(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084201
(43)【公開日】2023-06-19
(54)【発明の名称】集塵装置用の給水ユニット、給水システム
(51)【国際特許分類】
B01D 46/48 20060101AFI20230612BHJP
【FI】
B01D46/48
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021198233
(22)【出願日】2021-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】591059445
【氏名又は名称】ホーコス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101786
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 秀行
(72)【発明者】
【氏名】福島 大治
【テーマコード(参考)】
4D058
【Fターム(参考)】
4D058JA60
4D058UA21
(57)【要約】
【課題】ハウジングの耐圧強度を必要以上に高めなくても、簡単な手段によりウェットダウンの注水時における内圧の上昇を抑制して、ばく露を確実に防止する。
【解決手段】給水ユニット200は、洗浄水Wを供給する給水管31と、この給水管31からハウジング10内へ洗浄水Wを供給して、ハウジング10内における粉塵付着面を湿潤状態にする際に、ハウジング10内の圧力が一定値を超えないように調整する圧力調整管32とを備えている。圧力調整管32の第1管体32aは、給水管31の途中から分岐して、集塵装置100より高い所定位置mまで上方に延びている。第1管体32aの高さHは、管体内の洗浄水Wによる水頭圧が加わったハウジング10内の満水時の圧力が、許容限界値以下となるような高さに選定されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタが収納されたハウジングを有する集塵装置へ洗浄水を供給する、集塵装置用の給水ユニットであって、
前記洗浄水を供給する給水管と、
前記給水管から前記ハウジング内へ洗浄水を供給して、前記ハウジング内における粉塵付着面を湿潤状態にする際に、前記ハウジング内の圧力が一定値を超えないように調整する圧力調整手段と、を備え、
前記圧力調整手段は、前記給水管の途中から分岐して、前記集塵装置より高い所定位置まで上方に延びる第1管体を有している、ことを特徴とする給水ユニット。
【請求項2】
前記第1管体の高さは、当該第1管体内の洗浄水による水頭圧が加わった前記ハウジング内の満水時の圧力が、許容限界値以下となるような高さに選定されている、ことを特徴とする請求項1に記載の給水ユニット。
【請求項3】
前記第1管体の高さの基準となる位置は、前記ハウジングに設けられたエア抜き部に備わるエアフィルタの下端位置である、ことを特徴とする請求項2に記載の給水ユニット。
【請求項4】
前記第1管体と連通して下方へ延び、先端が開口している第2管体をさらに備えたことを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の給水ユニット。
【請求項5】
前記第1管体の上部と連通して水平に延び、前記第2管体の上部と連通する第3管体をさらに備えたことを特徴とする、請求項4に記載の給水ユニット。
【請求項6】
前記第1管体の高さが調整可能であることを特徴とする、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の給水ユニット。
【請求項7】
前記第1管体が可撓性を有していることを特徴とする、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の給水ユニット。
【請求項8】
前記第1管体が透明であることを特徴とする、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の給水ユニット。
【請求項9】
前記第1管体の管径が前記給水管の管径と同等かそれ以上であることを特徴とする、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の給水ユニット。
【請求項10】
前記第1管体は、前記給水管から分岐する分岐箇所より下方へ延びた後、前記所定位置まで上方に延び、
前記第1管体における、前記分岐箇所より下方の湾曲部が、前記ハウジング内の汚染空気が前記第1管体を通って大気中に漏出するのを防止する、封水部を構成していることを特徴とする、請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の給水ユニット。
【請求項11】
フィルタが収納されたハウジングを有する集塵装置へ洗浄水を供給する、集塵装置用の給水ユニットであって、
前記洗浄水を供給する給水管と、
前記給水管から前記ハウジング内へ洗浄水を供給して、前記ハウジング内における粉塵付着面を湿潤状態にする際に、前記ハウジング内の圧力が一定値を超えないように調整する圧力調整手段と、を備え、
