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特開2023-83843無停電電源装置、無停電電源装置の遠隔監視システム、無停電電源装置の遠隔監視方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083843
(43)【公開日】2023-06-16
(54)【発明の名称】無停電電源装置、無停電電源装置の遠隔監視システム、無停電電源装置の遠隔監視方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20230609BHJP
   H02J 9/06 20060101ALI20230609BHJP
【FI】
H02J13/00 301A
H02J9/06 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021197781
(22)【出願日】2021-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】山本 和哉
【テーマコード(参考)】
5G015
5G064
【Fターム(参考)】
5G015FA18
5G015GA07
5G015JA52
5G064AA01
5G064AB05
5G064AC09
5G064BA08
5G064BA09
5G064CB08
5G064CB16
5G064DA05
(57)【要約】
【課題】無線通信部を盤の内部に収容した場合であっても遠隔地からデータを収集することができる無停電電源装置、無停電電源装置の遠隔監視システム、無停電電源装置の遠隔監視方法を提供する。
【解決手段】実施形態の無停電電源装置1は、動作状態に関するデータを収集するデータ収集部12と、複数の基地局21で構成されている無線通信網22の基地局21と無線通信可能であって、データ収集部12で収集されたデータを外部の監視装置23に送信する無線通信部としてのルータ装置18と、ルータ装置18と信号ケーブル19によって接続されているアンテナ20と、ルータ装置18を内部に収容しているとともに、アンテナ20が取り付けられている入出力盤と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無停電電源装置の動作状態に関するデータを収集するデータ収集部と、
複数の基地局で構成されている無線通信網の前記基地局と無線通信可能であって、前記データ収集部で収集されたデータを外部の監視装置に送信する無線通信部と、
前記無線通信部と信号ケーブルによって接続されているアンテナと、
前記無線通信部を内部に収容しているとともに、前記アンテナが取り付けられている盤と、
を備える無停電電源装置。
【請求項2】
前記無線通信部は、無停電電源装置を構成する機器が収容されている機器収容盤に収容されている請求項1記載の無停電電源装置。
【請求項3】
前記無線通信部は、無停電電源装置を構成する機器が収容されている機器収容盤の外部の取り付けられている通信機用盤に収容されている請求項1記載の無停電電源装置。
【請求項4】
前記アンテナは、前記無線通信部が収容されている盤の外部に取り付けられている請求項1から3のいずれか一項記載の無停電電源装置。
【請求項5】
無停電電源装置を構成する機器が収容されている機器収容盤の内部と外部との間の無線通信に関連する配線は、当該機器収容盤に設けられている電力線用の開口部を経由して行われている請求項1から4のいずれか一項記載の無停電電源装置。
【請求項6】
無停電電源装置を構成する機器が収容されている機器収容盤の内部と外部との間の無線通信に関連する配線は、当該機器収容盤に設けられている電力線用の開口部とは異なる開口部分を経由して行われている請求項1から4のいずれか一項記載の無停電電源装置。
【請求項7】
無線通信に関連する部品のうち無停電電源装置を構成する機器が収容されている機器収容盤の外部に配置される部品は、当該機器収容盤の上面に設けられている排気口と重ならない位置に配置されている請求項1から6のいずれか一項記載の無停電電源装置。
【請求項8】
無線通信に関連する部品のうち無停電電源装置を構成する機器が収容されている機器収容盤の外部に配置される部品は、当該機器収容盤の上面に設けられている排気口と少なくとも一部が重なる位置に配置されている請求項1から6のいずれか一項記載の無停電電源装置。
【請求項9】
無線通信に関連する部品のうち無停電電源装置を構成する機器が収容されている機器収容盤の外部に配置される部品は、当該機器収容盤の上面に設けられている排気口からの空気が流れる位置に配置されている請求項1から8のいずれか一項記載の無停電電源装置。
【請求項10】
無停電電源装置を構成する機器が収容されている機器収容盤の外部に着脱可能に取り付けられ、無線通信に関連する部品を収容する通信機用盤を備え、
前記通信機用盤は、位置または向きの少なくとも一方を変更可能な状態で前記機器収容盤の上面に取り付けられている請求項1から9のいずれか一項記載の無停電電源装置。
【請求項11】
無停電電源装置を構成する機器が収容されている機器収容盤の外部に着脱可能に取り付けられ、無線通信に関連する部品を収容する通信機用盤を備え、
前記通信機用盤は、前記機器収容盤の上部に固定されている取付部材に対して着脱可能に取り付けられている請求項1から10のいずれか一項記載の無停電電源装置。
【請求項12】
無停電電源装置を構成する機器が収容されている機器収容盤の外部に着脱可能に取り付けられ、無線通信に関連する部品を収容する通信機用盤を備え、
前記通信機用盤は、金属材料によって箱状に形成されているとともに、箱状の少なくとも一面に、金属材料よりも相対的に電波を通しやすい部材によって形成されている透過部材が設けられている請求項1から11のいずれか一項記載の無停電電源装置。
【請求項13】
無停電電源装置を構成する機器が収容されている機器収容盤の外部に着脱可能に取り付けられ、無線通信に関連する部品を収容する通信機用盤を備え、
前記機器収容盤は、骨組みとなるフレーム部材を有しており、
前記通信機用盤は、前記機器収容盤の上面において、前記フレーム部材が配設されている範囲に取り付けられる請求項1から12のいずれか一項記載の無停電電源装置。
【請求項14】
無線通信に関連する部品のうち無停電電源装置を構成する機器が収容されている機器収容盤の外部に配置される部品に電力を供給するためのコンセントは、当該機器収容盤から引き出されている請求項1から13のいずれか一項記載の無停電電源装置。
【請求項15】
前記アンテナは、前記無線通信部が収容されている盤の内部に取り付けられている請求項1から3のいずれか一項記載の無停電電源装置。
【請求項16】
前記無線通信部は、当該無線通信部を収容する盤の内部において、設置された状態での無停電電源装置の左右方向におけるいずれかの端部側に寄せて配置されている請求項1から15のいずれか一項記載の無停電電源装置。
【請求項17】
前記無線通信部は、当該無線通信部を収容する盤の内部において、設置された状態での無停電電源装置の上下方向における上端側に寄せて配置されている請求項1から16のいずれか一項記載の無停電電源装置。
【請求項18】
複数の前記データ収集部との間の通信経路を集約する経路集約部を備え、
前記無線通信部は、前記経路集約部を介して複数の前記データ収集部で収取されたデータを外部の監視装置に送信する請求項1から17のいずれか一項記載の無停電電源装置。
【請求項19】
前記無線通信部は、無停電電源装置の出力側に接続されており、常に電源が供給されている請求項請求項1から18のいずれか一項記載の無停電電源装置。
【請求項20】
前記アンテナは、当該アンテナが取り付けられる取り付け面からの距離が、自身が送受信する無線電波の波長の1/2の長さの倍数となる位置には配置されていない請求項1から19のいずれか一項記載の無停電電源装置。
【請求項21】
前記アンテナは、当該アンテナが取り付けられる取り付け面からの距離が、自身が送受信する無線電波の波長の1/2未満となる位置に配置されている請求項1から20のいずれか一項記載の無停電電源装置。
