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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084447
(43)【公開日】2023-06-19
(54)【発明の名称】ダンパー装置
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/123 20060101AFI20230612BHJP
【FI】
F16F15/123 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021198628
(22)【出願日】2021-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】000149033
【氏名又は名称】株式会社エクセディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】前田 昌宏
(57)【要約】
【課題】ハイブリッド車両に適したダンパー装置を提供することができる。
【解決手段】ダンパー装置は、入力部材と、出力部材と、第1コイルスプリングと、第1スプリングシートと、を備える。出力部材は、第2スプリング収容部、第1面、第2面、及び第1係合部、を有する。第1面は、第2スプリング収容部の回転方向第1側の端面を画定する。第1係合部は、第1面に形成されている。第1コイルスプリングは、第1端面、及び第2端面、を有する。第1スプリングシートは、出力部材の第1面と第1コイルスプリングの第1端面との間に配置される。第1スプリングシートは、保持部と、第2係合部と、を有する。保持部は、第1コイルスプリング内に挿入される。第2係合部は、第1係合部と係合する。第1係合部は、第1当接面を有する。第1当接面は、径方向内側を向く。第2係合部は、第2当接面を有する。第2当接面は、径方向外側を向き第1当接面と対向する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンからのトルク入力により回転方向第1側に回転するダンパー装置であって、
第1スプリング収容部を有し、回転可能に配置される入力部材と、
前記第1スプリング収容部に対応する位置に配置される第2スプリング収容部、前記第2スプリング収容部の前記回転方向第1側の端面を画定する第1面、前記第2スプリング収容部の前記回転方向第1側の反対側である回転方向第2側の端面を画定する第2面、及び前記第1面に形成された第1係合部、を有し、前記入力部材と相対回転可能に配置される出力部材と、
前記回転方向第1側を向く第1端面、及び前記回転方向第2側を向く第2端面、を有し、前記第1スプリング収容部及び前記第2スプリング収容部内に配置された第1コイルスプリングと、
前記出力部材の前記第1面と前記第1コイルスプリングの前記第1端面との間に配置される第1スプリングシートと、
を備え、
前記第1スプリングシートは、前記第1コイルスプリング内に挿入される保持部と、前記第1係合部と係合する第2係合部と、を有し、
前記第1係合部は、径方向内側を向く第1当接面を有し、
前記第2係合部は、径方向外側を向き前記第1当接面と対向する第2当接面を有する、
ダンパー装置。
【請求項2】
前記第1係合部は、前記第1当接面を含む凹部であり、
前記第2係合部は、前記第2当接面を含む、
請求項1に記載のダンパー装置。
【請求項3】
前記第1スプリングシートは、軸方向において互いに間隔をあけて配置され且つ前記回転方向第1側に延びる一対の突起部、を有し、
前記一対の突起部は、前記出力部材を軸方向に挟む、
請求項1又は請求項2に記載のダンパー装置。
【請求項4】
前記第1コイルスプリングの前記第2端面は、前記出力部材の前記第2面と当接する、
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のダンパー装置。
【請求項5】
捩り振動を吸収するトーションダンパと、
前記回転方向第1側を向く第3端面、及び前記回転方向第2側を向く第4端面、を有する第2コイルスプリングと、
第2スプリングシート及び第3スプリングシートと、
をさらに備え、
前記入力部材は、第3スプリング収容部を有し、