前記圧力調整手段は、前記給水管の途中に設けられたリリーフバルブまたは減圧弁を有し、
前記ハウジング内の圧力が、前記リリーフバルブまたは前記減圧弁の圧力設定値によって規制される、ことを特徴とする給水ユニット。
【請求項12】
フィルタが収納されたハウジングを有する集塵装置へ洗浄水を供給する、集塵装置用の給水ユニットであって、
前記洗浄水を供給する給水管と、
前記給水管から前記ハウジング内へ洗浄水を供給して、前記ハウジング内における粉塵付着面を湿潤状態にする際に、前記ハウジング内の圧力が一定値を超えないように調整する圧力調整手段と、を備え、
前記圧力調整手段は、
前記給水管の途中に設けられたバルブと、
前記ハウジング内の圧力または液位を検出するセンサと、
前記センサの検出結果に基づいて前記バルブの開度を制御する制御回路と、を備え、
前記ハウジング内の圧力が、前記バルブの開度によって規制される、ことを特徴とする給水ユニット。
【請求項13】
フィルタが収納されたハウジングを有する集塵装置と、
前記集塵装置に洗浄水を供給する給水管を有する給水ユニットと、
を備えた給水システムであって、
前記給水管から前記ハウジング内へ洗浄水を供給して、前記ハウジング内における粉塵付着面を湿潤状態にする際に、前記ハウジング内の圧力が一定値を超えないように調整する圧力調整手段を備え、
前記圧力調整手段は、前記給水管の途中から分岐して、前記集塵装置より高い所定位置まで上方に延びる第1管体を有している、ことを特徴とする給水システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集塵装置に内蔵されているフィルタを交換する際に用いる、給水ユニットおよび給水システムに関する。
【背景技術】
【0002】
集塵装置は、一般に、ハウジングと、このハウジングに収容されたフィルタと、濾過対象の流体をハウジング内へ導入する導入管と、フィルタで濾過された流体を排気する排気管とを備えている。導入管から導入された流体に含まれている粉塵は、フィルタの濾材で捕集され、粉塵が除去された流体は、清浄流体となって排気管から排気される。
【0003】
集塵装置のフィルタは、粉塵の捕集を繰り返すに従って目詰まりを生じるため、定期的に交換が必要となる。また、使用済のフィルタを取り出した後、粉塵で汚れたハウジングの内部を洗浄する必要もある。これらの作業にあたっては、フィルタやハウジングの内部に付着した粉塵の飛散によって作業者がばく露することがないように、細心の注意を払う必要がある。特に、医薬原料や農薬原料である高薬理活性物質は、少量で人体に強い薬効を与えたり毒性を有したりすることから、これを取り扱う現場では慎重な対応が求められる。
【0004】
ばく露対策の1つとして、従来から行われているBIBO(バグイン・バグアウト)方式がある。これは、ビニール袋を介してフィルタの交換を行うことで、使用済のフィルタが開放空間に露出しないように、またハウジングの内部が外部と連通しないようにして、粉塵の飛散によるばく露を防止するものである。しかしながら、このBIBO方式では、ビニール袋越しにフィルタの取り出しや挿入を行うため、作業性が悪いだけでなく、作業ミスにより使用済のフィルタが露出して、作業者がばく露を受けるおそれがある。
【0005】
この対策として、洗浄水によりフィルタやハウジングの内部を湿潤状態とした後、フィルタの交換を行うウェットダウン方式が知られている。たとえば、特許文献1には、フィルタが収容されているハウジングの内部へノズルから洗浄水を噴射して、フィルタを湿潤させた後、使用済のフィルタを取り出して新しいフィルタに交換する方法が記載されている。これによれば、ハウジングの内部や取り出した使用済のフィルタが湿潤状態となっているので、付着した粉塵の飛散を抑えることができる。しかるに、洗浄水を噴射しても、フィルタの全域に洗浄水が均一に行き渡るという保証はなく、湿潤されていない箇所に粉塵が残留していると、フィルタの取り出し時に残留粉塵が飛散して、ばく露をひき起こすおそれがある。このため、ばく露対策の徹底を図るには、ウェットダウンを行った後でも、BIBO方式によるフィルタ交換を実施する必要がある。
【0006】
一方、特許文献2には、ハウジングにフィルタが収納されている状態で、ハウジング内へ洗浄水を注入し、フィルタを完全に水没させて湿潤状態にした後、洗浄水を排水するウェットダウン方式が示されている。また、特許文献3には、このようなウェットダウン処理を行った後、ハウジングを取り外してフィルタを空間に開放し、この開放状態で使用済のフィルタを新しいフィルタに交換するウェットオープンチェンジ(Wet Open Change;登録商標)方式が示されている。
【0007】
特許文献2や特許文献3の手法を用いれば、ハウジングの内部やフィルタが水没状態となることで、それらの粉塵付着面が全域にわたって漏れなく湿潤されるため、ハウジングからフィルタを取り出す際に粉塵が飛散することがなく、ばく露を効果的に防止することができる。
【0008】
