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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084407
(43)【公開日】2023-06-19
(54)【発明の名称】宅配ボックス
(51)【国際特許分類】
   A47G 29/12 20060101AFI20230612BHJP
【FI】
A47G29/12 Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021198570
(22)【出願日】2021-12-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-04-08
(71)【出願人】
【識別番号】521535892
【氏名又は名称】株式会社WakuWorks
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小谷 哲也
【テーマコード(参考)】
3K100
【Fターム(参考)】
3K100CA19
3K100CA45
3K100CB01
3K100CB05
3K100CC02
3K100CD03
(57)【要約】
【課題】コスト低減を図りつつ、設置に必要なスペースを低減する。
【解決手段】
立体化状態と、折り畳み状態とを切り替え可能に構成された収納体2を内部に装着するための宅配ボックス1において、底壁部9と、長壁部11と、延壁部13とを有し、収納体2が折り畳み状態となったとき、略扁平形状の収納体2を収納する扁平姿勢と、収納体2が立体化状態となったとき、収納体2の底面3、長壁面5、短壁面6に対し底壁部9、長壁部11、短壁部12がそれぞれ当接又は正対し、かつ、延壁部13が収納体2の頂面4の少なくとも一部に対し当接又は正対することにより、略箱形状の収納体の外周部側を略覆いつつ内包する内包姿勢とが切り替え可能に構成され、かつ、内包姿勢において、延壁部13が延壁部13に連設される短壁部12又は長壁部11と略平行に開かれるのを阻止するロック機構14を設けた宅配ボックス1。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造物に備えられた略鉛直方向の取付面に取り付けられる宅配ボックスであって、
1対の第1長辺及び1対の第1短辺を備えた略長方形の底面と、
1対の第2長辺及び1対の第2短辺を備えた略長方形の頂面と、
前記第1長辺又は前記第2長辺に対しそれぞれ回動可能に接続され、前記底面に対し略直角にそれぞれ立設可能な1対の長壁面と、
前記第1短辺又は前記第2短辺に対しそれぞれ回動可能に接続され、前記底面に対し略直角にそれぞれ立設可能な1対の短壁面と、
を有し、
前記長壁面及び前記短壁面が前記底面及び前記頂面に対し略直角に配設されて全体が略箱形状となり、その略箱形状の内部に被収納物である宅配物を収納可能な立体化状態と、前記長壁面及び前記短壁面が前記底面又は前記頂面に略平行に沿うように折り畳まれて全体が略扁平形状となる折り畳み状態と、を切り替え可能に構成された収納体
を内部に装着するための宅配ボックスにおいて、
1対の第3長辺及び1対の第3短辺を備え前記取付面に取り付けられる底壁部であって、少なくとも前記折り畳み状態において前記収納体の前記底面と当接可能な略長方形の底壁部と、
前記第3長辺に対しそれぞれ回動可能に接続され、前記底壁部に対し略直角にそれぞれ立設可能な1対の長壁部と、
前記第3短辺に対しそれぞれ回動可能に接続され、前記底壁部に対し略直角にそれぞれ立設可能な1対の短壁部と、
前記短壁部及び前記長壁部の少なくとも一方のうち、前記底壁部への接続部分と反対側部分に回動可能に接続され、当該反対側へと連設される延壁部と、
を有し、
前記収納体が前記折り畳み状態となったとき、当該収納体の前記底面に対し前記底壁部が当接又は近接し、かつ、折り畳まれた前記長壁面又は前記短壁面に対し前記長壁部又は前記短壁部が当接又は近接して、前記略扁平形状の前記収納体を収納する扁平姿勢と、
