(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084099
(43)【公開日】2023-06-16
(54)【発明の名称】防災機器、及び防災機器の製造方法
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20230609BHJP
G08B 17/10 20060101ALI20230609BHJP
【FI】
G08B17/00 G
G08B17/10 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184213
(22)【出願日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】P 2021198112
(32)【優先日】2021-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西窪 義博
(72)【発明者】
【氏名】上津 智宏
(72)【発明者】
【氏名】野添 敏秀
【テーマコード(参考)】
5C085
5G405
【Fターム(参考)】
5C085AA03
5C085AA05
5C085BA33
5C085CA30
5C085FA11
5G405AA01
5G405AB02
5G405AB03
5G405CA60
5G405FA06
(57)【要約】
【課題】黒色又は暗い色調の加工面におけるマーキングの視認性が高い防災機器、及び防災機器の製造方法を提供すること。
【解決手段】防災機器100は、検知部11と、筐体2と、を備える。検知部11は、火災を検知する。筐体2は、検知部11を収容する。筐体2は、筐体2の少なくとも一部に、黒色又は暗い色調である加工面3を有する。加工面3は、レーザ照射によって変色した変色部分4を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災を検知する検知部と、
前記検知部を収容する筐体と、を備え、
前記筐体は、前記筐体の少なくとも一部に、黒色又は暗い色調である加工面を有し、
前記加工面は、レーザ照射によって変色した変色部分を有する、
防災機器。
【請求項2】
前記変色部分は、前記レーザ照射によって白く変色した部分である、
請求項1に記載の防災機器。
【請求項3】
前記加工面は、前記レーザ照射によって変色する材料によって形成される、
請求項1に記載の防災機器。
【請求項4】
前記材料は、前記レーザ照射のレーザに反応し変色する変色材が含まれている、
請求項3に記載の防災機器。
【請求項5】
前記変色部分は、前記レーザ照射によって前記加工面にマーキングされた文字及び記号の少なくとも一方である、
請求項1に記載の防災機器。
【請求項6】
前記変色部分は、前記レーザ照射によって前記加工面が粗面加工された部分である、
請求項1に記載の防災機器。
【請求項7】
前記変色部分は、複数あり、
前記複数の変色部分は、前記レーザ照射によって前記加工面にマーキングされた文字及び記号の少なくとも一方と、前記レーザ照射によって前記加工面が粗面加工された部分と、を含む、
請求項1に記載の防災機器。
【請求項8】
前記筐体の表面の全体が、前記加工面である、
請求項1に記載の防災機器。
【請求項9】
前記筐体は、前記検知部の検知結果を表示する表示部を有し、
前記表示部は、黒色又は暗い色調に着色された光透過材料によって形成され、
前記光透過材料は、光を拡散させる性質を有する光拡散剤を含む、
請求項1に記載の防災機器。
【請求項10】
前記表示部は、光が入射される入射面に設けられ、光が内部で拡散されるように構成される光拡散部を有する、
請求項9に記載の防災機器。
【請求項11】
前記表示部は、前記筐体の外部から操作可能な操作釦である、
請求項9に記載の防災機器。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の防災機器の製造方法であって、
前記加工面に前記レーザ照射を行うことで、前記変色部分を形成するレーザ照射ステップを含む、
防災機器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、防災機器、及び防災機器の製造方法に関する。より詳細には、本開示は、火災を検知する防災機器、及び防災機器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、回路ブロック及び筐体を備える防災機器が開示されている。筐体は、前壁及び後壁を有し、前壁と後壁との間に回路ブロックを収容する。前壁と後壁との少なくとも一方は、部分的に厚みが薄くなって、筐体の内側を向いた面に凹部を有する。回路ブロックの一部は、凹部内にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、防災機器では、筐体が黒色又は暗い色調である加工面を有する場合、加工面にレーザ照射によってマーキングを行ったときに、黒色又は暗い色調の加工面におけるマーキングの視認性が低いという問題があった。そのため、黒色又は暗い色調である加工面を有する防災機器はあまり普及していなかった。
【0005】
