IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社大林組の特許一覧

<>
  • 特開-開閉フック遠隔操作装置 図1
  • 特開-開閉フック遠隔操作装置 図2
  • 特開-開閉フック遠隔操作装置 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083977
(43)【公開日】2023-06-16
(54)【発明の名称】開閉フック遠隔操作装置
(51)【国際特許分類】
   B66C 1/34 20060101AFI20230609BHJP
   B66C 13/40 20060101ALI20230609BHJP
【FI】
B66C1/34 L
B66C13/40 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021198015
(22)【出願日】2021-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】青山 裕作
(72)【発明者】
【氏名】沼崎 孝義
【テーマコード(参考)】
3F004
【Fターム(参考)】
3F004CD08
(57)【要約】
【課題】開閉フックを容易に遠隔操作できる開閉フック遠隔操作装置を提供する。
【解決手段】フック部材9とロック部材10を有する開閉フック2と、制御装置3と、駆動装置4と、を有し、制御装置3が、解除信号を受信することにより、駆動装置4にロック部材10を引き上げさせることでフック部材9を開放状態にすることができる、開閉フック遠隔操作装置1。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フック部材とロック部材を有する開閉フックと、制御装置と、駆動装置と、を有し、
前記制御装置が、解除信号を受信することにより、前記駆動装置に前記ロック部材を引き上げさせることで前記フック部材を開放状態にすることができる、開閉フック遠隔操作装置。
【請求項2】
前記駆動装置が、張力部材と、前記張力部材を巻き上げることで前記張力部材を介して前記ロック部材を引き上げ可能な巻き上げ装置と、を有する、請求項1に記載の開閉フック遠隔操作装置。
【請求項3】
前記フック部材と前記ロック部材の間に噛み込み可能な楔部材を有し、
前記巻き上げ装置が、前記張力部材を巻き上げることで前記張力部材を介して前記楔部材を引き上げて前記フック部材と前記ロック部材の間への噛み込みを解除し、さらに前記張力部材を巻き上げることで前記張力部材を介して前記ロック部材を引き上げ可能である、請求項2に記載の開閉フック遠隔操作装置。
【請求項4】
前記開閉フック、前記制御装置及び前記駆動装置を支持する支持体を有する、請求項1~3の何れか1項に記載の開閉フック遠隔操作装置。
【請求項5】
前記制御装置が音波受信機を有する、請求項1~4の何れか1項に記載の開閉フック遠隔操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は開閉フック遠隔操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フック部材とロック部材を有し、ロック部材を引き上げることでフック部材を開放状態にすることができる開閉フックが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-23122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水中に根固めブロックを設置する場合など、上記のような開閉フックを容易に遠隔操作できれば望ましい場合がある。
【0005】
そこで本発明の目的は、開閉フックを容易に遠隔操作できる開閉フック遠隔操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の開閉フック遠隔操作装置は、フック部材とロック部材を有する開閉フックと、制御装置と、駆動装置と、を有し、前記制御装置が、解除信号を受信することにより、前記駆動装置に前記ロック部材を引き上げさせることで前記フック部材を開放状態にすることができる、開閉フック遠隔操作装置である。
【0007】
本発明の開閉フック遠隔操作装置は、上記構成において、前記駆動装置が、張力部材と、前記張力部材を巻き上げることで前記張力部材を介して前記ロック部材を引き上げ可能な巻き上げ装置と、を有する、開閉フック遠隔操作装置であるのが好ましい。
