(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083811
(43)【公開日】2023-06-16
(54)【発明の名称】切換機構、および車両
(51)【国際特許分類】
F16K 11/085 20060101AFI20230609BHJP
【FI】
F16K11/085 Z
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021197728
(22)【出願日】2021-12-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】391001169
【氏名又は名称】櫻護謨株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 宏
(72)【発明者】
【氏名】仲村 公孝
【テーマコード(参考)】
3H067
【Fターム(参考)】
3H067AA23
3H067CC32
3H067DD03
3H067DD12
3H067DD23
3H067EA02
3H067EA05
3H067EA34
3H067FF11
3H067GG03
3H067GG21
(57)【要約】
【課題】 簡易な構成で経路の接続先を切り換えることが可能な切換機構、および切換機構を備える車両を提供する。
【解決手段】 一実施形態に係る切換機構は、収容部と、前記収容部に繋がる複数の接続部と、を有する本体と、複数の経路を有し、前記収容部に設けられた回転体と、を備え、前記複数の接続部は、第1接続部と、第2接続部と、第3接続部と、第4接続部と、を有し、前記複数の経路は、第1経路と、第2経路と、第3経路と、第4経路と、を有する。前記収容部において、前記回転体は、第1位置と、前記第1位置と異なる第2位置との間で回転し、前記第1位置において、前記第1経路は前記第1接続部と前記第2接続部とを繋ぎ、前記第2経路は前記第3接続部と前記第4接続部とを繋ぎ、前記第2位置において、前記第3経路は前記第1接続部と前記第4接続部とを繋ぎ、前記第4経路は前記第2接続部と前記第3接続部とを繋ぐ。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容部と、前記収容部に繋がる複数の接続部と、を有する本体と、
複数の経路を有し、前記収容部に設けられた回転体と、を備え、
前記複数の接続部は、第1接続部と、第2接続部と、第3接続部と、第4接続部と、を有し、
前記複数の経路は、第1経路と、第2経路と、第3経路と、第4経路と、を有し、
前記収容部において、前記回転体は、第1位置と、前記第1位置と異なる第2位置との間で回転し、
前記第1位置において、前記第1経路は前記第1接続部と前記第2接続部とを繋ぎ、前記第2経路は前記第3接続部と前記第4接続部とを繋ぎ、
前記第2位置において、前記第3経路は前記第1接続部と前記第4接続部とを繋ぎ、前記第4経路は前記第2接続部と前記第3接続部とを繋ぐ、
切換機構。
【請求項2】
前記複数の経路は、前記回転体の内部に形成され、それぞれ独立している、
請求項1に記載の切換機構。
【請求項3】
前記本体は、軸を中心とする円筒状の内周面を有し、
前記収容部は、前記内周面に囲われ、
前記回転体は、円柱状に形成され、前記内周面に対向する外周面を有し、前記軸を中心に前記内周面に沿って回転可能に前記収容部に設けられ、
前記複数の経路は、前記外周面をそれぞれ貫通している、
請求項1または2に記載の切換機構。
【請求項4】
前記複数の経路のうち少なくとも1つは、曲線からなる部分を含んでいる、
請求項3に記載の切換機構。
【請求項5】
前記第1経路および前記第2経路は、曲線からなる部分を含み、
前記第3経路および前記第4経路は、曲線からなる部分を含まない、
請求項4に記載の切換機構。
【請求項6】
前記第1経路および前記第2経路は、前記第3経路と前記第4経路との間を通っている、
請求項5に記載の切換機構。
【請求項7】
車体と、
第1連通口を有し、前記車体に設けられた収容室と、
第2連通口を有し、前記車体に設けられ前記車体の外部と接続された中継部と、
空気を取り込むための吸込口と空気を吐出するための吐出口とを有し、前記車体に設けられた送風装置と、
前記第1連通口および前記第2連通口の接続先を前記吸込口と前記吐出口との間で切り換え可能な請求項1乃至6のいずれか1項に記載の切換機構と、を備え、
前記切換機構が前記第1連通口と前記吐出口とを接続し前記第2連通口と前記吸込口とを接続することで、前記収容室の圧力が外気の圧力より高くなり、
前記切換機構が前記第2連通口と前記吐出口とを接続し前記第1連通口と前記吸込口とを接続することで、前記収容室の圧力が外気の圧力より低くなる、
車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切換機構、および車両に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の経路が設けられている場合、それらの経路の接続先を適宜切り換えることで、状況に応じた経路を形成したい場合がある。経路には、例えば液体や気体などの流体の流路、配線、および電車の線路などが含まれる。
【0003】
