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  • 特開-画像処理装置及びピッキングシステム 図1
  • 特開-画像処理装置及びピッキングシステム 図2
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  • 特開-画像処理装置及びピッキングシステム 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084246
(43)【公開日】2023-06-19
(54)【発明の名称】画像処理装置及びピッキングシステム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20230612BHJP
【FI】
G06T7/00 350Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021198303
(22)【出願日】2021-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】515086908
【氏名又は名称】株式会社トヨタプロダクションエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】石田 雄貴
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096BA05
5L096CA04
5L096GA08
5L096GA51
5L096HA08
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】コストを抑え、汎用性の高い画像処理装置等を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様に係る、所定の周期で輝度が変動する光源下に載置された検出対象の検出に利用される画像処理装置は、検出対象を、光源下が第1輝度の状態で撮像した第1画像情報と、第1輝度とは異なる第2輝度の状態で撮像した第2画像情報とを取得する画像取得部と、第1画像情報と第2画像情報との互いの輝度の相違の差分画像情報を生成する生成部と、差分画像情報に基づく、検出対象の検出結果を示す検出情報を出力する出力部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の周期で輝度が変動する光源下に載置された検出対象の検出に利用される画像処理装置であって、
前記検出対象を、前記光源下が第1輝度の状態で撮像した第1画像情報と、前記第1輝度とは異なる第2輝度の状態で撮像した第2画像情報とを取得する画像取得部と、
前記第1画像情報と前記第2画像情報との互いの輝度の相違の差分画像情報を生成する生成部と、
前記差分画像情報に基づく、前記検出対象の検出結果を示す検出情報を出力する出力部と、
を備える画像処理装置。
【請求項2】
前記画像取得部は、所定の時間間隔で撮像を行う撮像装置から、前記第1画像情報及び前記第2画像情報を取得するものであって、
前記生成部は、前記撮像装置によって撮像された複数の画像のうち、最大輝度の画像に関する情報を前記第1画像情報、最小輝度の画像に関する情報を前記第2画像情報とした差分画像情報を生成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記光源における輝度のピーク間の時間の逆数である光源周波数をf1、前記撮像装置における前記所定の時間間隔の逆数である撮影周波数をf2としたとき、
f1:f2=1:0.5~1:4(ただし、1:1を除く)
を満たす、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第1輝度と前記第2輝度との差が所定の閾値を下回る場合、前記光源周波数及び前記撮影周波数の少なくともいずれかを変更する、
ことを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第1輝度と前記第2輝度との差が所定の閾値を下回る場合、前記撮像装置が前記検出対象を撮像するタイミングを変更する、
ことを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の画像処理装置と、ピッキング装置とを備えるピッキングシステムであって、
前記ピッキング装置は、
前記検出対象の載置部と、
前記検出対象を前記載置部からピッキングするピッキング部と、
前記検出情報に基づいてピッキング部を制御するピッキング制御部と、
