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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083820
(43)【公開日】2023-06-16
(54)【発明の名称】複合蓄電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20230609BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20230609BHJP
【FI】
H02J7/00 302C
H02J7/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021197747
(22)【出願日】2021-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 之也
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA03
5G503BA04
5G503BB01
5G503BB02
5G503BB03
5G503CA11
5G503CB11
5G503EA05
5G503FA06
5G503GA01
5G503HA02
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、BMS(バッテリーマネジメントシステム)の機能消失の怖れが無く、安定的かつ効率的に制御可能な複合蓄電システムを提供することである。
【解決手段】本発明の複合蓄電システムは、高出力ユニット、及び大容量ユニットを含む複数の種類の、BMU(バッテリーマネジメントユニット)を含む電池ユニットを組み合わせた複合蓄電システムであり、少なくとも、該高出力ユニットの該BMUが、該高出力ユニット以外のユニット外電源から駆動電圧を供給され得る、外部電圧駆動BMUである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高出力ユニット及び大容量ユニットを含む複数の種類の、BMUを含む電池ユニットを組み合わせた複合蓄電システムであって、
少なくとも、該高出力ユニットの該BMUが、該高出力ユニット以外のユニット外電源から駆動電圧を供給され得る、外部電圧駆動BMUである、複合蓄電システム。
【請求項2】
前記ユニット外電源が、前記高出力ユニット以外の前記電池ユニットである、請求項1に記載の複合蓄電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合蓄電システムに関し、特に、高出力ユニット、及び大容量ユニットを含む、複数の種類の電池ユニットを組み合わせた複合蓄電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車や電気自動車において、大容量型の電池の大電流による負荷を低減するために、二種類以上の電池(例えば、鉛電池やカーボン系リチウムイオン電池のような大容量型の電池ユニット、及び、
負極にチタン酸リチウム(以下LTO)を使用したLTO系リチウムイオン電池の様な高出力型の電池ユニット)を互いに並列に接続(大容量型の電池ユニットを主電池とし、それに対して、高出力型の電池ユニットを並列接続する構成が望ましい)する複合蓄電システムが用いられている。
【0003】
また、蓄電システムの高出力化が必要となりつつある、瞬時的に大電流を必要とする大型AGV(無人搬送装置)や、建機といった産業用機器、あるいは、電力系統の周波数制御や需給バランス調整の調整力として用いるための蓄電池システムや、瞬時停電時の電力を賄う無停電電源装置(UPS)にも、同様に複合蓄電システムの使用が提案されている。
【0004】
更に、瞬時的な大電流が求められる高出力型は、容量(Ah)あたりのコストが高くなりがちであり、高出力ユニット自体のコストを低減するために、小容量ユニットとされる傾向にある。
【0005】
すなわち、特性の異なった二次電池を併用する複合蓄電システムにおいては、高出力型電池ユニットは、大容量型電池ユニットよりも大きな電流で充放電が行われることとなり、蓄電容量に関して、高出力型電池ユニットは可能な限り小さく、大容量型電池ユニットはなるだけ大きく、することが夫々求められる。
【0006】
ここで、大容量型電池ユニットで可能となる急速充放電について、LTO系は炭素系より有利であり、また、この急速充放電の実施には、セル電圧のアンバランスを、より一層、短時間で調整可能なダイナミックかつ精度の高いセルバランス補正が必要であることを、付言する。
【0007】
