(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083893
(43)【公開日】2023-06-16
(54)【発明の名称】オフセット作業機
(51)【国際特許分類】
A01D 34/835 20060101AFI20230609BHJP
A01D 34/44 20060101ALI20230609BHJP
【FI】
A01D34/835
A01D34/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021197866
(22)【出願日】2021-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】390010836
【氏名又は名称】小橋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】橋本 健志
(72)【発明者】
【氏名】大月 忠亮
(72)【発明者】
【氏名】和田守 哲也
【テーマコード(参考)】
2B083
【Fターム(参考)】
2B083AA01
2B083BA16
2B083CA09
2B083CA28
2B083DA02
2B083EA07
2B083EA11
2B083GA02
2B083HA03
2B083HA05
2B083HA52
2B083HA53
2B083HA55
2B083HA59
(57)【要約】
【課題】作業部が障害物に接触したときに生じる不具合を防止すること。
【解決手段】オフセット作業機は、作業部と、逃げ機構部と、アーム部を有するオフセット機構部と、アーム部と逃げ機構部とを連結する第1連結部と、を備える。逃げ機構部は、弾性部材と、回動連結部材と、弾性部材と回動連結部材とを連結する第2連結部と、を有する。第1連結部は、回動連結部材の回動軸を中心として回動可能である。第2連結部は、回動連結部材の回動に伴って移動可能である。弾性部材は、作業部に外力が作用したときに回動連結部材が回動することを抑制する方向に第2連結部を付勢する。作業部に外力が作用したとき、アーム部から第1連結部に作用する方向と、外力による回動連結部材の回動に伴って第1連結部が移動しようとする方向とのなす角は、オフセット移動の量が大きい場合に比べて小さい場合の方が小さくなるように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体から動力を受けて農作業を行う作業部と、
前記作業部に所定の力以上の外力が作用したときに、前記作業部を逃げ移動させるための逃げ機構部と、
前記作業部から前記逃げ機構部に向かって延びるアーム部を有し、前記作業部を左右方向にオフセット移動させるオフセット機構部と、
前記アーム部と前記逃げ機構部とを連結する第1連結部と、を備え、
前記逃げ機構部は、
弾性部材と、
前記第1連結部に連結され、回動軸を中心として回動可能な回動連結部材と、
前記弾性部材と前記回動連結部材とを連結する第2連結部と、を有し、
前記第1連結部は、前記回動軸を中心として回動可能であり、
前記第2連結部は、前記回動連結部材の回動に伴って移動可能であり、
前記弾性部材は、前記作業部に外力が作用したときに前記回動連結部材が回動することを抑制する方向に前記第2連結部を付勢し、
前記作業部に前記外力が作用したとき、前記アーム部から前記第1連結部に作用する方向と、前記外力による前記回動連結部材の回動に伴って前記第1連結部が移動しようとする方向とのなす角は、前記オフセット移動の量が大きい場合に比べて小さい場合の方が小さくなるように構成されたオフセット作業機。
【請求項2】
前記オフセット機構部は、平行リンク機構を含み、
前記アーム部は、前記平行リンク機構の一部のリンクを構成し、
前記第1連結部は、前記平行リンク機構の一部の対偶(ジョイント)を構成する、請求項1に記載のオフセット作業機。
【請求項3】
前記回動連結部材は、前記回動軸との距離が変化する第1方向に延びる第1摺動部を有し、
前記第2連結部は、前記第1摺動部上を前記第1方向に摺動することで前記回動軸に近づく、請求項1又は2に記載のオフセット作業機。
【請求項4】
前記逃げ機構部は、前記回動軸との距離が変化する方向であって前記第1方向とは異なる第2方向に延びる第2摺動部を備えた第1部材をさらに有し、
前記第2連結部は、前記第1摺動部を摺動しながら前記第2摺動部上を前記第2方向に摺動することで前記回動軸に近づき、
前記弾性部材は、前記第2連結部の移動によって、フレームに対して回動しながら伸長又は収縮する、請求項3に記載のオフセット作業機。
【請求項5】
前記第1部材は、前記第2摺動部が設けられた第1領域と連続する第2領域を含み、
前記第2領域は、前記第2連結部が前記第2方向とは異なる第3方向に移動可能な領域であり、
前記第2連結部が前記第2領域に位置するときの前記第3方向と前記第1方向とがなす角は、前記第2連結部が前記第1領域に位置するときの前記第2方向と前記第1方向とがなす角より大きい、請求項4に記載のオフセット作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフセット作業機に関する。特に、走行機体の後部に装着され、走行機体の側方において農作業を行うオフセットタイプの作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農道や荒れ地の雑草を除去するため草刈り作業を行う作業機として草刈り機が知られている。一般的に、草刈り機は、トラクタ等の走行機体に装着され、走行機体と共に移動しながら作業部を動作させることにより草刈り作業を進める。近年は、草刈り作業を行う作業部が走行機体の側方にオフセット移動し、走行機体の側方において草刈り作業を行うオフセットタイプの草刈り機が知られている(特許文献1及び2)。特許文献1及び2に記載された草刈り機は、走行機体に装着される装着部と、草刈りを行う作業部との間に平行リンク機構が設けられ、当該平行リンク機構により作業部の側方へのオフセット移動が可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-39941号公報
