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特開2023-83818板材の製造方法、放熱装置筐体の製造方法、転写方法及び転写ロール
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  • 特開-板材の製造方法、放熱装置筐体の製造方法、転写方法及び転写ロール 図1
  • 特開-板材の製造方法、放熱装置筐体の製造方法、転写方法及び転写ロール 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083818
(43)【公開日】2023-06-16
(54)【発明の名称】板材の製造方法、放熱装置筐体の製造方法、転写方法及び転写ロール
(51)【国際特許分類】
   B29C 59/04 20060101AFI20230609BHJP
【FI】
B29C59/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021197743
(22)【出願日】2021-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100109058
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 敏郎
(72)【発明者】
【氏名】白石 拓也
(72)【発明者】
【氏名】藤井 康之
【テーマコード(参考)】
4F209
【Fターム(参考)】
4F209AF01
4F209AG01
4F209AG05
4F209PA03
4F209PB02
4F209PC05
4F209PN03
4F209PN06
4F209PQ01
(57)【要約】
【課題】複数の突起が形成された突起形成面と突起形成面の外周の少なくとも一部に亘って延在する周壁構成部とを有する部材を板材から製造するときの製造工程を簡略化できるようにする。
【解決手段】筐体用板材121の製造方法は、外周面12を有する転写ロール1であって外周面12が第1転写凸部18及び複数の第1転写凹部20を有し、第1転写凸部18が突起形成面107と第1周壁構成部105の突起形成面107側を向く面である第1周壁構成部内側面108とからなる第1窪み部106に対応した凸状をなすとともに複数の第1転写凹部20が第1転写凸部18の先端面24から複数の突起104にそれぞれ対応した凹状にそれぞれ窪むように構成された転写ロール1を用意する転写ロール用意工程と、転写ロール1の外周面12を板材120に押圧することにより板材120に第1窪み部106の形状及び複数の突起104の形状を転写する転写工程と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の突起が形成された突起形成面と前記突起形成面の外周全体もしくはその外周の一部に亘って延在するとともに前記突起形成面から突出する第1周壁構成部とを有する板材を製造する方法であって、
外周面を有する転写ロールであって前記外周面が第1転写凸部及び複数の第1転写凹部を有し、前記第1転写凸部が前記突起形成面と前記第1周壁構成部の前記突起形成面側を向く面である第1周壁構成部内側面とからなる第1窪み部に対応した凸状をなすとともに前記複数の第1転写凹部が前記第1転写凸部の先端面から前記複数の突起にそれぞれ対応した凹状にそれぞれ窪むように構成された転写ロールを用意する転写ロール用意工程と、
前記転写ロールの前記外周面を前記板材に押圧することにより前記板材に前記第1窪み部の形状及び前記複数の突起の形状を転写する転写工程と、を備える、板材の製造方法。
【請求項2】
前記板材の製造方法では、前記複数の突起、前記突起形成面及び前記第1周壁構成部に加えて、底面部とその底面部の外周全体もしくはその外周の一部に亘って延在するとともに前記底面部から突出する第2周壁構成部とをさらに有する板材を製造し、
前記転写ロール用意工程で用意する前記転写ロールは、前記外周面が第2転写凸部をさらに有していてその第2転写凸部が前記底面部と前記第2周壁構成部の前記底面部側を向く面である第2周壁構成部内側面とからなる第2窪み部に対応した凸状をなしている転写ロールであり、
前記転写工程では、前記第1転写凸部及び前記複数の第1転写凹部によって前記板材に前記第1窪み部及び前記複数の突起の形状を転写するとともに、前記第2転写凸部によって前記板材に前記第2窪み部の形状を転写する、請求項1に記載の板材の製造方法。
【請求項3】
前記転写ロール用意工程で用意する前記転写ロールは、前記外周面において前記第1転写凸部と前記第2転写凸部とが当該転写ロールの軸方向に沿って間隔をあけて並んで配置された転写ロールであり、
前記転写工程では、前記板材の幅方向が前記転写ロールの軸方向に沿うように前記板材を前記転写ロールに対して配置し、前記転写ロールをその軸回りに連続的に回転させながら、前記第1転写凸部、前記複数の第1転写凹部及び前記第2転写凸部による前記板材への転写を前記板材の幅方向に直交する当該板材の延び方向に沿って連続的に行うことにより、前記第1窪み部及び前記複数の突起からなる第1構成部材対応形状と前記第2窪み部からなる第2構成部材対応形状とが前記板材の幅方向に並ぶとともにその第1構成部材対応形状及び第2構成部材対応形状が前記板材の延び方向に並ぶようにそれらの第1構成部材対応形状及び第2構成部材対応形状を前記板材に転写する、請求項2に記載の板材の製造方法。
【請求項4】
前記転写工程で転写する前記第1窪み部の形状及び前記第2窪み部の形状は、前記転写工程による転写がなされた前記板材から前記複数の突起、前記突起形成面及び前記第1周壁構成部を有する筐体第1構成部材と前記底面部及び前記第2周壁構成部を有する筐体第2構成部材とを作製してその筐体第1構成部材の前記第1周壁構成部とその筐体第2構成部材の前記第2周壁構成部とを互いに接合することで前記突起形成面、前記第1周壁構成部内側面、前記底面部及び前記第2周壁構成部内側面によって囲まれた内室を有する筐体を作製することが可能となる形状である、請求項2又は3に記載の板材の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の板材の製造方法により製造された前記板材から、前記内室に伝熱流体を収容してその伝熱流体が発熱部品からの熱を受けて蒸発して拡散することにより放熱を行う放熱装置の筐体を製造する方法であって、
前記板材を前記第1窪み部の周囲で切断することにより前記複数の突起、前記突起形成面及び前記第1周壁構成部を有する筐体第1構成部材を作製するとともに前記板材を前記第2窪み部の周囲で切断することにより前記底面部及び前記第2周壁構成部を有する筐体第2構成部材を作製する筐体構成部材作製工程と、
前記筐体構成部材作製工程で作製した前記筐体第1構成部材と前記筐体第2構成部材とを当該筐体第1構成部材の前記突起形成面と当該筐体第2構成部材の前記底面部とが互いに対向するように配置するとともに、その筐体第1構成部材の前記第1周壁構成部とその筐体第2構成部材の前記第2周壁構成部とを互いに接合することにより、前記放熱装置の筐体を作製する放熱装置筐体作製工程と、を備える、放熱装置筐体の製造方法。
【請求項6】
複数の突起が形成された突起形成面と前記突起形成面の外周全体もしくはその外周の一部に亘って延在するとともに前記突起形成面から突出する第1周壁構成部とを有する形状を板材に転写する方法であって、
