IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日立情報通信エンジニアリングの特許一覧

特開2023-83952制御装置、制御システム、制御方法および制御プログラム
<>
  • 特開-制御装置、制御システム、制御方法および制御プログラム 図1
  • 特開-制御装置、制御システム、制御方法および制御プログラム 図2
  • 特開-制御装置、制御システム、制御方法および制御プログラム 図3
  • 特開-制御装置、制御システム、制御方法および制御プログラム 図4
  • 特開-制御装置、制御システム、制御方法および制御プログラム 図5
  • 特開-制御装置、制御システム、制御方法および制御プログラム 図6
  • 特開-制御装置、制御システム、制御方法および制御プログラム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083952
(43)【公開日】2023-06-16
(54)【発明の名称】制御装置、制御システム、制御方法および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/02 20090101AFI20230609BHJP
   H04W 84/00 20090101ALI20230609BHJP
【FI】
H04W28/02
H04W84/00 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021197972
(22)【出願日】2021-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000233295
【氏名又は名称】株式会社日立情報通信エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】弁理士法人湘洋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石戸 佑馬
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA12
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
5K067HH22
(57)【要約】      (修正有)
【課題】基地局と端末間で行われている通信情報により正確にトラフィックの混雑度を判定する制御装置、制御システム、制御方法及び制御プログラムを提供する。
【解決手段】無線ネットワークを実現する制御システムにおいて、制御装置100は、少なくとも一以上の無線基地局200から、該無線基地局の無線通信の制御下にある一以上の端末400のトラフィック混雑度を受信する端末情報収集部110と、端末のトラフィック混雑度について無線基地局の平常時のトラフィック混雑度からの乖離が所定の閾値を超えるか否かを判定するトラフィック混雑度判定部120と、乖離が所定の閾値を超える場合に混雑状態にあると判定して、移動機構を備える無線基地局である移動基地局300に無線基地局のエリアへの移動指示を与える移動基地局制御部130と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一以上の無線基地局から、該無線基地局の無線通信の制御下にある一以上の端末のトラフィック混雑度を受信する端末情報収集部と、
前記端末の前記トラフィック混雑度について前記無線基地局の平常時の前記トラフィック混雑度からの乖離が所定の閾値を超えるか否かを判定するトラフィック混雑度判定部と、
前記乖離が前記所定の閾値を超える場合に混雑状態にあると判定して、移動機構を備える前記無線基地局である移動基地局に前記無線基地局のエリアへの移動指示を与える移動基地局制御部と、
を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記トラフィック混雑度判定部は、前記端末の前記トラフィック混雑度を前記端末間で平均して前記平常時の前記トラフィック混雑度からの乖離を算出する、
ことを特徴とする制御装置。
【請求項3】
一以上の端末を無線通信の制御下に置く無線基地局と、前記無線基地局であって移動機構を備える移動基地局と、制御装置と、がネットワークを介して通信可能な制御システムであって、
前記無線基地局は、制御下にある一以上の前記端末について該端末のトラフィック混雑度を算出して前記制御装置へ送信する基地局通信制御部を備え、
前記基地局通信制御部は、該無線基地局のスループット実測値について、スループット理論値と対比して前記トラフィック混雑度を算出し、
前記制御装置は、少なくとも一以上の前記無線基地局から、該無線基地局の無線通信の制御下にある前記端末の前記トラフィック混雑度を受信する端末情報収集部と、
前記端末の前記トラフィック混雑度について前記無線基地局の平常時の前記トラフィック混雑度からの乖離が所定の閾値を超えるか否かを判定するトラフィック混雑度判定部と、
前記乖離が前記所定の閾値を超える場合に混雑状態にあると判定して、前記移動基地局に前記無線基地局のエリアへの移動指示を与える移動基地局制御部と、
を備えることを特徴とする制御システム。
【請求項4】
請求項3に記載の制御システムであって、
前記トラフィック混雑度判定部は、前記端末の前記トラフィック混雑度を前記端末間で平均して前記平常時の前記トラフィック混雑度からの乖離を算出する、
ことを特徴とする制御システム。
【請求項5】
請求項3または4に記載の制御システムであって、
前記基地局通信制御部は、前記スループット理論値を、前記端末から取得した通信品質を特定する情報およびMCSと、前記無線基地局が該端末に割り当てたリソースブロック数およびチャネル情報と、を用いて算出する、
ことを特徴とする制御システム。
【請求項6】
請求項3~5のいずれか一項に記載の制御システムであって、
