結距離を変化させることで上部筐体を上昇させる場合、連結距離を長くしたときに上部筐体が上昇するように構成することも可能であるが、そのように構成した場合、ウォーターサーバーの使用時に、連結距離可変機構が長く伸びた状態となることから、上部筐体の支持が不安定となるおそれがある。これに対し、連結距離を短くしたときに上部筐体が上昇するように構成すると、ウォーターサーバーの使用時に、連結距離可変機構が短く縮んだ状態となることから、上部筐体の支持を安定したものとすることができる。
【0013】
前記連結距離可変機構としては、ねじ軸と、前記ねじ軸に係合するナット部と、前記ナット部の軸方向移動を前記上部筐体側被連結部と前記下部筐体側被連結部の上下方向の相対移動に変換する運動変換機構とを有するねじ式ジャッキを採用することができる。
【0014】
このようにすると、上部筐体を上昇させた後、その上部筐体が下降するのを、ねじ軸とナット部の摩擦によって防止することができる。そのため、ウォーターサーバーの使用時に、連結距離可変機構による上部筐体の支持が安定したものとなる。
【0015】
また、前記連結距離可変機構としては、前記上部筐体側被連結部と前記下部筐体側被連結部の間に引張方向の付勢力を付与するガススプリングを採用することもできる。
【0016】
このようにすると、ガススプリングの付勢力を利用して上部筐体を上昇させることができるので、上部筐体を上昇させる操作が楽である。
【0017】
前記冷却装置は、冷媒を圧縮するコンプレッサと、そのコンプレッサから吐出された高温の冷媒と外気との間で熱交換を行なう熱交換器と、その熱交換器を通過した冷媒を減圧して温度を低下させる膨張弁と、その膨張弁を通過した低温の冷媒と前記冷水タンクとの間で熱交換を行なう冷却管とを有し、
前記コンプレッサ、前記熱交換器、前記膨張弁、前記冷却管は、いずれも前記上部筐体と一体に上下動するように設けられ、
前記上部筐体は、左右に対向する一対の上部側板と、前記一対の上部側板の前端同士の間の前面開口を閉じるように取り付けられた前面パネルと、前記一対の上部側板の上端同士の間の上端開口を閉じるように取り付けられた天板とを有し、
前記熱交換器は、前記一対の上部側板の後端同士の間に形成される背面開口を覆うように取り付けられた網板状の部材であり、前記熱交換器は、前記一対の上部側板の下端に対応する高さよりも低い位置まで前記上部筐体から下方に突出して設けられ、前記熱交換器の前記上部筐体から下方に突出する部分が、前記下部筐体の背面の外側に対向するように配置されている構成を採用することができる。
【0018】
このようにすると、上部筐体の背面開口を覆うように取り付けられた熱交換器が、上部筐体から下方に突出する部分を有するので、熱交換器の放熱面積を大きく確保することができ、また、熱交換器の上部筐体から下方に突出する部分が、下部筐体の背面の外側に対向するように配置されているので、熱交換器の一部が下部筐体で覆われて熱交換効率が低下するのを防止することができる。
【0019】
この発明は、前記サーバー伸長状態での前記筐体の高さ寸法が1100mm以上であり、前記サーバー収縮状態での前記筐体の高さ寸法が900mm以下であるウォーターサーバーに適用すると好ましい。
【0020】
このようにすると、サーバー収縮状態での筐体の高さ寸法が900mm以下なので、一般的な大きさの海上コンテナに、立てた状態のウォーターサーバーを2段以上の高さに積み込むことが可能となる。また、サーバー伸長状態での筐体の高さ寸法が1100mm以上なので、ウォーターサーバーの使用時に、冷水注出口の高さを十分に高くすることができ、ウォーターサーバーの使い勝手を確保することができる。
【発明の効果】
【0021】
