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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084467
(43)【公開日】2023-06-19
(54)【発明の名称】下肢用サポーター
(51)【国際特許分類】
   A61G 7/10 20060101AFI20230612BHJP
【FI】
A61G7/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021198658
(22)【出願日】2021-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】521493503
【氏名又は名称】ハーベストクラフト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(72)【発明者】
【氏名】土井 淳
【テーマコード(参考)】
4C040
【Fターム(参考)】
4C040AA11
4C040FF20
4C040GG20
(57)【要約】
【課題】対象者の脚を持ち上げやすくして、対象者の脚の移動を適切に補助することが可能であり、さらに、脚の移動以外の他の目的においても使用可能とする。
【解決手段】下肢に巻き付けられる本体部10と、本体部10から互いに逆方向に延び、本体部10より幅が狭い2つのバンド部20と、2つのバンド部10の端部にそれぞれ設けられ、本体部10の装着部11、12に対して着脱可能な面ファスナー30と、本体部10に設けられる持ち手40と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下肢に巻き付けられる本体部と、
前記本体部から互いに逆方向に延び、前記本体部より幅が狭い2つのバンド部と、
前記2つのバンド部の端部にそれぞれ設けられ、前記本体部の装着部に対して着脱可能な面ファスナーと、
前記本体部に設けられる持ち手と、を備える下肢用サポーター。
【請求項2】
前記装着部は、前記本体部を下肢に巻き付けた際に、前記2つのバンド部をクロスさせた状態で前記面ファスナーを装着可能とする領域を含んで設けられている、請求項1に記載の下肢用サポーター。
【請求項3】
前記持ち手は、前記本体部の表面側において2つ並んで設けられる、請求項1又は請求項2に記載の下肢用サポーター。
【請求項4】
2つの前記持ち手のそれぞれに設けられる接続部と、
2つの前記接続部に対してそれぞれ着脱可能であり、2つの前記接続部の間をつなぐベルトを有するアタッチメントと、をさらに備える、請求項3に記載の下肢用サポーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下肢用サポーターに関する。
【背景技術】
【0002】
自力で下肢を動かすことが困難な者においては、座る位置を移動する場合、自身の腕で下肢を持ち上げて移動させるか、又は介助者などが対象者の下肢を持ち上げて移動させることが行われている。このような下肢の移動を補助するため、対象者の下肢に巻き付けられる下肢用サポーターが知られている(例えば、特許文献1等参照)。特許文献1の下肢用サポーターは、対象者の両方の下肢にそれぞれ巻き付けられる部分と、これらを連結する部分とを備えており、介助者は、例えば、連結する部分を把持して持ち上げることで対象者の下肢を持ち上げて移動させることを可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-24295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の下肢用サポーターは、両方の下肢に巻き付けられる部分が連結しているため、対象者が自身の腕で両方の脚を持ち上げるには力がいる場合があり、対象者の負担が大きくなる。また、片方の脚を移動させたい場合などでは対応することができないといった課題がある。さらに、特許文献1の下肢用サポーターは、対象者の脚の移動を目的として用いられるだけであり、他の目的に用いることができず、汎用性が低いといった課題がある。
【0005】
本発明は、対象者の脚を持ち上げやすくして、対象者の脚の移動を適切に補助することが可能であり、さらに、脚の移動以外の目的においても使用することが可能な下肢用サポーターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係る下肢用サポーターは、下肢に巻き付けられる本体部と、本体部から互いに逆方向に延び、本体部より幅が狭い2つのバンド部と、2つのバンド部の端部にそれぞれ設けられ、本体部の装着部に対して着脱可能な面ファスナーと、本体部に設けられる持ち手とを備える。
