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特開2023-83812橋梁の床版取替工法に適用される鋼桁ケレン装置およびその装置を用いたケレン方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083812
(43)【公開日】2023-06-16
(54)【発明の名称】橋梁の床版取替工法に適用される鋼桁ケレン装置およびその装置を用いたケレン方法
(51)【国際特許分類】
   E01D 22/00 20060101AFI20230609BHJP
   E01D 19/12 20060101ALI20230609BHJP
【FI】
E01D22/00 A
E01D19/12
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021197730
(22)【出願日】2021-12-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】514172954
【氏名又は名称】川田テクノロジーズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591211917
【氏名又は名称】川田建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】五十棲 隆勝
(72)【発明者】
【氏名】中村 優
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 輝夫
(72)【発明者】
【氏名】山岸 俊一
(72)【発明者】
【氏名】堀池 一男
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕二
【テーマコード(参考)】
2D059
【Fターム(参考)】
2D059AA07
2D059AA14
2D059GG39
(57)【要約】
【課題】、橋梁等の床版取替工事において、鋼桁の上面を効率的にケレン可能なケレン装置およびその装置を用いたケレン方法を提案する。
【解決手段】前輪、後輪を有する台車と、該台車に設置され、鋼桁の上面に存在する残滓、錆、塗膜を取り除く浄化部と、該台車、該浄化部を制御する制御部とを備え、該制御部の指令にしたがい該台車を該鋼桁の上面に沿い前進走行または後退走行させるとともに該浄化部を作動させて該鋼桁の上面の残滓、錆、塗膜を除去する鋼桁ケレン装置において、前記浄化部に、該浄化部を該鋼桁の上面に近接または離隔する向きに移動させて該浄化部の、該鋼桁の上面に対する対面距離を変更する移動手段を設ける。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪、後輪を有する台車と、該台車に設置され、鋼桁の上面に存在する残滓、錆、塗膜を取り除く浄化部と、該台車、該浄化部を制御する制御部とを備え、該制御部の指令にしたがい該台車を該鋼桁の上面に沿い前進走行または後退走行させるとともに該浄化部を作動させて該鋼桁の上面の残滓、錆、塗膜を除去する鋼桁ケレン装置であって、
前記浄化部は、該浄化部を該鋼桁の上面に近接または離隔する向きに移動させて該浄化部の、該鋼桁の上面に対する対面距離を変更する移動手段を有することを特徴とする鋼桁ケレン装置。
【請求項2】
前記浄化部は、前記台車の幅方向の軸線を支点に回動させて該浄化部の、鋼桁の上面に対する対面角度を変更するピッチング用の回動手段を有することを特徴とする請求項1に記載した鋼桁ケレン装置。
【請求項3】
前記浄化部は、前記台車の前後方向の軸線を支点に回動させて該浄化部の、鋼桁の上面に対する対面角度を変更するローリング用の回動手段を有することを特徴とする請求項1または2に記載した鋼桁ケレン装置。
【請求項4】
前記前輪および後輪の少なくとも一方は、前記台車の進行する向きを変更する操舵部を有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載した鋼桁ケレン装置。
【請求項5】
前記前輪および後輪の少なくとも一方は、駆動部を有することを特徴とする請求項1~4のいずれ1項に記載した鋼桁ケレン装置。
【請求項6】
前記台車は、前記鋼桁の幅方向の端縁への接近を検知する脱輪危険検知センサーを有することを特徴とすることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載した鋼桁ケレン装置。
【請求項7】
前記台車は、該台車の前方および後方の少なくとも一方に、鋼桁の上面に存在する障害物を検知する障害物検知センサーを有することを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載した鋼桁ケレン装置。
【請求項8】