例えば、特許文献1は、負荷に放電し、発電機で充電される、出力型電池ユニット(リチウムイオン電池ユニット)、及びこの出力型電池ユニットとの間で充放電する、鉛電池ユニットを備える蓄電システムであって、出力型電池ユニットの定格電流を、鉛電池ユニットの定格電流よりも大きい定格電流とし、鉛電池ユニットを、直流電圧変換器を介し出力型電池ユニットと直列に接続し、鉛電池ユニット充電時、直流電圧変換器に、これに直列に接続された出力型電池ユニットによって、直流電圧変換器の分担電圧を下げることで、直流電圧変換器の電力を抑え、負荷の定格電圧を維持して、鉛電池ユニットの充電電圧を上げることで、鉛電池ユニットの寿命を延ばした、複合蓄電システムを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開WO2015/060139パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このような特許文献1の複合蓄電システムは、総合的な電力効率の向上が図られ、負荷に安定的に電圧を供給可能であり、システム全体の寿命を延命できるという利点を有するものの、ユニット自体の電圧により、その内蔵BMS(Battery Management System:バッテリーマネジメントシステム)を、駆動をさせた場合、容量を極力抑えた高出力ユニットが大電流放電する際に、充電残量の急激な減少に伴うユニット電圧低下に起因し、BMSの駆動電圧の低下を引き起こす怖れがあり、最悪の場合には、BMSがシャットダウンし、その状態監視機能や充放電制御機能が消失することとなるという問題があり、改善の余地がある。
【0010】
本発明は、この様な従来技術の問題点を解決すべく為されたものであり、BMSの機能消失の怖れ無く、安定的かつ効率的に制御可能な複合蓄電システムの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、かかる課題を解決するため検討を行なったところ、前記消失状態においては、好ましい実施態様である、大容量ユニットから高出力ユニットへの充放電を実施する、ユニット間充放電制御状態の期間中に、高出力ユニットに許容値を超える充放電を実施する危険充放電となる可能性があること、及び、大容量ユニットからの充放電量が許容値を超え、大容量ユニットに不可逆的なダメージが生じて、大容量ユニットの許容駆動容量が大きく低下する可能性もあること、を見出し、これらの解決策について種々試行錯誤した結果、本発明の複合蓄電システムを発明するに至った。
【0012】
即ち、本発明は、高出力ユニット及び大容量ユニットを含む複数の種類の、BMU(バッテリーマネジメントユニット)を含む、電池ユニットを組み合わせた複合蓄電システムであって、
少なくとも、該高出力ユニットの該BMUが、該高出力ユニット以外の、ユニット外電源から駆動電圧を供給され得る、外部電圧駆動BMUである、複合蓄電システムに関する。
【0013】
この様な本発明の複合蓄電システムは、本発明に係るBMUを構成として含む、BMSとして、当該ユニット以外の電源から、駆動電圧を供給する、外部電圧印加によるBMSによる制御を含む、複合蓄電システムなので、高出力ユニットのBMUはシャットダウンすることなく常時動作が可能となり、状態監視機能や充放電制御機能が消失する怖れも無くなり、システム全体の安全制御が可能となる。
【0014】
ここで、本発明の複合蓄電システムでは、さらなる急速充放電に向け、比較的大きな電流でダイナミックに、また、より高精度のセルバランス補正を可能とする目的で、パック間のバランスを補正する電池パックバランス補正を、追加実施するパックバランス補正追加制御とすることが好ましい。
【0015】
また、前記ユニット外電源が、前記高出力ユニット以外の前記電池ユニットであることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の複合蓄電システムは、当該ユニット以外の電源から、駆動電圧を供給する、外部電圧印加による内蔵BMSによる制御を含む複合蓄電システムなので、高出力ユニットのBMUはシャットダウンすることなく常時動作が可能となり、状態監視機能や充放電制御機能が消失する怖れが無く、システム全体の安全な制御が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施態様に係る、高出力ユニット1000Aと、大容量ユニット1000Bとが、並列接続された複合蓄電システムの概略構成図である。
図2】本発明の一実施態様に係るBMU供給電源回路例である。
図3】本発明の一実施態様に係る高出力型パック10の電気的な概略構成を示す、回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の複合蓄電システムの実施態様について、これを構成する構成要素の説明と共に、詳述する。
【0019】
(複合蓄電システム)
図1は、本発明の一実施態様に係る、高出力ユニット1000Aと、大容量ユニット1000Bとが、並列接続された複合蓄電システムの概略構成図である。
【0020】