を備えることを特徴とするピッキングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、及び、当該画像処理装置を用いたピッキングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多くの生産・製造現場では、作業対象物や搬送物等(ワークとも称される。以下「ワーク」と示す。)のピックアップにピッキングロボットが利用されており、近年では、バラ積みのワークをピッキングするランダムピッキングが広がりをみせている。ランダムピッキングでは、バラ積みされたワークをピックアップの前にカメラで撮像し、撮像した画像から、ワークの位置や方向をロボットに認識させる(例えば、特許文献1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-146823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、ランダムピッキングを含むワークのピックアップには、ワークを撮像した画像が必要となる。しかしながら、ピッキングロボットが作業する作業現場においては、近接する他の工程(製造ライン)からの散乱光や反射光、外窓から差し込む太陽光等の外乱光によって、作業現場の明るさが変動し得る。この明るさの変動により、ピックアップに要する画像間の明るさも変動し、画像内のワークの認識精度が低下する。この外乱光の影響を抑えるため、明るさの変動に耐性のある撮像装置や、明るさの変動を打ち消す照明装置等を利用することも考えられる。しかしながら、高機能な装置の導入にはコストもかかり、また、外乱光は作業現場ごとに異なってくるため、ある作業現場に適用させて構築したシステムが、他の作業現場に適用できないという問題があった。
【0005】
本発明は上記問題に鑑みて成されたものであり、コストを抑え、汎用性の高い画像処理装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る、所定の周期で輝度が変動する光源下に載置された検出対象の検出に利用される画像処理装置は、検出対象を、光源下が第1輝度の状態で撮像した第1画像情報と、第1輝度とは異なる第2輝度の状態で撮像した第2画像情報とを取得する画像取得部と、第1画像情報と第2画像情報との互いの輝度の相違の差分画像情報を生成する生成部と、差分画像情報に基づく、検出対象の検出結果を示す検出情報を出力する出力部とを備える。
【0007】
本発明の一態様に係る画像処理装置において、画像取得部は、所定の時間間隔で撮像を行う撮像装置から、第1画像情報及び第2画像情報を取得するものであって、生成部は、撮像装置によって撮像された複数の画像のうち、最大輝度の画像に関する情報を第1画像情報、最小輝度の画像に関する情報を第2画像情報とした差分画像情報を生成してよい。
【0008】
本発明の一態様に係る画像処理装置において、光源における輝度のピーク間の時間の逆数である光源周波数をf1、撮像装置における所定の時間間隔の逆数である撮影周波数をf2としたとき、f1:f2=1:0.5~1:4(ただし、1:1を除く)を満たしてよい。
【0009】
本発明の一態様に係る画像処理装置において、第1輝度と第2輝度との差が所定の閾値を下回る場合、光源周波数及び撮影周波数の少なくともいずれかを変更してよい。
【0010】
本発明の一態様に係る画像処理装置において、第1輝度と第2輝度との差が所定の閾値を下回る場合、撮像装置が検出対象を撮像するタイミングを変更してよい。
【0011】
本発明の一態様に係る画像処理装置と、ピッキング装置とを備えるピッキングシステムは、ピッキング装置が、検出対象の載置部と、検出対象を載置部からピッキングするピッキング部と、検出情報に基づいてピッキング部を制御するピッキング制御部とを備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様に係る画像処理装置は、所定の周期で輝度が変動するフリッカーの発生する光源下に載置された検出対象の検出に利用される画像処理装置であって、検出対象を、光源下が第1輝度の状態で撮像した第1画像情報と、第1輝度とは異なる第2輝度の状態で撮像した第2画像情報とを取得する画像取得部と、第1画像情報と第2画像情報との互いの輝度の相違の差分画像情報を生成する生成部と、差分画像情報に基づく、検出対象の検出結果を示す検出情報を出力する出力部とを備えるとの特徴を有する。これにより、コストを抑え、汎用性の高い画像処理装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一態様に係るピッキングシステムの概略構成図である。
図2】本発明の一態様に係る画像処理装置の機能図である。
図3】(a)、(b)は、本発明の一態様に係る画像処理装置の概要を説明する図である。
図4】(a)~(c)は、本発明の一態様に係る画像処理装置の概要を説明する図である。