図20は、そのようなウェットダウンの手順を模式的に示している。(a)は集塵装置1の概略図である。集塵装置1は、ハウジング10と、このハウジング10に収容されたフィルタFと、濾過対象の流体をハウジング10内へ導入する導入管12と、フィルタFで濾過された流体を排気する排気管16と、ウェットダウン時にハウジング10内へ洗浄水を供給する給水管17と、ハウジング10内への洗浄水の注入時にハウジング10内の空気を抜くためのエア抜き部18と、このエア抜き部18に収容されたエアフィルタZとを備えている。
【0009】
集塵装置1のウェットダウンを行う場合は、
図20(b)のように、図示しない給水源から給水管17を通して、ハウジング10の内部に洗浄水W(たとえば水道水)を注入する。洗浄水Wの注入に伴って、ハウジング10の内部空間の空気は、エア抜き部18のエアフィルタZを通って押し出される。このため、ハウジング10の内圧はほぼ一定に保たれる。そして、
図20(c)のように、ハウジング10の内部空間が洗浄水Wで満水状態になると、給水管17からの給水を停止する。このとき、フィルタFは完全に水没状態にあり、フィルタFの粉塵付着面(内面)の全域が湿潤面となっている。また、洗浄水WはエアフィルタZに達しているので、エアフィルタZの粉塵付着面(下面)も湿潤面となっている。その後、
図20(d)のように、ハウジング10の下部を開放して、ハウジング10内の洗浄水Wを排出する。なお、このときの排水には、フィルタFやエアフィルタZに付着していた粉塵が混入しているので、実際にはこの排水は、外部に漏れないように、図示しない排水管を通してタンクなどへ送られる。
【0010】
上記のようなウェットダウン処理において、ハウジング10の内部空間が満水状態(
図20(c))になったことは、たとえばエア抜き部18に設けられた確認窓(図示省略)を通して、目視などで確認することができる。しかしながら、この確認作業は人手によるため煩雑であり、また、確認するのを忘れたり、満水状態にもかかわらず満水状態でないと誤認することもある。
【0011】
このような場合は、給水管17からの給水が継続されるので、エアフィルタZにかかる圧力が上昇する。詳しくは、エアフィルタZは、粉塵が外部に漏れないように、HEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)と同等の、目の細かいフィルタから構成されているので、空気を通す場合の濾過抵抗(通気抵抗)に比べて、洗浄水Wを濾過する場合の濾過抵抗(水濾過抵抗)が大きくなる。しかも、このときの洗浄水Wには、フィルタFなどに付着していた粉塵が混入しているため、洗浄水Wに対するエアフィルタZの濾過抵抗はきわめて大きな値となる。たとえば、
図20(b)のように空気を濾過している場合のエアフィルタZの通気抵抗は数kPa程度であるが、粉塵を含む洗浄水Wを濾過する場合の水濾過抵抗は、50~100kPa程度まで急増する。
【0012】
そして、エアフィルタZの濾過抵抗が大きくなると、洗浄水WがエアフィルタZに及ぼす圧力が上昇し、それに応じてハウジング10の内圧も高まる。このため、ハウジング10の機械的強度が低かったり、ハウジング10のシール性能が十分でなかったりすると、ハウジング10が変形し、また
図21のように、ハウジング10から粉塵を含む洗浄水Wが漏れ出て、ばく露が発生するおそれがある。したがって、ウェットダウン処理を行う集塵装置1にあっては、エアフィルタZのフィルタ面(下面)に水面が達した後の濾過抵抗の上昇に耐えうるような設計が要求される。しかるに、そのような要求を満たす装置では、十分な耐圧強度やシール性能が得られる反面、分解・洗浄の容易性や本体の軽量化などが犠牲となり、またコストも高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2016-10795号公報
【特許文献2】国際公開WO2018/235686
【特許文献3】国際公開WO2019/244745
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の課題は、ハウジングの耐圧強度を必要以上に高めなくても、簡単な手段によりウェットダウンの注水時におけるハウジングの内圧上昇を抑制して、ばく露を確実に防止できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る給水ユニットは、フィルタが収納されたハウジングを有する集塵装置へ洗浄水を供給する給水管と、この給水管からハウジング内へ洗浄水を供給して、ハウジング内における粉塵付着面を湿潤状態にする際に、ハウジング内の圧力が一定値を超えないように調整する圧力調整手段とを備えている。圧力調整手段は、給水管の途中から分岐して集塵装置より高い所定位置まで上方に延びる管体を有している。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、管体だけで構成された簡単な圧力調整手段を設けることで、ウェットダウン時の洗浄水の注入によるハウジングの内圧上昇を抑制することができる。また、管体に流入した洗浄水による水頭圧が加わって、ハウジング内の圧力が増加しても、この増加分は、管体の高さを適値に選定することで制限が可能である。このため、ハウジングの機械的強度やシール性能を必要以上に高めなくても、ハウジングが変形するおそれはない。また、内圧上昇によって洗浄水が漏れ出るおそれもないので、ばく露を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1実施形態による給水システムを示す斜視図である。