図1の複合蓄電システム1は、高出力ユニット1000A及び大容量ユニット1000Bが並列に、夫々、本発明に係る対象である外部機器に接続される構成である。そして、高出力ユニット1000Aは、高出力型のパック100Aが2個直列接続されてなり、大容量ユニット1000Bは、大容量型のパック100Bが2個直列接続されてなる。
【0021】
本発明の複合蓄電システム1は、一対のシステム入出力端子2,3を介して、共に本発明に係る対象である、外部負荷(例えば、後述する機器)への放電と、外部電源(例えば、後述する充電器)からの充電とを行うシステムであり、いずれも後述する、高出力ユニット1000A、及び大容量ユニット1000Bを含む、複数の種類の電池ユニット1000を組み合わせてなることを一つの特徴とし、好ましくは、通信ケーブル4を介して、より上位のシステムや機器との間で通信を行う。
【0022】
通信ケーブル4に関し、一ユニットであるユニット1000は、通信ケーブル4を介し、本発明に係るBMU電力制御部5との間で少なくとも、場合によっては、直列、及び/又は、並列に接続された他ユニット1000との間で、好ましくは、本発明に係る対象であり、より好ましくは上位システムである、外部の接続機器との間で、通信を行う。通信ケーブル4を介し行う通信インターフェースとしては、特に限定されないが、CANや、RS485等の標準インターフェースが挙げられ、その様なインターフェースドライバー内蔵の、BMU電力制御部5、BMU1200を例に記述している。
【0023】
電池ユニット1000は、複数個の二次電池セルを含む、二次電池パック100を、少なくとも1個、場合によっては、複数個、直列、及び/又は、並列に接続し含み、本発明では、当該ユニットが各々BMU1200を含む。
【0024】
本発明に係る高出力ユニット1000Aは、そのBMU1200が、当該高出力ユニット以外の、ユニット外電源から駆動電圧を供給され得る、外部電圧駆動BMU1200Aであることを、一つの特徴とし、好ましくは、該ユニット外電源は、高出力ユニット1000A以外の本発明に係る電池ユニット1000であり、より好ましくは、本発明に係る大容量ユニット1000Bである。
【0025】
本発明の複合蓄電システム1は、これに含まれる全ユニット1000の駆動電力につき上位コントロールするBMU電力制御部5を含むことを一つの特徴とし、この様なBMU電力制御部5は、その駆動電力が、安定供給されることが望ましく、例えば、図1においては、BMU電力供給ケーブル106により大容量ユニット1000Bから供給され、その際、大容量ユニット1000B中の特定の大容量型パック10から、当該供給を実施する場合には、当該特定大容量型パック10以外の、他大容量型パック10との間で、当該供給に係りBMU電力制御部5にて消費される電流の分だけ、パック充電残量につきバラツキが発生するため、特定大容量型パック10と他大容量型パック10との間でバランス補正を行うことが好ましい。
【0026】
より安定に供給する観点からは、外部電源コケーブル6により、安定化電源等の本システムの外部から、BMU電力制御部5の駆動電力を、供給することが好ましい。
【0027】
また、本発明の複合蓄電システム1は、高出力ユニット1000Aが、BMU電力供給ケーブル106を介し、そのBMU1200に、駆動電力の供給を受けることを特徴とし、これにより、高出力ユニット1000AのBMU1200は、ユニット外電源から駆動電圧を供給され得る。
【0028】
この様な本発明に係る、高出力ユニット1000AのBMU1200への駆動電力の供給において、外部電源コケーブル6を介しての本システムの外部からの供給は、補助的なものとすることが好ましく、例えば、大容量ユニット1000Bからの供給を主として、その様な大容量ユニット1000Bのユニット充電残量が所定値を下回った場合に、システム外部からの供給を、有効とするように、BMU電力制御部5が制御することで、安定的な、かつ、独立した制御が可能となる。例えば、図2に示すように、大容量パック100Bの出力電圧が、ユニット充電残量の低下等に起因して、所定電圧を下回った場合に、システム外部からの供給が有効となるようなスイッチ(図2では外部電源供給切替FET208、例えばMOS FET)を有するBMU供給電源回路206を含む、本発明に係るBMU電力制御部5とすることで実現可能となる。
【0029】
なお、図2は本発明の一実施態様に係るBMU供給電源回路例である。
【0030】
(BMU電力制御部5)
本発明に係るBMU電力制御部5は、本発明の複合蓄電システム全体の管理の内の、少なくとも、各ユニット1000への、本発明に係るユニット外電源からの駆動電圧の供給に係る管理を行う機能を有し、場合により好ましくは、システムの全ユニットの駆動電力につき総合管理、即ち、上位コントロールする機能を有する。
【0031】
このようなBMU電力制御部5は、本発明のシステムを構成する一部ではあるが、外観上は、本発明に係る対象、例えば外部機器、の一部となっていてもよく、本発明に係るユニット1000と別個の個別の機器であり、場合によって、特定のユニット1000の中の、当該ユニット1000のBMU1200とは別個の個別の部分機器であってもよく、さらには、当該BMU1200の中の一部であってもよく、好ましくは、図1に示すように、本発明のシステムを構成する一部とすることであり、ハードウェア構成、ソフトウェア構成、およびメンテナンス性に優れる。
