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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084326
(43)【公開日】2023-06-19
(54)【発明の名称】水電解デバイス
(51)【国際特許分類】
   C25B 13/02 20060101AFI20230612BHJP
   C25B 9/23 20210101ALI20230612BHJP
   C25B 1/04 20210101ALI20230612BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20230612BHJP
   C25B 15/08 20060101ALI20230612BHJP
   C25B 13/04 20210101ALI20230612BHJP
   C25B 13/05 20210101ALI20230612BHJP
【FI】
C25B13/02 302
C25B9/23
C25B1/04
C25B9/00 A
C25B15/08 302
C25B13/04 302
C25B13/05
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021198440
(22)【出願日】2021-12-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 大樹
(72)【発明者】
【氏名】常木 達也
(72)【発明者】
【氏名】櫛 拓人
(72)【発明者】
【氏名】河村 将史
【テーマコード(参考)】
4K021
【Fターム(参考)】
4K021AA01
4K021BA02
4K021BC01
4K021CA09
4K021DB04
4K021DB28
4K021DB31
4K021DB43
4K021DB49
4K021DB53
4K021DC01
4K021DC03
4K021EA05
(57)【要約】
【課題】製造コストを抑制できる水電解デバイスを提供する。
【解決手段】水電解装置10は、電解質層22の一方面にアノード触媒層24が積層され、他方面にカソード触媒層34が積層された電解質膜21と、開口平均幅10μm以上250μm以下の凹部または頂部同士の平均間隔が10μm以上250μm以下の凸部が平均ピッチ20μm以上500μm以下で配置される凹凸パターンが表面に一体形成され、凹凸パターンの凸部がアノード触媒層24に接触配置され、アノード触媒層24との間にガス拡散路27Cを構成する導電性のセパレータ部材26と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質層の一方面にアノード触媒層が積層され、他方面にカソード触媒層が積層された電解質膜と、
開口平均幅10μm以上250μm以下の凹部または頂部同士の平均間隔が10μm以上250μm以下の凸部が平均ピッチ20μm以上500μm以下で配置される凹凸パターンが表面に一体形成され、前記凹凸パターンの前記凸部が前記アノード触媒層に接触配置され、前記アノード触媒層との間にガス拡散路を構成する導電性のセパレータ部材と、
を備えた、水電解デバイス。
【請求項2】
前記凹凸パターンの平均ピッチが、前記セパレータ部材の厚みよりも小さい、
請求項1に記載の水電解デバイス。
【請求項3】
電解質層の一方側面にアノード触媒層が積層され、他方面にカソード触媒層が積層された電解質膜と、
厚み方向に凹凸となる凹部と凸部が形成される凹凸パターンが一体形成され、前記凹凸パターンの前記凸部が前記アノード触媒層に接触配置され、前記アノード触媒層との間にガス拡散路を構成する導電性のセパレータ部材であって、前記凹凸パターンの平均ピッチが、前記セパレータ部材の厚みよりも小さい、導電性のセパレータ部材と、
を備えた、
水電解デバイス。
【請求項4】
前記凹凸パターンにおける単位面積当たりの前記電解質膜との接触率は、40%以上85%以下である、
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の水電解デバイス。
【請求項5】
前記凸部は、円形状である、
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の水電解デバイス。
【請求項6】
前記凹部は、溝形状である、
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の水電解デバイス。
【請求項7】
前記セパレータ部材には、前記ガス拡散路の上流側から下流側へ向かって、前記凹凸パターンよりも流路抵抗が小さい主流部、が形成されている、
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の水電解デバイス。
【請求項8】
前記セパレータ部材は、チタン製である、
請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の水電解デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水電解デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、クリーンエネルギーの活用として、水素を生成する水電解デバイス、が注目されている。再生可能エネルギーから得た電力により水電解デバイスで水素を生成して貯留し、必要に応じて水素を用いて燃料電池で発電することにより、安定しない再生可能エネルギーによる場合でも、継続的に電力を供給することができる。