図5】(a)~(c)は、本発明の一態様に係る画像処理装置の概要を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施態様に係る画像処理装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図は例示であって、本発明の画像処理装置は、図示したものに限定されない。また、図は概略であって、図におけるピッキングシステムの各構成部の大きさの比率、数、位置関係、及び、グラフ等は厳密ではない。
【0015】
<ピッキングシステム>
図1は、本発明の一態様に係るピッキングシステムの概略構成図である。ピッキングシステム100は、少なくとも、画像処理装置200と、ピッキング装置30とを備える。ピッキング装置30は、ピッキングアーム(ピッキング部)31と、載置部40とを備え、載置部40に載置されたワーク50をピックアップして把持したり、別の工程へ移動させたりする。なお、図1では、ワーク50を単体で示してあるが、ワーク50はバラ積みされていてもよい。また、ワーク50としては、ピッキングアーム31でピックアップ可能な物体であればどのようなものであってもよい。さらに、載置部40は、図1のようなベルトコンベア状に限定されず、ワーク50がバラ積みされた箱状のものであってもよい。
【0016】
画像処理装置200は、撮像装置20が撮像した、検出対象であるワーク50の画像を撮像装置20から取得し、画像認識処理を行う。撮像装置20は、CCDカメラ、RGBカメラ、ステレオカメラ等、既知のカメラであってよい。また、画像処理装置200は、ピッキング装置30と接続され、撮像装置20が撮像した画像からワーク50の状態(向きや形状等)を認識し、ピッキング装置30に、ワーク50の状態に関する情報を送信する。なお、図1では、画像処理装置200とピッキング装置30とを別に示してあるが、画像処理装置200はピッキング装置30に組み込まれていてもよい。
【0017】
ピッキングシステム100は、例えば図1に示すように、作業現場の窓から差し込む太陽60の太陽光や、他の工程からの反射光等を含む外乱光70の影響を受けて、撮像装置20が撮像する画像の明暗が変化し得る。そのため、本発明の一態様に係るピッキングシステムは、作業現場の光源10の性質を利用した画像処理が行われる。詳細は後述するが、作業現場の光源10は、所定の周期で輝度が変動する光源であってよい。例えば、光源10は、従来用いられている蛍光灯、水銀灯、赤熱灯、LEDといった、フリッカーの発生する光源を用いてよい。すなわち、光源10は、いわゆるフリッカーレスのような機能を持たない光源を用いてよい。なお、フリッカーは、受電電圧の周波数変動によるものであって、西日本では60Hz、東日本では50Hzの周期で明暗が繰り返される現象である。
【0018】
なお、これ以降、所定の周期で輝度が変動する光源として、フリッカーの生じる光源を例に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、輝度の変動スピード(すなわち、明暗のスピード)を調節可能な照明であれば、どのようなものでであってもよい。
【0019】
<画像処理装置>
次に、画像処理装置200の機能構成、及び、画像処理装置200の動作について、図2,3を用いて説明する。図2に示すように、画像処理装置200は、画像取得部210、画像処理部220、検出結果出力部230を少なくとも備える。画像取得部210は、撮像装置20が撮像した画像を取得する。このとき、画像取得部210は、検出対象であるワークを、光源10が第1輝度の状態で撮像した第1画像情報と、光源10が第1輝度とは異なる第2輝度の状態で撮像した第2画像情報とを取得する。
【0020】
ここで、図3を用いて、本発明の一態様に係る画像処理装置200の動作について説明する。図3(a)は、図1に示すピッキングシステム100の作業現場の、外乱光70の影響下における輝度の変化を示すグラフである。図3(a)において、横軸は時間、縦軸は輝度を表し、破線11は光源10の輝度の時間変化、一点鎖線71は外乱光70の輝度の時間変化を示すグラフである。図3(a)における破線11に示すように、光源10は、所定の周期で輝度が変動するフリッカーが発生し、図3(a)の例では、周期T1[s](すなわち、光源周波数f1=1/T1[Hz])で明暗を繰り返している。これに対し、一点鎖線71に示すように、外乱光70は、時間の経過に対する輝度の変動の程度が、光源10と比べて緩やかである。これら光源10と外乱光70とが重畳し、ピッキングシステム100の作業現場の輝度変動は、実線81で示すグラフとなる。
【0021】
撮像装置20は、実線81で示す輝度変動の下でワーク50を撮像するため、タイミングによっては、異なる輝度で画像を撮像することになる。例えば、図3(a)示すように、時間t1で撮像した画像の輝度はL1(第1輝度)となり、時間t0で撮像した輝度はL0(第2輝度)となって、異なる輝度における画像が撮像できる。