【0032】
BMU電力制御部5としては、例えばDC-DCコンバータを含むものが挙げられ、ユニット外電源、例えば、他ユニットから、被電力供給ユニットに、当該被電力供給ユニットのBMU1200で必要とされる入力電圧にて、電力を供給する機能を有し、前述のDC-DCコンバータは、当該電力の電圧を生成する。
【0033】
このようなBMU電力制御部5と、被電力供給ユニット1000とは、BMU電力供給ケーブル106を介して接続されており、ユニット外電源が、本発明の複合蓄電システムに含まれるユニット以外の外部電源である場合には、外部電源コケーブル6で接続され、こうすることにより、被電力供給ユニットのBMUは、外部電源からの電力供給によっても駆動可能となる。
【0034】
尚、BMU電力制御部5は、ユニット外電源同士である、電池ユニット1000や、外部電源の間で、干渉しあわないように、逆流防止のダイオードを含むことが好ましい。
【0035】
図1においては、BMU電力制御部5は、高出力ユニット1000Aと、2個の各々の高出力型パック10が個別に接続されることで、高出力電池パックとそれぞれ通信が可能となり、また、大容量ユニット1000Bと、2個の各々の大容量型パック10が個別に接続されることで、大容量電池パックとそれぞれ通信が可能となり、本システムが含む全ユニットの駆動電力につき上位コントロールが可能となっているだけでなく、高出力ユニット1000A内の個別の高出力型パック10、そして、大容量ユニット1000B内の個別の大容量型パック10についても状態監視と制御が可能となっている。
【0036】
このようなBMU電力制御部5は、好ましくは、CPU201を含み、BMU電力制御部5の各種機能は、当該CPU201に内蔵の記憶部に格納された所定のソフトウェア(プログラム)を実行することで実現される。
【0037】
(電池ユニット)
本発明に係る電池ユニットは、同種類の、好ましくは同規格の、複数個の二次電池セルを含む、同種類の、好ましくは同規格の、二次電池パックを、少なくとも1個、場合によっては、複数個、直列、及び/又は、並列に接続し含み、本発明では、当該ユニットが各々BMUを含み、当該パックが、ユニットに含まれるBMUとは別に、セルマネジメントユニット(CMU)を含み、ユニットが含むパックが1個の場合は、当該パックに含まれるCMUは、本発明に係りBMUでもある。
【0038】
このような本発明に係る電池ユニット1000は、これに含まれるBMU1200の内で、少なくとも高出力ユニット1000Aの、少なくとも一部の、好ましくは、全部の、より好ましくは大容量ユニット1000Bの少なくとも一部の、さらに好ましくは、システムに含まれる全てのユニットのBMU1200が、本発明に係るユニット外電源からの駆動電圧供給に係る、BMU電力入出力端子1206を備える。
【0039】
(高出力ユニット)
本発明に係る高出力ユニットとしては、リチウムイオン電池やリチウムイオンキャパシタ等が挙げられ、好ましくはエネルギー密度と出力密度の両方を兼ね備えたLTO系リチウムイオン電池セルを搭載したユニットである。
【0040】
(大容量ユニット)
本発明に係る大容量ユニットとしては、リチウムイオン電池、ナトリウム硫黄電池、鉛電池等が挙げられ、好ましくはエネルギー密度に優れているリチウムイオン電池である。
【0041】
(BMU)
本発明に係るBMU1200は、本発明に係るユニットが1000各々有し、ユニット分流電流の制御に係る信号の入力・生成・出力を担うユニット制御素子部1220、及びユニット分流回路1223を含み、必要に応じて、ユニット充放電スイッチ1204や、ユニット充放電電流を検出する電流検出部1205等を含み、セルバイパス電流制御、パック分流電流制御を介して、過電圧/過電流、過充電/過放電、過低温/過高温等から複合蓄電システム、特に電池モジュール101を保護する保護機能を有し、好ましくは、保護機能だけでなく、本発明に係る対象との間での放電及び充電そのものについての充放電制御機能や、パック情報やセル情報についての通知に係る通知機能を有する。
【0042】
このような本発明に係るBMU1200には、好ましくは、パック情報が入力され、より好ましくは、セル情報が入力される。
【0043】
パック充放電スイッチ204は、電池モジュール101の充放電を制御するスイッチング素子である。パック充放電スイッチ204としては、特に限定されないが、例えば電界効果トランジスタ(FET)が挙げられる。充電用と放電用のFETをそれぞれ構成することで、充電/放電の制御がそれぞれ単独で可能となる。
【0044】
図3は、本発明の一実施態様に係る高出力型パック10の電気的な概略構成を示す、回路ブロック図である。
