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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008421
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】検体採取容器
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/10 20060101AFI20230112BHJP
   B65D 51/28 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
G01N1/10 N
G01N1/10 V
B65D51/28 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021111976
(22)【出願日】2021-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】391048500
【氏名又は名称】大扇産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119725
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 希世士
(74)【代理人】
【識別番号】100168790
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英之
(72)【発明者】
【氏名】合田 昭男
【テーマコード(参考)】
2G052
3E084
【Fターム(参考)】
2G052AA29
2G052AA36
2G052BA17
2G052BA18
2G052BA19
2G052CA02
2G052CA16
2G052DA02
2G052DA12
2G052DA13
2G052DA27
2G052JA02
2G052JA23
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB05
3E084AB10
3E084BA02
3E084CA01
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB12
3E084DC03
3E084EA02
3E084EB01
3E084EC03
3E084FB01
3E084GA04
3E084GB04
3E084GB08
3E084KA16
3E084KB01
3E084LA01
3E084LA14
3E084LA26
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】構造が簡単で組み立て易く、検体採取操作が容易で保存液が漏れ出るようなこともない検体採取容器を提供する。
【解決手段】検体収容体1と保存液収容体2と中栓体3とを備えており、前記検体収容体1に保存液収容体2を途中までねじ込んだ状態では、前記中栓体3は、検体収容体1の上端部に挿着されることにより、この検体収容体1の収容部11を密閉すると共に、中栓体3の外向フランジ31が検体収容体1の上端に係止するようにしており、さらに前記検体収容体1に保存液収容体2を最後までねじ込んだ状態では、前記中栓体3の底部32は、保存液収容体2の内筒21の下端によって押圧されることにより破断し、前記保存液収容体2の内筒21に収容された保存液Lが、この内筒21の下部に形成した流液口25を通って、前記検体収容体1の収容部11に流れ込むようにしている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体収容体と保存液収容体と中栓体とを備えており、
前記検体収容体は、内部を検体の収容部とし、上端部外周面に外ネジを形成しており、
前記保存液収容体は、有天筒の内筒を有し、内筒の下部外側に外筒を有し、内筒の下端部に前記中栓体を挿着したものとし、この中栓体で保存液収容体の内筒を密閉しており、前記内筒には、保存液を収容し、中栓体との挿着面の下部に流液口が形成されており、さらに前記外筒の内周面には内ネジを形成し、前記検体収容体の外ネジにねじ込めるようにしており、
前記中栓体は、上端外周面に外向フランジを設けたものとすると共に破断自在とした底部を有したものとし、この底部の上面に前記保存液収容体の内筒に挿着される挿着部を突設しており、
前記検体収容体に保存液収容体を途中までねじ込んだ状態では、前記中栓体は、検体収容体の上端部に挿着されることにより、この検体収容体の収容部を密閉すると共に、中栓体の外向フランジが検体収容体の上端に係止するようにしており、
