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特開2023-83862下位アドレス記憶方法を用いたリング網を利用したハンドオーバーを可能とするパケット転送システム
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  • 特開-下位アドレス記憶方法を用いたリング網を利用したハンドオーバーを可能とするパケット転送システム 図1
  • 特開-下位アドレス記憶方法を用いたリング網を利用したハンドオーバーを可能とするパケット転送システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083862
(43)【公開日】2023-06-16
(54)【発明の名称】下位アドレス記憶方法を用いたリング網を利用したハンドオーバーを可能とするパケット転送システム
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/42 20060101AFI20230609BHJP
   H04L 45/74 20220101ALI20230609BHJP
   H04W 36/08 20090101ALI20230609BHJP
【FI】
H04L12/42 Z
H04L45/74
H04W36/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021197813
(22)【出願日】2021-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】512243225
【氏名又は名称】龍野 秀雄
(72)【発明者】
【氏名】龍野 秀雄
【テーマコード(参考)】
5K030
5K031
5K067
【Fターム(参考)】
5K030GA02
5K030GA12
5K030HC13
5K030HD03
5K030HD06
5K030LB05
5K031AA03
5K031AA04
5K031CB11
5K031CB12
5K031DA12
5K067AA15
5K067BB04
5K067BB21
5K067CC08
5K067DD36
5K067DD57
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
5K067EE24
5K067HH21
5K067JJ39
(57)【要約】      (修正有)
【課題】無線システムのハンドオーバーを低コストで高速に実現する。
【解決手段】リング網またはツリー状リング網の最下位リングに基地局を収容し、基地局配下の端末が網の頂点装置に接続されたルータを介してサーバと通信するパケット転送システムであって、サーバは、リングのパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置のリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリに記憶すべき下位アドレスが記憶されていない状態で下位アドレスの記憶の旨の信号を持つパケットが到着した場合、該パケットの送信元MACアドレスの下位アドレスと同じ下位アドレスのMACアドレスで該パケットの送信元MACアドレスと異なるMACアドレスの宛先MACアドレスのパケットのリング選択信号を該宛先MACアドレスを送信元MACアドレスとするACKパケットまたは片経路設定パケットを受信するまで通常の右回りリング選択から両リング選択に切り換える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リング網またはツリー状リング網の最下位リングに基地局を収容し、前記基地局配下の携帯端末またはタブレット端末が前記リング網または前記ツリー状リングの頂点装置に接続されたルータを介してサーバとTCPパケットまたはUDPパケットまたはユーチューブ通信する、またはルータを介して、音声中継装置のサーバと通信する、携帯端末またはタブレット端末の基地局間移動を可能とするパケット転送システムであって、
前記サーバまたはルータは、リングのパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置のリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリに記憶すべき下位アドレスが記憶されていない状態への下位アドレスの記憶の旨の信号を持つパケットが到着した場合、そのパケットの送信元MACアドレスの下位アドレスと同じ下位アドレスのMACアドレスでそのパケットの送信元MACアドレスと異なるMACアドレスの宛先MACアドレスのパケットのリング選択信号をその宛先MACアドレスを送信元MACアドレスとするACKパケットまたは片経路設定パケットを受信するまで通常の右回りリング選択から両リング選択に切り換える手段を備え、
前記携帯端末またはタブレット端末または携帯端末またはタブレット端末の属する基地局は、通信中の携帯端末またはタブレット端末の送信元MACアドレスを持つ片経路設定パケットをリング網またはツリー状リング網の最下位リングに周期的に送出し、前記パケットがリングのパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置に到着した場合、そのパケットを右回りリングに送出し、そのパケットがパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置に到着し、そのパケットの送信元MACアドレスの下位アドレスがリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリに記憶されている場合、そのパケットの送信元MACアドレスをパケットの通過を指定するアドレステーブルに記憶させる手段を備え、
携帯端末またはタブレット端末からの基地局経由のMACパケットがリング外からリング網またはツリー状リング網の最下位リングのパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置に到着した場合の
前記パケットが移動先基地局への最初のパケットである場合、
前記パケットの送信元MACアドレスの下位アドレスをリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリに記憶し、前記パケットの送信元MACアドレスがパケット通過を指定するアドレステーブルに記憶されている場合には、そのアドレスを前記テーブルから消去し、前記パケットを左回りリング前方に送出し、
前記パケットがパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置に到着した場合、
前記パケットの送信元MACアドレスの下位アドレスがリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリに記憶されている場合には、前記パケットの送信元MACアドレスの下位アドレスをリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリから削除し、
前記パケットを左回りリングで頂点装置を介してサーバに向かわせる手段と、
一方、前記携帯端末またはタブレット端末からの基地局経由のMACパケットがリング外からリング網またはツリー状リング網の最下位リングのパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置に到着した場合の
前記パケットが移動先基地局への最初のパケットでない場合、
前記パケットの送信元MACアドレスの下位アドレスをリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリに記憶し、前記パケットの送信元MACアドレスがパケット通過を指定するアドレステーブルに記憶されている場合には、そのアドレスを前記テーブルから消去し、前記パケットを左回りリング前方に送出し、