【請求項22】
前記アンテナは、当該アンテナが取り付けられる取り付け面からの距離が、自身が送受信する無線電波の波長の1/4とみなせる位置に配置されている請求項1から21のいずれか一項記載の無停電電源装置。
【請求項23】
請求項1から22のいずれか一項記載の無停電電源装置と、
複数の基地局で構成されている無線通信網に無線通信可能に接続され、無停電電源装置から取得したデータに基づいて無停電電源装置を監視する監視装置と、
を備える無停電電源装置の遠隔監視システム。
【請求項24】
請求項1から22のいずれか一項記載の無停電電源装置を監視する方法であって、
複数の基地局で構成されている無線通信網を介して無停電電源装置から動作状態に関するデータを取得する工程と、
取得したデータに基づいて無停電電源装置の動作状態を特定する工程と、
特定した動作状態に基づいて無停電電源装置が正常に動作しているか否かを判定する工程と、
を含む無停電電源装置の遠隔監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、無停電電源装置、無停電電源装置の遠隔監視システム、無停電電源装置の遠隔監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無停電電源装置は、入力波形や出力波形あるいは機器の異常あるいは故障といった動作状態に関するデータを例えばメモリカードなどに保存している。このような無停電電源装置は、各機器が正常に動作しているか否かを確認したり、仮に故障した場合には故障の原因を把握したりするなどの保守点検が必要とされている。そのため、例えば特許文献1では、設置現場に赴いた作業者が所持する携帯情報端末を用いてデータを取得することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6569791号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、設置現場に赴くことなく遠隔地からデータを収集できれば、定期的に行う必要がある保守点検を省力化することができるようになる。また、遠隔地からデータを収集できれば、仮に何らかの不具合が発生した場合であっても設置現場に赴く必要がないことから、状況に応じた対応を迅速に行うことが可能になる。そこで、設置現場に赴くことなく遠隔地からデータを収集するために、無停電電源装置に遠距離での無線通信が可能な無線通信部を設けることが考えられる。
【0005】
しかしながら、無停電電源装置では、主として安全面の観点から機器類を盤の内部に収容することが望ましい。その一方で、無線通信部を盤の内部に収容してしまうと、一般的に金属材料で形成されている盤の筐体によって電波が遮られて遠距離での無線通信ができなくなるおそれがある。
【0006】
そこで、無線通信部を盤の内部に収容した場合であっても遠隔地からデータを収集することができる無停電電源装置、無停電電源装置の遠隔監視システム、無停電電源装置の遠隔監視方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の無停電電源装置は、無停電電源装置の動作状態に関するデータを収集するデータ収集部と、複数の基地局で構成されている無線通信網の基地局と無線通信可能であって、データ収集部で収集されたデータを外部の監視装置に送信する無線通信部と、無線通信部と信号ケーブルによって接続されているアンテナと、無線通信部を内部に収容しているとともに、アンテナが取り付けられている盤と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態の無停電電源装置の構成例を模式的に示す図
図2】無停電電源装置の内部の構成例を模式的に示す図
図3】機器収容盤の上面の構成例を模式的に示す図
図4】アンテナの構成および配置例を模式的に示す図
図5】無停電電源装置の電気的構成例の概略を模式的に示す図
図6】監視処理の流れを示す図
図7】第2実施形態の無停電電源装置の構成例を模式的に示す図
図8】通信機用盤の構成例を模式的に示す図
図9】取付部材の構成例を模式的に示す図
図10】通信機用盤を設置した状態を模式的に示す図
図11】通信機用盤の配置位置例を模式的に示す図
図12】複数の無停電電源装置を運用する際の構成例を模式的に示す図
図13】監視システムの構成例を模式的に示す図
図14】その他の実施形態の無停電電源装置の構成例を模式的に示す図その1
図15】無停電電源装置の構成例を模式的に示す図その2
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、複数の実施形態について図面を参照しながら説明する。また、各実施形態において実質的に共通する部位には同一符号を付すものとする。
【0010】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態について説明する。図1に示すように、本実施形態における無停電電源装置1は、本体盤2、蓄電池盤3および入出力盤4を備えている。これら入出力盤4、本体盤2および蓄電池盤3は、無停電電源装置1を構成する各種の機器を収容している機器収容盤に相当する。本実施形態では、無停電電源装置1は屋内に設置されることを想定している。
【0011】
ただし、図1に示す無停電電源装置1の構成は一例であり、盤の数や配置はこれに限定されない。以下、図1における左右の向きを無停電電源装置1の左右方向とも称し、上下の向きを無停電電源装置1の上下方向とも称し、紙面に垂直な向きを無停電電源装置1の前後方向とも称して説明する。
【0012】
本体盤2は、金属材料で形成された筐体を有しており、動作状態などを表示する操作パネル2aが設けられた片開きの扉によって前面が開閉される構造となっている。また、本体盤2は、扉の下部側に空気を吸入する吸気口2bが設けられているとともに、上面に排気用のファン装置2cを備えたファンユニット2dが設けられている。そして、本体盤2は、ファン装置2cによる強制対流によって換気が行われている。また、本体盤2は、隣接する蓄電池盤3および入出力盤4と連結された状態で設置されている。
【0013】
この本体盤2には、無停電電源装置1を構成する主要な機器であるUPSモジュール10が収容されている。UPSモジュール10は、機能自体は一般的なものであるため詳細な説明は省略するが、蓄電池11を充電するための整流器や蓄電池11から供給される直流を交流に変換するインバータなどによって構成されている。なお、UPSは、Uninterruptible Power Supplyの略である。
【0014】
また、本体盤2には、無停電電源装置1の動作状態を示すデータを収集するデータ収集部12が収容されている。データ収集部12は、図示は省略するが、メモリカードなどの記憶部と、外部の装置との間でデータを送受信する通信部と、記憶部および通信部を制御する制御部などによって構成されている。本実施形態の場合、データ収集部12は、通信部を介してネットワークアダプタ13との間で通信ケーブル14によって通信可能に接続されている。この通信ケーブル14は、いわゆるUTPケーブルである。
【0015】
このデータ収集部12は、無停電電源装置1の動作状態を示すデータとして、UPSモジュール10の入力波形や出力波形、本体盤2や蓄電池盤3に収容されている機器の異常あるいは故障といった各種の情報を収集する、また、データ収集部12は、蓄電池11の充電量、入力電力および出力電力といった蓄電池11に関する各種の情報も、無停電電源装置1の動作状態を示すデータとして収集している。
【0016】