前記基地局通信制御部は、前記端末のうち該端末から取得した通信品質を特定する情報が該端末の利用可能な最良の通信品質でない端末を、前記トラフィック混雑度の算出対象から除外する、
ことを特徴とする制御システム。
【請求項7】
制御装置による制御方法であって、
前記制御装置の処理部は、少なくとも一以上の無線基地局から、該無線基地局の無線通信の制御下にある一以上の端末のトラフィック混雑度を受信する端末情報収集ステップと、
前記端末の前記トラフィック混雑度について前記無線基地局の平常時の前記トラフィック混雑度からの乖離が所定の閾値を超えるか否かを判定するトラフィック混雑度判定ステップと、
前記乖離が前記所定の閾値を超える場合に混雑状態にあると判定して、移動機構を備える前記無線基地局である移動基地局に前記無線基地局のエリアへの移動指示を与える移動基地局制御ステップと、
を実施することを特徴とする制御方法。
【請求項8】
一以上の端末を無線通信の制御下に置く無線基地局と、前記無線基地局であって移動機構を備える移動基地局と、制御装置と、がネットワークを介して通信可能な制御システムの制御方法であって、
前記無線基地局の処理部は、制御下にある一以上の前記端末について該端末のトラフィック混雑度を算出して前記制御装置へ送信する基地局通信制御ステップを実施し、
前記基地局通信制御ステップでは、該無線基地局のスループット実測値について、スループット理論値と対比して前記トラフィック混雑度を算出し、
前記制御装置の処理部は、少なくとも一以上の前記無線基地局から、該無線基地局の無線通信の制御下にある前記端末の前記トラフィック混雑度を受信する端末情報収集ステップと、
前記端末の前記トラフィック混雑度について前記無線基地局の平常時の前記トラフィック混雑度からの乖離が所定の閾値を超えるか否かを判定するトラフィック混雑度判定ステップと、
前記乖離が前記所定の閾値を超える場合に混雑状態にあると判定して、前記移動基地局に前記無線基地局のエリアへの移動指示を与える移動基地局制御ステップと、
を実施することを特徴とする制御方法。
【請求項9】
制御装置の制御プログラムであって、
前記制御装置のプロセッサに、
少なくとも一以上の無線基地局から、該無線基地局の無線通信の制御下にある一以上の端末のトラフィック混雑度を受信する端末情報収集ステップと、
前記端末の前記トラフィック混雑度について前記無線基地局の平常時の前記トラフィック混雑度からの乖離が所定の閾値を超えるか否かを判定するトラフィック混雑度判定ステップと、
前記乖離が前記所定の閾値を超える場合に混雑状態にあると判定して、移動機構を備える前記無線基地局である移動基地局に前記無線基地局のエリアへの移動指示を与える移動基地局制御ステップと、
を実施させることを特徴とする制御プログラム。
【請求項10】
一以上の端末を無線通信の制御下に置く無線基地局と、前記無線基地局であって移動機構を備える移動基地局と、制御装置と、がネットワークを介して通信可能な制御システムの制御プログラムであって、
前記無線基地局のプロセッサに、
制御下にある一以上の前記端末について該端末のトラフィック混雑度を算出して前記制御装置へ送信する基地局通信制御ステップを実施させ、
前記基地局通信制御ステップでは、該無線基地局のスループット実測値について、スループット理論値と対比して前記トラフィック混雑度を算出させ、
前記制御装置のプロセッサに、
少なくとも一以上の前記無線基地局から、該無線基地局の無線通信の制御下にある前記端末の前記トラフィック混雑度を受信する端末情報収集ステップと、
前記端末の前記トラフィック混雑度について前記無線基地局の平常時の前記トラフィック混雑度からの乖離が所定の閾値を超えるか否かを判定するトラフィック混雑度判定ステップと、
前記乖離が前記所定の閾値を超える場合に混雑状態にあると判定して、前記移動基地局に前記無線基地局のエリアへの移動指示を与える移動基地局制御ステップと、
を実施させることを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、制御システム、制御方法および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「通信制御システムは、基地局からの電波を受信し、通信エリアを形成する移動体と、移動体を制御する制御装置とを含んで構成される。制御装置は、所定のエリアに関する複数の種類の行動情報を、エリア毎に取得する、行動情報取得部と、エリア毎に評価得点を管理する、記憶部と、複数の種類の行動情報に応じて、エリア毎の評価得点を変更する、得点変更部と、評価得点に基づいて、移動先エリアを決定し、移動体に移動先エリアへの移動を指示する、移動先決定部とを備える。」との開示がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-149751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載された技術は、エリア内のユーザ行動情報や気象情報等の情報を蓄積する外部装置を必要とし、また統計情報が十分に収集できないエリアでは基地局が混雑しているタイミングを正確に把握することが出来ない。その場合、移動基地局は混雑した基地局のエリアへ適切なタイミングで向うことが出来ず、スループットが改善しない場合がある。
【0005】