【0003】
このような、水電解デバイスについては、セルスタックの構成についても開発が行われており、電解質膜、アノード、カソード、セパレータを含むセル構造についても、様々な技術が提案されている。(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2021/111775号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような、水電解デバイスにおいては、特に、アノード側に強い酸化条件が生じるため、構成材料が限定され、コストが高くなりやすい。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮して成されたものであり、製造コストを抑制できる水電解デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様に係る水電解デバイスは、電解質層の一方面にアノード触媒層が積層され、他方面にカソード触媒層が積層された電解質膜と、開口平均幅10μm以上250μm以下の凹部または頂部同士の平均間隔が10μm以上250μm以下の凸部が平均ピッチ20μm以上500μm以下で配置される凹凸パターンが表面に一体形成され、前記凹凸パターンの前記凸部が前記アノード触媒層に接触配置され、前記アノード触媒層との間にガス拡散路を構成する導電性のセパレータ部材と、を備えている。
【0008】
第1の態様に係る水電解デバイスでは、導電性のセパレータ部材の表面に凹凸パターンが一体形成されており、凹凸パターンの凸部がアノード触媒層に接触配置され、アノード触媒層との間にガス拡散路を構成する。当該凹凸パターンは、開口平均幅10μm以上250μm以下の凹部または頂部同士の平均間隔が10μm以上250μm以下の凸部が平均ピッチ20μm以上500μm以下で配置されているので、ガス拡散路において、水や酸素を拡散させることができる。
【0009】
このように、セパレータ部材の表面に凹凸パターンを一体形成してガス拡散を行うことにより、ガス拡散のために別途部材を設ける必要がなく、コストを削減することができる。
【0010】
第2の態様に係る水電解デバイスは、前記凹凸パターンの平均ピッチが、前記セパレータ部材の厚みよりも小さい。
【0011】
第2の態様に係る水電解デバイスでは、凹凸パターンの平均ピッチをセパレータ部材の厚みよりも小さくすることにより、ガス拡散性を確保しつつ製造の容易さを維持することができる。
【0012】
第3の態様に係る水電解デバイスは、電解質層の一方側面にアノード触媒層が積層され、他方面にカソード触媒層が積層された電解質膜と、厚み方向に凹凸となる凹部と凸部が形成される凹凸パターンが一体形成され、前記凹凸パターンの前記凸部が前記アノード触媒層に接触配置され、前記アノード触媒層との間にガス拡散路を構成する導電性のセパレータ部材であって、前記凹凸パターンの平均ピッチが、前記セパレータ部材の厚みよりも小さい、導電性のセパレータ部材と、を備えている。
【0013】
第3の態様に係る水電解デバイスでは、導電性のセパレータ部材の表面に凹凸パターンが一体形成されており、凹凸パターンの凸部がアノード触媒層に接触配置され、アノード触媒層との間にガス拡散路を構成する。
【0014】
このように、セパレータ部材の表面に凹凸パターンを一体形成してガス拡散路を構成することにより、ガス拡散のために別途部材を設ける必要がなく、コストを削減することができる。また、当該凹凸パターンは、平均ピッチが、セパレータ部材の厚みよりも小さく設定されているので、ガス拡散路において、ガス拡散性を確保しつつ製造の容易さを維持することができる。
【0015】
第4の態様に係る水電解デバイスは、前記凹凸パターンにおける単位面積当たりの前記電解質膜との接触率は、40%以上85%以下である。
【0016】
第4の態様に係る水電解デバイスによれば、セパレータ部材とアノード触媒層との間で、良好な導通性を確保すると共に、ガス拡散性を維持することができる。
【0017】
第5の態様に係る水電解デバイスは、前記凸部は、円形状である。
【0018】
凹凸パターンの凸部を、円形状とすることにより、アノード触媒層との間にガス拡散路を構成することができる。
【0019】
第6の態様に係る水電解デバイスは、前記凹部は、溝形状である。
【0020】
凹凸パターンの凹部を、溝形状とすることにより、アノード触媒層との間にガス拡散路を構成することができる。
【0021】
第7の態様に係る水電解デバイスは、前記セパレータ部材には、前記ガス拡散路の上流側から下流側へ向かって、前記凹凸パターンよりも流路抵抗が小さい主流部、が形成されている。
【0022】
第7の態様に係る水電解デバイスでは、セパレータ部材に、凹凸パターンよりも流路抵抗が小さい主流部が形成されている。当該主流部は、ガス拡散路の上流側から下流側へ向かっているので、ガス拡散路から主流部へ水や酸素が流入することにより、水や酸素の流れを良好にすることができる。
【0023】
第8の態様に係る水電解デバイスは、前記セパレータ部材は、チタン製である。
【0024】