特許文献1には、車両用換気装置が開示されている。車両用換気装置は、車外の新鮮な空気を車内に取り入れあるいは車内の汚れた空気を車外に排出する給排気兼用送風機、送風機の出入口に設けた流路切替弁、車内外の圧力差によって自然排出あるいは自然吸入するための連通ダクト、前記連通ダクトの風量を調節するための絞り弁、車外の圧力を検出して前記流路切替弁及び絞り弁の動作を制御する制御装置からなることを特徴とするものである。車両用換気装置は、送風機の出入口にそれぞれ設けられた流路切替弁を用いて流路の切り換えを行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された車両用換気装置を踏まえても、経路の接続先の切り換えに関しては未だに改善の余地がある。例えば、特許文献1に開示されている車両用換気装置には、複数の流路切替弁を設けられている。複数の流路切替弁を設けることで装置自体が複雑化したり大型化したりする。そのため、限られた車両の空間においては、車両の内部に配置される他の設備(収容室や送風手段)などの制約により設置が困難な場合などがある。
【0006】
本発明は、簡易な構成で経路の接続先を切り換えることが可能な切換機構、および切換機構を備える車両を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係る切換機構は、収容部と、前記収容部に繋がる複数の接続部と、を有する本体と、複数の経路を有し、前記収容部に設けられた回転体と、を備え、前記複数の接続部は、第1接続部と、第2接続部と、第3接続部と、第4接続部と、を有し、前記複数の経路は、第1経路と、第2経路と、第3経路と、第4経路と、を有する。
【0008】
前記収容部において、前記回転体は、第1位置と、前記第1位置と異なる第2位置との間で回転し、前記第1位置において、前記第1経路は前記第1接続部と前記第2接続部とを繋ぎ、前記第2経路は前記第3接続部と前記第4接続部とを繋ぎ、前記第2位置において、前記第3経路は前記第1接続部と前記第4接続部とを繋ぎ、前記第4経路は前記第2接続部と前記第3接続部とを繋ぐ。
【0009】
前記複数の経路は、前記回転体の内部に形成され、それぞれ独立してもよい。前記本体は、軸を中心とする円筒状の内周面を有し、前記収容部は、前記内周面に囲われ、前記回転体は、円柱状に形成され、前記内周面に対向する外周面を有し、前記軸を中心に前記内周面に沿って回転可能に前記収容部に設けられ、前記複数の経路は、前記外周面をそれぞれ貫通してもよい。
【0010】
前記複数の経路のうち少なくとも1つは、曲線からなる部分を含んでもよい。前記第1経路および前記第2経路は、曲線からなる部分を含み、前記第3経路および前記第4経路は、曲線からなる部分を含まなくてもよい。前記第1経路および前記第2経路は、前記第3経路と前記第4経路との間を通ってもよい。
【0011】
一実施形態に係る車両は、車体と、第1連通口を有し、前記車体に設けられた収容室と、第2連通口を有し、前記車体に設けられ前記車体の外部と接続された中継部と、空気を取り込むための吸込口と空気を吐出するための吐出口とを有し、前記車体に設けられた送風装置と、前記第1連通口および前記第2連通口の接続先を前記吸込口と前記吐出口との間で切り換え可能な前記切換機構と、を備える。
【0012】
前記切換機構が前記第1連通口と前記吐出口とを接続し前記第2連通口と前記吸込口とを接続することで、前記収容室の圧力が外気の圧力より高くなり、前記切換機構が前記第2連通口と前記吐出口とを接続し前記第1連通口と前記吸込口とを接続することで、前記収容室の圧力が外気の圧力より低くなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡易な構成で経路の接続先を切り換えることが可能な切換機構、および切換機構を備える車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る車両の概略的な側面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す収容室および資機材室の概略的な側面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す収容室および資機材室の概略的な側面図である。
【
図4】
図4は、一実施形態に係る切換弁の概略的な分解斜視図である。
【
図5】
図5は、一実施形態に係る切換弁の概略的な分解斜視図である。
【
図8】
図8は、切換弁による経路の接続先の切り換えを説明するための図である。
【
図9】
図9は、切換弁による経路の接続先の切り換えを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態につき、図面を参照しながら説明する。本実施形態においては。切換機構の一例として、液体や気体などの流体の流路の接続先を切り換えるための切換弁、および当該切換弁を備える車両について、説明する。流路は経路の一例であり、経路には例えば配線、電車の線路などが含まれる。
【0016】
図1は、本実施形態に係る車両100の概略的な側面図である。本実施形態においては、車両100の一例として、緊急車両である消防用車両を示す。緊急車両は、他に救急車両、特殊災害対策車などがある。
【0017】
車両100は、車体11と、複数(例えば、4つ)の車輪20と、を備えている。車体11は、フレームと、運転席が設けられたキャビン12と、キャビン12の後方に連結された車体本体13と、を有している。
【0018】
さらに、車両100は、収容室14と、資機材室15と、を備えている。収容室14および資機材室15は、車体本体13に設けられている。収容室14および資機材室15は、この順でキャビン12側から並んでいる。収容室14と資機材室15との間は、扉などの仕切り16が設けられている。
【0019】
収容室14は、後述の送風装置などにより室内の圧力が陽圧および陰圧に設定される。収容室14は、資機材室15と接続された第1連通口17を有している。車両100は、送風装置30と、中継部40と、切換弁50と、をさらに備えている。送風装置30、中継部40、および切換弁50は、資機材室15にそれぞれ設けられている。
【0020】