本開示の目的とするところは、黒色又は暗い色調の加工面におけるマーキングの視認性が高い防災機器、及び防災機器の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る防災機器は、検知部と、筐体と、を備える。前記検知部は、火災を検知する。前記筐体は、前記検知部を収容する。前記筐体は、前記筐体の少なくとも一部に、黒色又は暗い色調である加工面を有する。前記加工面は、レーザ照射によって変色した変色部分を有する。
【0007】
本開示の一態様に係る防災機器の製造方法は、上記の防災機器の製造方法である。前記製造方法は、レーザ照射ステップを含む。前記レーザ照射ステップは、前記加工面に前記レーザ照射を行うことで、前記変色部分を形成する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、黒色又は暗い色調の加工面におけるマーキングの視認性が高いという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る警報器の構成を説明する説明図である。
【
図4】
図4は、同上の警報器の別の分解斜視図である。
【
図5】
図5は、同上の警報器の製造方法を示すフローチャート図である。
【
図6】
図6は、同上の変形例に係る警報器の表示部の斜視図である。
【
図7】
図7は、同上の変形例に係る警報器の表示部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態)
(1)概要
以下、本実施形態に係る警報器100の概要について、
図1を参照して説明する。
【0011】
警報器100は、防災機器の一種である。特に、本実施形態では、警報器100は、火災等によって発生する煙を検知したときに、発報を行う防災機器である。このような防災機器は、火災等の災害の発生時において煙が発生すると、この煙を検知し、一例として、警報音の出力又は通信機能による他の機器との連動等によって発報を行う。本開示でいう「防災機器」は、例えば、火災等の災害の防止、災害による被害の拡大の防止、又は被災からの復旧等の目的で施設に設置される機器である。特に、防災機器は、発報を行う警報機能を有する場合は、警報器とも呼ばれる。また、防災機器は、対象物質の検知を行う検知機能を有する場合は、感知器とも呼ばれる。もちろん、防災機器は、警報機能と検知機能との両方を有していることもあり、この場合は、感知器とも警報器とも呼ばれることがある。このような防災機器が設置される施設の例としては、集合住宅又は戸建住宅等の住宅施設、及び、ホテル、オフィスビル、学校、福祉施設、商業施設、テーマパーク、病院又は工場等の非住宅施設が挙げられる。警報器(防災機器)100は、例えば、施設の居室、廊下又は階段等において、天井又は壁等に取り付けられた状態で施設に設置される。
【0012】
警報器100は、検知部11と、筐体2と、を備える。検知部11は、火災を検知する。筐体2は、検知部11を収容する。筐体2は、筐体2の少なくとも一部に、黒色又は暗い色調である加工面3を有する。加工面3は、レーザ照射によって変色した変色部分4を有する。言い換えると、変色部分4は、加工面3のうち、レーザが照射された部分である。
【0013】
つまり、加工面3がレーザ照射によってマーキングがされている場合、本実施形態の警報器100では、加工面3において、レーザ照射によるマーキング(すなわち、変色部分4)の色が、レーザが照射されていない部分の色と異なっている。そのため、警報器100を所有する者、管理する者、及び設置する者(以下、ユーザとする)が、黒色又は暗い色調の加工面におけるレーザ照射によるマーキングを容易に視認できる。
【0014】
以上から、本実施形態の警報器100は、黒色又は暗い色調の加工面におけるマーキングの視認性が高いという利点がある。
【0015】
(2)詳細な構成
(2-1)警報器
(全体の構成)
以下に、本実施形態の警報器100の詳細な構成について、
図1~
図4を参照して説明する。
【0016】
警報器100は、
図3及び
図4に示すように、回路ブロック1と、筐体2と、操作釦5と、電池6と、を備える。
【0017】
以下の説明では、
図1に示すように、後述する第1カバー21と第2カバー22とが並んでいる方向を前後方向と規定し、第2カバー22から見て第1カバー21側を前と規定し、第1カバー21から見て第2カバー22側を後ろと規定する。
【0018】
(回路ブロック)
回路ブロック1は、
図3及び
図4に示すように、検知部11と、音出力部12と、プリント配線板13と、スイッチを含む1以上の電子部品14を有する。
【0019】
検知部11は、火災を検知する。より詳細には、検知部11は、火災で発生する対象物質を検知する装置である。本実施形態では、対象物質は、煙である。ただし、対象物質は、煙に限定されず、一酸化炭素や二酸化炭素、その他のガスであってもよい。つまり、対象物質は、防災のために検知が望まれる物質であってもよい。このような対象物質は、防災機器の種類によっても適宜選択され得る。検知部11は、検知空間を有し、検知空間内の対象物質を検知するように、構成されている。より詳細には、検知部11は、ケース111(
図4参照)と、発光素子(図示なし)と、受光素子(図示なし)と、を有する。
【0020】