前記収納体が前記立体化状態となったとき、当該収納体の前記底面、前記長壁面、前記短壁面に対し前記底壁部、前記長壁部、前記短壁部がそれぞれ当接又は正対し、かつ、前記延壁部が前記短壁部又は前記長壁部に対し略直交する向きとなって前記収納体の前記頂面の少なくとも一部に対し当接又は正対することにより、前記略箱形状の前記収納体の外周部側を略覆いつつ内包する、内包姿勢と、
が切り替え可能に構成され、
かつ、
前記内包姿勢において、前記短壁部又は前記長壁部に対し略直交する前記延壁部の配設向きを維持して、前記延壁部が当該延壁部に連設される前記短壁部又は前記長壁部と略平行に開かれるのを阻止する、ロック機構を設けた
ことを特徴とする宅配ボックス。
【請求項2】
請求項1記載の宅配ボックスにおいて、
前記収納体は、
前記立体化状態から前記折り畳み状態とされる際は、前記長壁面及び前記短壁面のうち前記短壁面が先行して折り畳まれた後に、前記長壁面が折り畳み可能で、かつ、前記折り畳み状態から前記立体化状態とされる際は、前記長壁面及び前記短壁面のうち前記長壁面が先行して前記底面及び前記頂面に対し略直角に配設された後に、前記短壁面が前記底面及び前記頂面に対し略直角に配設可能、となるように構成されており、
これに対応して、前記延壁部は、前記内包姿勢において、前記立体化状態にある前記収納体の前記短壁面の外周側を覆うように構成されている
ことを特徴とする宅配ボックス。
【請求項3】
請求項2記載の宅配ボックスにおいて、
前記延壁部は、
前記短壁部のうち前記底壁部への接続部分と反対側部分に対し、回動可能に連設されている
ことを特徴とする宅配ボックス。
【請求項4】
請求項3記載の宅配ボックスにおいて、
前記収納体の前記長壁面は、
互いに回動可能に接続された複数ピースからなる多関節の連接構造を備えており、
前記複数ピースのうち前記第1長辺に対し最も近いピースが当該第1長辺に対し回動可能に接続されており、
前記複数ピースのうち前記第2長辺に対し最も近いピースが当該第2長辺に対し回動可能に接続されている
ことを特徴とする宅配ボックス。
【請求項5】
請求項4記載の宅配ボックスにおいて、
前記ロック機構は、
前記内包姿勢において、互いに略直交するように配設されている前記延壁部と前記長壁部とを互いに係合するための係合部と、
前記係合部による係合の解除を防止する解除防止部と、
を備えることを特徴とする宅配ボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宅配ボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、戸建て住宅等の建造物の入口ドア付近に設けられる宅配ボックスが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の宅配ボックスには盗難や事故を防ぐために電子錠を用いた錠前装置が取り付けられていることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-276226号公報(図1等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術の宅配ボックスでは、荷物の収納と取り出しの繰り返しにより宅配物の収納構造に経年劣化や破損が生じた場合に宅配ボックスごと取り換えることとなり、コストが高くなるものであった。そこで、宅配ボックス内に宅配物を収納するケースを内包させる構造とし、経年劣化時にはケースのみを交換することでコスト削減を図る方法が考えられるが、そのような二重構造においては宅配ボックスを設置することにより占有されるスペース、例えば宅配ボックスの取り付け位置から手前側への突出寸法が大きく、邪魔となるという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、コスト低減を図りつつ、設置に必要なスペースを低減可能な宅配ボックスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