【特許文献2】特開2012-191864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び2に記載された草刈り機において、走行機体よりも側方に突出したオフセット位置で草刈り作業を行う際、作業部が草の陰に隠れた根石や切り株等の障害物に引っ掛かってしまう場合がある。この場合、作業部のフレームや電動シリンダ等に大きな負荷が掛かり、草刈り機の破損を招くおそれがある。また、走行機体にも負荷が加わるため、走行機体の部品の破損につながる可能性もある。さらに、作業部が障害物に引っ掛かった状態で走行機体が走行を続けると、走行機体が障害物を中心に転回するため進行方向が大きく変わり、事故につながる可能性もある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、作業部が障害物に接触したときに生じる不具合を防止することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態におけるオフセット作業機は、走行機体から動力を受けて農作業を行う作業部と、前記作業部に所定の力以上の外力が作用したときに、前記作業部を逃げ移動させるための逃げ機構部と、前記作業部から前記逃げ機構部に向かって延びるアーム部を有し、前記作業部を左右方向にオフセット移動させるオフセット機構部と、前記アーム部と前記逃げ機構部とを連結する第1連結部と、を備え、前記逃げ機構部は、弾性部材と、前記第1連結部に連結され、回動軸を中心として回動可能な回動連結部材と、前記弾性部材と前記回動連結部材とを連結する第2連結部と、を有し、前記第1連結部は、前記回動軸を中心として回動可能であり、前記第2連結部は、前記回動連結部材の回動に伴って移動可能であり、前記弾性部材は、前記作業部に外力が作用したときに前記回動連結部材が回動することを抑制する方向に前記第2連結部を付勢し、前記作業部に前記外力が作用したとき、前記アーム部から前記第1連結部に作用する方向と、前記外力による前記回動連結部材の回動に伴って前記第1連結部が移動しようとする方向とのなす角は、前記オフセット移動の量が大きい場合に比べて小さい場合の方が小さくなるように構成されている。
【0007】
前記オフセット機構部は、平行リンク機構を含み、前記アーム部は、前記平行リンク機構の一部のリンクを構成し、前記第1連結部は、前記平行リンク機構の一部の対偶(ジョイント)を構成してもよい。
【0008】
前記回動連結部材は、前記回動軸との距離が変化する第1方向に延びる第1摺動部を有し、前記第2連結部は、前記第1摺動部上を前記第1方向に摺動することで前記回動軸に近づいてもよい。
【0009】
前記逃げ機構部は、前記回動軸との距離が変化する方向であって前記第1方向とは異なる第2方向に延びる第2摺動部を備えた第1部材をさらに有し、前記第2連結部は、前記第1摺動部を摺動しながら前記第1摺動部によって押されることによって、前記第2摺動部上を前記第2方向に摺動することで前記回動軸に近づき、前記弾性部材は、前記第2連結部の移動によって、フレームに対して回動しながら伸長又は収縮してもよい。
【0010】
前記第1部材は、前記第2摺動部が設けられた第1領域と連続する第2領域を含み、前記第2領域は、前記第2連結部が前記第2方向とは異なる第3方向に移動可能な領域であり、前記第2連結部が前記第2領域に位置するときの前記第3方向と前記第1方向とがなす角は、前記第2連結部が前記第1領域に位置するときの前記第2方向と前記第1方向とがなす角より大きくてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一実施形態におけるオフセット作業機は、作業部が障害物に接触したときに生じる不具合を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係るオフセット作業機の構成を示す平面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るオフセット作業機の構成を示す平面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るオフセット作業機において、右側にオフセットした移動した作業部が障害物に接触する前の状態を示す説明図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るオフセット作業機における平板状の部材及び回動連結部材の分解図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るオフセット作業機において、作業部が障害物に接触する前の状態を示す説明図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るオフセット作業機において、作業部が障害物に接触した後の状態を示す説明図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係るオフセット作業機における平板状の部材及び回動連結部材の分解図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るオフセット作業機における平板状の部材及び回動連結部材の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明のオフセット作業機の実施形態について説明する。但し、本発明のオフセット作業機は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に示す例の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、本実施の形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0014】
