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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008408
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】スケール飛散防止装置
(51)【国際特許分類】
   B21J 1/02 20060101AFI20230112BHJP
   B30B 15/00 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
B21J1/02 A
B30B15/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021111954
(22)【出願日】2021-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】503049508
【氏名又は名称】有限会社アイエスマック
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 茂
(72)【発明者】
【氏名】元井 憲雄
(72)【発明者】
【氏名】太田 義悦
(72)【発明者】
【氏名】田中 久弥
【テーマコード(参考)】
4E087
【Fターム(参考)】
4E087CB01
4E087DB19
4E087EA11
4E087EB01
4E087GB06
(57)【要約】
【課題】本発明は、従来に無い実用的なスケール飛散防止装置を提供することを目的とする。
【解決手段】鍛造機50の近傍に設けられ鍛造の際に生じるスケールSの飛散を防止するスケール飛散防止装置であって、鍛造部51を囲繞するように該鍛造部51の後側に設けられる空間部1を有し、この空間部1の上部には通気部2及び散液部3が設けられ、前記鍛造部51の前側から前記空間部1に向かって空気流が生ずるように構成されたものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍛造機の近傍に設けられ鍛造の際に生じるスケールの飛散を防止するスケール飛散防止装置であって、鍛造部を囲繞するように該鍛造部の後側に設けられる空間部を有し、この空間部の上部には通気部及び散液部が設けられ、前記鍛造部の前側から前記空間部に向かって空気流が生ずるように構成されていることを特徴とするスケール飛散防止装置。
【請求項2】
請求項1記載のスケール飛散防止装置において、前記鍛造部の前側には前記空間部に向かって空気流を生じさせる第一空気流発生部が設けられていることを特徴とするスケール飛散防止装置。
【請求項3】
請求項1,2いずれか1項に記載のスケール飛散防止装置において、前記空間部と前記鍛造部との境界には下方への空気流を生じさせる第二空気流発生部が設けられていることを特徴とするスケール飛散防止装置。
【請求項4】
請求項1~3いずれか1項に記載のスケール飛散防止装置において、前記鍛造部の前側には下方への空気流を生じさせる第三空気流発生部が設けられていることを特徴とするスケール飛散防止装置。
【請求項5】
請求項1~4いずれか1項に記載のスケール飛散防止装置において、前記散液部は、前記空間部の底に向けて液を散布する底方向散布部と、前記空間部を構成する囲繞壁面に向けて液を散布する壁方向散布部とで構成されていることを特徴とするスケール飛散防止装置。
【請求項6】
請求項1~5いずれか1項に記載のスケール飛散防止装置において、前記鍛造部の後方には三方が囲繞壁で囲まれ、正面に開口部を有する箱状体が設けられ、この箱状体の内部空間が前記空間部であり、この箱状体の天部には前記開口部から導入された空気を導出する前記通気部が設けられていることを特徴とするスケール飛散防止装置。
【請求項7】
請求項1~6いずれか1項に記載のスケール飛散防止装置において、前記散液部から散布され前記空間部から排出された前記液を溜める液溜め部と、この液溜め部の液を前記散液部へ送る液送り部を有し、更に、前記液溜め部の前記液を遠心分離によりスケール濃度の高い液を作出する遠心分離部と、この遠心分離部で作出されたスケール濃度の高い液中の前記スケールを吸着分離する吸着分離部とを有することを特徴とするスケール飛散防止装置。
【請求項8】
請求項7記載のスケール飛散防止装置において、前記遠心分離部は、上方部位に前記液を導入する液導入部及び遠心分離により作出されたスケール濃度の低い液を排出する第一液排出部が設けられ、下方部位に遠心分離により作出されたスケール濃度の高い液を排出する第二液排出部が設けられた遠心分離容器で構成され、前記第一液排出部には、スケール濃度の低い液を前記液溜め部へ送る第一遠心分離液送り部が設けられ、前記第二排出部には、スケール濃度の高い液を前記吸着分離部へ送る第二遠心分離液送り部が設けられていることを特徴とするスケール飛散防止装置。
【請求項9】
請求項7,8いずれか1項に記載のスケール飛散防止装置において、前記吸着分離部は、スケール濃度の高い液が通過する液通過部と、この液通過部に回転自在に設けられ該液通過部を通過する液から前記スケールを磁着する磁着部と、この磁着部に対設され該磁着部に付着したスケールを押圧して該スケールから液を絞る液絞り部とで構成されていることを特徴とするスケール飛散防止装置。
【請求項10】
請求項9記載のスケール飛散防止装置において、前記液通過部には、前記磁着部で前記スケールが吸着分離された液を前記液溜め部へ送る吸着分離液送り部が設けられていることを特徴とするスケール飛散防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スケール飛散防止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、これまで特許文献1に開示される鍛造機(以下、従来例)を提案している。
