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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083890
(43)【公開日】2023-06-16
(54)【発明の名称】排水栓装置
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/22 20060101AFI20230609BHJP
   E03C 1/23 20060101ALI20230609BHJP
   A47K 1/14 20060101ALI20230609BHJP
【FI】
E03C1/22 C
E03C1/23 Z
A47K1/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021197858
(22)【出願日】2021-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】392028767
【氏名又は名称】株式会社日本アルファ
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】太田 慎一
(72)【発明者】
【氏名】北川 浩平
【テーマコード(参考)】
2D061
【Fターム(参考)】
2D061DA01
2D061DA02
2D061DB03
2D061DE11
(57)【要約】
【課題】保持部内に支持軸機構をより容易に挿通することができ、作業性の向上を図ることができる排水栓装置を提供する。
【解決手段】排水栓装置は、支持軸機構5の上側部分を挿通補助面434bに接触させつつ保持部43内へと支持軸機構5を押し込むことで、保持部43の下側開口を通して保持部43内に支持軸機構5を挿通可能に構成される。保持部43は、支持突部434よりも下方において上下方向に延びるとともに、支持軸機構5の上側部分を挿通補助面434bに接触させた状態において、支持軸機構5の上側部分を内側に配置可能な筒状の挿通ガイド部435を備える。挿通ガイド部435は、支持軸機構5を挿通補助面434bに接触させつつ保持部43内へと押し込んだ際に、内面部分がケース部52と接触することで、押し込んだ際の力による保持片部433の下部における内側への変位を防止する。
【選択図】 図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
槽体に設けられた排水口を開閉するための栓蓋と、
前記排水口を通過して流れる排水の流路を形成する流路構成部と、
前記栓蓋が取付けられる棒状の支持軸、及び、当該支持軸を上下動可能な状態で自身の内部にて保持する筒状のケース部を有する支持軸機構と、
前記支持軸機構が内部に配置される筒状の保持部を具備するとともに、前記排水の流路に設置されるアタッチメント部材とを備え、
前記支持軸の上下動により前記排水口の開閉状態が切換えられるように構成された排水栓装置であって、
前記保持部は、
上下方向に延びるとともに下端にて開口する3本以上の複数のスリットと、
前記スリットによって少なくとも自身の下部が互いに離間した複数の保持片部と、
上方に向けて徐々に前記保持部の中心軸側へと接近する挿通補助面を具備するとともに、前記保持片部の内面から突出して前記支持軸機構をその下方から支持する支持突部とを有し、
前記支持軸機構の上側部分を前記挿通補助面に接触させつつ前記保持部の内部へと当該支持軸機構を押し込むことで、当該保持部を弾性変形させて当該保持部の下側開口を拡大させつつ当該下側開口を通して当該保持部内に当該支持軸機構を挿通可能に構成されており、
前記保持部は、前記支持突部よりも下方において上下方向に延びるとともに、前記支持軸機構の上側部分を前記挿通補助面に接触させた状態において、当該支持軸機構の上側部分を内側に配置可能に構成された筒状の挿通ガイド部を備え、
前記挿通ガイド部は、前記支持軸機構の上側部分を前記挿通補助面に接触させつつ前記保持部の内部へと当該支持軸機構を押し込んだ際に、内面部分が前記ケース部と接触することで、前記押し込んだ際の力による前記保持片部の下部における内側への変位を防止可能に構成されていることを特徴とする排水栓装置。
【請求項2】
前記保持部は、環状をなすとともに、複数の前記保持片部の各上部が連接された環状部を有し、
前記保持片部として、前記支持突部を具備する有突保持片部と、前記支持突部を具備しない無突保持片部とが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の排水栓装置。
【請求項3】
前記保持部の下側開口をほぼ拡大させることなく前記支持軸及び前記ケース部の少なくとも一方における上側部分を前記挿通補助面に接触させた状態において、前記挿通ガイド部の内側に前記ケース部が配置された状態となるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の排水栓装置。
【請求項4】
前記支持軸は、その上側部分が前記ケース部から突出するように構成されており、
前記保持部の下側開口を通して当該保持部内に前記支持軸機構を挿通するときに、前記保持部の下側開口をほぼ拡大させることなく、前記支持突部の内側を通して前記保持部における前記支持突部よりも上方に前記支持軸の上側部分を挿通可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の排水栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、槽体の排水口を開閉可能な栓蓋を有する排水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