また、説明の便宜上、「上」、「下」、「前」、「後」、「右」、「左」といった方向を示す語句を用いるが、本発明のオフセット作業機に対して、重力の働く方向が「下」であり、その逆が「上」である。また、走行機体の進行する方向が「前」であり、その逆が「後」である。さらに、「前」に向かって、右側が「右」であり、左側が「左」である。また、オフセット作業機の中心線に近い側を「内」と呼び、遠い側を「外」と呼ぶ。
【0015】
[1.第1実施形態]
[1-1.オフセット作業機の構成]
図1は、第1実施形態のオフセット作業機100の構成を示す平面図である。本実施形態では、オフセット作業機100の一例として、オフセット型の草刈り機を例示する。ただし、オフセット作業機100は、草刈り機に限らず、畦塗り機、プラウなど他のオフセット型の作業機であってもよい。
【0016】
図1に示すように、本実施形態のオフセット作業機100は、装着部10、オフセット機構部20、動力伝達部30、作業部40、及び逃げ機構部50を備えている。オフセット作業機100は、トラクタ等の走行機体(図示せず)に対して装着部10により連結される。装着部10と作業部40とは、オフセット機構部20及び動力伝達部30を介して連結される。このような構成により、走行機体の走行に伴ってオフセット作業機100が前方に向かって移動する。オフセット作業機100が移動する間、作業部40は、走行機体から受けた動力により動作して草刈り作業を行う。
【0017】
装着部10は、走行機体に設けられた三点リンク機構(図示せず)に対して連結される部位である。具体的には、本実施形態の装着部10は、フロントフレーム11、トップリンク結合部(トップマスト)(図示せず)、ロワーリンク結合部(ロワーリンクピン)13、入力軸14、動力伝達手段15、及び出力軸16を含む。なお、トップリンク結合部、及びロワーリンク結合部13はオートヒッチアーム(図示省略)を介して走行機体の三点リンク機構に接続されてもよい。本実施形態では、出力軸16が、左右方向において入力軸14からD2方向にオフセットした位置に設けられている。フロントフレーム11には、トップリンク結合部及びロワーリンク結合部13が設けられている。フロントフレーム11は、左右方向に延びる部材であり、トップリンク結合部及びロワーリンク結合部13を介して、オフセット作業機100を走行機体に支持させるための支持フレームとして機能する。
【0018】
オフセット機構部20は、装着部10(フロントフレーム11)と作業部40との間に配置され、装着部10と作業部40とを連結し、装着部10に対して回動することにより作業部40を左右方向に移動させる機構である。本実施形態において、オフセット機構部20は、フロントフレーム11及び作業部40に対して回動可能に連結された平行リンク機構を含む。すなわち、オフセット機構部20がフロントフレーム11に対して回動することにより、進行方向(D1方向)に対する作業部40の向きを維持したまま、作業部40を左右方向(D2方向)に移動させることができる。つまり、オフセット機構部20は、走行機体の進行方向に対して側方に、作業部40をオフセット移動させることができる。
【0019】
図2は、第1実施形態のオフセット作業機100において、動力伝達部30の図示を省略した平面図である。
図2に示すように、本実施形態のオフセット機構部20は、第1リンクアーム21、第2リンクアーム22、第3リンクアーム23、及び伸縮部材24を有する。
【0020】
第1リンクアーム21は、
図1に示した動力伝達部30の下方に重畳して配置される。第1リンクアーム21の前側の一端は、接続部201において、装着部10のフロントフレーム11に対して回動可能に連結され、第1リンクアーム21の後ろ側の他端(回動支点25)は、第3リンクアーム23及び作業部40に対して回動可能に連結される。
【0021】
第2リンクアーム22は、作業部40から逃げ機構部50に向かって延びている。第2リンクアーム22は、第1リンクアーム21と離隔した位置において略平行に配置され、第1リンクアーム21と同程度の長さを有する。第2リンクアーム22の前側の一端は、装着部10のフロントフレーム11に設けられた逃げ機構部50に対して回動可能かつ移動可能に連結され、第2リンクアーム22の後ろ側の他端は、第3リンクアーム23に対して回動可能に連結される。なお、詳細は後述するが、第2リンクアーム22の前側の一端は、ピン状の連結部203(第1連結部)と回動可能に連結されており、第2リンクアーム22は連結部203を介して逃げ機構部50に対して、回動可能に構成されている。つまり、第2リンクアーム22の前側の一端に設けられた連結部203は、オフセット移動の支点として機能する。なお、連結部203と逃げ機構部50との詳細な連結構造は後述する。
【0022】