また、データ収集部12は、本体盤2や蓄電池盤3に設けられていて、盤内の環境情報を収集する環境センサである例えば温度センサ70で検知された各種の温度も収集可能になっている。このとき、本体盤2に設けられている温度センサ70は本体盤2の内部温度を検知し、蓄電池盤3に設けられている温度センサ70は蓄電池盤3の内部温度や蓄電池11そのものの温度などを検知する。なお、蓄電池盤3の内部温度に関しては、ファンユニット2dがセンサを備えていれば、ファンユニット2dから取得する構成とすることもできる。そして、データ収集部12は、収集した無停電電源装置1の動作状態や環境情報などを示す各種のデータをメモリカードなどに記憶するとともに、外部の装置に対して送信可能となっている。また、環境情報は温度に限定されない。
【0017】
ネットワークアダプタ13は、データ収集部12に収集および記憶されているデータをいわゆるLAN回線を通して通信可能にする信号変換器として機能する。なお、本実施形態ではデータ収集部12とネットワークアダプタ13とを設ける構成を例示しているが、データ収集部12の通信部をLAN回線に対応したものとし、ネットワークアダプタ13の機能をデータ収集部12に集約した構成とすることもできる。
【0018】
蓄電池盤3は、金属材料で形成された筐体を有しており、その内部に無停電電源装置1を構成する主要な機器である蓄電池11が収容されている。蓄電池11は、UPSモジュール10と接続されており、UPSモジュール10に対して常に電力を供給している。この蓄電池盤3は、前面の下部側に空気を吸入する吸気口3aが設けられているとともに、図示は省略するが上部に排気用の開口部が設けられている。そのため、蓄電池盤3は、自然対流によって換気が行われている。
【0019】
入出力盤4は、金属材料で形成された筐体を有しており、本実施形態では両開きの観音扉4aによって前面が開閉される構造となっている。この入出力盤4は、無停電電源装置1への入力経路となる入力電源ケーブル15、無停電電源装置1からの出力経路となる出力電源ケーブル16などが配設される。また、図示は省略するが、制御系のケーブルなども入出力盤4に集約されて各機器に接続されている。これら入力電源ケーブル15および出力電源ケーブル16は、電力線に相当する。
【0020】
また、入出力盤4には、無停電電源装置1を構成する複数の機器4bが収容されている。この機器4bは、例えば無停電電源装置1の入力側および出力側の経路を開閉するための遮断器や、電源のオン/オフを切り替えるスイッチ、安全用の継電器などがある。また、観音扉4aには、電源系統別のマルチメータ4cや、無停電電源装置1の動作状態を示す表示ランプ4dなどが設けられている。また、観音扉4aの下部には、吸気口4fが設けられており、自然対流により入出力盤4の内部の換気が行われる。
【0021】
また、入出力盤4には、上記したネットワークアダプタ13、ネットワークアダプタ13とLANケーブル17で接続されている無線通信部としてのルータ装置18、および、ルータ装置18と信号ケーブル19で接続されているアンテナ20が設けられている。ルータ装置18およびアンテナ20は、複数の基地局21で構成されている無線通信網22と無線通信するものである。
【0022】
このとき、無線通信網22には監視装置23が接続されており、監視装置23は、無線通信網22を経由して無停電電源装置1の動作状態を示すデータを取得するとともに、取得したデータに基づいて無停電電源装置1の動作状態を監視する。つまり、これら無停電電源装置1と監視装置23とによって、無停電電源装置1の遠隔監視システム5が構築されている。
【0023】
ルータ装置18は、第4世代通信規格に対応したいわゆる4Gルータ、第4世代通信規格の一種であるLTEに対応したLTEルータ、あるいは、第5世代通信規格に対応したいわゆる5Gルータなどを利用目的や利用環境などに応じて適宜選択して採用することができる。本実施形態ではルータ装置18として4Gルータを採用している。
【0024】
ただし、ルータ装置18は、基地局21を有する無線通信網22に直接的に接続するものであれば、例示したものとは異なる他の規格に対応したものを採用することもできる。また、ルータ装置18には必ずしもネットワークルーティング機能は必要なく、ネットワークブリッジ機能を有するいわゆる中継器として動作するものを採用することもできる。
【0025】
また、本実施形態の場合、ルータ装置18は、機器収容盤としての入出力盤4の内部に収容されている一方、アンテナ20は、ルータ装置18が収容されている入出力盤4の上面に取り付けられている。つまり、無停電電源装置1の場合、ルータ装置18は盤の内部に収容されており、アンテナ20は盤の外部に配置されていることから、ルータ装置18とアンテナ20とを互いに離間した位置、あるいは、互いに異なる位置に設置可能となっている。
【0026】
このアンテナ20は、無線通信に関連する部品のうち無停電電源装置1を構成する機器が収容されている機器収容盤の外部に配置される部品に相当する。また、信号ケーブル19は、無停電電源装置1を構成する機器が収容されている機器収容盤の内部と外部との間の無線通信に関連する配線に相当する。
【0027】
ルータ装置18は、入出力盤4の左右方向における中央よりも左端側であって、上下方向における中央よりも上端寄りに配置されている。また、ルータ装置18は、図2に示すように、入出力盤4の前後方向における中央よりも前端側に配置されている。また、ルータ装置18は、入出力盤4の内部に配置されている母線24や入力トランス25などの機器との間に配置されている金属製の取付板26の前面に取り付けられている。
【0028】
つまり、ルータ装置18は、入出力盤4の内部において、母線24や入力トランス25との間が取付板26によりシールドされた状態で配置されている。なお、取付板26は、入出力盤4の側面内部に設けられている取り付け構造部27を利用して左右方向に配設されたレール28に取り付けられている。
【0029】
また、ルータ装置18とアンテナ20とを接続する信号ケーブル19は、図1に模式的に示すように、入出力盤4の端部側に取り付けられている図示しないケーブルダクトを経由して入出力盤4の外部に引き出されている。このとき、信号ケーブル19は、入出力盤4の上面に設けられているケーブル孔29を通して引き出されている。
【0030】
具体的には、図3に示すように、入出力盤4の上面には、例えばパンチング加工によって形成された複数の孔を有する排気口30、入力電源ケーブル15を内部に引き込む引き込み孔31、出力電源ケーブル16を内部から引き出す引き出し孔32などの開口が形成されている。そして、ケーブル孔29は、それら入出力盤4の開口部や引き込み孔31あるいは引き出し孔32とは異なる位置に設けられている。また、ケーブル孔29は、引き込み孔31や引き出し孔32から入出力盤4の左右方向および前後方向に離間した位置に形成されている。
【0031】
なお、引き込み孔31および引き出し孔32は、入出力盤4の上面に予め形成されている導入用開口部4eを塞ぐ蓋部材33に形成されている。この導入用開口部4eは、電力専用の開口に相当する。そして、蓋部材33は、入出力盤4に対して着脱可能になっている。そのため、設置現場におけるケーブル類の配設状況に合わせて、導入用開口部4eの範囲内で、引き込み孔31や引き出し孔32を左右方向あるいは前後方向にずらすことが可能になる。これらの引き込み孔31および引き出し孔32は、ケーブルが通された後、図2に示すように例えば絶縁性パテなどの充填剤34によって隙間が穴埋めされている。
【0032】
アンテナ20は、図4に外観図として示すように、その外形が概ね薄い直方体状に形成されており、その内部に所定のアンテナパターンが施された薄板状あるいはフィルム状のアンテナ基板20aを収容している。本実施形態では、無指向性、あるいは、向きによって相対的な電波強度の強弱はあるものの、指向性という程の電波強度の強弱の差が無い広指向性のアンテナ20を想定している。
【0033】
このアンテナ20は、図4に位置関係として示すように、アンテナ基板20aの平面と対向していて、アンテナ20の取り付け面となる入出力盤4の上面からの距離(H1)が、自身が送受信する無線電波の波長の1/2の長さの倍数となる位置には配置されていない。本実施形態の場合、アンテナ20は、入出力盤4の上面からの距離(H1)が、自身が送受信する無線電波の波長の1/2未満となる位置であって、無線電波の波長の概ね1/4となる位置に配置されている。ただし、アンテナ20の位置は、無線電波の波長の2/10から3/10程度の範囲であって、概ね1/4とみなせる範囲に配置することができる。