【0003】
この従来例は、アンビルの上部に門型のフレームが設けられ、このフレーム内に昇降するラムが設けられ、アンビルには下型が、ラムには上型が設けられ、この下型と上型とで被加工物を挟持して鍛造を行なうものである。
【0004】
ところで、従来例は、約1200℃以上に加熱させた被加工物を下型と上型とで打撃挟持して鍛造するものであるが、この鍛造の際、高温加熱により被加工物の表面に発生したスケール(酸化スケール)が鍛造部の周囲に飛散する。尚、このスケールの他、例えば被加工物が金型に付着するのを防止する為に金型に付与する離型剤や、鍛造機自体の各所に付与される潤滑油なども飛散する。
【0005】
従って、このスケールの飛散が多い場合には労働環境の悪化の原因となってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6649979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述のような現状に鑑みなされたもので、従来に無い実用的なスケール飛散防止装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0009】
鍛造機50の近傍に設けられ鍛造の際に生じるスケールSの飛散を防止するスケール飛散防止装置であって、鍛造部51を囲繞するように該鍛造部51の後側に設けられる空間部1を有し、この空間部1の上部には通気部2及び散液部3が設けられ、前記鍛造部51の前側から前記空間部1に向かって空気流が生ずるように構成されていることを特徴とするスケール飛散防止装置に係るものである。
【0010】
また、請求項1記載のスケール飛散防止装置において、前記鍛造部51の前側には前記空間部1に向かって空気流を生じさせる第一空気流発生部4が設けられていることを特徴とするスケール飛散防止装置に係るものである。
【0011】
また、請求項1,2いずれか1項に記載のスケール飛散防止装置において、前記空間部1と前記鍛造部51との境界には下方への空気流を生じさせる第二空気流発生部5が設けられていることを特徴とするスケール飛散防止装置に係るものである。
【0012】
また、請求項1~3いずれか1項に記載のスケール飛散防止装置において、前記鍛造部51の前側には下方への空気流を生じさせる第三空気流発生部6が設けられていることを特徴とするスケール飛散防止装置に係るものである。
【0013】
また、請求項1~4いずれか1項に記載のスケール飛散防止装置において、前記散液部3は、前記空間部1の底に向けて液40を散布する底方向散布部3aと、前記空間部1を構成する囲繞壁面に向けて液40を散布する壁方向散布部3bとで構成されていることを特徴とするスケール飛散防止装置に係るものである。
【0014】
また、請求項1~5いずれか1項に記載のスケール飛散防止装置において、前記鍛造部51の後方には三方が囲繞壁で囲まれ、正面に開口部7aを有する箱状体7が設けられ、この箱状体7の内部空間が前記空間部1であり、この箱状体7の天部には前記開口部7aから導入された空気を導出する前記通気部2が設けられていることを特徴とするスケール飛散防止装置に係るものである。
【0015】
また、請求項1~6いずれか1項に記載のスケール飛散防止装置において、前記散液部3から散布され前記空間部1から排出された前記液40を溜める液溜め部11と、この液溜め部11の液40を前記散液部3へ送る液送り部12を有し、更に、前記液溜め部11の前記液40を遠心分離によりスケール濃度の高い液40を作出する遠心分離部20と、この遠心分離部20で作出されたスケール濃度の高い液40中の前記スケールSを吸着分離する吸着分離部21とを有することを特徴とするスケール飛散防止装置に係るものである。
【0016】
また、請求項7記載のスケール飛散防止装置において、前記遠心分離部20は、上方部位に前記液40を導入する液導入部20a及び遠心分離により作出されたスケール濃度の低い液40を排出する第一液排出部20bが設けられ、下方部位に遠心分離により作出されたスケール濃度の高い液40を排出する第二液排出部20cが設けられた遠心分離容器で構成され、前記第一液排出部20bには、スケール濃度の低い液40を前記液溜め部11へ送る第一遠心分離液送り部22Aが設けられ、前記第二排出部20cには、スケール濃度の高い液40を前記吸着分離部21へ送る第二遠心分離液送り部22Bが設けられていることを特徴とするスケール飛散防止装置に係るものである。
【0017】
また、請求項7,8いずれか1項に記載のスケール飛散防止装置において、前記吸着分離部21は、スケール濃度の高い液40が通過する液通過部21cと、この液通過部21cに回転自在に設けられ該液通過部21cを通過する液40から前記スケールSを磁着する磁着部21aと、この磁着部21aに対設され該磁着部21aに付着したスケールSを押圧して該スケールSから液40を絞る液絞り部21bとで構成されていることを特徴とするスケール飛散防止装置に係るものである。
【0018】
また、請求項9記載のスケール飛散防止装置において、前記液通過部21cには、前記磁着部21aで前記スケールSが吸着分離された液40を前記液溜め部11へ送る吸着分離液送り部21c’が設けられていることを特徴とするスケール飛散防止装置に係るものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明は上述のように構成したから、鍛造の際に生じるスケールの飛散を防止して労働環境の悪化を抑制することができるなど、従来に無い実用的なスケール飛散防止装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施例1を示す斜視図である。