外周面を有する転写ロールであって前記外周面が第1転写凸部及び複数の第1転写凹部を有し、前記第1転写凸部が前記突起形成面と前記第1周壁構成部の前記突起形成面側を向く面である第1周壁構成部内側面とからなる第1窪み部に対応した凸状をなすとともに前記複数の第1転写凹部が前記第1転写凸部の先端面から前記複数の突起にそれぞれ対応した凹状にそれぞれ窪むように構成された転写ロールを用意する転写ロール用意工程と、
前記転写ロールの前記外周面を前記板材に押圧することにより前記板材に前記第1窪み部の形状及び前記複数の突起の形状を転写する転写工程と、を備える、転写方法。
【請求項7】
前記転写方法では、前記複数の突起、前記突起形成面及び前記第1周壁構成部からなる形状に加えて、底面部とその底面部の外周全体もしくはその外周の一部に亘って延在するとともに前記底面部から突出する第2周壁構成部とからなる形状を前記板材に転写し、
前記転写ロール用意工程で用意する前記転写ロールは、前記外周面が第2転写凸部をさらに有していてその第2転写凸部が前記底面部と前記第2周壁構成部の前記底面部側を向く面である第2周壁構成部内側面とからなる第2窪み部に対応した凸状をなしている転写ロールであり、
前記転写工程では、前記第1転写凸部及び前記複数の第1転写凹部によって前記板材に前記第1窪み部及び前記複数の突起の形状を転写するとともに、前記第2転写凸部によって前記板材に前記第2窪み部の形状を転写する、請求項6に記載の転写方法。
【請求項8】
前記転写ロール用意工程で用意する前記転写ロールは、前記外周面において前記第1転写凸部と前記第2転写凸部とが当該転写ロールの軸方向に沿って間隔をあけて並んで配置された転写ロールであり、
前記転写工程では、前記板材の幅方向が前記転写ロールの軸方向に沿うように前記板材を前記転写ロールに対して配置し、前記転写ロールをその軸回りに連続的に回転させながら、前記第1転写凸部、前記複数の第1転写凹部及び前記第2転写凸部による前記板材への転写を前記板材の幅方向に直交する当該板材の延び方向に沿って連続的に行うことにより、前記第1窪み部及び前記複数の突起からなる第1構成部材対応形状と前記第2窪み部からなる第2構成部材対応形状とが前記板材の幅方向に並ぶとともにその第1構成部材対応形状及び第2構成部材対応形状が前記板材の延び方向に並ぶようにそれらの第1構成部材対応形状及び第2構成部材対応形状を前記板材に転写する、請求項7に記載の転写方法。
【請求項9】
前記転写工程で転写する前記第1窪み部の形状及び前記第2窪み部の形状は、前記転写工程による転写がなされた前記板材から前記複数の突起、前記突起形成面及び前記第1周壁構成部を有する筐体第1構成部材と前記底面部及び前記第2周壁構成部を有する筐体第2構成部材とを作製してその筐体第1構成部材の前記第1周壁構成部とその筐体第2構成部材の前記第2周壁構成部とを互いに接合することで前記突起形成面、前記第1周壁構成部内側面、前記底面部及び前記第2周壁構成部内側面によって囲まれた内室を有する筐体を作製することが可能となる形状である、請求項7又は8に記載の転写方法。
【請求項10】
複数の突起が形成された突起形成面と前記突起形成面の外周全体もしくはその外周の一部に亘って延在するとともに前記突起形成面から突出する第1周壁構成部とを有する形状を板材に転写するための転写ロールであって、
前記板材に押圧される外周面を備え、
前記外周面は、前記突起形成面と前記第1周壁構成部の前記突起形成面側を向く面である第1周壁構成部内側面とからなる第1窪み部に対応した凸状をなす第1転写凸部と、前記第1転写凸部の先端面から前記複数の突起にそれぞれ対応した凹状にそれぞれ窪む複数の第1転写凹部と、を有する、転写ロール。
【請求項11】
前記転写ロールは、前記複数の突起、前記突起形成面及び前記第1周壁構成部からなる形状に加えて、底面部とその底面部の外周全体もしくはその外周の一部に亘って延在するとともに前記底面部から突出する第2周壁構成部とからなる形状を前記板材に転写するものであり、
前記外周面は、前記底面部と前記第2周壁構成部の前記底面部側を向く面である第2周壁構成部内側面とからなる第2窪み部に対応した凸状をなす第2転写凸部をさらに有する、請求項10に記載の転写ロール。
【請求項12】
前記第1転写凸部と前記第2転写凸部は、前記外周面において前記転写ロールの軸方向に沿って間隔をあけて並んで配置されている、請求項11に記載の転写ロール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板材の製造方法、放熱装置筐体の製造方法、転写方法及び転写ロールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、転写ロールにより板材の表面に凹凸形状を転写する転写方法が知られている。下記特許文献1には、そのような転写方法の一例が開示されている。
【0003】
下記特許文献1に開示された転写方法では、転写ロールの一例としての圧延ロールが圧延機に設置され、その圧延機が圧延ロールをその軸回りに回転させながら当該圧延ロールによって板材を圧延する際に板材の表面に凹凸形状を転写する。具体的に、前記圧延ロールは、板材と接触する表面処理部が表面に形成された圧延ロール本体を有し、前記表面処理部は凹凸パターンを有する。前記表面処理部が板材の表面に押圧されることによりその表面処理部の凹凸パターンが板材の表面に転写されるようになっている。この転写方法では、板材の表面全体に一定の凹凸パターンが転写される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2020-501906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、凹凸形状が転写された板材から製造される部材の一例として、複数の突起が形成された突起形成面とその突起形成面の外周の少なくとも一部に亘って延在するとともにその突起形成面から突出する周壁構成部とを有する部材がある。このような部材を、前記特許文献1に開示された転写方法によって多数の突起が表面全体に亘って均一に転写された板材から製造しようとすると、突起形成面の周囲にその突起形成面から立ち上がる周壁構成部の内側面を形成するためのプレス加工等の二次加工が必要になり、その結果、製造工程が複雑になる。
【0006】
本発明の目的は、複数の突起が形成された突起形成面とその突起形成面の外周の少なくとも一部に亘って延在する周壁構成部とを有する部材を板材から製造するときの製造工程を簡略化することが可能な板材の製造方法、放熱装置筐体の製造方法、転写方法及び転写ロールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明により提供される板材の製造方法は、複数の突起が形成された突起形成面と前記突起形成面の外周全体もしくはその外周の一部に亘って延在するとともに前記突起形成面から突出する第1周壁構成部とを有する板材を製造する方法である。この製造方法は、外周面を有する転写ロールであって前記外周面が第1転写凸部及び複数の第1転写凹部を有し、前記第1転写凸部が前記突起形成面と前記第1周壁構成部の前記突起形成面側を向く面である第1周壁構成部内側面とからなる第1窪み部に対応した凸状をなすとともに前記複数の第1転写凹部が前記第1転写凸部の先端面から前記複数の突起にそれぞれ対応した凹状にそれぞれ窪むように構成された転写ロールを用意する転写ロール用意工程と、前記転写ロールの前記外周面を前記板材に押圧することにより前記板材に前記第1窪み部の形状及び前記複数の突起の形状を転写する転写工程と、を備える。