この発明のウォーターサーバーは、ウォーターサーバーの筐体が、床面に設置される下部筐体と、下部筐体に上下にスライド可能に嵌合する上部筐体とで構成されているので、サーバー設置前は、上部筐体を下降させて筐体が収縮したサーバー収縮状態で輸送することで、ウォーターサーバーの輸送コストを低く抑えることができる。一方、サーバー設置後は、上部筐体を上昇させて筐体を伸長させることで、冷水注出口の位置を高くし、ユーザーにとってのウォーターサーバーの使い勝手を確保することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】この発明の実施形態のウォーターサーバーの上部筐体を上昇させて筐体が伸長したサーバー伸長状態を示す正面図
【
図8】
図2に示すウォーターサーバーの上部筐体を下降させて筐体が収縮したサーバー収縮状態を示す右側面図
【
図10】
図9に示すウォーターサーバーの連結距離可変機構を
図7に対応して示す図
【
図11】(a)は、上記実施形態の変形例のウォーターサーバーの上部筐体を上昇させて筐体が伸長したサーバー伸長状態を模式的に示す図、(b)は、(a)のウォーターサーバーの上部筐体を下降させて筐体が収縮したサーバー収縮状態を模式的に示す図
【
図12】(a)は、上記実施形態の他の変形例のウォーターサーバーの上部筐体を上昇させて筐体が伸長したサーバー伸長状態を模式的に示す図、(b)は、(a)のウォーターサーバーの上部筐体を下降させて筐体が収縮したサーバー収縮状態を模式的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1~
図3に、この発明の実施形態のウォーターサーバー示す。このウォーターサーバーは、上下に細長い筐体1と、筐体1の内部に配置される冷水タンク2(
図3参照)と、冷水タンク2内の低温の飲料水を筐体1の外部に注出する冷水注出口3(
図1参照)と、筐体1の内部に配置される温水タンク4(
図3参照)と、温水タンク4内の高温の飲料水を筐体1の外部に注出する温水注出口5(
図1参照)とを有する。
【0024】
図2、
図3に示すように、筐体1は、床面Fに設置される下部筐体1Bと、下部筐体1Bに上下にスライド可能に嵌合する上部筐体1Aとで構成されている。下部筐体1Bは、左右に対向する一対の下部側板6(
図5参照)と、一対の下部側板6の下端に固定された底板7と、一対の下部側板6の後端同士を連結する下部背面板8とを有する。底板7は、床面Fと平行に設けられた板状の部材であり、一対の下部側板6の間の下端開口を覆うように取り付けられている。
【0025】
上部筐体1Aは、左右に対向する一対の上部側板9(
図5参照)と、一対の上部側板9の前端同士の間の前面開口を閉じるように取り付けられた前面パネル10と、一対の上部側板9の上端同士の間の上端開口を閉じるように取り付けられた天板11と、一対の上部側板9の後端上部同士を連結する上部背面板12とを有する。
【0026】
前面パネル10と底板7の間には、筐体1の前面下部を開閉する前面扉13が取り付けられ、この前面扉13を開閉することで、下部筐体1Bに収容された水ボトル14(
図3参照)の交換作業をすることが可能となっている。
図3に示すように、下部筐体1Bの内部には、水ボトル14がセットされるボトル受け15と、ボトル受け15にセットされた水ボトル14から冷水タンク2および温水タンク4に水を汲み上げるポンプ16とが設けられている。水ボトル14と冷水タンク2の間は、ポンプ16を介して原水汲み上げ管(図示せず)で接続されている。
【0027】
図3に示すように、上部筐体1Aの内部には、タンク固定板17が固定されている。タンク固定板17は、上部筐体1Aの内部に水平に設けられ、そのタンク固定板17に、冷水タンク2と温水タンク4とが固定されている。タンク固定板17の前端部は、左右一対の上部側板9の前端に形成された前端折り曲げ部9a(
図4参照)にビス止めされ、タンク固定板17の後端部は、左右一対の上部側板9の後端に形成された後端折り曲げ部9b(
図4参照)にビス止めされ、これらのビス止めにより、タンク固定板17は上部筐体1Aに固定されている。前端折り曲げ部9aおよび後端折り曲げ部9bは、上部側板9の前端および後端を左右方向の内向きに折り曲げて形成した部分である。
【0028】
