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特開2023-84579折り畳まれた合成樹脂フィルム製包装袋及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084579
(43)【公開日】2023-06-19
(54)【発明の名称】折り畳まれた合成樹脂フィルム製包装袋及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 30/20 20060101AFI20230612BHJP
   B65D 33/08 20060101ALI20230612BHJP
   B31B 70/36 20170101ALI20230612BHJP
   B31B 155/00 20170101ALN20230612BHJP
   B31B 160/20 20170101ALN20230612BHJP
【FI】
B65D30/20 D
B65D33/08
B31B70/36
B31B155:00
B31B160:20
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021198849
(22)【出願日】2021-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】504171684
【氏名又は名称】まつもと合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100194629
【弁理士】
【氏名又は名称】小嶋 俊之
(72)【発明者】
【氏名】松本 稔史
【テーマコード(参考)】
3E064
3E075
【Fターム(参考)】
3E064AB23
3E064BA26
3E064BC18
3E064EA08
3E064FA01
3E064GA06
3E064HJ02
3E064HM01
3E075AA07
3E075BA48
3E075BA70
3E075CA04
3E075DA14
3E075DB14
3E075DC15
3E075DC44
3E075DC48
3E075DD12
3E075DD45
3E075GA03
(57)【要約】
【課題】 物品収納空間内に容易且つ迅速に物品を導入することができると共に、従来の折り畳まれた合成樹脂フィルム製包装袋に比べて高さが大幅に低減され小売店のレジに装備するのに適す折り畳まれた合成樹脂フィルム製包装袋、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 折り畳まれた合成樹脂フィルム製包装袋は、下端縁において連続する片面壁及び他面壁から構成され、片面壁及び他面壁の下部は内側にガゼット折りされ、主部と協働して断面においてW字形状を形成している。片面壁の上部及び他面壁の上部は、夫々、ガゼット折り線に平行に延在する折り返し線に沿って折り返されて片面壁の主部の外面及び他面壁の主部の外面上に重ね合わされている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端縁において連続する片面壁及び他面壁から構成され、
該片面壁及び該他面壁の下部は内側にガゼット折りされ、主部と協働して断面においてW字形状を形成し、該W字形状において該片面壁の該主部とガゼット折りされた該下部とはガゼット折り線の幅方向両側部から幅方向両側に向かって上方に傾斜して両側縁まで延在する傾斜線に沿って接合され且つ該他面壁の該主部とガゼット折りされた該下部とはガゼット折り線の幅方向両側部から幅方向両側に向かって上方に傾斜して該両側縁まで延在する傾斜線に沿って接合され、
幅方向両側縁において該片面壁の該主部及びガゼット折りされた該下部並びに該他面壁の該主部及びガゼット折りされた該下部は相互に接合されている、
折り畳まれた合成樹脂フィルム製包装袋において、
該片面壁の上部及び該他面壁の上部は、夫々、該ガゼット折り線に平行に延在する折り返し線に沿って外側に折り返されて該片面壁の該主部の外面及び該他面壁の該主部の外面上に重ね合わされている、
ことを特徴とする折り畳まれた合成樹脂フィルム製包装袋。
【請求項2】
該傾斜線の各々はガセット折り線に対して45度の傾斜角をなす、請求項1記載の折り畳まれた合成樹脂フィルム製包装袋。
【請求項3】
該片面壁の該主部の幅方向両側端部における上端部並びに該他面壁の該主部の幅方向両側端部における上端部には、切欠が形成されている、請求項1又は2記載の折り畳まれた合成樹脂フィルム製包装袋。
【請求項4】
該片面壁の該上部及び該他面壁の該上部の各々の幅方向両側縁は上方に向かって幅方向内側に傾斜している、請求項1から3までのいずれかに記載の折り畳まれた合成樹脂製包装袋。
【請求項5】
