(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084037
(43)【公開日】2023-06-16
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20230609BHJP
【FI】
H02M3/28 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021198133
(22)【出願日】2021-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【弁理士】
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】廣田 翔吾
(72)【発明者】
【氏名】花村 賢治
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AS04
5H730AS05
5H730AS08
5H730BB27
5H730BB57
5H730EE04
5H730EE56
5H730EE59
5H730FD01
5H730FD11
5H730FD31
5H730FD41
5H730FG05
(57)【要約】
【課題】、降圧動作と昇圧動作との間を滑らかに切り替える。
【解決手段】DAB(Dual Active Bridge)コンバータにおいて、制御回路13は、第1ブリッジ回路11が第1直流部と絶縁トランスTR1の一次巻線n1を導通させ、第2ブリッジ回路12が絶縁トランスTR1の二次巻線n2を第2直流部E2、Cbと導通させる伝送状態と、一次巻線n1の両端を第1ブリッジ回路11内で短絡させ、第2ブリッジ回路12が二次巻線n2を第2直流部と導通させた転流状態を含むように制御する第1の動作モードと、第1ブリッジ回路が第1直流部と一次巻線を導通させ、二次巻線の両端を第2ブリッジ回路内で短絡させた蓄積状態と、伝送状態を含むように制御する第2の動作モードと、伝送状態と蓄積状態と転流状態を含むように制御する第3の動作モードと、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1スイッチング素子と第2スイッチング素子が直列接続された第1レグと、第3スイッチング素子と第4スイッチング素子が直列接続された第2レグを有し、前記第1レグと前記第2レグが第1直流部に並列接続される第1ブリッジ回路と、
第5スイッチング素子と第6スイッチング素子が直列接続された第3レグと、第7スイッチング素子と第8スイッチング素子が直列接続された第4レグを有し、前記第3レグと前記第4レグが第2直流部に並列接続される第2ブリッジ回路と、
前記第1ブリッジ回路と前記第2ブリッジ回路の間に接続された絶縁トランスと、
前記第1スイッチング素子-前記第8スイッチング素子を制御する制御回路と、を備え、
前記第1スイッチング素子-前記第8スイッチング素子のそれぞれに、逆並列にダイオードが接続または形成されており、
前記制御回路は、
前記第1ブリッジ回路が前記第1直流部と前記絶縁トランスの一次巻線を導通させ、前記第2ブリッジ回路が前記絶縁トランスの二次巻線を前記第2直流部と導通させる伝送状態と、前記一次巻線の両端を前記第1ブリッジ回路内で短絡させ、前記第2ブリッジ回路が前記二次巻線を前記第2直流部と導通させた転流状態を含むように制御する第1の動作モードと、
前記第1ブリッジ回路が前記第1直流部と前記一次巻線を導通させ、前記二次巻線の両端を前記第2ブリッジ回路内で短絡させた蓄積状態と、前記伝送状態を含むように制御する第2の動作モードと、
前記伝送状態と前記蓄積状態と前記転流状態を含むように制御する第3の動作モードと、
を有する電力変換装置。
【請求項2】
前記伝送状態は第1パターンと第2パターンを含み、前記転流状態は第3パターンと第4パターンを含み、
前記第1パターンは、前記第1スイッチング素子と前記第4スイッチング素子がオン状態で、前記第2スイッチング素子と前記第3スイッチング素子がオフ状態で、前記第2ブリッジ回路が整流状態であり、
前記第2パターンは、前記第2スイッチング素子と前記第3スイッチング素子がオン状態で、前記第1スイッチング素子と前記第4スイッチング素子がオフ状態で、前記第2ブリッジ回路が整流状態であり、
前記第3パターンは、前記第1スイッチング素子または前記第4スイッチング素子がオン状態で、前記第4スイッチング素子または前記第1スイッチング素子、及び前記第2スイッチング素子と前記第3スイッチング素子がオフ状態で、前記第2ブリッジ回路が整流状態であり、
前記第4パターンは、前記第2スイッチング素子または前記第3スイッチング素子がオン状態で、前記第3スイッチング素子または前記第2スイッチング素子、及び前記第1スイッチング素子と前記第4スイッチング素子がオフ状態で、前記第2ブリッジ回路が整流状態である、
請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記蓄積状態は第5パターンと第6パターンを含み、
前記第5パターンは、前記第1スイッチング素子と前記第4スイッチング素子、及び前記第6スイッチング素子または前記第7スイッチング素子がオン状態で、残りのスイッチング素子がオフ状態であり、
前記第6パターンは、前記第2スイッチング素子と前記第3スイッチング素子、及び前記第5スイッチング素子または前記第8スイッチング素子がオン状態で、残りのスイッチング素子がオフ状態である、
請求項1または2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記制御回路は、各スイッチング素子のオン/オフ時間を制御することで、前記第1直流部から前記第2直流部へ伝送する電力の電圧または電流を制御する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記制御回路は、
前記第1の動作モードにおいて、前記第1レグまたは前記第2レグのデューティ比を制御することで、
前記第2の動作モードにおいて、前記第3レグまたは前記第4レグのデューティ比を制御することで、
前記第3の動作モードにおいて、前記第1レグまたは前記第2レグのデューティ比と、前記第3レグまたは前記第4レグのデューティ比を制御することで、
前記第1直流部から前記第2直流部へ伝送する電力の電圧または電流を制御する、
請求項4に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記制御回路は、
前記第1の動作モードにおいて、前記第1レグまたは前記第2レグのデューティ比が1に到達する前に、前記第3の動作モードに遷移させる、
請求項5に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記制御回路は、
前記第2の動作モードにおいて、前記第3レグまたは前記第4レグのデューティ比が0に到達する前に、前記第3の動作モードに遷移させる、
請求項5または6に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記制御回路は、
前記第1の動作モードにおいて、
前記第1スイッチング素子のターンオンに同期して、前記第4スイッチング素子をターンオンさせ、
前記第1スイッチング素子または前記第4スイッチング素子のターンオフに同期して、前記第8スイッチング素子または前記第5スイッチング素子をターンオンさせ、
前記第4スイッチング素子または前記第1スイッチング素子のターンオフに同期して、前記第8スイッチング素子または前記第5スイッチング素子をターンオフさせ、
前記第2スイッチング素子のターンオンに同期して、前記第3スイッチング素子をターンオンさせ、
前記第2スイッチング素子または前記第3スイッチング素子のターンオフに同期して、前記第7スイッチング素子または前記第6スイッチング素子をターンオンさせ、
前記第3スイッチング素子または前記第2スイッチング素子のターンオフに同期して、前記第7スイッチング素子または前記第6スイッチング素子をターンオフさせる、
請求項1から7のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記制御回路は、
前記第2の動作モードにおいて、
前記第1スイッチング素子のターンオンに同期して、前記第4スイッチング素子と、前記第6スイッチング素子または前記第7スイッチング素子をターンオンさせ、