【0034】
一例ではあるが、2.5GHz帯の無線電波の場合、波長は約120mmとなり、その1/2の数倍となる位置は例えば60mm、120mm、180mmなどになる。そして、アンテナ基板20aと上面との距離(H1)がそれらの値になると、無線電波の入射波と反射波と互いに打ち消し合い、電波強度が弱くなるおそれがある。一方、アンテナ基板20aと上面との距離(H1)が波長の1/2の数倍とならない状態であれば、電波強度が低下するおそれを低減することができる。
【0035】
また、アンテナ基板20aと上面との距離(H1)が波長の1/4となる約30mmであれば、無線電波の入射波と反射波の位相がそろって電波強度が高くなり、通信性能の向上を期待できる。なお、他の帯域の無線電波を利用する場合も同様の考え方を適用することができる。
【0036】
ルータ装置18は、無停電電源装置1の電気的構成をごく簡略化した図5に示すように、無停電電源装置1の出力側から電源が供給されている。なお、図5では、電源経路を実線にて示し、信号経路を破線にて示している。具体的には、無停電電源装置1のUPSモジュール10は、入力電源ケーブル15から遮断器等の複数の機器4bを介して電力が供給されるとともに蓄電池11からも電力が供給されており、常に電力を出力している。
【0037】
そして、ルータ装置18は、UPSモジュール10の出力にトランス35を介して接続されているコンセント36にACアダプタ18aを繋ぐことで電源が供給される。そのため、ルータ装置18は、例えば停電によって無停電電源装置1への電力の供給が停止した場合であっても、UPSモジュール10から電源が供給されることから、停電中であっても無線通信を行うことが可能である。
【0038】
また、本実施形態では、ネットワークアダプタ13もUPSモジュール10の出力に接続されている安定化電源37を介して電源が供給されている。また、ネットワークアダプタ13には、データ収集部12から送信される無停電電源装置1の動作状態を示すデータを時系列的に記憶する例えばメモリカードなどの記憶媒体13aが設けられている。そのため、ネットワークアダプタ13は、例えば停電によって無停電電源装置1への電力の供給が停止した場合であっても所定の期間は電源が供給されることから、停電中であってもルータ装置18にデータを受け渡すことが可能になっている。
【0039】
監視装置23は、いわゆるパソコン等で構成されており、複数の基地局21で構成されている無線通信網22に無線通信可能に接続されていて、無停電電源装置1から取得した動作状態を示すデータに基づいて無停電電源装置1を遠隔地から監視する。具体的には、監視装置23は、無線通信網22を介して無停電電源装置1から動作状態に関するデータを取得する工程と、取得したデータに基づいて無停電電源装置1の動作状態を特定する工程と、特定した動作状態に基づいて無停電電源装置1が正常に動作しているか否かを判定する工程と、を含む処理を実行することにより無停電電源装置1を遠隔地から監視する。
【0040】
本実施形態では、無停電電源装置1を製造した業者や無停電電源装置1の保守を担当する業者が利用する監視装置23を想定している。ただし、監視装置23は、無停電電源装置1を運用する需要家が利用することもできる。
【0041】
次に、上記した構成の作用および効果について説明する。
前述のように、無停電電源装置1は、入力波形や出力波形あるいは機器の異常あるいは故障といった動作状態に関するデータを例えばメモリカードなどに保存している。そして、このような無停電電源装置1は、各機器が正常に動作しているか否かを確認したり、仮に故障した場合には故障の原因を把握したりするなどの保守点検が必要とされている。
【0042】
その場合、設置現場に赴くことなく遠隔地からデータを収集できれば、定期的に行う必要がある保守点検を省力化することができるようになる。また、遠隔地からデータを収集できれば、仮に何らかの不具合が発生した場合であってもその状況に応じた対応を迅速に行うことが可能になる。さらに、遠隔地からの監視が可能になれば、例えば無停電電源装置1を常時監視することも可能にある。
【0043】
さて、遠隔地からの監視をする場合には、無停電電源装置1から無線通信でデータを収集することが考えらえる。しかし、無停電電源装置1は主として安全面の観点から機器類を盤の内部に収容することが望ましいものの、ルータ装置18を盤の内部に収容してしまうと、一般的に金属材料で形成されている盤の筐体によって電波が遮られて遠距離での無線通信ができなくなるおそれがある。
【0044】
そこで、本実施形態では、無停電電源装置1にルータ装置18を設け、そのルータ装置18を盤の内部に収容するとともに、無線通信用のアンテナ20を信号ケーブル19によってルータ装置18から引き出し、そのアンテナ20を盤に取り付けている。つまり、無停電電源装置1では、ルータ装置18と、基地局21との間で電波を送受信する主体となるアンテナ20とを、互いに離間した位置や互いに異なる位置に設置可能としている。
【0045】
これにより、電波を受信し易い位置にアンテナ20を設置することが可能となり、ルータ装置18を盤の内部に収容した状態であっても基地局21との間で無線通信を行うこと、つまりは、遠隔地からデータを収集することができる。
【0046】
また、ルータ装置18は、無停電電源装置1を構成する機器が収容されている入出力盤4のような機器収容盤に収容されている。これにより、無停電電源装置1の安全性を確保することができるとともに、無線通信部が損傷するおそれを低減することができる。また、ルータ装置18を設けるためだけのカバーなどを盤とは別体に設ける必要がなく、無停電電源装置1の大型化を抑制することができる。また、コストの増加を抑制することができるとともに、既設の盤に無線通信機能を持たせることも容易に行うことができる。
【0047】
また、アンテナ20は、ルータ装置18が収容されている盤の外部に取り付けられている。これにより、ルータ装置18を盤の内部に収容して安全性を確保しつつ、盤の筐体によって電波が遮られることがなくなり、良好な無線通信環境を構築することができる。
【0048】
また、無停電電源装置1を構成する機器が収容されている機器収容盤の内部と外部との間の無線通信に関連する信号ケーブル19は、機器収容盤に設けられている電力線用の開口とは異なる開口部分を経由して行われている。これにより、高周波アナログ信号を伝達する信号ケーブル19に対する電力線からのノイズの影響を抑制することができる。
【0049】
また、無線通信に関連する部品のうち無停電電源装置1を構成する機器が収容されている機器収容盤の外部に配置されるアンテナ20は、機器収容盤の上面に設けられている排気口30と重ならない位置に配置されている。これにより、外部に配置されるアンテナ20などの部品によって機器収容盤の内部の換気が損なわれるおそれを低減することができる。
【0050】
また、ルータ装置18は、当該ルータ装置18を収容する盤の内部において、設置された状態での無停電電源装置1の左右方向におけるいずれかの端部側に寄せて配置されている。本実施形態では、ルータ装置18は、無停電電源装置1の左端部側に寄せて配置されている。これにより、高周波アナログ信号を伝達する信号ケーブル19がノイズの影響を受ける区間を短くすることが可能になり、ノイズの影響を低減することができる。
【0051】
また、ルータ装置18は、当該ルータ装置18を収容する盤の内部において、設置された状態での無停電電源装置1の上下方向における上端側に寄せて配置されている。これにより、高周波アナログ信号を伝達する信号ケーブル19がノイズの影響を受ける区間を短くすることが可能になり、ノイズの影響を低減することができる。また、本実施形態のようにアンテナ20を入出力盤4の上面に配置する構成の場合には、信号ケーブル19がノイズの影響を受ける区間をより短くすることができ、特に有意となる。