排水栓装置は、槽体(例えば、浴槽や洗面ボウルなど)の排水口に設けられた栓蓋を備えており、栓蓋を上下動させることで排水口を開閉させるものである。
【0003】
排水栓装置としては、排水口を流れる排水の流路を構成する流路構成部(例えば、排水口に挿設される筒状の排水口部材や当該排水口部材と直列的に接続される配管など)と、上下動可能であるとともに前記栓蓋の取付けられた棒状の支持軸を有してなる支持軸機構と、当該支持軸機構を流路構成部内(つまり、排水の流路)にて保持するためのアタッチメント部材とを有するものがある。
【0004】
また、アタッチメント部材としては、支持軸機構が内部に配置される筒状の保持部を有するとともに、当該保持部の下側内周に突起状の支持突部が形成され、当該支持突部により支持軸機構をその下方から支持するように構成されたものが知られている(例えば、特許文献1等参照)。このようなアタッチメント部材の保持部には、上下方向に延びるとともに下端にて開口するスリットが形成されている。スリットを設けることで、保持部を弾性変形させて、その下側開口を拡大させやすくなり、当該下側開口を通した保持部内への支持軸機構の挿通(設置)をより容易に行うことが可能となる。
【0005】
また、支持突部については、上方に向けて徐々に保持部の中心軸側へと接近するテーパ面を有する構成とすることが考えられる。このように構成することで、支持軸機構の上側部分を前記テーパ面に接触させつつ保持部の内部へと当該支持軸機構を押し込むことにより、保持部の下側開口を拡大させるための作業を特段行わずともに当該下側開口を自然と拡大させることができ、ひいては保持部内に対する支持軸機構の設置(挿通)を一層容易に行うことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015-214813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述したアタッチメント部材では、支持軸機構を前記テーパ面に接触させつつ保持部の内部へと押し込む際に、支持軸機構の上側部分がずれ動いて保持部の下側開口から外れてしまうことや、支持軸機構がぐらついてしまうこと(保持部の中心軸に対し支持軸機構の中心軸がずれること)が生じやすい。そのため、保持部内に対する支持軸機構の挿通作業を慎重に行う必要があり、装置の設置や部品交換などのメンテナンスに係る作業性の低下を招くおそれがある。
【0008】
また、保持部の下側開口を開きやすくするために、スリットを3本以上の複数(例えば4本)設け、保持部がこれらスリットによって少なくとも下部が離間した複数の保持片部を備えた構成とする場合があるが、この場合には、支持軸機構を前記テーパ面に接触させつつ保持部の内部へと押し込んだときに、この押し込んだ際の力によって(当該力による保持部の変形に伴い)、ある保持片部が外側へと変位する一方、その他の保持片部が内側(保持部の中心軸側)に変位するといった事態が生じることがある。このような保持片部の内側への変位が生じると、この変位した保持片部によって、保持部内への支持軸機構の挿通が阻害されるおそれがある。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、保持部内に支持軸機構をより容易に挿通することができ、作業性の向上を図ることができる排水栓装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0011】
手段1.槽体に設けられた排水口を開閉するための栓蓋と、
前記排水口を通過して流れる排水の流路を形成する流路構成部と、
前記栓蓋が取付けられる棒状の支持軸、及び、当該支持軸を上下動可能な状態で自身の内部にて保持する筒状のケース部を有する支持軸機構と、
前記支持軸機構が内部に配置される筒状の保持部を具備するとともに、前記排水の流路に設置されるアタッチメント部材とを備え、
前記支持軸の上下動により前記排水口の開閉状態が切換えられるように構成された排水栓装置であって、
前記保持部は、
上下方向に延びるとともに下端にて開口する3本以上の複数のスリットと、
前記スリットによって少なくとも自身の下部が互いに離間した複数の保持片部と、
上方に向けて徐々に前記保持部の中心軸側へと接近する挿通補助面を具備するとともに、前記保持片部の内面から突出して前記支持軸機構をその下方から支持する支持突部とを有し、
前記支持軸機構の上側部分を前記挿通補助面に接触させつつ前記保持部の内部へと当該支持軸機構を押し込むことで、当該保持部を弾性変形させて当該保持部の下側開口を拡大させつつ当該下側開口を通して当該保持部内に当該支持軸機構を挿通可能に構成されており、
前記保持部は、前記支持突部よりも下方において上下方向に延びるとともに、前記支持軸機構の上側部分を前記挿通補助面に接触させた状態において、当該支持軸機構の上側部分を内側に配置可能に構成された筒状の挿通ガイド部を備え、
前記挿通ガイド部は、前記支持軸機構の上側部分を前記挿通補助面に接触させつつ前記保持部の内部へと当該支持軸機構を押し込んだ際に、内面部分が前記ケース部と接触することで、前記押し込んだ際の力による前記保持片部の下部における内側への変位を防止可能に構成されていることを特徴とする排水栓装置。
【0012】
上記手段1によれば、筒状(この「筒状」とは、スリットによって途切れているものの全体として筒状であることを意味する)の挿通ガイド部の内側に支持軸機構を配置することで、保持部内への挿通時(特に挿通開始時)における支持軸機構の安定性を高めることができ、支持軸機構のずれ動きやぐらつきをより生じにくくすることができる。従って、保持部内に対する支持軸機構の挿通を非常に容易に行うことができ、装置の設置や部品交換などのメンテナンスに係る作業性を向上させることができる。