本発明の目的は、基地局と端末間で行われている通信情報により正確にトラフィックの混雑度を判定する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は、上記課題の少なくとも一部を解決する手段を複数含んでいるが、その例を挙げるならば、以下のとおりである。上記課題を解決すべく、本発明の一態様に係る制御装置は、少なくとも一以上の無線基地局から、該無線基地局の無線通信の制御下にある一以上の端末のトラフィック混雑度を受信する端末情報収集部と、前記端末の前記トラフィック混雑度について無線基地局の平常時の前記トラフィック混雑度からの乖離が所定の閾値を超えるか否かを判定するトラフィック混雑度判定部と、前記乖離が前記所定の閾値を超える場合に混雑状態にあると判定して、移動機構を備える前記無線基地局である移動基地局に前記無線基地局のエリアへの移動指示を与える移動基地局制御部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、上記の制御装置において、前記トラフィック混雑度判定部は、前記端末の前記トラフィック混雑度を前記端末間で平均して前記平常時の前記トラフィック混雑度からの乖離を算出するものであってもよい。
【0008】
また、本発明の別の態様に係る制御システムは、一以上の端末を無線通信の制御下に置く無線基地局と、前記無線基地局であって移動機構を備える移動基地局と、制御装置と、がネットワークを介して通信可能な制御システムであって、前記無線基地局は、制御下にある一以上の前記端末について該端末のトラフィック混雑度を算出して前記制御装置へ送信する基地局通信制御部を備え、前記基地局通信制御部は、該無線基地局のスループット実測値について、スループット理論値と対比して前記トラフィック混雑度を算出し、前記制御装置は、少なくとも一以上の前記無線基地局から、該無線基地局の無線通信の制御下にある前記端末の前記トラフィック混雑度を受信する端末情報収集部と、前記端末の前記トラフィック混雑度について前記基地局の平常時の前記トラフィック混雑度からの乖離が所定の閾値を超えるか否かを判定するトラフィック混雑度判定部と、前記乖離が前記所定の閾値を超える場合に混雑状態にあると判定して、前記移動基地局に前記無線基地局のエリアへの移動指示を与える移動基地局制御部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、上記の制御システムにおいて、前記トラフィック混雑度判定部は、前記端末の前記トラフィック混雑度を前記端末間で平均して前記平常時の前記トラフィック混雑度からの乖離を算出するものであってもよい。
【0010】
また、上記の制御システムにおいて、前記基地局通信制御部は、前記スループット理論値を、前記端末から取得した通信品質を特定する情報(CQI:Channel Quality Indicator)およびMCS(Modulation and channel Coding Scheme)と、前記無線基地局が該端末に割り当てたリソースブロック数(RBs:Resource Blocks)およびチャネル情報と、を用いて算出するものであってもよい。
【0011】
また、上記の制御システムにおいて、前記基地局通信制御部は、前記端末のうち該端末から取得した通信品質を特定する情報が該端末の利用可能な最良の通信品質でない端末を、前記トラフィック混雑度の算出対象から除外するものであってもよい。
【0012】
また、本発明の別の態様に係る制御方法は、制御装置による制御方法であって、前記制御装置の処理部は、少なくとも一以上の無線基地局から、該無線基地局の無線通信の制御下にある一以上の端末のトラフィック混雑度を受信する端末情報収集ステップと、前記端末の前記トラフィック混雑度について前記無線基地局の平常時の前記トラフィック混雑度からの乖離が所定の閾値を超えるか否かを判定するトラフィック混雑度判定ステップと、前記乖離が前記所定の閾値を超える場合に混雑状態にあると判定して、移動機構を備える前記無線基地局である移動基地局に前記無線基地局のエリアへの移動指示を与える移動基地局制御ステップと、を実施することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の別の態様に係る制御方法は、一以上の端末を無線通信の制御下に置く無線基地局と、前記無線基地局であって移動機構を備える移動基地局と、制御装置と、がネットワークを介して通信可能な制御システムの制御方法であって、前記無線基地局の処理部は、制御下にある一以上の前記端末について該端末のトラフィック混雑度を算出して前記制御装置へ送信する基地局通信制御ステップを実施し、前記基地局通信制御ステップでは、該無線基地局のスループット実測値について、スループット理論値と対比して前記トラフィック混雑度を算出し、前記制御装置の処理部は、少なくとも一以上の前記無線基地局から、該無線基地局の無線通信の制御下にある前記端末の前記トラフィック混雑度を受信する端末情報収集ステップと、前記端末の前記トラフィック混雑度について前記無線基地局の平常時の前記トラフィック混雑度からの乖離が所定の閾値を超えるか否かを判定するトラフィック混雑度判定ステップと、前記乖離が前記所定の閾値を超える場合に混雑状態にあると判定して、前記移動基地局に前記無線基地局のエリアへの移動指示を与える移動基地局制御ステップと、を実施することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の別の態様に係る制御プログラムは、制御装置の制御プログラムであって、前記制御装置のプロセッサに、少なくとも一以上の無線基地局から、該無線基地局の無線通信の制御下にある一以上の端末のトラフィック混雑度を受信する端末情報収集ステップと、前記端末の前記トラフィック混雑度について前記無線基地局の平常時の前記トラフィック混雑度からの乖離が所定の閾値を超えるか否かを判定するトラフィック混雑度判定ステップと、前記乖離が前記所定の閾値を超える場合に混雑状態にあると判定して、移動機構を備える前記無線基地局である移動基地局に前記無線基地局のエリアへの移動指示を与える移動基地局制御ステップと、を実施させることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の別の態様に係る制御プログラムは、一以上の端末を無線通信の制御下に置く無線基地局と、前記無線基地局であって移動機構を備える移動基地局と、制御装置と、がネットワークを介して通信可能な制御システムの制御プログラムであって、前