前記パケットがパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置に到着した場合、
前記パケットの送信元MACアドレスの下位アドレスがリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリに記憶されている場合には、前記パケットの送信元MACアドレスをパケットの通過を指定するアドレステーブルに記憶し、前記パケットを左回りリングで頂点装置を介してサーバに向かわせる手段と、
前記サーバからの通信開始パケット以外のリング選択信号を持つパケットがリング外からパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置に到着した場合、そのパケットをそのパケットの持つリング選択信号の示すリングに送出し、そのパケットがパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置に到着した場合の、
前記パケットの宛先MACアドレスがパケットの通過を指定するアドレステーブルに記憶されている場合には、そのパケットを前方のパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置に向けて送出し、前記パケットの宛先MACアドレスがパケットの通過を指定するアドレステーブルに記憶されていない場合で、かつ、前記パケットの宛先MACアドレスの下位アドレスがリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリに記憶されている場合には、前記パケットをリング外に送出し、上記以外で、前記パケットの宛先MACアドレスの下位アドレスがリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリに記憶されていない場合には、前記パケットを前方のパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置に向けて送出する手段とを
さらに備えたことを特徴とするパケット転送システム。
【請求項2】
前記サーバはリング伝送路障害でない場合で、ACKパケットが到着しない場合の再送パケット送出時を契機として、ルータを介してリング網またはツリー状リング網に送出するパケットのリング選択信号を左回りリングと右回りリング間で交互に切り換える手段を
をさらに備える請求項1に記載のパケット転送システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のパケット転送システムのパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置のリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリのメモリシステムであって、リング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリを送信元MACアドレスの下位アドレスの上位部分でアドレス指定した位置から読み出される並列データの各ビットと送信元MACアドレスの下位アドレスの下位部分をデコードした並列データの各ビットとの論理和の並列データのラッチ信号をリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリの前記アドレス指定位置に記憶することにより送信元MACアドレスの下位アドレスの下位部分をデコードのビット1の位置のビット1を下位アドレス記憶を意味するビット1として挿入記憶するメモリシステムで、
リング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリから送信元MACアドレスの下位アドレスを削除する場合は、リング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリを送信元MACアドレスの下位アドレスの上位部分でアドレス指定した位置から読み出される並列データの各ビットと送信元MACアドレスの下位アドレスの下位部分をデコードした並列データの各ビットのビット反転ビットとの論理積の並列データのラッチ信号をリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリの前記アドレス指定位置に記憶することにより送信元MACアドレスの下位アドレスの下位部分をデコードのビット1の位置にビット0を下位アドレス記憶無を意味するビット0として挿入記憶することを特徴とするパケット転送システムのリング網またはツリー状リング網のパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置のリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリのメモリシステム。
















【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MACアドレスの下位アドレス記憶方法を用いたイーサネットパケットを転送するリング網を利用したハンドオーバーを可能とするパケット転送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
アドレス記憶方法の従来例としては、特許文献1の特開2000-151617「テーブル作成検索装置」がある。この従来例は、MACアドレスの記憶回路に関するもので、行列アドレスとMACアドレスデータエリアとインデックスエリアを持つRAM等で構成される第1のテーブルと行列アドレスとMACアドレスデータエリアとインデックスエリアを持つRAM等で構成される第2のテーブルからなる。この従来例は、下位ビット列(例えば16ビット)で第1のテーブルのメモリを指定した位置AにMACアドレス48ビット全体を記憶する。その位置Aに既に他のMACアドレスが記憶されている場合には、、第2のテーブルのメモリの空きアドレス位置Bに記録し、その記録したアドレス位置Bを前記第1テーブルのアドレス位置Aのインデックスエリアに記憶する。これは記録エリアをネスティングで指定する方法である。
【0003】
また、アドレス記憶方法の従来技術としては、特許文献2の特開2004-15592「MACアドレスポインタ構造、MACアドレスの並べ替え方法」がある。この従来例は、下位ビット列で指定されるエントリーテーブルの同じアドレス位置に複数のMACアドレスを記憶する方法である。もし、空きエリアが無ければ、MACアドレスの前記下位ビット列と違う下位ビット列で指定されるエントリーテーブルにMACアドレスを記憶する。
【0004】
リング形ネットワークの従来例としては特許文献3のようにマスタスイッチとスレーブスイッチを用いたリングネットワークが一般的である。このリングネットワークはマスタスイッチの一方のリングポートがフレームを通過させないブロックポートになっていて、フラッディングによる輻輳を防止している。リングネットワークに障害が発生した場合には、マスタスイッチから出てマスタスイッチに戻る監視フレームが届かなくなり、代わりに障害点のスレーブスイッチから障害通知フレームがマスタスイッチに届くので、マスタスイッチは、マスタスイッチのブロックポートのブロックを解除してフレームを通過させる。また、障害点の一方のスレーブスイッチの障害伝送路側にブロックポートを設定し、リングネットワークの障害回復後もリングネットワークの動作を維持する。
【0005】
また、無線ネットワークにおけるハンドオーバーの従来例としては、特許文献4がある。この先行技術は、ATMセルを転送する制御局から基地局を介して携帯端末またはタブレット端末と通信するネットワークのハンドオーバーを、制御局から移動元の基地局を経由した携帯端末またはタブレット端末までの遅延D1と移動先の基地局を介して携帯端末またはタブレット端末までの遅延D2の差(D1-D2>0)の場合間、制御局から携帯端末またはタブレット端末への送出ATMセルの基地局切り換え場合にATMセルを制御局で遅延させて、切り換えることで実行して、ATMセルの順序逆転を防止する方法である。
