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特開2023-84339継ぎフィルム及びそれを用いた充填包装機用フィルム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084339
(43)【公開日】2023-06-19
(54)【発明の名称】継ぎフィルム及びそれを用いた充填包装機用フィルム
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20230612BHJP
   B29C 65/40 20060101ALI20230612BHJP
【FI】
C09J7/38
B29C65/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021198462
(22)【出願日】2021-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】000206473
【氏名又は名称】大倉工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】筒井 淳浩
(72)【発明者】
【氏名】宮本 憲一
(72)【発明者】
【氏名】大曲 立志
(72)【発明者】
【氏名】馬場 千夏
【テーマコード(参考)】
4F211
4J004
【Fターム(参考)】
4F211AA04
4F211AA24
4F211AC03
4F211AD08
4F211AG01
4F211AG03
4F211TA01
4F211TA04
4F211TC08
4F211TD07
4F211TD11
4F211TN11
4J004AB01
4J004BA02
4J004CE03
(57)【要約】
【課題】
特殊なフィルム継ぎ装置や機械を使用することなく、先行フィルムの尾端部と後行フィルムの先端部を互いに突き合わせた継ぎ目に載置し、維持して固定できるとともに、継ぎ部分で製袋した際に、内容物の漏れが発生しないような継ぎフィルムの提案。
【解決手段】
先行フィルムの尾端部と、後行フィルムの先端部とを互いに突き合わせた継ぎ目部分に覆い被せて、加熱溶着させることにより、前記尾端部と前記先端部とを接合させるための継ぎ継ぎフィルムであって、前記継ぎフィルムは、少なくとも、第1のヒートシール層を有し、前記尾端部と、前記先端部とに、第1のヒートシール層を加熱溶着することで、接合する仕組みとなっており、前記第1のヒートシール層には、粘着剤が部分的に設けられている継ぎフィルム。
【選択図】 図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先行フィルムの尾端部と、後行フィルムの先端部とを互いに突き合わせた継ぎ目部分に覆い被せて、加熱溶着させることにより、前記尾端部と前記先端部とを接合させるための継ぎフィルムであって、
前記継ぎフィルムは、少なくとも、第1のヒートシール層を有し、
前記第1のヒートシール層には、粘着剤が部分的に設けられていることを特徴とする継ぎフィルム。
【請求項2】
前記第1のヒートシール層の表面に前記粘着剤がドット模様に設けられていることを特徴とする請求項1記載の継ぎフィルム。
【請求項3】
前記第1のヒートシール層の幅方向の端部に沿って、前記第1のヒートシール層の表面に断続的に粘着剤が設けられていることを特徴とする請求項1記載の継ぎフィルム。
【請求項4】
前記第1のヒートシール層の表面の中心の点を通り、長さ方向に延びる直線に対して線対称となるように粘着剤が設けられており、下記(1)を備え、かつ(2)または(3)の条件を満たすことを特徴とする請求項1記載の継ぎフィルム。
(1)前記第1のヒートシール層の長さ方向の端部からもう一方の端部に向かって0~5%及び95~100%の範囲の領域は、粘着剤が設けられていない。
(2)前記第1のヒートシール層の幅方向の端部からもう一方の端部に向かって0~5%の範囲の領域は、粘着剤が設けられていない。
(3)前記直線から前記第1のヒートシール層の幅方向の端部に向かって0~5%の範囲の領域は、粘着剤が設けられていない。
【請求項5】
前記第1のヒートシール層の表面の中心の点を通り、長さ方向に延びる直線上に、断続的に粘着剤が設けられていることを特徴とする請求項1記載の継ぎフィルム。
【請求項6】
前記第1のヒートシール層の表面の中心の点に対して、点対称となるように粘着剤が設けられており、下記(1’)を備え、かつ(2’)または(3’)の条件を満たすことを特徴とする請求項1記載の継ぎフィルム。
(1’)前記第1のヒートシール層の長さ方向の端部からもう一方の端部に向かって0~5%及び95~100%の範囲の領域は、粘着剤が設けられていない。
(2’)前記第1のヒートシール層の幅方向の端部からもう一方の端部に向かって0~5%の範囲の領域は、粘着剤が設けられていない。
(3’)前記第1のヒートシール層の表面の中心の点を通り、長さ方向に延びる直線から前記第1のヒートシール層の幅方向の端部に向かって0~5%の範囲の領域は、粘着剤が設けられていない。
【請求項7】
前記粘着剤が前記第1のヒートシール層の表面の面積のうち、5~50%設けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の継ぎフィルム。
【請求項8】
前記粘着剤の厚みは、1~100μmであることを特徴とする請求項1乃至7いずれか一項に記載の継ぎフィルム。
【請求項9】
前記継ぎフィルムは、前記第1のヒートシール層と基材層とを備えていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の継ぎフィルム。
【請求項10】
前記継ぎフィルムは、前記第1のヒートシール層、前記基材層、第2のヒートシール層を順に備え、前記第1のヒートシール層にのみ粘着剤が設けられていることを特徴とする請求項9記載の継ぎフィルム。