前記出力部材は、前記第3スプリング収容部に対応する位置に配置される第4スプリング収容部、前記第4スプリング収容部の前記回転方向第1側の端面を画定する第3面、前記第4スプリング収容部の前記回転方向第2側の端面を画定する第4面、を有し、
前記トーションダンパは、前記第2コイルスプリング内に配置され、
前記第2コイルスプリングは、前記第3スプリング収容部及び前記第4スプリング収容部内に配置され、
前記第2スプリングシートは、前記出力部材の前記第3面と前記第2コイルスプリングの前記第3端面との間に配置され、
前記第3スプリングシートは、前記出力部材の前記第4面と前記第2コイルスプリングの前記第4端面との間に配置される、
請求項4に記載のダンパー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダンパー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ダンパー装置は、入力部材と、出力部材と、出力部材と入力部材とを回転方向に弾性的に連結するコイルスプリングとから構成されている(例えば、特許文献1参照)。コイルスプリングは、入力部材に形成された第1スプリング収容部、及び出力部材に形成された第2スプリング収容部に収容されている。入力部材と出力部材とが相対回転すると、コイルスプリングは両部材間で回転方向に圧縮される。このダンパー装置によって、回転方向の捩じり振動が吸収・減衰される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-320029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のダンパー装置を、エンジン及び電動機を備えたハイブリッド車両に搭載することが望まれる。
【0005】
本発明の課題は、ハイブリッド車両に適したダンパー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、以下の課題を見出した。ハイブリッド車両においては、エンジンで発電する場合に、エンジンから一定のトルクがダンパー装置に入力され続ける。その結果、コイルスプリングの回転方向第1側の端部は、第1スプリング収容部の径方向内側を向く面のほぼ同じ位置に当接し摺動し続け、入力部材が局所的に摩耗しやすい。
【0007】
(1)本発明の一側面に係るダンパー装置は、エンジンからのトルク入力により回転方向第1側に回転する。ダンパー装置は、入力部材と、出力部材と、第1コイルスプリングと、第1スプリングシートと、を備える。入力部材は、第1スプリング収容部を有する。入力部材は、回転可能に配置される。出力部材は、第2スプリング収容部、第1面、第2面、及び第1係合部、を有する。第2スプリング収容部は、第1スプリング収容部に対応する位置に配置される。第1面は、第2スプリング収容部の回転方向第1側の端面を画定する。第2面は、第2スプリング収容部の回転方向第2側の端面を画定する。回転方向第2側は、回転方向第1側の反対側である。第1係合部は、第1面に形成されている。出力部材は、入力部材と相対回転可能に配置される。第1コイルスプリングは、第1端面、及び第2端面、を有する。第1端面は、回転方向第1側を向く。第2端面は、回転方向第2側を向く。第1コイルスプリングは、第1スプリング収容部及び第2スプリング収容部内に配置されている。第1スプリングシートは、出力部材の第1面と第1コイルスプリングの第1端面との間に配置される。第1スプリングシートは、保持部と、第2係合部と、を有する。保持部は、第1コイルスプリング内に挿入される。第2係合部は、第1係合部と係合する。第1係合部は、第1当接面を有する。第1当接面は、径方向内側を向く。第2係合部は、第2当接面を有する。第2当接面は、径方向外側を向き第1当接面と対向する。
【0008】
このように構成されたダンパー装置では、入力部材にトルクが入力されると、第1スプリングシート及び第1コイルスプリングを介して出力部材にトルクが伝達される。この際に発生する捩じり振動は、入力部材と出力部材とが相対回転し、第1コイルスプリングが回転方向に圧縮されることによって吸収・減衰される。このとき、第1コイルスプリングは、出力部材と入力部材との間に挟まれて圧縮される。
【0009】