【0013】
また、挿通ガイド部は、支持軸機構を挿通補助面に接触させつつ保持部の内部へと押し込んだ際に、当該挿通ガイド部の内面部分がケース部に接触することで、押し込んだ際の力による(当該力による保持部の変形に伴う)保持片部の下部における内側への変位を防止する。従って、支持軸機構の挿通を阻害する位置に保持片部が配置されることをより確実に防止できる。その結果、保持部内に対する支持軸機構の挿通をより一層容易に行うことができ、装置の設置等に係る作業性を一層高めることができる。
【0014】
手段2.前記保持部は、環状をなすとともに、複数の前記保持片部の各上部が連接された環状部を有し、
前記保持片部として、前記支持突部を具備する有突保持片部と、前記支持突部を具備しない無突保持片部とが設けられていることを特徴とする手段1に記載の排水栓装置。
【0015】
上記手段2によれば、保持片部として、支持突部を具備する有突保持片部と、支持突部を具備しない無突保持片部とが設けられており、支持突部は、複数の保持片部のうちの一部のみに設けられている。従って、全ての保持片部に支持突部を設ける場合と比べて、保持部内に支持軸機構を挿通するために必要な力を低減させることができ、ひいては保持部内へと支持軸機構をよりスムーズに挿通することができる。これにより、装置の設置などに係る作業性をより向上させることができる。
【0016】
一方、上記手段2においては、有突保持片部及び無突保持片部のそれぞれの上部が環状部に連接されているため、保持部内へと支持軸機構を挿通すべく、支持軸機構を挿通補助面に接触させつつ保持部の内部へと押し込んだときに、有突保持片部の外側への変位に合わせて、無突保持片部が内側(保持部の中心軸側)により変位しやすくなるおそれがある。
【0017】
この点、上記手段2によれば、支持軸機構を挿通補助面に接触させつつ保持部の内部へと押し込むときに、無突保持片部に設けられた挿通ガイド部の内面部分をケース部に接触させることで、当該無突保持片部の内側(保持部の中心軸側)への変位を規制することができる。これにより、支持軸機構の挿通を阻害する位置に無突保持片部が配置されることをより確実に防止でき、保持部内に対する支持軸機構の挿通をより一層容易に行うことができる。その結果、装置の設置等に係る作業性を極めて効果的に高めることができる。
【0018】
手段3.前記保持部の下側開口をほぼ拡大させることなく前記支持軸及び前記ケース部の少なくとも一方における上側部分を前記挿通補助面に接触させた状態において、前記挿通ガイド部の内側に前記ケース部が配置された状態となるように構成されていることを特徴とする手段1又は2に記載の排水栓装置。
【0019】
尚、本手段における「前記保持部の下側開口をほぼ拡大させることなく前記支持軸及び前記ケース部の少なくとも一方における上側部分を前記挿通補助面に接触させた状態」とあるのは、より具体的には、「前記保持部内に前記支持軸機構を挿通する際において、前記保持部内に向けて前記支持軸機構をこれ以上移動させると前記支持軸機構(の全体)が前記支持突部の内側を通過可能となるような前記保持部の下側開口の拡大が生じ始める状態で、前記保持部の下側開口をほぼ拡大させることなく前記支持軸及び前記ケース部の少なくとも一方における上側部分を前記挿通補助面に接触させた状態」ということができる。また、「前記保持部の下側開口をほぼ拡大させることなく」とあるのは、保持部が弾性変形しておらず、保持部の下側開口が自然状態から全く拡大していないときのみならず、保持部が若干だけ弾性変形して、保持部の下側開口が自然状態から僅かに拡大したときも含むという趣旨である(後述する手段4においても同様)。
【0020】
上記手段3によれば、保持部の下側開口をほぼ拡大させることなく支持軸及びケース部の少なくとも一方における上側部分を挿通補助面に接触させた状態、すなわち、保持部内に支持軸機構を押し込む作業の最初期の状態において、挿通ガイド部の内側にケース部が配置された状態となる。従って、保持部内に向けての支持軸機構の押し始めの段階(つまり、前記作業の最初期)から、支持軸機構のずれ動きやぐらつきをより生じにくくすることができる。また、前記作業の最初期から、保持片部の内側への変位を効果的に規制することができ、支持軸機構の挿通を阻害する位置に保持片部が配置されることをより一層確実に防止できる。これらの結果、保持部内に対する支持軸機構の挿通を極めて容易に行うことが可能となる。
【0021】
また、支持軸を自身の内部にて保持する筒状のケース部は、支持軸よりも太いものであるため、前記作業の最初期において挿通ガイド部の内側に支持軸のみが配置される構成と比較して、挿通ガイド部の内面に対し支持軸機構をより接近させることができる。これにより、支持軸機構のずれ動きやぐらつきをより効果的に抑制することができ、保持部内に対する支持軸機構の挿通に係る容易性を一層高めることができる。
【0022】
手段4.前記支持軸は、その上側部分が前記ケース部から突出するように構成されており、
前記保持部の下側開口を通して当該保持部内に前記支持軸機構を挿通するときに、前記保持部の下側開口をほぼ拡大させることなく、前記支持突部の内側を通して前記保持部における前記支持突部よりも上方に前記支持軸の上側部分を挿通可能に構成されていることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の排水栓装置。
【0023】
