(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083902
(43)【公開日】2023-06-16
(54)【発明の名称】液体充填システム及び液体充填ノズル
(51)【国際特許分類】
B65B 3/30 20060101AFI20230609BHJP
B65B 39/00 20060101ALI20230609BHJP
【FI】
B65B3/30
B65B39/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021197889
(22)【出願日】2021-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】504206573
【氏名又は名称】株式会社 サカエ化工
(74)【代理人】
【識別番号】100085291
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥巣 実
(74)【代理人】
【識別番号】100117798
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 慎一
(74)【代理人】
【識別番号】100166899
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥巣 慶太
(74)【代理人】
【識別番号】100221006
【弁理士】
【氏名又は名称】金澤 一磨
(72)【発明者】
【氏名】山口 信也
【テーマコード(参考)】
3E055
3E118
【Fターム(参考)】
3E055AA01
3E055BA05
3E055BB03
3E055CA08
3E055CB05
3E055DA01
3E055DA04
3E055DA13
3E055DA19
3E055EA02
3E055EB01
3E055EB08
3E055FA04
3E118AA02
3E118AB14
3E118BB21
3E118DA01
3E118DA02
3E118EA04
3E118FA03
3E118FA08
(57)【要約】
【課題】充填箇所毎に、少量充填から大容量充填を行え、異なる充填量とすることができる。
【解決手段】液体充填システム1は、原液タンク2から送給ポンプ3によって原液が吸引され、吸引された原液が分岐部ユニット4において充填部5に分配され、各充填部4を通じて容器Sそれぞれに充填されるようになっている。送給ポンプ3と、分岐部ユニット4との間に、原液を一時的に貯留する貯留タンク15と、充填時に原液を加圧して送る加圧ポンプ6とが設けられている。分岐部ユニット4は、リリーフバルブ7を介して貯留タンク15に接続され、余剰原液が貯留タンク15に戻されるようになっている。各充填部4は、それぞれ、流量計5aと、電磁開閉弁5bと、液体充填ノズル5cとを有する。この各充填部5による充填は、充填制御手段11によって制御される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填用の原液が貯蔵されている原液タンクから分岐部ユニットに管通路を通じて、送給ポンプによって、前記原液が複数の充填部を有する分岐部ユニットに送られ、前記分岐部ユニットにおいて、前記複数の充填部を通じて複数の容器それぞれに充填される液体充填システムであって、
前記各充填部は、昇降可能で、流量計と、電磁開閉弁と、前記容器に挿入される液体充填ノズルとが順に設けられたものであり、
前記充填部の液体充填ノズルの先端部が前記容器に挿入された充填位置で、前記充填部の電磁開閉弁を開き、充填を開始させ、前記流量計からの信号に基づき設定充填量の通過が確認されると、前記電磁開閉弁を閉じ、充填を停止させる動作を、前記充填部毎に制御する充填制御手段を有する、ことを特徴とする液体充填システム。
【請求項2】
前記充填制御手段は、前記各充填部毎に、前記充填部を待機位置から充填位置まで下降させる充填開始手段と、容器に充填する設定充填量を設定する充填量設定手段と、前記流量計よりの信号を受け前記流量計を通過した通過流量と前記設定充填量とが等しくなったことを検知する流量検知手段と、前記充填部の液体充填ノズルの先端部が前記容器に挿入された充填位置になったことを検知する位置検知手段と、前記位置検知手段よりの信号を受け前記電磁開閉弁を開く一方、前記流量検知手段よりの信号を受け前記通過流量が前記設定充填量に等しくなったときに前記電磁開閉弁を閉じる開閉制御手段とを備える、請求項1記載の液体充填システム。
