IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 豊田合成株式会社の特許一覧

特開2023-83837乗員モニタリングシステム用撮影装置及び乗員モニタリングシステム
<>
  • 特開-乗員モニタリングシステム用撮影装置及び乗員モニタリングシステム 図1
  • 特開-乗員モニタリングシステム用撮影装置及び乗員モニタリングシステム 図2
  • 特開-乗員モニタリングシステム用撮影装置及び乗員モニタリングシステム 図3
  • 特開-乗員モニタリングシステム用撮影装置及び乗員モニタリングシステム 図4
  • 特開-乗員モニタリングシステム用撮影装置及び乗員モニタリングシステム 図5
  • 特開-乗員モニタリングシステム用撮影装置及び乗員モニタリングシステム 図6
  • 特開-乗員モニタリングシステム用撮影装置及び乗員モニタリングシステム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083837
(43)【公開日】2023-06-16
(54)【発明の名称】乗員モニタリングシステム用撮影装置及び乗員モニタリングシステム
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/60 20230101AFI20230609BHJP
   B60Q 3/283 20170101ALI20230609BHJP
   B60Q 3/20 20170101ALI20230609BHJP
   B60Q 3/76 20170101ALI20230609BHJP
   H04N 23/56 20230101ALI20230609BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20230609BHJP
【FI】
H04N5/232 290
B60Q3/283
B60Q3/20
B60Q3/76
H04N5/225 600
G03B15/00 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021197775
(22)【出願日】2021-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 天童
(72)【発明者】
【氏名】福井 峰雄
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 修
(72)【発明者】
【氏名】中村 祥宜
【テーマコード(参考)】
3K040
5C122
【Fターム(参考)】
3K040CA05
3K040GA04
3K040GB00
3K040GC02
3K040GC11
5C122DA14
5C122DA30
5C122EA12
5C122EA15
5C122FG05
5C122FH18
5C122GG04
5C122GG26
5C122HB01
(57)【要約】
【課題】撮影時に乗員が動いた場合やカメラが揺れた場合であっても鮮明な検出用画像を作成するための画像データを取得できる乗員モニタリングシステム用撮影装置、及びその撮影装置を備えた乗員モニタリングシステムを提供することにある。
【解決手段】乗物内の乗員33に第1の波長の光を照射する第1の光源11と、乗員33に、第1の光源11と異なる位置から、第1の波長と異なる第2の波長の光を照射する第2の光源12と、第1の波長の光と第2の波長の光が照射された乗員33を撮影し、第1の波長を含む波長域の情報を有する第1の画像データ21と第2の波長を含む波長域の情報を有する第2の画像データ22を異なるデータとして取り出すことができるデータキューブ20を取得する分光カメラ13と、を備えた、乗員モニタリングシステム用撮影装置1を提供する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗物内の乗員に第1の波長の光を照射する第1の光源と、
前記乗員に、前記第1の光源と異なる位置から、前記第1の波長と異なる第2の波長の光を照射する第2の光源と、
前記第1の波長の光と前記第2の波長の光が照射された前記乗員を撮影し、前記第1の波長を含む波長域の情報を有する第1の画像データと前記第2の波長を含む波長域の情報を有する第2の画像データを異なるデータとして取り出すことができるデータキューブを取得する分光カメラと、
を備えた、
乗員モニタリングシステム用撮影装置。
【請求項2】
前記乗物が自動車である、
請求項1に記載の乗員モニタリングシステム用撮影装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の乗員モニタリングシステム用撮影装置と、
