(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008454
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】フォークリフトの差し込み制限用器具及び差し込み制限用器具群
(51)【国際特許分類】
B66F 9/12 20060101AFI20230112BHJP
【FI】
B66F9/12 F
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021112025
(22)【出願日】2021-07-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】501379443
【氏名又は名称】兼子産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】稲田 英治
(72)【発明者】
【氏名】河野 孝善
(72)【発明者】
【氏名】奥村 哲也
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AE02
3F333AE40
3F333DB10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】フォークリフトのフォークのパレットへの差し込み量を制限できる差し込み制限用器具及び差し込み制限用器具群を提供する。
【解決手段】屈曲部の曲面に切り欠き部61が対向して位置するように、1つの差し込み制限用器具21の底面43をフォークの水平部の表面に載置し、永久磁石の磁力により固定する。2つ以上の差し込み制限用器具を連結する場合は、既に水平部に固定した差し込み制限用器具の背面49に、次に載置する差し込み制限用器具の正面41を当接させて磁力により固定する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォークリフトのフォークに着脱可能に固定される固定具と、
前記フォークに取り付けられた状態で、前記フォークの根元側に位置し、フォークの表面と所定の角度を形成する正面と、
前記フォークに取り付けられた状態で、前記フォークの先端側に位置し、フォークの表面と所定の角度を形成する背面と、
前記正面には、前記フォークの根元側に固定された状態で、前記フォークの根元の角部の曲面を避けるための切り欠き部が形成されている
フォークリフトの差し込み制限用器具。
【請求項2】
前記正面又は背面には、表面又は当該表面に磁力が生じる位置に永久磁石が設けられている
請求項1に記載のフォークリフトの差し込み制限用器具。
【請求項3】
前記正面及び前記背面のうち前記永久磁石が設けられていない面は、磁性体である
請求項1又は請求項2に記載のフォークリフトの差し込み制限用器具。
【請求項4】
前記固定具は、底面に設けられた永久磁石である
請求項1~3のいずれかに記載のフォークリフトの差し込み制限用器具。
【請求項5】
直方体に前記切り欠き部が形成された形状をしている
請求項1~4のいずれかに記載のフォークリフトの差し込み制限用器具。
【請求項6】
前記切り欠き部は、前記正面から前記底面及び両側面に達した形状を有している
請求項1~5のいずれかに記載のフォークリフトの差し込み制限用器具。
【請求項7】
平面に緩衝部材が形成されている
請求項1~6のいずれかに記載のフォークリフトの差し込み制限用器具。
【請求項8】
前記正面と前記背面との距離を示す指標値が表面に印刷されている
請求項1~7のいずれかに記載のフォークリフトの差し込み制限用器具。
【請求項9】
前記表面と前記背面との距離が相互に異なる複数の請求項1~8のいずれかに記載のフォークリフトの差し込み制限用器具を備えた
フォークリフトの差し込み制限用器具群。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォークリフトのフォークに取り付けられるフォークリフトの差し込み制限用器具及び差し込み制限用器具群に関するものである。
【背景技術】
【0002】
工場や倉庫等で用いられるフォークリフトは、車体の前方に上下に移動可能なフォークを備え、被搬送物を載せたパレットにフォークを差し込み(挿入し)、上に持ち上げることで、被搬送物をパレットと一体として搬送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、フォークリフト作業中に被搬送物を落下させたり、フォークリフトの爪で誤って突き差してしまったり、転倒させたりする事故が多く起きている
その事故の原因の一つが、フォークリフトの爪(フォーク)が、どれだけ荷物(パレット)に差し込まれているかが、運転席から見て視覚的に特定しにくいため、
図6に示すように、「差し込み過ぎ」や「差し込み不足」により、被搬送物を転倒させたり傷をつけてしまったりすることがある。
【0005】