上記手段4によれば、保持部内に支持軸機構を挿通する際に、全く又はほとんど抵抗なく、支持突部の内側を通して保持部における支持突部よりも上方に支持軸の上側部分(ケース部から突出した部分)を挿通することができる。従って、その後、支持軸機構を挿通補助面に接触させつつ保持部の内部へと押し込むときに、支持軸機構のずれ動きやぐらつきをより一層生じにくくすることができる。その結果、保持部内に対する支持軸機構の挿通を極めて容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】排水栓装置の一部破断正面図である。
図2】アタッチメント部材及び支持軸機構などの一部破断正面図である。
図3】アタッチメント部材の斜視図である。
図4】アタッチメント部材の断面図である。
図5】アタッチメント部材の平面図である。
図6】保持部の下側開口をほぼ拡大させることなく支持突部の内側を通して保持部における支持突部よりも上方に支持軸の上側部分を挿通した状態におけるアタッチメント部材及び支持軸機構などの一部破断正面図である。
図7】保持部の下側開口をほぼ拡大させることなく支持軸の上側部分を挿通補助面に接触させた状態におけるアタッチメント部材及び支持軸機構などの一部破断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1に示すように、排水栓装置1は、槽体としての浴槽100に取付けられている。浴槽100は、その底面を構成する底壁部101を備えており、当該底壁部101には、排水口102が貫通形成されている。
【0026】
排水栓装置1は、排水口部材2、配管3、アタッチメント部材4、支持軸機構5及び栓蓋6を備えている。
【0027】
排水口部材2は、円筒状に形成されており、自身の中心軸と排水口102の中心軸とがほぼ一致した状態で排水口102に挿設されている。排水口部材2は、その上端部において径方向外側に突出形成された鍔部21と、当該鍔部21よりも下方の外周に形成された雄ねじ部22とを備えている。
【0028】
配管3は、筒状をなしており、その上端部内周に前記雄ねじ部22を螺合可能な雌ねじ部31を備えている。そして、排水口102に排水口部材2を挿通しつつ雄ねじ部22を雌ねじ部31に螺合し、鍔部21及び配管3の上端面により底壁部101を挟み込むことで、排水口部材2及び配管3が接続されるとともに、両者が浴槽100に取付けられた状態となっている。
【0029】
尚、本実施形態において、鍔部21の下面と底壁部101の上面との間、及び、配管3の上端面と底壁部101の下面(裏面)との間には、弾性変形可能な材料(例えば、樹脂やゴム等)により形成された環状のシール部材7,8が配置されている。これらシール部材7,8によって、排水口部材2及び配管3と浴槽100との間からの漏水防止が図られている。
【0030】
また、本実施形態では、排水口部材2及び配管3の各内面によって、排水口102を通過して流れる排水の流路が構成されている。従って、本実施形態では、排水口部材2及び配管3が流路構成部9に相当する。
【0031】
アタッチメント部材4は、排水の流路において支持軸機構5を保持するためのものであり、前記排水の流路(つまり流路構成部9内)に設置されている。アタッチメント部材4の構成については後に詳述する。
【0032】
支持軸機構5は、栓蓋6を上下動させるためのものであり、円筒状のケース部51及び棒状の支持軸52を備えている。
【0033】
ケース部51は、支持軸52よりも大径であり、自身の内部にて支持軸52を上下動可能な状態で保持している。尚、ケース部51自体は、その外周に配置されたアタッチメント部材4(後述する保持部43)によって上下動不能な状態で保持されている。
【0034】
支持軸52は、その上側部分がケース部51から突出するように構成されており、図2に示すように、当該上側部分には、支持軸52の上端に向けて肩部52a、首部52b及び頭部52cがこの順序で設けられている。
【0035】
肩部52aは、上方に向けて徐々に外径が小さなものとなるテーパ状をなしている。肩部52aの最大外径は、頭部52cの最大外径よりも大きなものとされている。首部52bは、上下方向(支持軸52の軸方向)に沿って一定の外径を有する円柱状をなしている。頭部52cは、首部52bよりも外側に膨出した形状をなしており、最上部を除いた大部分が首部52bよりも大径に形成されている。
【0036】
加えて、支持軸52は、図示しない操作部(例えば押しボタン等)の変位による駆動力を伝達するための伝達部材10(例えば、金属製のワイヤ)の端部が接触可能に構成されている。伝達部材10は、筒状のチューブ部材11の内周において往復移動可能な状態で配置されている。
【0037】
また、本実施形態において、前記操作部を備えてなる操作装置(図示せず)には、伝達部材10を往動(前記操作部側から支持軸機構5側に移動)した状態でロックすることにより、支持軸52を上動させた状態でロックするための図示しないロック機構(例えば、スラストロック機構)が設けられている。一方、支持軸機構5(ケース部51内)には、支持軸52に対し下動方向への力を付与する戻りばね(不図示)が設けられている。
【0038】
そして、本実施形態では、前記操作部を操作(例えば、押圧)することで伝達部材10が往動したとき、支持軸52は、前記戻りばねからの力に抗して伝達部材10により押し上げられて上動する。そして、支持軸52が十分に上動した段階で前記操作部への操作が解除されると、支持軸52が若干だけ下降しつつ、前記ロック機構によって伝達部材10が往動した状態でロックされる。その結果、支持軸52は上動した状態でロックされる。
【0039】
