(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083803
(43)【公開日】2023-06-16
(54)【発明の名称】組成物、塗膜および積層体
(51)【国際特許分類】
C09D 201/00 20060101AFI20230609BHJP
C09D 7/65 20180101ALI20230609BHJP
C09D 7/20 20180101ALI20230609BHJP
【FI】
C09D201/00
C09D7/65
C09D7/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021197709
(22)【出願日】2021-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】弁理士法人エスエス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三川 展久
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 孝太郎
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 康寛
(72)【発明者】
【氏名】越阪部 佑太
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 紀子
【テーマコード(参考)】
4J038
【Fターム(参考)】
4J038CB032
4J038CG011
4J038CG061
4J038CG141
4J038CH121
4J038CH141
4J038DG131
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4J038EA011
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4J038NA11
4J038PA19
4J038PB05
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4J038PB09
4J038PC02
4J038PC03
4J038PC07
4J038PC08
4J038PC10
(57)【要約】
【課題】更なる薄膜化が可能であるとともに、優れた滑り性および耐摩耗性を有する塗膜、該塗膜を形成することができる塗料に好適な組成物、および該塗膜を有する積層体を提供すること。
【解決手段】下記要件(i)~(iii)を満たす超高分子量オレフィン系重合体微粒子(A)と、溶媒分散性樹脂(B)とを含有する組成物:(i)135℃デカリン溶媒中で測定した極限粘度[η]が5~50dl/gの範囲にある;(ii)コールターカウンター法による質量基準粒度分布における平均粒子径d50が3~45μmの範囲にある;(iii)目開き45μmメッシュ篩を50質量%以上が通過する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記要件(i)~(iii)を満たす超高分子量オレフィン系重合体微粒子(A)と、溶媒分散性樹脂(B)とを含有する組成物:
(i)135℃デカリン溶媒中で測定した極限粘度[η]が5~50dl/gの範囲にある;
(ii)コールターカウンター法による質量基準粒度分布における平均粒子径d50が3~45μmの範囲にある;
(iii)目開き45μmメッシュ篩を50質量%以上が通過する。
【請求項2】
前記超高分子量オレフィン系重合体微粒子(A)の前記平均粒子径d50が、3~10μmの範囲にある、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記超高分子量オレフィン系重合体微粒子(A)が、エチレン系重合体微粒子である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記溶媒分散性樹脂(B)が、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、およびポリアミドイミド樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂である、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記超高分子量オレフィン系重合体微粒子(A)の含有量が、前記溶媒分散性樹脂(B)100質量部に対して、0.5~100質量部の範囲である、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
さらに溶媒を含有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記溶媒が、水、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ケトン、エステル、およびアルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
