(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084294
(43)【公開日】2023-06-19
(54)【発明の名称】飲食物搬送装置
(51)【国際特許分類】
A47G 23/08 20060101AFI20230612BHJP
B65G 21/22 20060101ALI20230612BHJP
【FI】
A47G23/08 Z
B65G21/22 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021198383
(22)【出願日】2021-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】390010319
【氏名又は名称】株式会社石野製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100099357
【弁理士】
【氏名又は名称】日高 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100105418
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 聖
(72)【発明者】
【氏名】石野 晴紀
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 義晴
【テーマコード(参考)】
3B115
3F025
【Fターム(参考)】
3B115CB05
3B115CB07
3F025CA12
3F025CB01
3F025CB05
3F025CB09
(57)【要約】
【課題】浮き上がり防止用の規制手段を別途設けることなく、曲線路を走行する外周側ベルトの浮き上がりを防止できるようにした飲食物搬送装置を提供する。
【解決手段】ベルト体13のガイド手段は、ベルト体13における曲線路10aの外周側を走行する外周側ベルト13aの内面に沿って配置される第1ガイド手段31と、ベルト体13における曲線路10aの内周側を走行する内周側ベルトの外面に沿って配置される第2ガイド手段32とからなり、少なくとも曲線路10aの中央部に位置する第1ガイド手段31は、外周面が下端から上端に向かって曲線路10aの外径方向に傾斜する傾斜面31aを備えている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部に曲線路を有する走行レーンと、該走行レーンに沿って無端走行するベルト体と、飲食物を載置して前記走行レーンに沿って走行可能な走行体とを備え、前記曲線路に前記ベルト体を走行方向に沿ってガイドするガイド手段を設けてなる飲食物搬送装置において、
前記ガイド手段は、前記ベルト体における前記曲線路の外周側を走行する外周側ベルトの内面に沿って配置される第1ガイド手段と、前記ベルト体における前記曲線路の内周側を走行する内周側ベルトの外面に沿って配置される第2ガイド手段とからなり、少なくとも前記曲線路の中央部に位置する前記第1ガイド手段は、外周面が下端から上端に向かって前記曲線路の外径方向に傾斜する傾斜面を備えていることを特徴とする飲食物搬送装置。
【請求項2】
前記第1ガイド手段は、水平回転自在の複数のガイドローラからなり、少なくとも前記曲線路の中央部に配置された前記ガイドローラの外周面は、逆ハ字形をなすテーパ傾斜面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の飲食物搬送装置。
【請求項3】
前記複数のガイドローラのうち、前記曲線路の両端部に配置されたガイドローラの外周面は、それぞれハ字形をなすテーパ傾斜面に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の飲食物搬送装置。
【請求項4】
前記第1ガイド手段を構成する複数のガイドローラには、無端状のサブベルトが掛け回されていることを特徴とする請求項2または3に記載の飲食物搬送装置。
【請求項5】
前記曲線路の両端部と中央部に配置されたガイドローラの下端には、それぞれ大径フランジ部が形成されていることを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載の飲食物搬送装置。
【請求項6】