冷水注出口3と温水注出口5は、前面パネル10から前方に露出した状態でタンク固定板17に取り付けられている。冷水注出口3と温水注出口5は、前面パネル10に取り付けるようにしてもよい。冷水注出口3と冷水タンク2は、冷水注出管(図示せず)を介して接続されており、冷水注出口3を開放することで、冷水タンク2内の低温の飲料水が、冷水注出管を通って冷水注出口3から注出されるようになっている。温水注出口5と温水タンク4は、温水注出管18を介して接続されており、温水注出口5を開放することで、温水タンク4内の高温の飲料水が、温水注出管18を通って温水注出口5から注出されるようになっている。
【0029】
冷水タンク2には、冷水タンク2内の飲料水を冷却する冷却装置20が取り付けられている。冷水タンク2内の飲料水は、冷却装置20によって所定の低温(例えば10℃以下)に保たれる。冷却装置20は、コンプレッサ21と熱交換器22と膨張弁23と冷却管24とを有する。コンプレッサ21と熱交換器22と膨張弁23と冷却管24は、順に冷媒が通過して循環するように冷媒用の配管で接続されている。
【0030】
コンプレッサ21は、コンプレッサ固定板25に固定されている。コンプレッサ固定板25は、上部筐体1Aの内部のタンク固定板17よりも下方に水平に設けられている。
図4に示すように、コンプレッサ固定板25は、その前端に設けられた前端フランジ部25aが、左右一対の上部側板9の前端折り曲げ部9aにビス止めされ、後端に設けられた後端フランジ部25bが、左右一対の上部側板9の後端折り曲げ部9bにビス止めされ、これらのビス止めにより、コンプレッサ固定板25は上部筐体1Aに固定されている。
【0031】
図3に示すコンプレッサ21は、冷却管24から冷媒を吸引し、その冷媒を圧縮して冷媒の温度を上昇させ、高温高圧となった冷媒を熱交換器22の側に吐出する。熱交換器22は、コンプレッサ21から吐出された冷媒が流れる管路を上部筐体1Aの背面に沿って蛇行して配置した網板状の部材であり、コンプレッサ21から吐出された高温の冷媒と外気との間で熱交換を行なうことで冷媒を冷却し、凝縮させる。膨張弁23は、熱交換器22を通過した冷媒を受け入れ、その冷媒を減圧して温度を低下させる。冷却管24は、膨張弁23で低温低圧になった冷媒を受け入れ、その冷媒と冷水タンク2の間で熱交換を行なう。冷却管24は、冷水タンク2の外周に螺旋状に巻き付けられている。冷却管24は、冷水タンク2の内部を通るように冷水タンク2の壁面を貫通して設けてもよい。
【0032】
図4に示すように、熱交換器22は、一対の上部側板9の後端折り曲げ部9b同士の間に形成される背面開口を覆うように取り付けられている。また、
図2に示すように、熱交換器22は、一対の上部側板9の下端に対応する高さよりも低い位置まで上部筐体1Aから下方に突出して設けられている。熱交換器22の上部筐体1Aから下方に突出する部分は、下部筐体1Bの下部背面板8(
図3参照)の上部の外側に対向するように配置されている。
【0033】
図3に示すように、温水タンク4には、温水タンク4内の飲料水を加熱する加熱装置26が取り付けられている。温水タンク4内の飲料水は、加熱装置26によって所定の高温(例えば80℃以上)に保たれる。
【0034】
ここで、
図3に示すように、冷水タンク2、温水タンク4、冷水注出口3(
図1参照)、温水注出口5、コンプレッサ21、熱交換器22、膨張弁23、冷却管24は、上部筐体1Aが下部筐体1Bに対して上下にスライドしたときに、上部筐体1Aと一体に上下動するように設けられている。
【0035】
このウォーターサーバーは、上部筐体1Aを下部筐体1Bに対して上下に移動させる機構として、上部筐体1Aに固定された上部筐体側被連結部30と、下部筐体1Bに固定された下部筐体側被連結部31と、上部筐体側被連結部30と下部筐体側被連結部31の間を連結するとともに、上部筐体側被連結部30と下部筐体側被連結部31の連結距離を変化させる連結距離可変機構32とを有する。連結距離可変機構32は、ユーザーによって操作される操作部33を有し、この操作部33をユーザーが操作することで、上部筐体側被連結部30と下部筐体側被連結部31の連結距離を変化させ、その結果、上部筐体1Aを下部筐体1Bに対して上下方向に移動させることが可能となっている。