そのため、差し込み長さの目印となるようペンキやテープでフォークリフトのフォークにラインを引くと、重量物を頻繁に扱う事から、短期間でラインが消えて見えなくなってしまう。その場合には、現場において、フォークの先端からの寸法を測り直し、ペンキ等で塗り直す等の作業が必要になり、手間がかかるという問題がある
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、フォークリフトのフォークのパレットへの差し込み量を制限できる差し込み制限用器具及び差し込み制限用器具群を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した従来技術の問題を解決し、上述した目的を達成するために、本発明のフォークリフトの差し込み制限用器具は、フォークリフトのフォークに着脱可能に固定される固定具と、前記フォークに取り付けられた状態で、前記フォークの根元側に位置し、フォークの表面と所定の角度を形成する正面と、前記フォークに取り付けられた状態で、前記フォークの先端側に位置し、フォークの表面と所定の角度を形成する背面と、前記正面には、前記フォークの根元側に固定された状態で、前記フォークの根元の角部の曲面を避けるための切り欠き部が形成されている。
【0008】
好適には、前記正面又は背面には、表面又は当該表面に磁力が生じる位置に永久磁石が設けられている。
【0009】
好適には、前記正面及び前記背面のうち前記永久磁石が設けられていない面は、磁性体である。
【0010】
好適には、前記固定具は、底面に設けられた永久磁石である。
【0011】
好適には、直方体に前記切り欠き部が形成された形状をしている。
【0012】
好適には、前記切り欠き部は、前記正面から前記底面及び両側面に達した形状を有している。
【0013】
好適には、前記正面と前記背面との距離を示す指標値が表面に印刷されている。
【0014】
本発明のフォークリフトの差し込み制限用器具群は、前記表面と前記背面との距離が相互に異なる複数の請求項1~7のいずれかに記載のフォークリフトの差し込み制限用器具を備えている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、フォークリフトのフォークのパレットへの差し込み量を制限できる差し込み制限用器具及び差し込み制限用器具群を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態のフォークリフトの外観図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すフォークリフトのフォーク13にフォークリフトの差し込み制限用器具が取り付けられた状態の外観図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す差し込み制限用器具の斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す差し込み制限用器具の側面図である。
【
図5】
図5は、フォークに差し込み制限用器具が取り付けられた状態での切り欠き部と屈曲部との側面から見た位置関係を説明するための図である。
【
図6】
図6は、差し込み制限用器具のその他のタイプ(差し込み制限長100mm)を説明するための側面図である。
【
図7】
図7は、差し込み制限用器具のその他のタイプ(差し込み制限長300mm)を説明するための側面図である。
【
図8】
図8は、2つの差し込み制限用器具を連結してフォークに固定する場合を説明するための斜視図である。
【
図9】
図9は、本発明の差し込み制限用器具を緩衝部材として使用する場合を設営するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係るフォークリフトの差し込み制限用器具について説明する。
図1は、本発明の実施形態のフォークリフト1の外観図である。
【0018】
図1に示すように、フォークリフト1では、一対の内側マスト9が、一対の外側マスト8に昇降可能に配置される。
また、内側マスト9に沿って昇降可能なリフトブラケットに一対のフォーク13が取り付けられている。
また、フォークリフト1には、マスト8,9をチルトさせるためのチルトシリンダが設けられる。
内側マスト9とリフトブラケットを昇降させるためのリフトシリンダが設けられている。また、バックレスト11が設けられている。
【0019】
フォークリフト1では、積荷を所定の位置に搬送する場合には、オペレータがフォークリフト1の操作部を操作することにより、積荷を載せたパレット75にフォーク13を挿入する。
そして、チルトシリンダを縮小駆動してマスト8,9をフォークリフト1側にチルトさせる。また、リフトシリンダを伸長駆動して積荷を持ち上げ、その持ち上げた積荷を所定の場所まで搬送する。
【0020】
図2は、
図1に示すフォークリフト1のフォーク13にフォークリフトの差し込み制限用器具21が取り付けられた状態の外観図である。