【0022】
生成部221は、第1画像と第2画像との互いの輝度の相違を差分した差分画像を生成する。ここで、図3(b)を用いて、第1輝度及び第2輝度の下で撮像した画像から生成された差分画像の性質について説明する。
【0023】
図3(b)において、第1画像21は、図3(a)において相対的に高輝度である第1輝度(L1)で撮像した高輝度画像、第2画像22は、相対的に低輝度である第2輝度(L0)で撮像した低輝度画像である。図3(b)に示すように、第1画像21、第2画像22には、外乱光70の影響により、ノイズ72が生じているとする。ここで、外乱光70の輝度の時間変動は、図3(a)に示すように緩やかであるため、第1画像21及び第2画像22との間で、ノイズ72の変化は少ない。したがって、生成部221によって生成された、第1画像21及び第2画像22の差分画像23は、ノイズ72の成分を含まない画像とすることができる。
【0024】
画像処理部220は、差分画像23について既知の画像認識技術を用いて、差分画像23に含まれるワーク50を検出する。なお、画像認識は、機械学習又はAI(Artificial Intelligence)により実現されてもよい。
【0025】
検出結果出力部230は、画像処理部220による検出結果を、ピックアップ装置30へ送信する。検出結果には、ワーク50の位置や向きといった、ワーク50の状態に関する情報を含んでよい。ピックアップ装置30の図示しない制御部は、検出結果に含まれるワーク50の状態に関する情報に基づき、ワーク50をピッキングアーム31へ、ピックアップするための制御信号を出力してよい。
【0026】
このように、本発明の一態様に係る画像処理装置によれば、光源の輝度の変動を利用して、外乱光の影響を取り除くことが可能となる。したがって、光源や撮像装置に高い機能性を要することがなく、低コストのピッキングシステムを実現することができる。
【0027】
なお、撮像装置20は、所定の時間間隔で撮像を行う撮像装置であってよく、画像取得部210は、撮像装置20から、複数の画像を取得してよい。例えば、図3の例では、撮像装置20が、時間t1から周期T2[s](すなわち、撮像周波数f2=1/T2[Hz])で撮像を開始し、図中の周期変化する曲線の「〇」で示される輝度で複数の画像が撮像されたとする。この場合、生成部221は、撮像装置20によって撮像された複数の画像のうち、最大輝度の画像を第1画像(図の例では、時間t1、輝度L1における画像)、最小輝度の画像を第2画像(図の例では、時間t0、輝度L0における画像)として、差分画像を生成してよい。
【0028】
このように、本発明の一態様に係る画像処理装置200によれば、画像取得部210が取得した複数の画像のうち、輝度の差が大きい画像を選択して差分画像を生成してよい。したがって、差分画像の輝度の程度を上げて、検出対象の検出精度を高めることができる。
【0029】
なお、上述では、撮像装置20が撮像した画像の撮像順序に関わらず差分画像が生成される例について説明した。しかしながら、ワーク50が例えばコンベア状を動く場合など、検出対象の状態が時間の経過に伴って変化する場合も考えられる。この場合は、撮像した画像のうち、時間軸上で隣接する画像間で差分画像を生成してよい。
【0030】
図4(b)に、撮像装置20が所定の時間間隔で撮像を行い、時間軸上で隣接する画像間で差分をとった場合に得られる差分画像23の輝度変動のグラフを示す。なお、図4(a)は、図3(a)と同一であるが、簡単のため、光源10の輝度変動を示す破線11は省略し、外乱光70の輝度変動を示す一点鎖線71と、光源10と外乱光70によるピッキングシステム100が作動する場所の輝度変動を示す実線81のみ示してある。
【0031】
図4(a)に示す周期T2(図の例では、T2=T1/2)で撮像装置20が撮像する場合、画像取得部210は、図中「●」で示す第1輝度で撮像された画像であって、相対的に高輝度の第1輝度画像、図中「■」で示す第2輝度で撮像された画像であって、相対的に低輝度の第2輝度画像を複数取得する。生成部221は、時間軸上で隣接する第1輝度画像と第2輝度画像とから、差分画像を生成してよい。この場合、図4(b)に示すように、同一輝度の画像フレームF11,F12…が得られることになる。画像処理部220は、各画像フレームF11,F12…の画像に対して認識処理を行えばよい。
【0032】
しかしながら、図4(b)の各画像フレームF11,F12…は、原画像(特に、高輝度画像)と比較して、ショットノイズや熱ノイズが強調され、S/N比(Signal to Noise ratio:信号対雑音比)が悪化する。なお、ここでのS/N比は、検出対象を示す信号に対するノイズの割合を指す。そのため、図4(c)に示すように、画像処理部220は、各画像フレーム間(図の場合、3フレームF21又はF22間)で明度平均処理を行ってよい。これにより、ショットノイズや熱ノイズの軽減を行い、S/N比を改善することができる。なお、画像フレーム間で平均処理を行うことによって、画像フレーム数が減少するため、検出対象が移動する場合等に、検出精度が低下するおそれもある。したがって、平均化する画像フレームの数は、検出対象の移動する速度等に応じて設定すればよい。