【0045】
電流検出部205は、図3においては、BMU1200内において、パック本流回路10の一部から、後述するアナログフロントエンド(AFE:周辺演算部)に、電池モジュール101の充放電電流でもある、パック充放電電流に係るパック情報を出力する素子として描かれており、このパック情報を基にして、CMU200が、電池モジュール101のセル充放電に伴う容量を算出し、当該算出結果に基づき、セルバイパス電流制御を実施することもできる。
【0046】
電流検出部205としては、特に限定されないが、例えば、パック充放電電流に対応するシャント抵抗の電圧降下を出力し、CMU200にて演算処理する方法が挙げられる。この場合、電流検出部205は、電池モジュール101の充放電電流に応じた電圧を生成することとなる。
【0047】
(セル入力部21)
セル入力部21は、セルバイパス回路を含み、このセルバイパス回路の両端間の電圧として、セル本体の電圧であるセル電圧を出力し、その値は、AFE202に入力される。即ち、セル入力部21には、対応する電池モジュール101に含まれる全てのセル本体の各々について、セルのセル電圧出力両端子に各々接続されたセル電圧入力両端子を含み、好ましくは、上述のセルと同様に、隣接する一のセルと他のセルとの一及び他のセル電圧出力端子に対応する、セル電圧入力両端子は共用される。
【0048】
(セルバイパス回路)
本発明に係るセルバイパス回路は、セルバランス補正負荷を含み、例えば、放電の対象のセル本体を、MOSFETとセルバランス補正負荷を介して放電させるパッシブ方式の回路構成であり、オペアンプを用いた定電流回路として構成でき、この様な構成にすることで、本発明に係る無段階電流制御とすることが容易となる。
【0049】
(制御素子部20)
制御素子部20は、好ましくはCPU(メイン演算部)201、及びAFE202の2個の素子から構成され、制御に係る情報を保持情報として保持すると共に、入力された信号と比較演算し、制御に係る信号を生成・出力する機能を有し、好ましくは、通信コケーブル104を介して、当該パック100の外部の、当該パックである一パック以外の他パックや、対象である外部機器等との間で情報を通信する通信機能も有する。
【0050】
CPU201およびAFE202の各種機能は、例えばCPU201に内蔵の記憶部に格納された所定のソフトウェア(プログラム)を実行することで実現され、好ましくは、CPU201は、セルバイパス電流制御を、アナログ制御により、無段階に実施可能である。AFE202は、例えばCPU201とI2Cバスで接続されており、CPU201のスレーブとして動作する構成でもよく、場合によっては、AFE202が通信コケーブル104を介して外部と通信を行ってもよい。
【0051】
AFE202は、セル入力部21から入力されたセル電圧、電流検出部205から入力されたパック充放電電流に応じた電圧、及び、温度検出部105から入力された電池モジュール101の温度に応じた電圧を、アナログ-デジタル変換した後、変換後の信号をCPU201に出力する。
【0052】
CPU201は、AFE202からの出力信号や、通信コケーブル104からの入力情報に基づいて、制御に係る信号や情報を、保持し、比較演算し、生成・出力する機能を有し、AFE202にもこれら機能の一部が内蔵されていても良く、例えば、CPU201は、AFE202から保護がかかったことを通知されるのみの構成とすることもでき、例えば、CPU201は、電池モジュール101の、各電池セルのセル電圧、パック充放電電流、及びセル温度に基づき、セル充電残量やセル劣化状態を算出する演算処理を行い、また、通信コケーブル104を介して外部と通信を行い、演算処理の結果等を送信することができる。
【0053】
(パック)
本発明に係る二次電池パックは、第1及び第2の入出力端子102,103と、これらの端子間に存在するパック本流回路10とを少なくとも含み、これらに、CMU200が付加された構成を有し、このCMU200が、パック本流回路10から分岐するパック分流回路23を含むことを一つの特徴とする。
【0054】
第1及び第2の入出力端子102,103の端子間電圧がパック電圧であり、また、当該端子から、又は当該端子に流れる電流、即ち、当該端子を流れる電流が、パック充放電電流である。
【0055】
図3に示す二次電池パック100は、直列接続された複数個のセルを含む電池モジュール101と、本発明に係るセル温度を測定する為の温度検出部105と、一対(プラス電源端子およびマイナス電源端子)の入出力端子である前記第1及び第2の入出力端子102、103と、通信コケーブル104と、CMU200とを備え、前記パック本流回路10は、第1入出力端子102から、CMU200及び電池モジュール101を介し、第2入出力端子103までに至る回路である。
【0056】
温度検出部105は、電池モジュール101に近接して配置されており、電池モジュール101の、場合によっては、個別のセル本体の、温度を検出する。温度検出部105としては、特に限定されないが、例えばサーミスタが挙げられる。