【
図3】給水装置の正面図、側面図、および背面図である。
【
図4】第1実施形態の原理を説明するための概略構成図である。
【
図5】第1実施形態の原理を説明するための概略構成図である。
【
図6】第1実施形態の原理を説明するための概略構成図である。
【
図7】第1実施形態の原理を説明するための概略構成図である。
【
図8】水頭圧の作用を説明するための概略構成図である。
【
図9】集塵装置におけるウェットダウンの手順を示す図である。
【
図10】集塵装置におけるウェットダウンの手順を示す図である。
【
図11】集塵装置におけるウェットダウンの手順を示す図である。
【
図12】集塵装置におけるウェットダウンの手順を示す図である。
【
図13】本発明の第2実施形態を示す概略構成図である。
【
図14】第2実施形態の原理を説明するための概略構成図である。
【
図15】本発明の第3実施形態を示す概略構成図である。
【
図16】第3実施形態の原理を説明するための概略構成図である。
【
図17】本発明の第4実施形態を示す概略構成図である。
【
図18】本発明の第5実施形態を示す概略構成図である。
【
図19】集塵装置の他の例を示す概略断面図である。
【
図20】ウェットダウンの一般的な手順を示す概略構成図である。
【
図21】ウェットダウンの問題点を説明するための概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態につき図面を参照しながら説明する。図面全体を通して、同一の部分または対応する部分には、同一の符号を付してある。
【0019】
図1は、本発明の第1実施形態の給水システムAを示している。給水システムAは、集塵装置100と給水ユニット200とから構成される。集塵装置100は、本体1と、この本体1を支持する支持台2とを備えている。本体1は、後述の
図2に示すフィルタFが収納されたハウジング10と、濾過対象である含塵気流をハウジング10の内部へ導入する導入管12と、フィルタFで濾過された清浄気流を排気する排気管16とを備えている。
【0020】
ハウジング10は、下部に逆円錐形のホッパ11を備えている。このホッパ11には、前述の導入管12と、排出管13とが接続されている。排出管13は、ハウジング10内に貯留された洗浄水や、フィルタFを構成する粒状濾材43(
図2)を排出するために設けられている。導入管12には、バルブV1と、このバルブV1の開閉を操作するバルブレバー24とが設けられている。また、排気管16にも、
図2に示すバルブV2と、このバルブV2の開閉を操作するバルブレバー23とが設けられている。排出管13の外側には、大径管14が設けられている。この大径管14には、ハウジング10内の粒状濾材43を排出する際に、ばく露を防止するための回収袋が装着される。
【0021】
ハウジング10の上部には、給水ユニット200から送水された洗浄水をハウジング10内へ注入する注入管17と、洗浄水の注入に伴ってハウジング10内の空気を抜くエア抜き部18と、ハウジング10とエア抜き部18とを連通させる連通管19と、粒状濾材43(
図2)が投入される投入管20とが設けられている。注入管17は、先端に注入口21を有している。エア抜き部18の上部には、排気口22が設けられている。
【0022】
支持台2は、基台25と、この基台25を支持する4本の脚部26と、各脚部26の下端に設けられた4個のキャスター27とを備えている。基台25の中央部は開口しており(図示省略)、この開口にホッパ11が嵌合することで、集塵装置100の本体1が支持台2に支持される。また、支持台2にキャスター27が設けられていることにより、集塵装置100は任意の場所に容易に搬送可能となっている。
【0023】
給水ユニット200は、図示しない給水源から集塵装置100へ洗浄水を供給するための給水管31と、後述する圧力調整手段を構成する圧力調整管32と、給水管31および圧力調整管32を支持するフレーム33と、このフレーム33に取り付けられたプレート34、35と、フレーム33を支持する二股の脚部36と、各脚部36の下端に設けられた4個のキャスター37とを備えている。この給水ユニット200も、キャスター37が設けられていることにより、任意の場所に容易に搬送可能となっている。なお、給水管31と圧力調整管32の詳細については、
図3においてあらためて説明する。
【0024】
図2は、集塵装置100の要部の断面図を示している。本体1のハウジング10の内部には、フィルタFが収容されている。このフィルタFは、同心状に配設された内筒41および外筒42と、これらの間の空間に充填された粒状濾材43とから構成される。粒状濾材43は、上記空間からホッパ11にわたって充填されている。この粒状濾材43の詳細については、前述の特許文献2に記載されている。
【0025】
フィルタFの内部には、