塗料である、請求項6または7に記載の組成物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物から形成されてなる塗膜。
【請求項10】
前記超高分子量オレフィン系重合体微粒子(A)の少なくとも一部が前記塗膜の表面に存在する、請求項9に記載の塗膜。
【請求項11】
基材と、請求項9または10に記載の塗膜とを含む積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物、塗膜および積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、塗料材料は様々な用途の表面を保護する目的で使用されてきており、ウレタン樹脂やアクリル樹脂等の樹脂成分を含む塗料は、各種産業用機械、自動車、建材、家電用途等の広範囲で使用されている。特に、ゴム、プラスチックや金属、布、紙類、ガラスなどと接触し、摺動する部分に使用される塗料においては、優れた摺動性、耐摩耗性が求められるとともに、用途によっては、意匠性のある質感(例えば、マットな質感等)が求められている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
摺動性および耐摩耗性の改善という観点では、特許文献2には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及び鱗片状の固体潤滑材を塗料に添加する技術が開示されている。特許文献2の方法を用いることで、確かに塗膜の摩擦係数が低下し、耐傷性や耐摩耗性の向上が認められる。しかしながら、塗膜とポリテトラフルオロエチレンとの界面密着が弱いので、耐摩耗性は未だ満足できるものではなく、改良の余地がある。
【0004】
耐摩耗性の更なる改善を目的として、特許文献3には、超高分子量ポリエチレン粒子と水溶性ウレタン樹脂とを含有する潤滑被膜、および該被膜を形成するための塗料が開示されている。また、特許文献4には、非粘着で、且つ低摩擦性に優れる乾性潤滑被膜を形成することを目的として、超高分子量ポリエチレン粒子と、板状又は鱗片状化合物とを含む塗料組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-146681号公報
【特許文献2】特開平9-111179号公報
【特許文献3】特開2012-12480号公報
【特許文献4】特開2020-109170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した塗料分野においては、塗膜の更なる薄膜化が可能であるとともに、滑り性(摺動性)および耐摩耗性の向上が求められている。さらに、用途や目的によって、より耐久性に優れた塗膜が求められたり、滑らかな触感や、マットな質感が求められたりする場合もある。
【0007】
本発明は、更なる薄膜化が可能であるとともに、優れた滑り性および耐摩耗性を有する塗膜、該塗膜を形成することができる塗料に好適な組成物、および該塗膜を有する積層体を提供することを課題とする。また、別の観点では、耐久性、滑らかな触感および/またはマットな質感を有する塗膜、該塗膜を形成することができる塗料に好適な組成物、および該塗膜を有する積層体を提供することも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、特定の超高分子量オレフィン系重合体粒子を含む組成物を用いることにより、塗膜の更なる薄膜化が可能であるとともに、優れた滑り性および耐摩耗性を有する塗膜を形成できることを見出した。また、耐久性、滑らかな触感および/またはマットな質感を有する塗膜を形成できることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、以下の[1]~[11]の態様を含む。
[1] 下記要件(i)~(iii)を満たす超高分子量オレフィン系重合体微粒子(A)と、溶媒分散性樹脂(B)とを含有する組成物:
(i)135℃デカリン溶媒中で測定した極限粘度[η]が5~50dl/gの範囲にある;
(ii)コールターカウンター法による質量基準粒度分布における平均粒子径d50が3~45μmの範囲にある;
(iii)目開き45μmメッシュ篩を50質量%以上が通過する。
【0010】
[2] 前記超高分子量オレフィン系重合体微粒子(A)の前記平均粒子径d50が、3~10μmの範囲にある、項[1]に記載の組成物。
[3] 前記超高分子量オレフィン系重合体微粒子(A)が、エチレン系重合体微粒子である、項[1]または[2]に記載の組成物。
【0011】
[4] 前記溶媒分散性樹脂(B)が、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、およびポリアミドイミド樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂である、項[1]~[3]のいずれか1項に記載の組成物。
【0012】