前記第6スイッチング素子または前記第7スイッチング素子のターンオフに同期して、前記第8スイッチング素子または前記第5スイッチング素子をターンオンさせ、
前記第1スイッチング素子のターンオフに同期して、前記第4スイッチング素子と、前記第8スイッチング素子または前記第5スイッチング素子をターンオフさせ、
前記第2スイッチング素子のターンオンに同期して、前記第3スイッチング素子と、前記第5スイッチング素子または前記第8スイッチング素子をターンオンさせ、
前記第5スイッチング素子または前記第8スイッチング素子のターンオフに同期して、前記第7スイッチング素子または前記第6スイッチング素子をターンオンさせ、
前記第2スイッチング素子のターンオフに同期して、前記第3スイッチング素子と、前記第7スイッチング素子または前記第6スイッチング素子をターンオフさせる、
請求項1から8のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項10】
前記制御回路は、
前記第3の動作モードにおいて、
前記第1スイッチング素子のターンオンに同期して、前記第4スイッチング素子と、前記第6スイッチング素子または前記第7スイッチング素子をターンオンさせ、
前記第6スイッチング素子または前記第7スイッチング素子のターンオフに同期して、前記第8スイッチング素子または前記第5スイッチング素子をターンオンさせ、
前記第1スイッチング素子または前記第4スイッチング素子をターンオフさせ、
前記第4スイッチング素子または前記第1スイッチング素子のターンオフに同期して前記第8スイッチング素子または前記第5スイッチング素子をターンオフさせ、
前記第2スイッチング素子のターンオンに同期して、前記第3スイッチング素子と、前記第5スイッチング素子または前記第8スイッチング素子をターンオンさせ、
前記第5スイッチング素子または前記第8スイッチング素子のターンオフに同期して、前記第7スイッチング素子または前記第6スイッチング素子をターンオンさせ、
前記第2スイッチング素子または前記第3スイッチング素子をターンオフさせ、
前記第3スイッチング素子または前記第2スイッチング素子のターンオフに同期して、前記第7スイッチング素子または前記第6スイッチング素子をターンオフさせる、
請求項1から9のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項11】
前記制御回路は、
前記第1パターンの期間と前記第2パターンの期間を同期させ、
前記第3パターンの期間と前記第4パターンの期間を同期させる、
請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項12】
前記制御回路は、
前記第5パターンの期間と前記第6パターンの期間を同期させる、
請求項3に記載の電力変換装置。
【請求項13】
前記制御回路は、
二次側から一次側に電力を伝送する場合、
前記第1スイッチング素子-前記第4スイッチング素子に供給する駆動信号と、前記第5スイッチング素子-前記第8スイッチング素子に供給する駆動信号を入れ替える、
請求項1から12のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電力を別の電圧の直流電力に変換する電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電システムやV2H(Vehicle to Home)システムに使用されるパワーコンディショナは、高効率な電力変換が求められる。V2Hシステムは、EV/PHEVに搭載された蓄電池と、家庭内の電源/負荷との間で充放電することができる。例えば、家庭用の太陽光発電システムで発電した電力をEV/PHEVに充電することができる。また、EV/PHEVに搭載された蓄電池を、家庭内の負荷のピークシフトやバックアップ用途に利用することができる。V2Hシステムで使用されるDC/DCコンバータには高効率であることに加え、広範囲の電圧レンジと絶縁型であることが求められる。これらの要求を満たすDC/DCコンバータの一つに、DAB(Dual Active Bridge)コンバータがある。
【0003】
DABコンバータでは、位相シフト方式(例えば、特許文献1)であるかPWM(Pulse Width Modulation)方式であるかに関わらず、降圧動作と昇圧動作の間に、制御操作量の変化に対して電力が変化しない不感期間(不感帯)が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
降圧動作と昇圧動作の間の不感期間は出力電流を歪ませる要因となる。このような不感期間を発生させずに、降圧動作と昇圧動作とのシームレスな切り替えが求められる。
【0006】
本開示はこうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、降圧動作と昇圧動作との間を滑らかに切り替えることができる電力変換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の電力変換装置は、第1スイッチング素子と第2スイッチング素子が直列接続された第1レグと、第3スイッチング素子と第4スイッチング素子が直列接続された第2レグを有し、前記第1レグと前記第2レグが第1直流部に並列接続される第1ブリッジ回路と、第5スイッチング素子と第6スイッチング素子が直列接続された第3レグと、第7スイッチング素子と第8スイッチング素子が直列接続された第4レグを有し、前記第3レグと前記第4レグが第2直流部に並列接続される第2ブリッジ回路と、前記第1ブリッジ回路と前記第2ブリッジ回路の間に接続された絶縁トランスと、前記第1スイッチング素子-前記第8スイッチング素子を制御する制御回路と、を備える。前記第1スイッチング素子-前記第8スイッチング素子のそれぞれに、逆並列にダイオードが接続または形成されており、前記制御回路は、前記第1ブリッジ回路が前記第1直流部と前記絶縁トランスの一次巻線を導通させ、前記第2ブリッジ回路が前記絶縁トランスの二次巻線を前記第2直流部と導通させる伝送状態と、前記一次巻線の両端を前記第1ブリッジ回路内で短絡させ、前記第2ブリッジ回路が前記二次巻線を前記第2直流部と導通させた転流状態を含むように制御する第1の動作モードと、前記第1ブリッジ回路が前記第1直流部と前記一次巻線を導通させ、前記二次巻線の両端を前記第2ブリッジ回路内で短絡させた蓄積状態と、前記伝送状態を含むように制御する第2の動作モードと、前記伝送状態と前記蓄積状態と前記転流状態を含むように制御する第3の動作モードと、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、降圧動作と昇圧動作との間を滑らかに切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態に係る電力変換装置の構成を説明するための図である。
【
図2】
図2(a)-(c)は、電力変換装置の比較例1に係る動作状態を説明するための図である。
【
図3】
図3(a)-(c)は、電力変換装置の比較例2に係る動作状態を説明するための図である。
【
図4】
図4(a)-(d)は、電力変換装置の比較例2に係る第1スイッチング素子-第8スイッチング素子のスイッチングパターンを説明するための図である。
【
図5】
図5(a)-(d)は、電力変換装置の実施例に係る動作状態を説明するための図である。
【
図6】
図6(a)-(c)は、電力変換装置の実施例に係る第1スイッチング素子-第8スイッチング素子のスイッチングパターンを説明するための図である。
【
図7】実施例に係る第1の動作モード、第2の動作モード、第3の動作モードの切り替えを説明するための図である。
【
図8】
図8(a)-(c)は、電力変換装置の実施例に係る第1スイッチング素子-第8スイッチング素子の逆方向伝送時のスイッチングパターンを説明するための図である。
【
図9】
図9(a)-(c)は、電力変換装置の変形例に係る第1スイッチング素子-第8スイッチング素子のスイッチングパターンを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、実施の形態に係る電力変換装置1の構成を説明するための図である。電力変換装置1は絶縁型の双方向DC/DCコンバータ(DABコンバータ)であり、第1直流電源E1から供給される直流電力を変換して第2直流電源E2に伝送する。また電力変換装置1は、第2直流電源E2から供給される直流電力を変換して第1直流電源E1に伝送する。電力変換装置1は降圧して電力伝送することも、昇圧して電力伝送することも可能である。
