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  • 特開-乾燥装置、ノズル体、および乾燥方法 図1
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  • 特開-乾燥装置、ノズル体、および乾燥方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084394
(43)【公開日】2023-06-19
(54)【発明の名称】乾燥装置、ノズル体、および乾燥方法
(51)【国際特許分類】
   F26B 21/00 20060101AFI20230612BHJP
【FI】
F26B21/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021198553
(22)【出願日】2021-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】西尾 太寿
【テーマコード(参考)】
3L113
【Fターム(参考)】
3L113AA01
3L113AB02
3L113AC07
3L113AC48
3L113AC52
3L113AC67
3L113BA28
3L113BA30
3L113BA31
3L113BA32
3L113CB04
3L113CB24
3L113DA09
(57)【要約】
【課題】乾燥対象物の乾燥速度が低下することを防止することができる乾燥装置、ノズル体、および乾燥方法を提供する。
【解決手段】乾燥装置EAは、乾燥対象物WKの乾燥に使用される前の未使用気体を供給する気体供給手段10と、乾燥対象物WKの乾燥に使用された使用済気体を回収して再供給する再供給手段20と、気体供給手段10および再供給手段20に接続され、未使用気体および使用済気体を別々に吹き出して乾燥対象物WKに吹き付ける吹付手段30とを備え、吹付手段30は、未使用気体が吹き出す第1吹出口33と、第1吹出口33を囲むように設けられ、使用済気体が吹き出す第2吹出口34とを備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥対象物の乾燥に使用される前の未使用気体を供給する気体供給手段と、
前記乾燥対象物の乾燥に使用された使用済気体を回収して再供給する再供給手段と、
前記気体供給手段および前記再供給手段に接続され、前記未使用気体および前記使用済気体を別々に吹き出して前記乾燥対象物に吹き付ける吹付手段とを備え、
前記吹付手段は、前記未使用気体が吹き出す第1吹出口と、前記第1吹出口を囲むように設けられ、前記使用済気体が吹き出す第2吹出口とを備えていることを特徴とする乾燥装置。
【請求項2】
前記吹付手段は、前記第2吹出口を有する外管と、前記外管内に配置され、前記第1吹出口を有する内管とを備えた二重管構造を有していることを特徴とする請求項1に記載の乾燥装置。
【請求項3】
乾燥対象物に気体を吹き付けるノズル体であって、
前記乾燥対象物の乾燥に使用される前の未使用気体を供給する気体供給手段に接続され、前記未使用気体が吹き出す第1吹出口と、
前記乾燥対象物の乾燥に使用された使用済気体を回収して再供給する再供給手段に接続され、前記使用済気体が吹き出す第2吹出口とを備え、
第2吹出口は、前記第1吹出口を囲むように設けられていることを特徴とするノズル体。
【請求項4】
乾燥対象物の乾燥に使用される前の未使用気体を供給する気体供給工程と、
前記乾燥対象物の乾燥に使用された使用済気体を回収して再供給する再供給工程と、
前記未使用気体および前記使用済気体を別々に吹き出して前記乾燥対象物に吹き付ける吹付工程とを実施し、
前記吹付工程では、第1吹出口から前記未使用気体を吹き出して前記乾燥対象物に吹き付けるとともに、前記第1吹出口を囲むように設けられた第2吹出口から前記使用済気体を吹き出して前記乾燥対象物に吹き付けることを特徴とする乾燥方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥装置、ノズル体、および乾燥方法に関する。
【背景技術】
【0002】