【0006】
また、別のハンドオーバー方法の例として、特許文献5がある。この先行技術は、携帯端末またはタブレット端末とサーバ間にある基地局、ゲートウェイ経由の切り換え前の基地局経由のコネクションと切り換え先基地局経由のコネクションを持ち、コネクション経由のパケットがコネクション切り換え時に断時間を少なくする方法である。
【0007】
また、別のハンドオーバー方法の例として、特許文献6がある。この開示例はゲートウェイと携帯端末またはタブレット端末間のパケット転送を前記携帯端末またはタブレット端末の属する基地局のIPv6アドレスで基地局まで、携帯端末またはタブレット端末識別子はトランスポートブロックセットで識別されるTCPヘッダのポート番号に端末のMACアドレスの下位アドレスを入れたような方法で識別して送り、その基地局が宛先携帯端末またはタブレット端末のMACアドレスを持っており、前記トランスポートブロックセットの識別子から宛先MACアドレスを判別して、宛先携帯端末またはタブレット端末宛てのMACアドレスとする。なお、携帯端末またはタブレット端末のIPアドレスはその携帯端末またはタブレット端末の属する基地局とゲートウェイ間はIPヘッダのオプション領域で送る案もある。この例は基地局がルータ機能を有しており、移動先基地局へのIPパケットは移動元の基地局を経由して、移動元の基地局で移動元に到着するパケット品質と移動先基地局経由のパケット品質を比較し、良好の方をゲートウェイに送る。ゲートウェイから携帯端末またはタブレット端末へのパケットは両系路で送られる。携帯端末またはタブレット端末は移動先基地局に移動元の基地局番号を持ってアクセスし、移動先基地局が移動元基地局にゲートウェイからのパケットがコピーするように依頼する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000-151617 号公報
【特許文献2】特開2004-15592 号公報
【特許文献3】再表2008-068813 号公報
【特許文献4】特開2001-128212 号公報
【特許文献5】再表2017-195497 号公報
【特許文献6】再表2004-114695 号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来のアドレス記憶法としての従来例特開2000-151617はネスティングでMACアドレスを記憶しているため、記憶アドレス先をたどるのに場合間がかかる問題がある。また、本質的MACアドレス48ビット全体を記憶しているので記憶エリアが大きくなる問題がある。
【0010】
また、従来アドレス記憶方法としての従来例特開2004-15592は、下位ビット列で指定されるMACアドレスのエントリーテーブル位置に空きが無ければ違う下位ビット列のエントリーテーブル位置にMACアドレスを記憶すると記載されているが、その場合には、MACアドレスを記憶する位置を選択する場合に、2つの下位ビット列で指定されるエントリーテーブル位置を検索しなければならないこと、および、同じエントリーテーブルの同じアドレス位置に、複数の記憶アドレスがあるので、それら複数のアドレス比較をする必要があり、検索に場合間がかかる問題がある。
下位ビット列によるMACアドレスの検索は高速になるが、基本的に下位ビット列位置にMACアドレス全体を記憶する方法は、正確記憶であるが、48ビット全体を記憶しなければならないので、記憶アドレス数が少ない問題がある。
従来のリングネットワークである特許文献3は、MACアドレス48ビットを用いるMACアドレステーブルを使用するため、記憶できるMACアドレス数が少ない欠点がある。
【0011】
従来のハンドオーバーの特許文献4は、制御局から携帯端末またはタブレット端末までの切り換え前の経路と切り換え後の経路の遅延場合間差を求める必要があり、制御が複雑である上に遅延場合間は制御局から携帯端末またはタブレット端末までの往復場合間の半分としてしか測定できないので遅延場合間測定の正確性に欠ける問題がある。
【0012】
また、従来のハンドオーバーの特許文献5は、サーバと携帯端末またはタブレット端末間に2つのコネクションを設けて切り換えているので、2つのコネクションの識別が必要になり、ハンドオーバー制御が複雑になる欠点がある。
【0013】
また、従来のハンドオーバーの特許文献6は、ゲートウェイと携帯端末またはタブレット端末間にハンドオーバー時に切り換え前基地局と切り換え先基地局経由の2つのコネクションを得るため、IPアドレスの宛先を切り換え前基地局と切り換え先基地局の2IPアドレスを用いる。切り換え前基地局と切り換え先基地局の2つのコネクションが必要なのは、切り換えに伴う基地局の準備に時間を要するためと、切り換えを無瞬断で行うためである。上記トランスポートブロックセットとして、NATのようなTCPヘッダのポート番号に端末のMACアドレスの下位アドレスを用いる方法ではMAC下位アドレスが同じものがあり、誤動作となる問題がある。この例では基地局までネットワークアドレスで指定され、携帯端末またはタブレット端末はMACのみでネットワークアドレスを持たない。インターネット網のサーバからは切り換え前の基地局宛てのIPアドレスでパケットが届くので、切り換え時には移動先基地局のネットワークアドレスを移動元の基地局経由で前記サーバに伝え、サーバから直接移動先基地局にパケットが届くようにしているので、基地局間移動の動作が複雑である。
IPアドレスを用いるのはゲートウェイ障害に対応するためもあるが、IPアドレスを用いる加入者系網はルータでの遅延が大きくハード規模も大きい問題がある。
【0014】
本発明の目的は、従来のMACアドレステーブルを用いないアドレス記憶方法を用いたリング網により携帯端末またはタブレット端末のハンドオーバーを行う方法を示すことにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上記従来技術の問題点を鑑みて成されたもので、携帯端末またはタブレット端末のハンドオーバーをリング網を用いて行う上で問題となる、移動元の基地局対応のリングのパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置であるノード装置のリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリへの前記携帯端末またはタブレット端末の送信元MACアドレスの下位アドレスの記憶と、移動先の基地局対応のリングのパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置であるノード装置のリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリへの前記携帯端末またはタブレット端末の送信元MACアドレスの下位アドレスの記憶とが重複するため、サーバからの右回りリングを転送されるパケットの誤動作となることを避けるため、サーバに向かう左回りリングを転送される携帯端末またはタブレット端末からのパケットがノード装置に到着し、ノード装置のリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリにそのパケットの送信元MACアドレスの下位アドレスが記憶されていれば、パケットの通過を指定するアドレステーブルにそのパケットの送信元MACアドレスを記憶することで、前記誤動作を避けることが、容易に考えられる。しかし、この方法では通過基地局携帯端末またはタブレット端末の多い、電車走行や、野球場への観客の移動時に、パケットの通過を指定するアドレステーブルへの記憶アドレスが増加し、装置コストが上昇することが問題となる。また、前記パケットの通過を指定するアドレステーブルにその装置より左側に位置する携帯端末のパケットの送信元MACアドレスを記憶する前にサーバからの右回りリングのその携帯端末宛てのパケットがその装置に到着した場合に、誤ってリング外に送出されることになる。