図2に示すように、差し込み制限用器具21は、フォーク13の水平部131の屈曲部133付近に磁力により固定される。
【0021】
本実施形態の差し込み制限用器具21は、フォークリフトのフォークをパレット等へ差し込む際の差込み長を制限する器具である。本物品の底面と正面には、それぞれマグネットシート等の磁石が設けられており、これらの面がフォークの水平部分と垂直部分にそれぞれ磁力で固定される。これにより、パレット等へ差し込まれるフォークの水平部分の長さが物理的に制限されるため、フォークの水平部分がパレット等から突き出ることを防止できる。本物品の底面と右側面との間には凹み部分が設けられているため、フォークの水平部分と垂直部分との間の屈曲部分から離れた位置でこれらの面をフォークに固定させることができる。
【0022】
差し込み制限用器具21の背面には、ステンレスなどの磁性体が設けられており、差し込み制限用器具21を複数結合した状態でフォークに固定させることができる。これにより、パレット等のサイズに合わせてフォークの差込長さを調節することが可能となる。
【0023】
図3は、
図1に示す差し込み制限用器具21の斜視図である。
図4は、
図1に示す差し込み制限用器具21の側面図である。
【0024】
図3及び
図4に示すように、差し込み制限用器具21は、例えば、正面41から底面43、右側面45及び左側面47に達する切り欠き部61を直方体に形成した形状を有している。
【0025】
図5に示すように、切り欠き部61は、差し込み制限用器具21がフォーク13に固定されたときに、屈曲部133の曲面を避ける。
【0026】
底面43には、表面、又は当該表面に磁力が生じる位置に永久磁石(固定具)が設けられている。これにより、差し込み制限用器具21がフォーク13の水平部131の表面に磁力により着脱可能に固定される。
【0027】
正面41は、底面43が水平部131に固定された状態で、フォークの屈曲部133(根元)側に位置し、水平部131の表面と直角を形成している。
正面41の表面側には略全面に永久磁石が設けられている。
平面44には、ウレタンゴム等の緩衝部材が形成されている。
荷物がデリケートである場合に、フォークの背もたれに固定して緩衝機能を発揮する。
【0028】
背面49は、底面43が水平部131に固定された状態で、フォークの先端側に位置し、水平部131の表面と直角を形成している。
背面49は、ステンレス等の磁性体である。
【0029】
左側面47には、正面41と背面49との間の距離(差し込み制限長)を示す数字(指標値)が印刷されている。
図3に示す差し込み制限用器具21は、200mmを示す「200」が印字されている。差し込み制限長は、フォーク13をパンレット等に差し込む際の差し込む長さを制限する長さである。
【0030】
差し込み制限用器具21の内部は、木材や紙類が充填されている。これにより、軽量化が図れ、容易に持ち運びできる。
【0031】
差し込み制限用器具21は、例えば、正面41と背面49との距離(差し込み制限長)が異なる複数タイプを用意する。
例えば、
図5に示すように差し込み制限長が100mmの差し込み制限用器具121と、
図6に示すように差し込み制限長が300mmの差し込み制限用器具221とさらに用いてもよい。
こららを組み合わせることで、複数の差し込み制限長に対応することができる。
【0032】
以下、差し込み制限用器具21をフォークリフト1のフォーク13に取り付ける方法及び使用方法を説明する。
先ず、差し込み制限長を特定し、使用する差し込み制限用器具21,121,221を決定する。
図7に示すように、屈曲部133の曲面に切り欠き部61が対向して位置するように、1つの差し込み制限用器具21,121,221の底面43をフォーク13の水平部131の表面に載置し、永久磁石の磁力により固定する。
【0033】
2つ以上の差し込み制限用器具21,121,221を連結する場合は、既に水平部131に固定した差し込み制限用器具21,121,221の背面49に、次に載置する差し込み制限用器具21,121,221の正面41を当接させて磁力により固定(連結)する。
【0034】
フォークリフト1は、フォーク13に差し込み制限用器具21,121,221を固定した状態で、作業者がフォークリフト1の操作部を操作することにより、積荷を載せたパレット75にフォーク13を挿入する。
この過程で、作業者は、一定量の差し込みを行うと、差し込み制限用器具21,121,221の背面49が積荷やパレット75に当たり、その感触により差し込み移動を止めることができる。これにより、差し込み過ぎが回避され、フォーク13の先端が、搬送対象のパレットや積荷の後ろにある積荷等に突き刺さることを防止できる。また、当たるまで差し込みを行うようにすることで差し込み不足を回避できる。
【0035】