ケース111は、中空状の円柱状である。ケース111は、合成樹脂である。ケース111は、一例として合成樹脂製の成形品である。また、ケース111の内部空間が検知空間となる。ケース111は、ケース111の外部から検知空間に光が進入することを抑制しつつも、ケース111の外部から検知空間に対象物質を取り込む。発光素子及び受光素子は、ケース111に収容される。
【0021】
検知部11は、検知空間内の煙で反射された光、又は検知空間を透過する光の光量の変化に基づいて煙を検知する。本実施形態では、発光素子は、検知空間に向けて光を出力する。受光素子は、発光素子からの直接光が入射せず、かつ検知空間内の煙での散乱光が入射する位置に配置される。これにより、検知空間に煙が存在しない状態では、受光素子は、発光素子から出力された光を受光しない。検知空間に煙が存在する状態では、受光素子は、発光素子から出力され煙で散乱された光(散乱光)を受光する。したがって、検知部によれば、受光素子での受光状態によって、検知空間に存在する煙を検知することができる。なお、発光素子は、例えば、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)である。また、受光素子は、例えば、フォトダイオード(PD:Photodiode)である。
【0022】
音出力部12は、音を発生させるための装置である。より詳細には、音出力部12は、電気信号を受けて音(音波)を出力する電気音響変換器である。電気音響変換器の例としては、スピーカ及びブザーが挙げられる。本実施形態では、音出力部12は、振動板121を備える。音出力部12は、全体として円盤状である。また、振動板121は、円盤状である。
【0023】
電子部品14は、プリント配線板13に実装される。また、プリント配線板13には、検知部11が実装される。また、プリント配線板13には、音出力部12が電線等を介して電気的に接続される。プリント配線板13は、ソケット131を有しており、ソケット131を介して電池6が電線等を介して電気的に接続される。回路ブロック1では、プリント配線板13と1以上の電子部品14とによって制御回路が構成されている。制御回路は、一例として、検知部11からの出力に基づいて音出力部12を制御する。より詳細には、制御回路は、検知部11によって火災を検知した場合に、音出力部12に電気信号を与えて音を発生させる。
【0024】
電子部品14は、検知部11の検知結果に基づいて、光を出力する光出力部(図示なし)を含んでいる。すなわち、光出力部は、検知部11によって火災を検知した場合に、光を出力する。光出力部は、例えば、発光ダイオード(LED)である。制御回路は、検知部11からの出力に基づいて光出力部を制御する。より詳細には、制御回路は、検知部11によって火災を検知した場合に、光出力部に電気信号を与えて光を出力させる。
【0025】
(筐体)
筐体2は、回路ブロック1(検知部11、音出力部12、プリント配線板13、1以上の電子部品14を含む)と、操作釦5と、電池6と、を収容する。筐体2は、
図2に示すように、平面視において円形状となる円柱状である。筐体2は、施工面(例えば天井面)に固定される。ただし、本実施形態では、筐体2は施工面に直接的に固定されるわけではなく、施工面に固定されている取付ベースに固定されることによって、施工面に対して間接的に固定される。もちろん、筐体2は、施工面に直接的に固定されてもよい。
【0026】
筐体2は、
図3及び
図4に示すように、第1カバー21と、第2カバー22と、仕切り部23と、を有する。筐体2において、
図2に示すように、第1カバー21は前側の部分となり、第2カバー22は後ろ側の部分となる。つまり、警報器100では、第2カバー22を施行面に対して直接的又は間接的に固定して使用することを想定している。
【0027】
第1カバー21は、
図3及び
図4に示すように、前壁211と、周壁(第1周壁)212と、備える。前壁211は、板状である。より詳細には、前壁211は、円形の板状である。第1周壁212は、前壁211の周縁から第2カバー22側(後ろ側)に突出する。第1周壁212は、円形の筒状である。
【0028】
また、第1カバー21は、
図3及び
図4に示すように、前壁211に開口213を有する。開口213は、
図2に示すように、操作釦5を露出させるために形成されている。操作釦5は、筐体2の外部から操作可能である。本実施形態では、開口213は、円形状である。操作釦5は、回路ブロック1のスイッチを操作するための部材である。例えば、操作釦5は、回路ブロック1のスイッチを操作し、音出力部12に音の発生を停止させる部材である。操作釦5は、第1カバー21に対して前壁211の厚みに沿って移動可能である。
【0029】
第2カバー22は、
図3及び
図4に示すように、後壁221と、周壁(第2周壁)222と、を備える。
【0030】
後壁221は、板状である。特に、後壁221は、円形の板状である。第2周壁222は、後壁221の周縁から第1カバー21側(前側)及び第1カバー21とは反対側(後ろ側)の両方に突出する。第2周壁222は、円形の筒状である。
【0031】
また、第2カバー22は、後壁221に開口223を有する。開口223は、電池6の取り外しのために形成されている。本実施形態では、開口223は、矩形状である。
【0032】
また、第2カバー22は、