図2】実施例1の要部を説明する断面図である。
図3】実施例1の要部を説明する断面図である。
図4】実施例1の要部を説明する断面図である。
図5】実施例1の要部を説明する断面図である。
図6】実施例1の使用状態説明図である。
図7】実施例1の要部を説明する断面図である。
図8】実施例1の要部の動作説明図である。
図9】実施例1の要部の動作説明図である。
図10】実施例2を示す斜視図である。
図11】実施例2の要部を説明する断面図である。
図12】実施例2の要部を説明する断面図である。
図13】実施例2の要部を説明する断面図である。
図14】実施例2の要部を説明する断面図である。
図15】実施例2の使用状態説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0022】
鍛造部51での鍛造の際に生じるスケールSは、鍛造部51の前側から空間部1に向かって生じる空気流と共に該空間部1内に導入される。
【0023】
この空間部1内に導入された空気は、該空間部1の上部に設けられた通気部2から排気され、一方、この空気と共に空間部1内に導入されたスケールSは該空間部1の上部に設けられた散液部3から散布される液40により空気と分離されて該液40と共に空間部1の下方へ落下する。
【0024】
従って、鍛造部51の周囲へのスケールSの飛散を可及的に防止することができ、労働環境の悪化を抑制することができる。
【実施例0025】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0026】
本実施例は、鍛造機50の近傍に設けられ鍛造の際に生じるスケールSの飛散を防止するスケール飛散防止装置であって、鍛造部51を囲繞するように該鍛造部51の後側に設けられる空間部1を有し、この空間部1の上部には通気部2及び散液部3が設けられ、鍛造部51の前側から空間部1に向かって空気流Aが生ずるように構成されたものである。
【0027】
尚、本実施例では、鍛造機50として、本出願人が提案する特許第6649979号を採用しており、アンビル52の上部に前後に開口する門型のフレーム53が設けられ、このフレーム53の内空間に昇降するラム54が設けられ、アンビル52には下型55が、ラム54には上型56が設けられ、この鍛造部51を構成する下型55と上型56とで被加工物Wを挟持して鍛造を行なうものである。
【0028】
以下、本実施例に係る構成各部について詳細な説明をする。
【0029】
空間部1は、下部に移動車輪9aを備えたフレーム体9に設けられた箱状体7の内部空間で構成されている。
【0030】
具体的には、この箱状体7は、図1~4に図示したように適宜な金属製の部材で構成された縦長箱状体であり、正面板7A,背面板7B,左右側面板7C,底面板7D及び天面板7Eで構成され、この箱状体7の内部空間が空間部1である。
【0031】
この箱状体7の正面板7Aの所定位置には開口部7aが設けられ、この開口部7aは、鍛造機50の後側に配した際、アンビル52とフレーム53とから成る鍛造処理空間の開口部を囲繞する程度の開口度合いに設定されている。
【0032】
従って、箱状体7を鍛造機50の後側近傍位置に配した際、鍛造部51を囲繞する状態となり、後述する第一空気流発生部4によって生じる鍛造部51からの空気流Aは、箱状体7の正面に設けられた開口部7aから空間部1に導入される。
【0033】
また、箱状体7の天面板7Eには多数の通気孔7bが設けられており、空間部1内に導入された空気を導出する通気部2として構成されている。
【0034】
また、箱状体7(空間部1)の底面板7Dは傾斜面に設定されており、後述する散液部3から散布されて落下した液40が排液部7cへ流下するように構成されている。
【0035】
この排液部7cは、箱状体7の下部外面に突設され底面板7Dの最下部に連設される凹条体であり、この排液部7cを介して底面板7Dを流下した液40が箱状体7の外部へ排出されるように構成されている。
【0036】
散液部3は、図1~4に図示したように装置本体(空間部1)の上方位置に液40をシャワー状に散布する散布ノズルを複数設けて構成されている。
【0037】
本実施例では、後述する液溜め部11から液40を送る液送り部12(配管)の先端部に散布ノズルを九つ設けており、この九つの散布ノズルは空間部1の同一水平面位置に縦横に配置されている。
【0038】
具体的には、空間部1の左右方向中央位置における三つの散布ノズルのうち前側一つの散布ノズルは、傾斜下方向、即ち、空間部1の後方に向けて液40を散布する後方散布部3cとして構成され、二つの散布ノズルは、鉛直下方向、即ち、空間部1の底に向けて液40を散布する底方向散布部3aとして構成され、残り6六つ散布ノズルは、傾斜方向、即ち、空間部1を構成し底面に対して立ち上がり形成される囲繞壁面(三方の囲繞壁としての背面板7B及び左右側面板7C)に向けて液40を散布する壁方向散布部3bとして構成されている(図4参照)。
【0039】
従って、底方向散布部3aにより散布された液40によりスケールSは鉛直下方向に落下することになり、壁方向散布部3bにより散布された液40により囲繞壁面に衝突するスケールSを該壁面を伝って落下させる。
【0040】
本出願人は、壁方向散布部3aから液40を傾斜下方向に散布し且つシャワー状に散布することに加え、空間部1内に導入される空気流Aによっても液40が飛散して万遍なく壁面に付いて面状に液40が流下する事を確認しており、この壁面を面状に流下する液40により壁面に衝突して付着しようとするスケールSを良好に落下させることができる。
【0041】
尚、本実施例では、液40として水を採用しているが、例えば界面活性機能を有する液(例えば石鹸水など)でも良いなど、本実施例の特性を発揮するものであれば適宜作用し得るものである。