前記第2ガイド手段は、水平回転自在の複数のガイドローラからなり、該各ガイドローラの外周面は逆ハ字形をなすテーパ傾斜面に形成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の飲食物搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルト体を駆動させることによって走行体を走行レーンに沿って走行させる飲食物搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回転寿司店等に設置される飲食物搬送装置においては、例えば特許文献1に開示されているように、クレセントチェーンコンベアによって循環搬送される飲食物を取り出して食するための循環搬送路と、循環搬送路に搬送されていない飲食物を個別に注文して食するための注文搬送路(走行レーン)とを備えているものがある。特許文献1に記載されているように、注文搬送路は、店舗の形状により一部に曲線路を形成しなければならない場合があり、この場合には、ベルト体が曲線路を安定的に走行するようにガイドするガイド手段が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5431978号公報(段落0026、0053、
図3、
図7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている飲食物搬送装置においては、注文搬送路の曲線路に設けられたガイド手段のうち、ベルト体の外周側ベルトをガイドする第1ガイド手段(固定ガイド体または回転体)の外周面が垂直面となっているため、次のような問題が発生するおそれがある。すなわち、注文搬送路のベルト体は、その走行速度は比較的速いため、ベルト体が90度に屈曲された曲線路を走行する際の遠心力、振動、蛇行によって外周側ベルトが曲線路において第1ガイド手段から浮き上がることがある。
【0005】
このようになると、曲線路を外周側ベルトが水平を保ちながら走行方向に安定的に走行できなくなるとともに、外周側ベルトに取り付けられたベルトブラケットの規制ローラとレール部との間で異音を発することがある。この問題に対処するためには、曲線路に外周側ベルトの浮き上がりを防止する規制手段を設けることも考えられるが、このような規制手段を設けると、摩擦によってベルト体の走行抵抗が大きくなるだけでなく、ベルト体と規制手段との間で摩擦音を発するという問題が生じる。また、ベルト体と規制手段との抵抗のため、ベルトの消耗、切断につながるという問題もある。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、浮き上がり防止用の規制手段を別途設けることなく、曲線路を走行する外周側ベルトの浮き上がりを防止できるようにした飲食物搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の飲食物搬送装置は、
少なくとも一部に曲線路を有する走行レーンと、該走行レーンに沿って無端走行するベルト体と、飲食物を載置して前記走行レーンに沿って走行可能な走行体とを備え、前記曲線路に前記ベルト体を走行方向に沿ってガイドするガイド手段を設けてなる飲食物搬送装置において、
前記ガイド手段は、前記ベルト体における前記曲線路の外周側を走行する外周側ベルトの内面に沿って配置される第1ガイド手段と、前記ベルト体における前記曲線路の内周側を走行する内周側ベルトの外面に沿って配置される第2ガイド手段とからなり、少なくとも前記曲線路の中央部に位置する前記第1ガイド手段は、外周面が下端から上端に向かって前記曲線路の外径方向に傾斜する傾斜面を備えていることを特徴としている。
この特徴によれば、少なくとも曲線路の中央部に位置する第1ガイド手段の外周面を、下端から上端に向かって曲線路の外径方向に傾斜する傾斜面としたことにより、外周側ベルトの上方への移動が規制される。従って、曲線路を走行する外周側ベルトに遠心力、振動、蛇行が作用しても浮き上がるのが防止され、曲線路を外周側ベルトが水平を保ちながら安定して走行することができる。また、曲線路に外周側ベルトの浮き上がりを防止する規制手段を別途設ける必要がないので、ベルト体の走行抵抗が大きくなったり摩擦音を発したりすることもない。
【0008】
前記第1ガイド手段は、水平回転自在の複数のガイドローラからなり、少なくとも前記曲線路の中央部に配置された前記ガイドローラの外周面は、逆ハ字形をなすテーパ傾斜面に形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、外周側ベルトは複数のガイドローラにガイドされて曲線部の外周側を抵抗なくスムーズに走行することができるとともに、曲線路の中央部に配置されたガイドローラの逆ハ字形をなすテーパ傾斜面により、外周側ベルトの浮き上がりを効果的に防止することができる。
【0009】