[5] 前記超高分子量オレフィン系重合体微粒子(A)の含有量が、前記溶媒分散性樹脂(B)100質量部に対して、0.5~100質量部の範囲である、項[1]~[4]のいずれか1項に記載の組成物。
【0013】
[6] さらに溶媒を含有する、項[1]~[5]のいずれか1項に記載の組成物。
[7] 前記溶媒が、水、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ケトン、エステル、およびアルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種である、項[6]に記載の組成物。
[8] 塗料である、項[6]または[7]に記載の組成物。
【0014】
[9] 項[1]~[8]のいずれか1項に記載の組成物から形成されてなる塗膜。
[10] 前記超高分子量オレフィン系重合体微粒子(A)の少なくとも一部が前記塗膜の表面に存在する、項[9]に記載の塗膜。
[11] 基材と、項[9]または[10]に記載の塗膜とを含む積層体。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、更なる薄膜化が可能であるとともに、優れた滑り性および耐摩耗性を有する塗膜、該塗膜を形成することができる塗料に好適な組成物、および該塗膜を有する積層体を提供することできる。また、耐久性、滑らかな触感および/またはマットな質感を有する塗膜、該塗膜を形成することができる塗料に好適な組成物、および該塗膜を有する積層体を提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施例および比較例で作製した積層体の粒子含有割合に対するグロス値をプロットしたグラフである。
【
図2】実施例および比較例で作製した積層体の粒子含有割合に対する動摩擦係数をプロットしたグラフである
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明について詳細に説明する。
[組成物]
本発明に係る組成物は、後述する要件(i)~(iii)を満たす超高分子量オレフィン系重合体微粒子(A)と、溶媒分散性樹脂(B)とを含有する。また、本発明の組成物は、さらに溶媒を含有してもよい。
【0018】
<超高分子量オレフィン系重合体微粒子(A)>
超高分子量オレフィン系重合体微粒子(A)(以下「微粒子(A)」ともいう。)は、下記要件(i)~(iii)を満たし、好ましくは、さらに要件(iv)を満たす。
【0019】
要件(i):135℃デカリン溶媒中で測定した極限粘度[η]が5~50dl/gの範囲にある。
微粒子(A)の前記極限粘度[η]は5~50dl/g、好ましくは5~40dl/g、より好ましくは5~30dl/g、さらに好ましくは5~20dl/g、特に好ましくは5~15dl/gの範囲にある。極限粘度が上記範囲にあると、耐摩耗性、自己潤滑性および摺動性などに優れた塗膜を形成できるので好ましい。
【0020】
要件(ii):コールターカウンター法による質量基準粒度分布における平均粒子径d50が3~45μmの範囲にある。
微粒子(A)の平均粒子径d50は、コールターカウンター法による質量基準粒度分布の測定によって、粒形分布の積算値が50質量%となる値であり、平均粒子径d50は3~45μm、好ましくは3~30μm、より好ましくは3~20μm、さらに好ましくは3~10μm、よりさらに好ましくは3~9μm、特に好ましくは3~8μmの範囲にある。
【0021】
微粒子(A)の平均粒子径d50が上記範囲内であると、マットな質感の塗膜を得ることができ、また、塗膜の厚さが薄い場合でも表面を容易に平滑にできる点で好ましい。
【0022】
要件(iii):目開き45μmメッシュ篩を50質量%以上が通過する。
微粒子(A)は、振動篩または超音波式振動篩を用い、目開き45μmのメッシュ篩(JIS Z 8801 #325)を50質量%以上通過するものであり、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、特に好ましくは99質量%以上通過するものである。
【0023】
要件(iv):目開き25μmメッシュ篩を95質量%以上が通過する。
微粒子(A)は、振動篩または超音波式振動篩を用い、目開き25μmのメッシュ篩(JIS Z 8801 #500)を好ましくは95質量%以上通過するものであり、より好ましくは99質量%以上、さらに好ましくは99.97質量%以上、特に好ましくは99.99質量%以上通過するものである。
【0024】
通過量が50質量%以上ということは、粗大粒子の存在量が少ないことを意味する。粗大粒子が少ない場合、超高分子量オレフィン系重合体(粒子)が効率よく滑り性および耐摩耗性の向上に寄与することになるため、好ましいと考えられる。また、粗大粒子が少ない場合、その粒子が存在する塗膜表面は凹凸が生じにくい傾向がある。その結果、上記範囲の粒子を含む組成物は、滑らかな触感および/またはマットな質感を有する塗膜を形成しやすくなるため、好ましいと考えられる。
【0025】