【請求項11】
前記基材層が、ポリエチレンテレフタレートを主成分として含むことを特徴とする請求項9または10記載の継ぎフィルム。
【請求項12】
前記先行フィルムと前記後行フィルムとが請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載の継ぎフィルムで接合されたことを特徴とする充填包装機用フィルム。
【請求項13】
液体物充填用であることを特徴とする請求項12記載の充填包装機用フィルム。
【請求項14】
粒粉状物充填用であることを特徴とする請求項12記載の充填包装機用フィルム。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、先行フィルムの尾端部と、後行フィルムの先端部を相互に接合するための継ぎフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
液状物、粉粒状物等を自動充填包装機によって、連続的もしくは間欠的に充填包装するために使用される充填包装機用フィルムの多くは、印刷工程、ラミネート工程、スリッター工程等を経て、1000m、2000m等の所定の長さに調整され、巻回された状態(原反ロール)で自動充填包装機に供給されることになる。
【0003】
しかしながら、充填包装機用フィルムを製造する過程で、印刷不良やラミネート不良等があった場合には、その部分を切断除去することがあり、顧客から指定された所定の長さよりもフィルムが短くなってしまうことがある。
所定の長さのフィルムを顧客に提供するために、一般的には、セロハンテープ等の粘着テープで、他のフィルムと接合し不足分を補うことになる。
【0004】
粘着テープを用いてのフィルムの接合方法は、まず、所定の長さに達していないフィルム(以下、先行フィルム)の尾端部と、不足分を補うフィルム(後行フィルム)の先端部とを互いに突き合せる。次に、突き合わせた先行、後行フィルムの継ぎ目に沿って粘着テープを覆い被せるようにして貼着することで、接合が可能になる。
【0005】
しかし、粘着テープにより接合した充填包装機用フィルムを用いると液状物、粉粒状物等を充填して包装袋を作る際に、内容物が漏れてしまうという問題があった。これは、先行、後行フィルムを幅方向で二つ折にして、それを縦方向及び横方向にヒートシールして製袋する工程(以下、製袋工程)において、粘着テープによる接合箇所では、十分なヒートシールが行われないためである。よって、接合箇所を製袋するときには、機械を停止する必要があり、作業者の負担となる。また、フィルムロス、内容物ロス、時間ロス等が発生していた。
【0006】
上記課題を解決するために、特許文献1では、基材層、着色中間層、ヒートシール層を具える両面シール性ラミネートフィルムからなる継ぎテープを、先行フィルムの尾端部と後行フィルムの先端部との継ぎ目に載置し、押さえ板とインパルスシーラーによって加熱溶着する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009-154427
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の方法では、先行フィルムの尾端部と後行フィルムの先端部との継ぎ目に沿って、細長い両面シール性ラミネートフィルムからなる継ぎテープを先行フィルムの尾端部と後行フィルムの先端部との継ぎ目を合わせた状態で載置し、維持することが難しく、また、押さえ板とインパルスシーラーによって加熱溶着する工程においても継ぎテープが所定場所からずれる可能性があった。このように、万が一継ぎテープが継ぎ目からずれて接合されてしまうと、充填後に内容物が漏れてしまい、作業現場や機械が汚れてしまう可能性があった。
【0009】
そこで、本発明は、特殊なフィルム継ぎ装置や機械を使用することなく、先行フィルムの尾端部と後行フィルムの先端部を互いに突き合わせた継ぎ目に載置し、維持して固定することが容易で、継ぎ部分で製袋した際に、内容物の漏れが発生しないような継ぎフィルムを提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
先行フィルムの尾端部と後行フィルムの先端部を互いに突き合わせた継ぎ目に継ぎフィルムを、製袋工程で製袋した袋の外側に位置するように載置し、継ぎ目を覆った場合は、内容物が袋から漏れ出してしまい、継ぎ目を確実に封止することが出来ない。よって、継ぎフィルムを製袋工程で製袋した袋の内側に位置するように載置し、継ぎ目を確実に覆った状態を維持するために、発明者は、まず、継ぎフィルムのヒートシール層の表面(先行、後行フィルムに接する面)の全面に粘着剤を設けて、先行フィルム、後行フィルムに載置した状態で維持して、固定できるようにした。しかしながら、粘着剤が全面に設けられた継ぎフィルムを、先行、後行フィルムに載置し、ヒートシールする際にヒートシール層が粘着剤に阻害され、継ぎ目周辺に加熱溶着することが出来ず、継ぎ目から内容物が漏れてしまった。
【0011】
そこで、継ぎフィルムのヒートシール層の表面(先行、後行フィルムに接する面)に部分的に粘着剤を設けることで、粘着剤部分で、先行フィルム、後行フィルムに載置した状態で維持して固定できるようにするとともに、粘着剤が設けられていないヒートシール層が露出している箇所で、ヒートシール層を加熱溶着し、継ぎフィルムを設けた箇所から内容物が漏れないようにする発明に至った。
すなわち、本発明によると上記課題を解決する為の手段として、
(ア)先行フィルムの尾端部と、後行フィルムの先端部とを互いに突き合わせた継ぎ目部分に覆い被せて、加熱溶着させることにより、前記尾端部と前記先端部とを接合させるための継ぎフィルムであって、前記継ぎフィルムは、少なくとも、第1のヒートシール層を有し、前記第1のヒートシール層は、粘着剤が部分的に設けられていることを特徴とする継ぎフィルムが提供され、
(イ)前記第1のヒートシール層の表面に前記粘着剤がドット模様に設けられていることを特徴とする(ア)の継ぎフィルムが提供され、