【0042】
また、箱状体7の開口部7aにして左右側面板7C夫々の先端縁所定位置には、空気流誘導板13が突出状態に設けられている。
【0043】
この空気流誘導板13は、空間部1へ向かう空気流Aを該空間部1へ良好に導入させる機能を発揮し、しかも、鍛造機50に対して接近することでスケールSが周囲へ飛散しにくい閉塞された環境を作出する機能を発揮する。
【0044】
符号14は正面板7Aの上部左右位置に設けられ空気流誘導板13と共にスケールSの周囲への飛散を防止するスケール飛散防止板である。
【0045】
また、本実施例では、各所に空気流を生じさせる3つの空気流発生部(第一空気流発生部4,第二空気流発生部5及び第三空気流発生部6)が設けられている。
【0046】
第一空気流発生部4は、図1,5,6に図示したように先端部に空気噴射孔4aを有する金属製のパイプ体で構成されており、鍛造部51の前側左右位置(鍛造作業を行う作業者の左右となる位置)に一対設けられ、図示省略の圧縮空気供給源から供給される圧縮空気を各空気噴射孔4aから噴射して、鍛造部51の前側から空間部1に向かって空気流Aが生じるように構成されている。
【0047】
従って、この第一空気流発生部4から生じさせた空気流Aは、鍛造部51の前側から空間部1に向かって流れ、鍛造部51で発生するスケールS,離型剤及び潤滑油を空間部1へ誘導することになる。
【0048】
第二空気流発生部5は、図1,2,6に図示したように多数の空気噴射孔5aが並設された金属製のパイプ体で構成されており、箱状体7の開口部7a上縁部に設けられ、図示省略の圧縮空気供給源から供給される圧縮空気を各空気噴射孔5aから噴射して、空間部1と鍛造部51との境界に空気流A’(エアーカーテン)を生じるように構成されている。
【0049】
従って、第二空気流発生部5から生じさせた空気流A’は、鍛造部51の後側上方から下方に向かって流れ、鍛造部51で発生するスケールS,離型剤及び潤滑油を下方へ誘導し、鍛造機50と箱状体7の上方の隙間から周囲に飛散するのを防止する。
【0050】
第三空気流発生部6は、図1,6に図示したように多数の空気噴射孔6aが並設された金属製のパイプ体で構成されており、鍛造部51の前側上方位置に設けられ、図示省略の圧縮空気供給源から供給される圧縮空気を各空気噴射孔6aから噴射して、鍛造部51の前側に空気流A’(エアーカーテン)を生じるように構成されている。
【0051】
従って、この第三空気流発生部6から生じさせた空気流A”は、鍛造部51の前側上方から下方に向かって流れ、鍛造部51で発生するスケールS,離型剤及び潤滑油を下方へ誘導し、鍛造機50の前側上方から周囲に飛散するのを防止する。
【0052】
また、本実施例は、箱状体7の側方に配される液溜め部11が設けられている。
【0053】
この液溜め部11は、図1,3,5に図示したように適宜な金属製の部材で構成された上部開口部11aを有する箱状体であり、下部に移動用車輪15aを備えたフレーム体15に設けられている。
【0054】
また、液溜め部11には、前述した箱状体7に設けられた排液部7cの先端部が配されており、排液部7cから流れた液40を受けるように構成されている。
【0055】
また、液溜め部11には、前述した散液部3まで液40を送る液送り部12のポンプ部12aが設けられている。
【0056】
従って、液溜め部11にある液40は、液送り部12を介して散液部3へ送られ、この散液部3から空間部1で散布され、この空間部1で散布された液40は底面板7Dへ落下し、この底面板7Dを流下した液40は排液部7cを介して液溜め部11へ排出されることになり装置内を循環利用される。この際、液40と共に液溜め部11に導入されたスケールSは該液溜め部11内を浮遊する。
【0057】
符号16は排液部,17は液送り部12のポンプ部12aを囲繞してスケールSを捕捉するフィルター部である。
【0058】
また、本実施例は、液溜め部11をフレーム構造体18の下部に設けており、また、このフレーム構造体18に液溜め部11の液40を導入して遠心分離によりスケール濃度の高い液40を作出する遠心分離部20と、この遠心分離部20で作出されたスケール濃度の高い液40中のスケールSを吸着分離する吸着分離部21とを設けている。
【0059】
遠心分離部20は、図7に図示したように適宜な金属製の部材で構成された縦長の筒状体であり、上方部位に液40を導入する液導入部20a及び遠心分離により作出されたスケール濃度の低い液40を排出する第一液排出部20bが設けられ、下方部位に遠心分離により作出されたスケール濃度の高い液40を排出する第二液排出部20cが設けられた遠心分離容器(サイクロン容器)で構成されている。
【0060】
この液導入部20aには、液溜め部11に設けられた液40をポンプ19aを介して送る分離処理液送り部19(配管)が設けられ、第一液排出部20bには、スケール濃度の低い液40を液溜め部11へ送る第一遠心分離液送り部22A(配管)が設けられ、第二排出部20cには、スケール濃度の高い液40を吸着分離部21へ送る第二遠心分離液送り部22B(配管)が設けられている。
【0061】
また、本実施例では、第二遠心分離液送り部22Bには弁体24(電磁弁)が設けられ、適宜なタイミングで開閉して吸着分離部21に対するスケール濃度の高い液40の送り量が制御されている。
【0062】
従って、分離処理液送り部19で送られ液導入部20aから導入されたスケールSを含有する液40は、遠心分離部20の内面に沿って渦巻き流により下方へ移動してスケールSが遠心分離され、このスケール濃度の低い液40は、遠心分離部20の中央を通過して上方へ移動して第一液排出部20bから排出され第一遠心分離液送り部22Aを介して液溜め部11へ送られ、一方、遠心分離により作出されたスケール濃度の高い液40は、そのまま下方へ移動して第二液排出部20cから排出されて第二遠心分離液送り部22Bの弁体24に到達し(スケールSが堆積する)、その後、適宜なタイミングで弁体24が開放された場合、スケール濃度の高い液40は第二遠心分離液送り部22Bを介して吸着分離部21へ送られる(図8,9参照)。