【0008】
この板材の製造方法では、転写工程において、複数の突起の形状だけでなく、その複数の突起が形成された突起形成面の外周の少なくとも一部に亘って延在するとともにその突起形成面から突出する第1周壁構成部の内側面の形状も板材に転写できるため、当該製造方法により製造された板材から複数の突起が形成された突起形成面とその周囲の第1周壁構成部とを有する部材を製造するときに第1周壁構成部内側面を形成するための二次加工が不要となり、その部材の製造工程を簡略化できる。
【0009】
前記板材の製造方法では、前記複数の突起、前記突起形成面及び前記第1周壁構成部に加えて、底面部とその底面部の外周全体もしくはその外周の一部に亘って延在するとともに前記底面部から突出する第2周壁構成部とをさらに有する板材を製造し、前記転写ロール用意工程で用意する前記転写ロールは、前記外周面が第2転写凸部をさらに有していてその第2転写凸部が前記底面部と前記第2周壁構成部の前記底面部側を向く面である第2周壁構成部内側面とからなる第2窪み部に対応した凸状をなしている転写ロールであり、前記転写工程では、前記第1転写凸部及び前記複数の第1転写凹部によって前記板材に前記第1窪み部及び前記複数の突起の形状を転写するとともに、前記第2転写凸部によって前記板材に前記第2窪み部の形状を転写することが好ましい。
【0010】
こうすれば、転写工程において、前記複数の突起、前記突起形成面及び前記第1周壁構成部に対応した形状に加えて、前記底面部及び前記第2周壁構成部に対応した形状も板材に転写できる。
【0011】
前記転写ロール用意工程で用意する前記転写ロールは、前記外周面において前記第1転写凸部と前記第2転写凸部とが当該転写ロールの軸方向に沿って間隔をあけて並んで配置された転写ロールであり、前記転写工程では、前記板材の幅方向が前記転写ロールの軸方向に沿うように前記板材を前記転写ロールに対して配置し、前記転写ロールをその軸回りに連続的に回転させながら、前記第1転写凸部、前記複数の第1転写凹部及び前記第2転写凸部による前記板材への転写を前記板材の幅方向に直交する当該板材の延び方向に沿って連続的に行うことにより、前記第1窪み部及び前記複数の突起からなる第1構成部材対応形状と前記第2窪み部からなる第2構成部材対応形状とが前記板材の幅方向に並ぶとともにその第1構成部材対応形状及び第2構成部材対応形状が前記板材の延び方向に並ぶようにそれらの第1構成部材対応形状及び第2構成部材対応形状を前記板材に転写することが好ましい。
【0012】
こうすれば、板材に効率よく多数の第1構成部材対応形状及び多数の第2構成部材対応形状を転写することができる。
【0013】
前記転写工程で転写する前記第1窪み部の形状及び前記第2窪み部の形状は、前記転写工程による転写がなされた前記板材から前記複数の突起、前記突起形成面及び前記第1周壁構成部を有する筐体第1構成部材と前記底面部及び前記第2周壁構成部を有する筐体第2構成部材とを作製してその筐体第1構成部材の前記第1周壁構成部とその筐体第2構成部材の前記第2周壁構成部とを互いに接合することで前記突起形成面、前記第1周壁構成部内側面、前記底面部及び前記第2周壁構成部内側面によって囲まれた内室を有する筐体を作製することが可能となる形状であることが好ましい。
【0014】
こうすれば、筐体を構成する筐体第1構成部材と筐体第2構成部材の両方の形状が揃って形成された板材を製造することができる。そのため、別途構成部材を用意することなく、製造された板材のみから筐体を作製することができる。
【0015】
本発明により提供される放熱装置筐体の製造方法は、前記転写工程で転写する前記第1窪み部の形状及び前記第2窪み部の形状が前記板材から前記筐体第1構成部材と前記筐体第2構成部材とを作製してその筐体第1構成部材及び筐体第2構成部材から筐体を作製することが可能となる形状である板材の製造方法により製造された前記板材から、前記内室に伝熱流体を収容してその伝熱流体が発熱部品からの熱を受けて蒸発して拡散することにより放熱を行う放熱装置の筐体を製造する方法である。この製造方法は、前記板材を前記第1窪み部の周囲で切断することにより前記複数の突起、前記突起形成面及び前記第1周壁構成部を有する筐体第1構成部材を作製するとともに前記板材を前記第2窪み部の周囲で切断することにより前記底面部及び前記第2周壁構成部を有する筐体第2構成部材を作製する筐体構成部材作製工程と、前記筐体構成部材作製工程で作製した前記筐体第1構成部材と前記筐体第2構成部材とを当該筐体第1構成部材の前記突起形成面と当該筐体第2構成部材の前記底面部とが互いに対向するように配置するとともに、その筐体第1構成部材の前記第1周壁構成部とその筐体第2構成部材の前記第2周壁構成部とを互いに接合することにより、前記放熱装置の筐体を作製する放熱装置筐体作製工程と、を備える。
【0016】
この放熱装置筐体の製造方法によれば、筐体第1構成部材と筐体第2構成部材の両方の形状が揃って形成された板材から放熱装置筐体を作製できるため、その放熱装置筐体を作製するために別途部材を用意する必要がない。このため、その放熱装置筐体の作製を簡便にすることができる。
【0017】
本発明により提供される転写方法は、複数の突起が形成された突起形成面と前記突起形成面の外周全体もしくはその外周の一部に亘って延在するとともに前記突起形成面から突出する第1周壁構成部とを有する形状を板材に転写する方法である。この転写方法は、外周面を有する転写ロールであって前記外周面が第1転写凸部及び複数の第1転写凹部を有し、前記第1転写凸部が前記突起形成面と前記第1周壁構成部の前記突起形成面側を向く面である第1周壁構成部内側面とからなる第1窪み部に対応した凸状をなすとともに前記複数の第1転写凹部が前記第1転写凸部の先端面から前記複数の突起にそれぞれ対応した凹状にそれぞれ窪むように構成された転写ロールを用意する転写ロール用意工程と、前記転写ロールの前記外周面を前記板材に押圧することにより前記板材に前記第1窪み部の形状及び前記複数の突起の形状を転写する転写工程と、を備える。
【0018】
この転写方法では、転写工程において、複数の突起の形状だけでなく、その複数の突起が形成された突起形成面の外周の少なくとも一部に亘って延在するとともにその突起形成面から突出する第1周壁構成部の内側面の形状も板材に転写できるため、当該転写方法による転写後の板材から複数の突起が形成された突起形成面とその周囲の第1周壁構成部とを有する部材を製造するときに第1周壁構成部内側面を形成するための二次加工が不要となり、その部材の製造工程を簡略化できる。
【0019】
前記転写方法では、前記複数の突起、前記突起形成面及び前記第1周壁構成部からなる形状に加えて、底面部とその底面部の外周全体もしくはその外周の一部に亘って延在するとともに前記底面部から突出する第2周壁構成部とからなる形状を前記板材に転写し、前記転写ロール用意工程で用意する前記転写ロールは、前記外周面が第2転写凸部をさらに有していてその第2転写凸部が前記底面部と前記第2周壁構成部の前記底面部側を向く面である第2周壁構成部内側面とからなる第2窪み部に対応した凸状をなしている転写ロールであり、前記転写工程では、前記第1転写凸部及び前記複数の第1転写凹部によって前記板材に前記第1窪み部及び前記複数の突起の形状を転写するとともに、前記第2転写凸部によって前記板材に前記第2窪み部の形状を転写することが好ましい。
【0020】
こうすれば、転写工程において、前記複数の突起、前記突起形成面及び前記第1周壁構成部に対応した形状に加えて、前記底面部及び前記第2周壁構成部に対応した形状も板材に転写できる。