(ウ)前記第1のヒートシール層の幅方向の端部に沿って、前記第1のヒートシール層の表面に断続的に粘着剤が設けられていることを特徴とする(ア)の継ぎフィルムが提供される。
【0012】
(エ)前記第1のヒートシール層の表面の中心の点を通り、長さ方向に延びる直線に対して線対称となるように粘着剤が設けられており、下記(1)を備え、かつ(2)または(3)の条件を満たすことを特徴とする(ア)の継ぎフィルムが提供され、
(1)前記第1のヒートシール層の長さ方向の端部からもう一方の端部に向かって0~5%及び95~100%の範囲の領域は、粘着剤が設けられていない。
(2)前記第1のヒートシール層の幅方向の端部からもう一方の端部に向かって0~5%の範囲の領域は、粘着剤が設けられていない。
(3)前記直線から前記第1のヒートシール層の幅方向の端部に向かって0~5%の範囲の領域は、粘着剤が設けられていない。
(オ)前記第1のヒートシール層の表面の中心の点を通り、長さ方向に延びる直線上に、断続的に粘着剤が設けられていることを特徴とする(ア)の継ぎフィルムが提供され、
(カ)前記第1のヒートシール層の表面の中心の点に対して、点対称となるように粘着剤が設けられており、下記(1’)を備え、かつ(2’)または(3’)の条件を満たすことを特徴とする(ア)の継ぎフィルムが提供され、
(1’)前記第1のヒートシール層の長さ方向の端部からもう一方の端部に向かって0~5%及び95~100%の範囲の領域は、粘着剤が設けられていない。
(2’)前記第1のヒートシール層の幅方向の端部からもう一方の端部に向かって0~5%の範囲の領域は、粘着剤が設けられていない。
(3’)前記第1のヒートシール層の表面の中心の点を通り、長さ方向に延びる直線から前記第1のヒートシール層の幅方向の端部に向かって0~5%の範囲の領域は、粘着剤が設けられていない。
(キ)前記粘着剤が前記第1のヒートシール層の表面の面積のうち、5~50%設けられていることを特徴とする(ア)乃至(カ)のいずれかに記載の継ぎフィルムが提供され、
(ク)前記粘着剤の厚みは、1~100μmであることを特徴とする(ア)乃至(キ)いずれかに記載の継ぎフィルムが提供され、
(ケ)前記継ぎフィルムは、前記第1のヒートシール層と基材層とを備えていることを特徴とする(ア)乃至(ク)のいずれかに記載の継ぎフィルムが提供され、
(コ)前記継ぎフィルムは、前記第1のヒートシール層、前記基材層、第2のヒートシール層を順に備え、前記第1のヒートシール層にのみ粘着剤が設けられていることを特徴とする(ケ)記載の継ぎフィルムが提供され、
(サ)前記基材層が、ポリエチレンテレフタレートを主成分として含むことを特徴とする(ケ)または(コ)記載の継ぎフィルムが記載され、
(シ)前記先行フィルムと前記後行フィルムとが(ア)乃至(サ)のいずれかに記載の継ぎフィルムで接合されたことを特徴とする充填包装機用フィルムが提供され、
(ス)液体物充填用であることを特徴とする(シ)記載の充填包装機用フィルムが提供され、
(セ)粒粉状物充填用であることを特徴とする(シ)記載の充填包装機用フィルムが提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の継ぎフィルムを使用すると、粘着剤を部分的に備えるヒートシール層(以下、第1のヒートシール層と略記する)に設けられた粘着剤によって、先行フィルムの尾端部と後行フィルムの先端部との継ぎ目に沿わせ載置した状態で固定することができる。また、粘着剤が設けられていないヒートシール層が露出している箇所で、先行フィルムと後行フィルムとに、ヒートシールされることで、これらを確実に溶着し、接合できると共に、製袋工程での縦シール、横シールが確実にできる。これにより、特殊なフィルム継ぎ装置や機械を使用することがなくても継ぎテープを継ぎ目に沿って確実に接合できると共に、継ぎ部分のあるフィルムで充填包装したときでも、内容物の漏れを確実に防ぎ、作業現場や機械を汚すことなく、充填作業ができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】(a)は、本発明に係る先行フィルム、後行フィルムに継ぎフィルムを加熱溶着した時の一実施形態を示す概略平面図である。(b)は、同実施形態の断面図であり、(c)は、(b)の接合部分を拡大した拡大図である。
図2】本発明に係る充填包装機用フィルムが、製袋工程を経て製袋された状態を示す概略平面図である。
図3】(a)は、本発明に係る継ぎフィルムの一実施形態を示す概略平面図であり、(b)は(a)の斜視図、(c)は(a)の断面図である。
図4】(a)及び(b)は、図3に示す継ぎフィルムの変形例を示す概略平面図である。
図5】(a)及び(b)は、本発明に係る継ぎフィルムの別の実施形態を示す概略平面図である。
図6】(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)は、本発明に係る継ぎフィルムの別の実施形態を示す概略平面図である。
図7】(a)、(b)及び(c)は、本発明に係る継ぎフィルムの別の実施形態を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明を詳細に説明する。尚、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の効果を奏する範囲において、様々な形態をとることができる。
【0016】
図1は、本発明の先行フィルム3、後行フィルム4を継ぎフィルム6で接合した構造の一実施形態を示すものである。図1(a)は、先行フィルム3、後行フィルム4に継ぎフィルム6を加熱溶着した時の平面図である。図1(b)は、先行フィルム3、後行フィルム4に継ぎフィルム6を加熱溶着した時の接合構造を示す断面図であり、図1(c)は、図1(b)の接合部分を拡大した図である。
