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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083845
(43)【公開日】2023-06-16
(54)【発明の名称】止水栓
(51)【国際特許分類】
   F16K 5/04 20060101AFI20230609BHJP
【FI】
F16K5/04 E
F16K5/04 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021197786
(22)【出願日】2021-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】390006736
【氏名又は名称】株式会社日邦バルブ
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(74)【代理人】
【識別番号】100196140
【弁理士】
【氏名又は名称】岩垂 裕司
(72)【発明者】
【氏名】牧野 樹
【テーマコード(参考)】
3H054
【Fターム(参考)】
3H054AA02
3H054BB22
3H054CA02
3H054CA23
3H054CB03
3H054CB33
3H054EE01
3H054GG02
(57)【要約】
【課題】ボール止水栓を開閉する力よりも小さな力で開閉できる止水栓を提供すること。
【解決手段】止水栓1は、ハウジング8と、ハウジング8に回転可能に支持されたスピンドル10を備える。ハウジング8は、1次側流路21aを備える1次側管部21、2次側流路22aを備える2次側管部22、および1次側流路21aと2次側流路22aとを連通させる内部流路25を備える連通部23を有する。内部流路25には開閉機構60が設けられている。開閉機構60は、内部流路25を封鎖する封鎖部67と、封鎖部67の周方向の一部に設けられた開口部68とを有する固定ディスク62と、スピンドル10の軸線L回りの第1角度位置に配置されたときに開口部68と重なり、第1角度位置と異なる第2角度位置に配置されたときに封鎖部67と重なる連通口71を備える回動ディスク63を有する。固定ディスク62および回動ディスク63は、セラミック製である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次側流路を備える1次側管部、2次側流路を備える2次側管部、および前記1次側流路と前記2次側流路とを連通させる内部流路を備える連通部、を有するハウジングと、
前記ハウジングに回転可能に支持され、軸線方向の一方側に前記内部流路に突出する突出部を備え、他方側に前記ハウジングから外に露出する露出部を備えるスピンドルと、
前記内部流路を開閉する開閉機構と、を有し、
前記開閉機構は、前記突出部に接続されて前記スピンドルと一体に回転する回動ディスクと、前記内部流路内に固定されて前記回動ディスクに面接触する固定ディスクと、を備え、
前記固定ディスクは、前記内部流路を封鎖する封鎖部と、前記封鎖部の周方向の一部に設けられた開口部と、を備え、
前記回動ディスクは、前記スピンドルの軸線回りの第1角度位置に配置されたときに前記開口部と重なり、前記第1角度位置と異なる第2角度位置に配置されたときに前記封鎖部と重なる連通口を備え、
前記固定ディスクおよび前記回動ディスクは、セラミック製であることを特徴とする止水栓。
【請求項2】
前記ハウジングに固定されて前記露出部に接続された電動のアクチュエータを有し、
前記アクチュエータは、前記スピンドルを回転させることを特徴とする請求項1に記載の止水栓。
【請求項3】
前記アクチュエータは、電源として電池を備えることを特徴とする請求項2に記載の止水栓。
【請求項4】
前記1次側管部は、水の流通方向の上流端部分に前記スピンドルの軸線と直交する方向に延びる上流側管部分を備え、
前記2次側管部は、前記流通方向の下流端部分に前記軸線と直交する方向に延びる下流側管部分を備え、
前記内部流路は、前記軸線に沿った軸線方向に延びることを特徴とする請求項1から3のうちのいずれか一項に記載の止水栓。
【請求項5】
前記上流側管部分と前記下流側管部分とは、同軸であることを特徴とする請求項4に記載の止水栓。
【請求項6】
前記上流側管部分の第1管軸と、前記下流側管部分の第2管軸とは、交差することを特徴とする請求項4に記載の止水栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水が流通する配管の途中に配置される止水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