【0011】
第1直流電源E1は例えば、EVに搭載された蓄電池や電気二重層コンデンサ、又は定置型の蓄電池や電気二重層コンデンサが該当する。第2直流電源E2は例えば、インバータを介して商用電力系統に接続された直流バスが該当する。当該直流バスには、他のDC/DCコンバータを介して他の蓄電池、太陽電池、燃料電池等が接続されていてもよい。
【0012】
電力変換装置1は、一次側コンデンサCa、第1ブリッジ回路11、第1インダクタンスL1、絶縁トランスTR1、第2インダクタンスL2、第2ブリッジ回路12、二次側コンデンサCb及び制御回路13を備える。
【0013】
第1直流電源E1と並列に一次側コンデンサCaが接続される。第2直流電源E2と並列に二次側コンデンサCbが接続される。一次側コンデンサCa及び二次側コンデンサCbには例えば、電解コンデンサが使用される。本明細書では、第1直流電源E1と一次側コンデンサCaを総称して第1直流部と呼び、第2直流電源E2と二次側コンデンサCbを総称して第2直流部と呼ぶ。
【0014】
第1ブリッジ回路11は、第1スイッチング素子Q1と第2スイッチング素子Q2が直列接続された第1レグと、第3スイッチング素子Q3と第4スイッチング素子Q4が直列接続された第2レグが並列接続されて構成されるフルブリッジ回路である。第1ブリッジ回路11は第1直流部と並列接続され、第1レグの中点と第2レグの中点が、絶縁トランスTR1の一次巻線n1の両端にそれぞれ接続される。第1ブリッジ回路11は、第1直流部から供給される一次側の直流電圧を交流電圧に変換して、絶縁トランスTR1の一次巻線n1に出力することができる。また第1ブリッジ回路11は、絶縁トランスTR1の一次巻線n1から供給される交流電圧を直流電圧に変換して、第1直流部に出力することができる。
【0015】
第2ブリッジ回路12は、第5スイッチング素子Q5と第6スイッチング素子Q6が直列接続された第3レグと、第7スイッチング素子Q7と第8スイッチング素子Q8が直列接続された第4レグが並列接続されて構成されるフルブリッジ回路である。第2ブリッジ回路12は第2直流部と並列接続され、第3レグの中点と第4レグの中点が、絶縁トランスTR1の二次巻線n2の両端にそれぞれ接続される。第2ブリッジ回路12は、第2直流部から供給される二次側の直流電圧を交流電圧に変換して、絶縁トランスTR1の二次巻線n2に出力することができる。また第2ブリッジ回路12は、絶縁トランスTR1の二次巻線n2から供給される交流電圧を直流電圧に変換して、第2直流部に出力することができる。
【0016】
第1スイッチング素子Q1-第8スイッチング素子Q8にはそれぞれ、第1ダイオードD1-第8ダイオードD8が逆並列に接続または形成される。また、第1スイッチング素子Q1-第8スイッチング素子Q8にはそれぞれ、第1容量C1-第8容量C8が並列に接続または形成される。
【0017】
第1スイッチング素子Q1-第8スイッチング素子Q8には例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)を使用できる。第1スイッチング素子Q1-第8スイッチング素子Q8にIGBTが使用される場合、第1スイッチング素子Q1-第8スイッチング素子Q8のコレクタ・エミッタ間に外付けのダイオード素子を第1ダイオードD1-第8ダイオードD8としてそれぞれ接続する。また、第1スイッチング素子Q1-第8スイッチング素子Q8のコレクタ・エミッタ間に外付けのコンデンサを第1容量C1-第8容量C8としてそれぞれ接続するか、第1スイッチング素子Q1-第8スイッチング素子Q8のコレクタ・エミッタ間にそれぞれ形成される寄生容量を第1容量C1-第8容量C8として使用する。
【0018】
第1スイッチング素子Q1-第8スイッチング素子Q8にMOSFETが使用される場合、第1スイッチング素子Q1-第8スイッチング素子Q8のドレイン・ソース間にそれぞれ形成される寄生ダイオードを第1ダイオードD1-第8ダイオードD8として使用するか、外付けのダイオード素子を第1ダイオードD1-第8ダイオードD8としてそれぞれ接続する。また、第1スイッチング素子Q1-第8スイッチング素子Q8のドレイン・ソース間にそれぞれ形成される寄生容量を第1容量C1-第8容量C8として使用するか、第1スイッチング素子Q1-第8スイッチング素子Q8のドレイン・ソース間に外付けのコンデンサを第1容量C1-第8容量C8としてそれぞれ接続する。
【0019】
第1スイッチング素子Q1-第8スイッチング素子Q8にそれぞれ並列に接続または形成される第1容量C1-第8容量C8の容量値は全て対応している。即ち、第1スイッチング素子Q1-第8スイッチング素子Q8のコレクタ・エミッタ間またはドレイン・ソース間の容量値は実質的に等しい。同様に、第1スイッチング素子Q1-第8スイッチング素子Q8にそれぞれ逆並列に接続または形成される第1ダイオードD1-第8ダイオードD8の抵抗値も全て対応している。このように、第1レグ-第4レグの構成は全て対応しており、製造コストと回路面積の低減に寄与している。また、どのようなスイッチングパターンにも柔軟に対応することができる。
【0020】
絶縁トランスTR1は、第1ブリッジ回路11の交流端子と第2ブリッジ回路12の交流端子との間に接続される。絶縁トランスTR1は、一次巻線n1に接続される第1ブリッジ回路11の出力電圧を、一次巻線n1と二次巻線n2の巻数比に応じて変換し、二次巻線n2に接続される第2ブリッジ回路12に出力する。また絶縁トランスTR1は、二次巻線n2に接続される第2ブリッジ回路12の出力電圧を、二次巻線n2と一次巻線n1の巻数比に応じて変換し、一次巻線n1に接続される第1ブリッジ回路11に出力する。
【0021】
第1インダクタンスL1は、第1ブリッジ回路11の交流端子と絶縁トランスTR1の一次巻線n1の間に、直列に接続または形成される。第2インダクタンスL2は、第2ブリッジ回路12の交流端子と絶縁トランスTR1の二次巻線n2の間に、直列に接続または形成される。
図1に示す例では、第1インダクタンスL1は、第1ブリッジ回路11の第1レグの中点と絶縁トランスTR1の一次巻線n1との間に接続されたリアクトル素子で構成されている。第2インダクタンスL2は、第2ブリッジ回路12の第3レグの中点と絶縁トランスTR1の二次巻線n2との間に接続されたリアクトル素子で構成されている。
【0022】
なお、第1インダクタンスL1は、第1ブリッジ回路11の第1レグの中点と、絶縁トランスTR1の一次巻線n1との間に形成される一次巻線n1の漏れインダクタンスで構成されてもよい。第2インダクタンスL2は、第2ブリッジ回路12の第3レグの中点と、絶縁トランスTR1の二次巻線n2との間に形成される二次巻線n2の漏れインダクタンスで構成されてもよい。なお、第1インダクタンスL1と第2インダクタンスL2のいずれか一方が省略されてもよい。
【0023】
図1には示していないが、第1直流部の両端電圧を検出する第1電圧センサ、第1直流部に流れる電流を検出する第1電流センサ、第2直流部の両端電圧を検出する第2電圧センサ、及び第2直流部に流れる電流を検出する第2電流センサが設けられ、それぞれの検出値が制御回路13に出力される。
【0024】
制御回路13は、第1スイッチング素子Q1-第8スイッチング素子Q8のゲート端子またはベース端子に駆動信号(PWM(Pulse Width Modulation)信号)を供給することにより、第1スイッチング素子Q1-第8スイッチング素子Q8を制御する。制御回路13の構成は、ハードウェア資源とソフトウェア資源の協働、又はハードウェア資源のみにより実現できる。ハードウェア資源としてアナログ素子、マイクロコントローラ、DSP、ROM、RAM、ASIC、FPGA、その他のLSIを利用できる。ソフトウェア資源としてファームウェア等のプログラムを利用できる。
【0025】