本発明において超高分子量オレフィン系重合体とは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ-1-ブテン、ポリ-4-メチル-1-ペンテンなどの単独重合体や、エチレンと少量の他のα-オレフィン、たとえば、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンおよび4-メチル-1-ペンテンなどとの共重合体であるが、好ましくはエチレン系のポリマーであり、特に好ましくはエチレンの単独重合体である。
【0026】
また、微粒子(A)のメルトフローレート(MFR)は、好ましくは1.0g/10分未満であり、より好ましくは0.01g/10分以上1.0g/10分未満であり、さらに好ましくは0.01~0.5g/10分である。このMFRは、JIS K7210に従って、190℃、試験荷重21.6kgの条件で測定される。
【0027】
本発明の組成物中の微粒子(A)の含有量は、後述する溶媒分散性樹脂(B)100質量部に対して、好ましくは0.5~100質量部、より好ましくは1~50質量部、さらに好ましくは1.5~30質量部、特に好ましくは2~25質量部、最も好ましくは3~20質量部の範囲である。
【0028】
また、本発明の組成物中の微粒子(A)の含有量は、微粒子(A)と溶媒分散性樹脂(B)の合計を100質量%とした場合、好ましくは0.1~50質量%、より好ましくは0.5~40質量%、さらに好ましくは1~30質量%、さらにより好ましくは1.5~25質量%、特に好ましくは2~20質量%、最も好ましくは3.5~20質量%の範囲である。
【0029】
微粒子(A)の含有量が上述した範囲内であると、滑り性、耐摩耗性、滑らかな触感、および/またはマットな質感等の効果を得ることが容易となり、また塗料の塗布性を高く維持することが可能となる点で好ましい。
【0030】
微粒子(A)の製造方法は、微粒子(A)が上記要件(i)~(iii)を満たすものであれば特に限定は無いが、例えば、以下の文献に開示された方法により製造することができる。(1)国際公開第2006/054696号(2)国際公開第2008/013144号(3)国際公開第2009/011231号(4)国際公開第2010/074073号(5)特開2012-131959号公報
【0031】
<溶媒分散性樹脂(B)>
本発明で用いられる溶媒分散性樹脂(B)(以下、単に「樹脂(B)」ともいう。)としては、特に限定されず、塗料用途で公知の樹脂を用いることができる。例えば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、およびポリアミドイミド樹脂などが挙げられる。これらの中では、滑り性および耐摩耗性が良好であり、また種々の基材に対して高い密着性を有する点で、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂がより好ましい。樹脂(B)は1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0032】
なお、本明細書において、「溶媒分散性」とは、溶媒中に樹脂(B)の少なくとも一部が分散可能であることを意味し、「水分散」を包含する。
【0033】
前記ウレタン樹脂は、分子中にカルボキシル基、スルホニル基およびエチレンオキシド基を有することができる。これらの原子団を導入する際に使用される成分としては、例えば、2,2-ジメチロール乳酸、2,2-ジメチロールプロピオン酸、2,2-ジメチロールブタン酸、2,2-ジメチロール吉草酸、3,4-ジアミノブタンスルホン酸、3,6-ジアミノ-2-トルエンスルホン酸、ポリエチレングリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの重付加物、エチレングリコールと活性水素化合物との重合体が挙げられる。
【0034】
ウレタン樹脂の製造方法は、例えば以下のような方法が例として挙げられる。例えば、多官能イソシアネート化合物、イソシアネート基と反応し得る活性水素基を有する化合物を用い、イソシアネート基が過剰になるような当量比、あるいは活性水素基が過剰となるような当量比で、適当な有機溶媒の存在下または非存在下に反応させ、分子中にウレタン結合を有する樹脂を製造する方法等がある。
【0035】