【0016】
本発明の第1の観点は、前記サーバは、リングのパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置のリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリに記憶すべき下位アドレスが記憶されていない状態への下位アドレスの記憶の旨の信号を持つパケットが到着した場合、そのパケットの送信元MACアドレスの下位アドレスと同じ下位アドレスのMACアドレスでそのパケットの送信元MACアドレスと異なるMACアドレスの宛先MACアドレスのパケットのリング選択信号をその宛先MACアドレスを送信元MACアドレスとするACKパケットまたは片経路設定パケットを受信するまで通常の右回りリング選択から両リング選択に切り換える手段を備え、
前記携帯端末またはタブレット端末または携帯端末またはタブレット端末の属する基地局は、通信中の携帯端末またはタブレット端末の送信元MACアドレスを持つ片経路設定パケットをリング網またはツリー状リング網の最下位リングに周期的に送出し、前記パケットがリングのパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置に到着した場合、そのパケットを右回りリングに送出し、そのパケットがパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置に到着し、そのパケットの送信元MACアドレスの下位アドレスがリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリに記憶されている場合、そのパケットの送信元MACアドレスをパケットの通過を指定するアドレステーブルに記憶させる手段を備えることである。
【0017】
また、本発明の第1の具体的手段は、リング網またはツリー状リング網の最下位リングに基地局を収容し、前記基地局配下の携帯端末またはタブレット端末が前記リング網または前記ツリー状リングの頂点装置に接続されたルータを介してサーバとTCPパケットまたはUDPパケットまたはユーチューブ通信する、またはルータを介して、音声中継装置のサーバと通信する、携帯端末またはタブレット端末の基地局間移動を可能とするパケット転送システムであって、
前記サーバまたはルータは、リングのパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置のリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリに記憶すべき下位アドレスが記憶されていない状態への下位アドレスの記憶の旨の信号を持つパケットが到着した場合、そのパケットの送信元MACアドレスの下位アドレスと同じ下位アドレスのMACアドレスでそのパケットの送信元MACアドレスと異なるMACアドレスの宛先MACアドレスのパケットのリング選択信号をその宛先MACアドレスを送信元MACアドレスとするACKパケットまたは片経路設定パケットを受信するまで通常の右回りリング選択から両リング選択に切り換える手段を備え、
前記携帯端末またはタブレット端末または携帯端末またはタブレット端末の属する基地局は、通信中の携帯端末またはタブレット端末の送信元MACアドレスを持つ片経路設定パケットをリング網またはツリー状リング網の最下位リングに周期的に送出し、前記パケットがリングのパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置に到着した場合、そのパケットを右回りリングに送出し、そのパケットがパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置に到着し、そのパケットの送信元MACアドレスの下位アドレスがリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリに記憶されている場合、そのパケットの送信元MACアドレスをパケットの通過を指定するアドレステーブルに記憶させる手段を備え、
携帯端末またはタブレット端末からの基地局経由のMACパケットがリング外からリング網またはツリー状リング網の最下位リングのパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置に到着した場合の
前記パケットが移動先基地局への最初のパケットである場合、
前記パケットの送信元MACアドレスの下位アドレスをリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリに記憶し、前記パケットの送信元MACアドレスがパケット通過を指定するアドレステーブルに記憶されている場合には、そのアドレスを前記テーブルから消去し、前記パケットを左回りリング前方に送出し、
前記パケットがパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置に到着した場合、
前記パケットの送信元MACアドレスの下位アドレスがリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリに記憶されている場合には、前記パケットの送信元MACアドレスの下位アドレスをリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリから削除し、
前記パケットを左回りリングで頂点装置を介してサーバに向かわせる手段と、
一方、前記携帯端末またはタブレット端末からの基地局経由のMACパケットがリング外からリング網またはツリー状リング網の最下位リングのパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置に到着した場合の
前記パケットが移動先基地局への最初のパケットでない場合、
前記パケットの送信元MACアドレスの下位アドレスをリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリに記憶し、前記パケットの送信元MACアドレスがパケット通過を指定するアドレステーブルに記憶されている場合には、そのアドレスを前記テーブルから消去し、前記パケットを左回りリング前方に送出し、
前記パケットがパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置に到着した場合、
前記パケットの送信元MACアドレスの下位アドレスがリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリに記憶されている場合には、前記パケットの送信元MACアドレスをパケットの通過を指定するアドレステーブルに記憶し、前記パケットを左回りリングで頂点装置を介してサーバに向かわせる手段と、
前記サーバからの通信開始パケット以外のリング選択信号を持つパケットがリング外からパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置に到着した場合、そのパケットをそのパケットの持つリング選択信号の示すリングに送出し、そのパケットがパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置に到着した場合の、
前記パケットの宛先MACアドレスがパケットの通過を指定するアドレステーブルに記憶されている場合には、そのパケットを前方のパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置に向けて送出し、前記パケットの宛先MACアドレスがパケットの通過を指定するアドレステーブルに記憶されていない場合で、かつ、前記パケットの宛先MACアドレスの下位アドレスがリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリに記憶されている場合には、前記パケットをリング外に送出し、上記以外で、前記パケットの宛先MACアドレスの下位アドレスがリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリに記憶されていない場合には、前記パケットを前方のパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置に向けて送出する手段とを