【0063】
吸着分離部21は、図7に図示したようにスケール濃度の高い液40が通過する上部が開口するボックス形状の液通過部21cと、この液通過部21c内に図示省略の適宜な駆動源(電気モーター)を介して回転自在に設けられ該液通過部21cを通過する液40からスケールSを磁着する磁着部21aと、この磁着部21aに対設され該磁着部21aに付着したスケールSを押圧して該スケールSから液40を絞る液絞り部21bとで構成されている。
【0064】
磁着部21aは、図7に図示したようにローラー形状の電磁石で構成されており、この磁着部21aを液通過部21cの底面から所定高さの位置に横設して、この磁着部21bと液通過部21cの底面との間をスケール濃度の高い液40が通過するように構成されている。
【0065】
従って、磁着部21aは回転しながら液通過部21cの底面との間に通過する液40中のスケールSを吸着することになる。
【0066】
液絞り部21bは、図7に図示したように適度な柔軟性を有する合成樹脂製の部材で形成されたローラー形状体であり、磁着部21aの上方に該磁着部21aに当接させた状態で回転自在に設けられている。
【0067】
従って、液絞り部21bは、磁着部21aに付着したスケールSを押圧して該スケールSから液40を絞ることになる。
【0068】
また、本実施例では、磁着部21aの上方にして液絞り部21bの隣接した後方位置(絞り処理後の下流側となる位置)にスクレーパー部21dが設けられている。
【0069】
このスクレーパー部21dは、図7に図示したように非磁性の金属から成る板部材で形成され、液通過部21cの後方位置に斜設されており、その先端縁が磁着部21aの表面に近接せしめられ、該磁着部21aの表面に付着したスケールS(液絞り部21bで絞り処理されたスケールS)を削ぎ落すように構成されている。
【0070】
また、本実施例では、このスクレーパー部21dの下方にはスケール回収ボックス23が設けられている。
【0071】
また、本実施例では、液通過部21cの開口前方位置には、第二遠心分離液送り部22Bが配され、底部後方位置には、磁着部21aでスケールSが吸着分離された液40を液溜め部11へ送る吸着分離液送り部21c’が設けられている。
【0072】
従って、第二遠心分離液送り部22Bから送られて液通過部21cを通過するスケール濃度の高い液40は、磁着部21bと液通過部21cの底面との間を通過する際、液40中のスケールSは回転する磁着部21bに吸着され、そのまま液絞り部21bまで移動して押圧されて絞られ、その後、スクレーパー部21dで削ぎ落される。このスクレーパー部21dで削ぎ落されたスケールSは、磁着部21bの磁力が効いている範囲まではスクレーパー部21dを滑落せずにぶら下がったような状態で留まるが、スケールSが順次削がれて成長して磁着部21dから離れることで千切れて滑落し、スケール回収ボックス23へ落下する。一方、磁着部21bと液通過部21cの底面との間を通過することでスケールSが分離除去された液40は吸着分離液送り部21c’を介して液溜め部11へ送られる(図8,9参照)。
【0073】
本実施例は上述のように構成したから、鍛造部51での鍛造の際に生じるスケールS(その他、離型剤や潤滑油など)は、鍛造部51の前側から空間部1に向かって生じる空気流Aと共に該空間部1内に導入される。
【0074】
この空間部1内に導入された空気は、該空間部1の上部に設けられた通気部2から排気され、一方、この空気と共に空間部1内に導入されたスケールS(その他、離型剤や潤滑油など)は該空間部1の上部に設けられた散液部3から散布される液40により空気と分離されて該液40と共に空間部1の底面板7Dへ落下し、この底面板7Dを流下した液40は排液部7cを介して液溜め部11へ排出される。この液溜め部11の液40は、散水部3まで液送り部12を介して送られて循環して再利用されるが、遠心分離部20と吸着分離部21とによりスケールSの除去処理が随時行われることで、スラリー濃度の低い状態が維持される。
【0075】
また、この際、空間部1と鍛造部51との境界には、第二空気流発生部5から下方への空気流を生じさせ、鍛造部51の前側には第三空気流発生部6から下方への空気流を生じさせている。
【0076】
よって、本実施例によれば、鍛造部51の周囲へのスケールS(その他、離型剤や潤滑油など)の飛散を可及的に防止することができ、労働環境の悪化や作業者の健康被害を抑制することができる。
【0077】
また、本実施例は、スケールS(その他、離型剤や潤滑油など)の飛散を防止することで、作業者が着用するフェイスシールドへの付着も抑制することができ、視界を確保するために鍛造作業を中断して行われるフェイスシールドの汚れ除去作業を減らすことができる(生産効率を向上することができる)。
【0078】
また、本実施例は、鍛造部51の前側には空間部1に向かって空気流Aを生じさせる第一空気流発生部4が設けられているから、鍛造の際に生じるスケールS(その他、離型剤や潤滑油など)を確実に空間部1へ導入することができ、周囲への飛散を防止することができる。
【0079】
また、本実施例は、空間部1と鍛造部51との境界には下方への空気流A’を生じさせる第二空気流発生部5が設けられているから、この点においても鍛造の際に生じるスケールS(その他、離型剤や潤滑油など)を確実に空間部1へ導入することができ、周囲への飛散を防止することができる。
【0080】
