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  • 特開-マルチコプター 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083859
(43)【公開日】2023-06-16
(54)【発明の名称】マルチコプター
(51)【国際特許分類】
   B64D 27/24 20060101AFI20230609BHJP
   B64C 27/08 20230101ALI20230609BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20230609BHJP
   B64D 41/00 20060101ALI20230609BHJP
【FI】
B64D27/24
B64C27/08
B64C39/02
B64D41/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021197810
(22)【出願日】2021-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】521332501
【氏名又は名称】谷 紳一
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100135839
【弁理士】
【氏名又は名称】大南 匡史
(72)【発明者】
【氏名】谷 紳一
(57)【要約】
【課題】発電量が大きく、積載重量が大きいマルチコプターを開発することを課題とする。
【解決手段】モータ10によって回転し揚力を発生させる回転翼を有するマルチコプター1において、少なくともエンジンと発電機が組み合わされた発電ユニット20があり、当該発電ユニット20が複数搭載されていることを特徴とするマルチコプター1。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータによって回転し揚力を発生させる回転翼を有するマルチコプターにおいて、
少なくともエンジンと発電機が組み合わされた発電ユニットがあり、当該発電ユニットが複数搭載されていることを特徴とするマルチコプター。
【請求項2】
前記発電ユニットは、燃料タンクを備えていることを特徴とする請求項1に記載のマルチコプター。
【請求項3】
前記発電ユニットは、安定化回路を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のマルチコプター。
【請求項4】
前記発電ユニットは、直流を出力するものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のマルチコプター。
【請求項5】
前記発電ユニットは、エンジンを制御する制御装置を備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のマルチコプター。
【請求項6】
モータによって回転し揚力を発生させる回転翼を有するマルチコプターにおいて、
複数の発電機と、当該発電機を駆動する複数のエンジンを備えていることを特徴とするマルチコプター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に「ドローン」と称されるマルチコプターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の回転翼(プロペラ)を有し、垂直離着陸するマルチコプターが知られている。
マルチコプターの回転翼は、モータで駆動される。そのためマルチコプターには、モータを駆動するための蓄電池が搭載されている。従来技術のマルチコプターは、蓄電池にためられた電気によってモータが回転され、飛行する。従って、従来技術のマルチコプターの航続距離は、蓄電池の容量に依存する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-129713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マルチコプターに要求される性能として、航続距離が長いことと、積載重量が大きいことがあげられる。
本発明者らは、マルチコプターの航続距離を延ばす方策として、マルチコプターに発電機と当該発電機を駆動するエンジンを搭載し、飛行中に発電を行って、その電力でモータを駆動し回転翼(プロペラ)を回転させる方式を発明した(以下、ハイブリッド型マルチコプターと称する。)。
【0005】
一方、積載重量を増大させるためには、例えば次の方策が考えられる。
(1)回転翼の数を増やす。
(2)回転翼を大きくする。
(3)回転翼の回転数を上げる。
【0006】
いずれの方策を採用するにしても、モータが消費する電力が増大する。
そのため、積載重量を大きくするためには、ハイブリッド型マルチコプターの発電能力を大きくする必要がある。
【0007】
本発明はこの問題に注目し、発電量が大きく、積載重量が大きいマルチコプターを開発することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するための態様は、モータによって回転し揚力を発生させる回転翼を有するマルチコプターにおいて、少なくともエンジンと発電機が組み合わされた発電ユニットがあり、当該発電ユニットが複数搭載されていることを特徴とするマルチコプターである。