【0057】
通信コケーブル104に関して、一パックであるパック100は、通信コケーブル104を介し、直列、及び/又は、並列に接続された他パック100との間で少なくとも、好ましくは、本発明に係る対象であり、より好ましくは上位システムである、外部の接続機器との間でも、通信を行う。通信コケーブル104を介し行う通信インターフェースとしては、特に限定されないが、CANや、RS485等の標準インターフェースが挙げられ、その様なインターフェースドライバー内蔵のCPU201を例に記述している。
【0058】
(第1及び第2の入出力端子102、103)
前記第1及び第2の入出力端子102、103は、本発明の複合蓄電システムにおいて、前記対象の入力や出力の端子と電気接続される、複合蓄電システムの外部入出力端子とすることができ、また、片方の入出力端子のみを、当該外部入出力端子とすることもでき、さらに、両方の入出力端子を、当該外部入出力端子としないこともできる。
【0059】
パック100は、一対の入出力端子102、103を介して、電池モジュール101から、本発明に係る対象である、外部負荷(例えば、後述する対象機器)への放電と、同様に本発明に係る対象である、外部電源(例えば、後述する充電器)から電池モジュール101への充電と、を行う。
【0060】
第1及び第2の両方の入出力端子102、103が、当該外部入出力端子である場合には、少なくとも、2個の、各々が当該第1及び第2の入出力端子102、103を含む、パックを、本発明の複合蓄電システムは含む。
【0061】
(パック本流回路10)
本発明に係るパック本流回路10は、第1及び第2の入出力端子間に存在し、これらの端子を連結する回路であり、当該回路中には、直列、及び/又は、並列に接続された複数のセルを前述した一パックセルとして含む、モジュール101を含む。
【0062】
(セルマネジメントユニット(CMU)200)
本発明に係るCMU200は、セルバイパス回路を含むセル入力部21、セルバイパス電流及びパック分流電流の制御に係る信号の入力・生成・出力を担う制御素子部20、及びパック分流回路23を含み、必要に応じて、パック充放電スイッチ204や、パック充放電電流を検出する電流検出部205等を含み、セルバイパス電流制御、パック分流電流制御を介して、過電圧/過電流、過充電/過放電、過低温/過高温等から複合蓄電システム、特に電池モジュール101を保護する保護機能を有し、好ましくは、保護機能だけでなく、本発明に係る対象との間での放電及び充電そのものについての充放電制御機能や、パック情報やセル情報についての通知に係る通知機能を有する。
【0063】
このような本発明に係るCMU200には、好ましくは、パック情報が入力され、より好ましくは、セル情報が入力される。
【0064】
パック充放電スイッチ204は、電池モジュール101の充放電を制御するスイッチング素子である。パック充放電スイッチ204としては、特に限定されないが、例えば電界効果トランジスタ(FET)が挙げられる。充電用と放電用のFETをそれぞれ構成することで、充電/放電の制御がそれぞれ単独で可能となる。
【0065】
電流検出部205は、図3においては、CMU200内において、パック本流回路10の一部から、後述するアナログフロントエンド(AFE:周辺演算部)に、電池モジュール101の充放電電流でもある、パック充放電電流に係るパック情報を出力する素子として描かれており、このパック情報を基にして、CMU200が、電池モジュール101のセル充放電容量に関する制御信号を算出し、当該制御信号に基づきセルバイパス電流制御を実施することもできる。
【0066】
電流検出部205としては、特に限定されないが、例えば、パック充放電電流に対応するシャント抵抗の電圧降下を出力し、CMU200にて演算処理する方法が挙げられる。この場合、電流検出部205は、電池モジュール101の充放電電流に応じた電圧を生成することとなる。
【0067】
(セル入力部21)
セル入力部21は、セルバイパス回路を含み、このセルバイパス回路の両端間の電圧として、セル本体の電圧であるセル電圧を出力し、その値は、AFE202に入力される。即ち、セル入力部21には、対応する電池モジュール101に含まれる全てのセル本体の各々について、セルのセル電圧出力両端子に各々接続されたセル電圧入力両端子を含み、好ましくは、上述のセルと同様に、隣接する一のセルと他のセルとの一及び他のセル電圧出力端子に対応する、セル電圧入力両端子は共用される。
【0068】
(セルバイパス回路)
本発明に係るセルバイパス回路は、セルバランス補正負荷を含み、例えば、放電の対象のセル本体を、MOSFETとセルバランス補正負荷を介して放電させるパッシブ方式の回路構成であり、オペアンプを用いた定電流回路として構成でき、この様な構成することで、本発明に係る無段階電流制御とすることが容易となる。
【0069】
(制御素子部20)