また、本実施例は、鍛造部51の前側には下方への空気流A”を生じさせる第三空気流発生部6が設けられているから、この点においても鍛造の際に生じるスケールS(その他、離型剤や潤滑油など)を確実に空間部1へ導入することができ、周囲への飛散を防止することができる。
【0081】
また、本実施例は、散液部3は、空間部1の底に向けて液40を散布する底方向散布部3aと、傾斜方向にして空間部1を構成する囲繞壁面に向けて液40を散布する壁方向散布部3bとで構成されているから、空間部1内に導入されたスケールS(その他、離型剤や潤滑油など)を良好に落下させることができる。
【0082】
また、本実施例は、鍛造部51の後方には三方が囲繞壁7B,7Cで囲まれ、正面に開口部7aを有する箱状体7が設けられ、この箱状体7の内部空間が空間部1であり、この箱状体7の天部には開口部7aから導入された空気を導出する通気部2が設けられているから、前述した作用効果を発揮する構造が簡易且つコスト安に得られることになる。
【0083】
また、本実施例は、散液部3から散布され空間部1から排出された液40を溜める液溜め部11と、この液溜め部11の液40を散液部3へ送る液送り部12を有し、更に、液溜め部11の液40を導入して遠心分離によりスケール濃度の高い液40を作出する遠心分離部20と、この遠心分離部20で作出されたスケール濃度の高い液40中の前記スケールSを吸着分離する吸着分離部21とを有するから、散液部3から散布する液40を装置内で循環させる効率の良い構造であり、しかも、この液40を散液部3に送る前にスケールSを除去することで散液部3の目詰まりが防止され、スケールSの飛散も防止することができる。
【0084】
また、本実施例は、遠心分離部20は、上方部位に液40を導入する液導入部20a及び遠心分離により作出されたスケール濃度の低い液40を排出する第一液排出部20bが設けられ、下方部位に遠心分離により作出されたスケール濃度の高い液40を排出する第二液排出部20cが設けられた遠心分離容器で構成され、第一液排出部20bには、スケール濃度の低い液40を液溜め部11へ送る第一遠心分離液送り部22Aが設けられ、第二排出部20cには、スケール濃度の高い液40を吸着分離部21へ送る第二遠心分離液送り部22Bが設けられているから、液40に含まれるスケールSを良好に除去することができる。
【0085】
また、本実施例は、吸着分離部21は、スケール濃度の高い液40が通過する液通過部21cと、この液通過部21cに回転自在に設けられ該液通過部21cを通過する液40からスケールSを磁着する磁着部21aと、この磁着部21aに対設され該磁着部21aに付着したスケールSを押圧して該スケールSから液40を絞る液絞り部21bとで構成されているから、より一層、液40に含まれるスケールSを良好に除去することができる。
【0086】
また、本実施例は、液通過部21cには、磁着部21aでスケールSが吸着分離された液40を液溜め部11へ送る吸着分離液送り部21c’が設けられているから、液溜め部11の液40を散液部3からの散布に適したものにできる。
【0087】
また、本実施例は、スケールSは発生時点で多孔質となっており、浮力が大きい為に沈殿に時間が掛かるが、この点、本実施例は液溜め部11で溜められる前にスケールSに液40を吸着させることで浮力を小さくすることになる為、短時間で沈殿させることができる。
【0088】
また、本実施例は、スケールSは発生時約1200℃程度であり、また、被加工物Wから発生する熱で鍛造部51周辺の温度が上昇し、労働環境を悪化させているが、スケールSに液40が散布された時点でこの熱が水の気化熱に代わり鍛造部51周辺の温度の上昇を抑制することができ、しかも、作業者は液40が散布されて流れ落ちる様子から冷涼感を得るなど視覚的効果も期待できる。
【0089】
また、本実施例は、鍛造の際にスケールS以外に飛散する離型剤や潤滑油はどのように廃棄処理されたか管理されている必要があるが、スケールSと共に処理ができる為(スクラップと共に溶解処理可能となる為)、管理が簡易となる。
【実施例0090】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0091】
本実施例は、鍛造機50の近傍に設けられ鍛造の際に生じるスケールSの飛散を防止するスケール飛散防止装置であって、鍛造部51を囲繞するように該鍛造部51の後側に設けられる空間部1を有し、この空間部1の上部には通気部2及び散液部3が設けられ、鍛造部51の前側から空間部1に向かって空気流Aが生ずるように構成されたものである。
【0092】
尚、本実施例では、鍛造機50として、本出願人が提案する特許第6649979号を採用しており、アンビル52の上部に前後に開口する門型のフレーム53が設けられ、このフレーム53の内空間に昇降するラム54が設けられ、アンビル52には下型55が、ラム54には上型56が設けられ、この鍛造部51を構成する下型55と上型56とで被加工物Wを挟持して鍛造を行なうものである。
【0093】
以下、本実施例に係る構成各部について詳細な説明をする。
【0094】
空間部1は、下部に移動車輪9aを備えたフレーム体9に設けられた箱状体7の内部空間で構成されている。
【0095】
具体的には、この箱状体7は、図10~13に図示したように適宜な金属製の部材で構成された縦長箱状体であり、正面板7A,背面板7B,左右側面板7C,底面板7D及び天面板7Eで構成され、この箱状体7の内部空間が空間部1である。
【0096】
この箱状体7の正面板7Aの所定位置には開口部7aが設けられ、この開口部7aは、鍛造機50の後側に配した際、アンビル52とフレーム53とから成る鍛造処理空間の開口部を囲繞する程度の開口度合いに設定されている。
【0097】