記無線基地局のプロセッサに、制御下にある一以上の前記端末について該端末のトラフィック混雑度を算出して前記制御装置へ送信する基地局通信制御ステップを実施させ、前記基地局通信制御ステップでは、該無線基地局のスループット実測値について、スループット理論値と対比して前記トラフィック混雑度を算出させ、前記制御装置のプロセッサに、少なくとも一以上の前記無線基地局から、該無線基地局の無線通信の制御下にある前記端末の前記トラフィック混雑度を受信する端末情報収集ステップと、前記端末の前記トラフィック混雑度について前記無線基地局の平常時の前記トラフィック混雑度からの乖離が所定の閾値を超えるか否かを判定するトラフィック混雑度判定ステップと、前記乖離が前記所定の閾値を超える場合に混雑状態にあると判定して、前記移動基地局に前記無線基地局のエリアへの移動指示を与える移動基地局制御ステップと、を実施させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、基地局と端末間で行われている通信情報により正確にトラフィックの混雑度を判定する技術を提供することができる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る制御システムの概要を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る制御システムの構成例を示す図である。
図3】変調方式情報のデータ構造例を示す図である。
図4】制御装置のハードウェア構成例を示す図である。
図5】移動基地局のハードウェア構成例を示す図である。
図6】端末別混雑度算出処理のフローの例を示す図である。
図7】混雑軽減処理のフローの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る一つの実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、「Aからなる」、「Aよりなる」、「Aを有する」、「Aを含む」と言うときは、特にその要素のみである旨明示した場合等を除き、それ以外の要素を排除するものでないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。
【0019】
以下の説明では、制御装置100、一以上の端末を無線通信の制御下におく無線基地局200、および無線基地局であって移動機構を備える移動基地局300の入出力部と表示部は、一つ以上のインターフェースデバイスでよい。当該一つ以上のインターフェースデバイスは、下記のうちの少なくとも一つでよい。
・一つ以上のI/O(Input/Output)インターフェースデバイス。I/Oインターフェースデバイスは、I/Oデバイスと遠隔の制御装置100、無線基地局200および移動基地局300のうちの少なくとも一つに対するインターフェースデバイスである。制御装置100、無線基地局200および移動基地局300に対するI/Oインターフェースデバイスは、通信インターフェースデバイスでよい。少なくとも一つのI/Oデバイスは、ユーザインターフェースデバイス、例えば、キーボード及びポインティングデバイスのような入力デバイスと、表示デバイスのような出力デバイスとのうちのいずれでもよい。
・一つ以上の通信インターフェースデバイス。一つ以上の通信インターフェースデバイスは、一つ以上の同種の通信インターフェースデバイス(例えば一つ以上のNIC(Network Interface Card))であってもよいし二つ以上の異種の通信インターフェースデバイス(例えばNICとHBA(Host Bus Adapter))であってもよい。
【0020】
また、以下の説明では、「メモリ」は、一つ以上の記憶デバイスの一例である一つ以上のメモリデバイスであり、典型的には主記憶デバイスでよい。メモリにおける少なくとも一つのメモリデバイスは、揮発性メモリデバイスであってもよいし不揮発性メモリデバイスであってもよい。
【0021】
また、以下の説明では、「記憶部」または「ストレージ」は、メモリと永続記憶装置のうちメモリかまたは両方であればよい。具体的には、永続記憶装置は例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、NVME(Non-Volatile Memory Express)ドライブ、又は、SCM(Storage Class Memory)でよい。
【0022】
また、以下の説明では、「処理部」または「プロセッサ」は、一つ以上のプロセッサデバイスでよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、典型的には、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサデバイスでよいが、GPU(Graphics Processing Unit)のような他種のプロセッサデバイスでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、シングルコアでもよいしマルチコアでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、プロセッサコアでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、処理の一部又は全部を行うハードウェア記述言語によりゲートアレイの集合体である回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit))といった広義のプロセッサデバイスでもよい。
【0023】