図1に示した導入管12の端部が接続される開口部44が設けられている。導入管12から導入された含塵気流Xは、フィルタFの内部の一次空間Pに流入した後、フィルタFの粒状濾材43の隙間を通って、フィルタFの外部の二次空間Sへ流出する。この過程で、含塵気流X中に含まれる粉塵が粒状濾材43により捕捉され、二次空間Sへ流出した気流は、清浄気流Yとなって、排気管16から排気される。一次空間Pは、粉塵を含む気流が流れる空間であるから、一次空間Pに面したフィルタFの内面が粉塵付着面となる。
【0026】
エア抜き部18の内部には、エアフィルタZが収容されている。このエアフィルタZは、洗浄水の注入によりハウジング10内の空気が排気口22から押し出される際に、空気中に含まれる粉塵を除去するフィルタであって、
図21でも説明したように、HEPAフィルタと同等の目の細かいフィルタから構成されている。粒状濾材43が投入される投入管20は、内筒41と外筒42との間の空間と連通するように設けられている。
【0027】
次に、
図3を参照して、給水ユニット200の詳細について説明する。
図3において、(a)は給水ユニット200の正面図、(b)は給水ユニット200の右側面図、(c)は給水ユニット200の背面図をそれぞれ示している。前述したように、給水ユニット200には、給水管31と圧力調整管32とが備わっている。圧力調整管32は、給水管31の途中から分岐して設けられている(分岐箇所K参照)。
【0028】
給水管31は、
図3(a)(b)に示すように、一端に給水口31fを有している。この給水口31fは、ホースなどを介して、図示しない給水源(たとえば水道の蛇口)と接続される。給水源から供給される洗浄水(たとえば水道水)は、給水口31fへ流入した後、太矢印で示した経路(a→b→c→d)を流れて、給水管31の他端に設けられた吐出口31gから吐出される。この吐出口31gは、ホースなどを介して、集塵装置100の注入口21(
図1)と接続されるので、吐出された洗浄水は、注入口21から注入管17(
図1)を通って、ハウジング10の内部へ流入する。この洗浄水によるウェットダウンの詳細については、後述する(
図9~
図12)。
【0029】
次に、本発明の特徴である圧力調整管32について、
図4~
図7を参照して詳細に説明する。
【0030】
図4は、本発明の原理を説明するために、
図1に示した給水システムAを模式的に表したものである。したがって、集塵装置100、給水管31、および圧力調整管32は、単純化して表されている。また、
図4では、給水システムAを構成する主要な要素のみが示されている。
【0031】
図4において、集塵装置100のハウジング10に給水管31が接続されており、この給水管31と連通して圧力調整管32が設けられている。詳しくは、圧力調整管32は、給水管31の途中から分岐して上方に延びる第1管体32aと、この第1管体32aと連通して下方へ延び、先端が開口している第2管体32bと、第1管体32aの上部と連通して水平に延び、第2管体32bの上部と連通する第3管体32cとから構成される。本実施形態では、給水管31と圧力調整管32は、それぞれ鋼管からなる。圧力調整管32は、本発明における「圧力調整手段」の一例である。
【0032】
圧力調整管32の第1管体32aは、集塵装置100より高い所定位置mまで、上方に延びている。この第1管体32aの高さをHとする。高さHの基準となる位置は、ハウジング10に設けられたエア抜き部18における洗浄水の上昇位置、すなわちエア抜き部18に設けられたエアフィルタZの下端位置nである。したがって、第1管体32aの高さHは、H=m-nとなる。なお、mおよびnは、たとえば集塵装置100の設置面(床)からの距離である。
【0033】
図5に示すように、給水管31を通してハウジング10内へ洗浄水Wを注入してゆくと、ハウジング10の内部空間の空気は、エア抜き部18のエアフィルタZを通って押し出される。このため、ハウジング10の内圧はほぼ一定に保たれる。また、給水管31を通る洗浄水Wの一部が、圧力調整管32の第1管体32aへ流入するが、流入した洗浄水Wは第3管体32cまで達することはないので、第2管体32bから洗浄水Wが流れ出すことはない。
【0034】
ハウジング10内の洗浄水Wの液位が上昇すると、やがてハウジング10内は満水状態になり、さらに給水を続けると、
図6に示すように、洗浄水Wがエア抜き部18に流入してエアフィルタZと接触するに至る。すると、この時点からエアフィルタZの濾過抵抗が急増して、ハウジング10内の圧力が高まり、圧力調整管32の第1管体32a内の洗浄水Wの液位はさらに上昇する。
【0035】
詳しくは、
図20でも説明したように、エア抜き部18に流入した洗浄水Wに対するエアフィルタZの濾過抵抗は通気抵抗に比べて大きく、また洗浄水Wには粉塵も混入しているので、エアフィルタZの濾過抵抗が飛躍的に大きくなる。このため、洗浄水Wの給水を続けると、ハウジング10の内圧が上昇して、給水管31を通る洗浄水Wの全部をハウジング10内へ注入することが不可能となる。その結果、第1管体32aへ流入する洗浄水Wの量が増加して、第1管体32a内の洗浄水Wの液位がさらに上昇する。このとき、エアフィルタZの下面(nの位置)にかかる圧力は、第1管体32a内の洗浄水Wの高さに応じた水頭圧と等しくなる。水頭圧は、ある高さの静水が底面におよぼす圧力である(単位:Pa〔パスカル〕)。そして、この水頭圧はハウジング10の内部にも作用し、ハウジング10内の圧力は、水頭圧の分だけ増加する。