前記検体収容体に保存液収容体を最後までねじ込んだ状態では、前記中栓体の底部は、保存液収容体の内筒の下端によって押圧されることにより破断し、前記保存液収容体の内筒に収容された保存液が、この内筒の下部に形成した流液口を通って、前記検体収容体の収容部に流れ込むようにしていることを特徴とする検体採取容器。
【請求項2】
前記検体収容体には、検体採取部材を着脱自在として取り付けていることを特徴とする請求項1に記載の検体採取容器。
【請求項3】
前記中栓体には、検体採取部材を取り付けていることを特徴とする請求項1に記載の検体採取容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、唾液などの検体を採取して保存しておくための検体採取容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の検体採取容器としては、図17~19に示したように、唾液を採取するときに使用する唾液採取用容器51と、漏斗52と、唾液の保存液を収容した保存液収容容器53とからなるものが存在する(特許文献1)。
【0003】
前記唾液採取用容器51は、上面に開口51aを有する円筒状に形成され、内部に唾液収容室を有し、上部外周面に保存液収容容器53に嵌め込むためのネジ部54が形成されている。
【0004】
前記漏斗52は、唾液採取用容器51の上部の開口51aに取り付けられるようにしており、上方に引っ張ることにより唾液採取用容器51から取り外すことができるようにしている。
【0005】
前記保存液収容容器53は、図19に示したように、上面が閉鎖され下面に開口53aを有する円筒状に形成されており、本体部55と、蓋体56と、圧壊部材57とから構成されている。そして、本体部55の内部には唾液の保存液が収容され、本体部55の下部の内周面には唾液採取用容器51のネジ部54と噛み合うネジ部(図示せず)が形成されている。蓋体56は、円盤状に形成され、外周に環状のフランジ部58を有し、下面に圧壊面59を有している。圧壊部材57は、蓋体56を押圧するための押圧部60と、保存液を唾液採取用容器51側(下方)に通す通液口61とを有している。
【0006】
前記検体採取容器を使用するには、図17に示したように、唾液採取用容器51に取り付けられた漏斗52から被検者の唾液を唾液採取用容器51に採取する。次に、唾液採取用容器51から漏斗52を外して、この漏斗52に代えて図18に示したように、保存液収容容器53を唾液採取用容器51の上端のネジ部54にねじ込んで取り付ける。
【0007】
このようにすると、保存液収容容器53の下面から唾液採取用容器51の開口端51aが差し込まれ、保存液収容容器53の下面が圧壊して、この保存液収容容器53内の保存液が唾液採取用容器51内に流入する。そして、この保存液が唾液採取用容器51内の唾液と混合し、唾液と保存液が気密状態で保存される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2017-194324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記特許文献1に記載された検体採取容器は、唾液採取用容器51と、漏斗52と、保存液収容容器53からなり、さらに保存液収容容器53が、本体部55と、蓋体56と、圧壊部材57とから構成されているため、部品点数が多くなると共に、これらの部材を組み立てるのが面倒であるという課題を有していた。
【0010】
また、前記特許文献1に記載された検体採取容器では、保存液収容容器53を構成する本体部55に、フランジ部58や圧壊面59を形成した蓋体56と、押圧部60や通液口61を形成した圧壊部材57を組み込まなければならず、構造が複雑になるという課題を有していた。
【0011】
そこで、本発明は、従来の課題を解決するものであり、部品点数を少なくすると共に構造が簡単で組み立て易く、しかも検体採取操作が容易で保存液が漏れ出るようなこともない検体採取容器を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の検体採取容器は、検体収容体1と保存液収容体2と中栓体3とを備えている。前記検体収容体1は、内部を検体の収容部11とし、上端部外周面に外ネジ12を形成している。前記保存液収容体2は、有天筒の内筒21を有し、内筒21の下部外側に外筒23を有し、内筒21の下端部に前記中栓体3を挿着したものとし、この中栓体3で保存液収容体2の内筒21を密閉しており、前記内筒21には、保存液Lを収容し、中栓体3との挿着面の下部に流液口25が形成されており、さらに前記外筒23の内周面には内ネジ28を形成し、前記検体収容体1の外ネジ12にねじ込めるようにしている。