また、以下の説明では、「yyy部」の表現にて機能を説明することがあるが、機能は、一つ以上のコンピュータプログラムがプロセッサによって実行されることで実現されてもよいし、一つ以上のハードウェア回路(例えばFPGA又はASIC)によって実現されてもよいし、それらの組合せによって実現されてもよい。プログラムがプロセッサによって実行されることで機能が実現される場合、定められた処理が、適宜に記憶装置及び/又はインターフェース装置等を用いながら行われるため、機能はプロセッサの少なくとも一部とされてもよい。機能を主語として説明された処理は、プロセッサあるいはそのプロセッサを有する装置が行う処理としてもよい。プログラムは、プログラムソースからインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布計算機又は計算機が読み取り可能な記録媒体(例えば非一時的な記録媒体)であってもよい。各機能の説明は一例であり、複数の機能が一つの機能にまとめられたり、一つの機能が複数の機能に分割されたりしてもよい。
【0024】
また、以下の説明では、「プログラム」や「処理部」を主語として処理を説明する場合があるが、プログラムを主語として説明された処理は、プロセッサあるいはそのプロセッサを有する装置が行う処理としてもよい。また、二つ以上のプログラムが一つのプログラムとして実現されてもよいし、一つのプログラムが二つ以上のプログラムとして実現されてもよい。
【0025】
また、以下の説明では、「xxxテーブル」あるいは「xxx記憶部」といった表現にて、入力に対して出力が得られる情報を説明することがあるが、当該情報は、どのような構造のテーブルでもよいし、入力に対する出力を発生するニューラルネットワーク、遺伝的アルゴリズムやランダムフォレストに代表されるような学習モデルでもよい。また、以下の説明において、各テーブルの構成は一例であり、一つのテーブルは、二つ以上のテーブルに分割されてもよいし、二つ以上のテーブルの全部又は一部が一つのテーブルであってもよい。
【0026】
また、以下の説明では、「制御システム」は、一つ以上の物理的な計算機で構成されたシステムでもよいし、物理的な計算リソース群(例えば、クラウド基盤)上に実現されたシステム(例えば、クラウドコンピューティングシステム)でもよい。制御システム1000が表示用情報を「表示する」ことは、計算機が有する表示デバイスに表示用情報を表示することであってもよいし、計算機が表示用計算機に表示用情報を送信することであってもよい(後者の場合は表示用計算機によって表示用情報が表示される)。
【0027】
一般に、大人数が4K等の高精細な動画をストリーミング視聴するようなイベント会場では、電波品質が良好な端末であってもスループットが低下する場合がある。これは、会場に存在する多くの端末がエリア内の携帯電話を無線通信の制御下に置く無線基地局へ接続し大容量データを常時ダウンロードし続けることにより、基地局側のリソース不足により発生すると考えられる。電波品質が良好にも関わらずスループットが低下する事象は、イベント参加者には原因がわからず、動画の再生が乱れることになり、顧客満足度が著しく低下する。
【0028】
基地局側のリソース不足を解消する手段として、移動機能を備える移動基地局を用いることが考えられる。移動基地局は、例えばドローン等により構成され、移動先の位置を指示すると飛行して、移動先に到達するとホバリングあるいは着地を行う。ホバリングあるいは着地後は既存の基地局と同様に端末との通信を行うものとする。
【0029】
図1は、本発明の実施形態に係る制御システムの概要を示す図である。制御システム1000は、全体として携帯電話等の無線ネットワーク1を実現するシステムである。制御システム1000には、無線ネットワーク1のリソース管理を制御する制御装置100と、制御装置100の制御下にある一つ以上の無線基地局200A、200Bおよび200Cが含まれる。また、制御システム1000には、制御装置100の制御下にある一つ以上の移動基地局300Aおよび300Bが含まれる。
【0030】
無線基地局200A、200Bおよび200Cと、移動基地局300Aおよび300Bには、それぞれ通信制御対象の通信エリアがある。無線基地局200Aは、所定の通信エリア1200Aをカバーする。同様に、無線基地局200B、200Cはそれぞれ、所定の通信エリア1200B、1200Cをカバーする。また同様に、移動基地局300A、300Bはそれぞれ、所定の通信エリア1300A、1300Bをカバーする。無線基地局はそれぞれ設定された所定の通信エリアを固定的にカバーするが、移動基地局は移動可能であるため、機動的に通信エリアをカバーすることができる。
【0031】
このとき、本発明の実施形態に係る制御装置によれば、基地局と端末間で行われている通信情報により正確にトラフィックの混雑度を判定することができる。そして、これにより、混雑が発生している基地局の通信エリアへ移動基地局を適切に配置することができるようになるため、顧客満足度の向上、リソースの有効活用を両立させることができるといえる。
【0032】
図2は、本発明の実施形態に係る制御システムの構成例を示す図である。制御システム1000には、制御装置100と、無線基地局200と、移動基地局300と、端末400と、が通信可能に接続されており、制御装置100と無線基地局200および移動基地局300の間はネットワーク10を介して、端末400と無線基地局200および移動基地局300の間は無線ネットワーク20および無線ネットワーク30を介して、それぞれ通信を行う。なお、端末400は、通常は無線基地局200が提供する無線ネットワーク20および移動基地局300が提供する無線ネットワーク30のいずれかを介して通信を行うが、いずれを介して通信しているか端末400の利用者は意識する必要はなく、通信効率のよい方を端末400の通信部410が判定して接続を制御する。
【0033】
なお、制御装置100と無線基地局200および移動基地局300の間のネットワーク10は、通信の安定性、通信品質やセキュリティ、維持コスト等を総合的に考慮して有線ネットワーク(LAN(Local Area Netowork)等)を介して通信可能に接続されるものであってもよい。