制御素子部20は、好ましくはCPU(メイン演算部)201、及びAFE202の2個の素子から構成され、制御に係る情報を保持情報として保持すると共に、入力された信号と比較演算し、制御に係る信号を生成・出力する機能を有し、好ましくは、通信信号を含むコケーブル104を介して、当該パック100の外部の、当該パックである一パック以外の他パックや、対象である外部機器等との間で情報を通信する通信機能も有する。
【0070】
CPU201およびAFE202の各種機能は、例えばCPU201に内蔵の記憶部に格納された所定のソフトウェア(プログラム)を実行することで実現され、好ましくは、CPU201は、セルバイパス電流制御を、アナログ制御により、無段階に実施可能である。AFE202は、例えばCPU201とI2Cバスで接続されており、CPU201のスレーブとして動作する構成でもよく、場合によっては、AFE202が通信コケーブル104を介して外部と通信を行ってもよい。
【0071】
AFE202は、セル入力部21から入力されたセル電圧、電流検出部205から入力されたパック充放電電流に応じた電圧、及び、温度検出部105から入力された電池モジュール101の温度に応じた電圧を、アナログ-デジタル変換した後、変換後の信号をCPU201に出力する。
【0072】
CPU201は、AFE202からの出力信号や、通信コケーブル104からの入力情報に基づいて、制御に係る信号や情報を、保持し、比較演算し、生成・出力する機能を有し、AFE202にもこれら機能の一部が内蔵されていても良く、例えば、CPU201は、AFE202から保護がかかったことを通知されるのみの構成とすることもでき、例えば、CPU201は、電池モジュール101の、各電池セルのセル電圧、パック充放電電流、及びセル温度に基づき、セル充電残量やセル劣化状態を算出する演算処理を行い、また、通信コケーブル104を介して外部と通信を行い、演算処理の結果等を送信することができる。
【0073】
(セル)
本発明に係るセルは、セル本体を含むセルメイン回路と、セル本体の端子間電圧であり、このセルメイン回路の両端電圧でもある、セル電圧をセルの外部に出力する、セル電圧出力両端子とを含み、好ましくは、モジュール101内において隣接する、一のセル本体と他のセル本体との、一及び他のセル電圧出力端子は共用される。
【0074】
(セルメイン回路)
本発明に係るセルメイン回路は、充電式(rechargeable)の二次電池(secondary battery)であるセル本体を含む。
【0075】
(セル本体)
セル本体としては、特に限定されないが、例えばリチウムイオン電池が挙げられる。リチウムイオン電池の中でも、負極の材料としてチタン酸リチウム(Lithium Titanate、Lithium Titanium Oxide:LTO)を用いたリチウムイオン電池(以下、LTO電池ともいう。)が好ましい。LTO電池は、自己放電による電圧低下量が小さく、繰り返し充放電による寿命が長く、急速充電機能に優れる。
【0076】
(パックバランス補正追加制御)
本発明に係るパックバランス補正追加制御は、電池パック間のバランスを調整するパックバランス補正、及び、セル毎の電圧を調整するセルバランス補正の両方の補正を実施する制御であり、これらの補正は、いずれも後述する、パック情報、セル情報に基づく制御により実施される。
【0077】
パック情報は、いずれも後述する、パック充放電電流、パック電圧等の情報である。
【0078】
セル情報は、いずれも後述する、セル温度、セル充電残量、セル劣化状態等の情報である。
【0079】
ここで、セル充電残量(State of Charge:SOC)は、例えば、満充電状態を100%と表現した際の充電残量の比率として表され、実際の充電状態の容量であるセル充電残量である。
【0080】
このようなセル充電残量の駆動範囲であって、パックの種類に応じて後述するセルマネジメントユニット(CMU)に予め設定され保持された値が駆動容量であり、そのような駆動容量としては、少なくとも第1の上限・下限の駆動容量であって、セル充電残量を含む範囲を各々上限及び下限の駆動容量とする、第1の上限・下限の駆動容量があり、好ましくは、この第1の上限・下限の駆動容量の範囲を範囲として含む、他の上限・下限の駆動容量があり、CMUは、好ましくは、セル充電残量をセル電圧に基づき算出する機能を有し、より好ましくは、算出したセル充電残量を、比較演算の為に保持する。
【0081】
このような本発明に係るCMUは、入力されたセル劣化状態(state of health:SOH)に基づき、他の上限及び/又は下限の駆動容量を設定可能であり、当該CMUに予め設定・保持された劣化基準と比較演算した結果に基づいて、CMU200は、他の上限及び/又は下限の駆動容量を設定し保持する。
【0082】
ここで、このようなセル劣化状態SOHの算出方法には、少なくとの4種類の方法があるが、本発明に係るSOH算出方法としては、インピーダンス・トラック方式が好ましく、高い精度が得られる。