【0033】
なお、図4の例では、撮像装置20が撮像周期T2(=T1/2)で撮像する場合に、第1輝度及び第2輝度の差が最大となる理想的な場合について説明した。しかしながら、例えば図5(a)に示すように、撮像タイミングによって、すなわち、光源10の光源周期T1と撮像装置20の撮像周期T2との相対的な時間ずれによっては、撮像装置20の撮像画像間で、輝度の差が非常に小さくなる場合も考えられる。図5(a)の例では、撮像装置20が撮像周期T2、時間t3,t4,t5,t6で撮像した画像の輝度が、それぞれL3,L4,L5,L6となって、撮像した画像フレーム間の差が小さいことがわかる。このような場合、生成部221が生成した差分画像の輝度が非常に小さくなり、検出対象の検出が困難となり得る。
【0034】
このため、本発明の一態様に係る画像処理装置200によれば、光源10における輝度のピーク間の時間の逆数である光源周波数をf1(=1/T1)、撮像装置20における所定の時間間隔(T2)の逆数である撮影周波数をf2(=1/T2)としたとき、
f1:f2=1:0.5~1:4(ただし、1:1を除く)・・・(式1)
を満たすように、撮像周期又は光源周期を設定すればよい。
【0035】
例えば、図5(b)に、撮影周波数f2′(=1/T2′)が、光源周波数f1の4倍である場合を示す。この場合、時間t7,t8,t9,t10で撮像した画像の輝度が、それぞれL7,L8,L9,L10となり、撮像した画像フレームのいくつかの間に、輝度についてある程度の差を生じさせることができる。したがって、図5(b)の例の場合、輝度L8で撮像された画像を第1輝度画像、輝度L9で撮像された画像を第2画像として、差分画像を生成すればよい。
【0036】
なお、式(1)に、撮像周波数と光源周波数との好適な関係を示したが、図5(c)に、撮像周波数の光源周波数に対する好適な倍率について示す。撮像周波数は、光源周波数の0.5倍、1倍であると、上述したように第1輝度画像、第2輝度画像間の輝度の差が小さくなるため好ましくない。したがって、0.5倍、1倍を除き、撮像周波数が光源周波数に対して4倍であれば、検出可能な差分画像を生成することができる。撮像周波数が光源周波数の4倍を超える場合ももちろん可能であるが、撮像装置20に高い機能を要することになるため、コストとの兼ね合いで決定すればよい。
【0037】
なお、図5(a)のように、撮像周期と光源周期との関係から、撮像した画像間で輝度の差の程度が小さい場合、すなわち、第1輝度と前記第2輝度との差が所定の閾値を下回る場合、光源周波数f1及び撮影周波数f2の少なくともいずれかを変更してよい。例えば、図5(a)の状態から、撮像周波数f2を大きくすることにより、図5(b)の状態に遷移させることができる。なお、インバータ装置等により、光源10の光源周波数f1を変化させてもよい。
【0038】
なお、上述では、光源周波数f1及び撮影周波数f2のいずれかを変更する態様について説明したが、第1輝度と第2輝度との差が所定の閾値を下回る場合、撮像装置20が検出対象を撮像するタイミングを変更してもよい。例えば、図5(a)の状態から、撮像装置20の撮像をいったん停止し、撮像タイミングをずらした上で撮像を開始してもよい。
【0039】
これらの方法により、差分画像の輝度を上げて、検出精度を高めることができる。
【0040】
なお、上述した本発明の一態様に係る画像処理装置200と、ピッキング装置30とを備えるピッキングシステム100は、従来用いられている光源10のフリッカーを利用し、フリッカーの周波数に応じて、撮像装置20の撮像周波数を設定してよい。したがって、特別な照明装置や高機能の撮像装置を必要とせず、低コストで汎用性の高いピッキングシステムを実現することが可能となる。また、撮像装置20の撮像周波数に対して、光源10の光源周波数を調節してもよい。この場合、ピッキングシステム100の構築のために、新たに撮像装置20を用意する必要がなく、コストを抑えることができる。
【0041】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。
【符号の説明】
【0042】
10 光源
20 撮像画像
30 ピックアップ装置
31 ピックアップアーム
40 載置部
50 ワーク(検出対象)
60 太陽
70 外乱光
100 ピッキングシステム
200 画像処理装置
210 画像取得部
220 画像処理部
221 生成部
230 検出結果出力部
図1
図2
図3
図4
図5