前記第1の画像データと前記第2の画像データを用いて、前記第1の波長の光と前記第2の波長の光の映り込みが抑えられた、前記乗員の状態を判定するための情報の検出に用いられる検出用画像を作成する画像処理部と、
を備えた、
乗員モニタリングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗物室内で用いられる乗員モニタリングシステム用撮影装置及び乗員モニタリングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両を運転する運転者を撮影した画像から、運転者の顔の向きや視線を検出する画像撮影装置であって、運転者が装着している眼鏡への光の映り込みを画像から除去することができる画像撮影装置が知られている(特許文献1を参照)。
【0003】
眼鏡のレンズ部分やフレーム部分に光が映り込むことにより高輝度となった部分が発生すると、運転者の眼の画像情報が得られなくなり、運転者の顔の向きや視線の検出精度が低下するおそれがある。特許文献1に記載の画像撮影装置は、異なる位置に配置された、運転者を照明するための2つの光照射機を備えており、一方の光照射機から光を照明したときに撮影する運転者の画像と、他方の光照射機から光を照明したときに撮影する運転者の画像とを取得することができる。そして、これらの画像を合成して運転者が装着している眼鏡への光の映り込みが除去された画像を形成し、運転者の顔の向きや視線の検出精度を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-124043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の画像撮影装置によれば、一方の光照射機から光を照明したときに撮影する運転者の画像と、他方の光照射機から光を照明したときに撮影する運転者の画像とを異なるタイミングで撮影する必要があるため、これらの2枚の画像を撮影する間に運転者が動いた場合や、カメラが揺れた場合に、2枚の画像の間で運転者の像に差異が生じてしまう。そのため、これら2枚の画像の合成により得られる眼鏡への光の映り込みが除去された画像において、運転者の像が不鮮明になり、運転者の状態を判定するための顔の向きや視線などの情報を精度よく検出できなくなるおそれがある。
【0006】
本発明の目的は、乗物室内の乗員の顔の向き、視線、開眼度などの情報を検出するための検出用画像の作成に用いられる画像データを取得する乗員モニタリングシステム用撮影装置であって、撮影時に乗員が動いた場合やカメラが揺れた場合であっても鮮明な検出用画像を作成するための画像データを取得できる乗員モニタリングシステム用撮影装置、及びその撮影装置を備えた乗員モニタリングシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、上記目的を達成するために、下記[1]、[2]の乗員モニタリングシステム用撮影装置、及び[3]の乗員モニタリングシステムを提供する。
【0008】
[1]乗物内の乗員に第1の波長の光を照射する第1の光源と、前記乗員に、前記第1の光源と異なる位置から、前記第1の波長と異なる第2の波長の光を照射する第2の光源と、前記第1の波長の光と前記第2の波長の光が照射された前記乗員を撮影し、前記第1の波長を含む波長域の情報を有する第1の画像データと前記第2の波長を含む波長域の情報を有する第2の画像データを異なるデータとして取り出すことができるデータキューブを取得する分光カメラと、を備えた、乗員モニタリングシステム用撮影装置。
[2]前記乗物が自動車である、上記[1]に記載の乗員モニタリングシステム用撮影装置。
[3]上記[1]又は[2]に記載の乗員モニタリングシステム用撮影装置と、前記第1の画像データと前記第2の画像データを用いて、前記第1の波長の光と前記第2の波長の光の映り込みが抑えられた、前記乗員の状態を判定するための情報の検出に用いられる検出用画像を作成する画像処理部と、を備えた、乗員モニタリングシステム。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、乗物室内の乗員の顔の向き、視線、開眼度などの情報を検出するための検出用画像の作成に用いられる画像データを取得する乗員モニタリングシステム用撮影装置であって、撮影時に乗員が動いた場合やカメラが揺れた場合であっても鮮明な検出用画像を作成するための画像データを取得できる乗員モニタリングシステム用撮影装置、及びその撮影装置を備えた乗員モニタリングシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施の形態に係る撮影装置を構成する第1の光源、第2の光源、及び分光カメラの設置場所を示すための、自動車の車両室内の模式図である。