図4に示すように、後壁221に複数の取付爪224を有する。複数の取付爪224は、後壁221における筐体2の外側を向いた面である外面2211から突出している。複数の取付爪224は、警報器100を上述の取付ベースに取り付けるために用いられる。
【0033】
仕切り部23は、第1カバー21と第2カバー22との間に配置される。仕切り部23は、第1カバー21と第2カバー22とに挟まれる空間を、第1カバー21と仕切り部23とに挟まれる空間と、第2カバー22と仕切り部23とに挟まれる空間と、に仕切る。
【0034】
仕切り部23は、
図3及び
図4に示すように、仕切り板231を有する。本実施形態では、仕切り板231は、円形の板状である。仕切り板231は、第1カバー21の第1周壁212内に収まる大きさである。本実施形態の仕切り板231は、第1周壁212の開口を全体的に覆う。また、仕切り板231における上側の面は、おおむね、第1周壁212の下側の先端となる面と同一平面上にある。
【0035】
また、仕切り部23は、
図4に示すように、開口232と、電池収納部234と、複数の支持部235と、複数の誘導壁236と、を有する。開口232と、電池収納部234と、複数の支持部235と、複数の誘導壁236と、は、仕切り板231に形成される。
【0036】
開口232は、第2カバー22と仕切り部23とに挟まれる空間側に、検知部11を突出させる孔である。すなわち、開口232は、検知部11を通す大きさである。本実施形態では、開口232は、円形状である。ここで回路ブロック1では、プリント配線板13及び音出力部12は、第1カバー21と仕切り部23とに挟まれる空間に収容され、検知部11は、第2カバー22と仕切り部23とに挟まれる空間に収容される。このように、音出力部12と検知部11とは仕切り部23で仕切られた別々の空間にそれぞれ収容される。これによって、検知部11が、音出力部12で発生する音に影響される可能性が低減される。
【0037】
電池収納部234は、電池6を収納するための部位である。電池収納部234は、
図4に示すように、仕切り板231において後ろ側に凹んだ部位である凹部2341を有する。凹部2341は、電池6の一部を収容する。また、電池収納部234は、凹部2341に一部が収容された電池6を囲む周壁2342を更に有する。周壁2342は、電池収納部234の内部を、第1カバー21と仕切り部23とに挟まれる空間から分離する。これによって、第1カバー21と仕切り部23とに挟まれる空間内に流入する煙から電池6が保護され得る。
【0038】
複数の支持部235は、仕切り板231に対して第2カバー22の後壁221を支持する。複数の支持部235は、角柱状である。複数の支持部235は、仕切り板231と後壁221との間の距離を決める。仕切り板231と後壁221との間の距離、及び第1周壁212と第2周壁222との寸法は、第1周壁212と第2周壁222とが互いに接触せずに、第1周壁212と第2周壁222との間に開口7(
図1及び
図2参照)が形成されるように設定されている。
【0039】
開口7は、音出力部12からの音を筐体2の外部へ伝達するために用いられる。また、開口7は、検知部11の感知空間に煙を導入するためにも用いられる。
【0040】
複数の誘導壁236は、開口7から第1カバー21と仕切り部23とに挟まれる空間に入り込んだ煙を検知部11の検知空間に誘導するように、仕切り板231の周縁から検知部11に向かっている。また、複数の誘導壁236の後ろ側の端面は、複数の支持部235の後ろ側の端面と、同一平面上にあってもよい。この場合、複数の誘導壁236は、複数の支持部235と同様に、仕切り板231に対して第2カバー22の後壁221を支持する。
【0041】
筐体2は、筐体2の少なくとも一部に、黒色又は暗い色調である加工面3を有する。ここでいう「黒色又は暗い色調」とは、明度及び彩度が低い色調である。より詳細には、「黒色又は暗い色調」とは、明度が中程度以下であり、彩度が中程度以下である色調である。より具体的に、「黒色又は暗い色調」について説明する。マンセル表色系によって定義される「黒色又は暗い色調」は、明度が5.0以下であり、彩度が8.0以下である色調である。また、L*a*b*色空間によって定義される「黒色又は暗い色調」は、明度を示すLが50以下であり、色相及び彩度の両方を示す色度a、bが-30から30までの間に含まれる色調である。また、L*C*h*色空間によって定義される「黒色又は暗い色調」は、明度を示すLが50以下であり、彩度を示すCが30以下である色調である。また、日本色研配色体系(PCCS)によって定義される「黒色又は暗い色調」は、PCCS明度が7.0以下であり、PCCS彩度が6s以下である色調である。
【0042】
本実施形態では、筐体2の表面の全体が、加工面3である。ここでいう「筐体2の表面」は、筐体2が組み立てられた状態において、筐体2の外側から見ることできる面である。そのため、変色部分4を筐体2の表面の任意の位置に設けることができるという効果を奏する。この結果、警報器100のユーザが視認しやすい位置に変色部分4を設けることができ、マーキングの視認性が高いという利点がある。
【0043】
加工面3は、加工面3A~3Cを含む。より詳細には、