尚、本願明細書中の「載置」は、先行フィルム3と後行フィルム4との継ぎ目5に継ぎフィルム6を覆い被せている状態を示し、ヒートシールする前の状態を指す。
製袋した袋の最も内側に継ぎフィルム6を配置することで、継ぎ目5を袋の内側から確実に封止することができ、充填された内容物が袋の内側から漏れ出すことを防ぐという効果を持つ。
【0017】
図1に示すように、先行フィルム3の尾端部と後行フィルム4の先端部とを突き合わせた継ぎ目5に継ぎフィルム6を覆い被せるように載置し、継ぎフィルム6の第1のヒートシール層1を加熱溶着することで、先行フィルム3と後行フィルム4を接合することができる。また、図1に示す継ぎフィルム6は、基材層14を挟んで、外層にある粘着剤7を設けていないヒートシール層を第2のヒートシール層2を備える。
継ぎフィルム6にて、先行フィルム3と後行フィルム4を溶着するときの加熱溶着手段は特に限定されるものではなく、専用のヒートシール装置やインパルスシーラー装置であっても良いし、ハンディーインパルスシーラーであっても良い。
【0018】
図1に示すように、充填包装機用フィルム11は、製袋工程を経て図2のような連続包装袋となる。該連続包装袋15は、液状物、粉粒状物等の内容物を入れる袋として使用でき、継ぎ部分を使用した袋を使用しても内容物が漏れないという効果を持つ。
【0019】
本発明は、図1(c)のように、継ぎフィルム6の第1のヒートシール層1に部分的に粘着剤7を設けたことに特徴がある。このように第1のヒートシール層1に部分的に粘着剤7を設けたことによって、継ぎフィルム6を継ぎ目5に沿って載置した状態で、確実に固定することができ、第1のヒートシール層1を加熱溶着させる工程においても継ぎフィルム6の位置がずれることなく、先行フィルム3と後行フィルム4とを接合させることができる。
また、第1のヒートシール層1は、粘着剤7が設けられていない箇所で第1のヒートシール層1が表面に露出している。よって、粘着剤7が第1のヒートシール層1のヒートシール性を阻害しても、粘着剤7が設けてられていない第1のヒートシール層1が表面に露出している箇所で継ぎフィルム6を先行フィルム3と後行フィルム4の表面に確実に加熱溶着させることができ、継ぎ目5部分を確実に封止することができるため、内容物の漏れを防ぐことが可能となる。よって、本発明の継ぎフィルム6は、液状物充填用フィルムや、粉粒状充填用包装フィルムなどの充填用包装フィルムとして使用することが好ましい。
【0020】
本発明の継ぎフィルム6は、長尺の巻きテープ状に成形され、使用時に繰出して必要な長さ分をカットして用いる形態、又は、大判シートの継ぎフィルム6を作成したのち該シートに必要な形状となるスリットを設け、大判シートから切り離した際に短冊状となる形態のとすることが可能であるが、これに限定されるものではなく、その他当業者が適宜適切な形をとることができる。
【0021】
継ぎフィルム6の幅は、10mm~30mmが好ましく、さらには、10mm~15mmであるとより好ましい。継ぎフィルム6の幅が10mm未満である場合は、粘着剤7を部分的に設けることが困難となること、継ぎ目5を確実に覆うことが困難であることから、好ましくない。また、継ぎフィルム6の幅が30mmを超えると、先行フィルム3、後行フィルム4との接合面積が広がるので接合強度が大きくなるが、継ぎフィルム6の使用量が増え、さらに継ぎ作業時にシワが生じるなどハンドリング性が悪くなるため好ましくない。
【0022】
継ぎフィルム6の長さは、先行フィルム3、後行フィルム4の幅にあわせて適宜調整すればよく、特に制限するものではないが、例えば、先行フィルム3、後行フィルム4と同じ幅であったり、継ぎ部分を作業者認識し易くするために先行フィルム3、後行フィルム4の幅よりも1~10mm長くすることが好ましい。
【0023】
継ぎフィルム6は、少なくとも粘着剤7を部分的に設けた第1のヒートシール層1を備えるものであり、第1のヒートシール層1のみからなる単層フィルムであっても、第1のヒートシール層1を表面層とする多層フィルムであっても良い。
第1のヒートシール層1の材料としては、加熱溶着出来るものが好ましい。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンエチルアクリレート共重合体、エチレンアクリル酸共重合体、エチレンメチルメタクリル酸共重合体、アイオノマー等を用いることが好ましい。
更に、第1のヒートシール層1は、先行フィルム3、後行フィルム4のヒートシール層と同じ樹脂であると接合強度が大きくなるため、特に好ましい。
【0024】
また、第1のヒートシール層1のほかに基材層14を設けていても良い。基材層14の材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリプロピレン、アルミ蒸着ポリエチレンテレフタレート、シリカ蒸着ポリエチレンテレフタレート、アルミナ蒸着ポリエチレンテレフタレート等を用いることが好ましい。このうち、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートは耐熱性に優れ、寸法変化も生じにくいことから特に好ましい。
【0025】
また、基材層14は、着色剤を含有していたり、図柄や文字などの印刷を行っていても良く、印刷柄については当業者が適宜適切な形をとることができる。
図柄や文字などの印刷は、基材層14の両面にされていても良いし、基材層14のどちらか片面だけに印刷されていても良いが、片面だけに印刷されていることが好ましい。
図柄や文字などの印刷は、粘着剤7がどちらの面に設けられているか作業者が判断しやすいように、表と裏が明確に分かるような左右非対称の図柄や文字を印刷することが好ましい。例えば、「A」という左右対称の文字を継ぎフィルム6に印刷した場合、表から見ても裏から見ても「A」という文字が読める。つまり、粘着剤7の設けている面がどちらにあるのか、この文字を見ることで判断することは難しいため、「A」のような左右対称の文字は好ましくない。