【0083】
インピーダンス・トラック方式は、電池セルのインピーダンスを捕捉するもので、どんなセルでも、使えば使うほど内部インピーダンスは高くなる傾向があり、その様なインピーダンスから導出される値をSOHとすることが基本であるが、そのようなインピーダンスに応じて、エネルギー容量である本発明に係る駆動容量の範囲は減る傾向があるので、そのような使用により変化した駆動容量範囲を、電池セルの種類に応じた放電特性や温度特性などの測定データをリファレンスとしたものを、SOHとすることもできる。
【0084】
このようなセル劣化状態SOHを、その初期値や、設定値、測定値としてCMUに保存、入力、即ち、そのメモリに格納しておき、セル(パック)稼働時の電圧と電流、温度をモニターしつつ、これらと関連付けて電池セルのインピーダンスを常時捕捉し、データを更新していくことで、経年劣化によるインピーダンス変化を算出し、SOHを算出することが、より好ましい。
【0085】
ただし、本発明の構成とすることで、このようなSOHの要素を加味しなくても、過電圧・過放電に至らないように、充分にバランス補正することができるだけでなく、優れた蓄電性能を発揮しうる高精度の制御が可能であることが、本発明のポイントで。
ある。
【0086】
(パックバランス補正)
本発明に係るパックバランス補正は、電池パック間のバランスを調整する補正であり、即ち、本発明のシステムには、一のパックである一パックとは別に、他のパックである他パックが含まれる。
【0087】
(セルバランス補正)
本発明に係るセルバランス補正は、セル毎の電圧を調整する補正であり、ここで、セルは直列、及び/又は、並列に接続されパックに含まれ、即ち、本発明のシステムには、一のパックに含まれる一パックセルとは別に、他のパックに含まれる他パックセルが、夫々複数個含まれる。
【0088】
(セルバイパス電流制御)
本発明に係るセルバイパス電流制御は、セルバイパス回路に、セルバランス補正に係り、セル電圧に基づき制御されたセルバイパス電流を流す制御であり、好ましくは、アナログ制御により、無段階に実施され。また、好ましくは、セル電圧だけでなく、制御素子部20に入力された、パック電圧、パック充放電電流、セル情報からなる群に含まれる一以上に基づいても実施される。
【0089】
即ち、セルバイパス電流制御は、セルバランス補正に係り、電池モジュール101における各電池セルのセル電圧に基づき制御されたセルバイパス電流であって、セル入力部21に含まれるセルバイパス回路を流れるセルバイパス電流の制御であり、セル電圧を均等にするため制御とすることが基本であるが、本発明に係るセル温度、セル充電残量、セル劣化状態といったセル情報や、パック電圧、パック充放電電流にパック情報に基づき、各電池セルに対応するセルバイパス電流につき、制御の程度をより精密なものとし、セル電圧につき。必ずしも均等にするものでなくても良く、このようなセルバイパス電流制御は、メインCPU201及びAFE202が、共同して行うことができるが、AFE202が単独で行うこともできる。
【0090】
(パック分流電流制御)
本発明に係るパック分流電流制御は、パック分流回路に、パックバランス補正に係り制御されたパック分流電流を流す制御であり、好ましくは、本発明に係るCMU200が出力するパック分流制御電圧に応じて、パック分流制御電圧の値が、増減する。
【0091】
即ち、CPU201のデジタル―アナログ変換により生成されるパック分流制御電圧の出力と外部の定電流回路を含むパック分流回路23により、パック分流電流は、好ましくは無段階に、制御される。さらに、パック分流回路23に大電流駆動可能な素子、例えばNPN型トランジスタおよび抵抗を設けることで、大きなパック分流電流を流すことが可能となる。これによりパックバランス補正はCPU201の算出結果に基づき、好ましくは無段階に、高精度、かつ、ダイナミックに実施されることとなる。
【符号の説明】
【0092】
1 複合蓄電システム
2、3 システム入出力端子
4 通信ケーブル
5 BMU電力制御部
6 外部電源コケーブル
1000 電池ユニット
1000A 高出力ユニット
1000B 大容量ユニット
1200 バッテリーマネジメントユニット(BMU)
1200A 外部電圧駆動BMU
1207 BMU制御系主要回路
1208 外部電源供給切り替えFET
100 電池パック
100A 高出力型パック
100B 大容量型パック
10 パック本流回路
101 電池モジュール
102,103 入出力端子
104 通信コケーブル
105 温度検出部(サーミスタ)
106 BMU電力供給ケーブル
200 セルマネジメントユニット(CMU)
20 制御素子部
201 CPU(メイン演算部)
202 アナログフロントエンド(AFE)(周辺演算部)
21 セル入力部
23 パック分流回路
204 パック充放電スイッチ
205 電流検出部
206 BMU供給電源回路
208 外部電源供給切替FET
図1
図2
図3