一方、この状態で前記操作部を再度操作すると、伝達部材10が再び往動し、前記ロック機構による伝達部材10のロックが解除される。そして、前記操作部に対する操作が解除されると、前記戻りばねからの付勢力によって支持軸52が下動するとともに、伝達部材10が復動する。
【0040】
このように本実施形態では、前記操作部を操作する度に、上方位置における支持軸52のロックと、ロック解除に伴う支持軸52の下動とが交互に行われる。尚、支持軸52をロックするためのロック機構を支持軸機構5に設けてもよい。
【0041】
図1に戻り、栓蓋6は、排水口102を開閉するための栓である。栓蓋6は、樹脂等からなる円板状の栓蓋本体部61と、弾性変形可能な材料(例えば樹脂やゴム等)により形成された環状のパッキン部62とを備えている。
【0042】
栓蓋本体部61の裏面中心には、筒状の被取付部63が形成されており、当該被取付部63の内面には、内側に向けて突出する被係止部63aが設けられている。そして、被取付部63に対し支持軸52の上側部分が挿通され、被係止部63aが首部52bの外側に配置された状態〔つまり、支持軸52の下動時に被係止部63aに対し頭部52cが係止される状態〕となることで、支持軸52の上側部分に栓蓋6が取付けられた状態となっている。
【0043】
本実施形態では、前記操作部への操作(例えば押圧)に伴い支持軸52が上動することで、栓蓋6が上動する。そして、栓蓋6の上動に伴いパッキン部62が排水口部材2から離間した状態となることで、排水口102が開状態となる。
【0044】
一方、排水口102が閉状態であるときに、前記操作部を操作することで、支持軸52及び栓蓋6が下動する。そして、栓蓋6の下動に伴いパッキン部62の外周部分全域が排水口部材2と接触することで、排水口102が閉状態となる。
【0045】
尚、上記の通り支持軸52は前記戻りばねによって復動するところ、排水口部材2に対するパッキン部62の接触に伴い、支持軸52は最大限下動したときの位置よりも若干だけ上方の位置にて停止する(図1参照。尚、図2では、最大限復動したときの支持軸52を示す)。これにより、排水口102が閉状態であるときには、頭部52cや被係止部63aを介して前記戻りばねから栓蓋6に対し下方に向けた力が加わり続けることとなり、ひいては良好な止水性を得ることが可能となっている。
【0046】
次いで、アタッチメント部材4の構成について説明する。アタッチメント部材4は、弾性変形可能な所定の樹脂等により形成されており、図3及び図4に示すように、外環部41、連結部42及び保持部43を備えている。
【0047】
外環部41は、平面視円環状をなしており、流路構成部9に対するアタッチメント部材4の取付部として機能する。本実施形態において、外環部41は、排水口部材2の内面に対し取付けられる。
【0048】
連結部42は、外環部41の内周面と保持部43の外周面とを連結する部位である。連結部42は、保持部43の外周から保持部43の径方向外側に向けて延びており、本実施形態では、平面視したときに保持部43を挟む位置関係で二対(すなわち計4本)設けられている。流路構成部9に流れ込んだ排水は、各連結部42間の隙間を通って下流へと流れることとなる。
【0049】
保持部43は、内部に配置された支持軸機構5(特にケース部51)を保持するためのものである。保持部43は、全体として円筒状をなしており、外環部41よりも内側において外環部41と同軸状に設けられている。保持部43は、スリット431を備えている。
【0050】
スリット431は、保持部43における連結部42と連結された各部位同士の間に形成されており、3本以上の複数(本実施形態では4本)設けられている。各スリット431は、上下方向に延びるとともに、保持部43の下端にて開口している。また、各スリット431は、保持部43の長手方向(上下方向)中心よりも上方位置まで延びているが、保持部43の上端に連通しない(すなわち保持部43の上端にて開口しない)ように構成されている。このようなスリット431が形成されることで、保持部43は、上部に位置する環状部432と、スリット431によって少なくとも自身の下部が互いに離間した状態とされた複数(本実施形態では4つ)の保持片部433とを備えた構成となっている。
【0051】
環状部432は、保持部43の周方向に連続する環状をなしており、複数の保持片部433の各上部が連接されている。環状部432の内面であって保持部43の中心軸CLを間に置く位置には、内側に向けて突出する一対の上側突部432aが形成されている。上側突部432aは、保持部43の上側開口から支持軸機構5が抜けることを防止するためのものである。
【0052】
保持片部433は、スリット431の数と同数設けられており、各保持片部433は、保持部43の内外方向(保持部43の径方向)に弾性変形可能となっている。尚、各保持片部433の外周面には連結部42が連結されているため、保持片部433の弾性変形に伴い外環部41における弾性変形が生じ得る。また、保持部43の中心軸CLを間に置いて相対向する一対の保持片部433のそれぞれには、支持突部434が形成されている。
【0053】
支持突部434は、保持片部433の下側内面から内側(中心軸CL側)に向けて突出しており、保持部43に挿通された支持軸機構5をその下方から支持するためのものである。各支持突部434は、上方を向く脱落防止面434aと、斜め下方を向く挿通補助面434bとを備えている。
【0054】
脱落防止面434aは、保持部43に挿通された支持軸機構5の下端面と接触する面である。脱落防止面434aは、保持部43の中心軸CLと直交する方向に延びる形状をなしている。これにより、例えば栓蓋6に下向きの力が加わることで保持部43に挿通された支持軸機構5に対し下向きの力が加わった場合であっても、保持片部433の下側開口が拡大するような(両支持突部434間の隙間が広がるような)保持片部433の弾性変形が生じないようになっている。そのため、保持部43の下側開口から支持軸機構5が抜けることを効果的に防止可能である。