【0009】
エンジンの形式は限定されるものではなく、例えばレシプロエンジンやロータリーエンジン、タービンエンジン、ジェットエンジン等の公知のエンジンが採用可能である。エンジンの冷却方法は、水冷であっても空冷であってもよい。
本態様のマルチコプターは、発電機を有しており、発電機によって発生させた電気をモータに供給することができる。そのため本態様のマルチコプターは、航続距離が長い。
また本態様のマルチコプターは、発電ユニットが複数搭載されているので、総発電量が多く、モータの総出力が大きくてもモータに十分な電力を供給することができる。
本態様の構造を採用することにより、積載重量が大きいマルチコプターを製造することができる。
【0010】
上記した態様において、前記発電ユニットは、燃料タンクを備えていることが望ましい。
【0011】
本態様によると、発電ユニットの燃料タンクに燃料を充填し、エンジンを起動することにより、電力を得ることができる。
【0012】
上記した各態様において、前記発電ユニットは、安定化回路を備えていることが望ましい。
【0013】
本態様によると、複数の発電ユニットを並列に接続しても不具合が生じない。
【0014】
上記した各態様において、前記発電ユニットは、直流を出力するものであることが望ましい。
【0015】
本態様によると、発電した電流を蓄電池に供給することもできる。
【0016】
上記した各態様において、前記発電ユニットは、エンジンを制御する制御装置を備えていることが望ましい。
【0017】
同様の課題を解決するためのもう一つの態様は、モータによって回転し揚力を発生させる回転翼を有するマルチコプターにおいて、複数の発電機と、当該発電機を駆動する複数のエンジンを備えていることを特徴とするマルチコプターである。
【0018】
本態様のマルチコプターは、発電機が複数搭載されているので、モータの総出力が大きくてもモータに十分な電力を供給することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のマルチコプターは、発電機が複数搭載されているので、モータの総出力が大きくてもモータに十分な電力を供給することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態のマルチコプターの斜視図である。
図2図1のマルチコプターの発電ユニットの斜視図である。
図3図1のマルチコプターの回路図である。
図4】(a)(b)は、本発明の他の実施形態のマルチコプターの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態のマルチコプター1は、公知のそれと同様に、回転翼2を有し、当該回転翼2は、モータ10によって回転する。また本態様のマルチコプター1は、発電機を搭載したハイブリッド型マルチコプターである。
本実施形態のマルチコプター1は、本体部3と、6個の回転翼2を有している。回転翼2の数は、6枚に限定されるものではなく、3枚以上であればよい。
本体部3は、環状の支持フレーム部5と、リブ部6と、脚部7を有している。
支持フレーム部5は、無端環状に成形された部分である。本実施形態では、支持フレーム部5の平面形状は、図1の様に円形である。
【0022】
支持フレーム部5は、炭素繊維等の軽く、且つ剛性が高い素材で作られている。
【0023】
リブ部6は、環状の支持フレーム部5から放射状に外側に向かってのびている。リブ部6の先端近傍にモータ10及び回転翼2が設けられている。
【0024】
脚部7は、支持フレーム部5の下に垂下する脚部材11を有している。本実施形態では、脚部7は4本の脚部材11が等間隔に配置されたものである。
【0025】
本実施形態では、支持フレーム部5の環状部分の中に、機器載置部13が設けられている。
機器載置部13には、制御装置(通信機器、姿勢制御装置等)12、蓄電池15等が搭載されている。
また本実施形態のマルチコプター1では、機器載置部13に、発電ユニット20が2台搭載されている。
【0026】
発電ユニット20は、エンジン21と発電機22が組み合わされたものである。発電ユニット20には、気化器23と、吸気フィルター25と、マフラー26が含まれている。また発電ユニット20には、燃料タンク30と、電源回路31及びエンジン制御装置32が搭載されている。
エンジン制御装置32として、エンジンコントロールユニット(engine control unit、ECU)又は、ジェネレーターコントロールユニット(generator control unit GCU)の一方、または双方が搭載されている。エンジン制御装置32は、エンジンを制御する制御装置である。
気化器23の形式は限定されるものではなく、旧来のキャブレターであっても良いし、インジェクターであってもよい。本実施形態ではインジェクターを使用している。
エンジン21は、例えば空冷の2ストロークエンジンである。エンジンの排気量は任意であるが、本発明のマルチコプター1は、発電機とエンジンの組合せを複数搭載するものであるから、大型のエンジンは発電ユニット20には適さない。
エンジン21の排気量は、20ccから500ccであることが望ましく、より推奨される排気量は20ccから300ccであり。最も推奨される排気量は、30ccから200ccである。
【0027】