止水栓としては、ボール弁体を回転させて止水を行うボール止水栓が知られている。特許文献1に記載のボール止水栓は、直線状に延びる通水路と、通水路の途中に設けられた弁室と、弁室内で通水路と同軸に配置された2つの環状の弁座と、2つの弁座に挟まれた状態で弁室に収容されたボール弁体と、弁体に接続された弁棒と、を備える。弁棒は通水路と直交方向に延びる。ボール弁体は、中心に弁棒の軸線と直交する方向に貫通する連通路を備える。止水栓を操作する操作者が弁棒を90°回転させると、ボール弁体は、連通路が通水路と連通する通水位置と、連通路と通水路とが連通しない止水位置との間で回転する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-68980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ボール弁体は金属製である。ボール弁体に密着する弁座は、樹脂製或いはゴム製などのシール部材である。また、ボール止水栓の開閉時に、ボール弁体は、密着する2つの弁座に摺接する。これらに起因して、止水栓の開閉には、比較的、大きな力が必要となる。
【0005】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、ボール止水栓を開閉する力よりも小さな力で開閉することが可能な止水栓を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の止水栓は、1次側流路を備える1次側管部、2次側流路を備える2次側管部、および前記1次側流路と前記2次側流路とを連通させる内部流路を備える連通部、を有するハウジングと、前記ハウジングに回転可能に支持され、軸線方向の一方側に前記内部流路に突出する突出部を備え、他方側に前記ハウジングから外に露出する露出部を備えるスピンドルと、前記内部流路を開閉する開閉機構と、を有し、前記開閉機構は、前記突出部に接続されて前記スピンドルと一体に回転する回動ディスクと、前記内部流路内に固定されて前記回動ディスクに面接触する固定ディスクと、を備え、前記固定ディスクは、前記内部流路を封鎖する封鎖部と、前記封鎖部の周方向の一部に設けられた開口部と、を備え、前記回動ディスクは、前記スピンドルの軸線回りの第1角度位置に配置されたときに前記開口部と重なり、前記第1角度位置と異なる第2角度位置に配置されたときに前記封鎖部と重なる連通口を備え、前記固定ディスクおよび前記回動ディスクは、セラミック製であることを特徴とする。
【0007】
本発明の止水栓は、固定ディスクおよび回動ディスクを備える開閉機構によって内部流路を開閉して、通水と止水とを行う。すなわち、スピンドルを回転させることにより回動ディスクを回転させ、固定ディスクの開口部と回動ディスクの連通口とを重ねることにより通水を行い、固定ディスクの封鎖部と回動ディスクの連通口とを重ねることにより止水を行う。ここで、固定ディスクおよび回動ディスクはセラミック製であり、硬度が高い。従って、金属製の弁体が樹脂製またはゴム製の2つの弁座を摺接する場合と比較して、固定ディスクに回動ディスクが摺接する際の摩擦を低減できる。よって、金属製のボール弁
体と樹脂製或いはゴム製の2つの弁座を備えるボール止水栓を開閉する場合と比較して、小さな力で、止水栓を開閉できる。また、固定ディスクおよび回動ディスクはセラミック製なので、これらが金属製の場合と比較して凝着しにくく、凝着した場合でも、凝着に基づく摩擦力はこれらが金属製の場合と比較して小さい。従って、固定ディスクおよび回動ディスクを金属製とした場合と比較して、小さな力で、止水栓を開閉できる。さらに、固定ディスクおよび回動ディスクがセラミック製なので、これらが樹脂製の場合と比較して、固定ディスクおよび回動ディスクが摩耗することを防止或いは抑制できる。従って、製品寿命を確保することが容易となる。
【0008】
本発明において、前記ハウジングに固定されて前記露出部に接続された電動のアクチュエータを有し、前記アクチュエータは、前記スピンドルを回転させるものとすることができる。
【0009】
ここで、本発明の止水栓は比較的小さな力で開閉できる。従って、本発明によれば、アクチュエータがスピンドルを回転させるトルクが小さくても、止水栓を開閉できる。よって、前記アクチュエータは、電源として電池を備えるものとすることができる。
【0010】
本発明において、前記1次側管部は、水の流通方向の上流端部分に前記スピンドルの軸線と直交する方向に延びる上流側管部分を備え、前記2次側管部は、前記流通方向の下流端部分に前記軸線と直交する方向に延びる下流側管部分を備え、前記内部流路は、前記軸線に沿った軸線方向に延びるものとすることができる。