図2図2は、撮影装置により運転席に座った乗員の顔周辺を撮影する様子を示す模式図である。
図3図3は、乗物に搭載された、撮影装置を含む乗員モニタリングシステムの構成の一例を概略的に示すブロック図である。
図4図4は、乗員モニタリングシステムによる乗員のモニタリングの流れを概略的に示すフローチャートである。
図5図5は、分光カメラが取得するデータキューブの構造の模式図である。
図6図6(a)、(b)は、それぞれ第1の画像データと第2の画像データの模式図である。
図7図7は、バス車内の乗員をモニタリングする様子を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態に係る乗員モニタリングシステム用の撮影装置1は、乗物室内の乗員の状態を検出するための検出用画像の作成に用いられる画像データを取得する乗員モニタリングシステム用撮影装置である。
【0012】
撮影装置1は、乗物内の乗員に第1の波長の光を照射する第1の光源11と、その乗員に、第1の光源11と異なる位置から、第1の波長と異なる第2の波長の光を照射する第2の光源12と、第1の波長の光と第2の波長の光が照射された乗員を撮影し、第1の波長を含む波長域の情報を有する第1の画像データと第2の波長を含む波長域の情報を有する第2の画像データを異なるデータとして取り出すことができるデータキューブを取得する分光カメラ13と、を備える。
【0013】
図1は、撮影装置1を構成する第1の光源11、第2の光源12、及び分光カメラ13の設置場所を示すための、自動車の車両室内の模式図である。図1に示されるPは分光カメラ13の設置場所の例を示し、P、Pは、第1の光源11と第2の光源12の設置場所の例を示している。
【0014】
図1に示されるように、分光カメラ13は、例えば、ステアリングホイール31のパッド部分(P)に設置される。また、第1の光源11と第2の光源12は、例えば、ステアリングホイール31のリム部分(P)や、Aピラー(フロントピラー)32(P)に設置される。例えば、分光カメラ13は、撮影対象である乗員の顔から1m以内の位置に配置され、第1の光源11と第2の光源12は、乗員の顔から2m以内の位置に配置される。
【0015】
図2は、撮影装置1により運転席30に座った乗員33の顔周辺を撮影する様子を示す模式図である。図2に示される例では、第1の光源11と第2の光源12はステアリングホイール31のリム部分に設置され、分光カメラ13はステアリングホイール31のパッド部分に設置されている。
【0016】
第1の光源11から発せられた第1の波長の光と、第2の光源12から発せられた第2の波長の光は、運転席30に座った乗員33の顔周辺を照明し、照明された状態の乗員33の顔周辺を分光カメラ13が撮影し、データキューブを取得する。
【0017】
分光カメラ13は、マルチスペクトルカメラやハイパースペクトルカメラなどの、画素ごとの分光スペクトル(輝度対波長)を取得することができるカメラである。分光カメラ13が撮影により取得する画像データは、二次元の平面データに加えて波長情報を含む三次元(又は四次元以上)のデータであり、データキューブと呼ばれる。
【0018】
第1の光源11と第2の光源12は、例えば、LEDなどの発光素子を備えた照明装置である。第1の光源11の発光波長である第1の波長と、第2の光源12の発光波長である第2の波長は、分光カメラ13の分光性能により決定される。すなわち、分光カメラ13の取得したデータキューブから、第1の波長を含む波長域の情報を有する第1の画像データと第2の波長を含む波長域の情報を有する第2の画像データを異なるデータとして取り出すことができる程度に、第1の波長と第2の波長が離れていればよい。
【0019】
典型的には、第1の光源11と第2の光源12は、それぞれ近赤外域の単波長域の光を発する。すなわち、第1の波長と第2の波長は、それぞれ近赤外域に含まれる。第1の画像データと第2の画像データを確実に異なるデータとして取得するため、例えば、第1の波長と第2の波長(のピーク波長)が50nm以上離れていることが好ましい。
【0020】
図3は、乗物に搭載された、撮影装置1を含む乗員モニタリングシステム100の構成の一例を概略的に示すブロック図である。乗員モニタリングシステム100は、乗物内の乗員33の顔周辺をモニタリングするシステムであり、例えば、モニタリングにより判定された運転者の状態に応じて警告を発することにより、わき見運転や居眠り運転を抑制することができる。
【0021】