明は、建造物に備えられた略鉛直方向の取付面に取り付けられる宅配ボックスであって、1対の第1長辺及び1対の第1短辺を備えた略長方形の底面と、1対の第2長辺及び1対の第2短辺を備えた略長方形の頂面と、前記第1長辺又は前記第2長辺に対しそれぞれ回動可能に接続され、前記底面に対し略直角にそれぞれ立設可能な1対の長壁面と、前記第1短辺又は前記第2短辺に対しそれぞれ回動可能に接続され、前記底面に対し略直角にそれぞれ立設可能な1対の短壁面と、を有し、前記長壁面及び前記短壁面が前記底面及び前記頂面に対し略直角に配設されて全体が略箱形状となり、その略箱形状の内部に被収納物である宅配物を収納可能な立体化状態と、前記長壁面及び前記短壁面が前記底面又は前記頂面に略平行に沿うように折り畳まれて全体が略扁平形状となる折り畳み状態と、を切り替え可能に構成された収納体を内部に装着するための宅配ボックスにおいて、1対の第3長辺及び1対の第3短辺を備え前記取付面に取り付けられる底壁部であって、少なくとも前記折り畳み状態において前記収納体の前記底面と当接可能な略長方形の底壁部と、前記第3長辺に対しそれぞれ回動可能に接続され、前記底壁部に対し略直角にそれぞれ立設可能な1対の長壁部と、前記第3短辺に対しそれぞれ回動可能に接続され、前記底壁部に対し略直角にそれぞれ立設可能な1対の短壁部と、前記短壁部及び前記長壁部の少なくとも一方のうち、前記底壁部への接続部分と反対側部分に回動可能に接続され、当該反対側へと連設される延壁部と、を有し、前記収納体が前記折り畳み状態となったとき、当該収納体の前記底面に対し前記底壁部が当接又は近接し、かつ、折り畳まれた前記長壁面又は前記短壁面に対し前記長壁部又は前記短壁部が当接又は近接して、前記略扁平形状の前記収納体を収納する扁平姿勢と、前記収納体が前記立体化状態となったとき、当該収納体の前記底面、前記長壁面、前記短壁面に対し前記底壁部、前記長壁部、前記短壁部がそれぞれ当接又は正対し、かつ、前記延壁部が前記短壁部又は前記長壁部に対し略直交する向きとなって前記収納体の前記頂面の少なくとも一部に対し当接又は正対することにより、前記略箱形状の前記収納体の外周部側を略覆いつつ内包する、内包姿勢と、が切り替え可能に構成され、かつ、前記内包姿勢において、前記短壁部又は前記長壁部に対し略直交する前記延壁部の配設向きを維持して、前記延壁部が当該延壁部に連設される前記短壁部又は前記長壁部と略平行に開かれるのを阻止する、ロック機構を設けた
ことを特徴としている。
【0007】
本願発明では、宅配ボックス内に直接宅配物が投入され収納されるのではなく、宅配ボックス内に内包される収納体に対し宅配物が収納される構成とする。これにより、収納したり取り出したりの繰り返しで宅配物の収納構造に経年劣化や破損が生じたとしても、宅配ボックス側を取り替える必要はなく、収納体だけを取り替えればよいため、コスト低減を図れる。
【0008】
そして本願発明においては、宅配ボックス内に収納される収納体が折り畳み可能な構造を有し、立体化状態と折り畳み状態とを切り替え可能に構成されている。すなわち、使用しない時はユーザによって折り畳み状態とされ、長壁面及び短壁面が底面又は頂面に略平行に沿うように折り畳まれることで、収納体全体が略扁平形状となる。その一方、宅配物の配送が予想されるときはユーザによって立体化状態とされ、長壁面及び短壁面が底面及び頂面に対し略直角に配設されることで収納体全体が略箱形状となる。これにより、その略箱形状の内部空間に、配達される宅配物を収納することができる。
【0009】
そして、上記のように立体化状態と折り畳み状態とを切り替え可能な収納体の構成に対応して、本願発明の宅配ボックスにおいても、内包姿勢と、扁平姿勢と、を切り替え可能となっている。
【0010】
