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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084364
(43)【公開日】2023-06-19
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E05D 13/00 20060101AFI20230612BHJP
   E06B 1/36 20060101ALI20230612BHJP
   E06B 3/06 20060101ALI20230612BHJP
   E06B 3/42 20060101ALN20230612BHJP
【FI】
E05D13/00 A
E06B1/36 Z
E06B3/06
E06B3/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021198508
(22)【出願日】2021-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】杉本 みく
【テーマコード(参考)】
2E011
2E014
2E032
【Fターム(参考)】
2E011DA01
2E014AA03
2E014BA01
2E014BA08
2E014BB00
2E014BC00
2E014BC08
2E014FA01
2E014FA03
2E032FB02
2E032FC02
2E032FD05
2E032FD06
(57)【要約】
【課題】障子が上方へ移動する場合だけでなく、下方へ移動したり、障子の上桟の位置が下がったりした場合でも、障子と上枠との係合状態を維持できるようにすることによって、枠体からの障子の外れを阻止する建具を提供すること。
【解決手段】上枠、下枠及び左右の縦枠を有するとともに上枠及び下枠にそれぞれ溝部を有する枠体と、上桟、下桟及び左右の縦框を有する框体の内側に面材を有し、上端部及び下端部が溝部にそれぞれ挿入されることによって上枠及び下枠に保持される障子と、框体に設けられ、枠体から外れることを阻止する外れ止め部材と、を有し、外れ止め部材は、障子の室外側に配置されて枠体に係止可能に設けられる係止片と、係止片を係止位置及び係止解除位置に回転移動させる操作部材と、を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上枠、下枠及び左右の縦枠を有するとともに前記上枠及び前記下枠にそれぞれ溝部を有する枠体と、
上桟、下桟及び左右の縦框を有する框体の内側に面材を有し、上端部及び下端部が前記溝部にそれぞれ挿入されることによって前記上枠及び前記下枠に保持される障子と、
前記框体に設けられ、前記枠体から外れることを阻止する外れ止め部材と、を有し、
前記外れ止め部材は、前記障子の室外側に配置されて前記枠体に係止可能に設けられる係止片と、前記係止片を係止位置及び係止解除位置に回転移動させる操作部材と、を有する、建具。
【請求項2】
前記操作部材の室外側の端部は、前記係止片に接続され、
前記操作部材の室内側の端部は、前記障子を貫通して前記障子の室内側から回転操作可能に配置される、請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記操作部材は、軸周りの位置を保持可能なすべり軸受によって前記框体に回転可能に支持される、請求項1又は2に記載の建具。
【請求項4】
前記操作部材の室内側の端部は、前記係止片が係止位置及び係止解除位置のいずれに配置されているかを確認可能な目印を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の建具。
【請求項5】
前記係止片は、前記縦枠に係止可能に設けられる、請求項1~3のいずれか1項に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上枠及び下枠に設けたレール溝に、障子の上部及び下部をケンドン式に収納して支持し、左右の縦枠では障子を支持しない建具が知られている(例えば、特許文献1参照)。この建具では、障子が地震の縦揺れによって上方に浮き上がることによって、障子が下枠から外れることを阻止するために、障子の下桟のハンドルの固定部に、下枠のレール溝内に向けて突出する外れ止め部材が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-184709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者は、地震による縦揺れによって障子が下枠から外れる場合以外に、枠体から障子が外れる原因についてさらに検討した。その結果、枠体の施工不良等によって下枠が撓んだ場合等に、障子が下方へ移動して障子と上枠との係合が解除され、障子が枠体から外れるおそれがあることが判明した。
【0005】