第3リンクアーム23は、フロントフレーム11に対して略平行に配置されると共に、第1リンクアーム21と第2リンクアーム22とを相互に連結する。第1リンクアーム21と連結される第3リンクアーム23の一端(回動支点25側)は、作業部40に対して固定されており、第3リンクアーム23と作業部40との位置関係が変わらないように構成されている。
【0023】
以上の構成により、フロントフレーム11、第1リンクアーム21、第2リンクアーム22、及び第3リンクアーム23は、それぞれを辺(リンク)とする四辺形のリンク機構を構成する。なお、連結部203は、当該平行リンク機構の対偶(ジョイント)に相当する。このリンク機構により、オフセット機構部20は、作業部40の長手方向が左右方向と略平行になるように作業部40の向きを維持しつつ、左右方向に対して作業部40をオフセット移動させることができる。
【0024】
伸縮部材24は、オフセット機構部20を駆動させる動力源(アクチュエータ)であり、例えば電動シリンダ、油圧シリンダ等で構成される。伸縮部材24の一端は、第2リンクアーム22の前側の一端と共に連結部203に回動可能に連結されている。上述したように、連結部203は逃げ機構部50に連結されているため、第2リンクアーム22の前側の一端は、逃げ機構部50(一対の平板状の部材570)を介して、フロントフレーム11に連結されるということができる。伸縮部材24の後ろ側の他端は、第1リンクアーム21の中央付近(又は、中央よりやや後方)に設けられたブラケットを介して、第1リンクアーム21に連結される。伸縮部材24の伸縮動作により、第1リンクアーム21が回動し、オフセット機構部20が駆動される。伸縮部材24の伸縮量により、作業部40のオフセット量(オフセット方向への移動量)が制御される。
【0025】
説明を
図1に戻す。動力伝達部30は、装着部10の入力軸14、動力伝達手段15(スプロケット152及び中継軸154)及び出力軸16を介して走行機体から伝達された動力を、作業部40に伝達するための機構である。前述のように、動力伝達部30は、オフセット機構部20の一部、具体的には、第1リンクアーム21の上側に重畳して配置される。
【0026】
本実施形態のオフセット作業機100は、動力伝達部30として、チェーン駆動機構を用いる。具体的には、動力伝達部30は、少なくとも駆動スプロケット31、従動スプロケット32及びローラーチェーン33を有する。ローラーチェーン33は、一対のスプロケット(駆動スプロケット31及び従動スプロケット32)の間に巻き掛けられた構成となっている。
【0027】
駆動スプロケット31は、回転する出力軸16と係合して回転する歯車であり、これにより、出力軸16から受けた動力を伝達する。従動スプロケット32は、駆動スプロケット31からローラーチェーン33を介して伝達された動力によって受動的に回転する歯車である。ローラーチェーン33は、張力を利用して動力などを伝達する部材である。なお、動力伝達部30は、チェーン駆動機構に限らず、一対のプーリ及びベルトを用いたベルト駆動機構で構成してもよい。
【0028】
動力伝達部30は、前方が装着部10(フロントフレーム11)に対して回動可能に連結され、後方が作業部40に対して回動可能に連結される。本実施形態において、装着部10に対する動力伝達部30の回動中心は、駆動スプロケット31の回動中心と一致する。つまり、装着部10に対する動力伝達部30の回動中心は、出力軸16の回転中心と一致する。また、作業部40に対する動力伝達部30の回動中心は、従動スプロケット32の回動中心と一致する。
【0029】
さらに、装着部10に対する動力伝達部30の回動中心は、装着部10に対するオフセット機構部20(具体的には、第1リンクアーム21)の回動中心と一致する。このように、本実施形態では、オフセット機構部20の一部である第1リンクアーム21と動力伝達部30とが一体となって装着部10(フロントフレーム11)に対して回動するため、動力の伝達にユニバーサルジョイントを用いたときのような折れ角による制限を受けることなく、オフセット量を大きく確保することができる。また、作業部40の収納時(非作業時)には、前後方向において、走行機体に対して作業部40を近接配置することが可能である。
【0030】
作業部40は、草刈り作業を行う部位であり、作業ロータ41及び刈刃駆動部42を有する。作業部40は、刈刃駆動部42が動力伝達部30より伝達された動力を受けて作業ロータ41を駆動することにより、草刈り作業を行う。作業ロータ41は、爪軸41a及び爪軸41aに放射状に複数設けられた刈刃41bを含む。爪軸41aは、走行機体の進行方向に対して略直交するように左右方向に延在する。作業ロータ41は、爪軸41aと共に複数の刈刃41bを回転させることにより草刈りを行う。刈刃駆動部42は、動力伝達部30によって伝達された動力を、作業ロータ41の爪軸41aに伝達する。刈刃駆動部42は、動力伝達部30と同様の構成を有するチェーン駆動機構であってもよいし、ベルト駆動機構であってもよい。
【0031】
逃げ機構部50は、フロントフレーム11に設けられている。逃げ機構部50は上下一対の平板状の部材570及び弾性部材600を備えている。詳細は後述するが、一対の平板状の部材570は、フロントフレーム11の上面と平行に、かつフロントフレーム11を上下に挟むように設けられている。弾性部材600の一端は、ピン状の連結部603と回動可能に連結されており、弾性部材600は、回動軸部材610を介して一対の平板状の部材570に対して回動可能に接続されている。詳細は後述するが、逃げ機構部50は、作業部40に所定の力以上の外力が作用したときに、作業部40を斜め後方に逃げ移動させる機能を有する。逃げ移動とは、作業部40が所定の力以上の外力を受けた場合に逃げ機構部50が機能することによって、作業部40の作業時に進行方向に対して正対している作業部40の向きを傾けながら後方に移動することを意味する。