前記複数のガイドローラのうち、前記曲線路の両端部に配置されたガイドローラの外周面は、それぞれハ字形をなすテーパ傾斜面に形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、曲線路の中央部に配置されたガイドローラの逆ハ字形をなすテーパ傾斜面によって外周側ベルトが下方に移動しようとするのを、曲線路の両端部に配置されたガイドローラのハ字形のテーパ傾斜面によって上方に移動するようにバランスよく矯正することができるので、曲線路において外周側ベルトが水平を保ちながらより安定して走行するようになる。
【0010】
前記第1ガイド手段を構成する複数のガイドローラには、無端状のサブベルトが掛け回されていることを特徴としている。
この特徴によれば、外周側を回走するサブベルトが外周側ベルトと複数のガイドローラとの間に介在し、外周側を回走するサブベルトの外面によって外周側ベルトがガイドされるので、外周側ベルトをスムーズに走行させることができる。また、外周側ベルトが直接ガイドローラと接触しないので、歯付きのベルト体を使用しても異音が発生することがない。さらに、ガイドローラのテーパ傾斜面に沿って傾斜しながら回走する外周側のサブベルトに対し、外周側ベルトの接触領域が走行方向に長くなるので、曲線路を走行する外周側ベルトの浮き上がりを効果的に防止することができる。
【0011】
前記曲線路の両端部と中央部に配置されたガイドローラの下端には、それぞれ大径フランジ部が形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、サブベルトが下方に移動して位置ずれするのが防止されるとともに、外周側ベルトが下方へ移動するのも規制される。
【0012】
前記第2ガイド手段は、水平回転自在の複数のガイドローラからなり、該各ガイドローラの外周面は逆ハ字形をなすテーパ傾斜面に形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、ベルト体の内周側ベルトが複数のガイドローラにガイドされて曲線部の内周側を抵抗なくスムーズに走行することができるとともに、逆ハ字形をなすテーパ傾斜面により内周側ベルトの浮き上がりも防止できるので、曲線部をベルト体が水平を保ちながら安定して走行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施例を備える飲食物搬送装置全体の平面図である。
【
図3】曲線路の第1、第2ガイドローラの配置状態を示す拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る飲食物搬送装置を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0015】
実施例に係る飲食物搬送装置につき、
図1から
図6を参照して説明する。なお、以下においては、
図4~
図6の紙面奥側を走行体の前方側として説明する。
図1において符号1は、本発明が適用された飲食物搬送装置を示すもので、この飲食物搬送装置1は、例えば回転寿司店等において厨房部店員C1、C2が寿司等の飲食物を調理する厨房エリアCと客が飲食を行う飲食客エリアAとに亘って設けられ、本発明の走行レーンとしての注文搬送路1a、1b、2を備えている。
【0016】
注文搬送路1a、1b、2の周囲には、飲食客エリアAのテーブルT1~T4に沿って平面視ロ形に構成された無端状の循環搬送路3が設置されている。循環搬送路3は、無端回走するクレセントチェーンコンベア4を備え、このクレセントチェーンコンベア4の駆動により、飲食物が載置された飲食皿5が循環搬送されるようになっている。
【0017】
このような循環搬送路3と注文搬送路1a、1b、2とが設置されている回転寿司店等においては、飲食客は循環搬送路3によって循環搬送される飲食物を取り出して食することができるとともに、循環搬送路3上を循環搬送してない飲食物を食するときには、個別に注文して注文搬送路1a、1b、2により搬送することができるようになっている。
【0018】
すなわち、個別に注文された飲食物は、厨房エリアCにおいて調理された後、厨房エリアC内に配設された3本の注文搬送路1a、1b、2のいずれかにより配膳人エリアBまで搬送される。具体的には、飲食客エリアAの客から飲食物の注文を受けると、隔壁Wで区画された厨房エリアC内において注文飲食物が調理され、飲食皿5(
図4参照)に載置される。注文飲食物が載置された飲食皿5は、注文搬送路1a、1b、2上を往復移動する走行体6に載置されて配膳人エリアBまで搬送され、飲食客エリアAに近い左右の注文搬送路1a、1bによって搬送される飲食皿5は飲食客エリアAの客によって直接取り出され、中央の注文搬送路2によって搬送される飲食皿5は配膳人によって客に手渡しされるようになっている。注文飲食物を搬送した後の走行体6は厨房エリアC側に戻っていく。