【0007】
また、上記態様に係る下肢用サポーターにおいて、装着部は、本体部を下肢に巻き付けた際に、2つのバンド部をクロスさせた状態で面ファスナーを装着可能とする領域を含んで設けられてもよい。また、上記態様に係る下肢用サポーターにおいて、持ち手は、本体部の表面側において2つ並んで設けられてもよい。また、上記態様に係る下肢用サポーターにおいて、2つの持ち手のそれぞれに設けられる接続部と、2つの前記接続部に対してそれぞれ着脱可能であり、2つの接続部の間をつなぐベルトを有するアタッチメントと、をさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0008】
上記態様に係る下肢用サポーターによれば、対象者又は介助者が持ち手を把持して持ち上げることで、対象者の脚を容易に持ち上げることができ、対象者の脚の移動を容易に行うことができる。また、下肢用サポーターが片脚ごとに装着されるので、対象者が自身の腕の力で脚を移動させる場合に負担を軽減できる。また、対象者が仰向けに寝た状態、又は少し起きた状態で、下肢用サポーターを自身の腕で把持して上半身側に引き付けることにより、対象者の腹圧を高めることが可能となり、対象者自身による排泄を保保することができる。また、対象者が座った状態で、下肢用サポーターを自身の腕で把持して持ち上げることで、自身の脚の重さを負荷とした上腕のトレーニングを行うことができる。すなわち、上記態様に係る下肢用サポーターは、脚の移動以外の目的にも使用することができ、汎用性を高めることができる。
【0009】
また、装着部が、本体部を下肢に巻き付けた際に、2つのバンド部をクロスさせた状態で面ファスナーを装着可能とする領域を含んで設けられる形態では、大腿部、下腿部などのふくらみに本体部を密着させることができ、下肢用サポーターのズレを防止できる。また、持ち手が、本体部の表面側において2つ並んで設けられる形態では、対象者又は介助者が2つの持ち手をまとめて把持することで、一方の持ち手が切れた場合でも脚を持ち上げた状態を維持できる。また、2つの持ち手のそれぞれに設けられる接続部と、2つの前記接続部に対してそれぞれ着脱可能であり、2つの接続部の間をつなぐベルトを有するアタッチメントと、をさらに備える形態では、例えば、下肢用サポーターを下腿に装着した場合など、持ち手が遠くなる場合にアタッチメントを把持することで、容易に下肢用サポーターを持ち上げ又は引き寄せることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る下肢用サポーターの一例を示す図である。
図2】下肢用サポーターを下肢に装着した状態の一例を示す図である。
図3】下肢用サポーターを下肢に装着した状態を他の方向から見た一例を示す図である。
図4】アタッチメントの一例を示す図である。
図5】アタッチメントを接続部に取り付ける場合の一例を示す図である。
図6】アタッチメントが2つの接続部に取り付けられた状態の一例を示す図である。
図7】下肢用サポーターの使用態様の一例を示す図である
図8】下肢用サポーターの使用態様の他の例を示す図である
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は説明する内容に限定されない。また、図面においては実施形態を説明するため、一部分を大きく又は強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現しており、実際の製品とは形状、寸法が異なっている場合がある。以下の各図の方向については、矢印を用いて示している。矢印の両側には+、-が付してあり、それぞれ+方向と-方向とを示している。
【0012】
図1は、本実施形態に係る下肢用サポーター100の一例を示す図である。図1は、下肢用サポーター100を開いた状態を示している。下肢用サポーター100は、開いた状態において、図1に示すように、一方向に延びた状態で帯状に形成されている。以下、下肢用サポーター100が延びる方向(長手方向)を第1方向D1と表記し、幅方向(短手方向)を第2方向D2と表記する。図1に示すように、下肢用サポーター100は、本体部10と、バンド部20と、面ファスナー30と、持ち手40と、接続部50と、後述するアタッチメント60とを備える。
【0013】
本体部10は、下肢の一部に巻き付けられる。本体部10は、例えば、下肢の大腿部(太腿)、下腿部(脹脛)などに巻き付けられるが、その他に膝、足首などの関節部分に巻き付けられてもよい。本体部10は、図1に示す状態において、紙面の奥側の面が下肢側に当接される。以下、下肢側に当接される面を裏面と表記し、裏面の反対側の面、すなわち紙面の手前側の面を表面と表記する。