【0032】
[1-2.逃げ機構部50の詳細な構成]
図3は、本発明の一実施形態に係るオフセット作業機において、右側にオフセットした移動した作業部が障害物に接触する前の状態を示す説明図である。
図4は、本発明の一実施形態に係るオフセット作業機における平板状の部材及び回動連結部材の分解図である。
図3の(B)には、逃げ機構部50の部分拡大図が示されている。一対の平板状の部材570は、フロントフレーム11の上面と平行に、かつフロントフレーム11を上下に挟むように設けられているが、
図3の(B)は、一対の平板状の部材570のうち上部の平板状の部材が省略された図である。
図4は、
図3の(B)に示された逃げ機構部50のうち、一対の平板状の部材570及び回動連結部材700を示す分解図である。以下、
図3の(B)及び
図4を用いて、逃げ機構部50の詳細な構成について説明する。なお、
図3に示すオフセット作業機100はオフセット量が最大の場合を示す。
【0033】
図3の(B)に示すように、逃げ機構部50は、平板状の部材570、弾性部材600、回動連結部材700、及び連結部603(第2連結部)を有する。回動連結部材700は、回動軸705を中心として回動しつつ、第2リンクアーム22(アーム部)と弾性部材600とを連結する。連結部603は、弾性部材600と回動連結部材700とを連結する。連結部203は、第2リンクアーム22と回動連結部材700とを連結する。上記の構成によって、第2リンクアーム22によって連結部203が押圧されると、連結部203によって回動連結部材700が回動し、連結部203及び連結部603は、回動連結部材700の回動に伴い、回動軸705を中心に回動する。連結部603の回動に伴い、弾性部材600が伸縮する。
【0034】
弾性部材600は、回動軸部材610、当接部材620、及び軸部材630を備えている。回動軸部材610は、一対の平板状の部材570に対して回動可能に接続されている。回動軸部材610によって、一対の平板状の部材570に対する弾性部材600の向きが可変である。当接部材620は、軸部材630に接続(固定)され、連結部603に対して回動可能に接続されている。軸部材630は、弾性部材600の内側に挿通され、回動軸部材610に設けられた貫通孔を貫通して当接部材620に固定されている。軸部材630が回動軸部材610に設けられた貫通孔の内壁と摺動することで、弾性部材600が伸縮する。
【0035】
弾性部材600、当接部材620、及び軸部材630は、回動軸部材610を中心に回動する。つまり、弾性部材600、当接部材620、及び軸部材630は、回動軸部材610によって、一対の平板状の部材570に対して回動可能に接続されている。
【0036】
弾性部材600は、軸部材630の前方の端部631と回動軸部材610との間において、これらを押しつける(付勢する)ように設けられている。つまり、弾性部材600は、自由長からやや収縮された状態で端部631と回動軸部材610との間に配置されている。上記のような弾性部材600の付勢によって、当接部材620、軸部材630、及び当接部材620に接続された連結部603には、前方に向かう付勢力が作用し、作業部40が進行方向に対して正対した状態に保持される。前方から作業部40に外力が作用すると、第2リンクアーム22によって連結部203に第2リンクアーム22の延在方向(軸線方向)の力であるF1が作用し、回動連結部材700は連結部203から反時計回り方向の回転動力を受ける。この回転動力によって、連結部603は回動連結部材700から後方(弾性部材600から離れる方向)への動力を受ける。弾性部材600は、この後方への動力を抑制するように、連結部603を前方に付勢している。作業部40に所定の力以上の外力がかかると、連結部603を後方移動させようとする力が、弾性部材600による前方への付勢力を上回り、上述した平行リンク機構が崩れて、作業部40が時計回りに逃げ移動する。換言すると、弾性部材600は、回動連結部材700が反時計回りに回動することを抑制する方向に連結部603を付勢して、所定の外力が作用したときを除いて、作業部40が進行方向に対して正対した状態となるように保持する機能している。
【0037】
図3の(B)及び
図4に示すように、平板状の部材570には、連結部203の移動範囲を制限する移動制限部502、連結部603の移動範囲を制限する移動制限部503、及びピン状の回動軸705を挿通させる挿通孔505が設けられている。移動制限部502及び503は一対の平板状の部材570の各々に設けられた溝(貫通孔)によって構成されている。
【0038】
図4に示すように、移動制限部502は回動軸705を中心とする円弧状に設けられている。移動制限部502と重なる一点鎖線は回動軸705を中心とする円弧の一部である。移動制限部502は、第2リンクアーム22に挿通される連結部203の移動を、円弧状の移動制限部502の一端から他端までの範囲に制限する。移動制限部503は、D3方向に延びる(長手を有する)領域585と、回動軸705を中心とする円弧状の領域586と、が連続した形状を有している。領域585を「第1領域」という場合がある。領域586を「第2領域」という場合がある。
【0039】