【0055】
挿通補助面434bは、上方に向けて徐々に保持部43の中心軸CL側に接近する傾斜面状をなしている。挿通補助面434bは、保持部43内へと支持軸機構5を挿通する際に、その挿通を容易にするためのものである。より具体的には、保持部43内に支持軸機構5を挿通すべく、支持軸機構5の上側部分を挿通補助面434bに接触させつつ保持部43の内部へと当該支持軸機構5を押し込んだ際に、挿通補助面434bは、保持部43の下側開口を拡大させるための力をアタッチメント部材4に特段加えずとも、支持軸機構5に加わる押し込み力を利用して保持部43の下側開口を拡大させることを可能とし、その結果、保持部43内への支持軸機構5の挿通を容易にする。
【0056】
尚、本実施形態において、支持突部434は、全ての保持片部433に設けられている訳ではなく、保持部43の中心軸CLを間に置く一対の保持片部433にのみ設けられている。すなわち、本実施形態では、保持片部433として、支持突部434を具備する有突保持片部433aと、支持突部434を具備しない無突保持片部433bとが設けられている。本実施形態において、無突保持片部433bの内面は、凹凸のない平滑面状とされている。
【0057】
上記のように有突保持片部433a及び無突保持片部433bが設けられることで、保持部43内に支持軸機構5を挿通すべく、支持軸機構5を挿通補助面434bに接触させつつ保持部43の内部へと押し込んだ際に、有突保持片部433aは、外側(保持部43の径方向外側)に弾性変形する。一方、無突保持片部433bには、有突保持片部433aにおける弾性変形の影響により、内側(保持部43の径方向内側)に弾性変形する方向の力が生じる。尚、この力は、有突保持片部433aの弾性変形に伴い、環状部432が弾性変形したり、外環部41が平面視楕円状に弾性変形したりすること等により発生する。
【0058】
加えて、保持部43の中心軸CL方向に沿ってアタッチメント部材4を見たとき、両支持突部434間に形成される隙間の大きさは、頭部52cの最大外径よりも僅かに小さい程度に設定されている(図5参照。図5では、頭部52cにおける最大外径を有する部位を二点鎖線で示している)。
【0059】
さらに、保持部43は、支持突部434よりも下方において上下方向に延びる挿通ガイド部435を備えている。挿通ガイド部435は、保持部43内に対する支持軸機構5の挿通時(特に挿通開始時)に、支持軸機構5の上側部分が内側に配置される部位であって、保持部43内に対する支持軸機構5の挿通をガイドしたり、挿通時における支持軸機構5の揺れ動きを防止したりするなどの役割を有する。本実施形態において、挿通ガイド部435の内面は、挿通補助面434bの最下部に連続し、当該最下部から鉛直方向(中心軸CL方向と平行な方向)に延びる形状をなしている。但し、挿通ガイド部435の内面は、前記中心軸CL方向と厳密に平行な方向に延びるものでなくてもよい。また、本実施形態において、挿通ガイド部435は、スリット431の存在により保持部43の周方向に非連続の形状ではあるが、全体として円筒状をなしている。
【0060】
次いで、保持部43内に対する支持軸機構5の挿通についてより詳しく説明する。本実施形態において、保持部43内への支持軸機構5の挿通は、浴槽100に対する排水口部材2及び配管3の取付後であって、流路構成部9(本実施形態では排水口部材2)に対するアタッチメント部材4の取付前の段階で行われる。
【0061】
保持部43内へと支持軸機構5を挿通するにあたっては、まず、流路構成部9内を通して浴槽100の貯水空間側(図1における底壁部101よりも上側)へと支持軸機構5を引き出す。
【0062】
その上で、支持軸機構5の上側部分を保持部43の下側開口(すなわち挿通ガイド部435の内側)に差し込む。このとき、上記の通り、支持突部434同士の間に形成される隙間の大きさは頭部52cの最大外径よりも僅かに小さい程度であるため、保持部43の下側開口をほぼ拡大させることなく(つまり、保持部43をほとんど弾性変形させることなく)、支持突部434の内側を通して保持部43における支持突部434よりも上方に支持軸52の上側部分(本実施形態では頭部52c)を挿通した状態(図6参照)とすることができる。
【0063】
尚、「保持部43の下側開口をほぼ拡大させることなく」とあるのは、保持部43が弾性変形しておらず、保持部43の下側開口が自然状態から全く拡大していないときのみならず、保持部43が若干だけ弾性変形して、保持部43の下側開口が自然状態から僅かに拡大したとき(例えば、保持部43の下側開口が自然状態と比べて1mm以下だけ拡大した状態)も含むという趣旨である。従って、前述の「保持部43の下側開口をほぼ拡大させることなく」は、後者の意味合いを有する。
【0064】
次いで、保持部43内に支持軸機構5を押し込んで挿通する作業である押込工程を実行する。すなわち、支持軸機構5の上側部分(本実施形態では肩部52a)を挿通補助面434bに接触させつつ(図7参照)、保持部43の内部へと支持軸機構5を押し込む。これにより、保持部43(特に有突保持片部433a)を外側に弾性変形させて保持部43の下側開口を拡大しつつ、当該下側開口及び両支持突部434の内側を通して保持部43内に支持軸機構5を挿通・設置することができる。
【0065】