【0052】
また、ルータ装置18は、無停電電源装置1の出力側から常に電源が供給されている。これにより、例えば停電によって無停電電源装置1への電力の供給が停止した場合であっても、所定の期間は無停電電源装置1から電源が供給されることから、停電中であっても無線通信を行うことが可能となる。また、例えば停電が発生したという不具合に関するデータを収集することも可能となり、不具合の原因の特定および不具合に対する対処を迅速に行うことができる。
【0053】
また、データを記憶する記憶媒体13aをネットワークアダプタ13に設け、そのネットワークアダプタ13を無停電電源装置1の出力側に接続して常に電源を供給する構成とすることにより、不具合が生じるまでのデータ、および不具合が生じた後のデータを収集することができる。
【0054】
また、アンテナ20は、当該アンテナ20が取り付けられる取り付け面からの距離(H1)が、自身が送受信する無線電波の波長の1/2の長さの倍数となる位置には配置されていない。これにより、電波強度が弱くなって無線通信に不具合が生じるおそれを低減することができる。
【0055】
また、アンテナ20は、当該アンテナ20が取り付けられる取り付け面からの距離(H1)が、自身が送受信する無線電波の波長の1/2未満となる位置に配置されている。これにより、電波強度が弱くなって無線通信に不具合が生じるおそれを低減することができる。
【0056】
また、アンテナ20は、当該アンテナ20が取り付けられる取り付け面からの距離(H1)が、自身が送受信する無線電波の波長の1/4とみなせる位置に配置されている。これにより、無線電波の入射波と反射波の位相がそろって電波強度が高くなり、通信性能の向上を期待できる。
【0057】
また、上記した構成の無停電電源装置1と、複数の基地局21で構成されている無線通信網22に無線通信可能に接続され、無停電電源装置1から取得したデータに基づいて無停電電源装置1を監視する監視装置23とを備える無停電電源装置1の遠隔監視システム5によっても、電波を受信し易い位置にアンテナ20を設置することが可能となり、ルータ装置18を盤の内部に収容した状態であっても基地局21との間で無線通信を行うことができ、遠隔地からデータを収集することができるなど、無停電電源装置1と同様に上記した各種の効果を得ることができる。
【0058】
また、監視装置23は、図6に示す監視処理を実行することにより、無停電電源装置1を遠隔地から監視する。この監視処理では、監視装置23によって、複数の基地局21で構成されている無線通信網22を介して無停電電源装置1から動作状態に関するデータを取得する工程(S1)と、取得したデータに基づいて無停電電源装置1の動作状態を特定する工程(S2)と、特定した動作状態に基づいて無停電電源装置1が正常に動作しているか否かを判定する工程(S3)とが行われる。
【0059】
そして、監視装置23は、無停電電源装置1が正常に動作していると判定すると(S3:YES)、ステップS1に移行して次のデータの収集を行う一方、無停電電源装置1が正常に動作していないと判定すると(S3:NO)、異常対応処理を実行する(S4)。この異常対応処理では、例えば監視装置23のディスプレイに異常を検出したことを報知したり、メール等により管理者に通知したり、無停電電源装置1に対して自己診断を実行させるなどの処理が行われる。なお、ここで例示した異常対応処理は一例である。
【0060】
このように、遠隔地から無停電電源装置1を監視することにより、仮に何らかの不具合が発生した場合であっても設置現場に赴く必要がないことから、状況に応じた対応を迅速に行うことが可能になる。そして、このような監視方法は、無停電電源装置1にルータ装置18を設け、そのルータ装置18を基地局21との通信が可能な状態にすることによって実現される。
【0061】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、ルータ装置18を盤の内部に収容する点において第1実施形態と共通するが、その盤を、無停電電源装置1を構成する機器が収容されている機器収容盤とは別に設けている点などにおいて第1実施形態と異なっている。なお、無停電電源装置1や遠隔監視システム5の基本的な構成や配線等は第1実施形態と共通する点が多いため、共通の符号を付すとともに、必要に応じて図1から図6も参照して説明する。
【0062】
図7に示すように、本実施形態における無停電電源装置1は、本体盤2、蓄電池盤3および入出力盤4を備えている。このうち、本体盤2および蓄電池盤3は第1実施形態と共通する構成となっている。一方、入出力盤4の上面には通信機用盤40が取り付けられており、ルータ装置18はその通信機用盤40の内部に配置されている。また、アンテナ20は、通信機用盤40の外部に取り付けられている。つまり、本実施形態では、ルータ装置18は、無停電電源装置1を構成する機器が収容されている入出力盤4の外部の取り付けられている通信機用盤40に収容されている。また、通信機用盤40は、無線通信に関連する部品のうち、無停電電源装置1を構成する機器が収容されている入出力盤4の外部に配置される部品を収容している。
【0063】
この無停電電源装置1は、通信機用盤40に収容されているルータ装置18により無線通信網22と無線通信可能となっており、無線通信網22に接続されている監視装置23とともに遠隔監視システム5を構築している。この遠隔監視システム5では、図6に示した監視処理を監視装置23で実行することにより、無停電電源装置1の動作状態の監視が行われている。
【0064】
この通信機用盤40は、図8に示すように、金属材料で形成された概ね直方体状の筐体を有しており、その一面に、外部に開口した通信用開口41が形成されている。また、通信機用盤40は、通信用開口41が形成されている一面を除いた他の面に例えばパンチング加工によって長孔が形成されており、空気が出入り可能になっている。
【0065】
この通信用開口41は、金属材料よりも相対的に電波を通しやすい部材によって形成されている透過部材42によって閉鎖されている。透過部材42は、例えばアクリル板により形成されており、他の面と同様に例えばパンチング加工が施されて空気が出入り可能になっている。なお、図7等において透過部材42に重ねて示している両方向矢印の記号は、電波が遮られるおそれが相対的に低くなっている向きを示している。以下、通信機用盤40において両方向矢印が付されている側を、便宜的に主たる電波の向きとも称する。
【0066】
また、通信機用盤40には、ケーブルを通すための複数の開口が形成されており、その開口にはブッシング43が設けられている。また、通信機用盤40の一面には、ケーブル類を結束する結束バンドを固定するための複数のケーブルマウント44が設けられている。また、通信機用盤40の一面には、図示は省略するが、後述する取付部材45に取り付けるための複数のねじ穴が形成されている。
【0067】
以下、便宜的に、透過部材42が設けられている一面を正面、ケーブルマウント44が設けられている面を上面、ねじ穴が形成されている面を下面と称して説明する。なお、ここではねじ穴と称しているが、ねじ穴は、ねじ溝が切られている孔でもよいし、ねじを通すための貫通孔であってもよい。これは取付部材45についても同様である。
【0068】
この通信機用盤40には、A-A断面としても示すように、ルータ装置18、ルータ装置18に電源を供給するためのコンセント36、および、複数のデータ収集部12との間の通信経路を集約する経路集約部としてのゲートウェイ装置48が収納されている。つまり、通信機用盤40は、ルータ装置18以外の機器を収容可能な大きさに形成されている。そして、ルータ装置18は、通信機用盤40を正面から見た状態において、通信機用盤40の図示左右方向における右端側に寄せて、また、通信機用盤40の図示上下方向における上端側に寄せて配置されている。