【0036】
詳しくは、
図8に示すように、ハウジング10内の各部には、もともと洗浄水Wの重力による水圧Qが生じている。この水圧Qは、水深に依存し、水深が増加するほど大きな値となる。一方、nの位置すなわちエアフィルタZの下面には、第1管体32a内の洗浄水Wの高さに応じた水頭圧Rがかかる。そして、このフィルタ下面の水頭圧Rは、パスカルの原理に従ってハウジング10内の各部に均等に作用する。したがって、ハウジング10内の各部に作用する圧力は、水深に応じた水圧Qに、第1管体32a内の洗浄水Wの高さに応じた水頭圧Rを加算した値となる。
【0037】
第1管体32a内の洗浄水Wの液位がさらに上昇して、高さHに至った後は、
図7に示すように、洗浄水Wは第3管体32cを通って第2管体32bへ流入し、第2管体32bの下端開口から排水される。このとき、第1管体32a内の洗浄水Wによる水頭圧は、高さHに相当する水頭圧であり、高さHをたとえば1メートルとした場合、水頭圧はほぼ10kPaとなる。ここで、洗浄水Wの高さはHを越えることはないので、
図8に示した水頭圧Rの最大値Rh(高さHに相当する水頭圧)は、10kPa以下となる(Rh≦10kPa)。すなわち、ハウジング10の内圧は、もともとの水圧Qに10kPaの水頭圧を加算した範囲に抑えられる。
【0038】
したがって、高さHに相当する水頭圧Rhがハウジング10内の圧力に加わっても、ハウジング10内の満水時における圧力(Q+Rh)が許容限界値以下となるように、高さHを適値に選定することによって、ハウジング10内の満水時の圧力は、許容限界値を超えない範囲に抑えられる。
【0039】
このようにして、第1実施形態によれば、管体だけで構成された圧力調整管32という簡単な手段を設けるだけで、洗浄水Wの注入によるハウジング10の内圧上昇を抑制することができる。また、第1管体32a内の洗浄水Wによる水頭圧Rが加わって、ハウジング10内の圧力が増加しても、この増加分は第1管体32aの高さHによって制限され、高さHに相当する水頭圧Rh(最大値)を超えることがない。このため、ハウジング10は、10kPa程度の圧力増加に耐えうる構造であれば十分であり、この値は前述したエアフィルタZの水濾過抵抗50~100kPaに比べると格段に低い。したがって、ハウジング10を必要以上に強固な耐圧構造にして、機械的強度やシール性能を高めなくても、ハウジング10が変形するおそれはなく、また、ウェットダウンの際に内圧上昇によって洗浄水Wが漏れ出るおそれもないので、通常の耐圧構造のままで、ばく露を十分に防止することができる。
【0040】
また、強固な耐圧構造とした場合のように分解・洗浄のしやすさが損なわれることがないので、メンテナンス性に優れているとともに、本体が重量化することもない。また、圧力調整手段は機械的な可動部分を有しないので、摩耗や破損の心配がなく、部品の交換を必要としない。さらには、電気的な制御によらずに物理的な力(水頭圧)のみを利用するので、信頼性がきわめて高く、また電源を必要としないことから、防爆対策も不要となる。
【0041】
なお、第1実施形態の給水ユニット200では、
図3(c)に示したように、圧力調整管32(
図4の第1管体32a)が、給水管31から分岐する分岐箇所Kより下方へ延びた後、
図4の所定位置mまで上方に延びている。そして、圧力調整管32における、分岐箇所Kより下方のU字状の湾曲部が、封水部Jを構成している。この封水部Jに貯留された洗浄水によって、ハウジング10内の汚染空気が第1管体32aを通って大気中に漏出するのを防止することができる。
【0042】
図9~
図12は、集塵装置100におけるウェットダウンの手順を示している。ウェットダウンの手順は、
図20の場合と基本的に同じである。
【0043】
図9に示すように、
図1の注入管17からハウジング10内へ洗浄水Wを注入すると、フィルタFの内部空間(一次空間P)に洗浄水Wが流入する。このとき、排気管16のバルブV2と、導入管12のバルブV1(
図1)は、いずれも閉じた状態にしておく。流入した洗浄水Wは、フィルタFを通って二次空間Sへ流入するとともに、ホッパ11へも流入し、
図10に示すように、ハウジング10の天井に至る。その後、洗浄水Wは、連通管19の中を上昇して、
図11に示すように、エアフィルタZの下面位置に達する。これにより、ハウジング10内が満水状態となる。
【0044】
従来は、この満水状態を確認窓(図示省略)から目視し、満水が確認されると、給水を停止していたが、本発明では、満水状態を直接目視して確認する必要はない。なぜなら、
図11に示すように洗浄水WがエアフィルタZに達すると、それ以降は
図7で説明したように、洗浄水Wが第1管体32aから第3管体32cを通って、第2管体32bの下端開口から排水されるからである。すなわち、この排水を確認することで、ハウジング10内が満水状態になっていることを知ることができる。
【0045】