前記浄化部は、鋼桁の上面へ向けて開放された開口部を有するフードと、該フード内に配置され、該開口部を通して鋼桁の上面に向けて高圧洗浄水を吹き付ける1または2以上のジェットノズルと、該フードにつながり、噴射された高圧洗浄水を、該高圧洗浄水の噴射によって取り除かれた残滓、錆、塗膜とともに回収する吸引ダクトとを備えることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載した鋼桁ケレン装置。
【請求項9】
前記ジェットノズルは、前記フード内で回転可能に保持されたスピンジェットノズルであることを特徴とする請求項8に記載した鋼桁ケレン装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載した鋼桁ケレン装置を用いて鋼桁の上面に存在する残滓、錆、塗膜を除去する方法において、
前記制御部の指令にしたがい前記台車を鋼桁の上面にて自動制御または制御端末による操作にて自立走行させるとともに前記浄化部の、鋼桁の上面に対する対面距離および対面角度の少なくとも1つを適宜調整しつつ該浄化部にて該鋼桁の上面の残滓、錆、塗膜をその全域にわたって除去することを特徴とする鋼桁のケレン方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋梁等の床版取替工事において、既存の床版が取り外された鋼桁の上面に存在する残滓や錆、塗膜等を除去するのに好適な鋼桁ケレン装置およびその装置を用いたケレン方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
道路橋等の床版取替工事は、通常、既設床版を鋼桁から撤去する工程と、既設床版が撤去された鋼桁のケレンおよび塗装工程と、新設床版を鋼桁へ設置する工程と、新設床版に設けられた貫通孔を通して鋼桁の上面にスタッドジベルを立設し、さらに、該貫通孔にコンクリートを打設してスタッドジベルを埋設する工程とを経て行われるのが一般的であり、その際、道路の一部は通行止めされる場合が多く、かかる工事は計画期間通りに完了することが重要である。ところで、とくに、既存の床版の撤去後に行う鋼桁のケレン作業では、多くの人手工数を集中的に投入する必要があり、工事全体の工程に大きな影響を及ぼしている。
【0003】
ケレン作業にかかわる先行技術として、例えば、特許文献1には、研削材や剥離材等を回収する装置として、被研削物の表面に研削材を噴射する射出装置と、該射出装置から噴射された研削材を分散させて被研削物の研削箇所に導く分散装置と、被研削物の表面で反射させた研削材をさらに反射させるとともに、研削材や剥離材等の粉塵等を排出する先端グローブと、該先端グローブの排出口に接続される回収装置とを組み合わせて構成されたブラスト装置が提案されている。
【0004】
ところで、特許文献1に開示されたブラスト装置は、一定箇所で研削材や剥離材等を回収するいわゆるバッチ式の装置であり、長さが長い鋼桁の上面におけるケレン作業を効率的に行うのが難しく、未だ改善の余地が残されている。
【0005】
なお、特許文献2には、コンクリート壁面等の物体面において自走させることにより効率的なハツリ作業を実現した、ハツリ装置が提案されているものの、ここで提案されている装置は、自走部とハツリ部とが並列配置された構造からなるものであって、橋梁の床版取替工事で対象とする比較的幅寸法が狭い鋼桁でのケレン作業に適用するには不向きなものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-160409号公報
【特許文献2】特開2012―11485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、既存の床版が撤去された鋼桁の上面に対して、必要最低限の人数でもって効率的にケレン作業を行うことができる鋼桁ケレン装置およびその装置を用いたケレン方法を提案するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前輪、後輪を有する台車と、該台車に設置され、鋼桁の上面に存在する残滓、錆、塗膜を取り除く浄化部と、該台車、該浄化部を制御する制御部とを備え、該制御部の指令にしたがい該台車を該鋼桁の上面に沿い前進走行または後退走行させるとともに該浄化部を作動させて該鋼桁の上面の残滓、錆、塗膜を除去する鋼桁ケレン装置であって、
前記浄化部は、該浄化部を該鋼桁の上面に近接または離隔する向きに移動させて該浄化部の、該鋼桁の上面に対する対面距離を変更する移動手段を有することを特徴とする鋼桁ケレン装置である。
【0009】
上記の構成からなる鋼桁ケレン装置において、
1)前記浄化部は、前記台車の幅方向の軸線を支点に回動させて該浄化部の、鋼桁の上面に対する対面角度を変更するピッチング用の回動手段を有すること、
2)前記浄化部は、前記台車の前後方向の軸線を支点に回動させて該浄化部の、鋼桁の上面に対する対面角度を変更するローリング用の回動手段を有すること、
3)前記前輪および後輪の少なくとも一方は、前記台車の進行する向きを変更する操舵部を有すること、
4)前記前輪および後輪の少なくとも一方は、駆動部を有すること、