【0019】
図1に示すように、注文搬送路1a、1b、2の後方部分は、厨房エリアC側から隔壁Wに形成された開口を貫通して飲食客エリアA側に向けて直線状に延設されている。注文搬送路2は、配膳人エリアBを2分割するように中央に直線状に配設されている。
【0020】
注文搬送路1a、1bは、隔壁W付近において中央の注文搬送路2から左右に離間する方向に屈曲した後、循環搬送路3の内側近傍まで直線状に延設され、更に循環搬送路3の左右両側に沿うように前方に向かって直線状に延設されている。具体的には、注文搬送路1aには、隔壁W付近に90度に屈曲する第1曲線路10a(右カーブ)と第2曲線路11a(左カーブ)が形成され、注文搬送路1bには、反対方向に90度に屈曲する第1曲線路10b(左カーブ)と第2曲線路11b(右カーブ)とが注文搬送路1aと左右対称的に形成されている。
【0021】
次に、注文搬送路1a、1b、2及び走行体6の構成について説明する。なお、注文搬送路1a、1b、2は、それぞれ形状は異なるが、走行体6を走行させるための基本構造は全て同一であるため、以下においては、注文搬送路1aについてのみ説明し、注文搬送路1b、2の説明は省略する。
【0022】
図2に示すように、注文搬送路1aの上面の搬送面7の下方において厨房エリアC側の端部には、駆動モータ(図示略)によって平面視時計方向に水平回転駆動される駆動スプロケット8が設けられ、配膳人エリアB側の端部には、平面視時計方向に水平回転自在な従動スプロケット9が設けられている。駆動スプロケット8と従動スプロケット9間には、無端状の歯付きのベルト体13が掛け回されている。従動スプロケット9は、ベルト体13にテンションを付与するためのテンション調整機構9aに連結されている。なお、本実施例では歯付きのベルト体13を用いているが、平型のベルト体を用いることもできる。この際には、駆動スプロケット8と従動スプロケット9を駆動プーリと従動プーリに変更すればよい。
【0023】
ベルト体13は、注文搬送路1aの内部空間を搬送面7に沿って無端走行する。すなわち、駆動スプロケット8が平面視時計方向に回転駆動されると、ベルト体13の一方側(左側)が厨房エリアCから配膳人エリアBに向かって前方に走行するとともに、従動スプロケット9により方向転換されるベルト体13の他方側(右側)は配膳人エリアBから厨房エリアCに向かって戻るように走行する。
【0024】
図2及び
図4に示すように、注文搬送路1aの直線路12aの内部空間には、ベルト体13をガイドする複数のベルトガイド14が設けられている。ベルトガイド14は、ベルト体13の走行方向と上方に開口する2条のガイド溝14a、14aを有し、これらのガイド溝14a、14aによってベルト体13の往路側と復路側がガイドされることにより、ベルト体13は幅方向に移動するのが防止されて走行することができる。
【0025】
図4~
図6に示すように、左側に配置されたベルト体13の長さ方向の所定箇所には、走行体6を搬送するための倒立L字状をなす複数のベルトブラケット15がベルトを左右幅方向から挟持するようにして取り付けられている。ベルトブラケット15の右方を向く水平片15aの上面には、搬送ブラケット16の中央部がボルト止めされ、この搬送ブラケット16の幅方向の両側面には、水平軸回りに回転可能な走行ローラ17、17が取り付けられている。走行ローラ17、17は、注文搬送路1aの内部空間に走行方向に沿って設けられた複数の支柱18、18の上端の水平をなす走行板19、19の上面に沿って転動するようになっている。
【0026】
搬送ブラケット16の上面には、垂直軸回りに回転する一対の軌道ローラ20、20が取付けられ、この軌道ローラ20、20は、注文搬送路1aの搬送面7の幅方向の中央部に突設された下向きコ字状断面のレール部21の垂直をなす内側面に近接して転動するようになっている。これにより、搬送ブラケット16は幅方向に横ぶれすることなくベルト体13と共に注文搬送路1a内を安定的に移動することができる。
【0027】
図4に示すように、走行体6は、搬送面7上を走行する台車部22と、台車部22の上面に取付けられ、注文飲食物Sが載せられた飲食皿5を載置するためのトレー部23とを備えている。台車部22は、搬送面7の幅寸法より若干小幅の下向きコ字状断面をなす基台部24と、レール部21を挟む両側において基台部24の下面に固定された内向きL字状断面をなす一対のローラブラケット25、25とを備えている。
【0028】