【0021】
前記複数の突起、前記突起形成面及び前記第1周壁構成部からなる形状に加えて、前記底面部と前記第2周壁構成部とからなる形状を板材に転写する前記転写方法において、前記転写ロール用意工程で用意する前記転写ロールは、前記外周面において前記第1転写凸部と前記第2転写凸部とが当該転写ロールの軸方向に沿って間隔をあけて並んで配置された転写ロールであり、前記転写工程では、前記板材の幅方向が前記転写ロールの軸方向に沿うように前記板材を前記転写ロールに対して配置し、前記転写ロールをその軸回りに連続的に回転させながら、前記第1転写凸部、前記複数の第1転写凹部及び前記第2転写凸部による前記板材への転写を前記板材の幅方向に直交する当該板材の延び方向に沿って連続的に行うことにより、前記第1窪み部及び前記複数の突起からなる第1構成部材対応形状と前記第2窪み部からなる第2構成部材対応形状とが前記板材の幅方向に並ぶとともにその第1構成部材対応形状及び第2構成部材対応形状が前記板材の延び方向に並ぶようにそれらの第1構成部材対応形状及び第2構成部材対応形状を前記板材に転写することが好ましい。
【0022】
こうすれば、板材に効率よく多数の第1構成部材対応形状及び多数の第2構成部材対応形状を転写することができる。
【0023】
前記転写工程で転写する前記第1窪み部の形状及び前記第2窪み部の形状は、前記転写工程による転写がなされた前記板材から前記複数の突起、前記突起形成面及び前記第1周壁構成部を有する筐体第1構成部材と前記底面部及び前記第2周壁構成部を有する筐体第2構成部材とを作製してその筐体第1構成部材の前記第1周壁構成部とその筐体第2構成部材の前記第2周壁構成部とを互いに接合することで前記突起形成面、前記第1周壁構成部内側面、前記底面部及び前記第2周壁構成部内側面によって囲まれた内室を有する筐体を作製することが可能となる形状であることが好ましい。
【0024】
こうすれば、筐体を構成する筐体第1構成部材と筐体第2構成部材の両方の形状を揃って板材に転写できる。そのため、別途構成部材を用意することなく、その転写後の板材のみから筐体を作製することができる。
【0025】
本発明により提供される転写ロールは、複数の突起が形成された突起形成面と前記突起形成面の外周全体もしくはその外周の一部に亘って延在するとともに前記突起形成面から突出する第1周壁構成部とを有する形状を板材に転写するための転写ロールである。この転写ロールは、前記板材に押圧される外周面を備える。前記外周面は、前記突起形成面と前記第1周壁構成部の前記突起形成面側を向く面である第1周壁構成部内側面とからなる第1窪み部に対応した凸状をなす第1転写凸部と、前記第1転写凸部の先端面から前記複数の突起にそれぞれ対応した凹状にそれぞれ窪む複数の第1転写凹部と、を有する。
【0026】
この転写ロールによれば、複数の第1転写凹部によって複数の突起の形状を板材に転写するだけでなく、その複数の突起が形成された突起形成面の外周の少なくとも一部に亘って延在するとともにその突起形成面から突出する第1周壁構成部の内側面の形状も第1転写凸部によって板材に転写することができる。このため、その転写後の板材から複数の突起が形成された突起形成面とその周囲の第1周壁構成部とを有する部材を製造するときに第1周壁構成部内側面を形成するための二次加工が不要となり、その部材の製造工程を簡略化できる。
【0027】
前記転写ロールは、前記複数の突起、前記突起形成面及び前記第1周壁構成部からなる形状に加えて、底面部とその底面部の外周全体もしくはその外周の一部に亘って延在するとともに前記底面部から突出する第2周壁構成部とからなる形状を前記板材に転写するものであり、前記外周面は、前記底面部と前記第2周壁構成部の前記底面部側を向く面である第2周壁構成部内側面とからなる第2窪み部に対応した凸状をなす第2転写凸部をさらに有することが好ましい。
【0028】
この構成の転写ロールによれば、前記複数の突起、前記突起形成面及び前記第1周壁構成部からなる形状に加えて、前記底面部及び前記第2周壁構成部からなる形状も板材に転写できる。
【0029】
前記転写ロールにおいて、前記第1転写凸部と前記第2転写凸部は、前記外周面において前記転写ロールの軸方向に沿って間隔をあけて並んで配置されていることが好ましい。
【0030】
この構成の転写ロールによれば、当該転写ロールをその軸回りに連続的に回転させながら第1転写凸部、複数の第1転写凹部及び第2転写凸部による板材への転写を板材の幅方向に直交するその板材の延び方向に沿って連続的に行うことにより、第1窪み部及び複数の突起からなる第1構成部材対応形状と第2窪み部からなる第2構成部材対応形状とが板材の幅方向に並ぶようにそれらの第1構成部材対応形状及び第2構成部材対応形状を板材に転写することができる。このため、当該転写ロールによれば、板材に効率よく多数の第1構成部材対応形状及び多数の第2構成部材対応形状を転写することができる。
【発明の効果】
【0031】
以上のように、本発明によれば、複数の突起が形成された突起形成面とその突起形成面の外周の少なくとも一部に亘って延在する周壁構成部とを有する部材を板材から製造するときの製造工程を簡略化することが可能な板材の製造方法、放熱装置筐体の製造方法、転写方法及び転写ロールが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の一実施形態による転写ロールの斜視図である。
図2】本発明の一実施形態による転写ロールの正面図である。
図3図2中のIII-III位置での転写ロールのロール本体の断面図である。
図4】転写ロールにより板材に転写する様子を模式的に表した図である。
図5】本発明の一実施形態による板材の製造方法及び転写方法により製造された板材から作製される筐体第1構成部材の斜視図である。
図6】前記板材から作製される筐体第2構成部材の斜視図である。
図7図5に示した筐体第1構成部材と図6に示した筐体第2構成部材とから作製される放熱装置筐体の断面図である。
図8】一変形例による筐体第1構成部材の平面図である。
図9】別の変形例による筐体第1構成部材の平面図である。
図10】さらに別の変形例による筐体第1構成部材の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態による筐体用板材121の製造方法、転写方法、及び、その製造方法及び転写方法において用いられる本発明の一実施形態による転写ロール1、さらに、本実施形態による製造方法により製造された筐体用板材121から放熱装置の筐体200を製造する筐体200の製造方法について説明する。
【0034】
本実施形態による製造方法では、内面に複数の突起104が形成された内室201を有する筐体200(図7参照)を構成する筐体第1構成部材101及び筐体第2構成部材102の両方の形状が形成された筐体用板材121(図4参照)を製造する。
【0035】
本実施形態では、前記筐体200は、前記内室201に伝熱流体を収容してその伝熱流体が発熱部品からの熱を受けて蒸発して拡散することにより放熱を行う放熱装置の筐体である。前記放熱装置は、発熱部品に対してその発熱部品から発する熱が伝達されるように設置されてその発熱部品が発する熱を放散させるいわゆるベイパーチャンバーであり、前記伝熱流体は、例えば水である。前記ベイパーチャンバーでは、内室201に図略のウィックが設置される。前記のように拡散した伝熱流体の蒸気は降温することにより凝縮して液体に戻り、その伝熱流体の液体はウィックによる毛細管現象により内室201のうちベイパーチャンバーが前記発熱部品から熱を受ける箇所付近に戻されて蒸発による熱の拡散に再び寄与するようになる。