ここで、ダンパー装置は、ハイブリッド車両において入力部材の摩耗が発生しやすい部分である、第1コイルスプリングの回転方向第1側の端部と入力部材とが当接する部分に第1スプリングシートを備える。第1コイルスプリングは、第1スプリングシートにより保持されている。出力部材の第1係合部は、径方向内側を向く第1当接面を有し、第1スプリングシートの第2係合部は、径方向外側を向き第1当接面と対向する第2当接面を有する。第1当接面と第2当接面とが当接することにより、第1スプリングシートの径方向の移動が規制される。これにより、ハイブリッド車両において、第1コイルスプリングが、入力部材と出力部材との間で圧縮される状態が長時間続いても、第1コイルスプリングの回転方向第1側の端部は、第1スプリング収容部の径方向内側を向く面に当接することがない。第1スプリングシートも、径方向に移動して入力部材に当接することがなくなる。その結果、入力部材の摩耗が防止できる。
【0010】
(2)好ましくは、第1係合部は、第1当接面を含む凹部である。第2係合部は、第2当接面を含む。
【0011】
(3)好ましくは、第1スプリングシートは、一対の突起部を有する。一対の突起部は、軸方向において互いに間隔をあけて配置される。一対の突起部は、回転方向第1側に延びる。一対の突起部は、出力部材を軸方向に挟む。
【0012】
この構成によれば、第1スプリングシートは、第1コイルスプリングの軸方向の移動も規制することができる。
【0013】
(4)好ましくは、第1コイルスプリングの第2端面は、出力部材の第2面と当接する。この構成によれば、第1コイルスプリングの回転方向第2側の端部には第1スプリングシートが配置されない。つまり、第2スプリング収容部の回転方向第1側にのみ第1スプリングシートを配置する。
【0014】
(5)好ましくは、ダンパー装置は、トーションダンパと、第2コイルスプリングと、第2スプリングシート及び第3スプリングシートと、をさらに備える。トーションダンパは、捩り振動を吸収する。第2コイルスプリングは、回転方向第1側を向く第3端面、及び回転方向第2側を向く第4端面、を有する。入力部材は、第3スプリング収容部を有する。出力部材は、第4スプリング収容部、第3面、及び、第4面、を有する。第4スプリング収容部は、第3スプリング収容部に対応する位置に配置される。第3面は、第4スプリング収容部の回転方向第1側の端面を画定する。第4面は、第4スプリング収容部の回転方向第2側の端面を画定する。トーションダンパは、第2コイルスプリング内に配置される。第2コイルスプリングは、第3スプリング収容部及び第4スプリング収容部内に配置される。第2スプリングシートは、出力部材の第3面と第2コイルスプリングの第3端面との間に配置される。第3スプリングシートは、出力部材の第4面と第2コイルスプリングの第4端面との間に配置される。
【発明の効果】
【0015】
以上のような本発明では、ハイブリッド車両に適したダンパー装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態であるダンパー装置の平面図。
図2】本発明の一実施形態であるダンパー装置の断面図。
図3】出力部材の平面図。
図4】スプリングシートの側面図。
図5】スプリングシートの斜視図。
図6】ハブフランジ及びスプリングシートの部分拡大断面図。
図7】エンジンからのトルクが入力されている状態でのダンパー装置の部分拡大図。
図8】本発明の変形例であるダンパー装置の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[全体構成]
図1は、本発明の一実施形態であるダンパー装置100の平面図である。ダンパー装置100は、エンジン(図示せず)及び電動機(図示せず)を備えたハイブリッド車両に搭載される。図2は、本発明の一実施形態であるダンパー装置100の断面図である。ダンパー装置100は、エンジンからのトルク入力により回転方向第1側に回転する。図1の矢印R1は、回転方向第1側であり、矢印R2はその反対側である回転方向第2側である(以下の図において同様)。図2のダンパー装置100の左側には、エンジン及びフライホイール(図示せず)が配置され、図2のダンパー装置100の右側には、電動機やトランスミッション(図示せず)が配置されている。
【0018】
図2の断面図において、O-O線が回転軸線である。なお、以下の説明において、特に説明のない限り「軸方向」とは回転軸線の方向を示す。また、「径方向」とは、回転軸Oを中心とした円の半径方向を意味する。
【0019】