尚、押込工程の最初期においては、つまり、保持部43内に向けて支持軸機構5をこれ以上移動させると保持部43の下側開口の拡大(より詳しくは、支持突部434の内側を支持軸機構5の全体が通過可能となるような保持部43の下側開口の拡大)が生じ始める状態で、保持部43の下側開口をほぼ拡大させることなく支持軸52及びケース部51の少なくとも一方における上側部分(肩部52a)を挿通補助面434bに接触させた状態(図7の状態)としたときにおいては、挿通ガイド部435の内側にケース部51が配置された状態となる。特に本実施形態では、保持部43の中心軸CL方向に沿った挿通ガイド部435の内側全域にケース部51が配置されるとともに、ケース部51の最上部が挿通ガイド部435の最上部よりも上方に位置した状態となる。
【0066】
また、押込工程において、挿通補助面434bに対する支持軸機構5の圧接に伴い、有突保持片部433aが外側に弾性変形した(保持部43の下側開口が拡大した)ときには、上記の通り、有突保持片部433aの弾性変形の影響により、無突保持片部433bには内側(保持部43の中心軸CL側)に向けた力が生じる。そのため、この押し込んだ際の力による無突保持片部433bの下部における内側への変位が懸念されるところであるが、本実施形態では、挿通ガイド部435の内面部分(図4における散点模様を付した部分)がケース部51の外周面と接触することで、無突保持片部433bの下部における内側への変位が防止されるようになっている。
【0067】
尚、保持部43内に支持軸機構5を挿通した後には、流路構成部9(排水口部材2)に対するアタッチメント部材4の取付や、支持軸52に対する栓蓋6の取付を行うことで、排水栓装置1の設置が完了する。
【0068】
以上詳述したように、本実施形態によれば、筒状の挿通ガイド部435の内側に支持軸機構5を配置することで、保持部43内への挿通時(特に挿通開始時)における支持軸機構5の取付安定性(挿通・取付に係る安定性)を高めることができ、支持軸機構5のずれ動きやぐらつきをより生じにくくすることができる。従って、保持部43内に対する支持軸機構5の挿通を非常に容易に行うことができ、排水栓装置1の設置や部品交換(例えばアタッチメント部材4や支持軸機構5等の交換)などのメンテナンスに係る作業性を向上させることができる。
【0069】
また、挿通ガイド部435は、支持軸機構5(本実施形態では肩部52a)を挿通補助面434bに接触させつつ保持部43の内部へと押し込んだ際に、当該挿通ガイド部435の内面部分がケース部51の外周面に接触することで、押し込んだ際の力による保持片部433(本実施形態では無突保持片部433b)の下部における内側への変位を防止する。従って、支持軸機構5の挿通を阻害する位置に保持片部433(無突保持片部433b)が配置されることをより確実に防止できる。その結果、保持部43内に対する支持軸機構5の挿通をより一層容易に行うことができ、排水栓装置1の設置等に係る作業性を一層高めることができる。
【0070】
さらに、本実施形態では、保持片部433として、支持突部434を具備する有突保持片部433aと、支持突部434を具備しない無突保持片部433bとが設けられており、支持突部434は、複数の保持片部433のうちの一部のみに設けられている。従って、全ての保持片部433に支持突部434を設ける場合と比べて、保持部43内に支持軸機構5を挿通するために必要な力を低減させることができ、ひいては保持部43内へと支持軸機構5をよりスムーズに挿通することができる。これにより、排水栓装置1の設置などに係る作業性をより向上させることができる。
【0071】
加えて、保持部43内に向けて支持軸機構5をこれ以上移動させると保持部43の下側開口の拡大が生じる状態で、保持部43の下側開口をほぼ拡大させることなく支持軸52及びケース部51の少なくとも一方における上側部分(本実施形態では支持軸52の上側部分)を挿通補助面434bに接触させた状態、すなわち、保持部43内に支持軸機構5を押し込む作業(押込工程)の最初期の状態において、挿通ガイド部435の内側にケース部51が配置された状態となる。従って、押込工程の最初期から、支持軸機構5のずれ動きやぐらつきをより生じにくくすることができる。また、押込工程の最初期から、保持片部433(本実施形態では無突保持片部433b)の内側への変位を効果的に規制することができ、支持軸機構5の挿通を阻害する位置に保持片部433(無突保持片部433b)が配置されることをより一層確実に防止できる。これらの結果、保持部43内に対する支持軸機構の挿通を極めて容易に行うことが可能となる。
【0072】
また、ケース部51は支持軸52よりも太いものであるため、押込工程の最初期において挿通ガイド部435の内側に支持軸52のみが配置される構成と比較して、挿通ガイド部435の内面に対し支持軸機構5をより接近させることができる。これにより、支持軸機構5のずれ動きやぐらつきをより効果的に抑制することができ、保持部43内に対する支持軸機構5の挿通に係る容易性を一層高めることができる。特に本実施形態では、押込工程の最初期において、中心軸CLに沿った挿通ガイド部435の内側全域にケース部51が配置されるとともに、ケース部51の最上部が挿通ガイド部435の最上部よりも上方に位置した状態となるため、支持軸機構5のずれ動きやぐらつきを極めて効果的に抑制することができる。
【0073】
さらに、保持部43内に支持軸機構5を挿通する際に、全く又はほとんど抵抗なく、支持突部434の内側を通して保持部43における支持突部434よりも上方に支持軸52の上側部分(本実施形態では頭部52c)を挿通することができる。従って、その後、支持軸機構5(肩部52a)を挿通補助面434bに接触させつつ保持部43の内部へと押し込むときに、支持軸機構5のずれ動きやぐらつきをより一層生じにくくすることができる。その結果、保持部43内に対する支持軸機構5の挿通を極めて容易に行うことが可能となる。