【0069】
また、通信機用盤40の上面にはアンテナ20が取り付けられている。つまり、アンテナ20は、ルータ装置18が収容されている盤である通信機用盤40の外部に取り付けられている。このとき、アンテナ20は、ケーブルマウント44を利用して結束バンドにより固定されている。なお、アンテナ20は、例えば両面テープを併用して固定することもできる。
【0070】
また、アンテナ20は、アンテナ基板20aの平面と対向する位置関係に存在し、アンテナ20が取り付けられる取り付け面である金属材料で形成されている通信機用盤40の上面からの距離が、自身が送受信する無線電波の波長の1/2の長さの倍数となる位置には配置されていない。本実施形態の場合、アンテナ20は、自身が送受信する無線電波の波長の1/2未満となる位置であって、無線電波の波長の概ね1/4となる位置に配置されている。ただし、アンテナ20の位置は、無線電波の波長の2/10から3/10程度の範囲であって、概ね1/4とみなせる範囲に配置することができる。
【0071】
この通信機用盤40は、図9に示す取付部材45に取り付けられている。この取付部材45は、B-B断面として示すように、複数のねじ穴49が形成されていて通信機用盤40が取り付けられる上面と、入出力盤4の上面に取り付けるためのねじ穴50が形成されている下面と、上面と下面との間を繋ぐ壁面と形成するように金属板を折り曲げて形成されている。ただし、取付部材45の構造は一例である。
【0072】
そして、図10に無停電電源装置1を右方から見た状態にて示すように、取付部材45を入出力盤4の上面に取り付け、その取付部材45に通信機用盤40を取り付けることによって、通信機用盤40が入出力盤4の上面に対して固定されている。このとき、通信機用盤40は取付部材45への取り付け向きが変更可能であるとともに、取付部材45も入出力盤4への取り付け向きが変更可能になっている。
【0073】
具体的には、通信機用盤40は、図7および図10では入出力盤4の右方側が主たる電波の向きとなるように配置されているが、図11に配置例その1として示すように、入出力盤4の左方側が主たる電波の向きとなるように配置することができる。この場合、例えば部屋の壁と反対側を主たる電波の向きにするなど、無停電電源装置1の設置環境に応じて通信機用盤40の向きを適宜設定することができる。
【0074】
また、本実施形態では、取付部材45を取り付ける位置も変更可能となっている。具体的には、入出力盤4は、骨組みとなるフレーム部材51に、金属材料で形成されていて壁面となる板状部材とによってその筐体が構成されている。そして、フレーム部材51が配設されている部位は、フレーム部材51が配設されていない部位に比べて強度が相対的に高くなっている。
【0075】
そのため、入出力盤4の上面に通信機用盤40を配置する場合には、破線にて複数の配置を示すように、フレーム部材51が配設されている部位に通信機用盤40を取り付けることが望ましい。例えば、配置例その1として示すように、入出力盤4の前端側の中央付近、入出力盤4の前端側且つ右端側、入出力盤4の後端側且つ右端側、入出力盤4の後端側の中央付近、あるいは、入出力盤4の後端側且つ左端側などに取り付けることができる。
【0076】
この場合、入出力盤4の上面に予め複数の取り付け用のねじ穴を設けておくこともできるし、設置現場にて好適な位置にねじ穴を設けることもできる。勿論、取り付け位置が決まっていればその位置に固定するためのねじ穴を設けておけばよい。これにより、通信機用盤40の重量によって入出力盤4がゆがんだりすることを抑制できるとともに、通信機用盤40を強固に固定することができる。
【0077】
この配置例その1では、通信機用盤40は、上下方向が相対的に長くなるいわゆる縦置きの状態で排気口30の周囲に配置されることになる。そのため、通信機用盤40は、機器収容盤としての入出力盤4の上面に設けられている排気口30からの空気が流れる位置に配置されている。そして、通信機用盤40の各面には長孔が形成されていることから、排気口30から排出された空気が通信機用盤40の内部を通過することにより通信機用盤40の排熱が促される。
【0078】
また、配置例その2として示すように、通信機用盤40を、上下方向が相対的に短く、主たる電波の向きが天地方向に沿ったいわゆる横置きの状態に配置することもできる。この場合、破線にて複数の配置を示すように、通信機用盤40を入出力盤4の前端側の中央付近、入出力盤4の前端側且つ右端側、入出力盤4の前後方向における右端側の中央付近、入出力盤4の後端側の中央付近などに取り付けることができる。
【0079】
このとき、通信機用盤40の大きさにもよるものの、フレーム部材51を利用して配置する場合には、通信機用盤40の一部が排気口30に掛かる状態で配置されると想定される。すなわち、無線通信に関連する部品のうち無停電電源装置1を構成する機器が収容されている機器収容盤の外部に配置される部品は、当該機器収容盤の上面に設けられている排気口30と少なくとも一部が重なる位置に配置されている。この場合、通信機用盤40の各面には長孔が形成されていることから、排気口30から排出された空気が通信機用盤40の内部を通過することにより、通信機用盤40の排熱を促される。
【0080】
さて、ルータ装置18を通信機用盤40に収容した場合には、入出力盤4に配置されているネットワークアダプタ13との間を接続する必要がある。また、本実施形態においても、ルータ装置18は、第1実施形態の図5に示したものと同様に、UPSモジュール10の出力側から電源を供給することにより停電時であっても動作可能に構成されている。そのため、入出力盤4と通信機用盤40との間に電源ケーブル53を配線する必要がある。
【0081】
このとき、図10に示すように、電源ケーブル53は、ネットワークアダプタ13との間を接続するLANケーブル17と共に、入力電源ケーブル15を内部に引き込むための引き込み孔31を利用して配設されている。つまり、無停電電源装置1を構成する機器が収容されている機器収容盤としての入出力盤4の内部と外部との間の無線通信に関連する配線は、入出力盤4に電力線用の開口部を経由して行われている。また、無線通信に関連する部品のうち無停電電源装置1を構成する機器が収容されている機器収容盤の外部に配置される部品に電力を供給するためのコンセント36は、当該機器収容盤から引き出されている。
【0082】
また、本実施形態では、通信機用盤40に収容されているゲートウェイ装置48もコンセント36から電源が供給される。このゲートウェイ装置48は、複数のLANケーブル17を接続可能なハブ機能部48a、および、複数の後述する無線子機52との間で無線LANによる通信を可能にするアクセスポイント機能部48bとを備えている。つまり、ゲートウェイ装置48は、複数のデータ収集部12との間でデータ通信が可能に構成されている。そして、通信機用盤40にゲートウェイ装置48を設けることにより、複数の無停電電源装置1のデータを1つのルータ装置18を介して監視装置23に送信することが可能になる。
【0083】
次に上記した構成の作用および効果について説明する。
前述のように、無停電電源装置1は、入力波形や出力波形あるいは機器の異常あるいは故障といった動作状態に関するデータを例えばメモリカードなどに保存している。そして、このような無停電電源装置1は、各機器が正常に動作しているか否かを確認したり、仮に故障した場合には故障の原因を把握したりするなどの保守点検が必要とされている。
【0084】
その場合、設置現場に赴くことなく遠隔地からデータを収集できれば、定期的に行う必要がある保守点検を省力化することができるようになる。また、遠隔地からデータを収集できれば、仮に何らかの不具合が発生した場合であってもその状況に応じた対応を迅速に行うことが可能になる。さらに、遠隔地からの監視が可能になれば、例えば無停電電源装置1を常時監視することも可能にある。
【0085】