乾燥対象物の乾燥に使用された使用済気体を回収し、当該使用済気体を未使用気体とともに乾燥対象物に吹き付けて乾燥させる乾燥装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平1-252967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された塗装乾燥装置(乾燥装置)では、湿度が低い不活性ガス(未使用気体)と、湿度が高い塗料溶剤べーパー(使用済気体)との混合ガスが不活性ガス導入口1aから乾燥炉1内に供給され、当該乾燥炉1内で気流となって金属ストリップ5(乾燥対象物)に向かう。この気流は、乾燥炉1内の気体との摩擦によって外側から速度が減少し、多くの未使用気体が乾燥対象物の乾燥に寄与しなくなるため、乾燥対象物の乾燥速度が低下するという不都合がある。
【0005】
本発明の目的は、乾燥対象物の乾燥速度が低下することを防止することができる乾燥装置、ノズル体、および乾燥方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る乾燥装置は、乾燥対象物の乾燥に使用される前の未使用気体を供給する気体供給手段と、前記乾燥対象物の乾燥に使用された使用済気体を回収して再供給する再供給手段と、前記気体供給手段および前記再供給手段に接続され、前記未使用気体および前記使用済気体を別々に吹き出して前記乾燥対象物に吹き付ける吹付手段とを備え、前記吹付手段は、前記未使用気体が吹き出す第1吹出口と、前記第1吹出口を囲むように設けられ、前記使用済気体が吹き出す第2吹出口とを備えている。
【0007】
本発明の一態様に係る乾燥装置において、前記吹付手段は、前記第2吹出口を有する外管と、前記外管内に配置され、前記第1吹出口を有する内管とを備えた二重管構造を有してもよい。
【0008】
本発明の一態様に係るノズル体は、乾燥対象物に気体を吹き付けるノズル体であって、前記乾燥対象物の乾燥に使用される前の未使用気体を供給する気体供給手段に接続され、前記未使用気体が吹き出す第1吹出口と、前記乾燥対象物の乾燥に使用された使用済気体を回収して再供給する再供給手段に接続され、前記使用済気体が吹き出す第2吹出口とを備え、第2吹出口は、前記第1吹出口を囲むように設けられている。
【0009】
本発明の一態様に係る乾燥方法は、乾燥対象物の乾燥に使用される前の未使用気体を供給する気体供給工程と、前記乾燥対象物の乾燥に使用された使用済気体を回収して再供給する再供給工程と、前記未使用気体および前記使用済気体を別々に吹き出して前記乾燥対象物に吹き付ける吹付工程とを実施し、前記吹付工程では、第1吹出口から前記未使用気体を吹き出して前記乾燥対象物に吹き付けるとともに、前記第1吹出口を囲むように設けられた第2吹出口から前記使用済気体を吹き出して前記乾燥対象物に吹き付ける。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、未使用気体が吹き出す第1吹出口を囲むように、使用済気体が吹き出す第2吹出口が設けられるため、未使用気体が周囲を使用済気体で覆われて吹き出す。このため、外側に位置する使用済気体に比べて、内側に位置する未使用気体の速度の減少が抑制され、未使用気体の多くが乾燥対象物の乾燥に寄与するため、乾燥対象物の乾燥速度が低下することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態に係る乾燥装置の説明図。
図2】乾燥対象物からの距離と吹き出した気体の垂直速度成分との関係を示す図。
図3】乾燥対象物からの距離と吹き出した気体の水平速度成分との関係を示す図。
図4】変形例に係る乾燥装置の説明図。
図5】変形例に係る乾燥装置の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本実施形態におけるX軸、Y軸、Z軸は、それぞれが直交する関係にあり、X軸およびY軸は、所定平面内の軸とし、Z軸は、前記所定平面に直交する軸とする。さらに、本実施形態では、Y軸と平行な図1の手前方向から観た場合を基準とし、方向を示した場合、「上」がZ軸の矢印方向で「下」がその逆方向、「左」がX軸の矢印方向で「右」がその逆方向、「前」がY軸と平行な図1中手前方向で「後」がその逆方向とする。
【0013】
図1において、乾燥装置EAは、乾燥対象物WKの乾燥に使用される前の未使用気体を供給する気体供給手段10と、乾燥対象物WKの乾燥に使用された使用済気体を回収して再供給する再供給手段20と、気体供給手段10および再供給手段20に接続され、未使用気体および使用済気体を別々に吹き出して乾燥対象物WKに吹き付ける吹付手段30とを備え、乾燥対象物WKを搬送する搬送手段40の近傍に配置されている。なお、本実施形態の乾燥対象物WKは、剥離処理が施されたフィルムや紙、基材シート等の基材AB上にインク、粘着剤、コート剤等の塗膜CLが形成された構成となっている。