第8の態様に係る水電解デバイスでは、セパレータ部材をチタン製にすることにより、耐酸化性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る水電解デバイスによれば、製造コストを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】第1実施形態に係る水電解装置の概略断面構成を示す図である。
図2】第1施形態に係る水電解装置のアノード側セパレータ部材の(A)は平面図であり、(B)は(A)の2-2線の断面図である。
図3】第1施形態に係る水電解装置のカソード側セパレータ部材の(A)は平面図であり、(B)は(A)の3-3線の断面図である。
図4】第1施形態の変形例に係る水電解装置のアノード側セパレータ部材の(A)は平面図であり、(B)は(A)の4-4線の断面図である。
図5】第2施形態に係る水電解装置のアノード側セパレータ部材の(A)は平面図であり、(B)は(A)の5-5線の断面図である。
図6】第2施形態に係る水電解装置のカソード側セパレータ部材の(A)は平面図であり、(B)は(A)の6-6線の断面図である。
図7】その他の実施形態に係る水電解装置のガス拡散部の例(A)(B)(C)を示す図である。
図8】その他の実施形態に係る水電解装置の概略断面構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<第1実施形態>
本発明の水電解デバイスの第1実施形態を図面を参照して説明する。本実施形態では、固体高分子電解質膜型(PEM)の水電解装置10を例に説明する。図1には、水電解装置10のセル20の概略断面が示されている。
【0028】
セル20は、電解質膜21を備えている。電解質膜21は、電解質層22の一方面に、アノード触媒層24が積層され、他方面にカソード触媒層34が積層されて形成されている。電解質膜21のアノード触媒層24には、セパレータ部材26が積層され、カソード触媒層34には、セパレータ部材36が積層されている。
【0029】
電解質層22は、方形状とされ、炭素-フッ素系高分子膜や炭素-フッ素系高分子膜などを用いることができる。アノード触媒層24は、電解質膜21の一方面の外周よりも狭い内周側を覆っており、Ir系触媒などを用いることができる。カソード触媒層34は、電解質膜21の他方面の外周よりも狭い内周側を覆っており、Pt/カーボン系触媒などを用いることができる。
【0030】
電解質膜21のアノード触媒層24側には、枠状のアノードシール層25が積層されている。アノードシール層25は、図1に示されるように、電解質層22のアノード触媒層24の外周に形成されている。アノードシール層25の枠内には、アノード開口25Aが形成されており、アノード開口25Aには、アノード触媒層24、及び、後述するセパレータ部材26のガス拡散部27が配置される。アノードシール層25は、電解質層22とセパレータ部材26に密着されており、両者の間をシールしている。アノードシール層25は、樹脂、ゴム材料で形成することができる。
【0031】
アノードシール層25には、セパレータ部材26が積層されている。セパレータ部材26は、長方形板状とされ、アノード触媒層24側の表面にガス拡散部27が一体形成されている。
【0032】
ガス拡散部27は、平面視でアノード触媒層24に対応する位置に形成されており、平面視でアノード触媒層24と同様の形状とされ、壁部28が平面視で方形状に形成されている。ガス拡散部27には、図2(A)に示されるように、平面視で円形状の凸部27Bが全面に形成されている。図2(B)に示されるように、凸部27Bは、セパレータ部材26の表面(凹凸パターンが形成されていない部分の厚み表面を基準とする)と面一に頂部27APが配置されている。隣り合う凸部27Bの間(凸部27Bが形成されていない部分)には、セパレータ部材26の表面から凹む凹部27Aが形成されている。ガス拡散部27は、このように、凹凸パターンが表面に一体形成されたものである。ここでの「一体形成」は、別部材でなく一部材で構成されていることを意味している。
【0033】
凸部27Bは、隣接する凸部27Bと離隔して形成されており、凸部27Bの頂部27APは、平坦状とされている。このように、頂部27APを平坦状とすることにより、アノード触媒層24との接触面積を大きくすることができる。隣り合う凸部27B同士の平均間隔D1は、10μm以上250μm以下とされている。また、平面視での凹部27Aの開口平均幅D2(本実施形態ではD1と同一)は、10μm以上250μm以下とされている。凸部27B及び凹部27Aで形成される凹凸パターンの平均ピッチP1は、20μm以上500μm以下とされている。
【0034】
平均間隔D1、開口平均幅D2が10μm未満、平均ピッチP1が20μm未満の場合には、製造が難しくなる。平均間隔D1、開口平均径D2が250μm超、平均ピッチP1が500μm超の場合には、ガスの拡散が不十分となり性能が悪化する。
【0035】
なお、平均間隔D1、開口平均幅D2は、10μm以上150μm以下であることが好ましい。
【0036】
また、凹部27Aの深さB1は、セパレータ部材26の厚みT1よりも浅く、凹凸パターンの平均ピッチP1は、厚みT1よりも小さく設定されている。
【0037】
凸部27Bは、電解質膜21のアノード触媒層24と接触配置されている。凸部27Bは、アノード触媒層24との間の導電性確保のための接触が維持されているが、凹部27Aは、各々の凸部27Bを囲むように配置されており、凹部27Aでの流体移動が可能とされている。
【0038】