従って、箱状体7を鍛造機50の後側近傍位置に配した際、鍛造部51を囲繞する状態となり、後述する第一空気流発生部4によって生じる鍛造部51からの空気流Aは、箱状体7の正面に設けられた開口部7aから空間部1に導入される。
【0098】
また、箱状体7の天面板7Eには多数の通気孔7bが設けられており、空間部1内に導入された空気を導出する通気部2として構成されている。
【0099】
また、箱状体7の下部には所定容量の液40を受ける液受け凹部8が設けられており、後述する散液部3から散布されて落下した液40が溜まるように構成されている。
【0100】
この液受け凹部8には管状のオーバーフロー部10が設けられており、このオーバーフロー部10から後述する液溜め部11に液40が導入されるように構成されている。
【0101】
散液部3は、図10~13に図示したように装置本体(空間部1)の上方位置に液40をシャワー状に散布する散布ノズルを複数設けて構成されている。
【0102】
本実施例では、後述する液溜め部11から液40を送る液送り部12(配管)の先端部に散布ノズルを縦横に9つ設けており、この9つの散水ノズルは空間部1の同一水平面位置に縦横に配置されている。
【0103】
具体的には、空間部1の左右方向中央位置にして前側二つの散布ノズルは、鉛直下方向、即ち、空間部1の底に向けて液40を散布する底方向散布部3aとして構成され、残り七つの散布ノズルは、傾斜下方向、即ち、空間部1を構成し底面に対して立ち上がり形成される囲繞壁面(三方の囲繞壁としての背面板7B及び左右側面板7C)に向けて液40を散布する壁方向散布部3bとして構成されている(図13参照)。
【0104】
従って、底方向散布部3aにより散布された液40によりスケールSは鉛直方向に落下することになり、壁方向散布部3bにより散布された液40により囲繞壁面に衝突するスケールSを該壁面を伝って落下させる。
【0105】
本出願人は、壁方向散布部3aから液40を傾斜下方向に散布し且つシャワー状に散布することに加え、空間部1内に導入される空気流Aによっても液40が飛散して万遍なく壁面に付いて面状に液40が流下する事を確認しており、この壁面を面状に流下する液40により壁面に衝突して付着しようとするスケールSを良好に落下させることができる。
【0106】
尚、本実施例では、液40として水を採用しているが、例えば界面活性機能を有する液(例えば石鹸水など)でも良いなど、本実施例の特性を発揮するものであれば適宜作用し得るものである。
【0107】
また、箱状体7の開口部7aにして左右側面板7C夫々の先端縁所定位置には、空気流誘導板13が突出状態に設けられている。
【0108】
この空気流誘導板13は、空間部1へ向かう空気流Aを該空間部1へ良好に導入させる機能を発揮し、しかも、鍛造機50に対して接近することでスケールSが周囲へ飛散しにくい閉塞された環境を作出する機能を発揮する。
【0109】
符号14は正面板7Aの上部左右位置に設けられ空気流誘導板13と共にスケールSの周囲への飛散を防止するスケール飛散防止板である。
【0110】
また、本実施例では、各所に空気流を生じさせる3つの空気流発生部(第一空気流発生部4,第二空気流発生部5及び第三空気流発生部6)が設けられている。
【0111】
第一空気流発生部4は、図10,14,15に図示したように先端部に空気噴射孔4aを有する金属製のパイプ体で構成されており、鍛造部51の前側左右位置(鍛造作業を行う作業者の左右となる位置)に一対設けられ、図示省略の圧縮空気供給源から供給される圧縮空気を各空気噴射孔4aから噴射して、鍛造部51の前側から空間部1に向かって空気流Aが生じるように構成されている。
【0112】
従って、この第一空気流発生部4から生じさせた空気流Aは、鍛造部51の前側から空間部1に向かって流れ、鍛造部51で発生するスケールS,離型剤及び潤滑油を空間部1へ誘導することになる。
【0113】
第二空気流発生部5は、図10,11,15に図示したように多数の空気噴射孔5aが並設された金属製のパイプ体で構成されており、箱状体7の開口部7a上縁部に設けられ、図示省略の圧縮空気供給源から供給される圧縮空気を各空気噴射孔5aから噴射して、空間部1と鍛造部51との境界に空気流A’(エアーカーテン)を生じるように構成されている。
【0114】
従って、第二空気流発生部5から生じさせた空気流A’は、鍛造部51の後側上方から下方に向かって流れ、鍛造部51で発生するスケールS,離型剤及び潤滑油を下方へ誘導し、鍛造機50と箱状体7の上方の隙間から周囲に飛散するのを防止する。
【0115】
第三空気流発生部6は、図10,15に図示したように多数の空気噴射孔6aが並設された金属製のパイプ体で構成されており、鍛造部51の前側上方位置に設けられ、図示省略の圧縮空気供給源から供給される圧縮空気を各空気噴射孔6aから噴射して、鍛造部51の前側に空気流A’(エアーカーテン)を生じるように構成されている。
【0116】
従って、この第三空気流発生部6から生じさせた空気流A”は、鍛造部51の前側上方から下方に向かって流れ、鍛造部51で発生するスケールS,離型剤及び潤滑油を下方へ誘導し、鍛造機50の前側上方から周囲に飛散するのを防止する。
【0117】
また、本実施例は、箱状体7の側方に配される液溜め部11が設けられている。
【0118】
この液溜め部11は、図10,12,14に図示したように適宜な金属製の部材で構成された上部開口部11aを有する箱状体であり、下部に移動用車輪15aを備えたフレーム体15に設けられている。
【0119】
また、液溜め部11には、前述した箱状体7の液受け凹部8に設けられたオーバーフロー部10の先端部が配されており、液受け凹部8から流れた液40を受けるように構成されている。
【0120】
また、液溜め部11には、前述した散液部3まで液40を送る液送り部12のポンプ部12aが設けられている。
【0121】