【0036】
筐体200は、第1基壁202と、第2基壁203と、前記複数の突起104と、周壁205と、を有する。
【0037】
第1基壁202と第2基壁203は、それぞれ平板状をなし、互いに平行にそれらの間に間隔をあけて配置されている。第1基壁202は、前記複数の突起104が形成された突起形成面107を有する。この突起形成面107は、第1基壁202のうち筐体200の内側を向く面であり、第2基壁203と対向する面である。
【0038】
前記複数の突起104は、突起形成面107上に形成され、その突起形成面107から第2基壁203へ向かって突出している。この複数の突起104は、それらの間に間隔をあけて突起形成面107上において点在している。この複数の突起104は、筐体200の内外の気圧差により第2基壁203が第1基壁202側へ凹んだときにその第2基壁203を支える支柱としての役割を果たす。複数の突起104と第2基壁203との間には間隙が設けられ、この間隙に図略の前記ウィックが設置される。各突起104の詳細については、後述する。
【0039】
周壁205は、第1基壁202の外縁と第2基壁203の外縁との間でそれらの外縁同士を繋いでいる。この周壁205は、第1基壁202及び第2基壁203のそれぞれの外縁全体に亘って延在している。この周壁205と第1基壁202と第2基壁203とによって囲まれることにより筐体200の内室201が形成されている。
【0040】
前記筐体第1構成部材101と前記筐体第2構成部材102は、筐体200の厚み方向(前記第1基壁202と前記第2基壁203とが対向する方向)における当該筐体200の中間位置から一方側の部分とその中間位置から他方側の部分とをそれぞれ構成するものである。つまり、筐体第1構成部材101と筐体第2構成部材102とが互いに向かい合わせに配置されて接合されることによって筐体200が構成される。
【0041】
筐体第1構成部材101(図5及び図7参照参照)は、前記突起形成面107を有する第1底壁部103と、前記複数の突起104と、第1周壁構成部105と、を有する。また、筐体第1構成部材101は、後述のように突起形成面107と第1周壁構成部内側面108とからなる第1窪み部106を有する。
【0042】
第1底壁部103は、筐体200の第1基壁202を構成する部分であり、矩形平板状をなしている。この第1底壁部103は、上述のように前記突起形成面107を有しており、当該第1底壁部103のうち前記第1窪み部106の底面となる面が前記突起形成面107となっている。
【0043】
複数の突起104のそれぞれは、本実施形態では、約2mmの直径を有する円柱状であり、前記突起形成面107から10μm以上200μm以下の所定の高さで突出している。隣り合う突起104同士の間には、間隙が設けられている。複数の突起104は、特定のパターンで配列されている。具体的には、複数の突起104は、前記突起形成面107に対向する方向(突起形成面107に対して垂直方向)から見て千鳥状に配列されている。前記突起形成面107上における複数の突起104の配置、隣り合う突起104同士の間の間隙の大きさ、各突起104の形状及び高さは、上記のようなものがその一例であり、伝熱流体の流動性やその他の条件を考慮して適宜設定される。
【0044】
第1周壁構成部105は、筐体200の厚み方向における周壁205の中間位置から第1基壁202側の部分を構成する。第1周壁構成部105は、突起形成面107の外周全体(第1底壁部103の外周全体)に亘って連続的に延在するとともに、突起形成面107から前記突起104の高さと等しい高さで突出している。この第1周壁構成部105は、突起形成面107に対向する方向から見て前記複数の突起104が設けられた領域全体を囲む矩形の枠状をなしている。第1周壁構成部105の高さ方向と直交する方向の厚み(壁厚)は、約2mmに設定されている。なお、突起形成面107に対向する方向から見た第1周壁構成部105の形状、第1周壁構成部105の高さ及び厚みは、上記のようなものがその一例であり、筐体200が組み込まれる機器におけるレイアウトやその他の条件を考慮して適宜設定されればよい。また、第1周壁構成部105は、第1周壁構成部内側面108を有する。この第1周壁構成部内側面108は、突起形成面107に対向する方向から見て第1周壁構成部105の内側を向く面であり、突起形成面107とともに前記第1窪み部106を画定する面である。
【0045】
筐体第2構成部材102(図6及び図7参照)は、第2底壁部112と、第2周壁構成部114と、を有する。また、筐体第2構成部材102は、後述のように第2底壁部112の底面部117と第2周壁構成部内側面118とからなる第2窪み部116を有する。
【0046】
第2底壁部112は、筐体200の第2基壁203を構成する部分であり、矩形平板状をなしている。この第2底壁部112は、前記第2窪み部116の底面となる底面部117を有する。この底面部117は、筐体200の内面のうち前記突起形成面107と対向する面を構成する。
【0047】
第2周壁構成部114は、筐体200の周壁205のうち前記第1周壁構成部105以外の部分を構成する。第2周壁構成部114は、第1周壁構成部105と接合されることによりその第1周壁構成部105とともに筐体200の周壁205を構成する。第2周壁構成部114は、前記底面部117の外周全体(第2底壁部112の外周全体)に亘って連続的に延在するとともに、前記底面部117から突出している。この第2周壁構成部114は、前記底面部117に対向する方向から見て前記第1周壁構成部105の形状と対応した形状をなしている。すなわち、第2周壁構成部114は、筐体第1構成部材101の第1周壁構成部105に対して向かい合わせで配置されたときにその第1周壁構成部105の形状と一致する形状を有する。換言すれば、第2周壁構成部114は、前記底面部117に対向する方向から見た場合に第1周壁構成部105の鏡像となる形状をなしている。前記底面部117に対向する方向から見た第2周壁構成部114の形状、第2周壁構成部114の高さ及び厚みは、第1周壁構成部105と同様、筐体200が組み込まれる機器におけるレイアウトやその他の条件を考慮して適宜設定される。
【0048】
第2周壁構成部114は、第2周壁構成部内側面118を有する。この第2周壁構成部内側面118は、前記底面部117に対向する方向から見て第2周壁構成部114の内側を向く面であり、前記底面部117とともに前記第2窪み部116を画定する面である。
【0049】
本実施形態による筐体用板材121の製造方法では、前記筐体第1構成部材101に対応する形状及び前記筐体第2構成部材102に対応する形状を板材120に圧延転写することによって形成する。具体的には、筐体第1構成部材101の突起形成面107及び第1周壁構成部内側面108からなる第1窪み部106及び複数の突起104の形状(以下、第1構成部材対応形状101aと称する)と、筐体第2構成部材102の底面部117及び第2周壁構成部内側面118からなる第2窪み部116の形状(以下、第2構成部材対応形状102aと称する)とを、板材120に圧延転写により形成する。その転写方法は、以下のような構成の転写ロール1(図1及び図2参照)を図略の圧延装置に取り付け、その圧延装置により転写ロール1を回転させながら板材120に押圧することによって第1構成部材対応形状101a及び第2構成部材対応形状102aを板材120に転写するものである。