すなわち、前述のように収納体が立体化状態とされるときは、これを内包する本願発明の宅配ボックスも、ユーザによって内包姿勢にされる。内包姿勢では、立体化状態となった収納体の底面、長壁面、短壁面に対し底壁部、長壁部、短壁部がそれぞれ当接又は正対する。また、延壁部が短壁部又は長壁部に対し略直交する向きとなりつつ、収納体の頂面の少なくとも一部に対し当接又は正対する。これにより、立体化状態で略箱形状となっている収納体の外周部側を略覆いつつ、内包する収納体において配達されてきた宅配物を受け入れ、収納することができる。
【0011】
一方、前述のように収納体が折り畳み状態とされるときは、これに対応して、本願発明の宅配ボックスも、ユーザによって扁平姿勢とされる。扁平姿勢では、
収納体の底面に対し底壁部が当接又は近接し、かつ、折り畳まれた長壁面又は短壁面に対し長壁部又は短壁部が当接又は近接する。これにより、折り畳み状態で略扁平形状となっている収納体を、宅配ボックス自らも扁平姿勢となって収納することができる。
【0012】
以上のように、本願発明によれば、ユーザは、宅配物が届く予定のない不使用時には、収納体を折り畳み状態とし、さらにこれに連動して宅配ボックスも扁平姿勢とすることができる。この結果、宅配ボックスの設置により占有される設置スペース、詳細には、略鉛直方向の取付面から手前側への突出寸法を大きく低減し、ユーザにとっての利便性を向上することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の宅配ボックスによれば、コスト低減を図りつつ、設置に必要なスペースを低減する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】宅配ボックス1の全体外観を表す斜視図である。
図2】扁平姿勢にある宅配ボックス1の斜視図である。
図3】宅配ボックス1の組み立て手順を表す斜視図である。
図4】宅配ボックス1の組み立て手順を表す斜視図である。
図5】宅配ボックス1の組み立て手順を表す斜視図である。
図6】宅配ボックス1の組み立て手順を表す斜視図である。
図7】宅配ボックス1の組み立て手順を表す斜視図である。
図8】立体化状態の収納体2の斜視図である。
図9】折り畳み状態の収納体2の斜視図である。
図10】収納体2の組み立て手順を表す斜視図である。
図11】収納体2の組み立て手順を表す斜視図である。
図12】収納体2の組み立て手順を表す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
【0016】
図1に宅配ボックス1の全体外観を表す斜視図を示す。図1(a)は宅配ボックス1が内包姿勢にあり、宅配物が収納されロックされた状態を示す。図1(b)は宅配ボックス1のロックが解除され、宅配物を取り出す、または収納する前の状態を表す。
【0017】
宅配ボックス1は収納体2を内部に装着しており、家屋の玄関脇の壁や、郵便受けの下等の略鉛直方向の取付面に任意のネジ等により取り付けられている。図1に示す方角は、取付面(図示なし)に取り付けられた宅配ボックス1を受取人等のユーザから見た際の前後方向、左右方向、上下方向であり、これらの方向は互いに直交する。同様の方角が図2~12にも適宜適用される。
【0018】
収納体2は、全体が略箱形状となり、その略箱形状の内部に被収納物である宅配物を収納可能な立体化状態と、全体が略扁平形状となる折り畳み状態とを切り替え可能に構成されている。この図では、収納体2は略箱形状の立体化状態となっている。
【0019】
収納体2は底面3と、頂面4と、長壁面5と、短壁面6とを有する。頂面4には開閉可能な蓋部10が設けられている。収納体2としては公知の市販されている折り畳みコンテナ等を使用することができ、その一例としては例えばスケルコン(登録商標)が挙げられる。
【0020】
宅配ボックス1は、1対の第3長辺7及び1対の第3短辺8を備え、前記取付面に取り付けられる底壁部9を有する。底壁部9は少なくとも前記折り畳み状態において収納体2の底面3と当接可能な略長方形状にある。この図では、底壁部9は、長方形状の枠体であり、収納体2の底面3に当接し、長壁面5と短壁面6のそれぞれの後方側の一部に当接又は正対する。
【0021】