さて、遠隔地からの監視をする場合には、無停電電源装置1から無線通信でデータを収集することが考えらえる。しかし、無停電電源装置1は主として安全面の観点から機器類を盤の内部に収容することが望ましいものの、ルータ装置18を盤の内部に収容してしまうと、一般的に金属材料で形成されている盤の筐体によって電波が遮られて遠距離での無線通信ができなくなるおそれがある。
【0086】
ところで、無停電電源装置1は、例えば図12に運用例その1として示すように、常用機として無停電電源装置1Aが設置され、予備機として他の無停電電源装置1Bが設置されることがある。つまり、複数台の無停電電源装置1を運用することがある。この場合、監視装置23は、無停電電源装置1Aと無停電電源装置1Bの双方から動作状態に関するデータを収集し、無停電電源装置1Aと無停電電源装置1Bの双方をそれぞれ監視する必要がある。
【0087】
また、図12に運用例その2として示すように、1つの無停電電源装置1Cの内部に複数のUPSモジュール10が収容されており、各UPSモジュール10にデータ収集部12が設けられていることがある。この場合、監視装置23は、それぞれのUPSモジュール10の動作状態を監視する必要がある。
【0088】
また、図12に運用例その3として示すように、無停電電源装置1D、無停電電源装置1Eおよび無停電電源装置1Fを設置し、各無停電電源装置1を協働させることがある。具体的には、各無停電電源装置1からの出力を例えば2つの切替盤46Aと切替盤46Bにそれぞれ接続し、2系統の電力系統を構築することで、単一の電力系統に対して複数の無停電電源装置1から電力供給を可能にすることがある。この場合、監視装置23は、無停電電源装置1Dから無停電電源装置1Fから動作状態に関するデータを収集し、無停電電源装置1Dから無停電電源装置1Fをそれぞれ監視する必要がある。
【0089】
このように複数の無停電電源装置1が設置されていたり、複数のUPSモジュール10が設けられていたりする場合には、各無停電電源装置1にそれぞれルータ装置18を設けることでデータを収集することが可能になると考えられる。しかし、部材コストや通信コストなどに鑑みた場合、ルータ装置18を複数設けることは望ましくない。
【0090】
そのため、本実施形態では、複数のデータ収集部12との間の通信経路を集約する経路集約部としてのゲートウェイ装置48を設け、ゲートウェイ装置48を介して複数のデータ収集部12で収集されたデータをルータ装置18から外部の監視装置23に送信する構成を採用している。
【0091】
具体的には、図13に示すように、1台の無停電電源装置1Gには、ルータ装置18とゲートウェイ装置48が設けられている。この場合、無停電電源装置1Gから離れた位置に設置されている無停電電源装置1Hや無停電電源装置1Iには無線子機52がそれぞれ設けられている。そして、ゲートウェイ装置48と各無線子機52との間で無線通信によりデータの送受信が行われる。このとき、通信機用盤40の一面は電波を透過させ易い透過部材42となっていることから、無線子機52との間の伝播が遮られるおそれが低減されている。
【0092】
また、例えば無停電電源装置1Gに隣接する態様で設置されている無停電電源装置1Jについては、互いの盤内をLANケーブル17で接続している。ただし、無停電電源装置1Jとの間を無線通信によりデータを送受信する構成としたり、離間して設置されている無停電電源装置1Hや無停電電源装置1Iとの間をLANケーブル17により接続する構成としたりすることもできる。なお、図13では、説明の簡略化のために記憶媒体13aなどの一部の部品の図示は省略している。
【0093】
そして、監視装置23において図6に示す監視処理をそれぞれの無停電電源装置1に対して、または、それぞれのUPSモジュール10に対して実行することにより、複数が設置されている無停電電源装置1や、異なる場所や異なる地域に設置されている複数の無停電電源装置1を遠隔地から監視することができる。
【0094】
このように、ルータ装置18を入出力盤4の外部に配置する場合において、通信機用盤40に収容することにより、安全性を確保することができるとともに、無線通信部が損傷するおそれを低減することができる。
【0095】
勿論、無停電電源装置1にルータ装置18を設け、そのルータ装置18を盤の内部に収容するとともに、無線通信用のアンテナ20を信号ケーブル19によってルータ装置18から引き出し、そのアンテナ20を盤に取り付けることにより、電波を受信し易い位置にアンテナ20を設置することが可能となる。したがって、ルータ装置18を盤の内部に収容した状態であっても基地局21との間で無線通信を行うこと、つまりは、遠隔地からデータを収集することができる。
【0096】
また、ゲートウェイ装置48を配置可能なスペースを設けた通信機用盤40を設け、無停電電源装置1の数が増えた場合にゲートウェイ装置48を追加可能な構成とすることができる。また、データ収集部12が1つの場合であっても、ゲートウェイ装置48を設ける構成を採用することができる。
【0097】
また、通信機用盤40は、機器収容盤の上面において、機器収容盤の骨組みとなるフレーム部材51が配設されている範囲に取り付けられている。これにより、通信機用盤40の重量によって例えば入出力盤4が撓んでしまうことなどを防止できる。
【0098】
また、無線通信部としてのルータ装置18は、無停電電源装置1を構成する機器が収容されている機器収容盤の外部の取り付けられている金属材料で形成されている筐体を有する通信機用盤40に収容されている。これにより、安全性を確保することができるとともに、無線通信部が損傷するおそれを低減することができる。
【0099】
また、アンテナ20を、無線通信部が収容されている通信機用盤40の外部に取り付けたことから、ルータ装置18を盤の内部に収容して安全性を確保しつつ、盤の筐体によって電波が遮られることがなくなり、良好な無線通信環境を構築することができる。
【0100】
また、無停電電源装置1を構成する機器が収容されている機器収容盤の内部と外部との間の無線通信に関連するLANケーブル17および電源ケーブル53は、機器収容盤に設けられている電力線用の開口である引き込み孔31を経由して行われている。これにより、配線を容易にすることができる。なお、通信機用盤40の設置位置によっては、電力線用の開口である引き出し孔32を経由して行うこともできる。
【0101】
また、アンテナ20は、当該アンテナ20が取り付けられる取り付け面からの距離が、自身が送受信する無線電波の波長の1/2の長さの倍数となる位置には配置されていない。これにより、電波強度が弱くなって無線通信に不具合が生じるおそれを低減することができる。また、本実施形態では、自身が送受信する無線電波の波長の1/2未満となる位置であって、自身が送受信する無線電波の波長の1/4とみなせる位置に配置されている。これにより、無線電波の入射波と反射波の位相がそろって電波強度が高くなり、通信性能の向上を期待できる。
【0102】
また、通信機用盤40を縦置きに配置した場合には、機器収容盤の上面に設けられている排気口30と重ならない位置に配置される。これにより、通信機用盤40によって機器収容盤の内部の換気が損なわれるおそれを低減することができる。また、排気口30からの風が流れる位置であれば、通信機用盤40の内部の換気、つまりは、通信機用盤40の内部の排熱を行うことができる。
【0103】
また、通信機用盤40を横置きに配置した場合には、機器収容盤の上面に設けられている排気口30と少なくとも一部が重なる位置、あるいは、排気口30からの風が流れる位置に配置される。そして、通信機用盤40は、長孔が形成されている。これにより、機器収容盤からの排気が通信機用盤40を通ることになり、通信機用盤40の内部の換気、つまりは、通信機用盤40の内部の排熱を行うことができる。
【0104】
また、通信機用盤40を、機器収容盤の上部に固定されている取付部材45に対して着脱可能に取り付ける構成としたことにより、機器収容盤の移送作業や搬入作業に与える影響を低減することができる。また、無停電電源装置1の設置場所において通信機用盤40を取り付ける作業を容易に行うことができる。