制御回路13は基本制御として以下の制御を実行する。制御回路13は、第1直流部から第2直流部へ電力伝送する際(第1直流電源E1から放電する際)、第1電流センサにより検出される電流値(放電電流値)が電流指令値を維持するように、又は第1電圧センサにより検出される電圧値(放電電圧値)が電圧指令値を維持するように第1スイッチング素子Q1-第8スイッチング素子Q8を制御する。なお、第2電流センサにより検出される二次側の電流値を制御してもよいし、第2電圧センサにより検出される二次側の電圧値を制御してもよい。
【0026】
また制御回路13は、第2直流部から第1直流部へ電力伝送する際(第1直流電源E1に充電する際)、第1電流センサにより検出される電流値(充電電流値)が電流指令値を維持するように、又は第1電圧センサにより検出される電圧値(充電電圧値)が電圧指令値を維持するように第1スイッチング素子Q1-第8スイッチング素子Q8を制御する。なお、第2電流センサにより検出される二次側の電流値を制御してもよいし、第2電圧センサにより検出される二次側の電圧値を制御してもよい。
【0027】
このようにDABコンバータは、一次側と二次側が対称な構成であり、双方向に電力伝送することができる。以下、電力変換装置1の動作を説明する。
【0028】
(比較例1)
図2(a)-(c)は、電力変換装置1の比較例1に係る動作状態を説明するための図である。
図2(a)に示す第1状態では、制御回路13は、第1スイッチング素子Q1、第4スイッチング素子Q4、第6スイッチング素子Q6及び第7スイッチング素子Q7をオン状態、第2スイッチング素子Q2、第3スイッチング素子Q3、第5スイッチング素子Q5及び第8スイッチング素子Q8をオフ状態に制御する。この状態では第1直流電源E1から第1インダクタンスL1に電力が充電され、第2直流電源E2から第2インダクタンスL2に電力が充電される。
【0029】
図2(b)に示す第2状態では、制御回路13は、第1スイッチング素子Q1、第4スイッチング素子Q4、第5スイッチング素子Q5及び第8スイッチング素子Q8をオン状態、第2スイッチング素子Q2、第3スイッチング素子Q3、第6スイッチング素子Q6及び第7スイッチング素子Q7をオフ状態に制御する。この状態では第1直流電源E1の電力と、第1インダクタンスL1に蓄積された電力と、第2インダクタンスL2に蓄積された電力が第2直流電源E2に伝送される。
【0030】
第3状態(不図示)では、制御回路13は、第2スイッチング素子Q2、第3スイッチング素子Q3、第5スイッチング素子Q5及び第8スイッチング素子Q8をオン状態、第1スイッチング素子Q1、第4スイッチング素子Q4、第6スイッチング素子Q6及び第7スイッチング素子Q7をオフ状態に制御する。この状態では第1直流電源E1から第1インダクタンスL1に電力が充電され、第2直流電源E2から第2インダクタンスL2に電力が充電される。
【0031】
第4状態(不図示)では、制御回路13は、第2スイッチング素子Q2、第3スイッチング素子Q3、第6スイッチング素子Q6及び第7スイッチング素子Q7をオン状態、第1スイッチング素子Q1、第4スイッチング素子Q4、第5スイッチング素子Q5及び第8スイッチング素子Q8をオフ状態に制御する。この状態では第1直流電源E1の電力と、第1インダクタンスL1に蓄積された電力と、第2インダクタンスL2に蓄積された電力が第2直流電源E2に伝送される。
【0032】
当該比較例1に係る制御では、第1状態(
図2(a)参照)と第3状態(不図示)で、第2直流電源E2の電力が第2インダクタンスL2に充電されている。その後の第2状態(
図2(b)参照)と第4状態(不図示)で、第2インダクタンスL2に蓄積された電力が第2直流電源E2に放電されている。即ち、二次側において電力伝送に関係ない無効電流が流れている。この無効電流が流れることにより無駄な損失が発生している。
【0033】
図2(c)は、
図2(b)に示した第2状態において、第1直流電源E1の電圧が第2直流電源E2の電圧に対して大きく低下した場合の電流の流れを示している。第2直流電源E2の電圧が第1直流電源E1の電圧に対して高くなると、電流の向きが逆になり、第2直流電源E2から第1直流電源E1に電流が逆流する。この状態において、次の状態に遷移するために第1スイッチング素子Q1及び第4スイッチング素子Q4がターンオフされ、第2スイッチング素子Q2及び第3スイッチング素子Q3がターンオンされると、第2スイッチング素子Q2及び第3スイッチング素子Q3がハードスイッチングになり、また、第1スイッチング素子Q1の第1ダイオードD1及び第4スイッチング素子Q4の第4ダイオードD4はリカバリ動作となり、損失が増加する。
【0034】
(比較例2)
図3(a)-(c)は、電力変換装置1の比較例2に係る動作状態を説明するための図である。
図4(a)-(d)は、電力変換装置1の比較例2に係る第1スイッチング素子Q1-第8スイッチング素子Q8のスイッチングパターンを説明するための図である。比較例2では、位相シフト方式を採用している。第1スイッチング素子Q1-第6スイッチング素子Q6のデューティ比は50%で固定され、第7スイッチング素子Q7及び第8スイッチング素子Q8は全オフ状態を維持する。
【0035】
図4(a)-(b)に示すように比較例2の降圧動作では、第1レグ(第1スイッチング素子Q1と第2スイッチング素子Q2)の位相が固定、第2レグ(第3スイッチング素子Q3と第4スイッチング素子Q4)の位相が可変とされ、第2レグの位相が制御されることにより、第1レグと第2レグの位相差θ1が制御される。第3レグ(第5スイッチング素子Q5と第6スイッチング素子Q6)は、第2レグに同期して制御される。制御回路13は、一次側から二次側へ伝送する電力を増加させる場合、位相差θ1が小さくなるように制御し(第2レグの位相を左にシフト)、一次側から二次側へ伝送する電力を減少させる場合、位相差θ1が大きくなるように制御する(第2レグの位相を右にシフト)。
【0036】
図4(c)-(d)に示すように比較例2の昇圧動作では、第1レグ及び第2レグの位相が固定、第3レグの位相が可変とされ、第3レグの位相が制御されることにより、第1レグ及び第2レグと、第3レグとの位相差θ2が制御される。制御回路13は、一次側から二次側へ伝送する電力を増加させる場合、位相差θ2が大きくなるように制御し(第3レグの位相を右にシフト)、一次側から二次側へ伝送する電力を減少させる場合、位相差θ2が小さくなるように制御する(第3レグの位相を左にシフト)。
【0037】
図3(a)は、第1直流電源E1から第2直流電源E2へ電力が伝送される状態を示している(以下、伝送状態という)。なお、伝送状態では二次側の第2ブリッジ回路12は整流状態であればよく、第3レグを構成する第5スイッチング素子Q5及び第6スイッチング素子Q6の両方がオフ状態に制御されてもよい。
【0038】
図3(b)は、第1インダクタンスL1及び第2インダクタンスL2から第2直流電源E2へ電力が伝送される状態を示している(以下、転流状態という)。
図3(c)は、第1直流電源E1から第1インダクタンスL1及び第2インダクタンスL2に電力が蓄積される状態を示している(以下、蓄積状態という)。
【0039】
降圧動作では伝送状態と転流状態の比率で、伝送される電力の電圧または電流が制御される。転流状態の比率が高いほど、伝送される電力の電圧または電流が低く制御される。昇圧動作では伝送状態と蓄積状態の比率で、伝送される電力の電圧または電流が制御される。蓄積状態の比率が高いほど、伝送される電力の電圧または電流が高く制御される。
【0040】
比較例2では、第7スイッチング素子Q7及び第8スイッチング素子Q8は全オフ状態を維持するため第2直流電源E2から、第2インダクタンスL2、第1インダクタンスL1及び第1直流電源E1に電流が逆流することはない。即ち、比較例1に示したような第2直流電源E2から電流が逆流することによる無効電流が発生しない。また、第2直流電源E2の電圧が第1直流電源E1の電圧に対して高くなっても、第2直流電源E2から第1直流電源E1に電流が逆流することはない。したがって、第1ダイオードD1及び第4ダイオードD4によるリカバリ損失、及び第2スイッチング素子Q2及び第3スイッチング素子Q3のハードスイッチングを抑制できる。
【0041】
しかしながら、
図4(b)に示す降圧動作の最大電力時スイッチングパターンから、