5)前記台車は、前記鋼桁の幅方向の端縁への接近を検知する脱輪危険検知センサーを有すること、
6)前記台車は、該台車の前方および後方の少なくとも一方に、鋼桁の上面に存在する障害物を検知する障害物検知センサーを有すること、
7)前記浄化部は、鋼桁の上面へ向けて開放された開口部を有するフードと、該フード内に配置され、該開口部を通して鋼桁の上面に向けて高圧洗浄水を吹き付ける1または2以上のジェットノズルと、該フードにつながり、噴射された高圧洗浄水を、該高圧洗浄水の噴射によって取り除かれた残滓、錆、塗膜とともに回収する吸引ダクトとを備えること、
8)前記ジェットノズルは、前記フード内で回転可能に保持されたスピンジェットノズルであること、が課題解決のための具体的手段として好ましい。
【0010】
また、本発明は、上記の鋼桁ケレン装置を用いて鋼桁の上面に存在する残滓、錆、塗膜を除去する方法において、
前記制御部の指令にしたがい前記台車を鋼桁の上面にて自動制御または制御端末による操作にて自立走行させるとともに前記浄化部の、鋼桁の上面に対する対面距離および対面角度の少なくとも1つを適宜調整しつつ該浄化部にて該鋼桁の上面の残滓、錆、塗膜をその全域にわたって除去することを特徴とする鋼桁のケレン方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、鋼桁の上面に対して必要最低限の人員でもってケレン作業を効率的に実施することが可能であり、道路橋の床版取替工事における経費の節減、工期の短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明にしたがうケレン装置の前面側の外観斜視図である。
図2】本発明にしたがうケレン装置の後面側の外観斜視図である。
図3】本発明にしたがうケレン装置を床版が撤去された鋼桁の上面に配置した状態で示した外観斜視図である。
図4】本発明にしたがうケレン装置の側面図である。
図5図4に示したケレン装置の平面図である。
図6図4に示したケレン装置の底面図である。
図7図4に示したケレン装置の正面図である。
図8】本発明にしたがうケレン装置において、構成部材の一部分を取り外して示した外観斜視図である。
図9】本発明にしたがうケレン装置の作動状況の説明図である。
図10】(a)、(b)は、本発明にしたがうケレン装置の作動状況の説明図である。
図11】脱輪危険検知センサーの説明図である。
図12】(a)、(b)は、脱輪危険検知センサーの説明図である。
図13】(a)、(b)は、障害物検知センサーの説明図である。
図14】(a)、(b)は、障害物検知センサーの説明図である。
図15】本発明にしたがうケレン装置の制御系にかかわるブロック図を模式的に示した図である。
図16】本発明にしたがうケレン装置の制御のフローチャートを模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を用いて本発明をより具体的に説明する。
図1は、本発明にしたがうケレン装置の前面側の外観斜視図であり、図2は、本発明にしたがうケレン装置の後面側の外観斜視図であり、図3は、本発明にしたがうケレン装置を床版が撤去された鋼桁の上面に配置した状態で示した外観斜視図である。また、図4は、本発明にしたがうケレン装置の側面図、図5は、図4に示したケレン装置の平面図、図6は、図4に示したケレン装置の底面図、そして、図7は、図4に示したケレン装置の正面図である。
【0014】
図1~7における符号1は、本発明にしたがう鋼桁ケレン装置の基本骨格をなす台車である。台車1は、長尺材、短尺材を適宜組み合わせて構成されたフレーム1aを備えたものであり、該フレーム1aには、左右で一対になる車輪を組み合わせた前輪1bと、同じく左右で一対になる車輪を組み合わせた後輪1cが設けられている。
【0015】
以下、本発明において、台車1の前方とは、前輪1bが装着されている側をいうものとし、台車1の後方とは、後輪1cが装着されている側をいうものとする。また、台車1の幅方向(左右方向)とは、台車1の前方から後方に向かう方向あるいは後方から前方に向かう方向(前後方向)に交差または直交する向きをいうものとする。
【0016】
また、図1~7における符号2は、前輪1bおよび後輪1cの相互間に位置するように台車3のフレーム1aに垂下保持され、鋼桁Hの上面に存在する残滓、錆、塗膜を取り除く浄化部である。
【0017】
浄化部2は、鋼桁Hの上面へ向けて開放された開口部を有するフード2aと、該フード2a内に配置され、該開口部を通して鋼桁Hの上面に高圧洗浄水を吹き付けるジェットノズル2b(図6参照)と、該フード2aにつながり、噴射された高圧洗浄水を、該高圧洗浄水の噴射によって取り除かれた残滓、錆、塗膜とともに回収する吸引ダクト2cとを備えたものが適用される。
【0018】