【0014】
気体供給手段10は、コイルヒータやヒートパイプの加熱側等の加熱手段11と、配管12Aを介して加熱手段11に接続され、加熱された未使用気体を送風するファンや送風機等の送風手段12とを備えている。
【0015】
再供給手段20は、内部に吹付手段30が配置された乾燥炉21と、配管22Aを介して乾燥炉21に接続され、乾燥炉21内の使用済気体を回収して再供給するファンや送風機等の送風手段22とを備えている。
【0016】
吹付手段30は、配管31Aを介して送風手段12に接続された第1チャンバ31と、配管32Aを介して送風手段22に接続され、第1チャンバ31を収容する第2チャンバ32と、第1チャンバ31に連通し、未使用気体が吹き出す第1吹出口33と、第2チャンバ32に連通するとともに、第1吹出口33を囲むように設けられ、使用済気体が吹き出す第2吹出口34とを備えている。
【0017】
本実施形態の吹付手段30は、上方から見下ろした平面視で第1吹出口33、第2吹出口34が第1チャンバ31、第2チャンバ32よりも小さく形成されたノズル体で構成されている。また、吹付手段30は、第2吹出口34を有する外管35と、外管35内に配置され、第1吹出口33を有する内管36とを備えた二重管構造を有している。
外管35、内管36は、第1吹出口33、第2吹出口34に向かうに従って左右方向の径が小さくなる先細り形状とされるとともに、前後方向に長く形成されている。すなわち、外管35の左右の壁面、内管36の左右の壁面は、それぞれの軸線に対して、第1吹出口33、第2吹出口34に向かって互いに接近する方向に傾斜している。なお、外管35および内管36は、それぞれの軸線が乾燥対象物WKに対して90度の角度となるように配置されている。
第1吹出口33および第2吹出口34は、前後方向に長く形成され、乾燥対象物WKの幅全体にわたっている。また、第1吹出口33および第2吹出口34は、同一平面状に配置され、面一になっている。
【0018】
搬送手段40は、乾燥対象物WKを案内するガイドローラ41と、駆動機器としての回動モータ42Aの図示しない出力軸に支持され、ピンチローラ42Bとで乾燥対象物WKを挟み込む駆動ローラ42とを備えている。
【0019】
以上の乾燥装置EAの動作を説明する。
先ず、図1に示す乾燥装置EAに対し、当該乾燥装置EAの使用者(以下、単に「使用者」という)が同図のように乾燥対象物WKをセットした後、図示しない操作パネルやパーソナルコンピュータ等の操作手段を介して自動運転開始の信号を入力する。すると、気体供給手段10および再供給手段20が加熱手段11および送風手段12、22を駆動し、加熱した未使用気体を供給する。これにより、図1に示すように、未使用気体が第1チャンバ31内に供給されて第1吹出口33から吹き出すとともに、乾燥炉21内の使用済気体が乾燥炉21から回収され、その一部が第2チャンバ32内に再供給されて第2吹出口34から吹き出す。なお、回収した残りの使用済気体は、図示しない回収装置に回収される。
【0020】
次いで、乾燥炉21内の温度が所定の温度に到達すると、搬送手段40が回動モータ42Aを駆動し、乾燥対象物WKを右方に搬送する。これにより、第1吹出口33、第2吹出口34から吹き出した未使用気体、使用済気体が、乾燥炉21内を移動する乾燥対象物WKに順次吹き付けられ、当該乾燥対象物WKが乾燥される。その後、乾燥対象物WKは、当該乾燥対象物WKを冷却する冷却工程や、当該乾燥対象物WKを巻き取る巻取工程等の次工程に搬送され、以降上記同様の動作が繰り返される。
【0021】
ここで、吹付手段30に第1チャンバ31、第1吹出口33、および内管36がなく、未使用気体と使用済気体との混合気体が供給されて第2吹出口34から吹き出す単流路構造となっている場合、吹き出した混合気体は、図2、3に示すように、外側から速度が減少し、混合気体中の外側領域に分散している多くの未使用気体が、乾燥対象物WKの乾燥に寄与しなくなる。なお、図2、3中に示すZは、乾燥対象物WKの表面から吹出口までの上方距離(Z軸方向距離)であり、水平距離は、吹出口直下の位置からの左右方向距離(X軸方向距離)であって右方を正方向として示したものである。このため、図3において、水平距離が正の値となるのは、吹出口直下の位置から右方向の距離であることを表しており、水平距離が負の値となるのは、吹出口直下の位置から左方向の距離であることを表している。