宅配ボックス1は、第3長辺7に対しそれぞれ回動可能にヒンジ接続され、底壁部9に対し略直角にそれぞれ立設可能な1対の長壁部11を有する。この図では、左方の長壁部11は収納体2の長壁面5の上部に当接する上側パーツ11aと長壁面5の下部に当接する下側パーツ11bとに2分割されている。右方にも同様に2分割された長壁部11が設けられている(図示省略)。
【0022】
宅配ボックス1は、第3短辺7に対しそれぞれ回動可能にヒンジ接続され、底壁部9に対し略直角にそれぞれ立設可能な1対の短壁部12を有する。この図では、上下方向に設けられた一対の短壁部12は収納体2の短壁面にそれぞれ当接又は正対する。
【0023】
宅配ボックス1は、短壁部12及び長壁部11の少なくとも一方のうち、底壁部9への接続部分と反対側部分に回動可能に接続され、当該反対側へと連設される延壁部13を有する。この図では、短壁部12が底壁部9及び延壁部13に接続され、底壁部9と延壁部13とは短壁部12を挟んで反対側に配置されている。
【0024】
図1(a)の宅配ボックス1は、収納体2が立体化状態となったとき、収納体2の底面3、長壁面5、短壁面6に対し底壁部9、長壁部11、短壁部12がそれぞれ当接又は正対し、かつ、延壁部13が短壁部12又は長壁部11に対し略直交する向きとなって収納体2の頂面4の少なくとも一部に対し当接又は正対することにより、略箱形状の収納体2の外周部側を略覆いつつ内包する内包姿勢の状態にある。この図では、延壁部13は頂面4の上部に当接している。
【0025】
宅配ボックス1には前記内包姿勢において、短壁部12又は長壁部11に対し略直交する延壁部13の配設向きを維持して、延壁部13が延壁部13に連設される短壁部12又は長壁部11と略平行に開かれるのを阻止する、ロック機構14が設けられている。
【0026】
ロック機構14は、前記内包姿勢において、互いに略直交するように配設されている延壁部13と長壁部11とを互いに係合するための係合部15と、係合部15による係合の解除を防止する解除防止部16とを備える。
【0027】
この図では、ロック機構14は例えば南京錠であり、長壁部11aのフランジ17及び延壁部13のフランジ18を貫通する被係合部19に係合される、U字状の係合部15と、南京錠の本体部分である解除防止部16とを備える。受取人は例えば南京錠がロックされていない状態で宅配ボックス1を設置しておき、配達人が宅配ボックス1に宅配物を収納した後、南京錠をロックすることで図1(a)の内包姿勢の状態となる。受取人は所持している鍵によって南京錠を開け、図1(b)のように延壁部13を上に持ち上げてから、収納体2の蓋部10を開け、宅配物を取り出す。
【0028】
なお、延壁部13を収納体2に覆いかぶせた際に、自動でロックされるような電子錠を含むロック機構14を設けても良い。ロック機構14はその他、公知の方法を用いて構成してもよい。長壁部11aのフランジ17及び延壁部13のフランジ18の形状や配置は特に限定されるものではない。長壁部11aのフランジ17及び延壁部13のフランジ18は、それぞれ折り畳めるように、長壁部11a及び延壁部13に対してヒンジ接続されるようになっていてもよい。
【0029】
なお、長壁部11、延壁部13のフランジ17、18及びロック機構14については、図示の煩雑を避けるため、以降の図においては、適宜省略する。
【0030】
宅配ボックス1の底壁部9、長壁部11、短壁部12、延壁部13の素材は、特に限定されるものではないが、例えば板状の金属やセラミック等により構成される。収納体2は、例えばプラスチック素材により構成される。
【0031】
図2に扁平姿勢にある宅配ボックス1の斜視図を示す。この図の宅配ボックス1は、収納体2が折り畳み状態となったとき、収納体2の底面3に対し底壁部9が当接又は近接し、かつ、折り畳まれた長壁面5又は短壁面6に対し長壁部11又は短壁部12が当接又は近接して、略扁平形状の収納体2を収納する扁平姿勢となっている。この図では、収納体2の底面3に対し底壁部9が当接している。長壁面5(図示なし)及び短壁面6(図示なし)は底面3及び頂面4に対して略平行に折り畳まれており、これに対して折り畳まれた長壁部11と短壁部12とが、収納体2の蓋部10を介して近接している。