ガス拡散部27における単位面積当たりのアノード触媒層24との接触率は、導電性の確保とガス拡散性の維持を考慮して、40%以上85%以下であることが好ましい。
【0039】
なお、平均間隔D1、開口平均幅D2、凹凸パターンの平均ピッチP1、深さB1の測定は、走査電子顕微鏡、光学顕微鏡、これらを介して取得した画像などにより行うことができる。
【0040】
アノードシール層25に囲まれた内側のアノード触媒層24とガス拡散部27の凹部27Aの間に、ガス拡散路27Cが形成されている。ガス拡散路27Cには、ガス拡散路27Cの一端部に設けられた不図示の水流路から水が供給され、ガス拡散路27Cの他端部に設けられた不図示の酸素流路から酸素が送出される。
【0041】
セパレータ部材26としては、チタン、ステンレス、カーボンを用いることができる。特に、本実施形態のように水電解装置のセルとして用いる場合には、アノード側に酸素が発生するため、酸化抑制のために耐酸化性能の高い材料であるチタンを用いることが好ましい。
【0042】
セパレータ部材26の表面に凹凸パターンを形成する方法としては、プレス加工、エンボス加工、目立て加工、切削加工などを用いることができる。なお、目立て加工とは、おろし金の凹凸形状を形成する際に用いられる加工方法と同様に、板材表面の斜め方向に刃を当てることで、表面を削り起こす加工方法を指す。
【0043】
電解質膜21のカソード触媒層34側には、枠状のカソードシール層35が積層されている。カソードシール層35は、図1に示されるように、電解質層22のカソード触媒層34の外側に形成されている。カソードシール層35の枠内には、カソード開口35Aが形成されており、カソード開口35Aには、カソード触媒層34、及び、後述するセパレータ部材36のガス拡散部37が配置される。カソードシール層35は、電解質層22とセパレータ部材36に密着されており、両者の間をシールしている。カソードシール層35は、樹脂、ゴム材料で形成することができる。
【0044】
カソードシール層35には、セパレータ部材36が積層されている。セパレータ部材36は、長方形板状とされ、カソード触媒層34側の表面にガス拡散部37が一体形成されている。
【0045】
ガス拡散部37は、平面視でカソード触媒層34に対応する位置に形成されており、平面視でカソード触媒層34と同様の形状とされ、壁部28が平面視で方形状に形成されている。ている。ガス拡散部37は、図3(A)に示されるように、平面視で円形状の凸部37Bが全面に形成されている。図3(B)に示されるように、凸部37Bは、セパレータ部材36の表面と面一に頂部37APが配置されている。隣り合う凸部37Bの間(凸部37Bが形成されていない部分)には、凹部37Aが形成されている。ガス拡散部37は、このように、凹凸パターンが表面に一体形成されたものである。
【0046】
凸部37Bは、隣接する凸部37Bと離隔して形成されており、凸部37Bの頂部37APは、平坦状とされている。このように、頂部37APを平坦状とすることにより、カソード触媒層34との接触面積を大きくすることができる。隣り合う凹部37A同士の平均間隔D3は、10μm以上250μm以下とされている。また、平面視での凹部37Aの開口平均幅D4(本実施形態ではD3と同一)は、10μm以上250μm以下とされている。凸部37B及び凹部37Aで形成される凹凸パターンの平均ピッチP2は、20μm以上500μm以下とされている。
【0047】
平均間隔D3、開口平均幅D4が10μm未満、平均ピッチP2が20μm未満の場合には、製造が難しくなる。平均間隔D3、開口平均幅D4が250μm超、平均ピッチP2が500μm超の場合には、ガスの拡散が不十分となり性能が悪化する。
【0048】
なお、平均間隔D3、開口平均幅D4は、10μm以上150μm以下であることが好ましい。
【0049】
なお、平均間隔D3、開口平均幅D4、凹凸パターンの平均ピッチP2、深さB2の測定は、走査電子顕微鏡、光学顕微鏡、これらを介して取得した画像などにより行うことができる。
【0050】
また、凹部37Aの深さB2は、セパレータ部材36の厚みT2よりも浅く、凹凸パターンの平均ピッチP2は、厚みT2よりも小さく設定されている。
【0051】
凸部37Bは、電解質膜21のカソード触媒層34と接触配置されている。凸部37Bは、カソード触媒層34との間の導電性確保のための接触が維持されているが、凹部37Aは、各々の凸部37Bを囲むように配置されており、凹部37Aでの流体移動が可能とされている。
【0052】
ガス拡散部37における単位面積当たりのカソード触媒層34との接触率は、導電性の確保とガス拡散性の維持を考慮して、40%以上85%以下であることが好ましい。
【0053】
カソードシール層35に囲まれた内側のカソード触媒層34とガス拡散部37の凹部37Aの間に、ガス拡散路37Cが形成されている。ガス拡散路37Cには、ガス拡散路37Cの他端部(ガス拡散路27Cの水流路が設けられた一端部と離れた他端部)に設けられた不図示の水素流路から水素が送出される。
【0054】
セパレータ部材36としては、チタン、ステンレス、カーボンなどを用いることができる。
【0055】
セパレータ部材26の表面に凹凸パターンを形成する方法としては、プレス加工、エンボス加工、目立て加工、切削加工などを用いることができる。
【0056】