ジェットノズル2bとしては、制御部3につながる回転駆動部2dを有し、該ジェットノズル2bをフード2a内で回転させて鋼桁Hの上面に高圧洗浄水をまんべんなく噴射させるスピンジェットノズルを用いるのが好ましい。ジェットノズル2bは、高圧洗浄水を供給する供給経路2e、圧縮空気を供給する供給経路2fにつながっており、吸引ダクト2cは、その末端部に設けられた真空ポンプ(集塵用ポンプ)につながっている。ジェットノズル2bより噴射された高圧洗浄水は図4中の矢印にしたがい、残滓、錆、塗膜とともに、吸引ダクト2cを通り回収される。
【0019】
なお、本発明では、浄化部2としてウォータージェット式のものを例として説明したが、粉体あるいは球体を噴射させてケレン作業を行うブラスト機構を備えたものを用いることも可能であり、本発明は、ウォータージェット式の浄化部には限定されない。
【0020】
また、図1~7における符号3は、台車1のフレーム1aに設けられ、該台車1、該浄化部2、その他の機器全般を総合的に制御する制御部(バッテリーを含む)、符号4は、制御部3の指令にしたがい浄化部2を鋼桁Hの上面に近接、離隔する向きに移動させて該浄化部2の、鋼桁の上面に対する対面距離(基準高さ)L(図9参照)を変更する移動手段である。
【0021】
移動手段4は、油圧、空気圧あるいは電動式の直動型のアクチュエータが適用され、その本体部分4a(または作動部分4b)は台車1のフレーム1aに枢軸を介して揺動可能に固定され、作動部分4b(または本体部分4a)は浄化部2のフード2aの天板2a1に枢軸を介して揺動可能に連結されている。移動手段4は、浄化部2を水平姿勢に維持して鋼桁Hの上面に近接離隔する向きに移動させることができるように、例えば、台車1の前後方向の対向位置に2つ設けるのが好ましい。
【0022】
また、図1~7における符号5は、制御部3の指令にしたがい台車1の幅方向の軸線を支点に浄化部2を回動させて該浄化部2の、鋼桁Hの上面に対する対面角度θ(図10参照)を変更するピッチング用の回動手段である。
【0023】
回動手段5は、ケレン装置の構成部材の一部分を取り外して図8に示すように、移動手段4と、台車1の前後方向に伸延し、台車1の幅方向の端縁側でフード2aの天板2a1に固定保持された一対の板状部材5aと、該一対の板状部材5aの後端部、前端部にそれぞれつながる横板部材5bと、後端部に位置する横板部材5bの両端部にそれぞれ設けられた垂下片5cと、一端が該垂下片5cに枢軸S1を介して揺動可能につながり、他端が枢軸S2を介して台車1のフレーム1aに揺動可能につながる一対のシザースアーム5dから構成されている。枢軸S2は、シザースアーム5dの回動中心であり、枢軸S1は、浄化部2の回動中心となる。枢軸S1、2の中心軸線は、いずれも台車1の幅方向の軸線となる。
【0024】
天板2a1につながる前後2つの移動手段4を同等量でストロークさせることにより図9に示すように浄化部2は平行姿勢に保たれ、対面距離Lを変更することが可能となり、該移動手段4をそれぞれ適宜作動させ、シザースアーム5dを、図10(a)(b)に示すように、枢軸S1、S2を支点に揺動させることにより浄化部4のピッチング動作が誘導され。これにより、鋼桁の上面の状況に応じた対面角度θに調整される。
【0025】
浄化部2の、対面距離L、対面角度θは、例えば、制御部3を内装するボックス内あるいはフレーム1aに傾きセンサーを設置して該傾きセンサーで浄化部2の傾斜異常を検知し、その検知結果に基づき、制御部3の指令にしたがい移動手段4、回動手段5を作動させて調整する。
【0026】
なお、本発明にしたがうケレン装置は、図示はしないが台車1の前後方向の軸線を支点に回動させて該浄化部2の、鋼桁の上面に対する対面角度を変更するローリング用の回動手段を設けることもできる。
【0027】
また、図1~7における符号6は、前輪1b、後輪1cを適宜操舵して台車1の進行する向きを変更する操舵部である。操舵部6は、モーター等の駆動源と、前輪1b、後輪1cの操舵軸1b1、1c1(図8参照)につながる減速機等、あるいはその他のアクチュエータから構成されるものであって、制御部3の指令にしたがい操舵部6にて操舵軸1b1、1c1を回動させることによって前輪1b、後輪1cの操舵が可能になっている。
【0028】
また、図1~7における符号7は、前輪1b、後輪1cを適宜駆動する駆動部である(図6参照)。駆動部7は、前輪1b、後輪1cの駆動軸につながる減速機等、あるいはその他のアクチュエータから構成されるものであって、制御部3の指令にしたがい駆動軸を回転させることによって前輪1b、後輪1cの駆動が可能になっている。
【0029】
操舵部6、駆動部7は、前輪1b、後輪1cの両方に設けたものを例として示したが、前輪1b、後輪1cのいずれか一方に設けた構造としてもよい。
【0030】
また、図1~7における符号8は、前輪1bの直前かつ外側直近、後輪1cの直後かつ外側直近にそれぞれ設けられ、鋼桁Hの幅方向の端縁への接近を検知してその検知結果を制御部3に入力する脱輪危険検知センサーである。
【0031】
脱輪危険検知センサー8は、前輪1b、後輪1cの車軸にそれぞれ揺動可能につながるアーム8aと、該アーム8aの先端部に回転可能につながり、内向きに先細りとなる円錐状のローラ8bとからなるものが適用される。