【0014】
本体部10は、柔軟性かつ伸縮性を有する化学繊維などの素材により形成される。ただし、本体部10は、伸縮性がない素材(例えば布など)により形成されてもよい。本体部10は、第1方向D1の両側に向けて幅が小さくなるように形成される。本実施形態において、本体部10は、略平行四辺形状に形成される。つまり、本体部10は、第2方向D2の一方側(図1の左側)の短辺と他方側(図1の右側)の短辺とがほぼ平行となるように形成されている。
【0015】
また、本体部10は、第1方向D1の一方側(図1の上側)に向けて、第2方向D2の一方側(図1の右側)の短辺が他方側(図1の左側)に傾くように幅が小さくなる。以下、この部分を縮幅部10aと表記する。これに対して、本体部10は、第1方向D1の他方側(図1の下側)に向けて、第2方向D2の他方側(図1の左側)の短辺が一方側(図1の右側)に傾くように幅が小さくなる。以下、この部分を縮幅部10bと表記する。
【0016】
本体部10は、装着部11、12と、固定バンド13、14とを有する。装着部11、12は、後述する面ファスナー30を装着する領域として用いられる。装着部11、12は、面ファスナー30を着脱可能とするように形成されている。装着部11、12は、それぞれ本体部10の表面側に形成される。装着部11は、本体部10のうち第1方向D1の一方(図1の上側)の縮幅部10aに配置される。装着部12は、本体部10のうち第1方向D1の他方(図1の下側)の縮幅部10bに配置される。装着部11、12は、本体部10の縮幅部10a、10bにおいてほぼ全体に亘って設けられる。
【0017】
固定バンド13、14は、後述する持ち手40を本体部10に取り付けるために用いられる。固定バンド13、14は、化学繊維、布などの柔軟性を有する素材により形成されている。固定バンド13、14は、本体部10の表面側において、本体部10の第2方向D2の全体に亘って設けられる。固定バンド13、14は、持ち手40を挟んで本体部10に縫い付けられることにより固定される。固定バンド13と固定バンド14とは、第1方向D1に間隔をあけて平行して配置される。固定バンド13は、第1方向D1の一方側(図1の上側)に配置される。固定バンド14は、第1方向D1の他方側(図1の下側)に配置される。持ち手40の取り付けに固定バンド13、14を用いることで、持ち手40の強度を高めることができる。
【0018】
バンド部20は、本体部10から互いに逆方向に延びるように設けられる。バンド部20は、本体部10より幅が狭い。バンド部20は、本体部10と同一の素材により一体に形成されている。なお、2つのバンド部20を区別する場合、上側をバンド部21と表記し、下側をバンド部22と表記する。バンド部21は、本体部10の縮幅部10aから第1方向D1の一方側に向けて延びている。バンド部22は、本体部10の縮幅部10bから第1方向D1の他方側に向けて延びている。バンド部20の長さは、装着する部分の大きさに合わせて適宜設定される。
【0019】
面ファスナー30は、2つのバンド部21、22の第1方向D1の端部においてそれぞれ設けられる。以下、2つの面ファスナーを区別する場合、バンド部21に設けられる面ファスナー30を面ファスナー31と表記し、バンド部22に設けられる面ファスナー30を面ファスナー32と表記する。面ファスナー31は、本体部10の装着部12に対して着脱可能であり、面ファスナー32は、本体部10の装着部11に対して着脱可能である。面ファスナー31、32は、バンド部21、22のそれぞれにおける裏面側に設けられる。
【0020】
持ち手40は、本体部10において第1方向D1に並んだ状態で設けられる。2つの持ち手40は、上記したバンド部13、14によって、それぞれ両端部が本体部10に縫い付けられた状態で固定される。2つの持ち手40は、それぞれ例えば帯状又は紐状に形成される。持ち手40は、対象者(装着者)又は介助者が手で把持可能な大きさ、あるいは対象者又は介助者の腕を通すことが可能な大きさに設定される。2つの持ち手40は、同一又はほぼ同一の大きさに設定される。2つの持ち手40は、本体部10の表面側において第2方向D2に沿い、かつ第1方向D1に間隔をあけた状態で平行して設けられる。このため、対象者又は介助者が2つの持ち手40をまとめて把持することが可能である。この構成により、例えば、一方の持ち手40が切れた場合でも脚を持ち上げた状態を維持できるようになっている。持ち手40は、例えば帯状又は紐状に形成される。なお、持ち手40は、本体部10に2つ設けられることに限定されず、1つ又は3つ以上設けられてもよい。
【0021】