【0036】
ここで、上部筐体側被連結部30は、下部筐体側被連結部31よりも下側に配置されている。これにより、
図9に示すように、上部筐体側被連結部30と下部筐体側被連結部31の連結距離が長くなると、上部筐体1Aが下降し、
図3に示すように、上部筐体側被連結部30と下部筐体側被連結部31の連結距離が短くなると、上部筐体1Aが上昇するようになっている。
【0037】
図6に示すように、上部筐体側被連結部30は、コンプレッサ固定板25の下面にビスで固定された前後方向に延びる左右一対の水平レールである。上部筐体側被連結部30は、コンプレッサ固定板25を介して上部筐体1Aに固定されている。下部筐体側被連結部31は、底板7の四隅から上方に延びる4本の支持ロッド34の上端部にナット35で固定された前後方向に延びる左右一対の水平レールである。下部筐体側被連結部31は、支持ロッド34を介して下部筐体1Bの底板7に固定されている。コンプレッサ固定板25および上部筐体側被連結部30には、支持ロッド34をスライド可能に貫通させる貫通穴36(
図4、
図5参照)が形成されている。
【0038】
図6、
図7に示すように、連結距離可変機構32は、回動可能に交差して連結された第1アーム37および第2アーム38と、第1アーム37と第2アーム38の交差角度を変化させるねじ軸39とを有する。ねじ軸39の端部には、ねじ軸39を回転操作する操作部33(
図7参照)が着脱可能に設けられている。
【0039】
図6に示すように、第1アーム37と第2アーム38の組は、コンプレッサ21を間にして左右に設けられている。
図5に示すように、第1アーム37の下端同士は、第1アーム下端連結フレーム41で連結され、第2アーム38の下端同士は、第2アーム下端連結フレーム42で連結されている。同様に、第1アーム37の上端同士は、第1アーム上端連結フレーム43(
図7参照)で連結され、第2アーム38の上端同士は、第2アーム上端連結フレーム44(
図7参照)で連結されている。
【0040】
図7、
図10に示すように、第1アーム下端連結フレーム41は、コンプレッサ固定板25の下面にスペーサ45を介してビスで固定されている。第1アーム下端連結フレーム41には、ねじ軸39を回転可能かつ軸方向移動不可に支持する軸受部46が設けられている。第2アーム下端連結フレーム42には、ねじ軸39にねじ係合するナット部47が設けられている。第1アーム37の上端は、下部筐体側被連結部31に前後方向に移動可能に支持されている。第2アーム38の下端は、上部筐体側被連結部30に前後方向に移動可能に支持されている。第2アーム38の上端は、下部筐体側被連結部31で回動可能に支持されている。第1アーム37と第2アーム38は、ねじ軸39に対するナット部47の軸方向移動を、上部筐体側被連結部30と下部筐体側被連結部31の上下方向の相対移動に変換する運動変換機構40を構成している。
【0041】
上記のウォーターサーバーは、サーバー設置前は、
図8、
図9に示すように、上部筐体1Aを下降させて筐体1が収縮したサーバー収縮状態で輸送する。このサーバー収縮状態における筐体1の床面Fからの高さ寸法は、900mm以下に設定されている。そのため、ウォーターサーバーを外国で製造し、そのウォーターサーバーを梱包して国内に輸送する際、規格寸法の海上コンテナ(40フィートコンテナ等)の内部に、ウォーターサーバーを2段以上の高さに積み込むことが可能である。また、国内において、ウォーターサーバーをユーザーに配送(二次輸送)する際の配送料金も低く抑えることが可能である。
【0042】
そして、上記のウォーターサーバーは、ユーザーの自宅等に配送して設置された後は、ユーザーは、
図9に示す操作部33を回転操作することで、
図2、
図3に示すように、上部筐体1Aを上昇させて筐体1を伸長し、そのサーバー伸長状態でウォーターサーバーを使用する。このサーバー伸長状態における筐体1の床面Fからの高さ寸法は、1100mm以上(このとき、