【0032】
かかる脱輪危険検知センサー8は、台車1の走行に合わせて鋼桁Hの上面で転動するものであって、台車1の車輪1b、1cが鋼桁H上で余裕をもって回転している場合には、図11に示すように、ローラ8bの大径部分で鋼桁Hに接してアーム8aは一定の角度を維持するが、車輪1b、1cの接地面が鋼桁Hの端部に徐々に近づくと図12(a)、(b)に示すように、何れか一方のローラ8bの径が小さくなりアーム8aの角度が変化し、その角度変化の差分を検知することによって車輪1b、1cが鋼桁Hの端部に近接して脱輪する危険を知らせる。
【0033】
脱輪危険検知センサー8の検知結果により、台車1が鋼桁Hから脱輪する危険があると判断された場合でも制御部3の指令により鋼桁Hの端部から車輪1b、1cの接地中心までの距離を確保するべく操舵角を変更することにより鋼桁Hの端部から中心部へ緩やかに進行方向が変更され脱輪の危険が回避される。本発明では、装置の構造の簡素化を図るため、脱輪危険検知センサー8としてレーザーセンサー等の他のセンサーを用いることもできる。
【0034】
また、図1~7における符号9は、浄化部2を前後に挟むように回動手段5の板状部材5a、垂下片5cにそれぞれ設けられた障害物検知センサー、符号10は、台車1の四隅に設けられ、貫通孔にワイヤー等を通して台車1を4点吊りして所定の位置へ設置するための吊り部である。
【0035】
障害物検知センサー9は、鋼桁の上面を台車1の走行に合わせて転動するローラ9aと、該ローラ9aを支持するアーム9bと、該アーム9bを揺動可能に片持ち支持するセンサー本体9cにて構成され、ローラ9aが障害物等に接触し、アーム9bの角度が中立位置から変化したことを検知する回転フラップ式センサーを用いることができる。
【0036】
障害物検知センサー9において、例えば、浄化部2の対面距離L(基準高さ)が20mmに設定されていたとすると、図13(a)(b)に示すように、当該対面距離Lを超えない突起物mが鋼桁H上に存在していても害物検知センサー9は、障害物mがあるとは検知しないように設定することができる。そして、対面距離Lが20mmを超える突起物mが鋼桁Hの上に存在する場合には、図14(a)(b)に示すように、該突起物mが障害物であるとセンシングし、これ以上台車1が移動すると浄化部2への障害になると判断され、制御部3より警報が発せられるとともに台車1を停止するためのシグナルが駆動部7へ出力される。
【0037】
かかる障害物検知センサー9のローラ9aは、障害物が取り除かれたのちは中立位置(初期位置)に復帰することとなり、台車1の走行に合わせて常時障害物を検知することができる。なお、障害物検知センサー9としては他のセンサーを用いることも可能であり、本発明は、図示のものに限定されることはない。
【0038】
図15は、本発明にしたがうケレン装置の制御系にかかわるブロック図を模式的に示した図であり、図16は、本発明にしたがうケレン装置の制御のフローチャートを模式的に示した図である。
【0039】
本発明にしたがうケレン装置は、図15に示すように、制御部3を外部PCに接続させて該外部PCに組み込まれたプログラムにしたがいケレン装置を、図16に示すような要領で自動制御して台車1を前進走行あるいは後退走行させつつケレン作業を行うことができる。なお、有線スイッチボックス(コントローラ)あるいは無線スイッチボックス等の制御末端を使用して作業オペレーターによりケレン装置の全操作を行いながらケレン作業を実施することも可能であり、何れにおいても、鋼桁Hの上面の残滓、錆、塗料を効率的に除去することができる。
【0040】
以上説明したように、本発明にしたがうケレン装置は、制御部3の指令にしたがい台車1を鋼桁Hの上面にて自立走行させるとともに浄化部2の、鋼桁Hの上面に対する対面距離L、対面角度θを適宜調整しつつ該浄化部2を作動さて該鋼桁Hの上面の残滓、錆、塗膜、障害物等をその全域にわたって除去することが可能であり、道路橋の床版取替工事において経費の節減、工期の短縮化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明によれば、橋梁等の床版取替工事において、鋼桁の上面を効率的にケレン可能なケレン装置およびその装置を用いたケレン方法が提供できる。
【符号の説明】
【0042】
1 台車
1a フレーム
1b 前輪
1b1 操舵軸
1c 後輪
1c1 操舵軸
2 浄化部
2a フード
2a1 天板
2b ジェットノズル
2c 吸引ダクト
2d 回転駆動部
2e 高圧洗浄水を供給する供給経路
2f 圧縮空気を供給する供給経路
3 制御部
4 移動手段
4a 本体部分
4b 作動部分
5 回動手段
5a 板状部材
5b 横板部材
5c 垂下片
5d シザースアーム
6 操舵部
7 駆動部
8 脱輪危険検知センサー
8a アーム
8b ローラ
9 障害物検知センサー
9a ローラ
9b アーム
10 吊り部
L 対面距離
θ 対面角度
S1 枢軸