送風装置30は、ファンを有する送風機構31と、空気を清浄化するためのフィルタを有する空気清浄機構32と、空気を取り込むための吸込口33と、空気を吐出するための吐出口34と、を有している。吸込口33および吐出口34は、切換弁50にそれぞれ接続されている。
【0021】
送風装置30は、吸込口33および吐出口34の他に、埃などを放出するための放出口、放出用ホースなどを有してもよい。送風装置30は、例えば陽圧装置、陰圧装置、および換気ユニットなどである。
【0022】
中継部40は、車体11の外部と接続され、車体11の外部と空気のやり取りをする。中継部40は、外部接続口41と、第2連通口42と、を有している。外部接続口41は、例えば、資機材室15の上面、下面、および側面のいずれかに設けられる。
【0023】
中継部40は外部接続口41を介して車体11の外部と接続され、第2連通口42を介して資機材室15の内部と接続されている。第1連通口17および第2連通口42は、切換弁50にそれぞれ接続されている。以下、車体11の外部の空気を「外気」と呼ぶことがある。
【0024】
次に、収容室14の圧力を外気の圧力より高くする場合(収容室を陽圧室とする場合)、および外気の圧力より低くする場合(収容室を陰圧室とする場合)について、説明する。収容室14の圧力と外気の圧力との差圧は、例えば送風装置30により±0~800Paの範囲で設定することができる。
【0025】
図2および
図3は、
図1に示す収容室14および資機材室15の概略的な側面図である。一例として、
図2は送風装置30が中継部40から空気を吸い込む状態であり、
図3は送風装置30が収容室14から空気を吸い込む状態である。
図2以降においては、流体の流れを矢印にて示す場合がある。
【0026】
図2および
図3に示すように、収容室14は、室内の換気を行うための換気口141と、室内の圧力を調整するための調整バルブ142と、を有している。換気口141および調整バルブ142は、例えば仕切り16に設けられているが、他の位置に設けられてもよい。
【0027】
換気口141は、換気用ホース143を介して中継部40と接続されている。換気口141には、図示しない換気扇、扉などが設けられている。収容室14を使用する際、換気口141は、例えば扉で閉じられている。
【0028】
調整バルブ142は、バルブ用ホース144を介して中継部40と接続されている。例えば、調整バルブ142は、室内の圧力が予め設定された圧力以上になると開き、室内の空気は中継部40へ排出される。調整バルブ142は、室内の過度な圧力の変動を抑制する。
【0029】
切換弁50は、本体60と、後述の回転体(
図4および
図5に示す)と、回転体を操作するための操作部70と、を有している。本体60は、第1ポート61と、第2ポート62と、第3ポート63と、第4ポート64と、を有している。一例として、第1ポート61は第1接続部に相当し、第2ポート62は第2接続部に相当し、第3ポート63は第3接続部に相当し、第4ポート64は第4接続部に相当する。
【0030】
操作部70は、例えば回転体に設けられたハンドルであり、手動で操作できる。作業者は、操作部70により回転体を第1位置と、第1位置と異なる第2位置との間で切り換えることができる。
【0031】
第1位置においては、第1ポート61と第2ポート62とが連通し、第3ポート63と第4ポート64とが連通する。第2位置においては、第1ポート61と第4ポート64とが連通し、第2ポート62と第3ポート63とが連通する。
図2示す例において、切換弁50の回転体は第1位置に位置し、
図3示す例において、切換弁50の回転体は第2位置に位置している。
【0032】
切換弁50は、複数のホースを介して収容室14、送風装置30、および中継部40とそれぞれ接続されている。複数のホースは、ホース91と、ホース92と、ホース93と、ホース94と、を有している。ホース91~94の各々は、一本のホースでもよいし、複数のホースで構成されてもよい。
【0033】
ホース91~94の口径は、例えば150A以下であって、一例としては100Aである。ホース91~94は、切換弁50に接続された配管の一例である。ホース91~94は、例えばダクトなどによって構成されてもよい。
【0034】
図2および
図3に示す例において、第1ポート61は、ホース91を介して吸込口33と接続されている。第2ポート62は、ホース92を介して第2連通口42と接続されている。第3ポート63は、ホース93を介して吐出口34と接続されている。第4ポート64は、ホース94を介して第1連通口17と接続されている。
【0035】
この場合、第1位置において、吸込口33は第2連通口42と接続され吐出口34は第1連通口17と接続され、第2位置において、吸込口33は第1連通口17と接続され吐出口34は第2連通口42と接続される。すなわち、切換弁50は、第1連通口17および第2連通口42の接続先を吸込口33と吐出口34との間で切り換え可能である。
【0036】
図2を用いて、収容室14を陽圧室とする場合について説明する。
図2に示した例においては、切換弁50が第2連通口42と吸込口33とを接続し、第1連通口17と吐出口34とを接続している。
【0037】
まず、外部接続口41から中継部40に流入した空気は、第2連通口42からホース92を介して、第2ポート62から切換弁50へ流入する。切換弁50に流入した空気は、第1ポート61から流出する。流出した空気は、ホース91を介して、吸込口33から送風装置30へ吸い込まれる。
【0038】
送風装置30に吸い込まれた空気は、空気清浄機構32によって清浄化される。清浄化された空気は、吐出口34からホース93を介して、第3ポート63から切換弁50へ流入する。
【0039】
切換弁50に流入した空気は、第4ポート64から流出する。流出した空気は、ホース94を介して、第1連通口17から収容室14へ送られる。空気が中継部40から収容室14へ送られることで収容室14が加圧され、収容室14の圧力が外気の圧力より高くなる。