図4(c)に示す昇圧動作の最小電力時スイッチパターンに遷移する際、第3レグのデッドタイムTdを挿入する必要がある。即ち、降圧動作から昇圧動作に遷移するには伝送状態から蓄積状態に遷移させる必要があり、その遷移の間にデッドタイムTdを挿入する必要がある。このデッドタイムTdは、制御操作量の変化(スイッチング波形の変化)に対して、伝送される電力が変化しない期間(不感期間)となる。即ち、制御回路13が伝送する電力を増加させるように制御しているが、実際には電力が増加しない期間となる。この不感期間により、出力電流に歪みが発生しやすくなる。以下、本実施例では、第2直流電源E2からの逆流も発生せず、不感期間も発生しないDABコンバータの制御方法を提案する。なお、不感期間はPWM方式でも発生する。
【0042】
(実施例)
図5(a)-(d)は、電力変換装置1の実施例に係る動作状態を説明するための図である。
図6(a)-(c)は、電力変換装置1の実施例に係る第1スイッチング素子Q1-第8スイッチング素子Q8のスイッチングパターンを説明するための図である。本実施例はPWM方式を採用しており、制御回路13は、第1スイッチング素子Q1-第8スイッチング素子Q8の各スイッチング素子のオン/オフ時間を制御することで、第1直流部から第2直流部へ伝送する電力の電圧または電流を制御する。
【0043】
本実施例でも伝送状態、転流状態、蓄積状態を切り替えることにより、伝送される電力の電圧または電流を制御する。伝送状態は、第1ブリッジ回路11が第1直流部と絶縁トランスTR1の一次巻線n1を導通させ、第2ブリッジ回路12が絶縁トランスTR1の二次巻線n2を第2直流部と導通させた状態である。
【0044】
伝送状態は、第1パターンと第2パターンを含む。第1パターンは、第1スイッチング素子Q1と第4スイッチング素子Q4がオン状態で、第2スイッチング素子Q2と第3スイッチング素子Q3がオフ状態で、第2ブリッジ回路12が整流状態であるパターンである(
図5(a)-(b)参照)。
図5(a)に示す伝送状態aは二次側をダイオード整流させた例であり、
図5(b)に示す伝送状態bは二次側を同期整流させた例である。第2パターンは、第2スイッチング素子Q2と第3スイッチング素子Q3がオン状態で、第1スイッチング素子Q1と第4スイッチング素子Q4がオフ状態で、第2ブリッジ回路12が整流状態であるパターンである。
【0045】
転流状態は、絶縁トランスTR1の一次巻線n1の両端が第1ブリッジ回路12内で短絡し、第2ブリッジ回路12が絶縁トランスTR1の二次巻線n2を第2直流部と導通させた状態である。転流状態は、第3パターンと第4パターンを含む。第3パターンは、第1スイッチング素子Q1または第4スイッチング素子Q4がオン状態で、第4スイッチング素子Q4または第1スイッチング素子Q1、及び第2スイッチング素子Q2と第3スイッチング素子Q3がオフ状態で、第2ブリッジ回路12が整流状態であるパターンである(
図5(c)参照)。第4パターンは、第2スイッチング素子Q2または第3スイッチング素子Q3がオン状態で、第3スイッチング素子Q3または第2スイッチング素子Q2、及び第1スイッチング素子Q1と第4スイッチング素子Q4がオフ状態で、第2ブリッジ回路12が整流状態であるパターンである。
【0046】
蓄積状態は、第1ブリッジ回路11が第1直流部と絶縁トランスTR1の一次巻線n1を導通させ、絶縁トランスTR1の二次巻線n2の両端が第2ブリッジ回路12内で短絡した状態である。蓄積状態は、第5パターンと第6パターンを含む。第5パターンは、第1スイッチング素子Q1と第4スイッチング素子Q4、及び第6スイッチング素子Q6または第7スイッチング素子Q7がオン状態で、残りのスイッチング素子がオフ状態であるパターンである。第6パターンは、第2スイッチング素子Q2と第3スイッチング素子Q3、及び第5スイッチング素子Q5または第8スイッチング素子Q8がオン状態で、残りのスイッチング素子がオフ状態であるパターンである。
【0047】
制御回路13は、第1パターンの期間と第2パターンの期間を同期させる。即ち、第1パターンの期間と第2パターンの期間を実質的に同じ時間に制御する。また制御回路13は、第3パターンの期間と第4パターンの期間を同期させる。即ち、第3パターンの期間と第4パターンの期間を実質的に同じ時間に制御する。また制御回路13は、第5パターンの期間と第6パターンの期間を同期させる。即ち、第5パターンの期間と第6パターンの期間を実質的に同じ時間に制御する。これらの制御により、正負対称な動作となり、絶縁トランスTR1に直流偏磁が発生することを抑制することができる。
【0048】
図6(a)は、第1の動作モードのスイッチングパターンを示す。第1の動作モードは降圧時の動作モードである。第1の動作モードでは、第1レグと第2レグの一方のレグのデューティ比を100%(時比率=1)に固定し、他方のレグのデューティ比を可変とする。本実施例では、デューティ比=100%(時比率=1)を、(半周期(Tsw/2)-デッドタイムTd)とする。
図6(a)に示す例では第2レグのデューティ比を100%に固定し、第1レグのデューティ比を可変としている。第1レグのデューティ比が大きくなる(オン時間が長くなる)ほど、転流期間より伝送期間が長くなり、伝送される電力が増加する。このように降圧動作では、一次側のPWM制御で、伝送される電力の電圧または電流が制御される。
【0049】
第1の動作モードにおいて、制御回路13は、第1スイッチング素子Q1のターンオンに同期して、第4スイッチング素子Q4をターンオンさせる。次に制御回路13は、第1スイッチング素子Q1のターンオフに同期して、第8スイッチング素子Q8をターンオンさせる。なお、第2レグのデューティ比を可変とする場合、第1スイッチング素子Q1ではなく第4スイッチング素子Q4をターンオフさせる。
【0050】
第8スイッチング素子Q8をターンオンさせることにより同期整流させている。同期整流はダイオード整流より損失が少ないため、第8スイッチング素子Q8がオフ状態で第8ダイオードD8を電流が通過する場合と比較して、二次側の損失が低減される。また、第5スイッチング素子Q5がオフ状態で第5ダイオードD5を電流が通過することにより、二次側に流れる電流の向きが反転することを防止することができる。なお、第8スイッチング素子Q8の代わりに第5スイッチング素子Q5をターンオンさせてもよい。なお、同期整流させない場合は、第8スイッチング素子Q8及び第5スイッチング素子Q5をターンオンさせる必要はない。
【0051】
次に制御回路13は、第4スイッチング素子Q4のターンオフに同期して、第8スイッチング素子Q8をターンオフさせる。
【0052】
デッドタイムTdを挟み、制御回路13は、第2スイッチング素子Q2のターンオンに同期して、第3スイッチング素子Q3をターンオンさせる。次に制御回路13は、第2スイッチング素子Q2のターンオフに同期して、第7スイッチング素子Q7をターンオンさせる。なお、第2レグのデューティ比を可変とする場合、第2スイッチング素子Q2ではなく第3スイッチング素子Q3をターンオフさせる。
【0053】
第7スイッチング素子Q7をターンオンさせることにより同期整流させている。なお、第7スイッチング素子Q7の代わりに第6スイッチング素子Q6をターンオンさせてもよい。なお、同期整流させない場合は、第7スイッチング素子Q7及び第6スイッチング素子Q6をターンオンさせる必要はない。
【0054】
次に制御回路13は、第3スイッチング素子Q3のターンオフに同期して、第7スイッチング素子Q7をターンオフさせる。以上により一サイクルが終了する。
【0055】
図6(b)は、第2の動作モードのスイッチングパターンを示す。第2の動作モードは昇圧時の動作モードである。第2の動作モードでは、第1レグと第2レグの両方のデューティ比を100%に固定し、第3レグと第4レグの一方のレグのデューティ比を可変とし、他方のレグを一方のレグと相補動作させるか全オフ状態とする。
図6(b)に示す例では第3レグのデューティ比で伝送される電力を制御しており、第3レグのデューティ比が大きくなる(オン時間が長くなる)ほど、伝送期間より蓄積期間が長くなり、伝送される電力が増加する。このように昇圧動作では、二次側のPWM制御で、伝送される電力の電圧または電流が制御される。
【0056】
第2の動作モードにおいて、制御回路13は、第1スイッチング素子Q1のターンオンに同期して、第4スイッチング素子Q4と第6スイッチング素子Q6をターンオンさせる。なお、第6スイッチング素子Q6の代わりに第7スイッチング素子Q7をターンオンさせてもよい。
【0057】