基台部24の幅方向の両端部の下向片24a、24aには、それぞれ搬送面7に沿って水平軸回りに回転する前後2個ずつの荷重受けローラ26、26が枢支されている。また、ローラブラケット25、25の内向きの水平片25a、25aには、それぞれレール部21の外側面に沿って水平回転する前後2個ずつの振れ止めローラ27、27が枢支されている。なお、振れ止めローラ27、27間の幅寸法はレール部21の内側面の幅寸法よりも僅かに小さく設定されている。これら複数の荷重受けローラ26と振れ止めローラ27により、台車部22は搬送面7に沿って横ぶれすることなく軽快に走行することができる。
【0029】
基台部24の幅方向の中央部に設けられた下方に開口するコ字状断面のトレー取付部材28の内部には、強磁性を有する金属または永久磁石よりなる第1磁性体29が取り付けられている。この第1磁性体29は、搬送ブラケット16の幅方向の中央部上面に取り付けられた第2磁性体30と対向し、磁力により互いに引き合うようになっている。なお、第1磁性体29及び第2磁性体30は、いずれか一方を強磁性を有する金属により、他方を永久磁石により形成するか、両方を磁極の異なる永久磁石により形成される。これら第1磁性体29と第2磁性体が引き合うことによって搬送ブラケット16と基台部24とが間接的に連結される。従って、ベルト体13が駆動されると、走行体6は注文搬送路1aに沿って搬送面7上を走行するようになる。
【0030】
図2、
図3、
図5及び
図6に示すように、注文搬送路1aの第1曲線路10aと第2曲線路11aの内部における中央部と内周側寄りには、それぞれ第1ガイド手段及び第2ガイド手段としての複数(実施例では9個)の外側ガイドローラ31と内側ガイドローラ32とが、第1曲線路10a及び第2曲線路11aの曲率に沿って一定間隔おきに設けられている。なお、第1曲線路10aと第2曲線路11a及びそれらに設けられた外側ガイドローラ31と内側ガイドローラ32は、位置関係が逆となっている以外は同一構成であるため、以下においては第1曲線路10aのみを説明し、第2曲線路11aの説明は省略する。
【0031】
第1曲線路10aの外側ガイドローラ31及び内側ガイドローラ32は、第1曲線路10a内の底面の中央部と内周側とに一定間隔おきに立設された垂直の支持軸33、33に、ボールベアリング34、34を介して水平回転自在に枢支されている。各ボールベアリング34は、スナップリング35と支持軸33にボルト止めされた保持部材36とによって抜け止めされている。外側ガイドローラ31の上下寸法は、ベルト体13の上端よりも上方に突出するように該ベルト体13の上下寸法よりも大とされている。内側ガイドローラ32の上下寸法は、外側ガイドローラ31の上下寸法よりも小とされ、かつ高さが外側ガイドローラ31よりも低くなるように枢支されている。
【0032】
図3に示すように、第1曲線路10aの外周側の両端部に配置された2個の外側ガイドローラ31を除いた7個の外側ガイドローラ31と、全ての内側ガイドローラ32の外周面は、
図5に示すように逆ハ字形をなすテーパ傾斜面31a、32aに形成されている。また、
図6に示すように、第1曲線路10aの両端の2個の外側ガイドローラ31の外周面は、テーパ傾斜面31a、32aとは逆傾斜のハ字形をなすテーパ傾斜面31bに形成されている。なお、本実施例においては、テーパ傾斜面31a、31b、32aの傾斜角度を3度程度としてある。
図3、
図5及び
図6に示すように、第1曲線路10aの中央部に配置された1個の外側ガイドローラ31と両端部の2個の外側ガイドローラ31の下端には、それぞれ大径フランジ部31cが形成されている。
【0033】
全ての外側ガイドローラ31の外周面には、無端状のサブベルト37が掛け回されている。第1曲線路10aの外周側を回走するサブベルト37は、各外側ガイドローラ31の外面側のテーパ傾斜面31a、31bに面接触しながら、テーパ傾斜面31a、31bと同じ角度に傾斜して第1曲線路10aの外周側を回走する。サブベルト37は、第1曲線路10aの中央部と両端部に配置された3個の外側ガイドローラ31の下端の大径フランジ部31cによって下方へ移動するのが防止されるようになっている。
【0034】
図5に示すように、ベルト体13の左側、すなわちベルトブラケット15が取り付けられた、第1曲線路10aの外周側を走行する外周側ベルト13aの内面(内径方向の面)は、その上部が外周側を回走するサブベルト37における両端部を除いた外面上部の傾斜面に接触しながら前方に走行するようになっている。また、
図6に示すように、両端の外側ガイドローラ31にガイドされて走行する、ベルトブラケット15が取り付けられた外周側ベルト13aの内面は、その下部が外周側を回走するサブベルト37の外面下部の傾斜面に接触しながら前方に走行するようになっている。
【0035】