【0032】
図3図7において、宅配ボックス1を扁平姿勢から内包姿勢に組み立てる手順を説明する斜視図を示す。
【0033】
図3は宅配ボックス1の扁平姿勢の状態から、折り畳まれていた長壁部11、短壁部12、延壁部13を少し広げた状態である。
【0034】
図4図3の状態に続いて、長壁部11、短壁部12、延壁部13を収納体2の底面3に対して略直角となるまで広げ、収納体2の頂面4に配置された蓋部10を露出させた状態を表す。この時、長壁部11又は延壁部13のフランジ17、18が折り畳まれている場合には適宜広げておく。
【0035】
図5図4の宅配ボックス1を裏面(後方右側)から見た斜視図である。
【0036】
図6図4の状態に続いて、収納体2を折り畳み状態から立体化状態に組み立てた状態を表している。収納体2の組み立て方の詳細については後述するが、宅配ボックス1を開いた状態で、収納体2の折り畳まれていた短壁面6及び長壁面5を底面3に対して略直角に配設させて組み立てる。
【0037】
図7において、図6の状態に続いて、延壁部13を収納体2の頂面4の蓋部10の上部を覆うように下方に下ろすことで、宅配ボックス1は内包姿勢となる。
【0038】
内包姿勢において、宅配ボックス1の延壁部13は、立体化状態にある収納体2の短壁面6の外周側を覆うように構成されている。
【0039】
図8図12に収納体2の構造を説明する斜視図を示す。収納体2は上述したように公知の市販品であり、発明の趣旨に沿うものであればどのようなものを使用しても構わないが、ここではその一例についてのみ説明する。
【0040】
図8は立体化状態における収納体2の斜視図である。図9は折り畳み状態における収納体2の斜視図である。
【0041】
収納体2の底面3は、略長方形状であり、1対の第1長辺20及び1対の第1短辺21を備える。収納体2の頂面4は、略長方形状であり、1対の第2長辺22及び1対の第2短辺23を備える。頂面4には1対の蓋部10が備えられ、蓋部10は蓋ロック部24により、閉めた蓋部10が開かないようにロック可能となっている。収納体2の立体化状態においては、適宜蓋部10をロックして宅配物が外に出ないようにしておくことができる。底面3には長方形状の枠である下枠25が取り付けられ、頂面4には上枠26が取り付けられている。
【0042】
収納体2の1対の長壁面5は、底面3の第1長辺20又は頂面4の第2長辺22に対しそれぞれ回動可能に接続され、底面3に対し略直角にそれぞれ立設可能となっている。
【0043】
長壁面5は、互いに回動可能に接続された複数ピースからなる多関節の連接構造(=蛇腹構造)を備えており、前記複数ピースのうち第1長辺20に対し最も近いピースが第1長辺20に対し回動可能に接続されており、前記複数ピースのうち第2長辺22に対し最も近いピースが第2長辺22に対し回動可能に接続されている。
【0044】
この図では、1つの長壁面5は2つのピース5aとピース5bとからなり、蛇腹構造で折り畳めるようになっている。第1長辺20に最も近いピース5aが下枠25を介して第1長辺20に回動可能にヒンジ接続され、第2長辺22に最も近いピース5bが上枠26を介して第2長辺22に回動可能にヒンジ接続されている。なお、ピース5aとピース5bはそれぞれ下枠25及び上枠26に固定されており、取り外しできないようになっている。
【0045】
収納体2の1対の短壁面6は、第1短辺21又は第2短辺23に対しそれぞれ回動可能に接続され、底面3に対し略直角にそれぞれ立設可能となっている。この図では、短壁面6は頂面4の第2短辺23にのみ、収納体2の上枠26を介して回動可能にヒンジ接続されている。短壁面6は底面3とは回動可能となっておらず、下枠25に対して任意の係合構造により固定するようになっている。
【0046】