水電解装置10は、不図示の電圧印加手段を備えている。電圧印加手段により、セパレータ部材26とセパレータ部材36の間に電圧が印加される。セパレータ部材26とセパレータ部材36の電圧、電流は、不図示の電圧計、電流計により計測され、セパレータ部材26とセパレータ部材36の間の電圧、電流値に基づいて、不図示の制御部により制御される。
【0057】
次に、本実施形態の水電解装置10の作用効果について説明する。
【0058】
不図示の水流路からガス拡散路27Cの一端部へ水が供給されるとセパレータ部材26とセパレータ部材36間への電圧印加により、アノード触媒層24の表面では、以下の反応(1)が生じる。
O → 2H + 0.5O + 2e (1)
【0059】
酸素Oは、凹凸パターンを有するガス拡散部27で拡散され、ガス拡散路27Cの他端部へ向かって流れ、未反応の水(HO)と共に酸素流路から送出される。
【0060】
水素イオンHは、電解質膜21を通ってカソード側へ移動し、外部配線で供給される電子eを得て(反応(2))水素Hとなり、ガス拡散部37で拡散され、ガス拡散路37Cの他端部に設けられた水素流路から送出される。
2H + 2e → H(2)
【0061】
本実施形態では、セパレータ部材26、37に一体的に形成された凹凸パターンのガス拡散部27、37により、ガス拡散路27C、37C内の水、酸素、水素、を拡散させることができる。したがって、ガス拡散のために別途部材を設ける必要がなく、材料費、加工費など、コストを削減することができる。特に、ガス拡散層とセパレータ部材が別部材で構成されているセルと比較して、セパレータ部材にメッキを施す必要がなく、製造コストを削減することができる。
また、ガス拡散層とセパレータ部材界面部分がなくなり、当該界面部分の酸化による電気的接続の低下を防止することができる。さらに、プレス加工、エンボス加工、目立て加工などの製法を用いることにより、連続的に製造することができ、繊維焼結体、粉末焼結体をガス拡散層として用いる場合と比較して、サイズの自由度が高くなると共に、生産性を向上させることができる。
【0062】
また、本実施形態では、凹部27B、37Bの深さB1、B2は、セパレータ部材26、36の厚みT1、T2よりも浅く、凹凸パターンの平均ピッチP1、P2は、厚みT1、T2よりも小さく設定されているので、ガス拡散路27C、37Cにおいて、ガス拡散性を確保しつつ、ガス拡散部27、37の製造の容易さを維持することができる。
【0063】
なお、セパレータ部材26のガス拡散部27には、図4(A)(B)に示されるように、主流部29を設けることもできる。主流部29は、ガス拡散路27Cの上流側(水流路からの水が流入する一端部側)から下流側(酸素と水が流出する酸素流路が形成された他端部側)へ向かう溝であり、凹部27Bの径よりも溝幅が大きい。一例として、図4(A)では、図の上側が上流であり、下側が下流である。したがって、主流部29の流路抵抗は、凹部27Bのみ形成されている凹凸パターン部分よりも小さい。主流部29を形成することにより、ガス拡散路27Cから主流部29へ水や酸素が流入することにより、水や酸素の流れを良好にすることができる。
【0064】
なお、主流部29は、カソード側のセパレータ部材36にも形成してもよい。
【0065】
<第2実施形態>
次に、図5、6を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。本実施形態では、第1実施形態と同様の部分については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0066】
本実施形態の水電解装置10は、セパレータ部材26、36に代えて、セパレータ部材26-2、36-2を用いている。セパレータ部材26、36以外の構成については、第1実施形態と同様である。
【0067】
アノードシール層25には、セパレータ部材26-2が積層されている。セパレータ部材26-2は、長方形板状とされ、アノード触媒層24側の表面にガス拡散部27-2が一体形成されている。
【0068】
ガス拡散部27-2は、平面視でアノード触媒層24に対応する位置に形成されており、平面視でアノード触媒層24と同様の形状とされている。ガス拡散部27-2には、図5(A)に示されるように、平面視で一端辺側から他端辺側に延びる複数の溝で形成される溝凹部27B-2と、溝凹部27B-2間に形成される凸部27A-2が形成されている。図5(B)に示されるように、溝凹部27B-2は、セパレータ部材26-2の表面から凹む凹状となっている。溝凹部27B-2が形成されていない部分には、隣り合う溝凹部27B-2に挾まれた長尺の凸部27A-2が形成されている。ガス拡散部27-2は、このように、凹凸パターンが表面に一体形成されたものである。
【0069】
溝凹部27B-2は、隣接する溝凹部27B-2と離隔して形成されており、凸部27A-2の頂部27AP-2は、平坦状とされている。このように、頂部27AP-2を平坦状とすることにより、アノード触媒層24との接触面積を大きくすることができる。隣り合う凸部27A-2同士の平均間隔D5は、10μm以上250μm以下とされている。また、平面視での開口平均幅D6(本実施形態ではD5と同一)は、10μm以上250μm以下とされている。凸部27A-2及び溝凹部27B-2で形成される凹凸パターンの平均ピッチP3は、20μm以上500μm以下とされている。
【0070】