接続部50は、2つの持ち手40のそれぞれに設けられる。接続部50は、持ち手40に取り付けられる基部51と、後述するアタッチメント60が装着される取付部52とを有する。基部51は、持ち手40の長手方向に沿って移動可能に取り付けられる。接続部50は、持ち手40の長手方向に移動させることにより、取付部52の位置、つまり後述するアタッチメント60の取付位置を長手方向に調節することが可能である。
【0022】
図2は、下肢用サポーター100を下肢Rに装着した状態の一例を示す図である。図3は、下肢用サポーター100を下肢Rに装着した状態を他の方向から見た一例を示す図である。図2に示すように、下肢用サポーター100は、本体部10の裏面側を下肢Rに接触させて巻き付け、バンド部21に備える面ファスナー31を装着部12に取り付け、バンド部22に設けられる面ファスナー32を装着部11に取り付けることで、図2に示す状態となる。
【0023】
図2に示すように、装着部11、12は、本体部10を下肢Rに巻き付けた際に、2つのバンド部21、22をクロスさせた状態で面ファスナー31、32を装着可能とする領域を含んで設けられている。このため、図3に示すように、下肢Rのうち大腿部又は下腿部などのふくらみがある部分であっても、本体部10を下肢Rに密着させることができ、下肢用サポーター100のズレを防止できる。また、本体部10は伸縮性を有しているので、下肢Rのふくらみに対して容易に密着可能である。さらに、本体部10及びバンド部21、22の伸縮性により、下肢Rに対して締め付けた状態で下肢用サポーター100を下肢Rに装着することができる。なお、本体部10の裏面にはメッシュ素材などの滑り止めが設けられてもよい。この滑り止めにより、下肢用サポーター100のズレをより一層効果的に防止できる。
【0024】
また、図3に示すように、下肢Rに下肢用サポーター100を装着した際には、持ち手40が本体部10の表面側に配置されており、対象者又は介助者が持ち手40を把持することが可能となっている。接続部50は、持ち手40の長手方向に沿って移動可能であるので、対象者又は介助者が持ち手40を把持する際には、接続部50を持ち手40の端部に移動させて、把持の邪魔とならないようにすることができる。
【0025】
図4は、アタッチメント60の一例を示す図である。図4に示すように、アタッチメント60は、2つの接続部50に対してそれぞれ着脱可能である。アタッチメント60は、ベルト61と、被取付部62と、長さ調節部63と、カバー64とを有する。ベルト61は、非伸縮性の素材により帯状に形成されているが、この形態に限定されず紐状であってもよい。2つの被取付部62は、ベルト61の両端にそれぞれ取り付けられている。被取付部62は、それぞれ接続部50の取付部52に対して着脱可能に設けられる。なお、図4では、被取付部62の形状を省略して示している。
【0026】
長さ調節部63は、ベルト61の長さを調節する。つまり、長さ調節部63により、2つの被取付部62の間の長さを調節することができる。カバー64は、ベルト61のうち長手方向の中央部を覆うように配置される。カバー64は、ベルト61の長手方向に沿って移動可能であってもよい。カバー64は、柔軟性を有する素材で形成される。なお、カバー64は、ベルト61から取り外し可能であってもよい。また、ベルト61は、カバー64を備えていない形態であってもよい。
【0027】
図5は、アタッチメント60を接続部50に取り付ける場合の一例を示す図である。図5に示すように、アタッチメント60を接続部50に取り付ける場合、アタッチメント60における被取付部62と、接続部50の取付部52との位置を合わせる。この状態で、被取付部62を取付部52に差し込むことにより、被取付部62が取付部52(接続部50)に装着される。なお、図示していないが、被取付部62又は取付部52を操作することで、被取付部62を取付部52から取り外すことができる。
【0028】
図6は、アタッチメント60が2つの接続部50に取り付けられた状態の一例を示す図である。アタッチメント60の2つの被取付部62を2つの接続部50にそれぞれ装着することにより、図6に示すように、アタッチメント60のベルト61が、2つの接続部50を基端として環状となるように配置される。このように、下肢用サポーター100を開Rの下腿部、足首等に装着した場合など、対象者又は介助者から持ち手40が遠くなる場合に、対象者又は介助者がアタッチメント60を持つことで、容易に下肢用サポーター100を持ち上げ又は引き寄せることができる。
【0029】