【0074】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0075】
(a)上記実施形態では、押込工程の最初期において、支持軸52の上側部分(肩部52a)が挿通補助面434bに接触した状態となるように構成されている。これに対し、押込工程の最初期において、ケース部51の上側部分(例えばケース部51の上面から外周面にかけた部位)が挿通補助面434bと接触した状態となるように構成してもよい。勿論、押込工程の最初期において、ケース部51及び支持軸52の双方が挿通補助面434bと接触するように構成してもよい。
【0076】
(b)上記実施形態では、保持部43の下側開口をほぼ拡大させることなく(つまり、保持部43をほとんど弾性変形させることなく)、支持突部434の内側を通して保持部43における支持突部434よりも上方に支持軸52の上側部分(本実施形態では頭部52c)を挿通した状態とすることが可能に構成されているが、必ずしもこのように構成する必要はない。
【0077】
従って、支持突部434の内側を通して保持部43における支持突部434よりも上方に支持軸52の上側部分(頭部52c)を挿通するために、保持部43の下側開口をある程度拡大させることが必要となるように構成してもよい。尚、このような構成において、保持部43の下側開口は、挿通補助面434bに支持軸52の上側部分(頭部52c)を接触させつつ保持部43内に向けて支持軸機構5を押し込むことで拡大させることができる。
【0078】
また、このような構成では、支持軸機構5のずれ動きやぐらつきを抑制するために、保持部43の下側開口をほぼ拡大させることなく挿通補助面434bに支持軸52の上側部分(頭部52c)を接触させた状態において、挿通ガイド部435の内側にケース部51が配置された状態となるように構成することが好ましい。
【0079】
(c)上記実施形態において、スリット431は4本設けられているが、スリット431を3本又は5本以上設けてもよい。尚、スリット431の数などに応じて、連結部42の構成(例えば、連結部42の数など)を適宜変更してもよい。
【0080】
(d)上記実施形態では、保持部43の下側開口を僅かに拡大させるだけで、支持突部434の内側を通して保持部43における支持突部434よりも上方に支持軸52の上側部分(頭部52c)を挿通可能に構成されている。これに対し、保持部43の下側開口を全く拡大させることなく、支持突部434の内側を通して保持部43における支持突部434よりも上方に支持軸52の上側部分(頭部52c)を挿通可能に構成してもよい。
【0081】
(e)上記実施形態では、4つの保持片部433のうちの2つに支持突部434が設けられているが、支持突部434を設ける保持片部433については適宜変更してもよい。
【0082】
(f)上記実施形態において、アタッチメント部材4は、排水口部材2を取付対象としているが、配管3、又は、排水口部材2及び配管3の双方を取付対象としたものであってもよい。
【0083】
また、上記実施形態において、アタッチメント部材4は外環部41を備えているが、外環部41を具備しないものであってもよい。この場合、連結部42のうち保持部43とは反対側に位置する端部が流路構成部9(例えば排水口部材2)へと取付けられるように構成してもよい。
【0084】
さらに、外環部41は、連続する環状に限られず、一部が途切れた環状であってもよい。
【0085】
(g)上記実施形態では、排水口部材2及び配管3を浴槽100に取付けた後に、流路構成部9(排水口部材2)にアタッチメント部材4を取付ける例を挙げているが、浴槽100に対する排水口部材2及び配管3の取付と同時期に、流路構成部9に対しアタッチメント部材4が取付けられるように構成してもよい。例えば、配管3における雌ねじ部31よりも下方の内面に外環部41を載置可能な段部を設けるとともに、この段部に外環部41を載置した状態で、雌ねじ部31に雄ねじ部21を螺合することにより、浴槽100(底壁部101)に対し排水口部材2及び配管3が取付けられるとともに、前記段部に載置されたアタッチメント部材4が流路構成部9に取付けられるように構成してもよい。尚、このような構成では、例えば外環部41を前記段部及び排水口部材2の下端面で挟み込むことにより、アタッチメント部材4を流路構成部9に取付ける構成としてもよい。
【0086】
(h)上記実施形態では、排水口部材2に対し栓蓋6(パッキン部62)が接触することにより排水口102が閉状態となるように構成されているが、排水口部材2以外の部位(例えば、底壁部101)に栓蓋6(パッキン部62)が接触することにより排水口102が閉状態となるように構成してもよい。
【0087】
(i)上記実施形態では、槽体として浴槽100を例示しているが、本発明の技術思想を適用可能な槽体は浴槽に限定されるものではない。従って、例えば、洗面ボウルやキッチンの流し台などの浴槽以外の槽体に対し本発明の技術思想を適用してもよい。
【符号の説明】
【0088】
1…排水栓装置、4…アタッチメント部材、5…支持軸機構、6…栓蓋、9…流路構成部、43…保持部、51…ケース部、52…支持軸、100…浴槽(槽体)、102…排水口、431…スリット、432…環状部、433…保持片部、433a…有突保持片部、433b…無突保持片部、434…支持突部、434b…挿通補助面、435…挿通ガイド部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7