【0022】
これに対し、吹付手段30の場合は、第1吹出口33を囲むように第2吹出口34が設けられ、未使用気体が周囲を使用済気体で覆われてノズルから吹き出すため、外側に位置する使用済気体に比べて、内側に位置する未使用気体の速度の減少が抑制され、未使用気体の多くが乾燥対象物WKの乾燥に寄与する。一方、使用済気体は、未使用気体の周囲を覆うことで間接的に乾燥対象物WKの乾燥に寄与するとともに、乾燥炉21内の温度を維持するために必要な熱エネルギーの再利用に寄与する。
【0023】
以下、下記表1に示す実施例1~9および比較例1~9において、乾燥対象物WKを乾燥させた結果について説明する。
なお、乾燥対象物WKとしては、基材ABとしての100mm×100mmのガラス基板上にポリビニルアルコール水溶液を滴下し、厚さ500μmの塗膜CLを形成したものを使用した。
また、実施例1~9では、第1吹出口33の左右方向の幅を5mm、第2吹出口34の左右方向の幅を10mmとし、50℃かつ相対湿度10%の空気からなる未使用気体、50℃かつ相対湿度50%の使用済気体を供給して第1吹出口33、第2吹出口34から塗膜CLに吹き付けた。
一方、比較例1~9では、吹出口が1つでその左右方向の幅は10mmとし、50℃かつ相対湿度10%の空気からなる未使用気体と、50℃かつ相対湿度50%の使用済気体とを供給して、それらの混合気体を1つの吹出口から塗膜CLに吹き付けた。
乾燥速度は、塗膜CLの1秒毎の重量変化を塗膜CLの面積で除算して求めた。
【0024】
【表1】
【0025】
表1からわかるように、実施例1~9の何れとも、同様の条件の比較例1~9に比べて乾燥速度が向上した。
【0026】
以上のような実施形態によれば、未使用気体が吹き出す第1吹出口33を囲むように、使用済気体が吹き出す第2吹出口34が設けられるため、未使用気体が周囲を使用済気体で覆われて吹き出す。このため、外側に位置する使用済気体に比べて、内側に位置する未使用気体の速度の減少が抑制され、未使用気体の多くが乾燥対象物WKの乾燥に寄与するため、乾燥対象物WKの乾燥速度が低下することを防止することができる。また、乾燥対象物WKの乾燥効率を向上させることもできる。
【0027】
また、吹付手段30は、外管35内に内管36が配置された二重管構造を有しているため、外管35と内管36とを別々の位置に配置する場合に比べて、吹付手段30が大型化することを防止することができる。
【0028】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。また、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれる。
【0029】
例えば、気体供給手段10は、送風手段12に代えてまたは併用して、加圧ポンプやタービン等の加圧手段を備えていてもよい。
【0030】
再供給手段20は、送風手段22に代えてまたは併用して、加圧ポンプやタービン等の加圧手段を備えていてもよい。
再供給手段20は、回収した使用済気体の一部を再供給してもよいし、回収した使用済気体の全部を再供給してもよい。
乾燥炉21は、乾燥対象物WKの搬送方向に複数並設されてもよい。この場合、各乾燥炉21内の温度は同じでもよいし、異なってもよい。
【0031】
吹付手段30は、外管35内に内管36が配置された二重管構造を有していなくてもよく、図4に示すように、内管36の外側に当該内管36を囲むように外管35が配置された構造を有してもよい。
吹付手段30は、外管35や内管36が先細り形状とされなくてもよく、図5に示すように、外管35や内管36の径が一定で連続する形状とされてもよい。
吹付手段30は、内管36および外管35を備えていなくてもよく、第1チャンバ31、第2チャンバ32に、第1吹出口33、第2吹出口34が設けられてもよい。
吹付手段30は、乾燥炉21内で前後方向、左右方向に複数並設されてもよい。
第1吹出口33や第2吹出口34は、前後方向に長く形成されなくてもよく、前後方向に複数並設されてもよいし、三角形、正方形、長方形、菱形、平行四辺形、5角形以上の多角形等の形状とされてもよい。
第1吹出口33および第2吹出口34は、同一平面状に配置されなくてもよく、第1吹出口33および第2吹出口34の一方が他方よりも乾燥対象物WK側に配置されてもよい。