前記中栓体3は、上端外周面に外向フランジ31を設けたものとすると共に破断自在とした底部32を有したものとし、この底部32の上面に前記保存液収容体2の内筒21に挿着される挿着部33を突設している。そして、前記検体収容体1に保存液収容体2を途中までねじ込んだ状態では、前記中栓体3は、検体収容体1の上端部に挿着されることにより、この検体収容体1の収容部11を密閉すると共に、中栓体3の外向フランジ31が検体収容体1の上端に係止するようにしている。さらに、前記検体収容体1に保存液収容体2を最後までねじ込んだ状態では、前記中栓体3の底部32は、保存液収容体2の内筒21の下端によって押圧されることにより破断し、前記保存液収容体2の内筒21に収容された保存液Lが、この内筒21の下部に形成した流液口25を通って、前記検体収容体1の収容部11に流れ込むようにしている。
【0013】
本発明の検体採取容器において、前記検体収容体1には、検体採取部材4を着脱自在として取り付けている。
【0014】
本発明の検体採取容器において、前記中栓体3には、検体採取部材4を取り付けている。
【発明の効果】
【0015】
本発明の検体採取容器は、部品点数を少なくすると共に構造が簡単で組み立て易くなり、しかも検体採取操作が容易で保存液が漏れ出るようなこともないものとなる。
【0016】
さらに、本発明の検体採取容器は、保管や輸送するのに便利なものとなると共に、保管中や輸送中に粉塵や雑菌などで汚染されることがないものとなる。
【0017】
また、本発明の検体採取容器は、医療資格のある従事者でなくとも被験者自身で採取できるので医療従事者への二次感染を避けられる。
【0018】
さらに、本発明の検体採取容器は、採取検体が付着した部材に触れることなく採取検体を収納し、分析機関などに送ることができるので二次感染を生じず安全性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の検体採取容器の第一実施形態を示す断面図である。
図2a図1に示す検体採取容器の保存液収容体から中栓体を外した状態を斜め上方から見た分解斜視図である。
図2b図1に示す検体採取容器の保存液収容体を斜め下方から見た斜視図である。
図3図1に示す検体採取容器の検体収容体に唾液を収容した状態の断面図である。
図4図3に示す状態から検体採取部材を外し、検体収容体に保存液収容体を被せ、途中までねじ込んだ状態の断面図である。
図5図4に示す状態から検体収容体に保存液収容体を最後までねじ込んだ状態の断面図である。
図6図5に示す検体収容体から保存液収容体を緩めて、この保存液収容体を検体収容体から外した状態の断面図である。
図7】本発明の検体採取容器の第二実施形態を示す断面図である。
図8a図7に示す検体採取容器の保存液収容体から中栓体を外し、さらに中栓体から検体採取部材を外した状態を斜め上方から見た分解斜視図である。
図8b図7に示す検体採取容器の保存液収容体を斜め下方から見た斜視図である。
図9図7に示す検体採取容器の検体採取部材で検体を採取し、検体収容体に保存液収容体を被せ、途中までねじ込んだ状態の断面図である。
図10図9に示す状態から検体収容体に保存液収容体を最後までねじ込んだ状態の断面図である。
図11図10に示す検体収容体から保存液収容体を緩めて、この保存液収容体を検体収容体から外した状態の断面図である。
図12】本発明の検体採取容器の第三実施形態を示す断面図である。
図13図12に示す状態から保存液収容体を緩めて、この保存液収容体を検体採取部材とともに外した状態の断面図である。
図14図13に示す検体採取部材で検体を採取し、検体収容体に保存液収容体を被せ、途中までねじ込んだ状態の断面図である。
図15図14に示す状態から検体収容体に保存液収容体を最後までねじ込んだ状態の断面図である。
図16図15に示す検体収容体から保存液収容体を緩めて、この保存液収容体を検体採取部材とともに検体収容体から外した状態の断面図である。
図17】従来の検体採取容器の一例を示しており、唾液採取用容器と保存液収容容器が別々に分離された状態の斜視図である。
図18図17に示した唾液採取用容器から漏斗を外し、その唾液採取用容器に保存液収容容器をねじ込もうとしている状態の斜視図である。
図19図18に示した保存液収容容器の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の検体採取容器を実施するための形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0021】