該片面壁の該上部の上端部且つ幅方向中央部及び該他面壁の該上部の上端部且つ幅方向中央部の各々には、開口が形成されている、請求項1から4までのいずれかに記載の折り畳まれた合成樹脂フィルム製包装袋。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれかに記載の折り畳まれた合成樹脂フィルム製包装袋を製造する方法にして、
合成樹脂フィルム製チューブを準備する準備工程と、
該準備工程の後に、該チューブの上端縁を長手方向に連続的に切断して、下端縁において連続し且つ相互に重ね合わされた片面壁及び他面壁を有する形態にする長手方向切断工程と、
該準備工程の後に、該チューブの下部を内側にガゼット折りし、断面においてW字形状を形成するガゼット折り工程と、
該ガゼット折り工程の後に、該W字形状において該片面壁の主部とガゼット折りされた該下部とをガゼット折り線の幅方向両側部から幅方向両側に向かって上方に傾斜して両側縁まで延在する傾斜線に沿って接合し且つ該他面壁の主部とガゼット折りされた該下部とをガゼット折り線の幅方向両側部から幅方向両側に向かって上方に傾斜して該両側縁まで延在する傾斜線に沿って接合する傾斜接合工程と、
該ガゼット折り工程の後に、幅方向両側縁において該片面壁の該主部及びガゼット折りされた該下部並びに該他面壁の該主部及びガゼット折りされた該下部を接合する両側縁接合工程と、
該長手方向切断工程の後に、該片面壁の上部及び該他面壁の上部を、夫々、該ガゼット折り線に平行な折り返し線に沿って外側に折り返して該片面壁の該主部の外面及び該他面壁の該主部の外面の重ね合わせる折り返し工程と、
該両側縁接合工程の後に、該片面壁及び該他面壁を該両側縁に沿って切断して該チューブから切り離す切り離し工程と、
を含むことを特徴とする折り畳まれた合成樹脂フィルム製包装袋の製造方法。
【請求項7】
該両側縁接合工程においては2本の平行に延在する垂直線に沿って接合し、該切り離し工程においては該2本の垂直線の間において該片面壁及び該他面壁を切断する、請求項6記載の折り畳まれた合成樹脂フィルム製包装袋の製造方法。
【請求項8】
該折り返し工程に先立って又は該折り返し工程の後に、該片面壁の該主部の幅方向両側端部における上端部並びに該他面壁の該主部の幅方向両側端部における上端部に切欠を形成する切欠形成工程を含む、請求項6又は7記載の折り畳まれた合成樹脂フィルム製包装袋の製造方法。
【請求項9】
該折り返し工程に先立って、該片面壁の該上部及び該他面壁の該上部の各々の幅方向両側縁を切断して上方に向かって幅方向内側に傾斜する形態にする上部側縁整形工程を含む、請求項6から8までのいずれかに記載の折り畳まれた合成樹脂フィルム製包装袋の製造方法。
【請求項10】
該折り返し工程に先立って、該片面壁の上端部且つ幅方向中央部及び該他面壁の上端部且つ幅方向中央部の各々に開口を形成する開口形成工程を含む、請求項6から9までのいずれかに記載の折り畳まれた合成樹脂フィルム製包装袋の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱入り弁当、箱入りピザ、寿司折詰及び食パンの如き、略直方体形状である物品の包装に適した、折り畳まれた合成樹脂フィルム製包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
略直方体形状の物品のための包装袋として、合成樹脂フィルム製包装袋が広く使用されている。かような包装袋の典型例として、下記特許文献1に開示されている包装袋を挙げることができる。この包装袋は、下端縁において連続する片面壁及び他面壁から構成されている。片面壁及び他面壁の下部は内側にガゼット折りされ、主部と協働して断面においてW字形状を形成し、このW字形状において片面壁の主部とガゼット折りされた下部とはガゼット折り線の幅方向両側部から幅方向両側に向かって上方に傾斜して両側縁まで延在する傾斜線に沿って接合され且つ他面壁の主部とガゼット折りされた下部とはガゼット折り線の幅方向両側部から幅方向両側に向かって上方に傾斜して両側縁まで延在する傾斜線に沿って接合されている。幅方向両側縁において片面壁の主部及びガゼット折りされた下部並びに他面壁の主部及びガゼット折りされた下部は相互に接合されている。片面壁の上部及び他面壁の上部は、夫々、片面壁の主部及び他面壁の主部に続いて上方に延在する。
【0003】
上記のとおりの合成樹脂フィルム製包装袋は、上述したとおりの折り畳まれた状態で販売され、例えばコンビニエントストアの如き小売店のレジに装備される。物品を包装する際には、片面壁の上部及び他面壁の上部を指で摘まんで相互に離隔する方向に移動せしめると共に、W字形状のガゼット折りを解消して片面壁の下部及び他面壁の下部を略平坦に延在する状態にして包装袋を開き、次いで片面壁の上部と他面壁の上部との間を通してその下方に位置する物品収納空間内に物品を挿入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9-20347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