図7は、下肢用サポーター100の使用態様の一例を示す図である。図7では、アタッチメント60を取り付けない状態で、対象者が持ち手40を使用する場合の例を示している。図7に示すように、本体部10を対象者の両方の下肢Rの大腿部にそれぞれ下肢用サポーター100装着し、持ち手40に対象者の手を通した状態で手を上げることで、両方の下肢Rを持ち上げることができる。対象者は、例えば左大腿部に取り付けられる下肢用サポーター100の持ち手40に右手を通し、右大腿部に取り付けられる下肢用サポーター100の持ち手40に左手を通して、両手又は片方の手を上げることで、両方又は一方の下肢Rを持ち上げることができる。
【0030】
なお、対象者は、持ち手40に手を通すことに代えて、持ち手40を手で握った状態で持ち上げることにより下肢Rを持ち上げてもよい。ただし、図7に示すように、持ち手40に手を通して用いることで、対象者の把持力が少ない場合であっても下肢Rを容易に持ち上げることができる。また、対象者が便器に座った状態で両方の下肢Rを持ち上げることで、対象者の腹圧を高めることが可能となり、対象者の排便等を補助することができる。また、介助者は、持ち手40を把持することで、容易に対象者の下肢Rを持ち上げることができ、対象者の移乗などの介助作業における負担を軽減できる。対象者は、持ち手40を把持し、又は手を通した状態で手を持ち上げることで上腕のトレーニングを行うことができる。
【0031】
図8は、下肢用サポーター100の使用態様の他の例を示す図である。図8では、アタッチメント60を取り付けた状態で、対象者がアタッチメント60を持つ場合の例を示している。対象者が自力で起き上がることが難しい場合において、排泄を行うときに下肢用サポーター100を使用する。この場合、下肢用サポーター100を両方の下肢Rの下腿部にそれぞれ巻き付ける。アタッチメント60は、予め下肢用サポーター100に取り付けておいてもよいし、下腿部に下肢用サポーター100を巻き付けた後に取り付けてもよい。
【0032】
図8に示すように、対象者は、寝た状態又は少し起きた状態で、アタッチメント60を引っ張り、下肢Rを自身の上半身側に移動させることで腹圧を上げることができ、自力で排便を行うことが可能となる。下肢用サポーター100を大腿部に装着した場合を比べて、下肢用サポーター100を下腿部に装着して引っ張る方が、寝た状態の対象者において下肢Rを容易に引き寄せることが可能となる。この場合、下肢用サポーター100が対象者の手から遠くなるが、対象者がアタッチメント60を持つことで容易に下肢用サポーター100を引き寄せることができる。
【0033】
このように、本実施形態に係る下肢用サポーター100によれば、対象者又は介助者が持ち手40を把持して持ち上げることで、対象者の脚(下肢R)を容易に持ち上げることができ、対象者の脚の移動を容易に行うことができる。また、下肢用サポーター100が片脚ごとに装着されるので、対象者が自身の腕の力で脚を移動させる場合に負担を軽減できる。また、対象者が仰向けに寝た状態、又は少し起こした状態で、下肢用サポーター100を自身の腕で把持して上半身側に引き付けることにより、対象者の腹圧を高めることが可能となり、対象者自身による排泄を保保することができる。また、対象者が座った状態で、下肢用サポーター100を自身の腕で把持して持ち上げることで、自身の脚の重さを負荷とした上腕のトレーニングを行うことができる。すなわち、下肢用サポーター100は、脚の移動以外の目的にも使用することができ、汎用性を高めることができる。
【0034】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態に限定されない。上記した実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることは当業者において明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。上記した実施形態等で説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上記した実施形態等で説明した要件は、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0035】
D1・・・第1方向
D2・・・第2方向
10・・・本体部
10a,10b・・・縮幅部
11,12,62・・・装着部
11a,12a・・・領域
13,14,20,21,22・・・バンド部
30,31,32・・・面ファスナー
40・・・手
50・・・接続部
51・・・取付部
52・・・被装着部
60・・・アタッチメント
61・・・ベルト
63・・・調節部
64・・・カバー
100・・・下肢用サポーター
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8