【0026】
また、継ぎフィルム6の色は、先行フィルム3、後行フィルム4に継ぎフィルム6を貼着した時に継ぎフィルム6が識別しやすい色であることが好ましい。また、継ぎ部分で製袋した袋を自動排出できるように、継ぎフィルム6は先行フィルム3、後行フィルム4の色と異なる色で、センサー等で検知しやすい色(例えば赤色や青色)であることが特に好ましい。
【0027】
また、継ぎフィルム6を基材層14を有する多層フィルムとする場合、該継ぎフィルム6は、基材層14の両外層に第1のヒートシール層1と第2のヒートシール層2を有することが好ましい。これは、充填包装機用フィルム11を、製袋工程において、継ぎフィルム6が袋の内側になるように半折し、内容物を充填しながら、縦方向及び横方向にヒートシールする時に、縦シール及び横シールが確実に出来るためである。
【0028】
図3は、粘着剤7を部分的に設けた継ぎフィルム6の一実施形態を示すものである。
図3(a)は、継ぎフィルム6の第1のヒートシール層1側を上にした時の平面図であり、図3(b)は、継ぎフィルム6の斜面図であり、図3(c)は、図3(a)に示す継ぎフィルム6の斜面図をX-X´で切断した断面図である。
図3で示す継ぎフィルム6(第1のヒートシール層1)の幅方向と継ぎフィルム6(第1のヒートシール層1)の長さ方向は、図4図8でも同様の方向を示す。
【0029】
図3は、第1のヒートシール層1にドット模様になるような様態で粘着剤7を設けた時の一実施形態を示している。
この時、ドット模様は、継ぎフィルム6に全体に広く散りばめられている状態で設けられている。ドット模様の円のサイズは、製袋工程でのヒートシール幅よりも小さいことが好ましく、具体的な値としては、ヒートシール幅の1~40%の値であると好ましく、ヒートシール幅の20~40%の値であることがさらに好ましい。粘着剤7のドット模様を継ぎフィルム6に全体に広く散りばめることで、継ぎフィルム6が、先行フィルム3と後行フィルム4から浮くことがなく、均一に継ぎフィルム6を先行フィルム3と後行フィルム4とに載置することができ、ヒートシール作業を一人であっても効率的に行うことができる。
また、粘着剤7をドット模様に設ける際に、円の形は、完全な真円である必要はなく、楕円などの大まかな円の形であればよい。更にいえば、円以外にも、四角形や三角形など当業者が適宜適切な形をとってよく、また、一つ一つのドット形状が均一なものに限るものではなく不均一なドット模様としていても良く、様々な模様が考えられる。
【0030】
継ぎフィルム6の第1のヒートシール層1に部分的に粘着剤7を設ける時の模様は、様々な様態をとることができ、当業者が適宜適切な形とすることができる。図4に別の実施形態の平面図を示す。
図4(a)のドット模様は、第1のヒートシール層1の長さ方向に均等間隔で配置されており、さらに継ぎフィルム6の幅方向における両端に並べて配置されている。このように配置することで、粘着剤7が設けられている領域を少なくしつつ、継ぎフィルム6を先行フィルム3、後行フィルム4に載置した状態で、固定させることができるため、ヒートシール作業が効率的にできる。更に、図4(b)に示すように、ランダムなドット模様としたものであっても良い。尚、ドット模様は、上述した模様に限るものではなく、当業者が適宜適切な形をとってよい。
【0031】
図5は、粘着剤7を部分的に設けた継ぎフィルム6の別の実施形態を示す平面図である。図5に示すように、粘着剤7は、継ぎフィルム6の幅方向の両端部に沿って、断続的に設けられており、先行フィルム3と後行フィルム4との継ぎ目5箇所(図1参照)では粘着剤7が設けられていない。よって、露出した第1のヒートシール層1が、継ぎ目5において、先行フィルム3、後行フィルム4と十分に加熱溶着するような様態で粘着剤7が設けられている。
また、本明細書中で「断続的」という言葉は粘着剤7が継ぎフィルム6の端部からもう一方の端部に向けて、非連続的に設けられている様子を示し、当業者が適宜適切な模様をとることができる。
断続的に設けられている粘着剤7は、当業者が適宜適切な模様の形をとることが出来るが、図5(a)、図5(b)に示すように断続的に設けられた粘着剤7のそれぞれの模様が同じ模様となることが好ましい。このようにすると、長尺及び大判シートの継ぎフィルム6をスリットする際、スリットして分割した2つの継ぎフィルム6の粘着剤7の形状を比べることで、スリット位置が正確かどうかを確認することができる。
また、断続的に設けられたそれぞれの模様のサイズは、製袋工程でのヒートシール幅よりも小さいことが好ましく、具体的な値としては、ヒートシール幅の5~40%の値であることが好ましく、ヒートシール幅の20~40%の値であることがより好ましい。
【0032】
図6は、粘着剤7を部分的に設けた継ぎフィルム6の更に別の実施形態を示す平面図である。図6に示すように、第1のヒートシール層1の表面の中心の点13を通り、長さ方向に延びる直線10に対して線対称になるように粘着剤7が設けられており、下記(1)を備え、かつ(2)または(3)の条件を満たすような様態で粘着剤7を設けることができる。
(1) 第1のヒートシール層1の長さ方向の端部からもう一方の端部に向かって0~5%及び95~100%の範囲の領域は、粘着剤7が設けられていない。
(2) 第1のヒートシール層1の幅方向の端部からもう一方の端部に向かって0~5%の範囲の領域は、粘着剤7が設けられていない。
(3) 第1のヒートシール層1の表面の中心の点13通り、長さ方向に延びる直線10から第1のヒートシール層1の幅方向の端部に向かって0~5%の範囲の領域は、粘着剤7が設けられていない。
なお、(1)の要件は、第1のヒートシール層1の長さ方向の端部からもう一方の端部まで到達した時を100%と定義する。また、(1)の要件に示すように、第1のヒートシール層1の長さ方向の端部から内側に向かって0~5%及び95~100%の範囲の領域は粘着剤7が設けられていないことが好ましい。(1)の要件により、図2に示す縦ヒートシール部8が重なる領域12に粘着剤7がないことで、粘着剤による阻害なくヒートシールすることができ、領域12における充填包装機用フィルム11と継ぎフィルム6のヒートシールを強固にすることができる。