満水状態が確認された後は、給水を停止して、ホッパ11の下方に設けられているバルブ(図示省略)を開放し、
図12に示すように、ハウジング10内の洗浄水Wを、排出管13を通して排水する。この場合も、
図20で説明したように、洗浄水Wには粉塵が混入しているので、排水される洗浄水Wは、外部に漏れないように排水管を通してタンクなどへ送られる。
【0046】
以上によりウェットダウン処理が完了する。ウェットダウンによって、水没状態にあったフィルタFは全域が湿潤状態となっているので、粒状濾材43を排出管13から排出する際に粉塵が飛散することはなく、ばく露を未然に防止することができる。また、たとえば特開2021‐171746号公報に記載されているような方法で、ドライな状態の粒状濾材43を安全に排出した後に、給水ユニット200からハウジング10内へ洗浄水を供給して、ハウジング10の内部を洗浄する場合にも、湿潤状態のハウジング10内から粉塵が飛散しないので、ばく露を防止することができる。
【0047】
なお、上述した実施形態において、第1管体32aの高さHを自在に調整できるようにしてもよい。たとえば、第1管体32aを2つの管体から構成して、一方を他方に対してスライド可能としてもよい。あるいは、第1管体32aを可撓性を有する材料で形成することによって、高さHを自在に調整できるようにしてもよい。第2管体32bと第3管体32cも、同様に可撓性を有する材料で形成してもよい。
【0048】
また、上述した実施形態において、第1管体32aは、透明であってもよい。この場合、第1管体32aに流入した洗浄水Wの液位を目視で確認することができるので、ハウジング10内の圧力状態を容易に把握することができる。第2管体32bと第3管体32cも、同様に透明であってもよい。
【0049】
また、上述した実施形態において、第1管体32aの管径が給水管31の管径より小さいと、第1管体32aに流入する洗浄水Wに対する抵抗が大きくなって、第2管体32bからの洗浄水Wの排水に支障が生じる。また、サイフォン現象によって、汚染された洗浄水Wがハウジング10から引き出されるおそれもある。したがって、第1管体32aの管径は、給水管31の管径と同等かそれ以上であることが好ましい。これにより、洗浄水Wを円滑に排水し、またハウジング10からの汚染水の逆流を防止することができる。第2管体32bと第3管体32cの管径も、同様に給水管31の管径と同等かそれ以上であることが好ましい。
【0050】
図13は、本発明の第2実施形態の給水システムBを示している。この給水システムBにおいて、集塵装置100については、第1実施形態と変わりがないので、説明を省略する(後述の第3~第5実施形態においても同様)。第2実施形態では、給水装置300が第1実施形態と異なっている。
【0051】
給水装置300は、給水管31と、連通管61と、リリーフバルブ62とを備えている。連通管61は、給水管31の途中から分岐して、リリーフバルブ62に接続されている。連通管61とリリーフバルブ62は、本発明における「圧力調整手段」の一例である。
【0052】
図14に示すように、給水管31を通してハウジング10内へ洗浄水Wを注入し、ハウジング10内が満水状態になった後、さらに給水を続けると、第1実施形態の場合と同様に、洗浄水Wがエア抜き部18のエアフィルタZと接触する。この時点から、給水管31を通る洗浄水Wが連通管61へ流入し、その圧力に応じてリリーフバルブ62が開いてゆく。このため、連通管61へ流入した洗浄水Wは、リリーフバルブ62の開口から排水され、ハウジング10内の圧力は、リリーフバルブ62の圧力設定値によって規制されることになる。
【0053】
図15は、本発明の第3実施形態の給水システムCを示している。第3実施形態における給水装置400は、給水管31と、この給水管31の途中に設けられている減圧弁71とを備えている。減圧弁71は、本発明における「圧力調整手段」の一例である。
【0054】
第3実施形態では、給水管31を通してハウジング10内へ洗浄水Wを注入する際に、レギュレータとして作用する減圧弁71によって、洗浄水Wの圧力が一定値以下に抑えられる。このため、
図16に示すように、洗浄水Wがエア抜き部18のエアフィルタZと接触した後も、ハウジング10内の圧力は、減圧弁71の圧力設定値によって規制されることになる。
【0055】
図17は、本発明の第4実施形態の給水システムDを示している。第4実施形態における給水装置500は、給水管31と、この給水管31の途中に設けられたバルブ81と、ハウジング10内の圧力を検出する圧力センサ82と、この圧力センサ82の検出結果に基づいてバルブ81の開度を制御する制御回路83とを備えている。バルブ81、圧力センサ82、および制御回路83は、本発明における「圧力調整手段」の一例である。
【0056】
第4実施形態では、圧力センサ82で検出されたハウジング10内の圧力が一定値に達すると、制御回路83からバルブ81に電気信号が送られ、バルブ81が閉じるようになっている。これにより、ハウジング10内の圧力がバルブ81の開度によって規制され、一定値を超えないようにすることができる。バルブ81は、3方向弁を備えたものであってもよい。
【0057】