【請求項3】
前記送給ポンプと前記分岐部ユニットとの間に、前記原液を一時的に貯留する貯留タンクと、前記原液を、充填する方向に加圧する加圧ポンプとが設けられ、
前記分岐部ユニットが、リリーフバルブを有するリターン通路を通じて前記貯留タンクに接続されている、
請求項1又は2に記載の液体充填システム。
【請求項4】
前記複数の充填部を含む分岐部ユニットは、前記送給ポンプ下流の管通路に着脱可能である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液体充填システム。
【請求項5】
前記原液タンクは、比重が軽い原液が貯蔵されているものであり、
前記容器は、前記液体充填ノズルの先端部が挿入される、小さい充填口を有するものであり、
前記液体充填ノズルは、前記容器内に挿入される先端部の通路径が、前記分岐部ユニットに接続される部分の通路径よりも大きい、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液体充填システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の液体充填システムに用いる液体充填ノズルであって、
前記管通路に接続される接続部と、前記容器内に挿入される先端部とを有し、
前記接続部の通路径よりも、前記先端部の通路径が大きいことを特徴とする液体充填システムに用いる液体充填ノズル。
【請求項7】
前記接続部は、下端パイプを有し、
前記下端パイプに対し、前記先端部を形成する先端パイプが全周溶接され、前記先端パイプの通路径が前記下端パイプの通路径よりも大きい、請求項6記載の液体充填システムに用いる液体充填ノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルコール(例えば、撥水液)などの比重が軽い原液についての液体充填システム及び液体充填ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体の充填システムは各種知られており、液体充填工程の省力化を容易に可能にし、計量のバラツキはなく、オペレーターによる量目のコントロール作業をしなければならない煩雑さもなく充填作業の安全性を高めて信頼性の向上を発揮できるようにした液体洗浄剤充填装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのような充填システムシステムにおいて、複数の充填箇所を設け、各充填箇所毎に、つまり充填する容器毎に異なる充填量とし、少量充填から大容量充填を行えるようにしたいという要求がある。
【0005】
本発明は、充填箇所毎に、少量充填から大容量充填を行え、充填する容器毎に異なる充填量とすることができる液体充填システム及び液体充填ノズルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、充填用の原液が貯蔵されている原液タンクから分岐部ユニットに管通路を通じて、送給ポンプによって、前記原液が複数の充填部を有する分岐部ユニットに送られ、前記分岐部ユニットにおいて、前記複数の充填部を通じて複数の容器それぞれに充填される液体充填システムであって、前記各充填部は、昇降可能で、流量計と、電磁開閉弁と、前記容器に挿入される液体充填ノズルとが順に設けられたものであり、前記充填部の液体充填ノズルの先端部が前記容器に挿入された充填位置で、前記充填部の電磁開閉弁を開き、充填を開始させ、前記流量計からの信号に基づき設定充填量の通過が確認されると、前記電磁開閉弁を閉じ、充填を停止させる動作を、前記充填部毎に制御する充填制御手段を有する、ことを特徴とする。
【0007】
このようにすれば、分岐ユニットの充填部毎に充填量を独立制御でき、充填部毎に異なる充填量とすることができる。よって、充填する容器毎に、少量充填から大容量充填まで充填量を変えることができる。
【0008】
この場合、前記充填制御手段は、前記各充填部毎に、前記充填部を待機位置から充填位置まで下降させる充填開始手段と、容器に充填する設定充填量を設定する充填量設定手段と、前記流量計よりの信号を受け前記流量計を通過した通過流量と前記設定充填量とが等しくなったことを検知する流量検知手段と、前記充填部の液体充填ノズルの先端部が前記容器に挿入された充填位置になったことを検知する位置検知手段と、前記位置検知手段よりの信号を受け前記電磁開閉弁を開く一方、前記流量検知手段よりの信号を受け前記通過流量が前記設定充填量に等しくなったときに前記電磁開閉弁を閉じる開閉制御手段とを備える、ことが望ましい。