【0011】
この場合において、前記上流側管部分と前記下流側管部分とは、同軸であるものとすることができる。このようにすれば、止水栓を、直線状に延びる配管の途中に設置できる。
【0012】
また、前記上流側管部分の第1管軸と、前記下流側管部分の第2管軸とは、交差するものとすることができる。このようにすれば、配管の途中に止水栓を設置することにより、止水栓において、配管を屈曲させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、金属製のボール弁体と樹脂製の2つの弁座を備えるボール止水栓を開閉する場合と比較して、小さな力で開閉可能な止水栓を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明を適用した止水栓の斜視図である。
図2】通水状態の止水栓の断面図である。
図3】スピンドルの軸線方向の一方側から見た場合の止水栓の分解斜視図である。
図4】スピンドルの軸線方向の他方側から見た場合の止水栓の分解斜視図である。
図5】通水状態における開閉機構の説明図である。
図6】止水状態の止水栓の断面図である。
図7】止水状態における開閉機構の説明図である。
図8】変形例の止水栓の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態である止水栓を説明する。
【0016】
図1は、本発明を適用した止水栓の斜視図である。図2は、通水状態の止水栓の断面図である。図3は、スピンドルの軸線方向の一方側から見た場合の止水栓の分解斜視図である。図4は、スピンドルの軸線方向の他方側から見た場合の止水栓の分解斜視図である。図5は、通水状態における開閉機構の説明図である。
【0017】
図1に示すように、本例の止水栓1は、直線状に敷設された1次側配管2と2次側配管3の間に設置される。止水栓1は、止水栓本体5と、止水栓本体5に固定された電動のアクチュエータ6と、を有する。止水栓本体5は、ハウジング8と、ハウジング8から外部に露出する露出部9を有するスピンドル10と、を備える。ハウジング8は、1次側配管2に接続される上流側管部分11と、2次側配管3に接続される下流側管部分12と、を備える。上流側管部分11と下流側管部分12とは同軸であり、上流側管部分11の第1管軸N1と下流側管部分12の第2管軸N2とは、一致する。スピンドル10の軸線Lは、第1管軸N1および第2管軸N2と直交する。止水栓1を通過する水は、上流側管部分11から流入し、下流側管部分12から流出する。
【0018】
アクチュエータ6は、ハウジング8に固定されて、スピンドル10の露出部9に接続される。アクチュエータ6は、電源として電池15を備える。電池15は、乾電池、または、充電可能な二次電池である。また、アクチュエータ6は、電源により駆動されるモータなどの駆動部を備える。アクチュエータ6は、スピンドル10を、その軸線L回りに回転させる。本例では、アクチュエータ6は、スピンドル10を、軸線L回りの所定の回転方向R1に回転させる。
【0019】
本例では、アクチュエータ6を駆動する駆動信号は、無線通信によりアクチュエータ6に入力される。アクチュエータ6は、駆動信号が入力される毎に、スピンドル10を90°回転させる。なお、駆動信号は、有線で接続された機器からアクチュエータ6に入力されてもよい。また、アクチュエータ6が当該アクチュエータ6に駆動信号を入力する駆動スイッチを備えており、駆動スイッチが操作される毎にスピンドル10を90°回転させるものとしてもよい。
【0020】
以下の説明では、スピンドル10の軸線Lに沿った方向をZ軸方向とする。第1管軸N1および第2管軸N2が延びる管軸方向をX軸方向とする。Z軸方向およびX軸方向と直交する方向をY軸方向とする。また、Z軸方向において、止水栓本体5が位置する側をZ1方向、アクチュエータ6が位置する側をZ2方向とする。Y軸方向において、上流側管部分11が位置する側をX1方向、下流側管部分12が位置する側をX2方向とする。また、以下の説明では、水が止水栓1を流れる方向を、流通方向という。
【0021】
図2に示すように、ハウジング8は、1次側管部21、2次側管部22、および1次側管部21と2次側管部22との間に位置する連通部23を備える。1次側管部21は、内部に1次側流路21aを備える。2次側管部22は、内部に2次側流路22aを備える。連通部23は、1次側流路21aと2次側流路22aとを連通させる内部空間23aを備える。内部空間23aには、流路区画部材24により内部流路25が区画されている。内部流路25は、Z軸方向に延びる。
【0022】