移動制限部503の領域586と重なる一点鎖線は回動軸705を中心とする円弧の一部である。移動制限部503の領域585と重なる二点鎖線は、D3方向に延びる線であり、D3方向に延びる領域585の中心線に相当する。D3方向は、回動軸705との距離が変化する方向である。移動制限部503は、当接部材620に挿通される連結部603の移動を制限する。連結部603が、領域585における移動制限部503の後方側の内壁を摺動することで、連結部603の移動が制限され、連結部603は回動軸705に近づく。D3方向を「第2方向」という場合がある。領域586において、連結部603が移動可能な方向を「第3方向」という場合がある。当該第3方向は上記第2方向とは異なる方向である。一対の平板状の部材570を「第1部材」という場合がある。
【0040】
領域586の前方の端部を第1端部511といい、領域585の後ろ側の端部を第2端部521という場合がある。領域585と領域586とが接続された箇所を屈曲部515という場合がある。連結部603は、第1端部511から屈曲部515までの間を、回動軸705を中心とする円弧状に移動する。つまり、領域586(第2領域)において、連結部603と回動軸705との距離は変わらない。一方、連結部603は、屈曲部515から第2端部521までの間を、D3方向に移動する。回動軸705を中心とする円弧上のある点を始点とするD3方向は、当該円の内側に向かう方向である。したがって、上記のように、連結部603が移動制限部503の領域585(第2摺動部)をD3方向に移動することによって、連結部603と回動軸705との距離が短くなる。
【0041】
回動連結部材700は、上下一対の平板状の部材570の間に挟まれるように設けられている。回動連結部材700は、回動軸705を介し、平板状の部材570に対して回動可能に接続されている。回動連結部材700は、接続部710及び摺動部720を有する。接続部710は、連結部203を挿通可能な溝(又は、貫通孔)であり、連結部203と回動可能に接続される。摺動部720は、連結部603を挿通可能な溝(又は、貫通孔)であり、連結部603と回動可能かつ摺動可能に接続されている。摺動部720はD4方向に長手を有する。D4方向は、回動軸705との距離が変化する方向である。本実施形態では、D4方向における摺動部720の延長線上に回動軸705が設けられている。D4方向を「第1方向」という場合がある。
【0042】
連結部603は、摺動部720の前方側の内壁をD4方向に摺動する。連結部603が摺動部720上を摺動することで、連結部603と回動軸705との距離が変化する。なお、当接部材620(
図3参照)は、ピン状の連結部603を介して摺動部720に接続される。すなわち、摺動部720に挿通された連結部603が摺動部720に沿ってD4方向に移動可能であることで、連結部603が移動制限部503の領域585をD3方向に移動することができる。
【0043】
図3に示すように、弾性部材600は、作業部40に所定のしきい値を超える外力がかかっていないときに、連結部603を第1端部511に保持するための機能を有している。すなわち、弾性部材600は、連結部603及び回動連結部材700を介して、連結部203が移動制限部502の所定位置(本実施形態では、移動制限部502の後端位置)に保持されるよう、間接的に連結部203を付勢している。
【0044】
回動軸部材610は、平板状の部材570に回動自在に設けられた回動中心590(
図4参照)に挿通されている。したがって、連結部603の移動に伴い、弾性部材600は、平板状の部材570に対して、回動中心590を中心に回動する。このように、弾性部材600は、平板状の部材570(フロントフレーム11)に対して回動可能に構成され、連結部603の動きに追従して回動することができる。このため、連結部603は、一方向だけでなく、複数の方向(本実施形態では、回動軸705を中心とする円弧方向及びD3方向)に移動可能である。したがって、弾性部材600の付勢方向(伸縮方向)に限定されることなく、連結部603及び連結部203の移動方向を設計することが可能となる。本実施形態では、連結部603の動きに追従して弾性部材600が回動する構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、本実施形態の摺動部720(貫通孔)のような、回動連結部材700に連結部603と回動連結部材700の回動軸705との距離を変化させる貫通孔を設け、回動連結部材700の回動を許容する構成とすれば、弾性部材600の回動は必須ではない。また、例えば、弾性部材600が連結部603の動きに応じて左右方向に平行移動させる機構を設けることで、連結部603の動きに追従させる構成としてもよい。
【0045】
[1-3.作業部40にかかる外力による逃げ機構部50への作用]
図3の状態で作業部40に障害物が前方から衝突し、作業部40に外力がかかると、作業部40が回動可能に接続されたオフセットリンクの回動支点25(
図2参照)を中心に回動しようとして、第2リンクアーム22が連結部203に向かって押される。連結部203を押す力は、回動連結部材700によって、回動連結部材700の回転動力に変換される。具体的には、
図3(B)及び
図4に示すように、第2リンクアーム22が連結部203を押す力F1は、回動連結部材700によって、回動軸705を中心とする円の接線方向の成分(F2)に変換される。このF2は、連結部203が回動連結部材700を回動させる動力である。したがって、当該回転動力は、第2リンクアーム22が連結部203を押す力の大きさ(F1の大きさ)、及び、第2リンクアーム22が連結部203を押す方向(F1の方向)と連結部203における上記接線方向(F2の方向)とのなす角によって導かれる。