平均間隔D5、開口平均幅D6が10μm未満、平均ピッチP3が20μm未満の場合には、製造が難しくなる。平均間隔D5、開口平均幅D6が250μm超、平均ピッチP3が500μm超の場合には、ガスの拡散が不十分となり性能が悪化する。
【0071】
なお、平均間隔D5、開口平均幅D6は、10μm以上150μm以下であることが好ましい。
【0072】
また、溝凹部27B-2の深さB1は、セパレータ部材26-2の厚みT1よりも浅く、凹凸パターンの平均ピッチP3は、厚みT1よりも小さく設定されている。
【0073】
凸部27A-2は、電解質膜21のアノード触媒層24と接触配置されている。凸部27A-2は、アノード触媒層24との間の導電性確保のための接触が維持されているが、各々の溝凹部27B-2間での流体移動が可能な程度の隙間を有している。
【0074】
ガス拡散部27-2における単位面積当たりのアノード触媒層24との接触率は、導電性の確保とガス拡散性の維持を考慮して、40%以上85%以下であることが好ましい。
【0075】
なお、平均間隔D5、開口平均幅D6、凹凸パターンの平均ピッチP3、深さB1の測定は、走査電子顕微鏡、光学顕微鏡、これらを介して取得した画像などにより行うことができる。
【0076】
アノードシール層25に囲まれた内側のアノード触媒層24とガス拡散部27-2の溝凹部27B-2の間に、ガス拡散路27Cが形成されている。
【0077】
セパレータ部材26-2としては、セパレータ部材26と同様の部材を用いることができる セパレータ部材26-2の表面に凹凸パターンを形成する方法としては、プレス加工、エンボス加工、目立て加工、切削加工などを用いることができる。
【0078】
カソードシール層35には、セパレータ部材36-2が積層されている。セパレータ部材36-2は、長方形板状とされ、カソード触媒層34側の表面にガス拡散部37-2が一体形成されている。
【0079】
ガス拡散部37-2は、平面視でカソード触媒層34に対応する位置に形成されており、平面視でカソード触媒層34と同様の形状とされている。ガス拡散部37-2には、図6(A)に示されるように、平面視で一端辺側から他端辺側に延びる複数の溝で形成される溝凹部37B-2と、溝凹部37B-2間に形成される凸部37A-2が形成されている。図6(B)に示されるように、溝凹部37B-2は、セパレータ部材36-2の表面から凹む凹状となっている。溝凹部37B-2が形成されていない部分には、隣り合う溝凹部37B-2に挾まれて長尺状の凸部37A-2が形成されている。ガス拡散部37-2は、このように、凹凸パターンが表面に一体形成されたものである。
【0080】
溝凹部37B-2は、隣接する溝凹部37B-2と離隔して形成されており、凸部37A-2の頂部37AP-2は、平坦状とされている。このように、頂部37AP-2を平坦状とすることにより、カソード触媒層34との接触面積を大きくすることができる。隣り合う凸部37A-2同士の平均間隔D7は、10μm以上250μm以下とされている。また、平面視での開口平均幅D8(本実施形態ではD7と同一)は、10μm以上250μm以下とされている。凸部37A-2及び溝凹部37B-2で形成される凹凸パターンの平均ピッチP4は、20μm以上500μm以下とされている。
【0081】
平均間隔D7、開口平均幅D8が10μm未満、平均ピッチP4が20μm未満の場合には、製造が難しくなる。平均間隔D7、開口平均幅D8が250μm超、平均ピッチP4が500μm超の場合には、ガスの拡散が不十分となり性能が悪化する。
【0082】
なお、平均間隔D7、開口平均幅D8は、10μm以上150μm以下であることが好ましい。
【0083】
また、溝凹部37B-2の深さB1は、セパレータ部材36-2の厚みT1よりも浅く、凹凸パターンの平均ピッチP4は、厚みT1よりも小さく設定されている。
【0084】
凸部37A-2は、電解質膜21のカソード触媒層34と接触配置されている。凸部37A-2は、カソード触媒層34との間の導電性確保のための接触が維持されているが、各々の溝凹部37B-2間での流体移動が可能な程度の隙間を有している。
【0085】
ガス拡散部37-2における単位面積当たりのカソード触媒層34との接触率は、導電性の確保とガス拡散性の維持を考慮して、40%以上85%以下であることが好ましい。
【0086】
なお、平均間隔D7、開口平均幅D8、凹凸パターンの平均ピッチP4、深さB1の測定は、走査電子顕微鏡、光学顕微鏡、これらを介して取得した画像などにより行うことができる。
【0087】
カソードシール層35に囲まれた内側のカソード触媒層34とガス拡散部37-2の溝凹部37B-2の間に、ガス拡散路37Cが形成されている。
【0088】
セパレータ部材36-2としては、セパレータ部材36と同様の部材を用いることができる セパレータ部材36-2の表面に凹凸パターンを形成する方法としては、プレス加工、エンボス加工、目立て加工、切削加工などを用いることができる。
【0089】
<その他の実施形態>
第1実施形態では、セパレータ部材26、36においてガス拡散部27を形成するための凹凸パターンとして、平面視で円形状の凸部を例に説明したが、他の形状の凸部でもよい。例えば、図7(C)に示されるように、長円状45を凸部とし、長円状45が形成されていない部分に凹部46が形成される凹凸パターンでもよい。
【0090】
また、凸部は整列させずにランダム配置としてもよい。さらに、凸部の大きさや形状も同一である必要はなく、ランダムな形状であってもよい。
【0091】