【0034】
ここで、無線ネットワーク20および無線ネットワーク30は、例えば、LTE(Long Term Evolution)あるいは5G(ファイブジー)と呼ばれる所定の周波数帯(3.5GHz(ギガヘルツ)帯、4.5GHz帯、28GHz帯等)を利用する無線通信ネットワークである。
【0035】
制御装置100には、処理部として、端末情報収集部110と、トラフィック混雑度判定部120と、移動基地局制御部130と、が含まれる。制御装置100には、記憶部として、変調方式情報140と、エリア情報150と、が記憶されている。
【0036】
端末情報収集部110は、少なくとも一以上の無線基地局200から、該無線基地局200の無線通信の制御下にある一以上の端末400のトラフィック混雑度を受信する。
【0037】
トラフィック混雑度判定部120は、端末400のトラフィック混雑度について平常時のトラフィック混雑度からの乖離が所定の閾値を超えるか否かを判定する。その際、トラフィック混雑度判定部120は、端末400のトラフィック混雑度を端末間で平均して平常時のトラフィック混雑度からの乖離を算出する。
【0038】
移動基地局制御部130は、乖離が所定の閾値を超える場合に混雑状態にあると判定して、移動基地局300にいずれかの無線基地局200のエリアへの移動指示を与える。当該処理において、移動基地局制御部130は、移動指示には、エリア情報150から取得した移動先の位置またはエリアを特定する情報を含める。
【0039】
変調方式情報140については、後述する。エリア情報150には、無線基地局200ごとの位置および通信エリアを特定する情報があらかじめ格納される。
【0040】
図3は、変調方式情報のデータ構造例を示す図である。変調方式情報140には、通信速度のレベル141ごとに、変調方式142が対応付けられて格納されている。一般に、通信速度に応じて取りうる変調方式が異なるが、変調方式「QPSK」よりも速い通信速度が出せる場合に変調方式「16QAM」を用い、変調方式「16QAM」よりも速い通信速度が出せる場合に変調方式「64QAM」を用い、さらに変調方式「64QAM」よりも速い通信速度が出せる場合に変調方式「256QAM」を用いる。
【0041】
これを利用すれば、変調方式「256QAM」を利用できる端末400があるとして、該端末400が変調方式「64QAM」を用いている場合には、何らかの理由で通信品質が悪いことを想定できる。つまり、通信速度のレベル141を端末の最大値と現状値で対比することで、通信品質の低下を検出できる。
【0042】
図2の説明に戻る。無線基地局200には、処理部として、情報送信部210と、基地局通信制御部220と、通信部230と、が含まれる。
【0043】
情報送信部210は、制御下にある一以上の端末について該端末のトラフィック混雑度を制御装置100へ送信する。
【0044】
基地局通信制御部220は、端末400と無線基地局200及び無線基地局200と制御装置100間の通信を制御する。また、基地局通信制御部220は、端末400と無線基地局200間の実測スループット値を含む通信情報を収集する。また、基地局通信制御部220は、端末400側が要求するデータ通信量を算出する。また、基地局通信制御部220は、制御下にある一以上の前記端末について該端末のトラフィック混雑度を算出する。その際、基地局通信制御部220は、該基地局のスループット実測値について、スループット理論値と対比してトラフィック混雑度を算出する。
【0045】
また、基地局通信制御部220は、スループット理論値を、端末400から取得した通信品質を特定する情報およびMCSと、基地局が該端末に割り当てたリソースブロック数およびチャネル情報と、を用いて算出する。スループット理論値の算出に用いる式については、端末400から取得した通信品質を特定する情報およびMCSと、基地局が該端末に割り当てたリソースブロック数およびチャネル情報と、を用いて算出するものであればどのようなものであってもよく、公知のアルゴリズムを用いるものであって良い。
【0046】
また、基地局通信制御部220は、端末400のうち該端末400から取得した通信品質を特定する情報が該端末400の利用可能な最良の通信品質(最大の変調方式)でない端末については、参考に用いるほど受信品質が高くないことから、トラフィック混雑度の算出対象から除外する。
【0047】
通信部230は、端末400のそれぞれと無線通信を行う。
【0048】
移動基地局300には、処理部として、情報送受信部310と、基地局通信制御部320と、通信部330と、移動制御部340と、が含まれる。
【0049】
このうち、基地局通信制御部320および通信部330は、それぞれ無線基地局200の基地局通信制御部220および通信部230と同様であるため、説明は割愛する。情報送受信部310は、無線基地局200の情報送信部210と略同様であるが、制御装置100の移動基地局制御部130から送信される移動制御部340への移動制御情報を受信すると、移動制御部340に受け渡す点で相違がある。
【0050】
移動制御部340は、移動基地局300自身の移動の制御を行う。例えば、移動制御部340は、移動基地局制御部130から目的地としての座標情報を受け付けると、該座標に示される地点へ移動する。
【0051】
端末400には、通信部410が含まれる。通信部410は、無線基地局200あるいは移動基地局300と通信を行う。また、通信部410は、通信品質を特定する情報(CQI)およびMCSを無線基地局200あるいは移動基地局300の要求に応じて送信する。
【0052】
図4は、制御装置のハードウェア構成例を示す図である。制御装置100は、いわゆるパーソナルコンピューターやサーバー装置等の情報処理装置であって、ネットワーク10を介して他の装置との間で情報の送受信を行う。なお、制御装置100は、パーソナルコンピューターに限られず、例えばスマートフォンやタブレット装置等の他の装置であってもよい。