次に制御回路13は、第6スイッチング素子Q6のターンオフに同期して、第8スイッチング素子Q8をターンオンさせる。なお、第6スイッチング素子Q6の代わりに第7スイッチング素子Q7がターンオフされる場合は、第8スイッチング素子Q8の代わりに第5スイッチング素子Q5をターンオンさせる。なお、同期整流させない場合は、第8スイッチング素子Q8及び第5スイッチング素子Q5をターンオンさせる必要はない。
【0058】
次に制御回路13は、第1スイッチング素子Q1のターンオフに同期して、第4スイッチング素子Q4と第8スイッチング素子Q8をターンオフさせる。デッドタイムTdを挟み、制御回路13は、第2スイッチング素子Q2のターンオンに同期して、第3スイッチング素子Q3と第5スイッチング素子Q5をターンオンさせる。なお、第5スイッチング素子Q5の代わりに第8スイッチング素子Q8をターンオンさせてもよい。
【0059】
次に制御回路13は、第5スイッチング素子Q5のターンオフに同期して、第7スイッチング素子Q7をターンオンさせる。なお、第5スイッチング素子Q5の代わりに第8スイッチング素子Q8がターンオフされる場合は、第7スイッチング素子Q7の代わりに第6スイッチング素子Q6をターンオンさせる。なお、同期整流させない場合は、第7スイッチング素子Q7及び第6スイッチング素子Q6をターンオンさせる必要はない。
【0060】
次に制御回路13は、第2スイッチング素子Q2のターンオフに同期して、第3スイッチング素子Q3と第7スイッチング素子Q7をターンオフさせる。以上により一サイクルが終了する。
【0061】
図6(c)は、第3の動作モードのスイッチングパターンを示す。第3の動作モードは降圧動作から昇圧動作に切り替わる時の動作モードである。第3の動作モードは、降圧動作モードにおいて、第1レグのデューティ比が、デッドタイムに相当する時比率を100%から減算した閾値αに到達した際に発動される。閾値αは任意の値に適宜設定できる。第3の動作モードでは、第1の動作モードの一次側のPWM制御による電力制御と、第2の動作モードの二次側のPWM制御による電力制御が併存する。
【0062】
第3の動作モードにおいて、制御回路13は、第1スイッチング素子Q1のターンオンに同期して、第4スイッチング素子Q4と第6スイッチング素子Q6をターンオンさせる。なお、第6スイッチング素子Q6の代わりに第7スイッチング素子Q7をターンオンさせてもよい。
【0063】
次に制御回路13は、第6スイッチング素子Q6のターンオフに同期して、第8スイッチング素子Q8をターンオンさせる。なお、第6スイッチング素子Q6の代わりに第7スイッチング素子Q7がターンオフされる場合は、第8スイッチング素子Q8の代わりに第5スイッチング素子Q5をターンオンさせる。なお、同期整流させない場合は、第8スイッチング素子Q8及び第5スイッチング素子Q5をターンオンさせる必要はない。
【0064】
次に制御回路13は、第1スイッチング素子Q1をターンオフさせる。なお、第2レグのデューティ比を可変とする場合、第1スイッチング素子Q1ではなく第4スイッチング素子Q4をターンオフさせる。
【0065】
次に制御回路13は、第4スイッチング素子Q4のターンオフに同期して、第8スイッチング素子Q8をターンオフさせる。なお、第2レグのデューティ比を可変とする場合、第4スイッチング素子Q4ではなく第1スイッチング素子Q1をターンオフさせる。
【0066】
デッドタイムTdを挟み、制御回路13は、第2スイッチング素子Q2のターンオンに同期して、第3スイッチング素子Q3と第5スイッチング素子Q5をターンオンさせる。なお、第5スイッチング素子Q5の代わりに第8スイッチング素子Q8をターンオンさせてもよい。
【0067】
次に制御回路13は、第5スイッチング素子Q5のターンオフに同期して、第7スイッチング素子Q7をターンオンさせる。なお、第5スイッチング素子Q5の代わりに第8スイッチング素子Q8がターンオフされる場合は、第7スイッチング素子Q7の代わりに第6スイッチング素子Q6をターンオンさせる。なお、同期整流させない場合は、第7スイッチング素子Q7及び第6スイッチング素子Q6をターンオンさせる必要はない。
【0068】
次に制御回路13は、第2スイッチング素子Q2をターンオフさせる。なお、第2レグのデューティ比を可変とする場合、第2スイッチング素子Q2ではなく第3スイッチング素子Q3をターンオフさせる。
【0069】
次に制御回路13は、第3スイッチング素子Q3のターンオフに同期して、第7スイッチング素子Q7をターンオフさせる。なお、第2レグのデューティ比を可変とする場合、第3スイッチング素子Q3ではなく第2スイッチング素子Q2をターンオフさせる。以上により一サイクルが終了する。
【0070】
図7は、実施例に係る第1の動作モード、第2の動作モード、第3の動作モードの切り替えを説明するための図である。本実施例では、第1の動作モード(降圧)と第2の動作モード(昇圧)の間に第3の動作モードが介在する。
【0071】
制御回路13は、制御対象の電圧または電流の目標値と、実際の検出値との偏差をもとに制御操作量を算出する。例えば、偏差をPI補償して制御操作量を算出する。制御回路13は、算出した制御操作量をもとに動作モードを切り替える。
【0072】
第1の動作モードでは、制御回路13は、第1レグをPWM制御し、第2レグをデューティ比100%に固定し、第3レグを全オフ状態とし、第4レグを第1レグと相補動作させる。なお、同期整流させない場合は、第4レグも全オフ状態とする。
【0073】
第2の動作モードでは、制御回路13は、第1レグ及び第2レグをデューティ比100%に固定し、第3レグをPWM制御し、第4レグを第3レグと相補動作させる。なお、同期整流させない場合は、第4レグを全オフ状態とする。
【0074】
第3の動作モードでは、制御回路13は、第1レグをPWM制御し、第2レグをデューティ比100%に固定し、第3レグをPWM制御し、第4レグを第3レグと相補動作させる。なお、同期整流させない場合は、第4レグを全オフ状態とする。
【0075】
制御回路13は、第1の動作モードから第3の動作モードへ、第1レグのデューティ比が、デッドタイムに相当する時比率を100%から減算した閾値αまで上昇したタイミングで切り替える。制御回路13は、第3レグのデューティ比が、デッドタイムに相当する時比率を0%に加算した閾値βまで上昇したタイミングまで、第1レグのPWM制御を継続する。閾値βは任意の値に適宜設定できる。
【0076】
制御回路13は、第2の動作モードから第3の動作モードへ、第3レグのデューティ比が閾値βまで低下したタイミングで切り替える。制御回路13は、第1レグのデューティ比が閾値βまで低下したタイミングまで、第3レグのPWM制御を継続する。
【0077】
このように制御回路13は、第1の動作モードにおいて、第1レグのデューティ比を制御することで、第1直流部から第2直流部へ伝送する電力の電圧または電流を制御する。また制御回路13は、第2の動作モードにおいて、第3レグのデューティ比を制御することで、第1直流部から第2直流部へ伝送する電力の電圧または電流を制御する。また制御回路13は、第3の動作モードにおいて、第1レグのデューティ比と第3レグのデューティ比を制御することで、第1直流部から第2直流部へ伝送する電力の電圧または電流を制御する。制御回路13は、第1の動作モードにおいて、第1レグのデューティ比が1に到達する前に、第3の動作モードに遷移させる。また制御回路13は、第2の動作モードにおいて、第3レグのデューティ比が0に到達する前に、第3の動作モードに遷移させる。
【0078】
図8(a)-(c)は、電力変換装置1の実施例に係る第1スイッチング素子Q1-第8スイッチング素子Q8の逆方向伝送時のスイッチングパターンを説明するための図である。
図6(a)-(c)に示した第1スイッチング素子Q1-第8スイッチング素子Q8のスイッチングパターンでは、第1直流部から第2直流部へ電力を伝送する例を説明した。この点、第2直流部から第1直流部へ電力を伝送することも可能である。この場合、
図8(a)-(c)に示すように、制御回路13は、第1スイッチング素子Q1-第4スイッチング素子Q4に供給する駆動信号と、第5スイッチング素子Q5-第8スイッチング素子Q8に供給する駆動信号を入れ替えればよい。
【0079】
以上説明したように本実施例によれば、第3の動作モードを設けることにより、降圧動作と昇圧動作との間を滑らかに切り替えることができる。比較例2のように降圧動作と昇圧動作の間に不感期間が発生せず、出力電流の歪みの発生を抑制することができる。