また、第2実施形態では、セパレータ部材26-2、36-2においてガス拡散部27-2を形成するための凹凸パターンとして、平面視で複数本の長尺直線状の溝を例に説明したが、他の形状の溝でもよい。例えば、図7(A)に示されるように、波状の複数の溝41を凹部とし、隣り合う溝間部分に凸部42が形成される凹凸パターンでもよい。また、平面視で斜めに配置される長尺直線状の溝43を凹部とし、溝43に囲まれた部分の凸部44としてもよい。
【0092】
また、本実施形態では、セパレータ部材26、36の片面にガス拡散部27、37を形成したが、図8に示すように、両面に形成し、セルスタックを構成することができる。この場合には、積層の中間部に配置される一のセパレータ部材26の一方面側がアノード触媒層24に対向するガス拡散部27となり、他方面側がカソード触媒層34に対向するガス拡散部37となる。
【0093】
また、前述の各実施形態では、固体高分子電解質膜型(PEM)の水電解装置10を例に説明したが、本発明は、アニオン交換膜型(AEM)の水電解装置に用いることもできる。
【符号の説明】
【0094】
10 水電解装置(水電解デバイス)
21 電解質膜
22 電解質層
24 アノード触媒層
26、26-2 セパレータ部材
27 ガス拡散部
27A 凸部
27AP 頂部
27B 凹部
27B-2 溝凹部(凹部)
27C ガス拡散路
29 主流部
34 カソード触媒層
41、43 溝(凹部)
42、44 凸部
45 長円状(凸部)
46 凹部
D1 平均間隔
D2 開口平均幅
D5 平均間隔
D6 開口平均幅
P1、P3 平均ピッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2022-04-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
第1の態様に係る水電解デバイスは、電解質層の一方面にアノード触媒層が積層され、他方面にカソード触媒層が積層された電解質膜と、開口平均幅10μm以上250μm以下の溝形状の凹部が平均ピッチ20μm以上500μm以下で配置される凹凸パターンが表面に一体形成され、前記凹凸パターンの隣り合う前記凹部の間に形成される凸部が前記アノード触媒層に接触配置され、前記アノード触媒層との間にガス拡散路を構成する導電性のセパレータ部材と、備えている。
第2の態様に係る水電解デバイスは、電解質層の一方面にアノード触媒層が積層され、他方面にカソード触媒層が積層された電解質膜と、頂部同士の平均間隔が10μm以上250μm以下の凸部が平均ピッチ20μm以上500μm以下で配置される凹凸パターンが表面に一体形成され、前記凹凸パターンの前記凸部が前記アノード触媒層に接触配置され、前記アノード触媒層との間にガス拡散路を構成する導電性のセパレータ部材と、を備えている。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
第1、第2の態様に係る水電解デバイスでは、導電性のセパレータ部材の表面に凹凸パターンが一体形成されており、凹凸パターンの凸部がアノード触媒層に接触配置され、アノード触媒層との間にガス拡散路を構成する。当該凹凸パターンは、開口平均幅10μm以上250μm以下の凹部または頂部同士の平均間隔が10μm以上250μm以下の凸部が平均ピッチ20μm以上500μm以下で配置されているので、ガス拡散路において、水や酸素を拡散させることができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
第3の態様に係る水電解デバイスは、前記凹凸パターンの平均ピッチが、前記セパレータ部材の厚みよりも小さい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
第3の態様に係る水電解デバイスでは、凹凸パターンの平均ピッチをセパレータ部材の厚みよりも小さくすることにより、ガス拡散性を確保しつつ製造の容易さを維持することができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
第4の態様に係る水電解デバイスは、電解質層の一方側面にアノード触媒層が積層され、他方面にカソード触媒層が積層された電解質膜と、厚み方向に凹凸となる溝形状の凹部と隣り合う前記凹部の間に形成される凸部が形成される凹凸パターンが一体形成され、前記凹凸パターンの前記凸部が前記アノード触媒層に接触配置され、前記アノード触媒層との間にガス拡散路を構成する導電性のセパレータ部材であって、前記凹凸パターンの平均ピッチが、前記セパレータ部材の厚みよりも小さい、導電性のセパレータ部材と、を備えている。
第5の態様に係る水電解デバイスは、電解質層の一方側面にアノード触媒層が積層され、他方面にカソード触媒層が積層された電解質膜と、厚み方向に凸で互いに離隔する凸部が形成され、隣り合う前記凸部の間に凹部が形成される凹凸パターンが一体形成され、前記凹凸パターンの前記凸部が前記アノード触媒層に接触配置され、前記アノード触媒層との間にガス拡散路を構成する導電性のセパレータ部材であって、前記凹凸パターンの平均ピッチが、前記セパレータ部材の厚みよりも小さい、導電性のセパレータ部材と、を備えている。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