図1に示すように、筐体2の第1カバー21において、前壁211の外面2111と、第1周壁212の外面2121と、のそれぞれが、加工面3A、3Bである。外面2111は、前壁211における筐体2の外側を向いた面である。同様に、外面2121は、第1周壁212における筐体2の外側を向いた面である。また、筐体2の第2カバー22において、第2周壁222の外面2221が、加工面3Cである。外面2221は、第2周壁222における筐体2の外側を向いた面である。
【0044】
加工面3は、レーザ照射によって変色した変色部分4を有する。また、加工面3は、レーザ照射によって変色する材料によって形成されている。その結果、加工面3を変色させる特別なレーザを使用することなく、一般的に普及しているマーキング用のレーザを使用して、視認性が高いマーキングを加工面3に行うことができる、という利点がある。
【0045】
加工面3が形成される材料には、レーザ照射のレーザに反応し変色する変色材が含まれている。例えば、加工面3は、変色材が含まれている合成樹脂によって形成されている。そのため、一般的に警報器等で使用される合成樹脂に変色材を含ませた材料によって、加工面3を形成することができ、警報器100に必要とされる性質を有するという利点がある。ここでいう「警報器100に必要とされる性質」とは、例えば、熱によって変形しにくい性質である耐火性、及び変形や破壊に対する対抗の度合いである強度のことである。
【0046】
本実施形態では、第1カバー21、及び第2カバー22は、変色材が含まれている合成樹脂製の成形品である。ここでいう合成樹脂は、例えば、ABS樹脂である。
【0047】
本実施形態では、変色部分4は、レーザ照射によって白く変色した部分である。言い換えれば、変色部分4は、レーザ照射によって、黒色又は暗い色調から白色へ変化した部分である。すなわち、加工面3が形成される材料には、レーザ照射のレーザに反応し、白色に変化する変色材が含まれている。ここでいう「白色」は、黒色又は暗い色調と比べて、明度が高い色調である。この結果、変色部分4と加工面3との色調の差異がより明瞭であり、黒色又は暗い色調の加工面3におけるマーキングの視認性がより高い、という利点がある。
【0048】
なお、「白色」は、高明度の色調であることが望ましい。より具体的には、マンセル表色系によって定義される場合、「白色」は、明度が7.0以上である色調であることが望ましい。また、L*a*b*色空間によって定義される場合、「白色」は、明度を示すLが60以上である色調であることが望ましい。また、L*C*h*色空間によって定義される場合、「白色」は、明度を示すLが60以上である色調であることが望ましい。また、日本色研配色体系(PCCS)によって定義される場合、「白色」は、PCCS明度が7.5以上である色調であることが望ましい。
【0049】
本実施形態の変色部分4は、複数ある。すなわち、加工面3は、変色部分4として、変色部分4A~4Eを有する。より詳細には、加工面3Aは、
図1に示すように、変色部分4Aを有する。また、加工面3Bは、変色部分4Bを有する。また、加工面3Cは、変色部分4C~4Eを有する。
【0050】
変色部分4A~4Eは、レーザ照射によって加工面3にマーキングされた文字及び記号の少なくとも一方と、レーザ照射によって加工面3が粗面加工された部分と、を含む。
【0051】
より詳細には、変色部分4A~4Cのそれぞれは、レーザ照射によって加工面3A~3Cのそれぞれにマーキングされた文字である。例えば、変色部分4A~4Cは、警報器100の製品名、型番、製造会社、機能を示すものである。なお、変色部分4A~4Cは、操作釦5による操作(例えば、音出力部12の音の発生を停止させる操作)に関する内容が示すものであってもよい。
【0052】
また、変色部分4Dは、レーザ照射によって加工面3Cにマーキングされた記号である。例えば、変色部分4Dは、警報器100が定められた規格に適合することを表示するため、又は警報器100の材質を識別するためのマークである。なお、変色部分4Dは、警報器100の製造会社を示すロゴであってもよい。
【0053】
また、変色部分4Eは、レーザ照射によって加工面3Cが粗面加工された部分である。その結果、警報器100を所有する者、管理する者、及び設置する者(以下、ユーザとする)が、変色部分4Eに筆記用具(例えば、黒色の油性ペン)等で任意の内容を記載することが可能になる。一例として、任意の内容は、警報器100を設置した年月日又は場所である。
【0054】
変色部分4Eは、
図1及び
図2に示すように、加工面3Cに矩形状に設けられている。なお、変色部分4Eの形状は、矩形状に限定されず、例えば、円形状であってもよく、角が丸い四角形状であってもよい。
【0055】
筐体2は、
図2に示すように、表示部8を更に備える。より詳細には、筐体2の第1カバー21の前壁211は、表示部8を更に備える。言い換えれば、表示部8は、筐体2の第1カバー21の前壁211に設けられる。本実施形態では、表示部8と操作釦5とは、一体に形成されている。要するに、本実施形態の表示部8は、操作釦5である。この構成によると、操作釦5とは別に表示部8を設ける必要がなくなり、防災機器100を小型化することができるという利点がある。
【0056】
表示部8は、検知部11の検知結果を表示する。より詳細には、表示部8は、光出力部が出力する光を筐体2の外部へ透過させることによって、検知部11の検知結果を表示する。例えば、表示部8は、光出力部が検知部11によって火災を検知した場合に出力する光を筐体2の外部へ透過させることによって、検知部11によって火災を検知したことを表示する。