【0053】
制御装置100は、CPU等のプロセッサ101と、RAM(Random Access Memory)等のメモリ102と、ハードディスクやSSD等のストレージ103と、LTE通信用のSIMカード等、あるいはNIC等の通信装置107と、これらをつなぐバスと、を含んで構成される。
【0054】
通信装置107は、アンテナを介して無線通信を行う無線通信装置である。通信装置107は、ネットワーク10に接続される他の装置との無線通信を行う。本実施形態においては、あるいは、上述したように、通信装置107は、ネットワークケーブルを介して他の装置との有線通信を行う有線の通信装置であってもよい。
【0055】
上記した端末情報収集部110と、トラフィック混雑度判定部120と、移動基地局制御部130とは、プロセッサ101に処理を行わせるプログラムによって実現される。このプログラムは、メモリ102内に記憶され、実行にあたってプロセッサ101により実行される。
【0056】
また、記憶部に格納される変調方式情報140と、エリア情報150とは、メモリ102及びストレージ103により実現される。
【0057】
以上が、本実施形態における制御装置100のハードウェア構成例である。しかし、これに限らず、制御装置100は、その他のハードウェアを用いて構成されるものであってもよい。なお、制御装置100は、図示しないが、OS、ミドルウェア、アプリケーションなどの公知の要素を有する。
【0058】
図5は、移動基地局のハードウェア構成例を示す図である。移動基地局300は、いわゆるパーソナルコンピューターやサーバー装置等の情報処理装置と同様の処理機能と、移動機構と、を備え、ネットワーク10および無線ネットワーク30を介して他の装置との間で情報の送受信を行う。
【0059】
移動基地局300は、CPU等のプロセッサ301と、RAM等のメモリ302と、各種メモリカード等のストレージ303と、LTE通信用のSIMカード等の制御通信装置304と、移動機構306を制御するマイコン等の移動制御装置305と、端末400に通信コネクションを提供する端末対向装置307と、これらをつなぐバスと、を含んで構成される。
【0060】
制御通信装置304は、アンテナを介して制御装置100と無線通信を行う無線通信装置である。制御通信装置304は、ネットワーク10に接続される制御装置100との無線通信を行う。
【0061】
移動制御装置305は、移動基地局300の移動機構306を制御する。例えば移動機構306がドローンのように空中を飛行するものである場合、移動制御装置305は、プロペラの回転制御や位置計測等、飛行制御に必要な処理を行う。
【0062】
端末対向装置307は、アンテナを介して端末400と無線通信を行う無線通信装置である。端末対向装置307は、無線ネットワーク30に接続される端末400との無線通信の物理線としての電波環境を管理する。
【0063】
上記した情報送受信部310と、基地局通信制御部320とは、プロセッサ301に処理を行わせるプログラムによって実現される。このプログラムは、メモリ302内に記憶され、実行にあたってプロセッサ301により実行される。
【0064】
通信部330は、端末対向装置307により実現される。移動制御部340は、移動制御装置305により実現される。
【0065】
無線基地局200のハードウェア構成は、移動基地局300のハードウェア構成と略同じであるが、移動制御装置305および移動機構306を含まない。また、無線基地局200の制御通信装置304は、ネットワークケーブルを介して他の装置との有線通信を行う有線の通信装置である点で移動基地局300とは相違がある。
【0066】
端末400は、いわゆるスマートフォンやタブレット端末、あるいはパーソナルコンピューター等の情報処理装置であり、無線ネットワーク20あるいは無線ネットワーク30を介してインターネット等と接続し通信を行う。
【0067】
[動作の説明]次に、本実施形態における制御システム1000の動作を説明する。
【0068】
図6は、端末別混雑度算出処理のフローの例を示す図である。端末別混雑度算出処理は、無線基地局200および移動基地局300において実施される。端末別混雑度算出処理は、制御装置100から開始指示を受け付けると、あるいは所定の周期で開始される。なお、説明は無線基地局200を例に説明するが、移動基地局300であっても同様の処理を行うものである。
【0069】
まず、基地局通信制御部220は、端末情報を収集する(ステップS001)。具体的には、基地局通信制御部220は、通信部230を介して、制御下にある一以上の端末400から、端末情報としてMCSとCQIを取得する。
【0070】
そして、基地局通信制御部220は、CQIスクリーン処理を実施する(ステップS002)。その際、基地局通信制御部220は、ステップS001において取得したCQIの情報を用いて、当該端末の最大のレベルの通信速度の変調方式で通信している端末以外の端末については、トラフィック混雑度の算出対象から除外する。受信電波の品質が悪いために、トラフィックの混雑度の参考とはならないからである。
【0071】
そして、基地局通信制御部220は、通信情報を用いて端末ごとのスループット理論値を特定する(ステップS003)。具体的には、基地局通信制御部220は、端末400から取得したMCSと、通信品質を特定する情報であるCQIと、無線基地局200が端末400に割り当てた実測スループット値(RBs:リソースブロック数)と、チャネル情報(周波数情報)と、を用いて、スループット理論値を算出する。
【0072】
そして、基地局通信制御部220は、基地局が端末に割り当てたRBsを用いて端末ごとのスループット実測値を特定する(ステップS004)。スループット実測値の具体的な特定は、基地局通信制御部220が公知のアルゴリズムを用いて特定する。
【0073】