粘着剤7が設けられていない領域としては、第1のヒートシール層1の長さ方向の端部から内側に向かって0~20%及び80~100%の範囲の領域が好ましく、特に0~25%及び75~100%の範囲の領域、更には0~45%及び55~100%の範囲の領域が好ましい。粘着剤7が設けられていない範囲は、これに限ることなく当業者が適宜適切な範囲をとることができる。
一方で、粘着剤7の設けられている面積が小さいと継ぎフィルム6を先行フィルム3、後行フィルム4に載置した状態で維持することが困難となる。このため、粘着剤7は、図2の縦ヒートシール部8と重複しない範囲において縦ヒートシール部8境界近くまでの広い領域に設けられていることが好ましい。
更に、(2)の要件は、継ぎフィルム6の幅方向の端部からもう一方の端部まで到達した時を100%と定義する。また、(2)の要件に示すように、継ぎフィルム6の幅方向の端部から内側に向かって0~5%の範囲の領域は、粘着剤7が設けられていないことが好ましい。(2)の要件により、継ぎフィルム6の幅方向の両端部近傍に粘着剤7がないことで、粘着剤による阻害なく強固なヒートシールすることができる。これにより、袋中に充填された液体が、継ぎフィルム6の幅方向の端部から継ぎフィルム6と充填包装機用フィルム11の隙間に浸入することを防ぐことができる。
粘着剤7が設けられていない領域としては、継ぎフィルム6の幅方向の端部から内側に向かって0~20%の範囲の領域が好ましく、特に0~30%、更には0~40%の範囲の領域が好ましい。粘着剤7が設けられていない範囲は、これに限ることなく当業者が適宜適切な範囲をとることができる。
また、(3)の要件は、第1のヒートシール層1の表面の中心の点13通り、長さ方向に延びる直線10から外側に向かって端部まで到達した時を100%と定義する。また、第1のヒートシール層1の表面の中心の点13通り、長さ方向に延びる直線10から外側に向かって0~5%の範囲の領域は、粘着剤7が設けられていないことが好ましい。(3)の要件により、先行フィルム3と後行フィルム4との継ぎ目5近傍の領域に粘着剤7がないことで、粘着剤による阻害なくヒートシールすることができ、継ぎ目5部分のヒートシールを強固にすることができる。
粘着剤7が設けられていない領域としては、第1のヒートシール層1の表面の中心の点13を通り、長さ方向に延びる直線10から外側に向かって0~20%の範囲の領域が好ましく、特に0~30%、更には0~80%の範囲の領域が好ましい。粘着剤7が設けられていない範囲は、これに限ることなく当業者が適宜適切な範囲をとることができる。
【0033】
図6(a)~(c)は、上記(1)かつ(2)を満たすように粘着剤7が設けられた図である。
図6(a)は、継ぎフィルム6の中央部分に粘着剤7が位置している(つまり、第1のヒートシール層1の長さ方向及び幅方向の端部に粘着剤7が位置しないようにしている)ため、粘着剤7が袋の中に充填された液体と接することがなく、仮に内容物を口にしても、粘着剤7が含有される可能性がなく、衛生的であるという効果を持つ。
図6(b)と(c)は、第1のヒートシール層1の表面の中心の点13を通り、長さ方向に延びる直線10上に、粘着剤7が断続的に設けられている図である。このように断続的な模様にすると、粘着剤7が設けられている領域を少なくできるため、継ぎフィルム6と先行フィルム3、後行フィルム4との接合強度が大きくなるという効果がある。尚、断続的に設けられたそれぞれの粘着剤7の模様のサイズは、製袋工程でのヒートシール幅よりも小さいことが好ましく、具体的な値としては、ヒートシール幅に対して1~40%の値であることがより好ましく、20~40%の値であることがさらに好ましい。このようにすると、縦ヒートシール部8に粘着剤7が重なってしまっても、内容物の漏れが発生しないという効果を持つ。また、継ぎフィルム6の中央部分に粘着剤7が位置している(つまり、第1のヒートシール層1の長さ方向及び幅方向の端部に粘着剤7が位置しないようにしている)ため、粘着剤7が袋の中に充填された液体と接することがなく、仮に内容物を口にしても、粘着剤7が含有される可能性がなく、衛生的であるという効果を持つ。
また、図6(d)は、上記(1)かつ(3)を満たす矩形状の粘着剤7が設けられた図である。図6(d)は、中央部に粘着剤7が設けられていないため、内容物の漏れが発生しやすい継ぎ目5をより確実にヒートシールすることができ、継ぎ目5を封止することが出来るという効果を持つ。
また、図6(e)は、上記(1)~(3)すべてを満たす矩形上の粘着剤7が設けられた図である。図6(e)は、粘着剤7が、継ぎフィルム6の中央部かつ継ぎフィルム6の幅方向の両端部に粘着剤7がないように設けられていることから、図6(a)及び(d)の両方の効果を備え持つことができ、特に好ましい。
尚、線対称に設けられた模様の形は、図6に示した模様に限るものではなく、当業者が適宜適切な形をとってよい。線対称の模様とすると、先行フィルム3、後行フィルム4から継ぎフィルム6が浮くことがなく、載置した状態で、均一に固定することができ、ヒートシール作業が効率的に出来る。
【0034】
図7は、粘着剤7を部分的に設けた継ぎフィルム6の更に別の実施形態を示す平面図である。
図7に示すように第1のヒートシール層1の表面の中心の点13に対して点対称となるように粘着剤7が設けられており、下記(1’)を備え、かつ(2’)または(3’)の条件を満たすような様態で粘着剤7を設けることができる。
(1’)第1のヒートシール層1の長さ方向の端部からもう一方の端部に向かって0~5%及び95~100%の範囲の領域は粘着剤7が設けられていない。
(2’)第1のヒートシール層1の幅方向の端部からもう一方の端部に向かって0~5%の範囲の領域は、粘着剤7が設けられていない。