図1及び図2に示すように、ダンパー装置100は、入力部材2と、出力部材3と、複数の第1コイルスプリング4と、複数の第2コイルスプリング9と、複数の第1スプリングシート5と、複数の第2スプリングシート7と、複数の第3スプリングシート8と、複数のトーションダンパ6と、から構成されている。
【0020】
[入力部材]
入力部材2は、フライホイール(図示せず)からトルクが入力される部材である。入力部材2は、回転可能に配置される。入力部材2は、複数の第1スプリング収容部21と、複数の第3スプリング収容部24と、を有する。入力部材2は、第1プレート22と、第2プレート23と、からなる。
【0021】
第1プレート22及び第2プレート23は、ともに中心孔を有する環状の部材である。第1プレート22及び第2プレート23は、互いに対して軸方向に所定の間隔をあけて配置されている。第1プレート22はエンジン側に配置され、第2プレート23はトランスミッション側に配置されている。第1プレート22と第2プレート23とは一体回転する。
【0022】
第1プレート22及び第2プレート23は、それぞれ第1スプリング収容部21を有している。第1プレート22及び第2プレート23はさらに、それぞれ第3スプリング収容部24を有している。本実施形態では、一対の第1スプリング収容部21が径方向に中心孔を挟んで配置されている。また、一対の第3スプリング収容部24が径方向に中心孔を挟んで配置されている。第1スプリング収容部21及び第3スプリング収容部24は、軸方向に貫通した孔である。
【0023】
[出力部材]
出力部材3は、入力部材2からのトルクをトランスミッション(図示せず)に伝達するための部材である。出力部材3は、入力部材2と相対回転可能に配置される。
【0024】
図3に示すように、出力部材3は、複数の第2スプリング収容部31及び複数の第4スプリング収容部34を有する。また、出力部材3は、ハブ32と、ハブフランジ33と、を有する。第2スプリング収容部31及び第4スプリング収容部34は、ハブフランジ33に配置されている。第2スプリング収容部31は、第1スプリング収容部21に対応する位置に配置される。第4スプリング収容部34は、第3スプリング収容部24に対応する位置に配置される。
【0025】
ハブ32は筒状の部材であり、第1プレート22及び第2プレート23の中心孔内に配置されている。ハブ32は、この中心孔に挿入されたトランスミッションの入力シャフト(図示せず)が、ハブ32の中心孔にスプライン嵌合している。ハブフランジ33は環状の部材であり、ハブ32に対して径方向外周側に配置される。
【0026】
ハブフランジ33には、第1コイルスプリング4を収容するための第2スプリング収容部31が形成されている。ハブフランジ33にはさらに、第2コイルスプリング9を収容するための第4スプリング収容部34が形成されている。本実施形態において、第2スプリング収容部31は、第1スプリング収容部21に対応する位置に2つ形成されている。第4スプリング収容部34は、第3スプリング収容部24に対応する位置に2つ形成されている。
【0027】
ハブフランジ33は、第1面331と、第2面332と、第3面334と、第4面335と、を有する。第1面331は、第2スプリング収容部31の回転方向第1側の端面を画定する。第2面332は、第2スプリング収容部31の回転方向第2側の端面を画定する。第3面334は、第4スプリング収容部34の回転方向第1側の端面を画定する。第4面335は、第4スプリング収容部34の回転方向第2側の端面を画定する。第3面334は、第1面331と同様の構成を有する。第4面335は、第1面331に準ずる構成を有する。
【0028】
ハブフランジ33は、第1係合部333を有する。第1係合部333は、第1面331に形成されている。平面方向視において、第1係合部333は、円弧状である。第1係合部333は、回転方向第1側に向かって窪む凹部である。凹部は、第1当接面3331を含む。第1当接面3331は、径方向内側を向く。
【0029】
第1面331は、誤組防止面3332を含む。誤組防止面3332は、第1係合部333に対して径方向内側に形成されている。誤組防止面3332は、第1係合部333の回転方向第1側を画定する面に対して回転方向第2側に形成されている。
【0030】
[第1コイルスプリング]
図1に示すように、第1コイルスプリング4は、第1スプリング収容部21及び第2スプリング収容部31内に配置されている。