エンジン21には、気化器23と、吸気フィルター25と、マフラー26が取り付けられている。
エンジン21の出力軸には、発電機22が直接的に接続されている。発電機22は、オルタネータであり、交流を出力する発電機22である。なお発電機22の構造は任意であり、直流を発生させるダイナモであってもよい。
【0028】
電源回路31は、図3の様に、発電機22を含む回路であり、整流器27と、安定化回路28を備えている。安定化回路28は、発電ユニット20からの出力電圧を一定にする回路である。本実施形態では、発電ユニット20から44ボルトの直流が出力される。発電ユニット20の出力電圧は任意であり、例えば24ボルトであってもよい。
【0029】
燃料タンク30は、樹脂によって作られたものであり、気化器23に接続されている。
本実施形態の発電ユニット20は、前記した各部材が一体化されており、独立した一つの部品を構成している。
発電ユニット20は、それだけで完結した発電装置であり、燃料タンク30に燃料を充填し、エンジン21のクランク軸を強制的に回転することによって起動し、一定電圧の電力を出力するものである。
【0030】
本実施形態のマルチコプター1では、図1図3の様に、発電ユニット20が2台搭載されている。
マルチコプター1の電気回路は、図3の通りであり、2基の発電ユニット20が並列に接続されている。
また2基の発電ユニット20に対して蓄電池15と、6台のモータ10が並列に接続されている。
【0031】
ここで本実施形態のマルチコプター1は、飛行中にエンジン21によって発電機22が駆動され、発電機22の電気でモータ10が駆動される。また余剰の電力は、蓄電池15に蓄電される。本実施形態では、発電機22が蓄電池15に接続されており、発電機22の発電量が不足する場合には、蓄電池15から不足分が補われる。そのため、モータ10の駆動や、制御装置12の動作が安定する。
また発電量が過大である場合には、蓄電池15に蓄電される。そのため、本実施形態のマルチコプター1は、航続距離が長い。なお蓄電池15は、必須ではない。
本実施形態のマルチコプター1は、公知のそれと同様に、回転翼2を有し、当該回転翼2は、モータ10によって回転する。
【0032】
本実施形態のマルチコプター1は、発電ユニット20を2台搭載しているので、発電量が多く、6台のモータ10に十分な電力を供給することができる。
【0033】
本実施形態のマルチコプター1で採用する発電ユニット20は、エンジン21、発電機22、気化器23、吸気フィルター25、マフラー26、燃料タンク30、電源回路31及びエンジン制御装置32が一体化されたものであり、それだけで完結した発電装置である。
本実施形態のマルチコプター1では、発電ユニット20を2台搭載しているが、発電ユニット20の数は任意であり、3台以上であってもかまわない。
また本実施形態のマルチコプター1では、支持フレーム部5で囲まれた領域に発電ユニット20を設置したが、発電ユニット20の位置は任意である。
本実施形態のマルチコプター1は、発電ユニット20が完結した発電装置である点に特徴がある。また本実施形態のマルチコプター1は、任意の数の発電ユニット20を搭載することができる点に特徴がある。さらに本実施形態のマルチコプター1は発電ユニット20の設置場所の自由度が大きい点に特徴がある。
【0034】
本実施形態で採用する発電ユニット20は、完結した発電装置であり、且つ各部材が固定されていて一つの部品を構成しているから、マルチコプター1に対する付け外しが容易である。
そのため、複数の発電ユニット20の一つが不調であるならば、正常なものと取り換えることができる。
【0035】
また、搭載する発電ユニット20の数を変えることにより、出力電力の増減を図ることができ、大きさの異なるマルチコプターを容易に製造することができる。
即ち、小型のマルチコプターには、発電ユニット20を1台だけ搭載する。中型のマルチコプターであるならば、発電ユニット20を2台搭載する。大型のマルチコプター1には、発電ユニット20を3台以上搭載する。
【0036】
また発電ユニット20を設置する場所は任意である。即ち、発電ユニット20は、重量物であるに過ぎず、どこに置いてもよい。
例えば、エンジンで回転翼を駆動するマルチコプターであるならば、エンジンを搭載する位置は制約される。
これに対して、本実施形態のマルチコプター1では、発電ユニット20は、単なる重量物であるから、設置場所の自由度が高い。
例えば図4(a)、図4(b)の様な位置に発電ユニットを設置してもよい。
【0037】
以上説明した発電ユニット20は、エンジン21、発電機22、気化器23、吸気フィルター25、マフラー26、燃料タンク30、電源回路31及びエンジン制御装置32が一体化されたものであるが、必ずしもこの全てを搭載している必要はない。
例えば、発電ユニット20の構成部材は、エンジン21と、発電機22だけであってもよい。
燃料タンク30が発電ユニット20に含まれず、別途設けられた燃料タンクから複数の発電ユニットに給油されてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 マルチコプター
2 回転翼
10 モータ
11 脚部材
15 蓄電池
20 発電ユニット
21 エンジン
22 発電機
23 気化器
25 吸気フィルター
26 マフラー
27 整流器
28 安定化回路
30 燃料タンク
31 電源回路
図1
図2
図3
図4