而して、本発明者の経験によれば、上述したとおりの従来の折り畳まれた合成樹脂フィルム製包装袋には、次のとおりの解決すべき問題が存在する。第一に、吊下げ部を規定する片面壁の上部及び他面壁の上部は、夫々、片面壁の主部及び他面壁の主部に続いて上方に延在する状態であり、従って片面壁の上部と他面壁の上部との比較的長い間を通して、物品を下降せしめることが必要であり、物品の導入が必ずしも容易でない。片面壁の上部及び他面壁の上部は指を離すと容易に望ましくない形態に撓んでしまうので、物品を導入する際には、包装袋を所要形態に維持しながら物品を下降せしめるための煩雑な操作も要求される。第二に、折り畳まれた合成樹脂製フィルムの高さ方向寸法は片面壁及び他面壁の主部の高さに片面壁及び他面壁の上部の高さを加えた値であって比較的大きく、小売店のレジに装備するのに比較的大きな空間を必要とする。
【0006】
本発明は、上記のとおりの事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、物品収納空間内に容易且つ迅速に物品を導入することができると共に、従来の折り畳まれた合成樹脂フィルム製包装袋に比べて高さが大幅に低減され小売店のレジに装備するのに適す、新規且つ改良された折り畳まれた合成樹脂フィルム製包装袋を提供することである。
【0007】
本発明の他の技術的課題は、本発明に従って構成された折り畳まれた合成樹脂フィルム製包装袋を好都合に製造することができる、新規且つ改良された折り畳まれた合成樹脂フィル製包装袋を製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、鋭意検討の結果、吊下げ部を構成する片面壁の上部及び他面壁の上部を、夫々、ガゼット折り線に平行に延在する折り返し線に沿って折り返して片面壁の主部の外面及び他面壁の主部の外面上に重ね合わせることによって、上記主たる技術的課題を達成できることを見出した。
【0009】
即ち、本発明によれば、上記主たる技術的課題を達成する折り畳まれた合成樹脂フィルム製包装袋として、
下端縁において連続する片面壁及び他面壁から構成され、
該片面壁及び該他面壁の下部は内側にガゼット折りされ、主部と協働して断面においてW字形状を形成し、該W字形状において該片面壁の該主部とガゼット折りされた該下部とはガゼット折り線の幅方向両側部から幅方向両側に向かって上方に傾斜して両側縁まで延在する傾斜線に沿って接合され且つ該他面壁の該主部とガゼット折りされた該下部とはガゼット折り線の幅方向両側部から幅方向両側に向かって上方に傾斜して該両側縁まで延在する傾斜線に沿って接合され、
幅方向両側縁において該片面壁の該主部及びガゼット折りされた該下部並びに該他面壁の該主部及びガゼット折りされた該下部は相互に接合されている、
折り畳まれた合成樹脂フィルム製包装袋において、
該片面壁の上部及び該他面壁の上部は、夫々、該ガゼット折り線に平行に延在する折り返し線に沿って外側に折り返されて該片面壁の該主部の外面及び該他面壁の該主部の外面上に重ね合わされている、
ことを特徴とする折り畳まれた合成樹脂フィルム製包装袋が提供される。
【0010】
好ましくは、該傾斜線の各々はガセット折り線に対して45度の傾斜角をなす。該片面壁の該主部の幅方向両側端部における上端部並びに該他面壁の該主部の幅方向両側端部における上端部には、切欠が形成されているのが好都合である。好適には、該片面壁の該上部及び該他面壁の該上部の各々の幅方向両側縁は上方に向かって幅方向内側に傾斜している。該片面壁の該上部の上端部且つ幅方向中央部及び該他面壁の該上部の上端部且つ幅方向中央部の各々には、開口が形成されているのが望ましい。
【0011】
更に、本発明によれば、上記他の技術的課題を達成する折り畳まれた合成樹脂フィルム製包装袋を製造する方法として、
合成樹脂フィルム製チューブを準備する準備工程と、
該準備工程の後に、該チューブの上端縁を長手方向に連続的に切断して、下端縁において連続し且つ相互に重ね合わされた片面壁及び他面壁を有する形態にする長手方向切断工程と、
該準備工程の後に、該チューブの下部を内側にガゼット折りし、断面においてW字形状を形成するガゼット折り工程と、
該ガゼット折り工程の後に、該W字形状において該片面壁の主部とガゼット折りされた該下部とをガゼット折り線の幅方向両側部から幅方向両側に向かって上方に傾斜して両側縁まで延在する傾斜線に沿って接合し且つ該他面壁の主部とガゼット折りされた該下部とをガゼット折り線の幅方向両側部から幅方向両側に向かって上方に傾斜して該両側縁まで延在する傾斜線に沿って接合する傾斜接合工程と、