【0057】
表示部8は、黒色又は暗い色調に着色された光透過材料によって形成される。光透過材料は、第1カバー21及び第2カバー22を形成する材料(例えば、ABS樹脂)よりも透光性が高い材料である。ここでいう「透光性」とは、光を透過させる性質を示し、「透光性が高い」とは、透過させる光の量が多いことを示す。光透過材料は、例えば、透明又は半透明の合成樹脂である。一例として、光透過材料は、ポリカーボネートである。
【0058】
光透過材料は、光を拡散させる性質を有する光拡散剤を含む。光拡散剤は、例えば、球状シリカ、又は炭酸カルシウム等である。この構成によると、表示部8を透過した光が拡散され、ユーザが検知部11の検知結果を視認しやすくなるという利点がある。なお、光透過材料に対する光拡散剤の割合は、5%以下であることが望ましい。しかし、光透過材料に対する光拡散剤の割合は、限定されない。
【0059】
表示部8は、光出力部が出力する光が入射される入射面80a(
図4参照)と、光出力部が出力する光が出射される出射面80b(
図3参照)と、を有する。本実施形態では、入射面80aと、出射面80bと、は、前後方向に沿って対向する面である。より詳細には、入射面80aは、表示部8の後側(回路ブロック1側)の面であり、すなわち、表示部8の内面である。一方、出射面80bは、表示部8の前側の面であり、すなわち、表示部8の外面である。本実施形態の出射面80bは、第1カバー21の開口213から露出している。
【0060】
(2-2)警報器の製造方法
次に、警報器(防災機器)100の製造方法について、
図5のフローチャートを参照して説明する。
【0061】
警報器100の製造方法は、
図5に示すように、形成ステップST1と、レーザ照射ステップST2と、組立ステップST3と、を含む。
【0062】
形成ステップST1は、加工面3A~3Cをレーザ照射によって変色する材料によって形成する。本実施形態の形成ステップST1は、第1カバー21及び第2カバー22をレーザ照射によって変色する材料によって形成する。より具体的には、形成ステップST1は、変色材が含まれているABS樹脂を加熱し溶かしたものを、金型などを使って第1カバー21及び第2カバー22の形状に形成し冷やして固め、取り出す。
【0063】
レーザ照射ステップST2は、加工面3A~3Cにレーザ照射を行うことで、変色部分4を形成する。より詳細には、レーザ照射ステップST2は、第1カバー21の加工面3Aにレーザ照射を行うことで、変色部分4Aを形成する。同様に、レーザ照射ステップST2は、第1カバー21の加工面3Bにレーザ照射を行うことで、変色部分4Bを形成する。また、レーザ照射ステップST2は、第2カバー22の加工面3Cにレーザ照射を行うことで、変色部分4C~4Eを形成する。レーザ照射ステップST2で使用されるレーザの波長は、例えば、500nm~2000nmである。例えば、レーザ照射ステップST2では、ファイバーレーザ、YAGレーザ、又はYVO4レーザなどが使用される。
【0064】
組立ステップST3は、筐体2を組み立てる。より詳細には、組立ステップST3は、第1カバー21及び第2カバー22が回路ブロック1と操作釦5と電池6とを収容し、仕切り部23が第1カバー21と第2カバー22との間に配置されるように、筐体2を組み立てる。
【0065】
図5のフローチャート図は、本実施形態の警報器100の製造方法の一例に過ぎず、その処理の順序が適宜入れ替わっていてもよいし、いずれかの処理について適宜省略されてもよい。
【0066】
(3)利点
本実施形態の警報器100では、変色部分4は、加工面3と比較して、明度及び彩度の少なくとも一方が高い色調である。そのため、ユーザが、黒色又は暗い色調の加工面3における変色部分4(レーザ照射によってマーキングされた部分)を容易に視認することができる。言い換えると、本実施形態に係る警報器100は、黒色又は暗い色調の加工面3におけるレーザ照射によるマーキングの視認性が高いという利点がある。
【0067】
また、本実施形態の警報器100では、変色部分4Eは、レーザ照射によって粗面加工され、白く変色した部分である。そのため、ユーザが一般的に普及している黒色の油性ペン等で変色部分4Eに任意の内容を記載した場合に、ユーザが変色部分4Eに記載された内容を容易に視認することができるという利点がある。
【0068】
(4)変形例
上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0069】
(4-1)表示部の変形例
図6に示すように、表示部8aは、光が拡散されるように構成された光拡散部81を有していてもよい。光拡散部81は、入射面80aに設けられ、入射面80aから入射される光が表示部8aの内部で拡散されるように構成される。光拡散部81によって表示部8aの内部で拡散された光は、出射面80bから出射される。光拡散部81は、入射面80a上に同一の中心を有し、半径が異なる複数の円環状の凸部である。なお、
図7に示すように、表示部8bは、格子状に配置された複数の半球状の凸部である光拡散部81aを有していてもよい。表示部8a、8bが光拡散部81、81aを有することによって、表示部8a、8bを透過した光がより拡散され、ユーザが検知部11の検知結果をより視認しやすくなるという利点がある。