【0031】
第1コイルスプリング4は、回転方向第1側を向く第1端面41、及び前記回転方向第2側を向く第2端面42、を有する。第1スプリング収容部21及び第2スプリング収容部31において、第2端面42は、出力部材3の第2面332と当接する。
【0032】
[第2コイルスプリング]
図1に示すように、第2コイルスプリング9は、第3スプリング収容部24及び第4スプリング収容部34内に配置されている。第2コイルスプリング9は、回転方向第1側を向く第3端面91、及び前記回転方向第2側を向く第4端面92、を有する。
【0033】
[トーションダンパ]
トーションダンパ6は、捩り振動を吸収する。トーションダンパ6は、第2コイルスプリング9内に配置されている。トーションダンパ6は、第3スプリング収容部24及び第4スプリング収容部34内に配置される。第1スプリング収容部21及び第2スプリング収容部31には、トーションダンパ6は配置されない。第2コイルスプリング9が圧縮していない状態において、トーションダンパ6の両端面は、入力部材2、出力部材3、第2スプリングシート7,及び、第3スプリングシート8のいずれにも接触していない。
【0034】
[第1スプリングシート]
第1スプリングシート5は、出力部材3の第1面331と第1コイルスプリング4の第1端面41との間に配置される。第1スプリングシート5は、第1スプリング収容部21及び第2スプリング収容部31の回転方向第1側に配置される。第1スプリングシート5は、第1スプリング収容部21及び第2スプリング収容部31において、出力部材3の第2面332と第1コイルスプリング4の第2端面42との間には配置されない。
【0035】
第1スプリングシート5は、第1コイルスプリング4の回転方向第1側の端部を径方向及び軸方向に移動不能に保持する。第1スプリングシート5の材質は、硬質樹脂又は弾性樹脂材料である。
【0036】
図4及び図5に示すように、第1スプリングシート5は、保持部51と、第2係合部52と、一対の突起部53と、一対の座面部54と、誤組防止部56と、を有する。
【0037】
保持部51は、第1コイルスプリング4内に挿入される。保持部51は、第1コイルスプリング4の回転方向第1側の端部を径方向及び軸方向に移動不能に保持する。保持部51の回転方向第1側の面は、出力部材3の第1面331に当接する。
【0038】
保持部51は、突起511を有する。突起511は、保持部51の回転方向第2側の端面から回転方向第2側に延びる。突起511は、径方向外側を向きつつ回転方向第2側を向くように傾斜する面を有する。
【0039】
第2係合部52は、保持部51の回転方向第1側の端面から回転方向第1側に延びる。軸方向視において、第2係合部52は、円弧状である。第2係合部52の軸方向の長さは、出力部材3の厚さ方向の長さよりも長い。第2係合部52の基端部は、第1面331に当接していない。第2係合部52は、出力部材3の第1係合部333と係合する。
【0040】
図6に示すように、第2係合部52は、第2当接面521を含む。第2当接面521は、径方向外側を向き、出力部材3の第1当接面3331と対向する。
【0041】
図4及び図5に示すように、一対の突起部53は、保持部51の回転方向第1側の端面から回転方向第1側に延びる。一対の突起部53は、軸方向において互いに間隔をあけて配置される。一対の突起部53の間には、第2係合部52が配置されている。つまり、第2係合部52の軸方向の両端部は、それぞれ、一対の突起部53につながっている。一対の突起部53は、出力部材3を軸方向に挟む。
【0042】
一対の座面部54はそれぞれ、一対の突起部53の外周面から一対の突起部53に対して径方向外側に突出する。座面部54は、第1コイルスプリング4の第1端面41を支持する。
【0043】
誤組防止部56は、保持部51の回転方向第1側の端面から回転方向第1側に延びる。誤組防止部56は、第2係合部52に対して径方向内側に配置されている。誤組防止部56は、出力部材3の第1面331に形成された誤組防止面3332に当接する。誤組防止部56は、第1スプリングシート5を出力部材3に組付ける際に、誤組防止部56と誤組防止面3332が組合う方向でのみ組付けられるようにする。具体的には、突起511が径方向外側を向く角度になる方向でのみ、第1スプリングシート5を出力部材3に組付けられるようにする。これにより、第1スプリングシート5の誤組を防止する。