【0040】
次に、
図3を用いて、収容室14を陰圧室とする場合について説明する。
図3に示した例においては、切換弁50が第1連通口17と吸込口33とを接続し、第2連通口42と吐出口34とを接続している。
【0041】
まず、収容室14の空気は、第1連通口17からホース94を介して、第4ポート64から切換弁50へ流入する。切換弁50に流入した空気は、第1ポート61から流出する。流出した空気は、ホース91を介して、吸込口33から送風装置30へ吸い込まれる。
【0042】
送風装置30に吸い込まれた空気は、空気清浄機構32によって清浄化される。清浄化された空気は、吐出口34からホース93を介して、第3ポート63から切換弁50へ流入する。
【0043】
切換弁50に流入した空気は、第2ポート62から流出する。流出した空気は、ホース92を介して、第2連通口42から中継部40へ送られる。空気が中継部40へ送られると、外部接続口41から車体11の外部へ流出する。空気が収容室14から中継部40へ送られることで収容室14が減圧され、収容室14の圧力が外気の圧力より低くなる。
【0044】
図4および
図5は、本実施形態に係る切換弁50の概略的な分解斜視図である。
図6および
図7は、
図4および
図5に示す回転体80の概略的な側面図である。
図4乃至
図7を用いて、切換弁50に適用し得る構成の一例を説明する。
図4においては回転体80が第1位置に位置し、
図5においては回転体80が第2位置に位置している。
【0045】
上述の通り切換弁は、本体60、回転体80、および操作部70を有している。切換弁50を構成する各部材は、アルミニウム合金、ステンレスなどの金属材料や樹脂などの非金属材料によりそれぞれ形成される。回転体80は、本体60の軸AXと同軸上に位置している。
【0046】
図4および
図5に示す例において、本体60は、軸AXを中心とする円筒状に形成されている。本体60は、外周面67と、内周面68と、を有している。ここで、軸AXに沿う方向を軸方向Dxと定義し、軸AXを中心とする周方向θを定義する。
【0047】
外周面67および内周面68は、軸方向Dxに一様な径を有している。本体60は、内周面68に囲われた収容部69をさらに有している。
図2および
図3を用いて説明したポート61~64は、本体60に形成され、収容部69に繋がっている。
【0048】
ポート61~64は、外周面67と内周面68とをそれぞれ貫通しているため、収容部69は本体60の外部と軸AXから離れる方向に連通されている。ポート61~64は、例えば円形状である。
【0049】
第1ポート61および第3ポート63は軸方向Dxに並び、第2ポート62および第4ポート64は軸方向Dxに並んでいる。第1ポート61は第4ポート64と対向し、第2ポート62は第3ポート63と対向している。軸方向Dxにおいて、第1ポート61は第4ポート64と本体60の一端から同じ位置にあり、第2ポート62は第3ポート63と本体60の一端から同じ位置にある。
【0050】
より具体的には、第1ポート61は第4ポート64と同軸上に位置し、第2ポート62は第3ポート63と同軸上に位置している。第1ポート61および第4ポート64の軸を軸X61とし、第2ポート62および第3ポート63の軸を軸X62とする。軸X61は、一例として軸X62と平行に延びている。軸X61および軸X62は軸AXと交差し、一例として直交している。
【0051】
ポート61~64には、外部から他の経路を接続することが可能である。
図4および
図5に示す例においては、第1ポート61に第1管96が接続され、第2ポート62に第2管97が接続され、第3ポート63に第3管98が接続され、第4ポート64に第4管99が接続されている。
【0052】
図2および
図3を用いて説明したホース91~94は、管96~99を介してポート61~64とそれぞれ接続されている。一例として、管96~99の端部には、ホース91~94を接続するための図示してない接続具が設けられている。第1管96および第4管99は軸X61に沿って互いに反対方向に延び、第2管97および第3管98は軸X62に沿って互いに反対方向に延びている。
【0053】
回転体80は、例えば3Dプリンタなどを用いた3次元造形により一体に形成される。回転体80は、回転可能に収容部69に設けられている。より具体的には、回転体80は、操作部70により軸AXを中心に内周面68に沿って周方向θに90度回転する。これにより、回転体80を第1位置と第2位置との間で切り換えることができる。回転体80の回転方向および角度は、この例に限られない。
【0054】
図4および
図5に示す例において、回転体80は、軸AXを中心とする円柱状に形成されている。回転体80は、内周面68に対向する外周面81を有している。外周面81は、軸方向Dxに一様な径を有している。
【0055】
図4および
図5に示すように、回転体80は、複数の経路を有している。複数の経路は、外周面81をそれぞれ貫通している。複数の経路は、回転体80の内部に形成されている。複数の経路は、第1経路P1と、第2経路P2と、第3経路P3と、第4経路P4と、を有している。
【0056】
第1経路P1は、両端に開口P1a,P1bを有している。第2経路P2は、両端に開口P2a,P2bを有している。第3経路P3は、両端に開口P3a,P3bを有している。第4経路P4は、両端に開口P4a,P4bを有している。
【0057】
開口P1aおよび開口P2aは軸方向Dxに並び、開口P1bおよび開口P2bは軸方向Dxに並んでいる。開口P3aおよび開口P4aは軸方向Dxに並び、開口P3bおよび開口P3bは軸方向Dxに並んでいる。
【0058】