【0008】
本発明の開閉フック遠隔操作装置は、上記構成において、前記フック部材と前記ロック部材の間に噛み込み可能な楔部材を有し、前記巻き上げ装置が、前記張力部材を巻き上げることで前記張力部材を介して前記楔部材を引き上げて前記フック部材と前記ロック部材の間への噛み込みを解除し、さらに前記張力部材を巻き上げることで前記張力部材を介して前記ロック部材を引き上げ可能である、開閉フック遠隔操作装置であるのが好ましい。
【0009】
本発明の開閉フック遠隔操作装置は、上記構成において、前記開閉フック、前記制御装置及び前記駆動装置を支持する支持体を有する、開閉フック遠隔操作装置であるのが好ましい。
【0010】
本発明の開閉フック遠隔操作装置は、上記構成において、前記制御装置が音波受信機を有する、開閉フック遠隔操作装置であるのが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、開閉フックを容易に遠隔操作できる開閉フック遠隔操作装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態の開閉フック遠隔操作装置を開閉フックのロック状態で示す外観図である。
図2図1とは90°異なる角度から見た時の外観図である。
図3図1に示す状態から開閉フックを開放状態にした時の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を例示説明する。
【0014】
図1図2に示すように、本発明の一実施形態において開閉フック遠隔操作装置1は、開閉フック2、制御装置3、駆動装置4、楔部材5、支持体6、一対の吊り部材7及び送信装置8を有する。開閉フック2はフック部材9とロック部材10を有し、フック部材9はベース部11と開閉部12を有する。制御装置3は処理装置3aと受信装置3bを有する。駆動装置4は、ワイヤー、ロープ、ベルト、チェーンなどの張力部材13と巻き上げ装置14とを有し、巻き上げ装置14は駆動源15、プーリー駆動軸16、筐体17及びプーリー18を有する。楔部材5は楔部5aと環状部5bを有する。支持体6は支持板19、連結板20及び3つの連結軸21を有する。送信装置8は送信部材8aを有する。
【0015】
フック部材9には、ワイヤー、ロープ、ベルト、チェーンなどの吊り索を含み、吊り荷に巻き掛けられる第1の吊り具22が玉掛けされる。また、開閉フック2、制御装置3、駆動装置4、楔部材5、支持体6及び一対の吊り部材7は、第2の吊り具23を構成する。一対の吊り部材7はそれぞれ、クレーンなどの運搬装置に第3の吊り具24を介して吊り下げられる。つまり、吊り荷は、第1の吊り具22、第2の吊り具23及び第3の吊り具24を介して運搬装置に吊り下げられ、運搬される。
【0016】
本実施形態では開閉フック遠隔操作装置1は、水中に根固めブロックや消波ブロックを設置するのに適するように構成される。このために、特に、受信装置3bは音波受信機からなり、送信装置8は音波送信機からなる。特に、可聴域の音波を用いることにより、使用者は動作を聴覚で確認しながら安心して作業することができる。なお、開閉フック遠隔操作装置1はこれに限らず、地上で所望の吊り荷を運搬するのに適する構成としてもよい。そのために例えば、受信装置3bが電波受信機からなり送信装置8が電波送信機からなる構成としてもよい。
【0017】
なお、本明細書において上下方向は、開閉フック2を支持体6等を介して運搬用の装置に吊り下げた時の状態における鉛直上下方向を意味する。
【0018】
支持体6を形成するために、下向き三角形状をなす支持板19は、下向き三角形状をなす連結板20に3つの角部のそれぞれにおいて上下方向に垂直な第1方向に延びる連結軸21を介して連結され、その結果、連結板20に対して第1方向に所定の間隔を空けて対向する。下側に位置する連結軸21(以下、下側連結軸21ともいう)は、フック部材9のベース部11に連結する。上側に位置する一対の連結軸21(以下、上側連結軸21ともいう)はそれぞれ、吊り部材7に連結する。吊り部材7は連結軸21から上方に延び、上部に通し孔7aを有する。通し孔7aには第3の吊り具24が通される。
【0019】