【0044】
[第2スプリングシート及び第3スプリングシート]
第2スプリングシート7は、第3スプリング収容部24及び第4スプリング収容部34に配置される。第2スプリングシート7は、出力部材3の第3面334と第2コイルスプリング9の第3端面91との間に配置される。これにより、第2スプリングシート7は、トーションダンパ6が安定して荷重を伝えられるようにすることができる。第2スプリングシート7の配置以外の構成は、第1スプリングシート5と同様である。
【0045】
第3スプリングシート8は、第3スプリング収容部24及び第4スプリング収容部34に配置される。第3スプリングシート8は、出力部材3の第4面335と第2コイルスプリング9の第4端面92との間に配置される。これにより、第3スプリングシート8は、トーションダンパ6が安定して荷重を伝えられるようにすることができる。第3スプリングシート8の配置以外の構成は、第1スプリングシート5と同様である。
【0046】
[動作及び作用効果]
図1及び図4図7に示すように、ハブフランジ33に対して入力部材2を回転方向第1側に捩っていくと、第1コイルスプリング4は、入力部材2により押圧され第1スプリング収容部21及び第2スプリング収容部31内で回転方向第1側に圧縮される。第1コイルスプリング4の回転方向第2側の端部は入力部材2に当接して保持されている。一方で、第1コイルスプリング4の回転方向第1側の端部は入力部材2から離れ、出力部材3のみに当接する状態になる。第1コイルスプリング4の回転方向第1側の端部はさらに、遠心力により入力部材2の第1スプリング収容部21の径方向外側に移動しようとする。本実施形態においては、第1コイルスプリング4の回転方向第1側の端部は、第1スプリングシート5の保持部51に保持されている。第1スプリングシート5の第2係合部52は、ハブフランジ33の第1係合部333に係合している。これにより、ハイブリッド車両において、エンジンから一定のトルクがダンパー装置100に入力され続けても、第1コイルスプリング4の回転方向第1側の端部は、第1スプリング収容部21の径方向内側を向く面に当接することがない。第1スプリングシート5も、径方向に移動して入力部材2に当接することがない。その結果、入力部材2の摩耗が防止できる。
【0047】
[他の実施形態]
本発明は、以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。
【0048】
変形例1
上記実施形態では、第1係合部333を凹部とし、第2係合部52を係合させたが、特にこれに限定されない。第1係合部333を凸部とし、第2係合部52を凹部として、第2係合部52である凹部に第1係合部333である凸部を係合させてもよい。
【0049】
変形例2
上記実施形態では、第1係合部333及び第2係合部52は、円弧状の断面を有していたが、特にこれに限定されない。第1係合部333及び第2係合部52は、矩形状の断面を有していてもよい。
【0050】
変形例3
上記実施例では、ダンパー装置100は、トーションダンパ6を備えたが、特にこれに限定されない。図8に示すように、ダンパー装置100は、トーションダンパ6を備えなくてもよい。
【0051】
変形例4
上記実施形態では、第2スプリングシート7及び第3スプリングシート8の配置以外の構成は、第1スプリングシート5と同様であるとしたが、特にこれに限定されない。第2スプリングシート7及び第3スプリングシート8の配置以外の構成は、第1スプリングシート5と異なっていてもよい。
【符号の説明】
【0052】
2 入力部材
3 出力部材
4 第1コイルスプリング
5 第1スプリングシート
7 第2スプリングシート
8 第3スプリングシート
9 第2コイルスプリング
21 第1スプリング収容部
31 第2スプリング収容部
24 第3スプリング収容部
34 第4スプリング収容部
32 ハブ
33 ハブフランジ
41 第1端面
42 第2端面
52 第2係合部
53 突起部
91 第3端面
92 第4端面
100 ダンパー装置
331 第1面
332 第2面
333 第1係合部
334 第3面
335 第4面
521 第2当接面
3331 第1当接面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8