開口P1aは開口P2bと対向し、開口P3aは開口P3bと対向している。開口P1bは開口P2aと対向し、開口P4aは開口P4bと対向している。軸方向Dxにおいて、開口P1a,P2b,P3a,P3bは回転体80の一端から同じ位置にあり、開口P1b,P2a,P4a,P4bは回転体80の一端から同じ位置にある。
【0059】
開口P1aは開口P2bと同軸上に位置し、開口P3aは開口P3bと同軸上に位置している。開口P1bは開口P2aと同軸上に位置し、開口P4aは開口P4bと同軸上に位置している。
【0060】
複数の経路P1~P4は、それぞれ独立している。ここで、「独立している」とは、各経路が他の経路と回転体80の内部で繋がっていないことをいう。他の観点からは、各経路は、両端の開口をそれぞれ繋げている。
【0061】
第1経路P1は線XP1に沿って延び、第2経路P2は線XP2に沿って延び、第3経路P3は線XP3に沿って延び、第4経路P4は線XP4に沿って延びている。経路P1~P4は、線XP1~XP4を中心に一様な径で延びている。
【0062】
図6は回転体80を開口P1a,P2a側から見ており、
図7は回転体80を開口P3a,P4a側から見ている。複数の経路P1~P4のうち少なくとも1つは、曲線からなる部分を含んでいる。より具体的には、
図4乃至
図7に示す例において、第1経路P1および第2経路P2は曲線からなる部分を含み、第3経路P3および第4経路P4は曲線からなる部分を含んでいない。
【0063】
他の観点からは、第1経路P1および第2経路P2の線XP1,XP2は曲線からなる部分を含み、第3経路P3および第4経路P4の線XP3,XP4は直線状であり曲線からなる部分を含んでいない。
【0064】
第1経路P1および第2経路P2の線XP1,XP2は、直線からなる部分を含んでもよい。
図6に示す例において、線XP1,XP2は、軸AXと交差してない。線XP3は、一例として線XP4と平行に延びている。線XP3,XP4は軸AXと交差し、一例として直交している。
【0065】
図6および
図7に示す例において、第1経路P1および第2経路P2は、第3経路P3と第4経路P4との間を通っている。他の観点からは、線XP1,XP2は、線XP3と線XP4との間を通っている。
【0066】
図4に示すように、第1位置においては、開口P1aは軸方向Dxに第1ポート61と一致し、開口P1bは軸方向Dxに第2ポート62と一致する。開口P2aは軸方向Dxに第3ポート63と一致し、開口P2bは軸方向Dxに第4ポート64と一致する。
【0067】
そのため、第1経路P1は第1ポート61と第2ポート62とを繋ぎ、第2経路P2は第3ポート63と第4ポート64とを繋ぐことができる。第1位置においては、線XP3,XP4は、軸AXと直交している。
【0068】
図5に示すように、第2位置においては、開口P3aは軸方向Dxに第1ポート61と一致し、開口P3bは軸方向Dxに第4ポート64と一致する。開口P4aは軸方向Dxに第3ポート63と一致し、開口P4bは軸方向Dxに第2ポート62と一致する。
【0069】
そのため、第3経路P3は第1ポート61と第4ポート64とを繋ぎ、第4経路P4は第2ポート62と第3ポート63とを繋ぐことができる。第2位置においては、線XP3は軸X61上に位置し、線XP4は軸X62上に位置している。
【0070】
図4において、回転体80が第1位置における切換弁50の空気の流れを説明する。
まず、中継部40と接続されたホース92を介して、空気が第2管97から第2ポート62へ流入する。第2ポート62から流入した空気は、第1経路P1を介して第1ポート61に到達する。第1ポート61に到達した空気は、第1管96と接続されたホース91を介して送風装置30に吸い込まれる。
【0071】
そして、送風装置30から吐出された空気は、ホース93が接続された第3管98を介して第3ポート63へ流入する。第3ポート63から流入した空気は、第2経路P2を介して第4ポート64に到達する。第4ポート64に到達した空気は、第4管99と接続されたホース94を介して収容室14へ送られる。
【0072】
次に、
図5において、回転体80が第2位置における切換弁50の空気の流れを説明する。まず、収容室14と接続されたホース94を介して、空気が第4管99から第4ポート64へ流入する。第4ポート64から流入した空気は、第3経路P3を介して第1ポート61に到達する。第1ポート61に到達した空気は、第1管96と接続されたホース91を介して送風装置30に吸い込まれる。
【0073】
そして、送風装置30から吐出された空気は、ホース93が接続された第3管98を介して第3ポート63へ流入する。第3ポート63から流入した空気は、第4経路P4を介して第2ポート62に到達する。第2ポート62に到達した空気は、第2管97と接続されたホース92を介して中継部40へ送られる。
【0074】
切換弁50において、例えば本体60の内周面68と回転体80の外周面81との間は、流体の漏洩を防止するためにシールされている。一例として、回転体80の外周面81には、環状の溝82とOリングRとにより構成されるシール構造が形成されている。
【0075】
図4および
図5に示す例においては、回転体80の外周面81に3つの溝82が形成されている。OリングRは、3つの溝82にそれぞれ装着されている。溝82およびOリングRの数は、3つに限られず、4つ以上であってもよい。溝82は、回転体80の外周面81ではなく、本体60の内周面68に形成されてもよい。シール材は、OリングRに限られず、他のシール材であってもよい。シール材は、流路を流れる流体の種類により適宜選択される。
【0076】
次に、切換弁50における経路の接続先の切り換えについて、説明する。
図8および
図9は、切換弁50による経路の接続先の切り換えを説明するための図である。