支持板19の第1方向に見た時の中央部には、巻き上げ装置14を通す開口が設けられ、当該開口の周縁部に巻き上げ装置14の筐体17が取り付けられる。電動モータで構成される駆動源15は、プーリー駆動軸16を介してプーリー18を第1方向に延びる第1回転軸線Oを中心に回転駆動することができる。駆動源15とプーリー駆動軸16の一部とは、耐圧・防水容器として構成される筐体17内に密封され、プーリー18は、第1方向における支持板19と連結板20との間の部分に配置される。連結板20は第1方向に見た時の中央部に開口からなる作業窓20aを有する。作業窓20aは、筐体17を支持板19に固定具によって固定する際に作業窓20aを通して容易に固定作業を行うことを可能にする。なお、筐体17を支持板19に取り付けるための構造は固定具によるものに限らず、例えば溶接などによって取り付ける構造としてもよい。また、連結板20は作業窓20aを有する構成に限らない。
【0020】
筐体17内にはさらに、コンピュータで構成される処理装置3aと受信装置3bとが密封され、駆動源15、処理装置3a及び受信装置3bは互いに動作可能に有線又は無線で電気的に接続される。なお、筐体17内には、駆動源15と処理装置3aを動作させるための図示しない電源(バッテリー)も適宜配置される。駆動源15、処理装置3a及び受信装置3bは全部を1つの筐体17内に収める構造に限らず、2つ以上の筐体17に分けて収める構造としてもよい。その場合、それぞれの筐体17を支持体6に直接取り付けてもよいし、1つ以上の筐体17を他の筐体17を介して支持体6に取り付けてもよい。送信装置8は水中、船上又は地上の作業者によって操作され、水中に配置される送信部材8aから解除信号を送信することができる。処理装置3aは、受信装置3bによって解除信号を受信することにより、駆動源15を制御してプーリー駆動軸16を介してプーリー18を第1回転軸線Oを中心に回転駆動することができる。
【0021】
プーリー18は、張力部材13を巻き掛けられる巻き掛け部18aを有し、駆動源15による第1回転軸線Oを中心とする周方向一方側へのプーリー18の回転により、張力部材13における巻き掛け部18aに巻き掛けられた部分をプーリー18の回転方向に送り、張力部材13の下側の端部を引き上げることができる。巻き掛け部18aは、本実施形態ではプーリー18の外周に沿って周方向に延びる周溝で構成され、張力部材13の上側の端部は周溝においてプーリー18に一体に取り付けられる。なお、巻き掛け部18aは周溝で構成されるものに限らない。張力部材13の下側の端部は、開閉フック2のロック部材10を引き上げることができるようにロック部材10に連結される。張力部材13の下側の端部は、図示するようにロック部材10の先端部10aに連結するのが好ましい。
【0022】
開閉フック2のフック部材9のベース部11は、下側連結軸21から下方に延びる。ベース部11は、下側連結軸21を介して支持体6に一体に連結してもよいし、下側連結軸21の第1方向に延びる軸心を中心に回転可能に連結してもよい。フック部材9の開閉部12の基端部は、ベース部11の下端部に下側軸支部25を介して連結する。下側軸支部25は、開閉部12を、第1方向に延びる第2回転軸線Pを中心に周方向の両側に回転可能にベース部11に連結する。
【0023】
開閉フック2は、開閉部12を第2回転軸線Pを中心に周方向の一方側へ回転させることにより、開閉部12が閉鎖位置にありベース部11と開閉部12の全体で第1の吊り具22の玉掛けを可能にするフック形状をなす閉鎖状態から、開閉部12が開放位置にありフック部材9への第1の吊り具22の玉掛けが外れる開放状態へ形態を変化させることができ、また、開閉部12を第2回転軸線Pを中心に周方向のもう一方側へ回転させることにより、開放状態から閉鎖状態へ形態を変化させることができる。開閉部12の先端部12aは、上記フック形状の先端部を形成する。
【0024】
ロック部材10の基端部は、ベース部11の上下方向の中間部(つまり、上端部と下端部の間に位置する部分)に上側軸支部26を介して連結する。上側軸支部26は、ロック部材10を、第1方向に延びる第3回転軸線Qを中心に周方向の両側に回転可能にベース部11に連結する。また、ロック部材10の先端部10aは、ロック部材10の回転に伴って上下方向に移動可能な自由端部を構成する。ロック部材10は、開閉部12が閉鎖位置にある状態でロック位置に位置することにより、開閉部12が閉鎖位置から開放位置に向けて回転することを規制する。つまり、開閉フック2は、開閉部12が閉鎖位置にあり、ロック部材10がロック位置にあるロック状態では、フック部材9への第1の吊り具22の玉掛けが外れることが防止される。
【0025】