1次側管部21は、上流側から下流側に向かって上流側管部分11と、上流側延設部分27と、をこの順に備える。上流側延設部分27は、内部流路25のZ1方向に位置する。上流側延設部分27は、内部流路25にZ1方向の側から連通する。2次側管部22は、上流側から下流側に向かって下流側延設部分28と、下流側管部分12と、をこの順に備える。下流側延設部分28は、流路区画部材24のZ2方向に位置する。下流側延設部分28は、内部流路25にZ2方向の側で連通する。
【0023】
ここで、図1に示すように、ハウジング8は、本体部材31と、本体部材31にZ2方向の側から被せられた蓋部材32と、を備える。本体部材31および蓋部材32は、青銅鋳物である。図2に示すように、蓋部材32は、下流側延設部分28のZ2方向の内壁面を規定している。蓋部材32は、スピンドル10を回転可能に支持する支持部35と、ア
クチュエータ6を固定するための固定部36と、を有する。図1に示すように、蓋部材32は、4本のボルト37によって本体部材31に締結されている。
【0024】
図2に示すように、スピンドル10は、支持部35に支持される大径軸部分41と、支持部35からZ1方向に延びる小径軸部分42と、を備える。支持部35と大径軸部分41との間には2本のOリングが介在する。大径軸部分41のZ2方向の端部は、ハウジング8から外に露出する露出部9である。小径軸部分42は、下流側延設部分28を介して、内部流路25に達する。小径軸部分42のZ1方向の端には、Z軸方向から見た場合の形状が長方形形状の板部43(突出部)が設けられている。
【0025】
図3図4に示すように、本例では、スピンドル10は、スピンドル本体45と上部スピンドル46の2つの部材を同軸に連結して構成されている。スピンドル本体45は小径軸部分42および板部43を備える。スピンドル本体45は、ステンレス鋼製である。上部スピンドル46は大径軸部分41を備える。上部スピンドル46は青銅連鋳棒である。
【0026】
ここで、図2に示すように、流路区画部材24は、ディスクケース51と、Z2方向の側からディスクケース51に被せられたディスクホルダ52と、を有する。ディスクケース51およびディスクホルダ52は、樹脂製である。図3図4に示すように、ディスクケース51は、円形のケース底部53と、ケース底部53の外周縁からZ2方向に延びるケース円筒部54と、を備える。ケース底部53は、複数のケース開口55を備える。ディスクケース51は、連通部23に固定されて、ケース開口55が上流側延設部分27に連通する。ディスクホルダ52は、円形のホルダ天井部56と、ホルダ天井部56の外周縁からZ1方向に延びるホルダ円筒部57と、を備える。ホルダ天井部56は、複数のホルダ開口58を備える。図2に示すように、ディスクホルダ52は、ホルダ円筒部57が、ケース円筒部54にZ2方向の側から挿入されて、ディスクケース51に固定される。ディスクケース51は、ホルダ天井部56のホルダ開口58が下流側延設部分28に連通する。
【0027】
内部流路25には、当該内部流路25を開閉する開閉機構60が設けられている。図2図3図4に示すように、開閉機構60は、ディスクケース51のケース底部53からZ2方向に向かって、パッキン61と、固定ディスク62と、回動ディスク63と、ディスクワッシャ64と、をこの順に備える。
【0028】
固定ディスク62は、セラミック製である。固定ディスク62は、ディスクケース51に固定されている。従って、固定ディスク62は、ディスクケース51を介して、連通部23に固定されている。固定ディスク62のZ2方向の端面は、平滑面とされている。図3図4に示すように、固定ディスク62は、内部流路25を封鎖する封鎖部67と、封鎖部67の周方向の2か所に設けられた一対の開口部68と、を備える。各開口部68は、軸線L方向から見た場合の形状が、外周側に広がる扇型である。一対の開口部68は、軸線L回りで180°の角度間隔で設けられている。
【0029】
パッキン61は、シリコンゴム製である。パッキン61は、Z軸方向でディスクケース51と回動ディスク63との間に介在して、固定ディスク62の各開口部68と、封鎖部67との間を封止する。
【0030】
回動ディスク63は、セラミック製である。図3図4に示すように、回動ディスク63は、周方向の2か所に連通口71を備える円盤である。一対の連通口71は、軸線L回りで180°の角度間隔で設けられている。回動ディスク63は、固定ディスク62に同軸に重ねられている。回動ディスク63と固定ディスク62とは、面接触する。回動ディスク63の外径寸法は、固定ディスク62の外径寸法よりも僅かに短い。回動ディスク6