外管35および内管36は、それぞれの軸線が乾燥対象物WKに対して90度の角度から傾斜するように配置されてもよく、その場合の傾斜角度は、任意の角度であってもよい。また、外管35や内管36の軸線に対する各々の壁面の傾斜角度は、特に限定されず、任意の角度であってもよい。
吹付手段30が吹き付ける未使用気体や使用済気体は、大気、単体ガス、混合ガス等の気体であってもよい。
【0032】
搬送手段40は、例えば、特開2006-231251号公報に記載されているように、駆動機器によって回転駆動される支持ローラに巻回されたロール状の基材ABや乾燥対象物WKを繰り出すとともに、乾燥装置EAで乾燥された乾燥対象物WKの塗膜CLに反射防止フィルム等のフィルムをニップロールで積層しつつ、駆動機器によって回転駆動される巻取ローラで乾燥対象物WKを巻き取ってもよいし、支持ローラに巻回されたロール状の基材ABや乾燥対象物WKを繰り出すとともに、乾燥装置EAで乾燥された乾燥対象物WKにフィルムを積層せずに巻取ローラで巻き取ってもよいし、ベルトコンベアやローラコンベア等のコンベアで乾燥対象物WKを搬送してもよいし、駆動機器に移動可能に支持された支持手段としてのテーブルで乾燥対象物WKを搬送してもよいし、多関節ロボット等の駆動機器で乾燥対象物WKを搬送してもよく、乾燥対象物WKを搬送可能であればどのようなものでもよい。
搬送手段40は、乾燥装置EAに備わっていてもよいし、備わっていなくてもよい。
【0033】
乾燥装置EAは、乾燥対象物WKを移動させずにまたは移動させつつ、乾燥炉21を移動させて乾燥対象物WKを乾燥してもよい。
【0034】
乾燥対象物WK、基材ABおよび塗膜CLの材質、種別、形状等は、特に限定されることはない。
例えば、乾燥対象物WK、基材ABおよび塗膜CLは、円形、楕円形、三角形や四角形等の多角形、筋状、その他の形状であってもよい。
基材ABとしては、例えば、食品、樹脂容器、シリコン半導体ウエハや化合物半導体ウエハ等の半導体ウエハ、回路基板、光ディスク等の情報記録基板、ガラス板、鋼板、陶器、木板または樹脂等の単体物やフィルム、紙またはシートであってもよいし、剥離フィルムや剥離紙等の複合物であってもよく、任意の形態の部材や物品なども対象とすることができる。
塗膜CLは、感圧接着層、感熱接着層等の接着形態のものや、印刷受理層やハードコート等のコート被膜形態のものであってもよい。
乾燥対象物WKは、例えば、接着剤層だけの単層のもの、基材ABと接着剤層との間に中間層を有するものであってよい。
【0035】
本発明における手段および工程は、それら手段および工程について説明した動作、機能または工程を果たすことができる限りなんら限定されることはなく、まして、前記実施形態で示した単なる一実施形態の構成物や工程に全く限定されることはない。例えば、気体供給手段は、乾燥対象物の乾燥に使用される前の未使用気体を供給可能なものであればどのようなものでもよく、出願当初の技術常識に照らし合わせてその技術範囲内のものであればなんら限定されることはない(その他の手段および工程も同じ)。
【0036】
前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、2軸または3軸以上の関節を備えた多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダおよびロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる。
前記実施形態において、ローラ等の回転部材が採用されている場合、当該回転部材を回転駆動させる駆動機器を備えてもよいし、回転部材の表面や回転部材自体をゴムや樹脂等の変形可能な部材で構成してもよいし、回転部材の表面や回転部材自体を変形しない部材で構成してもよいし、ローラの代わりに回転するまたは回転しないシャフトやブレード等の他の部材を採用してもよいし、支持(保持)手段や支持(保持)部材等の被支持部材(被保持部材)を支持(保持)するものが採用されている場合、メカチャックやチャックシリンダ等の把持手段、クーロン力、接着剤(接着シート、接着テープ)、粘着剤(粘着シート、粘着テープ)、磁力、ベルヌーイ吸着、吸引吸着、駆動機器等で被支持部材を支持(保持)する構成を採用してもよい。
【符号の説明】
【0037】
EA…乾燥装置
10…気体供給手段
20…再供給手段
30…吹付手段
33…第1吹出口
34…第2吹出口
35…外管
36…内管
WK…乾燥対象物
図1
図2
図3
図4
図5