【0105】
また、ルータ装置18は、当該ルータ装置18を収容する通信機用盤40の内部において、設置された状態における左右方向および上下方向におけるいずれかの端部側に寄せて配置されている。これにより、高周波アナログ信号を伝達する信号ケーブル19がノイズの影響を受ける区間を短くすることが可能になり、ノイズの影響を低減することができる。
【0106】
また、通信機用盤40に配置されている部品に電力を供給するためのコンセント36は入出力盤4から引き出されて、その通信機用盤40に収容されているルータ装置18およびゲートウェイ装置48には、無停電電源装置1の出力側から常に電源が供給されている。これにより、例えば停電によって無停電電源装置1への電力の供給が停止した場合であっても、所定の期間は無停電電源装置1から電源が供給されることから、停電中であっても無線通信を行うことが可能となる。また、例えば停電が発生したという不具合に関するデータを収集することも可能となり、不具合の原因の特定および不具合に対する対処を迅速に行うことができる。
【0107】
また、データを記憶する記憶媒体13aをネットワークアダプタ13に設け、そのネットワークアダプタ13を無停電電源装置1の出力側に接続して常に電源を供給する構成とすることにより、不具合が生じるまでのデータ、および不具合が生じた後のデータを収集することができる。
【0108】
また、上記した構成の無停電電源装置1と、複数の基地局21で構成されている無線通信網22に無線通信可能に接続され、無停電電源装置1から取得したデータに基づいて無停電電源装置1を監視する監視装置23とを備える無停電電源装置1の遠隔監視システム5によっても、電波を受信し易い位置にアンテナ20を設置することが可能となり、ルータ装置18を盤の内部に収容した状態であっても基地局21との間で無線通信を行うことができ、遠隔地からデータを収集することができるなど、無停電電源装置1と同様に上記した各種の効果を得ることができる。
【0109】
(その他の実施形態)
実施形態ではアンテナ20を無線通信部が収容されている盤の外部に取り付ける構成を例示したが、アンテナ20は、無線通信部が収容されている盤の内部に取り付けることもできる。例えば、図14に盤内配置例その1として示すように、アンテナ20を、ルータ装置18が収容されている例えば入出力盤4の上面の内部に取り付けることができる。このような構成によっても、第1実施形態や第2実施形態で説明した技術内容の幾つかと組み合わせることにより、第1実施形態や第2実施形態で説明したものと同様の効果を得ることができる。
【0110】
例えば、アンテナ20を排気口30と重なる位置に取り付けることにより、電波が阻害されるおそれを低減することができる。このとき、アンテナ20は、取り付け面からの距離が、自身が送受信する無線電波の波長の1/2の長さの倍数となる位置には配置せず、例えば無線電波の波長の1/2未満となる位置や、無線電波の波長の1/4とみなせる位置に配置することができる。
【0111】
また、図14に盤内配置例その2として示すように、アンテナ20を、ルータ装置18が収容されている例えば入出力盤4の上面の導入用開口部4eを塞ぐ蓋部材33に取り付けることができる。この場合、蓋部材33に電波を通すための電波用開口54を形成することにより、電波が遮られるおそれを大きく低減することができる。
【0112】
また、図15に盤内配置例その3として示すように、アンテナ20を、ルータ装置18が収容されている通信機用盤40の内部の例えば上面に取り付けることができる。この場合、通信機用盤40には長孔が形成されていることから、電波が阻害されるおそれを低減することができる。また、アンテナ20は、取り付け面からの距離が、自身が送受信する無線電波の波長の1/2の長さの倍数となる位置には配置せず、例えば無線電波の波長の1/2未満となる位置や、無線電波の波長の1/4とみなせる位置に配置することができる。
【0113】
また、図15に盤内配置例その4として示すように、アンテナ20を、ルータ装置18が収容されている通信機用盤40の透過部材42に取り付けることができる。この場合、透過部材42は例えばアクリル板により形成されていることから。電波が阻害されるおそれを低減することができる。このとき、機器収容部を、例えば入出力盤4と本体盤2とを連結する連結部材60に取り付ける構成とすることもできる。これにより、入出力盤4に設ける開口を減らすことができる。
【0114】
実施形態では入出力盤4に無線通信部を設ける構成を例示したが、本体盤2や蓄電池盤3に無線通信部を設ける構成とすることができる。また、図示は省略するが、無停電電源装置1を構成する分電盤やバイパス盤などの他の盤に無線通信部を設ける構成とすることもできる。
【0115】
実施形態では薄い直方体状のアンテナ20を用いる構成を例示したが、アンテナ20は、棒状に形成されたものを採用することができる。また、実施形態では無指向性あるいは広指向性のアンテナ20を用いる構成を例示したが、指向性を有するものを用いることができる。
【0116】
実施形態では無停電電源装置1に無線通信部としてのルータ装置18を設ける構成を例示したが、本発明は、例えば高圧の電気を需要家が利用可能な電圧に変換する機能を備える受変電装置、電動機や発電機あるいは空調などの負荷を制御する機能を備える負荷制御装置、発電装置などに適用することができる。
【0117】
この場合、各装置を構成する具体的な機器構成は異なるものの、実施形態および図面の説明において無停電電源装置1を受変電装置、負荷制御装置あるいは発電装置と読み替え、盤については例えば受変電装置であればキュービクルと読み替えることなどにより、これら受変電装置、負荷制御装置あるいは発電装置にどのように無線通信部およびアンテナ20を配置すればよいかは、当業者であれば十分且つ明確に理解することができる。
【0118】
つまり、本明細書には、受変電装置、負荷制御装置あるいは発電装置を構成する機器の動作状態に関するデータを収集するデータ収集部12と、複数の基地局21で構成されている無線通信網22の基地局21と無線通信可能であって、データ収集部12で収集されたデータを外部の監視装置23に送信する無線通信部としてのルータ装置18と、ルータ装置18と信号ケーブル19によって接続されるアンテナ20と、ルータ装置18を内部に収容しているとともに、アンテナ20が取り付けられている盤と、を備える受変電装置、負荷制御装置あるいは発電装置の発明が記載されている。
【0119】
また、本明細書には、それらを備えた受変電装置の遠隔監視システム、負荷制御装置の遠隔監視システムあるいは発電装置の遠隔監視システムの発明と、受変電装置の監視方法、負荷制御装置の監視方法あるいは発電装置の監視方法の発明とが記載されている。また、これらの発明は、実施形態で例示した各構成と組み合わせることができる。また、本発明は、配電盤、分電盤、動力盤、制御盤などにルータ装置18を設ける構成の装置にも適用することができる。
【0120】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0121】
図面中、1、1A~1Gは無停電電源装置、2は本体盤、3は蓄電池盤、4は入出力盤、4eは導入用開口部、5は遠隔監視システム、10はUPSモジュール、11は蓄電池、12はデータ収集部、13はネットワークアダプタ、13aは記憶媒体、15は入力電源ケーブル、16は出力電源ケーブル、17はLANケーブル、18はルータ装置、19は信号ケーブル、20はアンテナ、21は基地局、22は無線通信網、23は監視装置、26は取付板、29はケーブル孔、30は排気口、31は引き込み孔、32は引き出し孔、33は蓋部材、36はコンセント、40は通信機用盤、42は透過部材、48はゲートウェイ装置、51はフレーム部材、52は無線子機、53は電源ケーブル、60は連結部材を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図15