図8に示す立体化状態において、収納体2は、長壁面5及び短壁面6が底面3及び頂面4に対し略直角に配設されて全体が略箱形状となり、その略箱形状の内部に被収納物である宅配物を収納可能となっている。図9に示す折り畳み状態において、収納体2は長壁面5及び短壁面6が底面3又は頂面4に略平行に沿うように折り畳まれて全体が略扁平形状となっている。収納体2は前記立体化状態と前記折り畳み状態とを簡単な操作で切り替え可能となっている。
【0047】
図10図12において、収納体2の組み立て手順を表す斜視図を示す。
【0048】
図10は折り畳み状態と立体化状態の中間にある収納体2の斜視図である。図9の折り畳み状態においては、上枠26と接続されている短壁面6は、蓋部10の裏面に重なって配置されている。図9の状態から、収納体2の蓋部10を前方向に開き、底面3に対して上枠26を手などで把持して前方向に引っ張ると、蛇腹構造に折り畳まれていた長壁面5が前方向に立設される。
【0049】
次いで、図11に示すように、長壁面5を底面3及び頂面4に対して略直角に配設させたのち、1対の短壁面6をそれぞれ底面3に向けて前方から後方に倒す。図中の拡大図に示すように、下枠25に設けられた凸部25に、短壁面6の下枠側端部に設けられた凹部26が係合するようになっている。
【0050】
短壁面6を上述の凸凹構造により下枠25に係合して固定させると、図12に示すように、短壁面6が底面3及び頂面4に対し略直角に配設されて収納体2は全体が略箱形状の立体化状態となる。
【0051】
収納体2は、立体化状態から折り畳み状態にする際は、長壁面5と短壁面6のうち短壁面6を先に下枠25から外して折り畳んだ後に長壁面5を折り畳み可能となっている。かつ、折り畳み状態から立体化状態とする際は、上述したように、上枠26を引っ張って長壁面5を先に底面3及び頂面4に対し略直角に配設した後に、短壁面6を下枠25に固定して底面3及び頂面4に対し略直角に配設可能となっている。これに対応して、図7で説明した内包姿勢における宅配ボックス1の延壁部13は、前記立体化状態にある収納体2の短壁面6の外周側を覆うように構成されている。
【0052】
<実施形態の効果>
本実施形態では、宅配ボックス1内に直接宅配物が投入され収納されるのではなく、宅配ボックス1内に内包される収納体2に対し宅配物が収納される構成とする。これにより、収納したり取り出したりの繰り返しで宅配物の収納構造に経年劣化や破損が生じたとしても、宅配ボックス1側を取り替える必要はなく、収納体2だけを取り替えればよいため、コスト低減を図れる。
【0053】
そして本実施形態においては、宅配ボックス1内に収納される収納体2が折り畳み可能な構造を有し、立体化状態と折り畳み状態とを切り替え可能に構成されている。すなわち、使用しない時はユーザによって折り畳み状態とされ、長壁面5及び短壁面6が底面3又は頂面4に略平行に沿うように折り畳まれることで、収納体2全体が略扁平形状となる。その一方、宅配物の配送が予想されるときはユーザによって立体化状態とされ、長壁面5及び短壁面6が底面3及び頂面4に対し略直角に配設されることで収納体2全体が略箱形状となる。これにより、その略箱形状の内部空間に、配達される宅配物を収納することができる。
【0054】
そして、上記のように立体化状態と折り畳み状態とを切り替え可能な収納体2の構成に対応して、本実施形態の宅配ボックス1においても、内包姿勢と、扁平姿勢と、を切り替え可能となっている。
【0055】
すなわち、前述のように収納体2が立体化状態とされるときは、これを内包する宅配ボックス1も、ユーザによって内包姿勢にされる。内包姿勢では、立体化状態となった収納体2の底面3、長壁面5、短壁面6に対し底壁部9、長壁部11、短壁部12がそれぞれ当接又は正対する。また、延壁部13が短壁部12又は長壁部11に対し略直交する向きとなりつつ、収納体2の頂面4の少なくとも一部に対し当接又は正対する。これにより、立体化状態で略箱形状となっている収納体2の外周部側を略覆いつつ、内包する収納体2において配達されてきた宅配物を受け入れ、収納することができる。
【0056】