前記アクリル樹脂としては、水酸基含有不飽和モノマー、酸基含有不飽和モノマーおよびその他の不飽和モノマーから選択された不飽和モノマー混合物を重合させることにより得ることができる。水酸基含有不飽和モノマーとしては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、プラクセルFM1(ε-カプロラクトン変性ヒドロキシエチルメタクリレート、ダイセル化学社製)、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートが挙げられる。酸基含有不飽和モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸等のカルボン酸類が挙げられる。その他の不飽和モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸のメチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、エチルヘキシル、ラウリル等のエステル基含有アクリル系単量体;ビニルアルコールと酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸とのビニルアルコールエステル系単量体;スチレン、α-メチルスチレン、ビニルナフタレン、ブタジエン、イソプレン等の不飽和炭化水素系単量体;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル系単量体;(メタ)アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系単量体が挙げられる。
【0036】
本発明の組成物中の樹脂(B)の含有量は、微粒子(A)と樹脂(B)の合計を100質量%とした場合、好ましくは50~99.9質量%、より好ましくは60~99.5質量%、さらに好ましくは70~99質量%、さらにより好ましくは75~98.5質量%、特に好ましくは80~98質量%、最も好ましくは80~96.5質量%の範囲である。樹脂(B)の含有量が前記範囲内であると、本発明の組成物を塗料として用いた場合に、塗布性を高く維持することができる等の点で好ましい。
【0037】
<溶媒>
本発明で用いてもよい溶媒としては、前記樹脂(B)の少なくとも一部を分散させることができれば特に限定されないが、例えば、水、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ケトン、エステル、およびアルコールなどが挙げられ、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中では、水およびアルコールが好ましく、近年の地球環境保護の観点、溶剤吸引による人体への影響等、労働安全衛生の面から、水が特に好ましい。
【0038】
溶媒に分散させる樹脂(B)の含有量は、本発明の効果を損ねない限り特に限定されないが、樹脂(B)と溶媒の全量を100質量%とした場合、好ましくは5~70質量%、より好ましくは10~60質量%、さらに好ましくは15~50質量%の範囲である。溶媒に分散させる樹脂(B)の含有量が前記範囲内であると、本発明の組成物を塗料として用いた場合に、より効率的に樹脂(B)を塗布できる点で好ましい。
【0039】
<その他の成分>
本発明の組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分、例えば公知の塗料添加剤を含有してもよい。具体例を以下に説明する。
【0040】
本発明の組成物は、上記微粒子(A)等の溶媒分散体を安定化させるために、酸変性ポリオレフィン化合物および/または脂肪酸化合物を含むことができ、さらに必要に応じて、皮膜の耐ブロッキング性を付与するために、アイオノマー樹脂および/または低分子量オレフィン系重合体を含むことができる。
【0041】
本発明の組成物は、必要に応じて、さらにノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、消泡剤、充填剤、レベリング剤等を含有することも可能である。
【0042】
<組成物の調製方法>
本発明の組成物の調製方法は、上述した各成分が混合させることができれば特に限定されず、公知の方法で調製することができる。例えば、公知の方法で調製された水性ウレタン樹脂またはアクリルディスパージョンに上記微粒子(A)を添加する方法が挙げられる。
【0043】
他の方法としては、例えば、ジイソシアネート、ジオール、および親水性基を含有する活性水素基含有化合物を少なくとも反応させることにより得られるイソシアネート基末端プレポリマーと、ポリアミンを含む鎖伸長剤との反応により得られるポリウレタン樹脂が水分散されてなるポリウレタンディスパージョンに、上記微粒子(A)を添加する方法が挙げられる。
【0044】
[塗料]
本発明の組成物は、塗料として用いることができ、該塗料から形成される塗膜は、各種産業用機械、自動車、建材、家電、OA機器用途等の広範囲に適用することができる。
【0045】
本発明の組成物から形成される塗膜の表面には、前記微粒子(A)の少なくとも一部が存在することが好ましい。これにより、例えば、ゴム、プラスチック、金属、布、紙類、ガラスなどと接触し、摺動する部分に、本発明の組成物からなる塗膜を形成した場合、優れた摺動性および耐摩耗性が得られるとともに、マットな質感を有する塗膜とすることができる。
【0046】
[積層体]
本発明に係る積層体は、基材と、本発明の組成物を用いて形成される塗膜とを含む。ここで、本発明の積層体は、前記基材と前記塗膜とからなるものであってもよく、あるいは、上記基材および前記塗膜に加えて、第3の層をさらに有していてもよい。
【0047】