第4、第5の態様に係る水電解デバイスでは、導電性のセパレータ部材の表面に凹凸パターンが一体形成されており、凹凸パターンの凸部がアノード触媒層に接触配置され、アノード触媒層との間にガス拡散路を構成する。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
第6の態様に係る水電解デバイスは、前記凹凸パターンにおける単位面積当たりの前記電解質膜との接触率は、40%以上85%以下である。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
第6の態様に係る水電解デバイスによれば、セパレータ部材とアノード触媒層との間で、良好な導通性を確保すると共に、ガス拡散性を維持することができる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
第7の態様に係る水電解デバイスは、前記凸部は、円形状である。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
第1の態様に係る水電解デバイスは、前記凹部は、溝形状である。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
第8の態様に係る水電解デバイスは、前記セパレータ部材には、前記ガス拡散路の上流側から下流側へ向かって、前記凹凸パターンよりも流路抵抗が小さい主流部、が形成されている。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
第8の態様に係る水電解デバイスでは、セパレータ部材に、凹凸パターンよりも流路抵抗が小さい主流部が形成されている。当該主流部は、ガス拡散路の上流側から下流側へ向かっているので、ガス拡散路から主流部へ水や酸素が流入することにより、水や酸素の流れを良好にすることができる。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
第9の態様に係る水電解デバイスは、前記セパレータ部材は、チタン製である。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
第9の態様に係る水電解デバイスでは、セパレータ部材をチタン製にすることにより、耐酸化性を向上させることができる。
【手続補正15】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質層の一方面にアノード触媒層が積層され、他方面にカソード触媒層が積層された電解質膜と、
開口平均幅10μm以上250μm以下の溝形状の凹部が平均ピッチ20μm以上500μm以下で配置される凹凸パターンが表面に一体形成され、前記凹凸パターンの隣り合う前記凹部の間に形成される凸部が前記アノード触媒層に接触配置され、前記アノード触媒層との間にガス拡散路を構成する導電性のセパレータ部材と、
を備えた、水電解デバイス。
【請求項2】
電解質層の一方面にアノード触媒層が積層され、他方面にカソード触媒層が積層された電解質膜と、
頂部同士の平均間隔が10μm以上250μm以下の凸部が平均ピッチ20μm以上500μm以下で配置される凹凸パターンが表面に一体形成され、前記凹凸パターンの前記凸部が前記アノード触媒層に接触配置され、前記アノード触媒層との間にガス拡散路を構成する導電性のセパレータ部材と、
を備えた、水電解デバイス。
【請求項3】
前記凹凸パターンの平均ピッチが、前記セパレータ部材の厚みよりも小さい、
請求項1または請求項2に記載の水電解デバイス。
【請求項4】
電解質層の一方側面にアノード触媒層が積層され、他方面にカソード触媒層が積層された電解質膜と、
厚み方向に凹凸となる溝形状の凹部と、隣り合う前記凹部の間に形成される凸部が形成される凹凸パターンが一体形成され、前記凹凸パターンの前記凸部が前記アノード触媒層に接触配置され、前記アノード触媒層との間にガス拡散路を構成する導電性のセパレータ部材であって、前記凹凸パターンの平均ピッチが、前記セパレータ部材の厚みよりも小さい、導電性のセパレータ部材と、
を備えた、
水電解デバイス。
【請求項5】
電解質層の一方側面にアノード触媒層が積層され、他方面にカソード触媒層が積層された電解質膜と、
厚み方向に凸で互いに離隔する凸部が形成され、隣り合う前記凸部の間に凹部が形成される凹凸パターンが一体形成され、前記凹凸パターンの前記凸部が前記アノード触媒層に接触配置され、前記アノード触媒層との間にガス拡散路を構成する導電性のセパレータ部材であって、前記凹凸パターンの平均ピッチが、前記セパレータ部材の厚みよりも小さい、導電性のセパレータ部材と、
を備えた、
水電解デバイス。
【請求項6】
前記凸部は、円形状である、
請求項2または請求項5に記載の水電解デバイス。
【請求項7】
前記凹凸パターンにおける単位面積当たりの前記電解質膜との接触率は、40%以上85%以下である、
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の水電解デバイス。
【請求項8】
前記セパレータ部材には、前記ガス拡散路の上流側から下流側へ向かって、前記凹凸パターンよりも流路抵抗が小さい主流部、が形成されている、
請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の水電解デバイス。
【請求項9】
前記セパレータ部材は、チタン製である、
請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の水電解デバイス。