【0050】
転写ロール1は、鋼材からなる。より具体的には、前記転写ロール1は、例えば高炭素クロム軸受鋼鋼材(SUJ2)からなる。この転写ロール1には、高周波焼き入れ加工が施されている。転写ロール1は、図1及び図2に示すように、ロール本体2と、第1軸部4と、第2軸部6と、を有する。
【0051】
ロール本体2は、板材120の被転写面120aに押圧されて前記第1構成部材対応形状101a及び前記第2構成部材対応形状102aを板材120に転写する部分である。ロール本体2は、転写ロール1の回転軸に一致した軸心を有する略円柱状をなしている。ロール本体2は、板材120への転写時に板材120の被転写面120aに押圧される外周面12を有する。この外周面12は、基準面13と、2つの第1転写部14と、2つの第2転写部16と、を有する。
【0052】
基準面13は、転写ロール1の軸心に直交する断面において円形をなす。この基準面13は、外周面12のうち第1転写部14及び第2転写部16以外の部分に相当する。
【0053】
第1転写部14と第2転写部16は、外周面12上においてロール本体2の軸方向(転写ロール1の軸方向)に沿って交互に間隔をあけて並ぶように配置されている。各第1転写部14は、前記第1構成部材対応形状101aを板材120に転写するための部分であり、各第2転写部16は、前記第2構成部材対応形状102aを板材120に転写するための部分である。
【0054】
各第1転写部14は、基準面13から径方向外側へ突出し、前記第1構成部材対応形状101aに対応した形状を有する。具体的には、各第1転写部14は、ロール本体2の周方向に沿うように湾曲しているが、平らになるように展開すると前記第1構成部材対応形状101aの第1窪み部106及び複数の突起104の凹凸を反転させた形状を有する。この各第1転写部14は、第1転写凸部18と、複数の第1転写凹部20と、を有する。
【0055】
第1転写凸部18は、板材120の被転写面120aに押圧されることにより板材120を厚み方向に窪ませて前記第1窪み部106の形状を板材120に形成するものである。第1転写凸部18は、図3に示すように、前記第1窪み部106に対応した凸状をなすように基準面13から径方向外側へ突出している。具体的には、第1転写凸部18は、ロール本体2の周方向に沿うように湾曲しているが、平らになるように展開すると前記第1窪み部106の凹状を反転させた凸状をなしている。第1転写凸部18は、基準面13からの当該第1転写凸部18の突出方向において前記第1窪み部106の深さに対応した高さ、換言すれば前記第1周壁構成部105の高さに対応した高さを有する。第1転写凸部18は、前記突出方向における当該第1転写凸部18の先端に位置する先端面24を有する。
【0056】
また、第1転写凸部18は、ロール本体2の全周に亘っておらず、ロール本体2の周方向における当該第1転写凸部18の両端間には間隔が設けられている。具体的には、第1転写凸部18は、図4に示すように、第1転写凸部一端18aと第1転写凸部他端18bとを有する。第1転写凸部一端18aは、外周面12の周方向(ロール本体2の周方向)における第1転写凸部18の一端である。また、第1転写凸部他端18bは、第1転写凸部一端18aに対して反対側の端である。この第1転写凸部他端18bは、前記周方向において第1転写凸部一端18aとの間に間隔をあけて配置されている。各第1転写凸部18の第1転写凸部一端18aの前記周方向における位置は一致しており、各第1転写凸部18の第1転写凸部他端18bの前記周方向における位置は一致している。
【0057】
複数の第1転写凹部20は、第1転写凸部18が板材120の被転写面120aに押圧されることによりそれらの内側に板材120の一部が入り込み、その各第1転写凹部20内に入り込んだ板材120の一部を前記突起104の形状に成形するものである。複数の第1転写凹部20は、図3に示すように、それぞれ、前記複数の突起104の各々に対応した凹状をなすように第1転写凸部18の先端面24から窪んでいる。本実施形態では、各第1転写凹部20は、約2mmの内径を有するとともに前記突起104の高さに対応した深さを有する有底の丸穴である。前記先端面24に対向する方向から見て、複数の第1転写凹部20は、それらの間に間隔をあけて前記先端面24全体に点在している。この複数の第1転写凹部20の配置は、前記複数の突起104の配置と対応している。具体的には、複数の第1転写凹部20の配置は、第1転写凸部18を平らになるように展開した場合に前記突起形成面107における前記複数の突起104の配置と一致するような配置となっている。
【0058】
各第2転写部16は、基準面13から径方向外側へ突出し、前記第2窪み部116(前記第2構成部材対応形状102a)に対応した凸状をなす第2転写凸部21からなる。この第2転写凸部21は、ロール本体2の周方向に沿うように湾曲しているが、平らになるように展開すると前記第2窪み部116の凹状を反転させた凸状をなしている。第2転写凸部21は、板材120の被転写面120aに押圧されることにより板材120を厚み方向に窪ませて前記第2窪み部116の形状を板材120に形成する。第2転写凸部21は、基準面13からの当該第2転写凸部21の突出方向において前記第2窪み部116の深さに対応した高さ、換言すれば前記第2周壁構成部114の高さに対応した高さを有する。
【0059】
また、第2転写凸部21は、ロール本体2の全周に亘っておらず、ロール本体2の周方向における当該第2転写凸部21の両端間には間隔が設けられている。具体的に、第2転写凸部21は、第2転写凸部一端21aと第2転写凸部他端21bとを有する。第2転写凸部一端21aは、外周面12の周方向(ロール本体2の周方向)における第2転写凸部部21の一端である。また、第2転写凸部他端21bは、第2転写凸部一端21aに対して反対側の端である。この第2転写凸部他端21bは、前記周方向において第2転写凸部一端21aとの間に間隔をあけて配置されている。各第2転写部16の第2転写凸部一端21aの前記周方向における位置は一致しており、各第2転写部16の第2転写凸部他端21bの前記周方向における位置は一致している。また、第2転写凸部一端21aの前記周方向における位置と第1転写凸部一端18aの前記周方向における位置は一致しており、第2転写凸部他端21bの前記周方向における位置と第1転写凸部他端18bの前記周方向における位置は一致している。
【0060】
第1軸部4と第2軸部6は、図略の圧延装置により支持される部分である。第1軸部4は、ロール本体2の軸方向における一端から突出している。第2軸部6は、ロール本体2の軸方向における他端から突出している。第1軸部4及び第2軸部6は、ロール本体2よりも小径となっており、それらの軸心がロール本体2の軸心と一致するように配置されている。
【0061】
次に、図4を参照しながら、本実施形態による筐体用板材121の製造方法及びその製造方法で用いられる転写方法の具体的な工程について説明する。なお、図4は、転写ロール1により板材120に転写する様子を表しているが、板材120に転写される凹凸形状及びそれと対応する転写ロール1の凹凸形状等を判りやすくするために、それらの凹凸形状の縮尺及び板材120の厚みを実際よりも大きくして表している。また、この図4では、第1転写凹部20の数及び板材120に転写された筐体第1構成部材101の突起104の数を減らすとともに転写ロール1及び筐体用板材121を簡略化して模式的に表している。
【0062】