図8および
図9においては、切換弁50の構造を模式的に示している。切換弁50には、4つの流路が接続されている。
【0077】
図8においては回転体80が第1位置に位置し、
図9においては回転体80が第2位置に位置している。
図8および
図9においては、図示されていないが第1ポート61に送風装置30の吸込口33が接続され、第3ポート63に送風装置30の吐出口34が接続されている。
【0078】
図8に示すように、第1位置において、切換弁50は、第1経路P1が第1ポート61と第2ポート62とを繋ぎ、第2経路P2が第3ポート63と第4ポート64とを繋いでいる。
【0079】
図9に示すように、第2位置において、切換弁50は、第3経路P3が第1ポート61と第4ポート64とを繋ぎ、第4経路P4が第2ポート62と第3ポート63とを繋いでいる。
【0080】
回転体80が上述のような4つの経路P1~P4を有するため、回転体80を回転させることで、第1ポート61および第3ポート63の接続先を第2ポート62と第4ポート64との間で切り換えることができる。すなわち、第1ポート61および第3ポート63に接続されている流路の接続先を第2ポート62と第4ポート64との間で切り換えることができる。
【0081】
送風装置30の空気の流れは、吸込口33から吐出口34への一方向である。本実施形態のように切換弁50に送風装置30が接続されている場合においては、切換弁50を介して送風装置30の吸込口33および吐出口34の接続先をそれぞれ切り換えることで空気の流れを変えることができる。
【0082】
第1位置においては、第2ポート62が送風装置30の上流側にあり第4ポート64が送風装置30の下流側にあるが、第2位置においては、第4ポート64が送風装置30の上流側にあり第2ポート62が送風装置30の下流側にある。切換弁50を設けることで、第2ポート62および第4ポート64に接続された流路の流れの方向は、反対方向に切り換っている。
【0083】
以上のように構成された本実施形態の切換弁50であれば、簡易な構成で経路の接続先を切り換えることが可能である。より具体的には、収容部69に設けられた回転体80の位置を第1位置と第2位置との間で切り換えることで、第1ポート61および第3ポート63の接続先を第2ポート62と第4ポート64との間で切り換えることができる。
【0084】
これにより、第1ポート61に接続された流路および第3ポート63に接続された流路に対して、第2ポート62に接続された流路と第4ポート64に接続された流路との間で接続先を切り換えることで、状況に応じた流路を形成することができる。
【0085】
さらに、経路P1~P4は、回転体80の内部に形成されている。そのため、本体60に接続される管の数を少なくし、本体60をシンプルな構造に形成することができる。本体60に接続される管を少なくすることで、切換弁50の圧力損失を抑制することができる。
【0086】
本体60に接続される管の数を少なくすることで切換弁50はコンパクトになり、例えば車体などの狭い空間に切換弁50を設けることができる。さらに、切換弁50を構成する部品点数を削減し組み立て工数を削減することで、切換弁50の製造コストを抑制することができる。
【0087】
経路P1~P4はそれぞれ独立しているため、回転体80の内部で他の経路の流体と混合することがない。本実施形態のように、経路P1~P4を形成することで、回転体80の内部で複数の経路を独立させることができる。
【0088】
第3経路P3および第4経路P4を曲線からなる部分を含まないように形成することで、第3経路P3および第4経路P4をできる限り短くすることができる。第1経路P1および第2経路P2を第3経路P3と第4経路P4との間を通すことで、第1経路P1および第2経路P2をできる限り短くすることができる。経路P1~P4をできる限り短くすることで、切換弁50の圧力損失を抑制することができる。
【0089】
本実施形態のように1つの切換弁50を送風装置30と接続することで、切換弁50を介して送風装置30の吸込口33および吐出口34の接続先を任意に切り換えることができる。そのため、1台の車両100に1台の送風装置30を設けることで、陽圧室と陰圧室とを兼用した収容室14を設けることができる。
【0090】
収容室14を陰圧室にする場合、回転体80は、直線状に形成された第3経路P3および第4経路P4を使用するほうが好ましい。経路が曲線からなる部分を含む場合と比較して、切換弁50の圧力損失を抑制することができ、空気を中継部40へ向けて流しやすくなり、収容室14の圧力を陰圧に設定しやすくなる。
【0091】
収容室14を陽圧室と陰圧室とで兼用することができれば、車両100が出動する際に、出動する現場に応じて収容室14の圧力を適宜変更できる。例えば、車両100の周辺が汚染されている場合には、収容室14を陽圧室とすることで救助隊員の安全を確保することができる。
【0092】
要救助者が有毒ガスや感染症などの災害で罹患している場合には、収容室14を陰圧室とすることで汚染された空気を外部に飛散させることなく要救助者を搬送することができる。
【0093】
例えば、車体と、第1連通口を有する収容室と、吸込口と吐出口とを有する送風装置とを備える車両を想定する。第1連通口は、吸込口および吐出口のいずれか一方に接続されている。このような車両に対して、
図2および
図3を用いて説明したような切換弁50およびホース91~94をさらに設けることで、第1連通口の接続先を送風装置の吸込口と吐出口との間で切り換えることができる。
【0094】