さらに備えたことを特徴とするパケット転送システムである。
【0018】
また、本発明の第2の具体的手段は、前記パケット転送システムであって、前記サーバはリング伝送路障害でない場合で、ACKパケットが到着しない場合の再送パケット送出時を契機として、ルータを介してリング網またはツリー状リング網に送出するパケットのリング選択信号を左回りリングと右回りリング間で交互に切り換える手段を
をさらに備えるパケット転送システムである。
【0019】
また、本発明の第3の具体的手段は、前記パケット転送システムのパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置のリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリのメモリシステムであって、リング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリを送信元MACアドレスの下位アドレスの上位部分でアドレス指定した位置から読み出される並列データの各ビットと送信元MACアドレスの下位アドレスの下位部分をデコードした並列データの各ビットとの論理和の並列データのラッチ信号をリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリの前記アドレス指定位置に記憶することにより送信元MACアドレスの下位アドレスの下位部分をデコードのビット1の位置のビット1を下位アドレス記憶を意味するビット1として挿入記憶するメモリシステムで、
リング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリから送信元MACアドレスの下位アドレスを削除する場合は、リング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリを送信元MACアドレスの下位アドレスの上位部分でアドレス指定した位置から読み出される並列データの各ビットと送信元MACアドレスの下位アドレスの下位部分をデコードした並列データの各ビットのビット反転ビットとの論理積の並列データのラッチ信号をリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリの前記アドレス指定位置に記憶することにより送信元MACアドレスの下位アドレスの下位部分をデコードのビット1の位置にビット0を下位アドレス記憶無を意味するビット0として挿入記憶することを特徴とするパケット転送システムのリング網またはツリー状リング網のパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置のリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリのメモリシステムである。
【発明の効果】
【0020】
以上、説明したように、本発明は、記憶ビット長をMACアドレスの下位アドレスのみにして短くし、メモリへの記憶アドレス数の多くした、従来のMACアドレステーブルのような記憶アドレス抜けの無い下位アドレス記憶方法をイーサーネットフレームを転送するリング網のパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置のリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリへの下位アドレス記憶を意味する1ビット記憶方法に適用したリング網により携帯端末またはタブレット端末のハンドオーバーを実現する方法なので、消費電力およびシステムコストが抑えられ、かつ、高速に通信できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1実施例のイーサーネットパケットを転送する、パケットの通過を指定するアドレステーブルとリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリとを持つ複数のパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置を光伝送路で接続したリング網をツリー状に接続したツリー状リング網の最下位リング網に接続された基地局配下の携帯端末またはタブレット端末とサーバとが通信するパケット転送システムにおける携帯端末またはタブレット端末のハンドオーバーの動作を説明する図。
図2】本発明の第2実施例のイーサーネットパケットを転送する、パケットの通過を指定するアドレステーブルとリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリとを持つ複数のパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置を光伝送路で接続したリング網をツリー状に接続したツリー状リング網の最下位リング網に接続された基地局配下の携帯端末またはタブレット端末と音声中継局のサーバとが通信するパケット転送システムにおける携帯端末またはタブレット端末のハンドオーバーの動作を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の第1実施例を図1により説明する。本実施例は、イーサーネットパケットを転送する、パケットの通過を指定するアドレステーブルとリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリとを持つ複数のパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置を光伝送路で接続したリング網をツリー状に接続したツリー状リング網の最下位リング網に接続された基地局の配下の携帯端末またはタブレット端末とサーバとが通信するパケット転送システムにおける携帯端末またはタブレット端末のハンドオーバーの動作例である。前記サーバはインターネット接続サーバである。
【0023】
図1において、1は加入者系の左回り光リング、2は加入者系の右回り光リング、3は加入者系の左回り光リング1と加入者系の右回り光リング2からなる加入者系系リング網、4は上位リング網、5は頂点装置、6-1,6-2,6-3はパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置、7はリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリ、8はパケットの通過を指定するアドレステーブル、22はルータ、12-1,12-2,12-3,12-4,12-5は基地局、13-1,13-2,13-3はTCP携帯端末またはタブレット端末、14は携帯端末またはタブレット端末の移動、20はサーバである。また、(1)~(40)はパケット、I0,I1,I2,I3,I4はサービスプロバイダーの国内または地域IPアドレスである。またはIPv6アドレスである。
なお、パケットの通過を指定するアドレステーブル8は従来のMACアドレステーブルと異なり、ポート番号を記憶しない、記憶MACアドレス数の少ないアドレステーブルである。
【0024】