S2 枢軸
m アンカー部材
n 添接板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2022-03-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪、後輪を有する台車と、該台車に設置され、鋼桁の上面に存在する残滓、錆、塗膜を取り除く浄化部と、該台車、該浄化部を制御する制御部とを備え、該制御部の指令にしたがい該台車を該鋼桁の上面に沿い前進走行または後退走行させるとともに該浄化部を作動させて該鋼桁の上面の残滓、錆、塗膜を除去する鋼桁ケレン装置であって、
前記浄化部は、鋼桁の上面へ向けて開放された開口部を有するフードを備え、
該フードは、該フードにつながり、該フードを該鋼桁の上面に近接または離隔する向きに移動させて該浄化部の、該鋼桁の上面に対する対面距離を変更する移動手段を有することを特徴とする鋼桁ケレン装置。
【請求項2】
前記浄化部は、前記台車の幅方向の軸線を支点に前記フードを回動させて該浄化部の、鋼桁の上面に対する対面角度を変更するピッチング用の回動手段を有することを特徴とする請求項1に記載した鋼桁ケレン装置。
【請求項3】
前記浄化部は、前記台車の前後方向の軸線を支点に前記フードを回動させて該浄化部の、鋼桁の上面に対する対面角度を変更するローリング用の回動手段を有することを特徴とする請求項1または2に記載した鋼桁ケレン装置。
【請求項4】
前記前輪および後輪の少なくとも一方は、前記台車の進行する向きを変更する操舵部を有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載した鋼桁ケレン装置。
【請求項5】
前記前輪および後輪の少なくとも一方は、駆動部を有することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載した鋼桁ケレン装置。
【請求項6】
前記台車は、前記鋼桁の幅方向の端縁への接近を検知する脱輪危険検知センサーを有することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載した鋼桁ケレン装置。
【請求項7】
前記台車は、該台車の前方および後方の少なくとも一方に、鋼桁の上面に存在する障害物を検知する障害物検知センサーを有することを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載した鋼桁ケレン装置。
【請求項8】
前記浄化部は、鋼桁の上面へ向けて開放された開口部を有する前記フードに加え、該フード内に配置され、該開口部を通して鋼桁の上面に向けて高圧洗浄水を吹き付ける1または2以上のジェットノズルと、該フードにつながり、噴射された高圧洗浄水を、該高圧洗浄水の噴射によって取り除かれた残滓、錆、塗膜とともに回収する吸引ダクトとを備えることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載した鋼桁ケレン装置。
【請求項9】
前記ジェットノズルは、前記フード内で回転可能に保持されたスピンジェットノズルであることを特徴とする請求項8に記載した鋼桁ケレン装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載した鋼桁ケレン装置を用いて鋼桁の上面に存在する残滓、錆、塗膜を除去する方法において、
前記制御部の指令にしたがい前記台車を鋼桁の上面にて自動制御または制御端末による操作にて自立走行させるとともに前記浄化部に備えられたフードの、鋼桁の上面に対する対面距離を適宜調整しつつ該浄化部にて該鋼桁の上面の残滓、錆、塗膜をその全域にわたって除去することを特徴とする鋼桁のケレン方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明は、前輪、後輪を有する台車と、該台車に設置され、鋼桁の上面に存在する残滓、錆、塗膜を取り除く浄化部と、該台車、該浄化部を制御する制御部とを備え、該制御部の指令にしたがい該台車を該鋼桁の上面に沿い前進走行または後退走行させるとともに該浄化部を作動させて該鋼桁の上面の残滓、錆、塗膜を除去する鋼桁ケレン装置であって、
前記浄化部は、鋼桁の上面へ向けて開放された開口部を有するフードを備え、
該フードは、該フードにつながり、該フードを該鋼桁の上面に近接または離隔する向きに移動させて該浄化部の、該鋼桁の上面に対する対面距離を変更する移動手段を有することを特徴とする鋼桁ケレン装置である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
上記の構成からなる鋼桁ケレン装置において、
1)前記浄化部は、前記台車の幅方向の軸線を支点に前記フードを回動させて該浄化部の、鋼桁の上面に対する対面角度を変更するピッチング用の回動手段を有すること、
2)前記浄化部は、前記台車の前後方向の軸線を支点に前記フードを回動させて該浄化部の、鋼桁の上面に対する対面角度を変更するローリング用の回動手段を有すること、