(3’)第1のヒートシール層1の表面の中心の点13を通り、長さ方向に延びる直線10から前記第1のヒートシール層1の幅方向に向かって0~5%の範囲の領域は、粘着剤7が設けられていない。
また、(1’)の要件は、第1のヒートシール層1の長さ方向の端部からもう一方の端部まで到達した時を100%と定義する。また、第1のヒートシール層1の長さ方向の端部から内側に向かって0~5%及び95~100%の範囲の領域は、粘着剤7が設けられていないことが好ましい。(1’)の要件により、図2に示す縦ヒートシール部8が重なる領域12に粘着剤7がないことで、粘着剤による阻害なくヒートシールすることができ、領域12における充填包装機用フィルム11と継ぎフィルム6のヒートシールを強固にすることができる。
粘着剤7が設けられていない領域としては、第1のヒートシール層1の長さ方向の端部から内側に向かって0~20%及び80~100%の範囲の領域が好ましく、特に0~25%及び75~100%の範囲の領域、更には0~45%及び55~100%の範囲の領域が好ましい。粘着剤7が設けられていない範囲は、これに限ることなく当業者が適宜適切な範囲をとることができる。
一方で、粘着剤7の設けられている面積が小さいと継ぎフィルム6を先行フィルム3、後行フィルム4に載置した状態で維持することが困難となる。このため、粘着剤7は、図2の縦ヒートシール部8と重複しない範囲において縦ヒートシール部8境界近くまでの広い領域に設けられていることが好ましい。
更に、(2’)の要件は、継ぎフィルム6の幅方向の端部からもう一方の端部まで到達した時を100%と定義する。また、継ぎフィルム6の幅方向の端部から内側に向かって0~5%の範囲の領域は、粘着剤7が設けられていないことが好ましい。(2’)の要件により、継ぎフィルム6の幅方向の両端部近傍に粘着剤7がないことで、粘着剤による阻害なく強固なヒートシールすることができる。これにより、袋中に充填された液体が、継ぎフィルム6の幅方向の端部から継ぎフィルム6と充填包装機用フィルム11の隙間に浸入することを防ぐことができる。
粘着剤7が設けられていない領域としては、継ぎフィルム6の幅方向の端部から内側に向かって0~20%の範囲の領域が好ましく、特に0~30%、更には0~40%の範囲の領域が好ましい。粘着剤7が設けられていない範囲は、これに限ることなく当業者が適宜適切な範囲をとることができる。
また、(3’)の要件は、第1のヒートシール層1の表面の中心の点13通り、長さ方向に延びる直線10から外側に向かって端部まで到達した時を100%と定義する。また、第1のヒートシール層1の表面の中心の点13通り、長さ方向に延びる直線10から外側に向かって0~5%の範囲の領域は、粘着剤7が設けられていないことが好ましい。(3’)の要件により、先行フィルム3と後行フィルム4との継ぎ目5近傍の領域に粘着剤7がないことで、粘着剤による阻害なくヒートシールすることができ、継ぎ目5部分のヒートシールを強固にすることができる。
粘着剤7が設けられていない領域としては、第1のヒートシール層1の表面の中心の点13を通り、長さ方向に延びる直線10から外側に向かって0~20%の範囲の領域が好ましく、特に0~30%、更には0~80%の範囲の領域が好ましい。粘着剤7が設けられていない範囲は、これに限ることなく当業者が適宜適切な範囲をとることができる。
【0035】
また、図7(a)は、上記(1’)かつ(2’)の両方を満たす矩形状の粘着剤7が設けられた図である。図7(a)は、継ぎフィルム6の中央部分付近に粘着剤7が位置しているため、粘着剤7が袋の中に充填された液体と接することがなく、仮に内容物を口にしても、粘着剤7が含まれている可能性がなく、衛生的であるという効果を持つ。
また、図7(b)は、上記(1’)かつ(3’)を満たす矩形状の粘着剤7が設けられた図である。中央部に粘着剤7が設けられていない図7(b)は、内容物の漏れが発生しやすい継ぎ目5をより確実にヒートシールすることができ、継ぎ目5を封止することが出来るという効果を持つ。
また、図7(c)は、上記(1’)~(3’)すべてを満たす矩形上の粘着剤7が設けられた図である。図7(c)は、粘着剤7が、継ぎフィルム6の中央部かつ継ぎフィルム6の幅方向の両端部に粘着剤7がないように設けられているため、図7(a)及び(b)の両方の効果を備え持つことができ、特に好ましい。
点対称の模様とすることで、継ぎフィルム6を先行フィルム3、後行フィルム4から浮くことがなく、載置した状態で、均一に固定することができるため、ヒートシール作業が効率的に出来る。
尚、点対称に設けられた模様の形は、図7(a)乃至(c)に示した模様に限るものではなく、当業者が適宜適切な形をとってよい。
【0036】
上記のように粘着剤7を部分的に設けることで先行フィルム3、後行フィルム4に載置でき、粘着剤7が設けられていない第1のヒートシール層1が表面に露出している箇所で加熱溶着できるため、充填包装機用フィルム11を製袋した袋に充填した内容物が漏れ出ないという効果を持つ。
【0037】
粘着剤7の設けられている面積は、第1のヒートシール層1の表面の面積のうち、5~50%設けられていると好ましく、第1のヒートシール層1の表面の面積のうち、20~40%設けられているとさらに好ましい。
粘着剤7の設けられている面積が5%以下であると、粘着剤7が少量のため、フィルム継ぎ作業を行う際に固定がしっかりされず、作業効率性の改善が見込めないので、好ましくない。
また、粘着剤7の設けられている面積が50%を超えると、粘着剤7が多量になり、第1のヒートシール層1のヒートシール性を阻害して、内容物の漏れが起こりやすくなるので、好ましくない。
【0038】
粘着剤7の厚みは、好ましくは、1μm~100μmで、5μm~50μmであると、より好ましく、10μm~30μmであるとさらに好ましい。
粘着剤7の厚みが、1μm未満であると、粘着剤7が少量のため、フィルム継ぎ作業を行う際に固定がしっかりされず、作業効率性の改善が見込めないので好ましくない。