前記基材としては、特に限定されないが、例えば、エチレンプロピレンジエン共重合体(EPDM)樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、および、金属などが挙げられる。
【0048】
EPDM樹脂は、自動車の内装および外装材料をはじめ、建物材料、OA機器材料、日常生活の至るところで使用されている。
【0049】
ABS樹脂は、自動車材料に適しており、建築材料、家電材料、OA機器材料、自動車材料として広く用いられている。ここで、ABS樹脂は、PCその他の成分と組み合わせてなるポリマーアロイの形態を有していても良い。
【0050】
PVC樹脂は、雨樋、内窓サッシなどの建築材料に適しており、自動車の内装材料、建築材料として広く用いられている。
PC樹脂は、屋根材に適しており、建築材料として広く用いられている。
【0051】
<積層体の構成および用途>
本発明の例示的な態様において、本発明の積層体は、上記基材と上記塗膜との接着性がさらに向上するよう、上記第3の層として、上記基材と上記塗膜との間に、プライマー層をさらに有している。このプライマー層は、プライマーからなる層であり、このようなプライマーとして、本発明の属する分野において一般にプライマーとして用いられている成分、例えば、酸変性ポリオレフィンなど、が挙げられる。この酸変性ポリオレフィンは、例えば、三井化学製のユニストールP-501(商品名)などの市販品であってもよい。
【0052】
本発明の積層体は、上記基材の表面に、上記塗膜を形成させることにより得ることができる。本発明の積層体は、例えば、上記基材の表面に、本発明の組成物を塗布する工程(S-1)と、前記工程(S-1)の後に、前記組成物を乾燥させる工程(S-2)とを含む製造方法により得ることができる。
【0053】
ここで、前記工程(S-1)における塗布は、本発明の属する分野において一般的に行われる方法によって行うことができ、例えば、はけやブラシを用いた塗布、スプレーによる吹き付け、スクリーン印刷法、フローコーティング、スピンコート、ディッピングによる方法や、バーコーター、Tダイ、バー付きTダイ、ドクターナイフ、ロールコート、ダイコートなどの公知の手段を用いることができる。この工程(S-1)において、上記微粒子(A)は、塗布前の形状を完全に維持する必要はないが、粒子として存在する。
【0054】
なお、前記工程(S-1)は、例えば、上記基材の表面に、プライマー層を形成する工程(S-1a)と、前記プライマー層の表面に、本発明の組成物を塗布する工程(S-1b)とを含む形で行われていてもよい。
【0055】
一方、前記工程(S-2)において、前記組成物の乾燥は、前記組成物を構成していた溶媒を除去する工程として行われる。これにより、上記微粒子(A)など、前記組成物を構成している溶媒以外の成分は、前記基材の上に固定され、上記塗膜を構成することになる。前記組成物の乾燥を行う具体的な条件は、上記微粒子(A)など前記組成物を構成している諸成分や前記基材を構成する樹脂などに応じて、適宜設定してよい。例えば、23~200℃、好ましくは23~110℃の温度で、例えば10~180分、好ましくは30~120分間乾燥させる。
【0056】
以上のような本発明の積層体は、高い耐摩耗性、優れた摺動性(滑り性)およびマットな外観が求められる用途に好適に用いることができる。そのような用途の例として、自動車部品等の車両部品、家電・OA機器、日用品、建材などが挙げられる。
【0057】
例えば、前記基材としてABS樹脂を採用してなる積層体の好適な用途として、自動車部品等の車両部品、家電・OA機器が挙げられる。
また、前記基材としてPVC樹脂を採用してなる積層体の好適な用途として、服飾雑貨などの日用品;壁紙、床材向けシートその他の建材シート;並びに、水道管が挙げられる。
【0058】
また、前記基材としてPC樹脂を採用してなる積層体の好適な用途として、樹脂窓、屋根材などの建材;並びに、レンズなどの光学部材、カバー等、ガラス代替用途が挙げられる。
【0059】
また、前記基材としてEPDM樹脂を採用してなる積層体の好適な用途として、ウェザーストリップ、グラスランチャンネル、防振、制震ゴム等の自動車部品材料をはじめ、ゴムロール等のOA機器材料用途があげられる。
【実施例0060】
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
各種物性の測定方法は、以下のとおりである。
【0061】
<極限粘度[η]>
微粒子の極限粘度[η]は、微粒子をデカリンに溶解させ、135℃で測定した。
<平均粒子径d50>
平均粒子径d50は、精密粒度分布測定装置(ベックマン社製、マルチサイザー・スリー)を用いて、コールターカウンター法による質量基準粒度分布から算出した。
【0062】
<目開き45μmメッシュ篩を通過する粒子の割合>
目開き45μmメッシュ篩を通過する粒子の割合は、目開き45μmメッシュ篩(JIS Z 8801 #325)を用いて、通過した粒子の質量を測定することにより求めた。