【0009】
前記送給ポンプと前記分岐部ユニットとの間に、前記原液を一時的に貯留する貯留タンクと、前記原液を、充填する方向に加圧する加圧ポンプとが設けられ、
【0010】
前記分岐部ユニットが、リリーフバルブを有するリターン通路を通じて前記貯留タンクに接続されている、ことが望ましい。
【0011】
そして、前記複数の充填部を含む分岐部ユニットは、前記送給ポンプ下流の管通路に着脱可能である、ことが望ましい。これにより、設置場所に応じて、同時に充填できる容器の総数を変更することができる。
【0012】
前記原液タンクは、比重が軽い原液が貯蔵されているものであり、前記容器は、前記液体充填ノズルの先端部が挿入される、小さい充填口を有するものであり、前記液体充填ノズルは、前記容器内に挿入される先端部の通路径が、前記分岐部ユニットに接続される部分の通路径よりも大きい、構造とすることができる。
【0013】
このようにすれば、液体充填ノズルの先端部で充填速度が低下するので、比重が軽い原液の充填であっても、充填口から原液が噴き出すことが抑制される。
【0014】
本発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の液体充填システムに用いる液体充填ノズルであって、前記管通路に接続される接続部と、前記容器内に挿入される先端部とを有し、前記接続部の通路径よりも、前記先端部の通路径が大きいことを特徴とする。
【0015】
このようにすれば、充填速度の低下が図れ、容器の充填口から原液が噴出するのが抑制される。
【0016】
前記接続部は、下端パイプを有し、前記下端パイプに対し、前記先端部を形成する先端パイプが全周溶接され、前記先端パイプの通路径が前記下端パイプの通路径よりも大きい、構造とすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、充填部毎に充填量を管理することができ、充填される容器毎に、少量充填から大容量充填まで、充填量を変えて充填することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係る液体充填システムの一実施の形態を示す全体説明図である。
【
図2】本発明に係る液体充填システムにおける充填部の制御系の要部を示すブロック図である。
【
図3】本発明に係る容器を示し(a)は斜め上方から見た斜視図,(b)平面図である。
【
図4】本発明に係る液体充填ノズルの一実施の形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る実施の形態を、図面に沿って説明する。
図1は本発明に係る液体充填システムの一実施の形態を示す全体説明図である。
【0020】
図1に示すように、液体充填システム1は、原液タンク2を有し、この原液タンク2から送給ポンプ3によって原液が吸引され、吸引された原液が分岐部ユニット4において複数の充填部5に分配され、複数の充填部5それぞれを通じて複数の容器Sそれぞれに設定充填量が充填されるようになっている。なお、原液タンク2には、アルコール(例えば、撥水液)などの、比重が軽い原液が貯蔵されている。
【0021】
送給ポンプ3と、分岐部ユニット4との間に、原液を一時的に貯留する貯留タンク15と、充填時に原液を加圧して送る加圧ポンプ6とが設けられている。加圧ポンプ6にて充填速度を速くしたり遅くしたりでき、充填速度の調整をすることができる。原液タンク2とは別に貯留タンク15を設けているので、原液タンク2の交換を容易に行うことができる。
【0022】
各分岐部ユニット4の下流側の管通路は、リリーフバルブ7を介して、貯留タンク15に接続され、余剰原液が貯留タンク15に戻されるようになっている。リリーフバルブ7により供給圧力が設定値を超えると、原液が貯留タンク15に戻され、必要以上の加圧が回避される。
【0023】
なお、送給ポンプ3及び加圧ポンプ6の下流側に、逆止弁8a,8bが設けられ、原液タンク2と貯留タンク15には液面計9a,9bが設けられている。
【0024】
各充填部5は、それぞれ、通過流量を計測可能である流量計5aと、電磁開閉弁5bと、容器Sの充填口Saに挿入される液体充填ノズル5cとを有し、充填部5が待機している待機位置と容器がセットされている充填位置との間で、周知の昇降機構によって昇降可能にとなっている。各充填部5による容器Sへの充填は、充填制御手段11によって、充填部5毎に(つまり容器S毎に)独立制御される。
【0025】