3において、固定ディスク62と接触するZ1方向の端面は、平滑面である。回動ディスク63は、Z1方向の端面の外周縁に、複数の切欠き凹部72を備える。
【0031】
ディスクワッシャ64は、輪郭形状が円形の板状部材である。ディスクワッシャ64は、樹脂製である。ディスクワッシャ64は、周方向の2か所に扇型の貫通孔75を備える。また、ディスクワッシャ64は、中央に、嵌合孔76を備える。2つの貫通孔75は、径方向で、嵌合孔76に連通する。さらに、ディスクワッシャ64は、Z1方向の端面の外周縁に、複数の係止突部77を備える。
【0032】
ディスクワッシャ64は、各係止突部77を回動ディスク63の各切欠き凹部72に嵌合させることにより、回動ディスク63と一体にされる。ディスクワッシャ64が回動ディスク63と一体とされたときに、ディスクワッシャ64の各貫通孔75は、回動ディスク63の各連通口71に連通する。ここで、ディスクワッシャ64の嵌合孔76にスピンドル10の板部43が嵌合すると、回動ディスク63は、ディスクワッシャ64を介して、スピンドル10に接続される。これにより、回動ディスク63は、スピンドル10と一体に回転する。
【0033】
本例では、固定ディスク62および回動ディスク63は、アルミナ製である。固定ディスク62および回動ディスク63は、窒化珪素製、炭化珪素製、ジルコニア製などとすることができる。
【0034】
(止水栓の開閉動作)
図5は、通水状態における開閉機構60の説明図である。図5では、通水状態における固定ディスク62、回動ディスク63、およびディスクワッシャ64の位置関係を示す。図6は、止水状態の止水栓1の断面図である。図7は、止水状態における開閉機構60の説明図である。図7では、固定ディスク62、回動ディスク63およびディスクワッシャ64の位置関係を示す。
【0035】
図2図5に示すように、通水状態では、回動ディスク63は、第1角度位置63Aに配置されている。回動ディスク63が第1角度位置63Aに配置されたときに、固定ディスク62の開口部68に、回動ディスク63の連通口71およびディスクワッシャ64の貫通孔75が重なる。これにより、内部流路25が開状態となるので、1次側配管2と、2次側配管3とは、止水栓1を介して、連通する。なお、本例では、固定ディスク62の開口部68は、回動ディスク63の連通口71よりも周方向に大きく設けられている。従って、図5に鎖線で示すように、通水状態では、固定ディスク62の開口部68は、回転方向R1における連通口71の後方に、連通口71と重ならない開口部分68aを備える。
【0036】
止水栓1を通水状態から止水状態とする際には、アクチュエータ6に駆動信号を入力する。駆動信号が入力されると、アクチュエータ6は、スピンドル10を図2図5の矢印で示す回転方向R1に90°回転させる。これにより、回動ディスク63が90°回転して、第2角度位置63Bに配置される。回動ディスク63が第2角度位置63Bに配置されると、止水栓1は、図6図7に示す止水状態となる。止水状態では、固定ディスク62の封鎖部67に、回動ディスク63の連通口71およびディスクワッシャ64の貫通孔75が重なる。これにより、内部流路25が閉状態となるので、1次側配管2と2次側配管3とは遮断される。
【0037】
その後に、アクチュエータ6に駆動信号を入力すると、アクチュエータ6は、スピンドル10を更に90°回転させる。これにより、回動ディスク63が90°回転すると、止水栓1は、図2図5に示す状態と同一の通水状態となる。
【0038】
(作用効果)
本例の止水栓1は、固定ディスク62および回動ディスク63を備える開閉機構60によって内部流路25を開閉して、通水と止水とを行う。すなわち、スピンドル10を回転させることにより回動ディスク63を回転させ、固定ディスク62の開口部68と回動ディスク63の連通口71とを重ねることにより通水を行い、固定ディスク62の封鎖部67と回動ディスク63の連通口71とを重ねることにより止水を行う。
【0039】
ここで、固定ディスク62および回動ディスク63はセラミック製であり、硬度が高い。従って、ボール止水栓のように金属製の弁体が樹脂製やゴム製の2つの弁座を摺接する場合と比較して、固定ディスク62に回動ディスク63が摺接する際の摩擦を低減できる。よって、金属製のボール弁体と、ボール弁体に密着する樹脂製やゴム製の2つの弁座を備えるボール止水栓1を開閉する場合と比較して、小さな力で、止水栓1を開閉できる。また、固定ディスク62および回動ディスク63はセラミック製なので、これが金属製の場合と比較して凝着しにくく、凝着した場合でも、凝着に基づく摩擦力はこれらが金属製の場合と比較して小さい。従って、固定ディスク62および回動ディスク63を金属製とした場合と比較して、小さな力で、止水栓1を開閉できる。