以下に、図1の動作を説明する。最初に、TCP携帯端末またはタブレット端末13-1,13-2,13-3はARPテーブルにルータ22のIPアドレスI1とリング伝送路インタフェースのMACアドレスr1r2が既に記憶されているものとする。TCP携帯端末またはタブレット端末13-1がパケット(1)Mr1r2a1a2(I0)(Mはイーサネットパケットを示し、r1はルータ22のインタフェースの上位MACアドレス、r2ははルータ22のインタフェースの下位MACアドレスを示し、a1a2はTCP携帯端末またはタブレット端末13-1のMACアドレスである上位MACアドレスa1と下位MACアドレスa2を示し、I0は宛先であるサーバ20のIPアドレスを示す)をパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置6-1に送出した例を示す。前記パケットがTCP携帯端末またはタブレット端末13-1から前記パケットがアッド、ドロップおよび通過の装置6-1に到達した場合、そのパケットの送信元MACアドレスの下位アドレスa2をリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリ7に記憶する。そのパケットは左回り光リング1で(2)Mr1r2a1a2(I0)により図に示すように転送され、パケットのアッド、ドロップおよび通過の装置6-2に到着する。
【0025】
前記パケット(2)Mr1r2a1a2(I0)がパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置6-2に到着した場合、前記パケットの送信元MACアドレスの下位アドレスa2がリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリ7に記憶されていないので、そのパケットは左回り光リング1で(3)Mr1r2a1a2(I0)により図に示すように転送され、パケットのアッド、ドロップおよび通過の装置6-3に到着する。
【0026】
前記パケット(3)Mr1r2a1a2(I0)がパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置6-3に到着した場合、前記パケットの送信元MACアドレスの下位アドレスa2がリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリ7に記憶されていないので、そのパケットは左回り光リング1で(4)Mr1r2a1a2(I0)により図に示すように転送され、頂点装置5に到着する。そのパケットはリング外に送出され、上位リング網4、上位リング網4の頂点装置を介して、ルータ22に到達する。上位リング網4は左回りリング1と右回りリング2からなる無線加入者局内リングと、それと同じ形の加入者系リング網3のパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置と同様なパケットのアッド、ドロップおよび装置を持つ構成の動作をする。
【0027】
前記パケット(5)Mr1r2a1a2(I0)がルータ22に到着した場合、そのパケットの送信元MACアドレスa1a2および送信元IPアドレスI2を図に記してない第1メモリに記憶する。そのパケットの宛先IPアドレスI0の宛先に対応する出力ポートを求め、そのポートに送出する。そのパケットは(6)IPI2I0(IPはIPアドレスであることを示し、I2は送信元端末19-1のIPアドレス、I0は宛先であるサーバ20のIPアドレスを示す。)により図に示されるように転送されてサーバ20に到達する。
【0028】
次に、TCP携帯端末またはタブレット端末13-2がパケット(7)Mr1r2a3a2(I0)(Mはイーサネットパケットを示し、r1はルータ22のインタフェースの上位MACアドレス、r2ははルータ22のインタフェースの下位MACアドレスを示し、a3a2は端末19-2のMACアドレスである上位MACアドレスa3と下位MACアドレスa2を示し、I0は宛先であるサーバ20のIPアドレスを示す)をパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置6-1に送出する。前記パケットがTCP携帯端末またはタブレット端末13-2から前記パケットがアッド、ドロップおよび通過の装置6-1に到達した場合、そのパケットの送信元MACアドレスの下位アドレスa2をリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリ7に記憶する。そのパケットは左回り光リング1で(8)Mr1r2a3a2(I0)により図に示すように転送され、パケットのアッド、ドロップおよび通過の装置6-2に到着する。
【0029】
前記パケット(8)Mr1r2a3a2(I0)がパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置6-2に到着した場合、前記パケットの送信元MACアドレスの下位アドレスa2がリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリ7に記憶されていないので、そのパケットは左回り光リング1で(9)Mr1r2a3a2(I0)により図に示すように転送され、パケットのアッド、ドロップおよび通過の装置6-3を経由し、頂点装置5に到達する。
【0030】
頂点装置5に到着した前記パケットはリング外に送出され、上位リング網4、上位リング網4の頂点装置を介して、ルータ22に到達する。
【0031】
前記パケット(11)Mr1r2a3a2(I0)がルータ22に到着した場合、そのパケットの送信元MACアドレスa3a2と送信元IPアドレスI3を図に記してない第1メモリに記憶後、そのパケットの宛先IPアドレスI0に対応する出力ポートを読み出し、そのポートに送出する。そのパケットは(12)IPI3I0(IPはIPアドレスであることを示し、I3は送信元端末13-2のIPアドレス、I0は宛先であるサーバ20のIPアドレスを示す。)により図に示されるように転送されてサーバ20に到達する。
【0032】
次に、TCP携帯端末またはタブレット端末13-3がパケット(13)Mr1r2a4a2(I0)を基地局12-3を介して、パケットのアッド、ドロップおよび通過の装置6-1に送出した例を示す。そのパケットが基地局12-3に到着した場合、基地局12-3は、前記パケットの送信元MACアドレスa4a2を持つ片経路設定パケット(14)M0a4a2(MはMACパケットを示し、0は宛先MACアドレスがオールビット0であることを示し、a3a2はTCP携帯端末またはタブレット端末13-3の送信元MACアドレスを示す)をパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置6-3に右回りリングに送出するように送出する。
そのパケットは右回りリング2を(15)M0a4a2、(16)M0a4a2により図に示すように転送されてパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置6-1に到着する。そのパケットの送信元MACアドレスの下位アドレスa2がリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリ7に記憶されているので、そのパケットの送信元MACアドレスa4a2をパケットの通過を指定するアドレステーブル8に記憶する。ちなみにこの時点ではパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置6-2のリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリ7にそのパケットの送信元MACアドレスの下位アドレスa2が記憶されていない。パケットのアッド、ドロップおよび通過の装置6-1は右回りリング下流に頂点装置があるので、片経路設定パケットはその装置6-1で終端される。
前記パケット(13)Mr1r2a4a2(I0)によりパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置6-3のリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリ7に下位アドレスa2を記憶され、そのパケットは(17)Mr1r2a4a2(I0)により図に示すように左回りリング1を転送されて、(18)Mr1r2a4a2(I0)のようにルータ22に到着する。