【0080】
また、第2直流電源E2から、第2インダクタンスL2、第1インダクタンスL1及び第1直流電源E1に電流が逆流する期間が発生せず、第2直流電源E2から電流が逆流することによる無効電流が発生しない。また、第2直流電源E2の電圧が第1直流電源E1の電圧に対して高くなっても、第2直流電源E2から第1直流電源E1に電流が逆流することはない。したがって、第1ダイオードD1及び第4ダイオードD4によるリカバリ損失、及び第2スイッチング素子Q2及び第3スイッチング素子Q3のハードスイッチングを抑制できる。
【0081】
また本実施例によれば、位相シフト方式ではなくPWM方式で制御しているため、第1スイッチング素子Q1-第8スイッチング素子Q8の全オフ状態のデッドタイムを容易に生成することができる。これにより、ダイオードのリカバリ損失の発生を抑制することができる。このように本実施例によれば、降圧動作と昇圧動作との間を滑らかに切り替えることができ、かつ高効率化を図ることができる。
【0082】
以上、本開示を実施の形態をもとに説明した。実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0083】
上記実施例では、一次側も二次側もPWM制御方式で電力制御する例を説明した。以下の変形例では、一次側を位相シフト方式で、二次側をPWM方式で電力制御する例を説明する。
【0084】
図9(a)-(c)は、電力変換装置1の変形例に係る第1スイッチング素子Q1-第8スイッチング素子Q8のスイッチングパターンを説明するための図である。
図9(a)は、変形例に係る第1の動作モードのスイッチングパターンを示す。第1の動作モードは降圧時の動作モードである。第1の動作モードでは、第1レグと第2レグの一方の位相を固定し、他方のレグの位相をシフトさせる。
図9(a)に示す例では第2レグの位相を固定し、第1レグの位相をシフトさせている。第1レグと第2レグの位相差が小さくなるほど、転流期間より伝送期間が長くなり、伝送される電力が増加する。なお、
図9(a)に示す転流期間には、第2ダイオードD2が導通してダイオード整流する転流期間aと、第2スイッチング素子Q2が同期整流する転流期間bの2種類が含まれる。このように降圧動作では、一次側の位相シフト制御で、伝送される電力の電圧または電流が制御される。なお、二次側の制御は、
図6(a)に示した上記実施例の制御と同様である。
【0085】
図9(b)は、第2の動作モードのスイッチングパターンを示す。第2の動作モードは昇圧時の動作モードである。昇圧時の制御は、
図6(a)に示した上記実施例の制御と同様である。
【0086】
図9(c)は、変形例に係る第3の動作モードのスイッチングパターンを示す。第3の動作モードは降圧動作から昇圧動作に切り替わる時の動作モードである。第3の動作モードは、第1の動作モードにおいて、第1レグと第2レグの位相差が、デッドタイムに相当する位相差θまで縮小すると発動される。第3の動作モードでは、第1の動作モードの一次側の位相シフト制御による電力制御と、第2の動作モードの二次側のPWM制御による電力制御が併存する。
【0087】
このように一次側を位相シフト制御、二次側をPWM制御することによっても、第1の動作モード-第3の動作モードを実現することができる。一次側を位相シフト制御することにより、第1の動作モードと第3の動作モードの一部において、スイッチング素子Q1-Q8が全オフする期間が存在しなくなるが、転流状態の際に同期整流を行うことができる。
【0088】
上記実施の形態では、第1スイッチング素子Q1-第8スイッチング素子Q8にIGBTまたはMOSFETを使用する例を想定した。この点、第1スイッチング素子Q1-第8スイッチング素子Q8に、炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、酸化ガリウム(Ga2O3)、ダイヤモンド(C)等を使用したワイドバンドギャップ半導体で構成されたスイッチング素子を使用してもよい。
【0089】
なお、実施の形態は、以下の項目によって特定されてもよい。
【0090】
[項目1]
第1スイッチング素子(Q1)と第2スイッチング素子(Q2)が直列接続された第1レグと、第3スイッチング素子(Q3)と第4スイッチング素子(Q4)が直列接続された第2レグを有し、前記第1レグと前記第2レグが第1直流部(E1、Ca)に並列接続される第1ブリッジ回路(11)と、
第5スイッチング素子(Q5)と第6スイッチング素子(Q6)が直列接続された第3レグと、第7スイッチング素子(Q7)と第8スイッチング素子(Q8)が直列接続された第4レグを有し、前記第3レグと前記第4レグが第2直流部(E2、Cb)に並列接続される第2ブリッジ回路(12)と、
前記第1ブリッジ回路(11)と前記第2ブリッジ回路(12)の間に接続された絶縁トランス(TR1)と、
前記第1スイッチング素子(Q1)-前記第8スイッチング素子(Q8)を制御する制御回路(13)と、を備え、
前記第1スイッチング素子(Q1)-前記第8スイッチング素子(Q8)のそれぞれに、逆並列にダイオード(D1-D8)が接続または形成されており、
前記制御回路(13)は、
前記第1ブリッジ回路(11)が前記第1直流部(E1、Ca)と前記絶縁トランス(TR1)の一次巻線(n1)を導通させ、前記第2ブリッジ回路(12)が前記絶縁トランス(TR1)の二次巻線(n2)を前記第2直流部(E2、Cb)と導通させる伝送状態と、前記一次巻線(n1)の両端を前記第1ブリッジ回路(11)内で短絡させ、前記第2ブリッジ回路(12)が前記二次巻線(n2)を前記第2直流部(E2、Cb)と導通させた転流状態を含むように制御する第1の動作モードと、
前記第1ブリッジ回路(11)が前記第1直流部(E1、Ca)と前記一次巻線(n1)を導通させ、前記二次巻線(n2)の両端を前記第2ブリッジ回路(12)内で短絡させた蓄積状態と、前記伝送状態を含むように制御する第2の動作モードと、
前記伝送状態と前記蓄積状態と前記転流状態を含むように制御する第3の動作モードと、
を有する電力変換装置(1)。
これによれば、第1の動作モードと第2の動作モードとの間を滑らかに切り替えることができる。
[項目2]
前記伝送状態は第1パターンと第2パターンを含み、前記転流状態は第3パターンと第4パターンを含み、
前記第1パターンは、前記第1スイッチング素子(Q1)と前記第4スイッチング素子(Q4)がオン状態で、前記第2スイッチング素子(Q2)と前記第3スイッチング素子(Q3)がオフ状態で、前記第2ブリッジ回路(12)が整流状態であり、
前記第2パターンは、前記第2スイッチング素子(Q2)と前記第3スイッチング素子(Q3)がオン状態で、前記第1スイッチング素子(Q1)と前記第4スイッチング素子(Q4)がオフ状態で、前記第2ブリッジ回路(12)が整流状態であり、
前記第3パターンは、前記第1スイッチング素子(Q1)または前記第4スイッチング素子(Q4)がオン状態で、前記第4スイッチング素子(Q4)または前記第1スイッチング素子(Q1)、及び前記第2スイッチング素子(Q2)と前記第3スイッチング素子(Q3)がオフ状態で、前記第2ブリッジ回路(12)が整流状態であり、
前記第4パターンは、前記第2スイッチング素子(Q2)または前記第3スイッチング素子(Q3)がオン状態で、前記第3スイッチング素子(Q3)または前記第2スイッチング素子(Q2)、及び前記第1スイッチング素子(Q1)と前記第4スイッチング素子(Q4)がオフ状態で、前記第2ブリッジ回路(12)が整流状態である、
項目1に記載の電力変換装置(1)。
これによれば、降圧動作時における第2直流部(E2、Cb)からの無効電流を抑制することができ、高効率化を図ることができる。
[項目3]
前記蓄積状態は第5パターンと第6パターンを含み、
前記第5パターンは、前記第1スイッチング素子(Q1)と前記第4スイッチング素子(Q4)、及び前記第6スイッチング素子(Q6)または前記第7スイッチング素子(Q7)がオン状態で、残りのスイッチング素子がオフ状態であり、
前記第6パターンは、前記第2スイッチング素子(Q2)と前記第3スイッチング素子(Q3)、及び前記第5スイッチング素子(Q5)または前記第8スイッチング素子(Q8)がオン状態で、残りのスイッチング素子がオフ状態である、
項目1または2に記載の電力変換装置(1)。