充填制御手段11は、液体充填ノズル5cの先端部が容器Sに挿入され充填が行われる充填位置に容器Sがあるとき、電磁開閉弁5bを開いて充填を開始し、流量計5aからの信号に基づき設定充填量の原液の通過が確認されると、電磁開閉弁5bを閉じて、充填を停止させる動作を、充填部5毎に制御するものである。
【0026】
また、より詳細には、
図2に示すように、各充填部5毎に、充填部を待機位置から充填位置まで下降させる充填開始手段と、容器に充填する設定充填量を設定する充填量設定手段12と、流量計5aよりの信号を受け流量計5aを通過した通過流量と設定充填量とが等しくなったことを検知する流量検知手段13と、充填部5の液体充填ノズル5cの先端部が容器Sに挿入された充填位置になったことを検知するリミットスイッチ10(位置検知手段)と、リミットスイッチ10よりの信号を受け電磁開閉弁5bを開く一方、流量検知手段13よりの信号を受け通過流量が設定充填量に等しくなったときに電磁開閉弁5bを閉じる開閉制御手段14とを備える。
【0027】
容器Sは、
図3(a)(b)に示すように、充填口Saが小さく、液体充填ノズル5cは、容器S内に挿入される先端部5caの通路径(例えば内径5mm)が、分岐部ユニット4に接続される部分5cbの通路径(例えば内径4mm)よりも大きくなっている。これにより、液体充填ノズル5cの先端部で充填速度が低下するので、原液が比重の軽いものであっても、充填の際に、充填口Saから原液が噴き出すことが抑制される。なお、容器Sの注入口Saの開口径6.2mmに対し、ノズル外径5.98mmの液体充填ノズル5cを用い、ノズル先端が液に浸かるようになり、表面での泡立ちが低減されるようになっている。
【0028】
液体充填ノズル5cは、
図4に示すように、電磁開閉弁5bの上流側に接続される部分5cbが、下端パイプ5ccを有し、下端パイプ5ccに対し、先端部を形成する先端パイプ5caが全周溶接されている(
図4のA部分参照)。先端パイプ5caの通路径が下端パイプ5ccの通路径よりも大きい。
【0029】
容器Sがセットされると、その充填位置に対応する充填部5の、前記充填開始手段であるスタートスイッチ(図示せず)が押され、充填部5が下降して、液体充填ノズル5cの先端部が容器Sに、充填口Saを通じて挿入され、充填部5が、充填が行われる充填位置にあることが、リミットスイッチ10によって検知される。
【0030】
開閉制御手段14は、リミットスイッチ10が検知した容器Sがセットされている充填部5について電磁開閉弁5bを開状態とする。これにより充填が開始される。流量計5aを通じて、充填されている流量が検出され、所定量(設定充填量)の原液の通過量が確認されると(流量検知手段13)、電磁開閉弁5bが閉状態とされ、充填が停止される。これにより、容器Sに所定量の原液が充填される。
【0031】
それから、液体充填ノズル5cが上昇して初期位置に戻され、待機状態となる。
【0032】
よって、充填部毎に充填量を管理することができ、充填される容器毎に、少量充填から大容量充填まで、充填量を変えて充填することが可能になる。よって、複数種類の容器に充填することもできる。
【0033】
以上のとおり、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しながら説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。
【0034】
例えば、油圧・水圧用ブロックマニホールドなどを用いることにより、複数の充填部5を含む分岐部ユニット4は、管通路であるパイプに対し着脱可能である。よって、必要に応じて、増設可能である。つまり、前記実施の形態では、2つの分岐部ユニット4を備え、各分岐部ユニット4が3つの充填部5を有するが、充填部を増やすために、例えば
図1に鎖線で示すように、3つの充填部5を有する分岐部ユニット4を着脱可能に設けることで、充填部の総数を増やすことができる。このようにして、充填できる容器の数を増やし、充填処理能力を高めることができる。
【符号の説明】
【0035】
1 液体充填システム
2 原液タンク
3 送給ポンプ
4 分岐部ユニット
5 充填部
5a 流量計
5b 電磁開閉弁
5c 液体充填ノズル
5ca 先端部
5cb 部分
5cc 下端パイプ
6 加圧ポンプ
7 リリーフバルブ
8a,8b 逆止弁
9a,9b 液面計
10 リミットスイッチ(位置検知手段)
11 充填制御手段
12 充填量設定手段
13 流量検知手段
14 開閉制御手段
15 貯留タンク
S 容器
Sa 充填口