これにより、収容室の圧力が外気の圧力より高い状態と、収容室の圧力が外気の圧力より低い状態とを作り出すことができる。例えば、陽圧室を備える車両の場合には陽圧室を陰圧室として利用でき、陰圧室を備える車両の場合には陰圧室を陽圧室として利用できる。新たに送風装置を追加する必要がないため、改造にかかる費用を抑制し、陽圧室と陰圧室とを兼用した収容室を備える車両を製作することができる。
【0095】
送風装置30は、空気清浄機構32を有している。外気が汚染されている場合、汚染された空気は、空気清浄機構32によって清浄化された後に送風装置30により収容室14に送られるため、収容室14が汚染されにくい。
【0096】
収容室14の空気が汚染されている場合、汚染された空気は、空気清浄機構32によって清浄化された後に送風装置30により中継部40に送られるため、汚染された空気が車両100の外部に流出しにくい。
【0097】
本実施形態によれば、簡易な構成で経路の接続先を切り換えることが可能な切換弁50、および切換弁50を備える車両100を提供することができる。以上説明した他にも、本実施形態からは種々の好適な作用が得られる。
【0098】
以上の通り、本実施形態は、例として提示したものであり、本発明の範囲を実施形態で開示した構成に限定するものではない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施することが可能である。この実施形態や変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0099】
上述の本実施形態に係る切換弁50の構成は、一例にすぎない。切換弁50について、以下に変形例を示す。
図10乃至
図12は、切換弁50の他の例を示す図である。
図10乃至
図12においては、切換弁50の構造を模式的に示している。変形例において、切換弁50には、6つの流路が接続されている。
【0100】
切換弁50の本体60は、6つのポート61~66を有している。回転体80は、9つの経路P1~P9を有している。操作部70により回転体80は、それぞれが異なる、第1位置と、第2位置と、第3位置との間で切り換えることができる。回転体80は、操作部70により軸AXを中心に周方向θに60度ずつ回転することで、第1位置、第2位置、および第3位置をそれぞれ切り換えることができる。
【0101】
例えば、第2位置は、第1位置を基準として、回転体80を時計回りに60度回転することで切り換えることができる。第3位置は、第1位置を基準として、回転体80を反時計回りに60度回転することで切り換えることができる。
図10においては回転体80が第1位置に位置し、
図11においては回転体80が第2位置に位置し、
図12においては回転体80が第3位置に位置している。
【0102】
図10に示すように、第1位置において、切換弁50は、第1経路P1が第1ポート61と第2ポート62とを繋ぎ、第2経路P2が第3ポート63と第4ポート64とを繋ぎ、第3経路P3が第5ポート65と第6ポート66とを繋いでいる。
【0103】
図11に示すように、第2位置において、切換弁50は、第4経路P4が第1ポート61と第2ポート62とを繋ぎ、第5経路P5が第3ポート63と第6ポート66とを繋ぎ、第6経路P6が第5ポート65と第4ポート64とを繋いでいる。
【0104】
第1位置と第2位置を切り換えることで、第3ポート63および第5ポート65の接続先が第4ポート64と第6ポート66との間で切り換わり、第1ポート61の接続先は、第2ポート62から切り換っていない。
【0105】
図12に示すように、第3位置において、切換弁50は、第7経路P7が第1ポート61と第4ポート64とを繋ぎ、第8経路P8が第3ポート63と第6ポート66とを繋ぎ、第9経路P9が第5ポート65と第2ポート62とを繋いでいる。
【0106】
第1位置と第3位置を切り換えることで、第1ポート61、第3ポート63、および第5ポート65の接続先は、第2ポート62、第4ポート64、および第6ポート66の間で切り換わっている。
【0107】
すなわち、第1ポート61、第3ポート63、および第5ポート65に接続されている流路の接続先は、第2ポート62、第4ポート64、および第6ポート66の間で切り換えることができる。
【0108】
上述の各位置におけるポート61~66の接続先の組み合わせは、一例にすぎず、接続先は適宜変更することができる。上述のように、回転体80の位置を変更することで、複数のポートの接続先をすべて切り換えてもよいし、一部のみを切り換えてもよい。本体60が有するポートの数量、および回転体80が有する経路の数量は、上述の例に限られず、さらに多くてもよい。経路の数量に関わらず、各経路はそれぞれ独立している。
【0109】
なお、車両100には、
図1に示した構成要素以外の他の要素が含まれてもよい。車両100は、例えば、収容室14の圧力を他の装置などに送信する通信ユニットなどの出力装置を備えてもよい。なお、車体本体13には、収容室14、および資機材室15以外に他の空間が形成されてもよい。
【0110】
なお、第1経路P1および第2経路P2の線XP1,XP2は、例えば、複数の直線状の部分で形成された屈曲した形状でもよい。なお、操作部70は、電気など他の駆動手段により駆動するように構成されてもよい。操作部70は、例えば、車両100の外部から遠隔で操作できるように構成されてもよい。
【0111】
なお、第1ポート61および第3ポート63、第2ポート62および第4ポート64は、それぞれ軸方向Dxに並んでいたが、周方向θに並んでもよい。ポート61~64の位置に応じて、回転体80の経路P1~P4の形状などは適宜変更される。
【0112】
なお、回転体80の内部に経路P1~P4が形成されているため、回転体80の形状は円柱状でなくとも球状など他の形状でもよい。収容部69の形状は、回転体80の形状に応じて適宜変更される。
【0113】