また、粘着剤7の厚みが、100μm以上になるとヒートシールを行った際に、粘着剤7を設けた時点の模様の様態よりも粘着剤7が広がってしまい、ヒートシール層のヒートシール性を阻害し、内容物の漏れが発生しやすくなるため、好ましくない。
【0039】
継ぎフィルム6の厚みは、好ましくは、5~100μmであることで、10~95μmであるとより好ましく、15~90μmであるとさらに好ましい。
継ぎフィルム6の厚みが、5μm未満であると、第1のヒートシール層1が薄すぎて、十分な量のヒートシール層が加熱溶着できず、製袋後に内容物を充填したときに、漏れが発生しやすくなるため、好ましくない。
また、継ぎフィルム6の厚みが、100μm以上になると、充填包装機用フィルム11を製袋したときに、継ぎフィルム6の部分の厚みが大きくなり、第1のヒートシール層1を十分に加熱溶着させることができず、内容物の漏れが発生しやすくなるため、好ましくない。
【実施例0040】
以下、先行フィルムの尾端部、後行フィルムの先端部を相互に接合するための継ぎフィルムについて、実施例に基づき説明する。なお、各実施例において行った評価方法は以下の通りである。
【0041】
(1) シール作業性
継ぎフィルムを、先行フィルムの尾端部と後行フィルムの先端部とを互いに突き合わせた継ぎ目部分に覆い被せ、ハンディシーラーを用いて一人で継ぎ作業を行った。継ぎ目に沿って真っ直ぐ継ぎフィルムを加熱溶着することが出来たら〇、継ぎ目からずれて斜めに加熱溶着してしまった場合を×として評価した。
(2)耐圧試験
継ぎフィルムが設けられた先行、後行フィルムを用いて製袋した袋に液体を50mL充填し、30kgの重りを1分間載せた直後及び数日後に袋からの液漏れの有無を評価した。同様の試験を4回行い、4回すべてで漏れが発生しなった場合を〇、1回以上漏れが発生した場合を△とし、4回すべてで漏れが発生した場合を×と評価した。なお、数日後の耐圧試験の結果は、耐圧試験直後に漏れが発生しなかったものの中で数日後の漏れの有無について評価した。
(3)接合強度試験
先行フィルム、後行フィルムを想定した2枚のフィルムを幅15mmの継ぎフィルムで接合した時の接合強度を、チャック間距離40mm、速度300mm/minの測定条件で引張試験を行うことによって測定した。なお、下記基準にて接合強度を評価した。
◎:接合強度が50.0N/15mm以上
〇:接合強度が40.0N/15mm以上、50.0N/15mm未満
×:接合強度が40.0N/15mm未満
接合強度が50.0N/15mm以上の強度であると、継ぎフィルムにて接合したフィルムを充填包装機にセットし、強めのテンションで使用しても千切れることなく使用できる。
【0042】
実施例1-3と比較例1で使用した継ぎフィルムの層構成は、PE(8μm)/印刷-PET(12μm)/PE(8μm)であり、二軸延伸PETフィルムの両側のPE層をそれぞれ押し出しラミネート機でラミネートをすることによって、継ぎフィルムを作成した。
次に、継ぎフィルムを先行、後行フィルムに載置して、ハンディシーラーを用いてヒートシールを行った。その後、製袋工程を経て製作された袋に水50mLを充填した。
また、比較例2では、一般的な継ぎテープとして使用される粘着剤が全面に設けられているセロテープ(登録商標)[ニチバンNo.430]を使用した。セロハンからなる基材に粘着剤を全面に設けた構成となっており、粘着剤を含む厚さは51μmであった。
比較例2の時のみ、ヒートシール作業はせずにセロテープを先行、後行フィルムに載置し、接合した後、製袋工程を経て製作された袋に水50mLを充填した。
【0043】
継ぎフィルムの第1のヒートシール層には、下記の処理をした。
実施例1:図3(a)の様態で粘着剤を設けた。
実施例2:図4(a)の様態で粘着剤を設けた。
実施例3:図5(b)の様態で粘着剤を設けた。
比較例1:粘着剤を設けなかった。
比較例2:粘着剤を全面に設けた。
【0044】
【表1】
【0045】
表1に示すようにシール作業性については、粘着剤を設けている場合(実施例1-3、比較例2)では、一人で継ぎ作業を行うことが出来た。一方で、粘着剤の設けていない場合(比較例1)では、一人で継ぎ作業を行うことが出来なかった。
耐圧試験については、第1のヒートシール層の表面に粘着剤をドット模様に設けた場合(実施例1、実施例2)では、4回の試験すべてで耐圧直後、数日後ともに漏れが発生しなかった。また、第1のヒートシール層の幅方向の端部に沿って、第1のヒートシール層の表面に断続的に粘着剤を設けた場合(実施例3)では、耐圧直後に4回中1回漏れが発生したが、耐圧直後に漏れの発生しなかった残り3回のものは、数日経過しても漏れは発生しなかった。粘着剤を設けていない場合(比較例1)では、4回の試験すべてで耐圧直後、数日後ともに漏れが発生しなかった。
また、粘着剤を全面に設けた場合(比較例2)では、4回の試験すべてで耐圧直後に漏れが発生した。
接合強度試験については、粘着剤を部分的(ドット模様)に設けた場合(実施例1、2)と粘着剤を設けていない場合(比較例1)は、50.0N/15mm以上の強度であり、粘着剤をドット模様に設けた場合では、粘着剤を設けていない場合と比較しても十分な接合強度であることが分かった。
【符号の説明】
【0046】
1:第1のヒートシール層
2:第2のヒートシール層
3:先行フィルム
4:後行フィルム
5:継ぎ目
6:継ぎフィルム
7:粘着剤
8:縦ヒートシール部
9:横ヒートシール部
10:継ぎフィルム6(第1のヒートシール層1)の表面の中心の点を通り長さ方向に延びる直線
11:充填包装機用フィルム
12:充填包装機用フィルム11と継ぎフィルム6との縦ヒートシール部8が重なる領域
13:第1のヒートシール層1の表面の中心の点
14:基材層
15:連続包装袋

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7