【0033】
次に、TCP携帯端末またはタブレット端末13-2が基地局12-1使用から基地局12-2配下に移動し、パケット(19)Mr1r2a3a2(I0)が基地局12-2に到着した場合、基地局12-2はそのパケットに使用基地局移動であるの旨の信号gを付与し、そのパケットをパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置6-2に送出する。同時に、前記パケットの送信元MACアドレスa3a2を持つ片経路設定パケット(20)M0a3a2(MはMACパケットを示し、0は宛先MACアドレスがオールビット0であることを示し、a3a2はTCP携帯端末またはタブレット端末13-2の送信元MACアドレスを示す)をパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置6-2に右回りリングに送出するように送出する。TCP携帯端末またはタブレット端末13-2のからの前記パケットがアッド、ドロップおよび通過の装置6-2に到達した場合、そのパケットの送信元MACアドレスの下位アドレスa2をリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリ7に記憶する。前記下位アドレスa2の記憶はその下位アドレスa2が前記下位アドレスメモリ7に記憶されていない場合の下位アドレス記憶の場合なので、その旨の信号hをそのパケットに挿入して、そのパケットを左回り光リング1で(22)Mr1r2a3a2gh(I0)により図に示すように転送し、パケットのアッド、ドロップおよび通過の装置6-3に向かわせる。一方、片経路設定パケット(20)M0a3a2は右回りリング2を(21)M0a3a2により図に示すようにパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置6-1に向かう。そのパケットがパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置6-1に到着した場合、そのパケットの送信元MACアドレスの下位アドレスa2がリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリ7に記憶されているので、そのパケットの送信元MACアドレスa3a2をパケットの通過を指定するアドレステーブル8に記憶する。その装置6-1の右回りリング2の下流に頂点装置5があるので、その片経路設定パケットは終端される。上記片経路設定パケットは通信中の携帯端末またはタブレット端末について、その送信元MACアドレスを持つパケットとして、携帯端末またはタブレット端末から、または携帯端末またはタブレット端末の属する基地局から周期的に右回りリング に送出される。
【0034】
前記パケット(22)Mr1r2a3a2gh(I0)がパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置6-3に到着した場合、そのパケットは通過基地局移動直後のパケットなので、前記パケットの送信元MACアドレスの下位アドレスa2がリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリ7に記憶されていれば、その記憶下位アドレスa2を消去する。しかし、前記パケットの移動先基地局がサーバに近づく方向の移動であることが分かっている場合には、前記パケットの送信元MACアドレスの下位アドレスa2がリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリ7に記憶されていれば、その記憶下位アドレスa2を消去せずに、そのパケットの送信元MACアドレスa3a2をパケットの通過を指定するアドレステーブル8に記憶する。図には後者の例を示してある。そのパケットは左回り光リング1で(23)Mr1r2a3a2gh(I0)により図に示すように転送され、頂点装置5に到達する。
頂点装置5に到着した前記パケットはリング外に送出され、上位リング網4、上位リング網4の頂点装置を介して、ルータ22に(24)Mr1r2a3a2gh(I0)として到達する。
【0035】
前記パケット(24)Mr1r2a3a2gh(I0)がルータ22に到着した場合、そのパケットの送信元MACアドレスと送信元IPアドレスを図に記してない第1メモリに記憶後、そのパケットの宛先IPアドレスI0に対応する出力ポートを図示してないIPルーティングテーブルから読み出し、そのポートから、そのパケットをサーバ20に送出する。前記パケット(24)Mr1r2a3a2ghにパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置のリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリ7に記憶すべき下位アドレスが記憶されていない場合の前記下位アドレスの記憶である旨の信号hが付与されているので、そのパケットの送信元MACアドレスの下位アドレスa2と同じ下位アドレスのMACアドレスで、前記パケットの送信元MACアドレスa3a2と異なるMACアドレスであるMACアドレスa1a2とそれに対応のIPアドレスI2を前記図示してない第1メモリから読み取り、それらを図示してない第2メモリに記憶する。サーバ20から到着したIPパケット(25)IPI0I2の宛先IPアドレスが前記第2メモリに記憶されているIPアドレスI2の場合、前記IPアドレスI2のサーバ20からのパケットのリング系選択信号を両リング選択に変更し、そのIPパケットの宛先MACアドレスを前記第2メモリに記憶されているIPアドレスI2対応のMACアドレスa1a2にして、そのパケットを(26)Ma1a2r1r2(I2)により図で示すように、頂点装置5に送出する。前記両リング選択の動作は送信元MACアドレスa1a2のACKパケット(40)Mr1r2a1a2(I0)を受信するまで行い、受信後は通常の右回りリング選択に戻す。その際に前記第2メモリに記憶されているMACアドレスa1a2と対応するIPアドレスI2をそのメモリから消去する。
【0036】
前記パケット(26)Ma1a2r1r2(I2) は(27)Ma1a2r1r2(I2) と(28)Ma1a2r1r2(I2)により図に示すように左回りリング1と右回りリング2の両リングに転送されて、一方はパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置6-1に到着し、そのパケットの宛先MACアドレスa1a2がパケットの通過を指定するアドレステーブル8に記憶されておらず、そのパケットの宛先MACアドレスの下位アドレスa2がリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリ7に記憶されているので、そのパケットはリング外に送出され、(29)Ma1a2r1r2(I2)により携帯端末またはタブレット端末13-1に到達する。右回りリングに送出されたパケット(28)Ma1a2r1r2(I2)は パケットのアッド、ドロップおよび通過の装置6-3に到着し、そのパケットの宛先MACアドレスa1a2がパケットの通過を指定するアドレステーブル8に記憶されておらず、そのパケットの宛先MACアドレスの下位アドレスa2がリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリ7に記憶されているので、そのパケットはリング外に(30)Ma1a2r1r2(I2)により図に示すように送出される。
【0037】