本発明の検体採取容器は、図1~6、図7~11、図12~16に示したように、検体収容体1と保存液収容体2と中栓体3とを備えている。
【0022】
前記検体収容体1は、合成樹脂で作成された略円筒状の有底筒の内部を検体の収容部11とし、上端部外周面に外ネジ12を形成しており、後に述べる保存液収容体2の外筒23の内周面に形成した内ネジ28をねじ込めるようにしている。さらに、この検体収容体1には、図1~6に示したものでは、後に述べる検体採取部材4を着脱自在として取り付けている。
【0023】
前記保存液収容体2は、合成樹脂で作成された略円筒状の有天筒の内筒21を有し、段部22を介して内筒21の下部外側に外筒23を有している。この外筒23の上方を手持ち部24としており、内筒21の下端部に前記中栓体3を挿着したものとし、この中栓体3で保存液収容体2の内筒21を密閉している。手持ち部24は、外筒23の上方の内筒21の外周面に、放射状に多数の外向フランジ24aを形成したものとしており、この外向フランジ24aを手指で掴むことにより持ち易くしている。さらに、前記内筒21には、保存液Lを収容しており、中栓体3との挿着面の下部に流液口25が形成されている。この流液口25は、丸孔など連通口としたり、図示したような内筒21の下端を間欠的に切り欠いた切欠口などとすることができる。また、前記保存液収容体2は、図7~11、図12~16に示したものでは、前記内筒21の天面の中央から凹筒体26を内部に垂設すると共に、この凹筒体26の底面の周縁部から、側周に縦溝27aを形成した筒状挿着体27を突設している。さらに、前記外筒23の内周面には内ネジ28を形成し、前記検体収容体1の外ネジ12にねじ込めるようにしている。この内ネジ28は、図2b、8bに示したように、軸方向に複数に分断されたものとすることにより、前記検体収容体1の外ネジ12にねじ込むときに、この外ネジ12に噛み易くし、スムーズにねじ込めるようにしている。
【0024】
前記中栓体3は、合成樹脂で作成された短い略円筒状とし、上端外周面に外向フランジ31を設けたものとすると共に、周囲に薄肉部を介するなどして破断自在とした底部32を有したものとし、この底部32の上面に前記保存液収容体2の内筒21に挿着される挿着部33を突設している。この挿着部33は、図1~6に示したものでは、縦方向に交差させた複数枚のブレード34のそれぞれの間を流液空間35としており、それぞれのブレード34の外側端34aを前記保存液収容体2の内筒21の下部内周面に接するようにして挿着されるようにしており、図7~11、図12~16に示したものでは、底部32の中央から立ち上げた挿着筒36を、前記保存液収容体2の筒状挿着体27の内周面に接するようにして挿着されるようにしている。さらに、この中栓体3には、図7~11、図12~16に示したものでは、後に述べる検体採取部材4を取り付けている。
【0025】
そして、前記検体収容体1に保存液収容体2を途中までねじ込んだ状態では、前記中栓体3は、検体収容体1の上端部に挿着されることにより、中栓体3の外周面と検体収容体1の内周面とが接して、この検体収容体1の収容部11を密閉すると共に、中栓体3の外向フランジ31が検体収容体1の上端に係止するようにしている。さらに、前記検体収容体1に保存液収容体2を最後までねじ込んだ状態では、前記中栓体3の底部32は、保存液収容体2の内筒21の下端によって押圧されることにより破断し、前記保存液収容体2の内筒21に収容された保存液Lが、この内筒21の下部に形成した流液口25を通って、前記検体収容体1の収容部11に流れ込むようにしている。
【0026】
前記検体採取部材4は、図1~6に示したものでは漏斗状としており、図7~11に示したものではスプーン状としており、図12~16に示したものでは綿棒状としている。前記検体採取部材4を漏斗状とした場合は、上端を開口部4aとし、下部外周面に挟持部41が形成され、前記検体収容体1の上端部に挟み込んで係止するようにしている。したがって、この検体採取部材4は、上方に引っ張ることにより前記検体収容体1から取り外すことができる。前記検体採取部材4をスプーン状とした場合は、下部に掬い部42が形成され、中間部に当て部43を介して、上部に棒状の挿着部44が形成されており、この挿着部44を前記中栓体3の底部32の挿着筒36に差し込んで、当て部43を底部32に当接させ、前記挿着部44を中栓体3の底部32に挿着している。前記検体採取部材4を綿棒状とした場合は、下部に綿球45が取り付けられ、中間部に当て部43を介して、上部に棒状の挿着部44が形成されており、検体採取部材4をスプーン状とした場合と同様にして、この挿着部44を挿着筒36に差し込んで、前記中栓体3の底部32に挿着している。なお、前記検体採取部材4を綿棒状とした場合は、検体を採取し易くするため、前記検体収容体1の収容部11に生理食塩水Pなどをあらかじめ収容しておき、この生理食塩水Pに検体採取部材4の綿球45を浸して、この綿球45を湿らせておくのが好ましい。