そして、基地局通信制御部220は、スループットの理論値と実測値を用いて、端末400ごとにトラフィック混雑度を算出する(ステップS005)。具体的には、基地局通信制御部220は、スループットの理論値を分子、実測値を分母とする百分率によりトラフィック混雑度とするようにしてもよいし、あるいはスループットの理論値から実測値の差分を求めてトラフィック混雑度とするようにしてもよい。すなわち、トラフィック混雑度は、実測値が理論値に近づく程小さな数となり、実測値が理論値より小さい程大きな数となる指標値であればよい。いずれにしろ、これにより通信状態が良好(CQIが所定以上)な端末におけるトラフィックのスループットの低下度合いであるトラフィック混雑度を求めることができる。
【0074】
そして、基地局通信制御部220は、端末ごとのトラフィック混雑度を制御装置100へ送信する(ステップS006)。
【0075】
以上が、端末別混雑度算出処理の処理フローである。端末別混雑度算出処理を無線基地局200の制御下にある端末400ごとに実施することで、各端末のトラフィック混雑度を制御装置100に送信することができる。
【0076】
図7は、混雑軽減処理のフローの例を示す図である。混雑軽減処理は、制御装置100において実施される。混雑軽減処理は、制御装置100が無線基地局200あるいは移動基地局300からトラフィック混雑度が送信されると、あるいは所定の周期で開始される。
【0077】
まず、平常時のトラフィック混雑度を算出する(ステップS101)。具体的には、トラフィック混雑度判定部120は、トラフィック混雑度の履歴情報を用いて所定の統計処理を行い、同一エリアにおける同曜日の同時刻におけるトラフィック混雑度、すなわち平常時のトラフィック混雑度を算出する。
【0078】
そして、トラフィック混雑度判定部120は、端末400ごとのトラフィック混雑度を受信する(ステップS102)。具体的には、トラフィック混雑度判定部120は、端末情報収集部110を介して、無線基地局200あるいは移動基地局300の制御下にある端末400ごとにトラフィック混雑度を受信する。
【0079】
そして、トラフィック混雑度判定部120は、端末400ごとのトラフィック混雑度を端末400間で平均する(ステップS103)。具体的には、トラフィック混雑度判定部120は、端末400ごとのトラフィック混雑度を合計し、端末400の台数で除して端末間の平均を求める。
【0080】
そして、トラフィック混雑度判定部120は、平均トラフィック混雑度の平常時のトラフィック混雑度からの乖離を算出する(ステップS104)。具体的には、トラフィック混雑度判定部120は、ステップS103にて算出した平均トラフィック混雑度と、ステップS101にて算出した平常時のトラフィック混雑度と、の差分(平常時からのスループットの減少量)を乖離として算出する。あるいは、平常時のトラフィック混雑度を百とする場合の平均トラフィック混雑度の増加量を乖離として算出する。すなわち、トラフィック混雑度判定部120は、スループットの減少量が大きい程、大きくなるように乖離を算出する。
【0081】
そして、トラフィック混雑度判定部120は、乖離が所定の閾値を超えるか否かを判定する(ステップS105)。すなわち、平常時からのスループット実績値の減少量あるいは減少割合が所定以上か否かを判定する。乖離が所定の閾値を超えない場合(ステップS105にて「No」の場合)には、トラフィック混雑度判定部120は、混雑軽減処理を終了させる。
【0082】
乖離が所定の閾値を超える場合(ステップS105にて「Yes」の場合)には、移動基地局制御部130は、移動基地局制御処理を実施する(ステップS106)。具体的には、移動基地局制御部130は、混雑状態にあると判定して、移動基地局300に混雑状態にある無線基地局200の通信エリアへの移動指示を与える。
【0083】
以上が、混雑軽減処理の処理フローである。混雑軽減処理では、移動基地局300を、混雑状態にある無線基地局200の通信エリアに移動させることで、通信帯域等のリソース不足を補填し、実効的なスループットの改善を迅速に行うことができ、顧客満足度を高めることができる。
【0084】
以上、実施形態に係る制御システム1000について具体的に説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、移動基地局300は、無線基地局200に比して移動にかかるコストが少ないか、速度が速いものであれば飛行する必要自体はない。
【0085】
なお、上記した実施形態では本発明を分かりやすく説明するために構成を詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【0086】
また、上記の各構成、機能、処理部等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【0087】
また、上記した各構成、機能、処理部等は、それらの一部又は全部を、例えば別の装置で実行してネットワークを介して統合処理する等により分散システムで実現してもよい。
【0088】
また、上記した実施形態の技術的要素は、単独で適用されてもよいし、プログラム部品とハードウェア部品のような複数の部分に分けられて適用されるようにしてもよい。
【0089】
以上、本発明について、実施形態を中心に説明した。
【符号の説明】
【0090】
1:無線ネットワーク、10:ネットワーク、20,30:無線ネットワーク、100:制御装置、110:端末情報収集部、120:トラフィック混雑度判定部、130:移動基地局制御部、140:変調方式情報、150:エリア情報、200:無線基地局、210:情報送信部、220:基地局通信制御部、230:通信部、300:移動基地局、310:情報送受信部、320:基地局通信制御部、330:通信部、340:移動制御部、400:端末、410:通信部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7