上記の両リングに転送するのは、どちらか一方がパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置のリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリ7に記憶すべき下位アドレスが記憶されていない状態への下位アドレスの記憶である場合に、その装置で前記下位アドレスを宛先MACアドレスの下位アドレスとするパケットの転送経路が切れるので、その装置のサーバ側か逆側に宛先端末が位置する場合に前記パケットが宛先端末に届くようにするためである。この両リングに転送する動作は前記パケットの宛先携帯端末または宛先タブレット端末からの左回りリング1を転送されるパケットにより経路が確保されれば、後は右回りリングのみを用いて転送することで宛先端末に届くことになる。
【0038】
次に、ルータ22に到着した携帯端末またはタブレット端末13-2宛てのパケット(31)IPI0I3は(32)Ma3a2r1r2(I3) として、頂点装置5に転送される。そのパケットは(33)Ma3a2r1r2(I3) 、(34)Ma3a2r1r2(I3) として、図に示すように右回りリング2を転送されて、パケットのアッド、ドロップおよび通過の装置6-2に到着し、そのパケットの宛先MACアドレスa3a2がパケットの通過を指定するアドレステーブル8に記憶されておらず、そのパケットの宛先MACアドレスの下位アドレスa2がリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリ7に記憶されているので、そのパケットはリング外に送出され、(35)Ma3a2r1r2(I3)により携帯端末またはタブレット端末13-2に到達する。
【0039】
前記パケット(29)Ma1a2r1r2(I2)が携帯端末またはタブレット端末13-1に到着した場合に、応答パケット(36)Mr1r2a1a2(I0)がルータ22に向けて送出されて、途中のパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置6-2、6-3でリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリ7にそのパケットの送信元MACアドレスの下位アドレスa2が記憶されているので、そのパケットの送信元MACアドレスa1a2をパケットの通過を指定するアドレステーブル8に記憶して、そのパケットはルータ22に(40)Mr1r2a1a2(I0)として到着する。
【0040】
実施例1ではパケットの持つリング選択信号の切り換えをルータ22で行う例であるが、ルータ22からサーバに向かうIPパケットのIPヘッダのオプション領域またはペイロードに送信元端末のMACアドレスを挿入して転送し、パケットのアッド、ドロップおよび通過の装置6-2のリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリ7に記憶すべき下位アドレスが記憶されていない状態への記憶の旨の信号hを付与されたパケットがサーバに到着した場合に、サーバでそのパケットの送信元MACアドレスの下位アドレスと同じ下位アドレスを持つMACアドレスで前記パケットのMACアドレスと異なるMACアドレスを宛先MACアドレスとするパケットのリング選択信号を両リング選択に切り換えてもよい。
【0041】
また、実施例1では転送されるパケットがTCPパケットの例であるが、パケットはUDPパケットでもユーチューブパケットでもよい。ただし、応答パケットが片経路設定パケットの形でもよいが必要である。
【0042】
また、実施例1ではリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリに送信元MACアドレスの下位アドレスを記憶する例を示したが、これは、その下位アドレスメモリへの下位アドレスの記憶の中に下位アドレスのビット列の全てのビットがビット0のケースが無い場合を前提とした長い下位アドレス記憶である。
実施例1のパケットの送信元MACアドレスの下位アドレスをリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリに記憶することは、その下位アドレスのビット列の中にビット1のビットを少なくとも1つ含む場合に、リング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリを送信元MACアドレスの下位アドレスでアドレス指定した位置に下位アドレス記憶を意味するビット1を記憶することであっても良い。
または、前記パケットの送信元MACアドレスの下位アドレスをリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリに記憶することは、その下位アドレスのビット列の中にビット1のビットを少なくとも1つ含む場合に、リング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリを送信元MACアドレスの下位アドレスの上位部分でアドレス指定した位置から読み出される並列データの各ビットと送信元MACアドレスの下位アドレスの下位部分をデコードした並列データの各ビットとの論理和の並列データのラッチ信号をリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリの前記アドレス指定位置に記憶することで、送信元MACアドレスの下位アドレスの下位部分のデコードのビット1の位置のビット1を下位アドレス記憶を意味するビット1として挿入記憶することであってもよい。
【0043】
次に、本発明の第2実施例を図2により説明する。本実施例は、イーサーネットパケットを転送する、パケットの通過を指定するアドレステーブルとリング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリとを持つ複数のパケットのアッド、ドロップおよび通過の装置を光伝送路で接続したリング網をツリー状に接続したツリー状リング網の最下位リング網に接続された基地局の配下の携帯端末と音声中継装置のサーバとが通信するパケット転送システムにおける携帯端末のハンドオーバーの動作例である。この例は図1のサーバ20の代わりに音声中継装置26とATM網またはIP網への中継網インタフェース28とホームメモリ27を用いる。ルータ22と音声中継装置26とのIPパケットによる接続は、ATM網に接続する場合には、IPヘッダのオプション領域かペイロードに音声端末のMACアドレスを挿入して転送する。この実施例のツリー状リング網の動作は図1と同じであるので、説明を省略する。
【0044】
なお、通常は、ルータ22にサーバと音声中継局が接続され、リングに送出されるパケットの右回りリング選択か両リング選択かの切り換え機能は音声系パケットとサーバ系パケットでルータ22において共通に動作させる。
【0045】
なお、実施例1の前記サーバはリング伝送路障害でない場合で、ACKパケットが到着しないリング伝送路輻輳の場合の再送パケット送出時を契機として、ルータを介してリング網またはツリー状リング網に送出するパケットのリング選択信号を左回りリングと右回りリング間で交互に切り換えることを行うこともできる。その場合に、前記ルータでのリング選択切り換え機能と切り換え対象のフローが異なれば問題ないが、同じフローの場合には、このサーバでの機能を優先させる。
また、実施例1と実施例2ではツリー状リング網の例を示したが一つの加入者系リングでも同様に動作できる。
【符号の説明】
【0046】
1 加入者系の左回り光リング
2 加入者系の右回り光リング
3 加入者系リング
4 上位リング
5 頂点装置
6-1,6-2,6-3 パケットのアッド、ドロップおよび通過の装置
7 リング外へのパケット送出を指定する下位アドレスメモリ
8 パケットの通過を指定するアドレステーブル
12-1,12-2,12-3,12-4,12-5 基地局
13-1,13-2,13-3 携帯端末またはタブレット端末
14 携帯端末またはタブレット端末の移動
20 サーバ
22 ルータ
26 音声中継局
27 ホームメモリ
















図1
図2