3)前記前輪および後輪の少なくとも一方は、前記台車の進行する向きを変更する操舵部を有すること、
4)前記前輪および後輪の少なくとも一方は、駆動部を有すること、
5)前記台車は、前記鋼桁の幅方向の端縁への接近を検知する脱輪危険検知センサーを有すること、
6)前記台車は、該台車の前方および後方の少なくとも一方に、鋼桁の上面に存在する障害物を検知する障害物検知センサーを有すること、
7)前記浄化部は、鋼桁の上面へ向けて開放された開口部を有するフードに加え、該フード内に配置され、該開口部を通して鋼桁の上面に向けて高圧洗浄水を吹き付ける1または2以上のジェットノズルと、該フードにつながり、噴射された高圧洗浄水を、該高圧洗浄水の噴射によって取り除かれた残滓、錆、塗膜とともに回収する吸引ダクトとを備えること、,
8)前記ジェットノズルは、前記フード内で回転可能に保持されたスピンジェットノズルであること、が課題解決のための具体的手段として好ましい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
また、本発明は、上記の鋼桁ケレン装置を用いて鋼桁の上面に存在する残滓、錆、塗膜を除去する方法において、
前記制御部の指令にしたがい前記台車を鋼桁の上面にて自動制御または制御端末による操作にて自立走行させるとともに前記浄化部に備えられたフードの、鋼桁の上面に対する対面距離を適宜調整しつつ該浄化部にて該鋼桁の上面の残滓、錆、塗膜をその全域にわたって除去することを特徴とする鋼桁のケレン方法である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
また、図1~7における符号2は、前輪1bおよび後輪1cの相互間に位置するように台車のフレーム1aに垂下保持され、鋼桁Hの上面に存在する残滓、錆、塗膜を取り除く浄化部である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
天板2a1につながる前後2つの移動手段4を同等量でストロークさせることにより図9に示すように浄化部2は平行姿勢に保たれ、対面距離Lを変更することが可能となり、該移動手段4をそれぞれ適宜作動させ、シザースアーム5dを、図10(a)(b)に示すように、枢軸S1、S2を支点に揺動させることにより浄化部のピッチング動作が誘導されこれにより、鋼桁の上面の状況に応じた対面角度θに調整される。
【手続補正書】
【提出日】2022-07-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪、後輪を有する台車と、該台車に設置され、鋼桁の上面に存在する残滓、錆、塗膜を取り除く浄化部と、該台車、該浄化部を制御する制御部とを備え、該制御部の指令にしたがい該台車を該鋼桁の上面に沿い前進走行または後退走行させるとともに該浄化部を作動させて該鋼桁の上面の残滓、錆、塗膜を除去する鋼桁ケレン装置であって、
前記浄化部は、鋼桁の上面向けて開放された開口部を有するフードを備え、かつ、前記前輪、後輪の相互間で台車のフレームに垂下保持されており、
該フードは、該フードにつながり、該フードを該鋼桁の上面に近接または離隔する向きに移動させて該浄化部の、該鋼桁の上面に対する対面距離を変更する移動手段と、前記台車の幅方向の軸線を支点に前記フードを回動させて該浄化部の、鋼桁の上面に対する対面角度を変更するピッチング用の回動手段を有し、
前記移動手段は、該台車のフレームに枢軸を介して揺動可能に固定された本体部分と、該フードの天板に枢軸を介して揺動可能に連結された作動部分からなり、かつ、該台車の前後方向の対向位置にそれぞれ設けられたものであり、
前記回動手段は、該移動手段と、該台車の前後方向に伸延し該台車の幅方向の端縁側でフードの天板に固定保持された一対の板状部材と、該一対の板状部材の後端部、前端部にそれぞれつながる横板部材と、後端部に位置する横板部材の両端部にそれぞれ設けられた垂下片と、一端が該垂下片に枢軸を介して揺動可能につながり、他端が枢軸を介して台車のフレームに揺動可能につながる一対のシザースアームからなり、
前記浄化部は、鋼桁の上面に向けて開放された開口部を有する前記フードに加え、該フード内に配置され、該開口部を通して鋼桁の上面に向けて高圧洗浄水を吹き付ける1または2以上のジェットノズルと、該フードにつながり、噴射された高圧洗浄水を、該高圧洗浄水の噴射によって取り除かれた残滓、錆、塗膜とともに回収する吸引ダクトとを備えることを特徴する鋼桁ケレン装置。
【請求項2】
前記浄化部は、前記台車の前後方向の軸線を支点に前記フードを回動させて該浄化部の、鋼桁の上面に対する対面角度を変更するローリング用の回動手段を有することを特徴とする請求項に記載した鋼桁ケレン装置。
【請求項3】
前記前輪および後輪の少なくとも一方は、前記台車の進行する向きを変更する操舵部を有することを特徴とする請求項1または2に記載した鋼桁ケレン装置。
【請求項4】