さらに、一般に、室外側から建具に照射される直射日光は、建具の下部周辺に多く差し込むため、障子の下桟が見付け方向に収縮する熱変形が起きる場合がある。また、直射日光の熱により下桟が軟化すると、障子に納められるガラス等の面材の重みによって下桟が撓み、障子が変形して、障子の縦寸法が小さくなる場合がある。障子の縦寸法が小さくなると、障子の上桟の位置が下がることによって、障子と枠体との係合状態が変化し、障子にガタツキが発生したり、障子が枠体から外れたりするおそれがある。
【0006】
よって、発明者は、障子が上方へ移動する場合だけでなく、下方へ移動したり、障子の上桟の位置が下がったりした場合でも、障子と上枠との係合状態を維持できるようにすることによって、枠体からの障子の外れを阻止する、という課題を見出した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の建具は、上枠、下枠及び左右の縦枠を有するとともに前記上枠及び前記下枠にそれぞれ溝部を有する枠体と、上桟、下桟及び左右の縦框を有する框体の内側に面材を有し、上端部及び下端部が前記溝部にそれぞれ挿入されることによって前記上枠及び前記下枠に保持される障子と、前記框体に設けられ、前記障子が前記枠体から外れることを阻止する外れ止め部材と、を有し、前記外れ止め部材は、前記障子の室外側に配置されて前記枠体に係止可能に設けられる係止片と、前記係止片を係止位置及び係止解除位置に回転移動させる操作部材と、を有する、建具である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】建具を室内側から見た正面図である。
図2図1中のA-A線に沿う縦断面図である。
図3図1中のB-B線に沿う横断面図である。
図4図3中のC部の拡大図である。
図5】外れ止め部材が動作する様子を障子の室外側から見た斜視図である。
図6】障子を建具の枠体に取り付ける様子を示す縦断面図である。
図7】係止片が係止位置にあるときの操作部材を障子の室内側から見た図である。
図8】係止片が係止解除位置にあるときの操作部材を障子の室内側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の建具の各実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。実施形態における建具は、FIX窓1を示している。FIX窓1は、いわゆる嵌め殺し窓であり、建物躯体の矩形の開口部100の内周に沿って設けられる額縁101の内側に取り付けられている。FIX窓1は、掃除等のために障子3が取り外される場合以外では、開口部100を開閉しない。
【0010】
図1は、FIX窓1を室内側から見た正面図である。以下に示す図中において、X1方向はFIX窓1の室外側を示し、X2方向はFIX窓1の室内側を示す。FIX窓1の室外側の額縁101の内側には、FIX窓、引違い窓等の他の窓(図示せず)がさらに取り付けられてもよい。これによって、額縁101の内側に二重窓が構築され、断熱性及び遮音性がさらに向上する。本実施形態のFIX窓1は、既存の窓(図示せず)の室内側に後付けすることができる。
【0011】
FIX窓1は、額縁101の内側に設けられる枠体2と、枠体2の内側に納められる障子3と、外れ止め部材4と、を有する。枠体2は、上枠21と、下枠22と、左右の縦枠23,23と、を矩形に枠組みすることによって構成される。障子3は、枠体2の内側に取り外し可能に嵌め込まれている。外れ止め部材4は、障子3が枠体2から外れることを阻止するための部材である。
【0012】
枠体2の上枠21は、樹脂材によって一体に押出し成形されている。上枠21は、室外側に配置される断面矩形の中空構造を有する第1ホロー部211と、室内側に配置される断面矩形の中空構造を有する第2ホロー部212と、第1ホロー部211及び第2ホロー部212の上端部同士を連結する平板状の基板部213と、を有する。第1ホロー部211、第2ホロー部212及び基板部213は、上枠21の延び方向の全長に亘って延びている。第1ホロー部211及び第2ホロー部212は、基板部213から下方に向けて同一の高さで突出している。
【0013】
第1ホロー部211と第2ホロー部212とは、室内外方向に離隔して平行に配置される。これによって、第1ホロー部211と第2ホロー部212と基板部213との間には、上枠21の延び方向の全長に亘る溝部214が形成される。溝部214は、下方に向けて開放し、障子3の上端部を収容する。基板部213は、溝部214の内底面を構成する。
【0014】
第1ホロー部211の下端部には、室内側に向けて突出し、障子3の室外側の面に弾性的に接触する封止部215が設けられる。第2ホロー部212の下端部には、室外側に向けて突出し、障子3の室内側の面に弾性的に接触するヒレ部216が設けられる。上枠21は、基板部213を貫通する図示しないねじによって、額縁101の上部内面に固定される。
【0015】