一方、前述のように収納体2が折り畳み状態とされるときは、これに対応して、本実施形態の宅配ボックス1も、ユーザによって扁平姿勢とされる。扁平姿勢では、収納体2の底面3に対し底壁部9が当接又は近接し、かつ、折り畳まれた長壁面5又は短壁面6に対し長壁部11又は短壁部12が当接又は近接する。これにより、折り畳み状態で略扁平形状となっている収納体2を、宅配ボックス1自らも扁平姿勢となって収納することができる。
【0057】
以上のように、本実施形態によれば、ユーザは、宅配物が届く予定のない不使用時には、収納体2を折り畳み状態とし、さらにこれに連動して宅配ボックス1も扁平姿勢とすることができる。この結果、宅配ボックスの設置により占有される設置スペース、詳細には、略鉛直方向の取付面から手前側への突出寸法を大きく低減し、ユーザにとっての利便性を向上することができる。
【0058】
また、本実施形態では特に、宅配物の配達が想定される収納体2の上記立体化状態においては、長壁面5及び短壁面6のうち短壁面6が先行して折り畳まれた後に、長壁面5が折り畳める構成となっている。これにより、例えば悪意の第三者が宅配物の抜き取りを意図して、収納体を部分的に折り畳もうとして長壁面5に触れたとしても、短壁面6に触れない限り収納体2を折り畳むことができない。
【0059】
この結果、本願発明の宅配ボックス1においては、立体化状態にある収納体の少なくとも短壁面6の外周側を覆ってさえおけば、第三者による宅配物の抜き出しを防止できる。
【0060】
また、本実施形態では特に、前述のように第三者の宅配物抜き出し防止に配慮して短壁面6の外周部を覆うように設けられる短壁部12に対し、延壁部13が連設されている。これら短壁部12及び延壁部13の連設構造により、収納体2のうち短壁面6及びその周囲部分を含めて比較的広い範囲の外周部を覆うことができる。この結果、上記宅配物抜き出し防止においてさらに万全を期すことができる。
【0061】
また、本実施形態では特に、収納体2の長壁面5が多関節の連接構造となっており、互いに回動可能に接続された複数ピースにより構成されている。これにより、複数ピースを一直線上に延ばすことで前述の立体化状態における長壁面5の底面3及び頂面4への略直角の配設構成を実現できるとともに、複数ピース全体を屈曲態様にすることで前述の折り畳み状態における略扁平形状を実現できる。
【0062】
また収納体2の長壁面5を上記多関節連設構造とすることにより、短壁面6は例えばシンプルな回動構造とすることで、前述の立体化状態→折り畳み状態への切り替え時に短壁面6が先に折り畳まれた後でなければ長壁面5を折り畳めない構成を具体的に実現することができる。
【0063】
また、本実施形態の宅配ボックス1は特に、前述の内包姿勢では、延壁部13と長壁部11とが互いに略直交するように配設されており、当該配設状態にあるそれら延壁部13と長壁部11とが係合部15によって係合される。そして解除防止部16によって、その係合の解除が防止される。本実施形態によれば、延壁部13が短壁部12と略平行に開かれるのを阻止するための具体的構造を実現することができる。
【0064】
なお、以上の説明において、外観上の寸法や大きさが「同一」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
【0065】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0066】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0067】
1 宅配ボックス
2 収納体
3 底面
4 頂面
5 長壁面
6 短壁面
7 第3長辺
8 第3短辺
9 底壁部
10 蓋部
11 長壁部
12 短壁部
13 延壁部
14 ロック機構
15 係合部
16 解除防止部
17 長壁部のフランジ
18 延壁部のフランジ
19 被係合部
20 第1長辺
21 第1短辺
22 第2長辺
23 第2短辺
24 蓋ロック部
25 凸部
26 凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12