【0046】
図5は、
図3と同様に本発明の一実施形態に係るオフセット作業機において、作業部が障害物に接触する前の状態を示す説明図である。
図5に示すオフセット作業機100の状態は、
図3に比べてオフセット量が小さい状態である。
図3の(B)と
図5の(B)とを対比すると、逃げ機構部50の状態に差はなく、第2リンクアーム22の長手方向が異なっている。具体的には、オフセット量が大きい場合(
図3)よりもオフセット量が小さい場合(
図5)のほうが、第2リンクアーム22の長手方向とD1方向とのなす角が小さい。その結果、オフセット量が大きい場合(
図3)におけるF1の方向とF2の方向とのなす角より、オフセット量が小さい場合(
図5)におけるF1’の方向とF2’の方向とのなす角の方が小さい。
【0047】
ここで、
図3及び
図5の各々の場合について、第2リンクアーム22が連結部203を押す力の大きさについて説明する。以下の説明において、作業部40のD2方向の端部に外力FXがかかる場合について説明する。上記の連結部203を押す力は、フロントフレーム11における動力伝達部30の回動支点(
図1及び
図2の出力軸16に相当する位置)と外力FXがかかる位置とのD2方向における水平距離と、外力FXとの積に基づいて決定される。つまり、
図3の場合、連結部203を押す力は、外力FXと水平距離L1との積に基づいて決定される。
図5の場合、連結部203を押す力は、外力FXと水平距離L2との積に基づいて決定される。L2はL1より小さいため、外力FXが同じ場合、
図5の状態における力F1’は、
図3の状態における力F1よりも小さい。つまり、外力FXが同じ場合、オフセット量が小さくなると、連結部203による回動連結部材700の回転動力が小さくなる。
【0048】
仮に、本実施形態に係る逃げ機構部50のうち上記の機能が設けられていない場合、オフセット量が小さくなるほど逃げ機構部50が機能しにくくなる。つまり、オフセット量が小さい場合、作業部40に非常に大きな外力がかかっても逃げ機構部50が機能しない場合がある。このような場合に、オフセット機構部20、動力伝達部30、及び作業部40が破損してしまう場合がある。また、これらの部材が破損しない場合であっても、作業部40に同じ大きさの外力がかかった場合に、オフセット量によって逃げ機構部50が機能する場合と機能しない場合が生じてしまう。つまり、この場合、逃げ機構部50の安定した動作を得ることができない。
【0049】
一方、本実施形態では、逃げ機構部50が上記の機能を有しているため、
図5のF1’が
図3のF1より小さい場合であっても、F1の方向とF2の方向とのなす角よりF1’の方向とF2’の方向とのなす角の方が小さい構成によって、F1’から変換されたF2’を、F1から変換されたF2と同程度の大きさにすることができる。つまり、本実施形態における逃げ機構部50が機能するために必要な外力FXを、オフセット量によらず均一化することができる。
【0050】
[1-4.逃げ機構部50の動作]
作業部40に外力がかかっていない状態では、
図3のように、連結部603は、弾性部材600によって第1端部511に付勢されている。この状態で、作業部40に外力FXがかかると、第2リンクアーム22が連結部203を押す力によって生じる回動連結部材700の回転動力によって、連結部603を第1端部511から離れる方向に回動させる動力が連結部603にかかる。
【0051】
連結部603にかかる動力が、弾性部材600によって連結部603が第1端部511に付勢される付勢力を超えると、
図6に示すように、連結部203が移動制限部502内を前方に向かって移動する。この連結部203の前方への移動に伴い、回動連結部材700は回動軸705を中心に(反時計回りに)回動し、連結部603が、弾性部材600を収縮させながら移動制限部503内を後方(第1端部511から屈曲部515を経由して第2端部521)に向かって移動する。移動制限部502は円弧状であるため、連結部203の移動前後において、回動軸705と連結部203との距離は変わらない。
【0052】
移動制限部503のうち、領域586は円弧状なので、連結部603が第1端部511から屈曲部515まで移動する間は回動軸705と連結部603との距離は変わらないが、領域585はD3方向に延びているので、連結部603が屈曲部515から第2端部521に向かって移動する際、回動軸705と連結部603との距離は徐々に短くなる。このとき、連結部603は、摺動部720を摺動しながら回動軸705に近づく。
【0053】
本実施形態では、連結部603の移動に伴い、連結部603が弾性部材600を収縮しながら移動制限部503内を移動する構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、連結部603の移動に伴い、連結部603が弾性部材600を伸長させながら移動制限部503内を移動する構成であってもよい。
【0054】
図7及び
図8を用いて、
図3の状態から
図6の状態に変化する間の連結部203及び連結部603の動き、及び回動連結部材700から連結部603にかかる動力の大きさの変化について説明する。
図7及び
図8は、
図4と同様に本発明の一実施形態に係るオフセット作業機における平板状の部材及び回動連結部材の分解図である。
【0055】