外側ガイドローラ31にサブベルト37を掛け回すことにより、外周側を回走するサブベルト37が外周側ベルト13aと複数のガイドローラ31との間に介在し、サブベルト37の外面により外周側ベルト13aがガイドされることにより、外周側ベルト13aはスムーズに走行することができる。また、外周側ベルト13aが直接外側ガイドローラ31と接触しないので、歯付きのベルト体13を使用しても異音を発することはない。
【0036】
第1曲線路10aの内周側を回送するサブベルト37は、
図3に示すように、ベルトの張力によって両端部の外側ガイドローラ31を除く全ての外側ガイドローラ31から内径方向に離間するとともに、第1曲線路10aの内周側を走行する内周側ベルト13bの外面(外径方向の面)に面接触して該内周側ベルト13bを内径方向に押圧する。これにより内周側ベルト13bは、
図5に示すように、内側ガイドローラ32の外面側のテーパ傾斜面32aと内周側を回送するサブベルト37とにより挟持されながら、第1曲線路10aを戻り方向に安定的に走行することができる。
【0037】
以上説明したように、実施例に係る飲食物搬送装置1においては、第1曲線路10aの外周側の両端部に配置された2個の外側ガイドローラ31を除いた7個の外側ガイドローラ31の外周面を、逆ハ字形をなすテーパ傾斜面31aに形成するとともに、第1曲線路10aの両端部の2個の外側ガイドローラ31の外周面を、逆傾斜のハ字形をなすテーパ傾斜面31bに形成したことにより、外側ガイドローラ31に掛け回されたサブベルト37の外周側もテーパ傾斜面31a、31bと同じ角度に傾斜して回走する。従って、外周側ベルト13aの内面上部が、サブベルト37における両端部を除いた外径方向に傾斜する傾斜面の外面上部に接触するとともに(
図5参照)、外周側ベルト13aの内面下部が、サブベルト37の両端部の内径方向に傾斜する傾斜面の外面下部に接触するようになる(
図6参照)。
【0038】
その結果、サブベルト37の外径方向に傾斜する傾斜面により外周側ベルト13aが上方へ移動するのが規制されるため、ベルトブラケット15が取り付けられた外周側ベルト13aに遠心力、振動、蛇行が作用しても浮き上がることがなくなる。しかも、外周側を回走するサブベルト37への外周側ベルト13aの接触領域が走行方向に長いので、外周側ベルト13aの浮き上がりを効果的に防止することができる。
【0039】
また、外周側を回走するサブベルト37の外径方向に傾斜する傾斜面により外周側ベルト13aが下方へ移動しようとするのを、サブベルト37の両端部の内径方向に傾斜する傾斜面によって上方に移動するようにバランスよく矯正することができるので、第1曲線路10aを外周側ベルト13aが水平を保ちながら安定して走行するようになる。
【0040】
さらに、第1曲線路10aの中央部と両端部に配置された3個の外側ガイドローラ31の下端には、大径フランジ部31cが形成されているので、サブベルト37が下方へ移動して位置ずれするのが防止されるとともに、ベルト体13の下方への移動も規制される。
【0041】
さらに、全ての内側ガイドローラ32の外周面を逆ハ字形のテーパ傾斜面32aに形成したことにより、内周側を回走するサブベルト37を介して内周側ベルト13bの浮き上がりも防止でき、ベルト体13全体が水平を保ちながら第1曲線路10aを安定して走行することができる。
【0042】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内における追加や変更があっても、本発明に含まれる。
【0043】
例えば、前記実施例では、外側ガイドローラ31にサブベルト37を掛け回しているが、ベルト体13に歯付きでない平ベルトを使用する場合にはサブベルト37は省略してもよい。この場合、外側ガイドローラ31のテーパ傾斜面31a、31bに外周側ベルト13aが直接接触することになるが、この場合でも上述と同様の外周側ベルト13aの浮き上がり防止効果が得られる。
【0044】
また、前記実施例では、第1ガイド手段をガイドローラ31としているが、ガイドローラ31に代えて、例えば前述した特許文献1の
図3に記載されているような平面視円弧状の固定ガイド体を使用し、その少なくとも曲線路の中央部に位置する外周面を下端から上端に向かって第1曲線路10aの外径方向に傾斜する傾斜面としてもよい。
【0045】
さらに、前記実施例では、内側ガイドローラ32の外周面も逆ハ字形のテーパ傾斜面32aとしているが、内側ガイドローラ32については垂直面とすることもある。
【0046】
さらに、前記実施例では、第1、第2曲線路10a、11aを90度に屈曲するものとしたが、90度以外に屈曲する曲線路にも本発明を適用することができる。