【0027】
前記検体としては、検体採取部材4を漏斗状とした場合は唾液などとするのが好ましく、検体採取部材4をスプーン状とした場合は便などとするのが好ましく、前記検体採取部材4を綿棒状とした場合は皮膚常在菌などとするのが好ましいが、喀痰、耳鼻咽喉ぬぐい液、血液、尿などの各種の検体も用いることができる。
【0028】
前記保存液Lとしては、ウイルス不活性化、RNA抽出、RNA安定保存の溶液、またはDNA抽出、DNA安定保存の溶液としたり、さらに目的とする検体を殺菌、または不活性化して、測定物質を安定保存する溶液など、幅広いものを用いることができる。
【0029】
そして、本発明の検体採取容器は、図1に示したように、検体収容体1と保存液収容体2とを別々にし、検体収容体1の上端部に検体採取部材4の挟持部41を挟み込んで係止した状態にし、保存液収容体2の内筒21の下部外周面に中栓体3の内周面を接するようにし、保存液収容体2の内筒21の下部内周面に中栓体3の挿着部33のブレード34の外側端34aを接するようにして、前記内筒21に中栓体3を挿着した状態にして、包装したり梱包することにより、保管したり出荷することができる。
【0030】
さらに、本発明の検体採取容器は、図7に示したように、検体収容体1と保存液収容体2とを別々にし、検体収容体1はそのままの状態にし、保存液収容体2の内筒21の下部外周面に中栓体3の内周面を接するようにし、保存液収容体2の内筒21の筒状挿着体27の内周面に中栓体3の挿着筒36の外周面を接するようにし、さらに中栓体3の挿着筒36の内周面に検体採取部材4の挿着部44の外周面を接するようにして、前記内筒21に中栓体3を挿着した状態にして、包装したり梱包することにより、保管したり出荷することができる。
【0031】
また、本発明の検体採取容器は、図12に示したように、保存液収容体2の内筒21の下部外周面に中栓体3の内周面を接するようにし、保存液収容体2の内筒21の筒状挿着体27の内周面に中栓体3の挿着筒36の外周面が接するようにし、さらに中栓体3の挿着筒36の内周面に検体採取部材4の挿着部44の外周面を接するようにして、前記内筒21に中栓体3を挿着した状態にし、検体収容体1の外ネジ12に保存液収容体2の外筒23の内ネジ28を途中までねじ込み、検体採取部材4の綿球45を検体収容体1の収容部11に収容した生理食塩水Pに浸した状態にし、検体収容体1と保存液収容体2とを一体にして、包装したり梱包することにより、保管したり出荷することができる。
【0032】
本発明の検体採取容器は、以上に述べたように構成されているので、次のようにして使用される。
【0033】
先ず、本発明の検体採取容器は、図1~6に示したものでは、図3に示したように、検体採取部材4の開口部4aから採取した唾液Sを、検体収容体1の収容部11内に流し込んだ後、検体採取部材4を引き抜いて検体収容体1から外す。そして、図4に示したように、検体収容体1の外ネジ12に保存液収容体2の外筒23の内ネジ28を途中までねじ込み、中栓体3を検体収容体1の上端部に挿着し、中栓体3の外周面と検体収容体1の内周面とが接すると共に、中栓体3の外向フランジ31が検体収容体1の上端に係止されるようにする。
【0034】
次に、前記検体収容体1の外ネジ12に保存液収容体2の内ネジ28を最後までねじ込むと、図5に示したように、保存液収容体2の内筒21の下端が下降し、この下端によって前記中栓体3の底部32が押圧されることにより破断される。
【0035】
すると、前記保存液収容体2の内筒21に収容された保存液Lは、前記中栓体3の流液空間35から、この内筒21の下部に形成した流液口25を通って、検体収容体1の収容部11に流れ込み、この収容部11に収容した唾液Sと混合する。なお、前記中栓体3の挿着部33のブレード34の外側端34aが保存液収容体2の内筒21の下部内周面に接しているので、この中栓体3は検体収容体1の収容部11に抜け落ちることはない。
【0036】
さらに、本発明の検体採取容器は、図7~11に示したものでは、検体採取部材4の掬い部42で便を掬った後、図9に示したように、この検体採取部材4を検体収容体1の収容部11内に収容し、検体収容体1の外ネジ12に保存液収容体2の外筒23の内ネジ28を途中までねじ込み、中栓体3を検体収容体1の上端部に挿着し、中栓体3の外周面と検体収容体1の内周面とが接すると共に、中栓体3の外向フランジ31が検体収容体1の上端に係止されるようにする。
【0037】