乗員モニタリングシステム100は、第1の光源11、第2の光源12、及び分光カメラ13を有する撮影装置1と、分光カメラ13の取得したデータキューブを記憶する記憶部14と、記憶部14に記憶されたデータキューブに含まれる第1の画像データと第2の画像を用いて、第1の波長の光と前記第2の波長の光の映り込みが抑えられた、乗員33の状態を判定するための顔の向き、視線、開眼度などの情報(判定用情報と呼ぶ)の検出に用いられる検出用画像を作成する画像処理部15と、画像処理部15が作成した検出用画像を記憶する記憶部16と、記憶部16に記憶された検出用画像を解析して、判定用情報を検出する画像解析部17と、画像解析部17が検出した判定用情報に基づいて乗員33の状態を判定する状態判定部18と、状態判定部18の判定した乗員33の状態に応じて乗員33に対する警告を発する警告部19と、第1の光源11、第2の光源12、分光カメラ13、画像処理部15、画像解析部17、状態判定部18、警告部19などの動作を制御する制御部10とを備える。
【0022】
乗員モニタリングシステム100を構成する制御部10、記憶部14、画像処理部15、記憶部16、画像解析部17、及び状態判定部18は、例えば、車両に搭載されたECU(エレクトロニックコントロールユニット)に実装されたMCU(マイクロコントローラーユニット)に含まれる。また、警告部19は、例えば、音や光により警告を発する車載装置である。なお、乗員モニタリングシステム100は警告部19を構成に含まないものであってもよい。この場合、警告部19は外部機器として乗員モニタリングシステム100に接続される。
【0023】
図4は、乗員モニタリングシステム100による乗員33のモニタリングの流れを概略的に示すフローチャートである。まず、第1の光源11からの第1の波長の光と第2の光源12からの第2の波長の光を同時に乗員33の顔周辺に照射し、第1の光と第2の光が照射された状態の乗員33の顔周辺を分光カメラ13により撮影する(ステップS1)。撮影により分光カメラ13が取得したデータキューブは、記憶部14に記憶される。
【0024】
図5は、分光カメラ13が取得するデータキューブの構造の模式図である。図5は、それぞれ異なる波長域の情報を含む複数の画像がデータキューブ20に含まれている様子を示している。これらのデータキューブ20を構成する複数の画像に、第1の光源11の発光波長を含む波長域の情報を有する第1の画像データ21と、第2の光源12の発光波長を含む波長域の情報を有する第2の画像データ22が含まれる。
【0025】
例えば、第1の画像データ21の波長域がλ~λであるとすると、第1の画像データ21に含まれる各画素においてλ~λの範囲外の波長の輝度がゼロである。そして、第2の光源12の発光波長である第2の波長はλ~λの範囲外にあるため、第2の光源12から発せられた光は第1の画像データ21に映り込まない。同様に、第1の光源11の発光波長である第1の波長は第2の画像データ22の波長域の範囲外にあるため、第1の光源11から発せられた光は第2の画像データ22に映り込まない。
【0026】
図6(a)、(b)は、それぞれ第1の画像データ21と第2の画像データ22の模式図である。図6(a)、(b)に示されるように、第1の画像データ21には第1の光源11から発せられて乗員33の眼鏡に反射された第1の波長を有する光351が映り込み、第2の画像データ22には第2の光源12から発せられて乗員33の眼鏡に反射された第2の波長を有する光352が映り込む。ここで、第1の光源11と第2の光源12は異なる位置に設置されているため、第1の画像データ21の光351が映り込む位置と、第2の画像データ22の光352が映り込む位置(画像上の座標)は異なる。
【0027】
次に、画像処理部15が、記憶部14に記憶されたデータキューブから第1の画像データと第2の画像データを取り出し、これら第1の画像データと第2の画像データを用いて検出用画像を作成する(ステップS2)。画像処理部15により作成された検出用画像は、記憶部16に記憶される。
【0028】
なお、分光カメラ13がデータキューブを取得した後、データキューブから取り出された第1の画像データと第2の画像データが記憶部14に記憶されてもよい。この場合、ステップS2において、記憶部14に記憶された第1の画像データと第2の画像データが用いられる。
【0029】
ステップS2における検出用画像の作成は、第1の画像データ21と第2の画像データ22を用いた画像合成(加算合成、減算合成など)により行われる。具体的には、例えば、第1の画像データ21と第2の画像データ22の減算合成により差分を抽出し、光351と光352が抽出された(光351と光352の輝度が選択的に高められた)差分画像データを作成し、第1の画像データ21と第2の画像データ22の加算合成により、第1の画像データ21と第2の画像データ22の情報が加算された(光351と光352の両方を含む)加算画像データを作成し、さらに加算画像データに差分画像データを減算合成して、光351と光352が除去又はほとんど除去された検出用画像を取得する。なお、検出用画像の作成のための第1の画像データ21と第2の画像データ22の合成方法は特に限定されず、既知の種々の方法を用いることができる。