本実施形態による製造方法及び転写方法は、転写ロール1を用意する転写ロール用意工程と、板材120を用意する板材用意工程と、転写ロール1を用いて前記第1構成部材対応形状101a及び前記第2構成部材対応形状102aの両方を板材120に転写する転写工程と、を有する。
【0063】
転写ロール用意工程では、上記構成を有する転写ロール1を用意する。この工程では、上記構成を有する転写ロール1を作製してもよいし、上記構成を有する既存の転写ロール1を用意してもよい。転写ロール1を作製する場合、円筒状の外周面を有するロール本体2を備えた転写ロール1で高周波焼き入れ加工を施したものを用意し、そのロール本体2の外周面にエッチングにより前記基準面13、前記2つの第1転写部14及び前記2つの第2転写部16を形成し、それによって前記形状の外周面12を有するロール本体2を備えた転写ロール1を作製する。なお、前記基準面13、前記2つの第1転写部14及び前記2つの第2転写部16は、レーザー加工や切削加工により形成してもよく、また、円筒状の基準面13上に鍍金することにより前記2つの第1転写部14及び前記2つの第2転写部16を形成してもよい。
【0064】
板材用意工程では、筐体用板材121の素材としての板材120を用意する。この板材120の材料は、凹凸形状の転写が可能な材料であれば特に限定されないが、例えば、銅、鉄、SUS、アルミニウム、チタンなどから選ばれる金属である。なお、放熱装置の筐体200の構成部材を形成するための板材120としては、熱伝導性の高さから銅がその材料であることが好ましい。また、板材120の材料として熱伝導性を有する樹脂を採用することも可能である。
【0065】
転写工程では、その準備段階として、前記転写ロール用意工程で用意した転写ロール1をその軸方向が略水平になるように図略の圧延装置に取り付けるとともに、その転写ロール1の下方に当該転写ロール1と平行に圧延ロール51(図4参照)が設置される。そして、当該転写工程では、板材120をその幅方向と直交する延び方向(長さ方向)において転写ロール1のロール本体2と圧延ロール51のロール本体52との間に通し、圧延装置が転写ロール1及び圧延ロール51をそれぞれの軸回りに板材120の送り方向に回転させながら板材120をその厚み方向両側から転写ロール1と圧延ロール51とにより押圧する。これにより、板材120の被転写面120aに転写ロール1のロール本体2の外周面12が押圧されて、その外周面12の2つの第1転写部14及び2つの第2転写部16により、板材120の幅方向に並ぶ2つの第1構成部材対応形状101a及び2つの第2構成部材対応形状102aが板材120に転写される。
【0066】
具体的には、各第1転写部14の第1転写凸部18が板材120の被転写面120aに押圧されることにより、板材120がその各第1転写部14の第1転写凸部18に対応した第1窪み部106の形状に窪むとともに、板材120の一部が各第1転写部14の複数の第1転写凹部20のそれぞれの内側に入り込んでその複数の第1転写凹部20に対応した複数の突起104のそれぞれの凸状に成形される。これにより、板材120に第1構成部材対応形状101aが形成される。また、各第2転写部16の第2転写凸部21が板材120の被転写面120aに押圧されることにより、板材120がその各第2転写部16の第2転写凸部21に対応した第2窪み部116の形状に窪む。これにより、板材120に第2構成部材対応形状102aが形成される。
【0067】
以上のような転写が行われた板材120では、その板材120の幅方向に第1構成部材対応形状101aと第2構成部材対応形状102aとが間隔をあけて交互に並ぶ。そして、転写ロール1及び圧延ロール51が連続回転することにより、以上のような転写が連続して行われる。すなわち、転写ロール1の1回転につき1回の転写が行われ、その転写が複数回連続して行われることにより、板材120の幅方向に並ぶ2つの第1構成部材対応形状101a及び2つの第2構成部材対応形状102aからなる形状列が板材120の延び方向(長さ方向)に間隔をあけて複数並んで形成される。以上のようにして多数の第1構成部材対応形状101a及び多数の第2構成部材対応形状102aが形成された板材120が筐体用板材121として製造される。
【0068】
そして、本実施形態による放熱装置の筐体200の製造方法では、以上のように製造された筐体用板材121から放熱装置の筐体200を製造する。
【0069】
具体的には、この放熱装置の筐体200の製造方法は、筐体構成部材作製工程と、放熱装置筐体作製工程と、を有する。
【0070】
筐体構成部材作製工程では、筐体用板材121を各第1窪み部106の周囲で切断することにより第1窪み部106及び複数の突起104を有する筐体第1構成部材101を作製するとともに、筐体用板材121を各第2窪み部116の周囲で切断することにより第2窪み部116を有する筐体第2構成部材102を作製する。この際、各第1窪み部116の外縁から外側に第1周壁構成部105の壁厚に相当する距離だけ離れた位置で筐体用板材121を切断することにより筐体第1構成部材101を作製し、各第2窪み部116の外縁から外側に第2周壁構成部114の壁厚に相当する距離だけ離れた位置で筐体用板材121を切断することにより筐体第2構成部材102を作製する。
【0071】
放熱装置筐体作製工程では、筐体構成部材作製工程で作製した筐体第1構成部材101と筐体第2構成部材102とを当該筐体第1構成部材101の突起形成面107と当該筐体第2構成部材102の底面部117とが互いに対向するように向かい合わせに配置するとともに、その筐体第1構成部材101の第1周壁構成部105とその筐体第2構成部材102の第2周壁構成部114とを互いに接合して周壁205を形成することにより、伝熱流体を収容するとともにその伝熱流体が蒸発する内室201を有する放熱装置の筐体200を作製する。
【0072】
本実施形態では、前記転写工程において、転写ロール1により、筐体第1構成部材101の複数の突起104の形状に加えてその複数の突起104が形成された突起形成面107の外周に延在するとともにその突起形成面107から突出する第1周壁構成部105に対応する形状も板材120に転写できるため、転写後の板材120に第1周壁構成部105に対応する形状を形成するための二次加工が不要となる。このため、筐体用板材121から筐体第1構成部材101を製造するときの製造工程を簡略化でき、その製造コストを削減できる。
【0073】
また、本実施形態では、前記転写工程において、転写ロール1により、第1構成部材対応形状101aに加えて、第2構成部材対応形状102aも板材120に転写できるため、筐体200を構成する筐体第1構成部材101と筐体第2構成部材102の両方に対応する形状が揃って形成された筐体用板材121を製造することができる。すなわち、筐体200を作製するために別途構成部材を必要としない筐体用板材121を製造することができる。
【0074】
また、本実施形態では、前記転写工程において、転写ロール1を連続的に回転させながらその転写ロール1の軸方向に沿って並ぶ第1転写部14及び第2転写部16による板材120への転写を連続的に行うことにより、第1構成部材対応形状101aと第2構成部材対応形状102aとが板材120の幅方向に並ぶとともにその第1構成部材対応形状101aと第2構成部材対応形状102aが板材120の延び方向に並ぶようにそれらの第1構成部材対応形状101a及び第2構成部材対応形状102aを板材120に転写する。このため、板材120に効率よく多数の第1構成部材対応形状101a及び多数の第2構成部材対応形状102aを転写することができる。