また、作業者は、差し込み制限用器具21,121,221の取り付け位置を視認することで、残りどの程度の長さを差し込めばよいかを視覚的に容易に把握できる。
【0036】
差し込み制限用器具21によれば、差し込み制限長が異なる複数の差し込み制限用器具21,121,221を組み合わせることができ、多様な差し込み制限長に対応できる。
【0037】
差し込み制限用器具21は、
図9に示すように、フォーク13の垂直部113に、底面43を磁力で固定すると共に、フォーク13に正面41を磁力で固定する。
また、屈曲部133に切り欠き部61を対向して固定する。
【0038】
これにより、
図9に示すように、緩衝部材が形成された平面44がフォーク13に載せられた積荷に対向して位置し、積荷が平面44に衝突したときに緩衝効果により、積荷に加わる衝撃力を緩和できる。
平面44には、ウレタンゴム等の緩衝部材が形成されている。
荷物がデリケートである場合に、フォークの背もたれに固定して緩衝機能を発揮する。
【0039】
本発明は上述した実施形態には限定されない。
すなわち、当業者は、本発明の技術的範囲またはその均等の範囲内において、上述した実施形態の構成要素に関し、様々な変更、コンビネーション、サブコンビネーション、並びに代替を行ってもよい。
例えば、切り欠き部61の形状は上述した形状には限定されず、屈曲部133の曲面を避ける形状であれば特に限定されない。
【0040】
また、差し込み制限用器具21,121,221の差し込み制限長も上述した者には限定されない。
また、差し込み制限用器具21,121,221の形状は略直方体でなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、フォークリフトに適用可能である。
【符号の説明】
【0042】
1…フォークリフト
8…外側マスト
9…内側マスト
13…フォーク
21,121,221…差し込み制限用器具
41…正面(永久磁石)
43…底面(永久磁石)
45…右側面
47…左側面
49…背面(ステンレス)
61…切り欠き部
131…水平部
133…屈曲部
【手続補正書】
【提出日】2022-01-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォークリフトの差し込み制限用器具であって、
フォークに取り付けられた状態でフォークの垂直部分に対向し、磁力により前記フォークの前記垂直部分に固定される第1の永久磁石を備えた正面と、
前記フォークに取り付けられた状態で、前記フォークの先端側に位置し、磁性体である背面と、
前記フォークに取り付けられた状態でフォークの水平部分に対向し、磁力により前記フォークの前記水平部分に固定される第2の永久磁石を備えた底面と、
前記正面と背面の間に位置し、前記フォークに固定された状態で、前記フォークの根元の角部の曲面を避けるための切り欠き部と、
を有し、
他の前記差し込み制限用器具と連結して使用する場合に、前記背面は、前記他の差し込み制限用器具の前記正面と磁力により固定可能である
フォークリフトの差し込み制限用器具。
【請求項2】
直方体に前記切り欠き部が形成された形状をしている
請求項1に記載のフォークリフトの差し込み制限用器具。
【請求項3】
前記切り欠き部は、前記正面から前記底面及び両側面に達した形状を有している
請求項1又は請求項2に記載のフォークリフトの差し込み制限用器具。
【請求項4】
平面に緩衝部材が形成されている
請求項1~3のいずれかに記載のフォークリフトの差し込み制限用器具。
【請求項5】
前記正面と前記背面との距離を示す指標値が表面に印刷されている
請求項1~4のいずれかに記載のフォークリフトの差し込み制限用器具。
【請求項6】
表面と前記背面との距離が相互に異なる複数の請求項1~5のいずれかに記載のフォークリフトの差し込み制限用器具を備えた
フォークリフトの差し込み制限用器具群。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
上述した従来技術の問題を解決し、上述した目的を達成するために、本発明のフォークリフトの差し込み制限用器具は、フォークリフトの差し込み制限用器具であって、フォークに取り付けられた状態でフォークの垂直部分に対向し、磁力により前記フォークの前記垂直部分に固定される第1の永久磁石を備えた正面と、前記フォークに取り付けられた状態で、前記フォークの先端側に位置し、磁性体である背面と、前記フォークに取り付けられた状態でフォークの水平部分に対向し、磁力により前記フォークの前記水平部分に固定される第2の永久磁石を備えた底面と、前記正面と背面の間に位置し、前記フォークに固定された状態で、前記フォークの根元の角部の曲面を避けるための切り欠き部と、を有し、他の前記差し込み制限用器具と連結して使用する場合に、前記背面は、前記他の差し込み制限用器具の前記正面と磁力により固定可能である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】削除
【補正の内容】