【0040】
また、固定ディスク62および回動ディスク63がセラミック製なので、これらが樹脂製の場合と比較して、固定ディスク62および回動ディスク63が摩耗することを防止或いは抑制できる。従って、止水栓1の製品寿命を確保することが容易となる。
【0041】
ここで、本例の止水栓1は、ハウジング8に固定されてスピンドル10に接続された電動のアクチュエータ6を有する。従って、アクチュエータ6に駆動信号を入力することにより、止水栓1を開閉できる。また、本例の止水栓1は、比較的小さな力で開閉できる。従って、アクチュエータ6がスピンドル10を回転させる力が小さくても、止水栓1の開閉が可能となる。よって、本例のように、アクチュエータ6として、電源として電池15を備えるものを採用できる。
【0042】
本例において、1次側管部21は、水の流通方向の上流端部分にスピンドル10の軸線Lと直交する方向に延びる上流側管部分11を備える。また、2次側管部22は、流通方向の下流端部分に軸線Lと直交する方向に延びる下流側管部分12を備える。内部流路25は、軸線Lに沿った軸線L方向に延びる。上流側管部分11と下流側管部分12とは、同軸である。従って、止水栓1を、直線状に敷設された1次側配管2と2次側配管3の間に設置できる。
【0043】
(変形例)
図8は、変形例の止水栓の斜視図である。図8に示すように、変形例の止水栓1Aでは、上流側管部分11と、下流側管部分12とが、交差する方向に延びている。本例では、上流側管部分11の第1管軸N1と、下流側管部分12の第2管軸N2とは、直交する。止水栓1Aにおける他の構成は、止水栓1と同様である。
【0044】
本例の止水栓1Aは、配管の途中に設置することによって、配管を屈曲させることができる。すなわち、1次側配管2の延設方向と、2次側配管3の延設方向とを、交差させることができる。
【0045】
ここで、ボール弁体を90°回転させて通水と止水とを行うボール止水栓1では、ボール弁体に直線状に延びる連通路が形成されている。従って、ボール止水栓1では、弁室を経由する通水路を直線状に設けて、弁室内にボール弁体を収容する必要がある。このようにしなければ、ボール弁体の90°の回転によって通水と止水とを行うことが困難となる
からである。
【0046】
これに対して、止水栓1、1Aは、1次側配管2に接続される上流側管部分11と、2次側配管3に接続される下流側管部分12との間に、上流側管部分11の第1管軸N1および下流側管部分12の第2管軸N2と直交する方向に延びる内部流路25を設け、かかる内部流路25を固定ディスク62と回動ディスク63によって開閉する。従って、1次側配管2に接続される下流側管部分12と2次側配管3に接続される上流側管部分11とを直線状に設ける必要はなく、スピンドル10の軸線L回りにおいて、下流側管部分12と上流側管部分11とを所望の角度位置に設けることができる。よって、本例の止水栓1Aのように、上流側管部分11の第1管軸N1と下流側管部分12の第2管軸N2とを直交させることにより、止水栓1において、配管を90°屈曲させることができる。
【0047】
なお、アクチュエータ6は、スピンドル10を軸線L回りの双方向に回転させるものとしてもよい。
【0048】
また、止水栓1、1Aにおいて、アクチュエータ6を省略してもよい。この場合には、スピンドル10の露出部9に、スピンドル10を操作するためのハンドルを取り付けることができる。
【符号の説明】
【0049】
1…止水栓、2…1次側配管、3…2次側配管、5…止水栓本体、6…アクチュエータ、8…ハウジング、9…露出部、10…スピンドル、11…上流側管部分、12…下流側管部分、15…電池、21…1次側管部、21a…1次側流路、22…2次側管部、22a…2次側流路、23…連通部、23a…内部空間、24…流路区画部材、25…内部流路、27…上流側延設部分、28…下流側延設部分、31…本体部材、32…蓋部材、35…支持部、36…固定部、37…ボルト、41…大径軸部分、42…小径軸部分、43…板部、45…スピンドル本体、46…上部スピンドル、51…ディスクケース、52…ディスクホルダ、53…ケース底部、54…ケース円筒部、55…ケース開口、56…ホルダ天井部、57…ホルダ円筒部、58…ホルダ開口、61…パッキン、62…固定ディスク、63…回動ディスク、64…ディスクワッシャ、67…封鎖部、68…開口部、71…連通口、72…切欠き凹部、75…貫通孔、76…嵌合孔、77…係止突部、L…スピンドルの軸線、N1…第1管軸、N2…第2管軸、R1…回転方向
図1
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図5
図6
図7
図8