前記前輪および後輪の少なくとも一方は、駆動部を有することを特徴とする請求項1~のいずれ1項に記載した鋼桁ケレン装置。
【請求項5】
前記台車は、前記鋼桁の幅方向の端縁への接近を検知する脱輪危険検知センサーを有することを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載した鋼桁ケレン装置。
【請求項6】
前記台車は、該台車の前方および後方の少なくとも一方に、鋼桁の上面に存在する障害物を検知する障害物検知センサーを有することを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載した鋼桁ケレン装置。
【請求項7】
前記ジェットノズルは、前記フード内で回転可能に保持されたスピンジェットノズルであることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載した鋼桁ケレン装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載した鋼桁ケレン装置を用いて鋼桁の上面に存在する残滓、錆、塗膜を除去する方法において、
前記制御部の指令にしたがい前記台車を鋼桁の上面にて自動制御または制御端末による操作にて自立走行させるとともに前記浄化部に備えられたフードの、鋼桁の上面に対する対面距離を適宜調整しつつ該浄化部にて該鋼桁の上面の残滓、錆、塗膜をその全域にわたって除去することを特徴とする鋼桁のケレン方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明は、前輪、後輪を有する台車と、該台車に設置され、鋼桁の上面に存在する残滓、錆、塗膜を取り除く浄化部と、該台車、該浄化部を制御する制御部とを備え、該制御部の指令にしたがい該台車を該鋼桁の上面に沿い前進走行または後退走行させるとともに該浄化部を作動させて該鋼桁の上面の残滓、錆、塗膜を除去する鋼桁ケレン装置であって、
前記浄化部は、鋼桁の上面に向けて開放された開口部を有するフードを備え、かつ、前記前輪、後輪の相互間で台車のフレームに垂下保持されており、
該フードは、該フードにつながり、該フードを該鋼桁の上面に近接または離隔する向きに移動させて該浄化部の、該鋼桁の上面に対する対面距離を変更する移動手段と、前記台車の幅方向の軸線を支点に前記フードを回動させて該浄化部の、鋼桁の上面に対する対面角度を変更するピッチング用の回動手段を有し、
前記移動手段は、該台車のフレームに枢軸を介して揺動可能に固定された本体部分と、該フードの天板に枢軸を介して揺動可能に連結された作動部分からなり、かつ、該台車の前後方向の対向位置にそれぞれ設けられたものであり、
前記回動手段は、該移動手段と、該台車の前後方向に伸延し該台車の幅方向の端縁側でフードの天板に固定保持された一対の板状部材と、該一対の板状部材の後端部、前端部にそれぞれつながる横板部材と、後端部に位置する横板部材の両端部にそれぞれ設けられた垂下片と、一端が該垂下片に枢軸を介して揺動可能につながり、他端が枢軸を介して台車のフレームに揺動可能につながる一対のシザースアームからなり、
前記浄化部は、鋼桁の上面に向けて開放された開口部を有する前記フードに加え、該フード内に配置され、該開口部を通して鋼桁の上面に向けて高圧洗浄水を吹き付ける1または2以上のジェットノズルと、該フードにつながり、噴射された高圧洗浄水を、該高圧洗浄水の噴射によって取り除かれた残滓、錆、塗膜とともに回収する吸引ダクトとを備えることを特徴とする鋼桁ケレン装置である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
上記の構成からなる鋼桁ケレン装置において、
1)前記浄化部は、前記台車の前後方向の軸線を支点に前記フードを回動させて該浄化部の、鋼桁の上面に対する対面角度を変更するローリング用の回動手段を有すること、
)前記前輪および後輪の少なくとも一方は、前記台車の進行する向きを変更する操舵部を有すること、
3)前記前輪および後輪の少なくとも一方は、駆動部を有すること、
4)前記台車は、前記鋼桁の幅方向の端縁への接近を検知する脱輪危険検知センサーを有すること、
5)前記台車は、該台車の前方および後方の少なくとも一方に、鋼桁の上面に存在する障害物を検知する障害物検知センサーを有すること、
6)前記ジェットノズルは、前記フード内で回転可能に保持されたスピンジェットノズルであること、が課題解決のための具体的手段として好ましい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
請求項1~7のいずれか1項に記載した鋼桁ケレン装置を用いて鋼桁の上面に存在する残滓、錆、塗膜を除去する方法において、
前記制御部の指令にしたがい前記台車を鋼桁の上面にて自動制御または制御端末による操作にて自立走行させるとともに前記浄化部に備えられたフードの、鋼桁の上面に対する対面距離を適宜調整しつつ該浄化部にて該鋼桁の上面の残滓、錆、塗膜をその全域にわたって除去することを特徴とする鋼桁のケレン方法である。