【0070】
また、光拡散部81、81aは、出射面80bに設けられていてもよい。この場合、光拡散部81、81aは、表示部8a、8bの内部を通った光が拡散するように構成されている。
【0071】
(4-2)その他の変形例
以下、本実施形態の変形例を列挙する。以下の変形例は、適宜組み合わせて実現されてもよい。
【0072】
筐体2の形状は、本実施形態に限定されず、適宜変更可能である。例えば、筐体2は、平面視において、円形状だけではなく、矩形や多角形であってもよい。つまり、第1カバー21及び第2カバー22も同様に、平面視において、円形状だけではなく、矩形や多角形であってもよい。
【0073】
また、本実施形態では、筐体2の表面の全体が加工面3であるが、筐体2の内面も加工面3であってもよい。ここでいう「筐体2の内面」は、筐体2が組み立てられた状態において、筐体2の外側から見ることできない面である。すなわち、第1カバー21、第2カバー22、及び仕切り部23のそれぞれが有する全ての面が、加工面3であってもよい。
【0074】
また、筐体2の表面の全体が加工面3ではなく、筐体2の表面の少なくとも一部が加工面3であればよい。言い換えると、筐体2は、筐体2の少なくとも一部に、加工面3を有していればよい。
【0075】
例えば、筐体2は、加工面3Aだけを有していてもよい。より詳細に、筐体2が加工面3Aだけを有する場合について説明する。この場合、筐体2の第1カバー21において、前壁211の外面2111は加工面3Aであり、第1周壁212の外面2121は加工面3ではなく、黒色又は暗い色調以外の色(例えば、白色等)である。また、筐体2の第2カバー22において、第2周壁222の外面2221は加工面3ではなく、黒色又は暗い色調以外の色である。同様に、筐体2は、加工面3Bだけを有していてもよく、加工面3Cだけを有していてもよい。
【0076】
また、筐体2の第1カバー21において、前壁211の外面2111の一部のみが加工面3であってもよい。すなわち、筐体2の第1カバー21において、前壁211の外面2111の一部が黒色又は暗い色調である加工面3であり、前壁211の外面2111の残りの部分が黒色又は暗い色調以外の色(例えば、白色等)であってもよい。
【0077】
同様に、筐体2の第1カバー21において、第1周壁212の外面2121の一部が加工面3であってもよく、筐体2の第2カバー22において、第2周壁222の外面2221の一部が加工面3であってもよい。
【0078】
本実施形態の変色部分4は、レーザ照射によって白く変色した部分である。しかし、変色部分4において、レーザ照射によって変色した色は、黒色又は暗い色調と比べて明度及び彩度の少なくとも一方が高い色調であればよい。すなわち、変色部分4は、レーザ照射によって、青く変色した部分であってもよく、赤く変色した部分であってもよい。
【0079】
また、本実施形態では、変色部分4は複数あるが、変色部分4が1つであってもよい。言い換えると、本実施形態では、加工面3は、複数の変色部分4を有するが、1つの変色部分4のみを有していてもよい。より詳細には、加工面3は、レーザ照射によって加工面3にマーキングされた文字である変色部分4のみを有していてもよいし、レーザ照射によって加工面3にマーキングされた記号である変色部分4のみを有していてもよい。すなわち、加工面3は、変色部分4として、レーザ照射によって加工面3にマーキングされた文字及び記号の少なくとも一方のみを有していてもよい。言い換えると、変色部分4は、レーザ照射によって加工面3にマーキングされた文字及び記号の少なくとも一方であってもよい。
【0080】
同様に、加工面3は、レーザ照射によって加工面3が粗面加工された変色部分4Eのみを有していてもよい。言い換えると、変色部分4は、レーザ照射によって加工面3が粗面加工された部分であってもよい。
【0081】
本実施形態の第1カバー21、及び第2カバー22は、変色材が含まれている合成樹脂製の成形品である。しかし、第1カバー21、及び第2カバー22は、変色材が含まれていない合成樹脂製の成形品が成形後に変色材を表面に塗布されたものであってもよい。
【0082】
本実施形態の回路ブロック1は、音出力部12を有しているが、音出力部12を有していなくてもよい。
【0083】
また、回路ブロック1は、外部装置と通信する通信部を有していてもよい。この場合、回路ブロック1は、検知部11によって火災を検知した場合に、通信部を介して通信信号を送信し火災を検知したことを外部装置に報知してもよい。その際、外部装置は受信した通信信号に基づいて火災が発生した旨を情報端末に通知しても良い。ここでいう情報端末は、例えば、ユーザが携帯する端末であり、具体的にはスマートフォン又はタブレット型のコンピュータである。また、情報端末は、例えばラップトップ型のパーソナルコンピュータ、スマートウォッチ等のウェアラブルデバイスであってもよい。
【0084】
(まとめ)
実施形態に係る第1の態様の防災機器(100)は、検知部(11)と、筐体(2)と、を備える。検知部(11)は、火災を検知する。筐体(2)は、検知部(11)を収容する。筐体(2)は、筐体(2)の少なくとも一部に、黒色又は暗い色調である加工面(3)を有する。加工面(3)は、レーザ照射によって変色した変色部分(4)を有する。