従って、液溜め部11にある液40は、液送り部12を介して散液部3へ搬送され、この散液部3から空間部1で散布され、この空間部1で散布された液40は液受け凹部8へ落下し、この液受け凹部8に溜まった液40はオーバーフロー部10を介して液溜め部11へ導入されることになり装置内を循環利用される。この際、液40と共に液受け凹部8に落下したスケールSは該液受け凹部8の底部に沈殿する。
【0122】
また、液溜め部11には、フィルター効果を発揮する3つのメッシュ状の仕切り部11bが着脱自在に設けられており、この仕切り部11bを間に介した一側にはオーバーフロー部10が配され、他側には液送り部12のポンプ部12aが配されている。
【0123】
符号16は排液部である。
【0124】
本実施例は上述のように構成したから、鍛造部51での鍛造の際に生じるスケールS(その他、離型剤や潤滑油など)は、鍛造部51の前側から空間部1に向かって生じる空気流Aと共に該空間部1内に導入される。
【0125】
この空間部1内に導入された空気は、該空間部1の上部に設けられた通気部2から排気され、一方、この空気と共に空間部1内に導入されたスケールS(その他、離型剤や潤滑油など)は該空間部1の上部に設けられた散液部3から散布される液40により空気と分離されて該液40と共に空間部1の下方にある液受け凹部8へ落下する。この液受け凹部8に落下したスケールS(その他、離型剤や潤滑油など)は該液受け凹部8内の底部に沈殿して廃棄処理される。
【0126】
また、この際、空間部1と鍛造部51との境界には、第二空気流発生部5から下方への空気流を生じさせ、鍛造部51の前側には第三空気流発生部6から下方への空気流を生じさせている。
【0127】
よって、本実施例によれば、鍛造部51の周囲へのスケールS(その他、離型剤や潤滑油など)の飛散を可及的に防止することができ、労働環境の悪化や作業者の健康被害を抑制することができる。
【0128】
また、本実施例は、スケールS(その他、離型剤や潤滑油など)の飛散を防止することで、作業者が着用するフェイスシールドへの付着も抑制することができ、視界を確保するために鍛造作業を中断して行われるフェイスシールドの汚れ除去作業を減らすことができる(生産効率を向上することができる)。
【0129】
また、本実施例は、鍛造部51の前側には空間部1に向かって空気流Aを生じさせる第一空気流発生部4が設けられているから、鍛造の際に生じるスケールS(その他、離型剤や潤滑油など)を確実に空間部1へ導入することができ、周囲への飛散を防止することができる。
【0130】
また、本実施例は、空間部1と鍛造部51との境界には下方への空気流A’を生じさせる第二空気流発生部5が設けられているから、この点においても鍛造の際に生じるスケールS(その他、離型剤や潤滑油など)を確実に空間部1へ導入することができ、周囲への飛散を防止することができる。
【0131】
また、本実施例は、鍛造部51の前側には下方への空気流A”を生じさせる第三空気流発生部6が設けられているから、この点においても鍛造の際に生じるスケールS(その他、離型剤や潤滑油など)を確実に空間部1へ導入することができ、周囲への飛散を防止することができる。
【0132】
また、本実施例は、散液部3は、空間部1の底に向けて液40を散布する底方向散布部3aと、傾斜方向にして空間部1を構成する囲繞壁面に向けて液40を散布する壁方向散布部3bとで構成されているから、空間部1内に導入されたスケールS(その他、離型剤や潤滑油など)を良好に落下させることができる。
【0133】
また、本実施例は、鍛造部51の後方には三方が囲繞壁7B,7Cで囲まれ、正面に開口部7aを有する箱状体7が設けられ、この箱状体7の内部空間が空間部1であり、この箱状体7の天部には開口部7aから導入された空気を導出する通気部2が設けられ、箱状体7の底部には散液部3から散布された前記液40を受ける液受け凹部8が設けられているから、前述した作用効果を発揮する構造が簡易且つコスト安に得られることになる。
【0134】
また、本実施例は、スケールSは発生時点で多孔質となっており、浮力が大きい為に沈殿に時間が掛かるが、この点、本実施例は液受け凹部8に落下する前にスケールSに液40を吸着させることで浮力を小さくすることになる為、短時間で沈殿させることができる。
【0135】
また、本実施例は、スケールSは発生時約1200℃程度であり、また、被加工物Wから発生する熱で鍛造部51周辺の温度が上昇し、労働環境を悪化させているが、スケールSに液40が散布された時点でこの熱が水の気化熱に代わり鍛造部51周辺の温度の上昇を抑制することができ、しかも、作業者は液40が散布されて流れ落ちる様子から冷涼感を得るなど視覚的効果も期待できる。
【0136】
また、本実施例は、鍛造の際にスケールS以外に飛散する離型剤や潤滑油はどのように廃棄処理されたか管理されている必要があるが、スケールSと共に処理ができる為(スクラップと共に溶解処理可能となる為)、管理が簡易となる。
【0137】
尚、本発明は、実施例1,2に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0138】
S スケール
1 空間部
2 通気部
3 散液部
3a 底方向散布部
3b 壁方向散布部
4 第一空気流発生部
5 第二空気流発生部
6 第三空気流発生部
7 箱状体
7a 開口部
11 液溜め部
12 液送り部
20 遠心分離部
20a 液導入部
20b 第一液排出部
20c 第二液排出部
21 吸着分離部
21a 磁着部
21b 液絞り部
21c 液通過部
21c’ 吸着分離液送り部
22A 第一遠心分離液送り部
22B 第二遠心分離液送り部
40 液
50 鍛造機
51 鍛造部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15