これによれば、昇圧動作時における第2直流部(E2、Cb)からの無効電流を抑制することができ、高効率化を図ることができる。
[項目4]
前記制御回路(13)は、各スイッチング素子のオン/オフ時間を制御することで、前記第1直流部(E1、Ca)から前記第2直流部(E2、Cb)へ伝送する電力の電圧または電流を制御する、
項目1から3のいずれか1項に記載の電力変換装置(1)。
これによれば、位相シフト方式を用いずにPWM方式で制御することで、全オフ状態のデッドタイムを容易に生成することができ、ダイオードのリカバリ損失を低減することができる。
[項目5]
前記制御回路(13)は、
前記第1の動作モードにおいて、前記第1レグまたは前記第2レグのデューティ比を制御することで、
前記第2の動作モードにおいて、前記第3レグまたは前記第4レグのデューティ比を制御することで、
前記第3の動作モードにおいて、前記第1レグまたは前記第2レグのデューティ比と、前記第3レグまたは前記第4レグのデューティ比を制御することで、
前記第1直流部(E1、Ca)から前記第2直流部(E2、Cb)へ伝送する電力の電圧または電流を制御する、
項目4に記載の電力変換装置(1)。
これによれば、第3の動作モードにおいて、第1の動作モードのPWM制御と第2の動作モードのPWM制御を併存させることで、第1の動作モードと第2の動作モードとの間を滑らかに切り替えることができる。
[項目6]
前記制御回路(13)は、
前記第1の動作モードにおいて、前記第1レグまたは前記第2レグのデューティ比が1に到達する前に、前記第3の動作モードに遷移させる、
項目5に記載の電力変換装置(1)。
これによれば、第1の動作モードから第2の動作モードに滑らかに切り替えることができる。
[項目7]
前記制御回路(13)は、
前記第2の動作モードにおいて、前記第3レグまたは前記第4レグのデューティ比が0に到達する前に、前記第3の動作モードに遷移させる、
項目5または6に記載の電力変換装置(1)。
これによれば、第2の動作モードから第1の動作モードに滑らかに切り替えることができる。
[項目8]
前記制御回路(13)は、
前記第1の動作モードにおいて、
前記第1スイッチング素子(Q1)のターンオンに同期して、前記第4スイッチング素子(Q4)をターンオンさせ、
前記第1スイッチング素子(Q1)または前記第4スイッチング素子(Q4)のターンオフに同期して、前記第8スイッチング素子(Q8)または前記第5スイッチング素子(Q5)をターンオンさせ、
前記第4スイッチング素子(Q4)または前記第1スイッチング素子(Q1)のターンオフに同期して、前記第8スイッチング素子(Q8)または前記第5スイッチング素子(Q5)をターンオフさせ、
前記第2スイッチング素子(Q2)のターンオンに同期して、前記第3スイッチング素子(Q3)をターンオンさせ、
前記第2スイッチング素子(Q2)または前記第3スイッチング素子(Q3)のターンオフに同期して、前記第7スイッチング素子(Q7)または前記第6スイッチング素子(Q6)をターンオンさせ、
前記第3スイッチング素子(Q3)または前記第2スイッチング素子(Q2)のターンオフに同期して、前記第7スイッチング素子(Q7)または前記第6スイッチング素子(Q6)をターンオフさせる、
項目1から7のいずれか1項に記載の電力変換装置(1)。
これによれば、降圧動作において位相シフト方式を用いずにPWM方式で制御することで、全オフ状態のデッドタイムを容易に生成することができ、ダイオードのリカバリ損失を低減することができる。
[項目9]
前記制御回路(13)は、
前記第2の動作モードにおいて、
前記第1スイッチング素子(Q1)のターンオンに同期して、前記第4スイッチング素子(Q4)と、前記第6スイッチング素子(Q6)または前記第7スイッチング素子(Q7)をターンオンさせ、
前記第6スイッチング素子(Q6)または前記第7スイッチング素子(Q7)のターンオフに同期して、前記第8スイッチング素子(Q8)または前記第5スイッチング素子(Q5)をターンオンさせ、
前記第1スイッチング素子(Q1)のターンオフに同期して、前記第4スイッチング素子(Q4)と、前記第8スイッチング素子(Q8)または前記第5スイッチング素子(Q5)をターンオフさせ、
前記第2スイッチング素子(Q2)のターンオンに同期して、前記第3スイッチング素子(Q3)と、前記第5スイッチング素子(Q5)または前記第8スイッチング素子(Q8)をターンオンさせ、
前記第5スイッチング素子(Q5)または前記第8スイッチング素子(Q8)のターンオフに同期して、前記第7スイッチング素子(Q7)または前記第6スイッチング素子(Q6)をターンオンさせ、
前記第2スイッチング素子(Q2)のターンオフに同期して、前記第3スイッチング素子(Q3)と、前記第7スイッチング素子(Q7)または前記第6スイッチング素子(Q6)をターンオフさせる、
項目1から8のいずれか1項に記載の電力変換装置(1)。
これによれば、昇圧動作において、位相シフト方式を用いずにPWM方式で制御することで、全オフ状態のデッドタイムを容易に生成することができ、ダイオードのリカバリ損失を低減することができる。
[項目10]
前記制御回路(13)は、
前記第3の動作モードにおいて、
前記第1スイッチング素子(Q1)のターンオンに同期して、前記第4スイッチング素子(Q4)と、前記第6スイッチング素子(Q6)または前記第7スイッチング素子(Q7)をターンオンさせ、
前記第6スイッチング素子(Q6)または前記第7スイッチング素子(Q7)のターンオフに同期して、前記第8スイッチング素子(Q8)または前記第5スイッチング素子(Q5)をターンオンさせ、
前記第1スイッチング素子(Q1)または前記第4スイッチング素子(Q4)をターンオフさせ、
前記第4スイッチング素子(Q4)または前記第1スイッチング素子(Q1)のターンオフに同期して前記第8スイッチング素子(Q8)または前記第5スイッチング素子(Q5)をターンオフさせ、
前記第2スイッチング素子(Q2)のターンオンに同期して、前記第3スイッチング素子(Q3)と、前記第5スイッチング素子(Q5)または前記第8スイッチング素子(Q8)をターンオンさせ、
前記第5スイッチング素子(Q5)または前記第8スイッチング素子(Q8)のターンオフに同期して、前記第7スイッチング素子(Q7)または前記第6スイッチング素子(Q6)をターンオンさせ、
前記第2スイッチング素子(Q2)または前記第3スイッチング素子(Q3)をターンオフさせ、
前記第3スイッチング素子(Q3)または前記第2スイッチング素子(Q2)のターンオフに同期して、前記第7スイッチング素子(Q7)または前記第6スイッチング素子(Q6)をターンオフさせる、
項目1から9のいずれか1項に記載の電力変換装置(1)。
これによれば、降圧動作と昇圧動作の切り替わり時において、位相シフト方式を用いずにPWM方式で制御することで、全オフ状態のデッドタイムを容易に生成することができ、ダイオードのリカバリ損失を低減することができる。
[項目11]
前記制御回路(13)は、
前記第1パターンの期間と前記第2パターンの期間を同期させ、
前記第3パターンの期間と前記第4パターンの期間を同期させる、
項目2に記載の電力変換装置(1)。
これによれば、正負対称な動作となり、直流偏磁の発生を抑制することができる。
[項目12]
前記制御回路(13)は、
前記第5パターンの期間と前記第6パターンの期間を同期させる、
項目3に記載の電力変換装置(1)。
これによれば、正負対称な動作となり、直流偏磁の発生を抑制することができる。
[項目13]
前記制御回路(13)は、
二次側から一次側に電力を伝送する場合、
前記第1スイッチング素子(Q1)-前記第4スイッチング素子(Q4)に供給する駆動信号と、前記第5スイッチング素子(Q5)-前記第8スイッチング素子(Q8)に供給する駆動信号を入れ替える、
項目1から12のいずれか1項に記載の電力変換装置(1)。
これにより、双方向に伝送可能なDC/DCコンバータを実現できる。
【符号の説明】
【0091】
E1 第1直流電源、 E2 第2直流電源、 1 電力変換装置、 11 第1ブリッジ回路、 12 第2ブリッジ回路、 13 制御回路、 Q1-Q8 スイッチング素子、 D1-D8 ダイオード、 C1-C8 容量、 L1 第1インダクタンス、 L2 第2インダクタンス、 TR1 絶縁トランス、 n1 一次巻線、 n2 二次巻線、 Ca 一次側コンデンサ、 Cb 二次側コンデンサ。