枠体2の下枠22は、樹脂材によって一体に押出し成形されている。下枠22は、室外側に配置される断面矩形の中空構造を有する第1ホロー部221と、室内側に配置される断面矩形の中空構造を有する第2ホロー部222と、第1ホロー部221及び第2ホロー部222の下端部同士を連結する平板状の基板部223と、を有する。第1ホロー部221、第2ホロー部222及び基板部223は、下枠22の延び方向の全長に亘って延びている。本実施形態の第1ホロー部221及び第2ホロー部222は、基板部223から上方に向けて同一の高さで突出しているが、必ずしも同一の高さで突出していなくてもよい。
【0016】
第1ホロー部221と第2ホロー部222とは、室内外方向に離隔して平行に配置される。これによって、第1ホロー部221と第2ホロー部222と基板部223との間には、上枠21と同様に、下枠22の延び方向の全長に亘る溝部224が形成される。溝部224は、上方に向けて開放し、障子3の下端部を収容する。基板部223は、溝部224の内底面を構成する。
【0017】
第1ホロー部221の上端部には、室内側に向けて突出し、障子3の室外側の面に弾性的に接触する封止部225が一体に設けられる。第2ホロー部222の上端部には、室外側に向けて突出し、障子3の室内側の面に弾性的に接触するヒレ部226が一体に設けられる。下枠22は、基板部223を貫通する図示しないねじによって、額縁101の下部内面に固定される。
【0018】
図2に示すように、下枠22の溝部224の内部には、障子3の下端部を支持する複数の樹脂製のライナー227が所定間隔で設けられている。ライナー227は、ブロック状に形成され、下枠22の第1ホロー部221及び第2ホロー部222の高さよりも少し低い高さを有している。そのため、下枠22の溝部224に収容される障子3の下端面は、ライナー227の上面に載置されることによって、下枠22の第1ホロー部221及び第2ホロー部222の上端面よりも若干低い位置に配置される。
【0019】
枠体2の縦枠23,23は、それぞれ樹脂材によって略L字状に一体に押出し成形されている。縦枠23,23は、上枠21と下枠22との間に亘って上下に延びている。縦枠23,23は、額縁101の縦方向に沿って所定幅で延びる基板部231,231と、基板部231,231の室外端部から額縁101の内側に向けて略直角に延びる室外壁部232,232と、室外壁部232,232の内端部から室内側に向けて略直角に延びる当接片部233,233と、当接片部233,233の室内端部から基板部231,231に向けて外側に延びる係止壁部234,234と、を有する。
【0020】
当接片部233,233は、障子3の室外側の面に接触するように、基板部231,241に比べて幅狭に形成される。係止壁部234,234は、室外壁部232,232と略平行に延びている。係止壁部234,234は、基板部231,231との間に所定の間隔をおいて配置される。室外壁部232,232と係止壁部234,234との間には、後述の外れ止め部材4の係止片41を収容可能な係止溝235が形成される。
【0021】
当接片部233,233の先端には、それぞれ障子3の室外側の面に弾性的に接触する封止部236,236が一体に設けられる。縦枠23,23は、基板部231,231を貫通する図示しないねじによって、額縁101の左右の側部内面にそれぞれ固定される。
【0022】
障子3は、上桟31と、下桟32と、左右の縦框33,33と、を矩形に框組みした框体30の内側に、グレイジングチェンネル341を介してガラス等の面材34を納めることによって構成される。面材は、2枚のガラスからなる複層ガラスであってもよい。複層ガラスの場合は、框体に設けられる軟質塩ビからなる保持部材によって保持される。
【0023】
上桟31及び下桟32は、図2に示すように、金属製芯材311,321と、その室外側及び室内側を覆う樹脂製カバー材312,322と、樹脂製カバー材312,322の上端面及び下端面に装着される樹脂製の上端カバー材313及び下端カバー材323と、によってそれぞれ構成される。縦框33,33は、図3及び図5に示すように、金属製芯材331,331と、その外側を覆う樹脂製カバー材332,332と、縦框33,33の上下両端面をそれぞれ覆う端部カバー材333(図7及び図8参照)と、によってそれぞれ構成される。
【0024】
図1に示すように、障子3は、左右の縦框33,33の間に上桟31及び下桟32が配置される縦勝ち構造を有する。詳しくは、左右の縦框33,33は、障子3の上下方向の全長に亘って延びている。上桟31及び下桟32は、左右の縦框33,33の間に配置され、縦框33,33の上端部同士及び下端部同士をそれぞれ連結している。縦框33,33の上下両端面の端部カバー材333は、上桟31の上端カバー材313及び下桟32の下端カバー材323と、それぞれ面一状に配置される。下桟32の室内側の面の中央部には、略コ字型のハンドル35が取り付けられている。
【0025】