図1に示す冷水注出口3および温水注出口5の床面Fからの高さHは800mm以上)に設定されている。なお、前面扉13は、
図8、
図9に示すサーバー収縮状態では筐体1から取り外しておき、その後、上部筐体1Aを上昇させて、
図2、
図3に示すサーバー伸長状態とした後、筐体1に取り付ける。
【0043】
このウォーターサーバーは、
図2、
図8に示すように、筐体1が、床面Fに設置される下部筐体1Bと、下部筐体1Bに上下にスライド可能に嵌合する上部筐体1Aとで構成されているので、サーバー設置前は、
図8に示すように、上部筐体1Aを下降させて筐体1が収縮したサーバー収縮状態で輸送することで、ウォーターサーバーの輸送コストを低く抑えることができる。一方、サーバー設置後は、
図2に示すように、上部筐体1Aを上昇させて筐体1を伸長させることで、冷水注出口3(
図1参照)の位置を高くし、ユーザーにとってのウォーターサーバーの使い勝手を確保することが可能である。
【0044】
また、このウォーターサーバーは、ウォーターサーバーの使用状態における上部筐体1Aの支持が安定している。すなわち、
図3、
図9に示すように、上部筐体1Aに固定された上部筐体側被連結部30と、下部筐体1Bに固定された下部筐体側被連結部31との連結距離を変化させることで上部筐体1Aを上昇させる場合、例えば、上部筐体側被連結部30を下部筐体側被連結部31よりも上側に配置し、上部筐体側被連結部30と下部筐体側被連結部31の連結距離を長くしたときに上部筐体1Aが上昇するように構成することも可能であるが、そのように構成した場合、ウォーターサーバーの使用時に、連結距離可変機構32が長く伸びた状態となることから、上部筐体1Aの支持が不安定となるおそれがある。これに対し、上記実施形態のように、上部筐体側被連結部30を下部筐体側被連結部31よりも下側に配置し、上部筐体側被連結部30と下部筐体側被連結部31の連結距離を短くしたときに上部筐体1Aが上昇するように構成すると、ウォーターサーバーの使用時に、連結距離可変機構32が短く縮んだ状態となることから、上部筐体1Aの支持を安定したものとすることができる。
【0045】
また、このウォーターサーバーは、連結距離可変機構32として、
図7に示すように、ねじ軸39と、ねじ軸39に係合するナット部47と、ナット部47の軸方向移動を上部筐体側被連結部30と下部筐体側被連結部31の上下方向の相対移動に変換する運動変換機構40とを有するねじ式ジャッキを採用しているので、
図3に示すように、上部筐体1Aを上昇させた後、その上部筐体1Aが下降するのを、ねじ軸39とナット部47の摩擦によって防止することができる。そのため、ウォーターサーバーの使用時に、連結距離可変機構32による上部筐体1Aの支持が安定している。
【0046】
また、このウォーターサーバーは、
図2~
図4に示すように、上部筐体1Aの背面開口を覆うように取り付けられた熱交換器22が、上部筐体1Aから下方に突出する部分を有するので、熱交換器22の放熱面積を大きく確保することができ、また、
図2、
図3に示すように、サーバー伸長状態において、熱交換器22の上部筐体1Aから下方に突出する部分が、下部筐体1Bの下部背面板8の外側に対向するように配置されているので、熱交換器22の一部が下部筐体1Bで覆われて熱交換効率が低下するのを防止することが可能となっている。
【0047】
また、このウォーターサーバーは、
図8、
図9に示すサーバー収縮状態での筐体1の高さ寸法が900mm以下なので、一般的な大きさの海上コンテナに、立てた状態のウォーターサーバーを2段以上の高さに積み込むことが可能である。また、
図2、
図3に示すサーバー伸長状態での筐体1の高さ寸法が1100mm以上なので、ウォーターサーバーの使用時に、冷水注出口3の高さH(
図1参照)を十分に高くすることができ、ウォーターサーバーの使い勝手を確保することができる。
【0048】