【0030】
ステップS2における検出用画像の作成に用いられる第1の画像データ21と第2の画像データ22は、分光カメラ13により同時に取得されたものであるため、撮影時に乗員33が動いていた場合や、分光カメラ13が揺れていた場合であっても、タイムラグによる第1の画像データ21と第2の画像データ22の画像のずれは生じない。このため、撮影時に乗員33が動いていた場合や、分光カメラ13が揺れていた場合であっても、鮮明な検出用画像を作成することができる。
【0031】
次に、画像解析部17が、記憶部16に記憶された検出用画像を解析して、乗員33の顔の向き、視線、開眼度などの判定用情報を検出する(ステップS3)。このとき、ステップS2において光351と光352が検出用画像から除去又はほとんど除去されているため、光351と光352が映り込んでいた部分の情報(乗員33の目の状態など)を精度よく検出することができる。また、撮影時に乗員33が動いていた場合や、分光カメラ13が揺れていた場合であっても、鮮明な検出用画像から判定用情報を精度よく検出することができる。
【0032】
次に、状態判定部18が、画像解析部17が検出した判定用情報に基づいて乗員33の状態を判定する(ステップS4)。例えば、乗員33の顔の向きや視線が正面を向いていない場合にはわき見をしていると判定し、開眼度が低い場合は眠気を催していると判定する。
【0033】
次に、警告部19が、状態判定部18の判定した乗員33の状態に応じて、乗員33に対して警告を発する(ステップS5)。例えば、状態判定部18により、わき見をしていると判定された場合は、わき見をせずに運転することを音声により警告し、眠気を催していると判定された場合は、音や光による覚醒を促すような警告を発する。
【0034】
上記では、撮影装置1を備えた乗員モニタリングシステム100を用いて、自動車の車両室内の運転者のモニタリングを実施する場合について説明したが、モニタリングの対象は運転者以外の乗員であってもよく、また、自動車以外の乗物、例えば電車、飛行機などの乗員であってもよい。運転者以外の乗員をモニタリングする場合、例えば、乗員の体調異常などの状態を判定することができる。
【0035】
図7は、バス車内の乗員をモニタリングする様子を示す模式図である(第1の光源11と第2の光源12の図示は省略する)。図7に示される例では、バスの天井に設置された撮影装置1の分光カメラ13により、座席42に座った複数の乗員33a~33eをモニタリングする。
【0036】
このような場合、例えば、乗員の体調異常や異常行動などの状態を判定することができる。また、分光カメラ13を用いているため、外光や車内照明による影響を低減し、朝や夜間での状態検知精度を向上させることができる。さらに、第1の光源11と第2の光源12として近赤外光源を用いることにより、窓ガラス41への乗員33a~33eの映り込みを低減し、誤検知を抑えることができる。
【0037】
(実施の形態の効果)
上記本発明の実施の形態によれば、第1の画像データ21と第2の画像データ22を分光カメラ13により同時に取得することにより、撮影時に乗員33が動いていた場合や、分光カメラ13が揺れていた場合であっても、鮮明な検出用画像を作成することができる。これにより、乗員33の顔の向き、視線、開眼度などの判定用情報を精度よく検出し、乗員33の状態を精度よく判定することができる。このため、例えば、運転者のわき見、居眠りなどを抑制や、自動運転レベル3~4の運転権限移譲における安定的な状態判定(例えば、運転者への権限移譲時に運転可能な状態であるかの判定)に非常に有用である。
【0038】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。また、発明の主旨を逸脱しない範囲内において上記実施の形態の構成要素を任意に組み合わせることができる。
【0039】
また、上記の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【符号の説明】
【0040】
1 撮影装置
10 制御部
11 第1の光源
12 第2の光源
13 分光カメラ
14、16 記憶部
15 画像処理部
17 画像解析部
18 状態判定部
19 警告部
100 乗員モニタリングシステム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7