【0085】
この態様によれば、黒色又は暗い色調の加工面(3)におけるマーキングの視認性が高い、という利点がある。
【0086】
実施形態に係る第2の態様の防災機器(100)は、第1の態様において、変色部分(4)は、レーザ照射によって白く変色した部分である。
【0087】
この態様によれば、変色部分(4)と加工面(3)との色調の差異がより明瞭であり、黒色又は暗い色調の加工面(3)におけるマーキングの視認性がより高い、という利点がある。
【0088】
実施形態に係る第3の態様の防災機器(100)は、第1又は第2の態様において、加工面(3)は、レーザ照射によって変色する材料によって形成される。
【0089】
この態様によれば、一般的に普及しているマーキング用のレーザを使用して、視認性が高いマーキングを加工面(3)に行うことができる、という利点がある。
【0090】
実施形態に係る第4の態様の防災機器(100)は、第3の態様において、材料は、レーザ照射のレーザに反応し変色する変色材が含まれている。
【0091】
この態様によれば、一般的に警報器等で使用される合成樹脂に変色材を含ませた材料によって加工面(3)を形成することができ、警報器(100)に必要とされる性質を有するという利点がある。
【0092】
実施形態に係る第5の態様の防災機器(100)は、第1~第4のいずれかの態様において、変色部分(4;4A~4D)は、レーザ照射によって加工面(3)にマーキングされた文字及び記号の少なくとも一方である。
【0093】
この態様によれば、ユーザが、変色部分(4;4A~4D)によって記載された又は示された内容を容易に視認することができる、という利点がある。
【0094】
実施形態に係る第6の態様の防災機器(100)は、第1~第4のいずれかの態様において、変色部分(4;4E)は、レーザ照射によって加工面(3)が粗面加工された部分である。
【0095】
この態様によれば、ユーザが一般的に普及している黒色の油性ペン等で変色部分(4E)に任意の内容を記載した場合に、ユーザが変色部分(4;4E)に記載された内容を容易に視認することができる、という利点がある。
【0096】
実施形態に係る第7の態様の防災機器(100)は、第1~第4のいずれかの態様において、変色部分(4)は、複数ある。複数の変色部分(4;4A~4E)は、レーザ照射によって加工面(3)にマーキングされた文字及び記号の少なくとも一方と、レーザ照射によって加工面(3)が粗面加工された部分と、を含む。
【0097】
この態様によれば、ユーザが、変色部分(4;4A~4D)によって記載された又は示された内容を容易に視認することができる、という利点がある。また、ユーザが一般的に普及している黒色の油性ペン等で変色部分(4;4E)に任意の内容を記載した場合に、ユーザが変色部分(4;4E)に記載された内容を容易に視認することができる、という利点もある。
【0098】
実施形態に係る第8の態様の防災機器(100)は、第1~第7のいずれかの態様において、筐体(2)の表面の全体が、加工面(3)である。
【0099】
この態様によれば、防災機器(100)のユーザが視認しやすい位置に変色部分(4)を設けることができ、マーキングの視認性が高いという利点がある。
【0100】
実施形態に係る第9の態様の防災機器(100)では、第1~第7のいずれかの態様において、筐体(2)は、検知部(11)の検知結果を表示する表示部(8、8a、8b)を有する。表示部(8、8a、8b)は、黒色又は暗い色調に着色された光透過材料によって形成される。光透過材料は、光を拡散させる性質を有する光拡散剤を含む。
【0101】
この態様によれば、ユーザが検知部(11)の検知結果を視認しやすくなるという利点がある。
【0102】
実施形態に係る第10の態様の防災機器(100)では、第9の態様において、表示部(8a、8b)は、光が入射される入射面(80a)に設けられ、光が内部で拡散されるように構成される光拡散部(81、81a)を有する。
【0103】
この態様によれば、ユーザが検知部(11)の検知結果をより視認しやすくなるという利点がある。
【0104】
実施形態に係る第11の態様の防災機器(100)は、第9又は第10の態様において、表示部(8、8a、8b)は、筐体(2)の外部から操作可能な操作釦(5)である。
【0105】
この態様によれば、防災機器(100)を小型化することができるという利点がある。
【0106】
実施形態に係る第12の態様の防災機器(100)の製造方法は、第1~第11のいずれかの態様の防災機器(100)の製造方法である。製造方法は、レーザ照射ステップ(ST2)を含む。レーザ照射ステップ(ST2)は、加工面(3)にレーザ照射を行うことで、変色部分(4)を形成する。
【0107】
この態様によれば、黒色又は暗い色調の加工面(3)におけるマーキングの視認性が高い防災機器(100)を提供できる、という利点がある。
【0108】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0109】
100 警報器(防災機器)
11 検知部
2 筐体
3(3A、3B、3C) 加工面
4(4A、4B、4C、4D、4E) 変色部分
ST2 レーザ照射ステップ
5 操作釦
8、8a、8b 表示部
80a 入射面
81、81a 光拡散部