切換弁50が車両100に設けられる例を開示したが、切換弁50と同様の構造は他の用途にも適用することができる。例えば、消防システム、消火システムにおける配管ラインの切り換えに適用することができる。
【0114】
消火現場などで複数の配管ラインが形成される場合において、複数の切換弁50を設けることで、状況に応じて複数の経路の接続先を適宜切り換え、所望の配管ラインを形成することができる。さらに、切換弁50は流路の接続先の切り換えが必要な他の分野(例えば、医療分野など)にも適用することができる。
【0115】
切換機構の一例として流体の流路に適用することができる切換弁50を開示したが、流路以外の複数の経路の接続先の切り換えにも適用することができる。例えば、電気回路に切換機構を適用することで、各機器の電気的な接続先を切り換えることができる。この場合、配線が経路に相当する。他の例としては、電車の線路に切換機構を適用することで、線路を走行する電車の行き先を切り換えることができる。この場合、線路が経路に相当する。
【符号の説明】
【0116】
100…車両、11…車体、14…収容室、17…第1連通口、30…送風装置、33…吸込口、34…吐出口、40…中継部、42…第2連通口、50…切換弁(切換機構)、60…本体、69…収容部、61~64…ポート(接続部)、80…回転体、P1~P4…経路。
【手続補正書】
【提出日】2022-12-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周面と、前記内周面に囲われた収容部と、前記収容部に繋がる複数の接続部と、を有する本体と、
前記内周面に対向する外周面と、前記外周面を貫通する複数の経路と、を有し、前記内周面に沿って回転可能に前記収容部に設けられた回転体と、を備え、
前記複数の接続部は、第1接続部と、第2接続部と、第3接続部と、第4接続部と、を有し、
前記複数の経路は、第1経路と、第2経路と、第3経路と、第4経路と、を有し、
前記第1経路、前記第2経路、前記第3経路、および前記第4経路は、前記回転体の内部に形成され、
前記第1経路は、前記外周面に一対の第1開口を有し、
前記第2経路は、前記外周面に一対の第2開口を有し、
前記第3経路は、前記外周面に一対の第3開口を有し、
前記第4経路は、前記外周面に一対の第4開口を有し、
前記収容部において、前記回転体は、第1位置と、前記第1位置と異なる第2位置との間で回転し、
前記第1位置において、前記第1経路は、前記一対の第1開口が前記第1接続部と前記第2接続部と一致することによって、記第1接続部と前記第2接続部とを繋ぎ、前記第2経路は、前記一対の第2開口が前記第3接続部と前記第4接続部と一致することによって、前記第3接続部と前記第4接続部とを繋ぎ、
前記第2位置において、前記第3経路は、前記一対の第3開口が前記第1接続部と前記第4接続部が一致することによって、前記第1接続部と前記第4接続部とを繋ぎ、前記第4経路は、前記一対の第4開口が前記第2接続部と前記第3接続部と一致することによって、前記第2接続部と前記第3接続部とを繋ぐ、
切換機構。
【請求項2】
前記複数の経路は、前記回転体の内部において、それぞれ独立している、
請求項1に記載の切換機構。
【請求項3】
前記内周面は、軸を中心とする円筒状に形成され、
前記回転体は、円柱状に形成され、前記軸を中心に前記内周面に沿って回転可能である、
請求項1または2に記載の切換機構。
【請求項4】
前記複数の経路のうち少なくとも1つは、曲線からなる部分を含んでいる、
請求項3に記載の切換機構。
【請求項5】
前記第1経路および前記第2経路は、曲線からなる部分を含み、
前記第3経路および前記第4経路は、曲線からなる部分を含まない、
請求項4に記載の切換機構。
【請求項6】
前記第1経路および前記第2経路は、前記第3経路と前記第4経路との間を通っている、
請求項5に記載の切換機構。
【請求項7】
車体と、
第1連通口を有し、前記車体に設けられた収容室と、
第2連通口を有し、前記車体に設けられ前記車体の外部と接続された中継部と、
空気を取り込むための吸込口と空気を吐出するための吐出口とを有し、前記車体に設けられた送風装置と、
前記第1連通口および前記第2連通口の接続先を前記吸込口と前記吐出口との間で切り換え可能な切換機構と、を備え、
前記切換機構は、収容部と、前記収容部に繋がる複数の接続部と、を有する本体と、複数の経路を有し、前記収容部に設けられた回転体と、を備え、
前記複数の接続部は、第1接続部と、第2接続部と、第3接続部と、第4接続部と、を有し、
前記複数の経路は、第1経路と、第2経路と、第3経路と、第4経路と、を有し、
前記収容部において、前記回転体は、第1位置と、前記第1位置と異なる第2位置との間で回転し、
前記切換機構は、前記第1位置において、前記第1経路は前記第1接続部と前記第2接続部とを繋ぎ、前記第2経路は前記第3接続部と前記第4接続部とを繋ぎ、前記第2位置において、前記第3経路は前記第1接続部と前記第4接続部とを繋ぎ、前記第4経路は前記第2接続部と前記第3接続部とを繋ぎ、
前記切換機構が前記第1連通口と前記吐出口とを接続し前記第2連通口と前記吸込口とを接続することで、前記収容室の圧力が外気の圧力より高くなり、
前記切換機構が前記第2連通口と前記吐出口とを接続し前記第1連通口と前記吸込口とを接続することで、前記収容室の圧力が外気の圧力より低くなる、
車両。
【請求項8】
前記複数の経路は、前記回転体の内部に形成され、それぞれ独立している、
請求項7に記載の車両。
【請求項9】
前記本体は、軸を中心とする円筒状の内周面を有し、
前記収容部は、前記内周面に囲われ、
前記回転体は、円柱状に形成され、前記内周面に対向する外周面を有し、前記軸を中心に前記内周面に沿って回転可能に前記収容部に設けられ、
前記複数の経路は、前記外周面をそれぞれ貫通している、
請求項7または8に記載の車両。