図7は、連結部603が回動軸705(挿通孔505)を中心とする円弧状の領域586を移動する図である。連結部603は、第1端部511から離れて、領域585における移動制限部503の後方側の内壁に達する。この間、連結部603は、円弧状の領域585を移動する。さらに、摺動部720は、回動軸705に向かって延びている(摺動部720からD4方向に延びる延長線上に回動軸705が設けられている)ため、上記の動作の間、摺動部720によって連結部603が押される方向は、摺動部720の前方側の内壁と連結部603との接点における法線方向である。したがって、摺動部720によって押された連結部603が領域585を移動している間、連結部603は摺動部720内を移動しない。換言すると、連結部603が領域585を移動している間は、摺動部720の長手方向であるD4方向と、領域585において連結部603が移動可能な方向(回動軸705を中心とする円弧に沿った方向)とのなす角は90°である。ただし、当該なす角は90°に限定されない。
【0056】
図7に示す動作の間、回動軸705と連結部203との間の距離L3と、回動軸705と連結部603との間の距離L4と、の比率は変化しない。そのため、連結部203に同じ大きさの力がかかる場合、回動連結部材700から連結部603にかかる動力の大きさは変化しない。
【0057】
図8は、連結部603がD3方向に延びる領域586を移動する図である。連結部603が移動制限部503の後方側の内壁に到達した後、さらに回動連結部材700が回動軸705を中心に(反時計回りに)回動すると、D3方向とD4方向とのなす角が90°未満であるため、連結部603は、当該内壁上を摺動しながら第2端部521に向かって移動する。連結部603が第2摺動部をD3方向に移動するため、連結部603と回動軸705との距離が短くなる。この間、連結部603が摺動部720の前方側の内壁によって押され続けるため、連結部603は、摺動部720の前方側の内壁上を摺動しながら、回動軸705に近づく。
【0058】
なお、本実施形態とは異なり、連結部603が領域585を移動している間におけるD4方向と連結部603が移動可能な方向とのなす角が90°未満の場合、当該なす角が、連結部603が領域586を移動している間におけるD3方向とD4方向とのなす角より大きい角度であればよい。
【0059】
摺動部720の内壁のうち連結部603が摺動する部分を「第1摺動部591」という場合がある。移動制限部503の領域585における内壁のうち連結部603が摺動する部分を「第2摺動部592」という場合がある。これらの表現を用いて上記の動作を換言すると、連結部603は、第1摺動部591を摺動しながら第1摺動部591によって後方に押されることによって、第2摺動部592上をD3方向に摺動することで回動軸705に近づく。
【0060】
図8に示す動作の間、距離L3と距離L4との比率が変化する。具体的には、回動連結部材700が回動軸705を中心に(反時計回りに)回動し、連結部603が第2摺動部592上を第2端部521に向かって移動するほど、L3に対するL4の比率が小さくなる。その結果、連結部203に同じ大きさの力がかかる場合、回動連結部材700から連結部603にかかる動力の大きさは徐々に大きくなる。
【0061】
ここで、弾性部材600は、弾性変形の程度が大きくなるにしたがって、復元力が強くなる。仮に、本実施形態に係る逃げ機構部50のうち上記の機能(回動連結部材700の回動に伴い、L3に対するL4の比率が小さくなる機能)が設けられていない場合、連結部603が第1端部511から遠ざかり、弾性部材600の変化量が大きくなると、回動連結部材700を回動させるために必要な力(連結部203による回転動力)が大きくなる。その結果、オフセット機構部20、動力伝達部30、作業部40、及び逃げ機構部50が破損してしまう場合がある。
【0062】
一方、本実施形態では、回動連結部材700が回動し、連結部603が第1端部511から遠くなるにしたがって、回動連結部材700から連結部603にかかる動力の大きさは徐々に大きくなるため、上記のような問題の発生を抑制することができる。
【0063】
以上、本発明について図面を参照しながら説明したが、本発明は前述の各実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、各実施形態を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。さらに、前述した各実施形態は、相互に矛盾がない限り適宜組み合わせが可能であり、各実施形態に共通する技術事項については、明示の記載がなくても各実施形態に含まれる。
【0064】
前述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0065】
10:装着部、 11:フロントフレーム、 13:ロワーリンク結合部、 14:入力軸、 15:動力伝達手段、 16:出力軸、 20:オフセット機構部、 21:第1リンクアーム、 22:第2リンクアーム、 23:第3リンクアーム、 24:伸縮部材、 25:回動支点、 30:動力伝達部、 31:駆動スプロケット、 32:従動スプロケット、 33:ローラーチェーン、 40:作業部、 41:作業ロータ、 41a:爪軸、 41b:刈刃、 42:刈刃駆動部、 50:逃げ機構部、 100:オフセット作業機、 201:接続部、 203:連結部、 502、503:移動制限部、 505:挿通孔、 511:第1端部、 515:屈曲部、 521:第2端部、 570:平板状の部材、 585、586:領域、 590:回動中心、 591:第1摺動部、 592:第2摺動部、 600:弾性部材、 603:連結部、 610:回動軸部材、 620:当接部材、 630:軸部材、 631:端部、 700:回動連結部材、 705:回動軸、 710:接続部、 720:摺動部