次に、前記検体収容体1の外ネジ12に保存液収容体2の内ネジ28を最後までねじ込むと、図10に示したように、保存液収容体2の内筒21の下端が下降し、この下端によって前記中栓体3の底部32が押圧されることにより破断される。
【0038】
すると、前記保存液収容体2の内筒21に収容された保存液Lは、この内筒21の下部に形成した流液口25を通って、検体収容体1の収容部11に流れ込み、検体採取部材4の掬い部42に掬われた便を検体収容体1の収容部11内に洗い流す。なお、前記中栓体3の挿着部33の外周面が保存液収容体2の内筒21の筒状挿着体27の内周面に接しているので、中栓体3およびこの中栓体3の挿着筒36に挿着した検体採取部材4は検体収容体1の収容部11に抜け落ちることはない。
【0039】
また、本発明の検体採取容器は、図12~16に示したものでは、検体収容体1の外ネジ12に途中までねじ込まれた保存液収容体2の内ネジ28を緩めて、図13に示したように、この保存液収容体2を検体収容体1から外し、検体収容体1の収容部11内の生理食塩水Pを廃棄する。そして、検体採取部材4の綿球45で皮膚常在菌を採取した後、図14に示したように、この検体採取部材4を検体収容体1の収容部11内に収容する。さらに、検体収容体1の外ネジ12に保存液収容体2の内ネジ28を途中までねじ込み、中栓体3を検体収容体1の上端部に挿着し、中栓体21の外周面と検体収容体1の内周面とが接すると共に、中栓体3の外向フランジ31が検体収容体1の上端に係止されるようにする。
【0040】
次に、前記検体収容体1の外ネジ12に保存液収容体2の内ネジ28を最後までねじ込むと、図15に示したように、保存液収容体2の内筒21の下端が下降し、この下端によって前記中栓体3の底部32が押圧されることにより破断される。
【0041】
すると、前記保存液収容体2の内筒21に収容された保存液Lは、この内筒21の下部に形成した流液口25を通って、検体収容体1の収容部11に流れ込み、検体採取部材4の綿球45に付着した皮膚常在菌を検体収容体1内に洗い流す。なお、前記中栓体3の挿着部33の外周面が保存液収容体2の内筒21の筒状挿着体27の内周面に接しているので、中栓体3およびこの中栓体3の挿着筒36に挿着した検体採取部材4は検体収容体1の収容部11に抜け落ちることはない。
【0042】
このように構成された本発明の検体採取容器は、検体収容体1の外ネジ12に保存液収容体2の外筒23の内ネジ28を最後までねじ込むことにより、気密性を保った状態で保管されたり、輸送されるが、図1~6に示したものでは、前記中栓体3が検体収容体1の収容部11に抜け落ちることはない。したがって、検査機関などで図6に示したように、検体収容体1の外ネジ12にねじ込まれた保存液収容体2の外筒23の内ネジ28を緩めて、検体収容体1から保存液収容体2を取り外し、収容体1の収容部11内の唾液Sと保存液Lとの混合液Mがシリンジなどで取り出され、検査に供される場合にも、前記中栓体3が邪魔になるようなことはない。
【0043】
さらに、本発明の検体採取容器は、図7~11、図12~16に示したものでも、前記中栓体3および検体採取部材4が検体収容体1の収容部11に抜け落ちることはない。したがって、検査機関などで図11、16に示したように、検体収容体1の外ネジ12にねじ込まれた保存液収容体2の外筒23の内ネジ28を緩めて、検体収容体1から保存液収容体2を取り外し、収容体1の収容部11内の便、皮膚常在菌とそれぞれの保存液Lとの混合液Mがシリンジなどで取り出され、検査に供される場合にも、前記中栓体3および検体採取部材4が邪魔になるようなことはない。
【0044】
本発明の検体採取容器は、以上に述べたように構成されているので、先にも述べたように構造が簡単で組み立て易く、保管や輸送するのに便利なものとなり、保管中や輸送中に粉塵や雑菌などで汚染されることがないものとなる。
【0045】
また、本発明の検体採取容器は、被験者自身で採取できると共に、採取検体が付着した部材に触れることなく採取検体を収納し、分析機関などに送ることができるので二次感染を生じず安全性が高いものとなる。
【符号の説明】
【0046】
1 検体収容体
2 保存液収容体
3 中栓体
4 検体採取部材
4a 開口部
11 収容部
12 外ネジ
21 内筒
23 外筒
25 流液口
28 内ネジ
31 外向フランジ
32 底部
33 挿着部
41 挟持部
42 掬い部
44 挿着部
45 綿球
L 保存液
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6
図7
図8a
図8b
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19