【0075】
また、本実施形態では、前記筐体用板材121の製造方法により製造された筐体用板材121から筐体第1構成部材101及び筐体第2構成部材102を作製して、その作製した筐体第1構成部材101及び筐体第2構成部材102から放熱装置の筐体200を作製する。すなわち、本実施形態では、筐体第1構成部材対応形状101aと筐体第2構成部材対応形状102aの両方が揃って形成された筐体用板材121から放熱装置の筐体200を作製できるため、その放熱装置の筐体200を作製するために別途部材を用意する必要がない。このため、その放熱装置の筐体200の作製を簡便にすることができる。
【0076】
(変形例)
本発明による板材の製造方法、放熱装置筐体の製造方法、転写方法及び転写ロールは、前記のようなものに必ずしも限定されない。例えば、本発明では、以下のような技術を採用可能である。
【0077】
本発明による製造方法及び転写方法で板材に形成される複数の突起、突起形成面及び第1周壁構成部は、筐体を構成する筐体第1構成部材に適用されるものに必ずしも限定されない。また、本発明による製造方法及び転写方法で板材に形成される底面部及び第2周壁構成部は、筐体を構成する筐体第2構成部材に適用されるものに必ずしも限定されない。すなわち、本発明の製造方法により製造される板材及び本発明の転写方法による転写後の板材は、筐体を構成する筐体第1構成部材を作製するために用いられる筐体用板材に必ずしも限定されず、他の用途に用いられる板材であってもよい。また、本発明の製造方法により製造される板材及び本発明の転写方法による転写後の板材は、筐体第1構成部材に加えて筐体第2構成部材を作製するために用いられる筐体用板材に必ずしも限定されず、他の用途に用いられる板材であってもよい。
【0078】
本発明における板材の製造方法及び転写方法は、筐体用板材を形成する場合であっても、筐体第1構成部材に対応する形状と筐体第2構成部材に対応する形状の両方を板材に形成するものに必ずしも限定されず、筐体第1構成部材に対応する形状のみを板材に形成するものであってもよい。この場合に用いられる転写ロールは、そのロール本体の外周面が基準面と第1転写部のみを備えるものであればよい。
【0079】
本発明における板材の製造方法で製造された板材から作製される筐体第1構成部材と接合されて筐体を構成する筐体第2構成部材は、必ずしも本発明による製造方法で製造された板材から作製されるものでなくてもよく、他の製造方法により製造された板材から作製されるものであってもよい。例えば、その筐体第2構成部材は、エッチングやプレス、その他の製造方法により筐体第2構成部材の形状が形成された板材から作製されるものであってもよい。
【0080】
また、筐体第2構成部材は、平板状のものであってもよい。この場合、この平板状の筐体第2構成部材の外周部が筐体第1構成部材の第1周壁構成部に接合されることによりその筐体第2構成部材と筐体第1構成部材とが一体化されて筐体が構成される。
【0081】
筐体第1構成部材の第1周壁構成部は、必ずしも突起形成面の外周全体に亘って延在していなくてもよく、突起形成面の外周の一部の領域に延在していてもよい。この場合、第1周壁構成部は突起形成面の外周の半分以上の領域に延在していることが、その第1周壁構成部を有する筐体第1構成部材を用いて筐体を製造するときの製造コストの削減及びその筐体の作製しやすさの観点から好ましい。また、第1周壁構成部が突起形成面の外周の一部の領域に延在している場合、筐体第2構成部材の第2周壁構成部も同様に当該筐体第2構成部材の底面部の外周の一部の領域、具体的には第1周壁構成部が延在している一部の領域に対応する領域に延在していればよい。この第2周壁構成部についても前記底面部の外周の半分以上の領域に延在していることが、その第2周壁構成部を有する筐体第2構成部材を用いて筐体を製造するときの製造コストの削減及びその筐体の作製しやすさの観点から好ましい。また、第1周壁構成部は前記突起形成面の外周に沿って断続的に存在していてもよく、第2周壁構成部は前記底面部の外周に沿って断続的に存在していてもよい。
【0082】
以上のように前記突起形成面の外周に第1周壁構成部が一部存在しない領域がある筐体第1構成部材と前記底面部の外周に第2周壁構成部が一部存在しない領域がある筐体第2構成部材とから筐体を作製した場合、その筐体に周壁が一部存在しない領域が形成されるが、この領域は、例えば、筐体の内室に伝熱流体を注入するために利用される。具体的には、周壁が存在しない領域を通して注入用のホースが筐体の内室へ挿入され、そのホースを通じて内室に伝熱流体が注入される。伝熱流体の注入後は、周壁が存在しない領域は、他の部材で埋められるか、もしくは、筐体第1構成部材の第1底壁部と筐体第2構成部材の第2底壁部とが圧着されることによって閉ざされる。
【0083】
また、筐体第1構成部材の突起形成面に対向する方向から見た第1周壁構成部の形状は、矩形枠状以外の形状であってもよい。その第1周壁構成部105の形状は、例えば、図8に示すような多角形状や、図9もしくは図10に示すような複雑な形状であってもよい。なお、図8図10は、第1周壁構成部105の変形例を示す図であるため、筐体第1構成部材101の複数の突起104については図示を省略している。第1周壁構成部は、その第1周壁構成部の高さ方向に直交する断面の形状がその高さ方向全体に亘って一定であれば本発明による製造方法及び転写方法で形成可能であるため、突起形成面に対向する方向から見た第1周壁構成部の形状として、上記した形状及び各図に示される形状以外の種々の形状を採用できる。筐体は、それが用いられる装置の用途及びその装置が組み込まれる機器におけるレイアウトなどの様々な条件に基づいてその形状が設定され、第1周壁構成部は、その筐体を厚み方向から見た当該筐体の外形に応じた形状とされる。
【0084】
また、筐体第2構成部材の底面部に対向する方向から見た第2周壁構成部の形状は、第1周壁構成部と同様に矩形枠状以外の形状であってもよく、第1周壁構成部の鏡像となる形状であればよい。
【0085】
筐体第1構成部材の複数の突起のそれぞれの形状は、円柱状以外であってもよい。各突起は、その突出方向に直交する断面の形状がその突出方向全体に亘って一定であれば本発明による製造方法及び転写方法で形成可能であるため、その一定の断面形状が、例えば、角形、もしくは、楕円形、もしくは、ヘリンボーン形(ジグザグ形)、もしくはそれ以外の形状であってもよい。
【0086】
本発明における筐体は、必ずしも放熱装置用の筐体に限定されず、他の用途に用いられるものであってもよい。また、本発明における筐体が放熱装置用である場合であっても、その放熱装置は、必ずしもベイパーチャンバーに限定されず、ベイパーチャンバー以外の放熱装置であってもよい。
【符号の説明】
【0087】
1 転写ロール
12 外周面
13 基準面
14 第1転写部
16 第2転写部
18 第1転写凸部
20 第1転写凹部
21 第2転写凸部
101 筐体第1構成部材
102 筐体第2構成部材
104 突起
105 第1周壁構成部
106 第1窪み部
107 突起形成面
108 第1周壁構成部内側面
114 第2周壁構成部
116 第2窪み部
117 底面部
118 第2周壁構成部内側面
120 板材
121 筐体用板材
200 筐体
201 内室
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10