図18は、本発明の第5実施形態の給水システムEを示している。第5実施形態における給水装置600は、給水管31と、この給水管31の途中に設けられたバルブ91と、ハウジング10内の洗浄水の液位を検出するレベルセンサ92と、このレベルセンサ92の検出結果に基づいてバルブ91の開度を制御する制御回路93とを備えている。バルブ91、レベルセンサ92、および制御回路93は、本発明における「圧力調整手段」の一例である。
【0058】
第5実施形態では、レベルセンサ92で検出されたハウジング10内の洗浄水の液位が一定値に達すると、制御回路93からバルブ91に電気信号が送られ、バルブ91が閉じるようになっている。これにより、ハウジング10内の圧力がバルブ91の開度によって規制され、一定値を超えないようにすることができる。バルブ91は、3方向弁を備えたものであってもよい。
【0059】
図19は、本発明が適用される集塵装置の他の例を示している。
図19において、集塵装置50は、ハウジング51、フィルタF、導入管52、排気管53、および注入管54を備えている。フィルタFは、たとえばプリーツ状の濾材Uを備えた円筒状のHEPAフィルタであるが、折り畳んだ濾材を備えた矩形状のHEPAフィルタであってもよい。導入管12から導入された含塵気流Xは、フィルタFの一次空間Pから濾材Uを通って二次空間Sへ流出し、清浄気流Yとなって排気管53から排気される。
【0060】
注入管54は、ホースなどによって前述した給水ユニット200の吐出口31g(
図3)に接続される。ウェットダウンを行う場合は、注入管54から洗浄水を注入して、HEPAフィルタFの一次空間Pに洗浄水を充満させ、その後、導入管52から洗浄水を排水する。このような集塵装置50を用いた場合においても、給水ユニット200や注入管54に前述した各種の圧力調整手段を付加することができる。
【0061】
本発明では、以上述べた実施形態以外にも、以下のような種々の実施形態を採用することができる。
【0062】
図4においては、圧力調整手段として、第1管体32a、第2管体32b、および第3管体32cから構成された圧力調整管32を例に挙げたが、第2管体32bと第3管体32cを省略して、第1管体32aのみによって圧力調整管を構成してもよい。あるいは、第2管体32bを省略し、第1管体32aと第3管体32cとによって、圧力調整管を構成してもよい。
【0063】
図1においては、集塵装置100が本体1と支持台2とを備えている例を挙げたが、集塵装置100は本体1のみから構成されていてもよい。また、
図1においては、支持台2に集塵装置100のみが搭載されているが、集塵装置100とその他の装置とを並べて搭載できるようにしてもよい。
【0064】
給水ユニット200を用いて集塵装置100のウェットダウンを行う場合、フィルタFのみについてウェットダウンを行ってもよいし、ハウジング10の内部洗浄のためだけにウェットダウンを行ってもよい。また、フィルタFとハウジング10の両方を対象としてウェットダウンを行ってもよい。つまり、ハウジング10内における粉塵付着面を湿潤状態にする際に、給水ユニット200を用いればよい。さらに、ウェットダウンで用いる洗浄水Wは、水に限らず、温水、有機溶媒、酸またはアルカリ溶液などであってもよい。
【0065】
本発明の給水システムでは、給水ユニット200側に圧力調整手段を設けてもよいし、集塵装置100側に圧力調整手段を設けてもよい。たとえば、集塵装置100のハウジング10に上方へ延びる給水管(図示省略)を設けるとともに、この給水管の上端に給水槽(図示省略)を設け、給水槽内の洗浄水の液面が
図4に示すmの位置となるように構成してもよい。
【0066】
図3(c)では、圧力調整管32にU字状の湾曲部からなる封水部Jを設けた例を挙げたが、封水部は給水管31を含む給水経路に設けてもよい。たとえば、
図1に示す注入管17の注入口21と、
図3(c)の分岐箇所Kとの間の給水経路中にU字状の湾曲部を設け、この部分を封水部としてもよい。また、封水部はU字状の湾曲部に限らず、J字状やW字状の湾曲部であってもよい。
【0067】
本発明は、粒状濾材43を含むフィルタやHEPAフィルタを備えた集塵装置に限らず、ULPAフィルタ(Ultra Low Penetration Air Filter)や、袋状のバグフィルタなどを備えた集塵装置に給水を行うシステムにも適用が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、高薬理活性物質を取り扱う医薬品工場や農薬工場のような、ばく露対策に万全を期す必要がある場所において特に有用である。
【符号の説明】
【0069】
10 ハウジング
31 給水管
32 圧力調整管
32a 第1管体
32b 第2管体
32c 第3管体
62 リリーフバルブ
71 減圧弁
81 バルブ
82 圧力センサ
83 制御回路
91 バルブ
92 レベルセンサ
93 制御回路
100 集塵装置
200 給水ユニット
A~E 給水システム
F フィルタ
H 第1管体の高さ
J 封水部
K 分岐箇所
m 所定位置
n エアフィルタの下端位置
Q ハウジング内の水圧
R 水頭圧
W 洗浄水
Z エアフィルタ