【0063】
<目開き25μmメッシュ篩を通過する粒子の割合>
目開き25μmメッシュ篩を通過する粒子の割合は、目開き25μmメッシュ篩(JIS Z 8801 #500)を用いて、通過した粒子の質量を測定することにより求めた。
【0064】
[超高分子量ポリエチレン微粒子(A-1)]
<合成例1>
(マグネシウム含有微粒子(a)の調製)
国際公開第2006/054696号の合成例1に記載の方法に準じて、トルエン溶媒に代えてキシレン溶媒を用いて、実施条件を調整した上で、マグネシウム含有微粒子(a)のキシレンスラリーを調製した。調製したマグネシウム含有微粒子(a)スラリーのマグネシウム濃度は0.23mmol/mL、アルミニウム濃度は0.026mmol/mLであった。
【0065】
<合成例2>
(固体触媒成分(b)の合成)
窒素置換した200mLのガラス製反応器にキシレン69.4mlを入れて、攪拌下、上記合成例1で調製したマグネシウム含有微粒子(a)のキシレンスラリー30.6ml(マグネシウム原子換算で7.05mmol)を装入した。次に、下記式(1)の遷移金属化合物(c)を33.6mg(ジルコニウム原子換算で0.0391mmol)装入し、室温で1時間反応させた。その後、反応物を濾過し、キシレン500mLで3回、デカン500mLで2回洗浄、濾過した後、デカン120mLを加えて固体触媒成分(b)のデカンスラリーを調製した。得られた固体触媒成分(b)のスラリーの一部を採取して濃度を調べたところ、ジルコニウム濃度0.000307mmol/mL、マグネシウム濃度0.0576mmol/mLであった。
【化1】
【0066】
<合成例3>
(超高分子量ポリエチレン微粒子の合成)
充分に窒素置換した内容積1Lのステンレス製オートクレーブに、ヘプタン500mLを装入し、室温でエチレンを0.4NL/minで15分間流通させ、液相および気相を飽和させた。続いて65℃に昇温した後、エチレンを0.4NL/minで流通させたまま、トリエチルアルミニウムのデカン溶液(アルミニウム原子換算で1.0mmol/mL)を1.25mL、固体触媒成分(b)を13.4mL(マグネシウム原子換算で0.16mmol)加え、温度を維持したまま5分間攪拌した。その後、エマルゲン108(花王株式会社製)のトルエン溶液(15mg/mL)6mLを装入し、一旦エチレンの流通を止め、水素を1ml装入したのちに、温度を70℃に昇温した。その後、圧力が0.35MPaGになるまで0.1NL/minでエチレンを装入し、0.35MPaGに到達した後は温度および圧力を維持したままエチレンのフィード量が56NLに達するまで重合を行った。その後、オートクレーブを冷却し、エチレンを脱圧した。得られた白色固体を含むスラリーを濾過後、ヘプタンで洗浄し、80℃で10時間減圧乾燥することにより、超高分子量ポリエチレン微粒子(A-1)69.5gを得た。
【0067】
得られた超高分子量ポリエチレン微粒子(A-1)(以下「微粒子(A-1)」ともいう。)の物性は下記の通りであった。
・極限粘度[η]=10.8dl/g
・MFR(190℃、21.6kg荷重)=0.030g/10分
・平均粒子径d50=6.2μm
・目開き45μmメッシュ篩通過率=100質量%
・目開き25μmメッシュ篩通過率=100質量%
【0068】
[超高分子量ポリエチレン微粒子(A-2)]
三井化学株式会社製「ミペロン(登録商標)PM-200」(以下「微粒子(A-2)ともいう。)を用いた。物性は下記の通りであった。
・極限粘度[η]=13.0dl/g
・MFR(190℃、21.6kg荷重)=0.020g/10分
・平均粒子径d50=12.0μm
・目開き45μmメッシュ篩通過率=100質量%
・目開き25μmメッシュ篩通過率=99.95質量%
【0069】
[PTFE粒子(C-1)]
スリーエムジャパン株式会社製「ダイニオン(登録商標)TF-9205」(平均粒子径d50=9.0μm)を用いた。
【0070】
[PTFE粒子(C-2)]
ダイキン工業株式会社製「ルブロン(登録商標)L5」(平均粒子径d50=6.0μm)を用いた。
【0071】
[水分散性樹脂(B-1)]
ポリウレタン水分散剤(三井化学製「タケラックW-6010」;固形分濃度30質量%)を用いた。
【0072】
[実施例1]
<水性塗料組成物の調製>
合成例3で得られた微粒子(A-1)0.19gと、水分散性樹脂(B-1)(三井化学製「タケラックW-6010」;固形分濃度30質量%)50gと、微粒子(A-1)100質量%に対して3質量%となる量の界面活性剤(エボニック製「ダイノール604)とを加え、室温で自転公転方式攪拌脱泡ミキサー(シンキー製「ARE-310」)を用いて5分間攪拌することにより、水性塗料組成物(X-1)を得た。固形分全体を100質量%とした時の微粒子(A-1)の含有割合は1.25質量%であった。
【0073】
<積層体の作製>
あらかじめプライマー(モノタロウ製 密着プライマーマルチエアゾール型)を塗布したEPDM製の基材(厚さ:3mm)に、上記で得られた水性塗料組成物(X-1)を塗布し、70℃雰囲気下で30分間乾燥させることにより、前記基材上に厚さ7μmの塗膜を形成した積層体を得た。