また、楔部材5の楔部5aは、ロック状態でフック部材9とロック部材10の間に噛み込むことで、ロック部材10が、衝撃などにより意図せずにロック位置から解除位置に向けて回転することを規制する。より具体的には、楔部5aは、周方向において、フック部材9とロック部材10の間に噛み込み可能である。また、張力部材13における両端部の間に位置する中間部は、楔部材5の環状部5bに通される。張力部材13は、第1方向に見た時に、プーリー18から環状部5bまで延び、環状部5bで曲がってロック部材10まで延びる、くの字状をなすように配置される。
【0026】
巻き上げ装置14は、張力部材13を巻き上げることで張力部材13を介して楔部材5を引き上げてフック部材9とロック部材10の間への噛み込みを解除し、さらに張力部材13を巻き上げることで張力部材13を介してロック部材10を引き上げ可能である。このようにロック部材10を引き上げることで、図1図2に示すロック状態から、図3に示すように、開閉部12が閉鎖位置から白抜き矢印で示すように開放位置へ回転した開放状態にすることができる。
【0027】
本実施形態によれば、使用者が送信装置8を用いて解除信号を送信することにより、開閉フック2を容易にロック状態から開放状態にすることができる。また、本実施形態は支持体6を用いる構成であるので、吊り荷を上下方向に延びる中心軸線を中心とする周方向の向きを決めながら搬送したい場合に、適宜の吊り治具などを用いて第3の吊り具24の周方向の向きを決めることにより、支持体6を介して容易に吊り荷の周方向の向きを決めることができる。
【0028】
本発明は前述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0029】
したがって、前述した実施形態の開閉フック遠隔操作装置1は、フック部材9とロック部材10を有する開閉フック2と、制御装置3と、駆動装置4と、を有し、制御装置3が、解除信号を受信することにより、駆動装置4にロック部材10を引き上げさせることでフック部材9を開放状態にすることができる、開閉フック遠隔操作装置1である限り、種々変更可能である。
【0030】
例えば、楔部材5を設けない構成としてもよい。開閉フック2、制御装置3及び駆動装置4を支持する支持体6を用いない構成としてもよく、例えば、駆動装置4とフック部材9のベース部11の上端部とを吊り索で連結する構成としてもよい。また、駆動装置4は張力部材13と巻き上げ装置14を有する構成に限らず、例えば、駆動源15によってボールねじ機構を介してロック部材10を引き上げ可能に構成してもよい。
【0031】
なお、前述した実施形態の開閉フック遠隔操作装置1は、上記構成において、駆動装置4が、張力部材13と、張力部材13を巻き上げることで張力部材13を介してロック部材10を引き上げ可能な巻き上げ装置14と、を有する、開閉フック遠隔操作装置1であるのが好ましい。
【0032】
前述した実施形態の開閉フック遠隔操作装置1は、上記構成において、フック部材9とロック部材10の間に噛み込み可能な楔部材5を有し、巻き上げ装置14が、張力部材13を巻き上げることで張力部材13を介して楔部材5を引き上げてフック部材9とロック部材10の間への噛み込みを解除し、さらに張力部材13を巻き上げることで張力部材13を介してロック部材10を引き上げ可能である、開閉フック遠隔操作装置1であるのが好ましい。
【0033】
前述した実施形態の開閉フック遠隔操作装置1は、上記構成において、開閉フック2、制御装置3及び駆動装置4を支持する支持体6を有する、開閉フック遠隔操作装置1であるのが好ましい。
【0034】
前述した実施形態の開閉フック遠隔操作装置1は、上記構成において、制御装置3が音波受信機を有する、開閉フック遠隔操作装置1であるのが好ましい。
【符号の説明】
【0035】
1 開閉フック遠隔操作装置
2 開閉フック
3 制御装置
3a 処理装置
3b 受信装置
4 駆動装置
5 楔部材
5a 楔部
5b 環状部
6 支持体
7 吊り部材
7a 通し孔
8 送信装置
8a 送信部材
9 フック部材
10 ロック部材
10a 先端部
11 ベース部
12 開閉部
12a 先端部
13 張力部材
14 巻き上げ装置
15 駆動源
16 プーリー駆動軸
17 筐体
18 プーリー
18a 巻き掛け部
19 支持板
20 連結板
20a 作業窓
21 連結軸
22 第1の吊り具
23 第2の吊り具
24 第3の吊り具
25 下側軸支部
26 上側軸支部
O 第1回転軸線
P 第2回転軸線
Q 第3回転軸線
図1
図2
図3