外れ止め部材4は、障子3の一方の縦框33の上端部寄りの位置に設けられている。外れ止め部材4は、図4に示すように、係止片41と、係止片41を回転移動させる操作部材42と、を有する。外れ止め部材4は、係止片41を枠体2に係止させることによって、障子3が枠体2から外れることを阻止する。図3及び図4は、係止片41が枠体2に対する係止位置に配置された状態を示している。
【0026】
係止片41は、一方向に長尺な矩形の板状小片からなり、枠体2の縦枠23において、障子3の室外側に配置される係止溝235内に収容可能に配置される。係止片41は、障子3の室外側において、枠体2のうちの縦枠23に係止可能に配置されている。図3及び図4に示すように、係止片41の長さ方向の一端側が縦枠23の係止溝235内に挿入されることによって、係止片41は縦枠23に対する係止位置に配置される。係止位置において、係止片41の長さ方向は、枠体2の内方に向けて延び、縦枠23の室外壁部232に対して略平行に配置される。
【0027】
操作部材42は、円柱状の棒状体からなり、障子3の縦框33を室内外方向に貫通して設けられる。操作部材42は、縦框33に対して軸周りに回転可能である。図5に示すように、操作部材42は、軸周りに回転することによって、室外側に接続される係止片41を、縦枠23の係止溝235内に挿入させる係止位置41aと、係止溝235内から退避させる係止解除位置41bとに回転移動させる。
【0028】
操作部材42の室外側の端部は、係止片41の長さ方向の他端に対して略直角に接続される。操作部材42の室内側の端部は、縦框33の金属製芯材331に取り付けられた支持板43及び樹脂製カバー材332の室内側の内面に取り付けられたすべり軸受44に、それぞれ回転可能に支持されている。操作部材42の室内側の端部は、縦框33の樹脂製カバー材332を貫通して、縦框33の室内側の面33aに、室内側から回転操作可能となるように露出している。詳しくは、操作部材42の室内側の端部は、図1に示すように、障子3が枠体2に取り付けられた状態で、上枠21よりも下方の位置となるように配置され、縦框33の室内側の面33aに露出している。そのため、障子3の室内側から係止片41を係止位置41a及び係止解除位置41bに容易に回転操作することができる。
【0029】
すべり軸受44は、ゴム、樹脂あるいは金属からなり、操作部材42の外周面と接触し、適度な摩擦を伴って操作部材42を回転可能に支持する。係止片41を係止位置41a及び係止解除位置41bにそれぞれ配置させたときの操作部材42の軸周りの位置は、すべり軸受44の摩擦によって保持される。そのため、係止片41が自重によって回転することはない。
【0030】
次に、枠体2に対して障子3をケンドン式で挿入する方法について説明する。障子3は、図6に示すように、上枠21の溝部214と下枠22の溝部224に対して、室内側からケンドン式で挿入される。すなわち、まず、障子3の上端部側を室外側に傾けた状態で、障子3の上端部を上枠21の溝部214の奥深くまで挿入する。障子3の挿入後、障子3の下端部側を室外側に向けて移動させ、下枠22の溝部224に位置合わせする。その後、障子3を下降させ、障子3の下端部を下枠22の溝部224に挿入する。これによって、障子3の上端部及び下端部がそれぞれ溝部214,224に収容され、障子3が上枠21と下枠22とに嵌め込まれて保持される。このとき、外れ止め部材4の係止片41は、図5に示すように、先端側を下方に向けた係止解除位置41bに配置されている。
【0031】
障子3が上枠21と下枠22とに保持されると、縦枠23,23は、封止部236,236を障子3の縦框33,33に室外側から当接させ、障子3の室外側の位置を規制する。縦枠23,23は、封止部236,236を障子3の室外側の面に当接させるだけであり、障子3を保持しない。上枠21の封止部215及びヒレ部216は、障子3の上端部に対して室外側及び室内側からそれぞれ当接することによって、気密性を確保し、障子3の上端部のガタツキを防止するとともに、室外からのごみ等の侵入を阻止する。下枠22の封止部225及びヒレ部226は、障子3の下端部に対して室外側及び室内側からそれぞれ当接することによって、気密性を確保し、障子3の下端部のガタツキを防止するとともに、室外からのごみ等の侵入を阻止する。
【0032】
障子3が枠体2に取り付けられた後、外れ止め部材4の操作部材42を室内側から90°回転操作し、係止片41の先端側を内方に向けた係止位置41aに配置させる。これによって、係止片41の先端側は、図4に示すように、縦枠23の係止溝235内に収容されて縦枠23に係止される。この状態では、障子3の室内側の移動は、係止片41と縦枠23の係止壁部234とが干渉することによって規制される。そのため、障子3が上方へ移動する場合だけでなく、下方へ移動したり、障子3の上桟31の位置が下がったりした場合でも、障子3と枠体2との係合状態を維持することができ、枠体2からの障子3の外れを阻止することができる。
【0033】