【0074】
[実施例2~5]
水性塗料組成物(X-1)の微粒子(A-1)の固形分全体に対する配合割合を、表1に記載した配合割合となるように変更したこと以外は実施例1と同様にして、水性塗料組成物の調製および積層体の作製を行った。
【0075】
[実施例6]
微粒子(A-1)の代わりに、微粒子(A-2)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、水性塗料組成物(X-2)を調製した。
【0076】
<積層体の作製>
水性塗料組成物(X-1)の代わりに水性塗料組成物(X-2)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして積層体を作製した。
【0077】
[実施例7~10]
水性塗料組成物(X-2)の微粒子(A-2)の固形分全体に対する配合割合を、表1に記載した配合割合となるように変更したこと以外は実施例6と同様にして、水性塗料組成物の調製および積層体の作製を行った。
【0078】
[比較例1]
微粒子(A-1)の代わりに、PTFE粒子(C-1)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、水性塗料組成物(X-3)を調製した。
【0079】
<積層体の作製>
水性塗料組成物(X-1)の代わりに水性塗料組成物(X-3)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして積層体を作製した。
【0080】
[比較例2~5]
水性塗料組成物(X-3)のPTFE粒子(C-1)の固形分全体に対する配合割合を、表2に記載した配合割合となるように変更したこと以外は比較例1と同様にして、水性塗料組成物の調製および積層体の作製を行った。
【0081】
[比較例6]
PTFE粒子(C-1)の代わりに、PTFE粒子(C-2)を用いたこと以外は比較例1と同様にして、水性塗料組成物(X-4)を調製した。
【0082】
<積層体の作製>
水性塗料組成物(X-3)の代わりに水性塗料組成物(X-4)を用いたこと以外は、比較例1と同様にして積層体を作製した。
【0083】
[比較例7~10]
水性塗料組成物(X-4)のPTFE粒子(C-2)の固形分全体に対する配合割合を、表2に記載した配合割合となるように変更したこと以外は比較例6と同様にして、水性塗料組成物の調製および積層体の作製を行った。
【0084】
[比較例11]
水分散性樹脂(B-1)(三井化学製「タケラックW-6010」;固形分濃度30質量%)のみをプライマー塗布したEPDM製の基板に塗布したこと以外は、実施例1と同様にして積層体を作製した。
【0085】
[積層体の評価]
得られた積層体は、次の方法で評価した。評価結果を表1、表2に示す。また、グロス値および動摩擦係数の評価結果については、それぞれ
図1および
図2にグラフでも示す。
【0086】
<グロス値>
積層体のグロス値は、グロスメーター[堀場製作所製 グロスチェッカーIG-320、入射角60°、受光角60°]を、積層体の表面に当てて測定した。得られたグロス値が低いほど、艶消し効果(マットな質感)に優れている。
【0087】
<動摩擦係数>
学伸摩耗試験機(新東科学株式会社製)を使用し、積層体(幅5mm、厚さ3mm)表面をガラス平板(30mm×30mm×厚さ6mm)に接触させて1回往復から5000回往復までの動摩擦係数を測定し、平均値を算出した。試験条件は、荷重:200g、速度:150mm/秒、ストローク80mm、測定環境温度:23℃とした。得られた動摩擦係数の値が低いほど、滑り性および耐磨耗性に優れている。
【0088】
<耐久性試験>
学伸摩耗試験機(新東科学株式会社製)を使用し、積層体(幅5mm、厚さ3mm)表面をガラス平板(30mm×30mm×厚さ6mm)に接触させて1回往復から20000回往復まで測定し5000回往復毎に滑り性を確認した。滑り不良の発生の×は、ガラス平板が積層体表面より飛び跳ねる状態を意味する。滑り不良により学伸摩耗試験測定が困難な場合は、測定不可とした。試験条件は、荷重:200g、速度:150mm/秒、ストローク80mm、測定環境温度:23℃とした。表1、表2において「-」は、評価未実施であることを意味する。
【0089】
<表面の二乗平均平方根高さSq>
レーザー顕微鏡(オリンパス社製、LEXT OLS4000)を用いて得られた積層体表面の二乗平均平方根高さSqを測定した。測定条件は、対物レンズ:20倍、フィルム測定面積:1.22mm×1.22mmとした。
【0090】
【0091】
【0092】
上記結果から明らかなように、微粒子(A)を用いた実施例と、PTFE粒子を用いた比較例とでは、粒子含有割合が同条件の場合、実施例のほうが滑り性、耐磨耗性および艶消し効果に優れていた。また、微粒子(A-1)を用いた実施例1~5のほうが微粒子(A-2)を用いた実施例6~10よりも、それらの効果(特に艶消し効果)がより高い結果であった。