上記実施形態では、上部筐体側被連結部30と下部筐体側被連結部31の連結距離を変化させるねじ式ジャッキとして、
図7、
図10に示すように、回動可能に交差して連結された第1アーム37および第2アーム38と、第1アーム37と第2アーム38の交差角度を変化させるねじ軸39およびナット部47とを有するものを挙げて説明したが、
図11(a)、(b)に示すように、下部筐体側被連結部31に上端が回動可能に連結された第1上側リンクアーム51と、第1上側リンクアーム51の下端に上端が回動可能に連結され、上部筐体側被連結部30に下端が回動可能に連結された第1下側リンクアーム52と、下部筐体側被連結部31に上端が回動可能に連結された第2上側リンクアーム53と、第2上側リンクアーム53の下端に上端が回動可能に連結され、上部筐体側被連結部30に下端が回動可能に連結された第2下側リンクアーム54と、第1上側リンクアーム51と第1下側リンクアーム52の交差角度(第2上側リンクアーム53と第2下側リンクアーム54の交差角度)を変化させるねじ軸39およびナット部47とを有するねじ式ジャッキ(パンタグラフ型ジャッキ)を採用することも可能である。
【0049】
また、
図12(a)、(b)に示すように、上部筐体側被連結部30と下部筐体側被連結部31の連結距離を変化させる連結距離可変機構32として、上部筐体側被連結部30と下部筐体側被連結部31の間に引張方向の付勢力を付与するガススプリング55を採用することも可能である。このようにすると、ガススプリング55の付勢力を利用して上部筐体1Aを上昇させることができるので、上部筐体1Aを上昇させる操作が楽である。この場合、上部筐体1Aを上昇位置でロックするロック手段(図示せず)を設けると好ましい。
【0050】
このウォーターサーバーも、上記実施形態と同様、ウォーターサーバーの使用状態における上部筐体1Aの支持が安定している。すなわち、
図12(a)、(b)に示すように、上部筐体1Aに固定された上部筐体側被連結部30と、下部筐体1Bに固定された下部筐体側被連結部31との連結距離を変化させることで上部筐体1Aを上昇させる場合、例えば、上部筐体側被連結部30を下部筐体側被連結部31よりも上側に配置し、上部筐体側被連結部30と下部筐体側被連結部31の連結距離を長くしたときに上部筐体1Aが上昇するように構成することも可能であるが、そのようにした場合、ウォーターサーバーの使用時に、連結距離可変機構32が長く伸びた状態となることから、上部筐体1Aの支持が不安定となるおそれがある。これに対し、
図12(a)、(b)のように、上部筐体側被連結部30を下部筐体側被連結部31よりも下側に配置し、上部筐体側被連結部30と下部筐体側被連結部31の連結距離を短くしたときに上部筐体1Aが上昇するように構成すると、ウォーターサーバーの使用時に、連結距離可変機構32が短く縮んだ状態となることから、上部筐体1Aの支持を安定したものとすることができる。
【0051】
上記実施形態では、筐体1の下部に交換式の水ボトル14を設置するタイプのウォーターサーバーを例に挙げて説明したが、この発明は、筐体1の上部(例えば、天板11の上面)に交換式の水ボトル14を設置するタイプのウォーターサーバーに同様に適用することも可能である。さらに、この発明は、交換式の水ボトル14に代えて、家庭の水道水を収容する原水タンクを有し、その原水タンクの水を筐体1の内部に配置した浄水カートリッジで濾過し、その濾過後の浄水を冷水タンク2に収容して冷却するタイプの浄水式ウォーターサーバーに適用してもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 筐体
1A 上部筐体
1B 下部筐体
2 冷水タンク
3 冷水注出口
9 上部側板
10 前面パネル
11 天板
20 冷却装置
21 コンプレッサ
22 熱交換器
23 膨張弁
24 冷却管
30 上部筐体側被連結部
31 下部筐体側被連結部
32 連結距離可変機構
39 ねじ軸
40 運動変換機構
47 ナット部
55 ガススプリング
F 床面