係止片41は縦枠23に対して係止可能に設けられているため、少なくとも1つの外れ止め部材4を障子3の框体30に設けるだけで、障子3が上下のいずれの方向に移動しても、障子3の室内側の移動を規制することができる。そのため、障子3の枠体2からの外れを効果的に阻止することができる。
【0034】
操作部材42の室内側の端部は、係止片41が係止位置41a及び係止解除位置41bのいずれに配置されているかを確認可能な目印を有してもよい。例えば、図7及び図8は、操作部材42の室内側の端部に、マイナスドライバーによって回転操作するためのマイナス溝421が設けられている。マイナス溝421の長さ方向を係止片41の長さ方向と一致させることによって、障子3の室内側から操作部材42のマイナス溝421を目視するだけで、係止片41が係止位置41a(図7)及び係止解除位置41b(図8)のいずれに配置されているかを容易に確認することができる。
【0035】
操作部材42の室内側の端部に設けられる目印は、マイナス溝421に限定されない。図示しないが、目印は、操作部材42の室内側の端部に設けられるレバー、一方向に延びる摘み部等であってもよい。レバー及び摘み部を縦框33の室内側の面33aに配置させることによって、レバー及び摘み部が配置される角度を目視するによって、係止片41が係止位置41a及び係止解除位置41bのいずれに配置されているかを容易に確認することができる。
【0036】
外れ止め部材4は、縦框33の上端部寄りに配置されるが、外れ止め部材4は、例えば、縦框33の上下方向の中央付近に配置されてもよいし、縦框33の下端部寄りに配置されてもよい。外れ止め部材4は、縦框33の上端部寄り及び下端部寄りにそれぞれ配置されてもよい。外れ止め部材4は、左右の縦框33,33にそれぞれ配置されてもよい。
【0037】
外れ止め部材4は、障子3の框体30に設けられていればよく、縦框33に設けられるものに限定されない。外れ止め部材4は、上桟31及び下桟32の少なくともいずれかに設けられてもよい。
【0038】
以上の実施形態に示す建具であるFIX窓1は、以下の効果を奏する。すなわち、FIX窓1は、上枠21、下枠22及び左右の縦枠23,23を有するとともに上枠21及び下枠22にそれぞれ溝部214,224を有する枠体2と、上桟31、下桟32及び左右の縦框33,33を有する框体30の内側に面材34を有し、上端部及び下端部が溝部214,224にそれぞれ挿入されることによって上枠21及び下枠22に保持される障子3と、框体30に設けられ、障子3が枠体2から外れることを阻止する外れ止め部材4と、を有する。外れ止め部材4は、障子3の室外側に配置されて枠体2に係止可能に設けられる係止片41と、係止片41を係止位置41a及び係止解除位置41bに回転移動させる操作部材42と、を有する。これによれば、障子3が上方へ移動する場合だけでなく、下方へ移動したり、障子3の上桟31の位置が下がったりした場合でも、障子3と枠体2との係合状態を維持することができ、枠体2からの障子3の外れを阻止することができる。
【0039】
操作部材42の室外側の端部は、係止片41に接続され、操作部材42の室内側の端部は、障子3を貫通して障子3の室内側から回転操作可能に配置される。これによれば、障子3の室内側から係止片41を係止位置41a及び係止解除位置41bに容易に回転操作することができる。
【0040】
操作部材42は、軸周りの位置を保持可能なすべり軸受44によって框体30に回転可能に支持される。これによれば、係止片41を係止位置41a及び係止解除位置41bにそれぞれ配置させたときの操作部材42の軸周りの位置が、すべり軸受44の摩擦によって保持される。そのため、係止片41が自重によって回転することはない。
【0041】
操作部材42の室内側の端部は、係止片41が係止位置41a及び係止解除位置41bのいずれに配置されているかを確認可能な目印であるマイナス溝421を有する。これによれば、障子3の室内側から操作部材42のマイナス溝421を目視するだけで、係止片41が係止位置41a及び係止解除位置41bのいずれに配置されているかを容易に確認することができる。
【0042】
係止片41は、縦枠23に係止可能に設けられている。これによれば、少なくとも1つの外れ止め部材4を障子3に設けるだけで、障子3が上下のいずれの方向に移動しても、障子3の室内側の移動を規制することができる。そのため、障子3の枠体2からの外れを効果的に阻止することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 FIX窓(建具)、 2 枠体、 21 上枠、 22 下枠、 23 縦枠、 3 障子、 30 框体、 31 上桟、 32 下桟、 33 縦框、 34 面材、 4 外れ止め部材、 41 係止片、 41a 係止位置、 41b 係止解除位置、 42 操作部材、 421 マイナス溝(目印)、 44 すべり軸受
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図8