該ガゼット折り工程の後に、幅方向両側縁において該片面壁の該主部及びガゼット折りされた該下部並びに該他面壁の該主部及びガゼット折りされた該下部を接合する両側縁接合工程と、
該長手方向切断工程の後に、該片面壁の上部及び該他面壁の上部を、夫々、該ガゼット折り線に平行な折り返し線に沿って外側に折り返して該片面壁の該主部の外面及び該他面壁の該主部の外面の重ね合わせる折り返し工程と、
該両側縁接合工程の後に、該片面壁及び該他面壁を該両側縁に沿って切断して該チューブから切り離す切り離し工程と、
を含むことを特徴とする折り畳まれた合成樹脂フィルム製包装袋の製造方法が提供される。
【0012】
該両側縁接合工程においては2本の平行に延在する垂直線に沿って接合し、該切り離し工程においては該2本の垂直線の間において該片面壁及び該他面壁を切断するのが好ましい。好適には、該折り返し工程に先立って又は該折り返し工程の後に、該片面壁の該主部の幅方向両側端部における上端部並びに該他面壁の該主部の幅方向両側端部における上端部に切欠を形成する切欠形成工程を含む。該折り返し工程に先立って、該片面壁の該上部及び該他面壁の該上部の各々の幅方向両側縁を切断して上方に向かって幅方向内側に傾斜する形態にする上部側縁整形工程を含むのが好ましい。該折り返し工程に先立って、該片面壁の上端部且つ幅方向中央部及び該他面壁の上端部且つ幅方向中央部の各々に開口を形成する開口形成工程を含むのが好都合である。
【0013】
特許請求の範囲及び明細書において使用する語句「上」、「下」、[幅方向]、「側縁」及び「下端縁」等の相対的位置を示す語句は、物品が包装された包装袋が実質上鉛直に吊下げられた状態における相対的位置を基準とする。また、合成樹脂フィルム製包装袋を製造する方法における語句「側縁」はチューブから包装袋を切り離した後における側縁を示す。
【発明の効果】
【0014】
本発明の折り畳まれた合成樹脂フィルム製包装袋においては、物品を包装する際には、片面壁の主部と他面壁の主部とを指で摘まんで相互に離隔する方向に移動すると共に、W字形状のガゼット折りを解消して片面壁の下部及び他面壁の下部を略平坦に延在する状態にして包装袋を開く。かくすると、略直方体形状の物品収納空間が形成される。かかる物品収納空間の開放されている上面が、片面壁の上部及び他面壁の上部は、夫々、片面壁の主部の外面及び他面壁の主部の外面上の折り返されている故に、直接的に露呈される。従って、開放されている上面を通して直接的に物品収納空間内に物品を容易且つ迅速に収納することができる。物品収納空間は略直方体形状であり、片面壁の主部及び他面壁の主部から指を離脱させても充分に安定して所要形態に維持される。そしてまた、本発明の折り畳まれた合成樹脂フィルム製包装袋の高さ寸法は、吊下げ部を規定する片面壁の上部及び他面壁の上部が、夫々、片面壁の主部の外面及び他面壁の主部の外面上の折り返されている故に、従来の折り畳まれた合成樹脂フィルム製包装袋に比べて大幅に低減されており、それ故に小売店のレジ等に過大な空間を必要とすることなく好都合に装備することができる。
【0015】
本発明に従って構成された折り畳まれた合成樹脂フィルム製包装袋を製造する方法によれば、合成樹脂製フィルムチューブを原材料として、本発明に従って構成された折り畳まれた合成樹脂フィルム製包装袋を好都合に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に従って構成された折り畳まれた合成樹脂フィルム製包装袋の好適実施形態を示す正面図。
図2図1における線II-IIに沿った模式的断面図。
図3図1に図示する包装袋を開いて物品収納空間を形成した状態を示す斜面図。
図4】包装袋の物品収容空間内に物品を収納した後に、片側壁の上部及び他面壁の上部を上方に延在する形態に展開した状態を示す斜面図。
図5図1に図示する包装袋を製造する製造工程の好適形態を示す模式図。
図6図5の線vi-viに沿った断面図。
図7図5の線vii-viiに沿った断面図。
図8図5の線viii-viiiに沿った断面図。
図9図5の線ix-ixに沿った断面図。
図10図5に示す製造工程における折り返し工程を遂行する機構を示す部分斜面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明に従って構成された折り畳まれた合成樹脂フィルム製包装袋の好適実施形態について詳細に説明する。
【0018】
図1及び図2を参照して説明すると、本発明に従って構成された、全体を番号2で示す折り畳まれた合成樹脂フィルム製包装袋は、例えば厚さが0.02乃至0.08mm程度のポリエチレンフィルムの如き適宜の合成樹脂フィルムから構成されている。合成樹脂フィルムは、下端縁4において連続する片面壁6及び他面壁8を有する。図2に明確に図示されているとおり、片面壁6の下部6a及び他面壁8の下部8aはガゼット折り線10及び12に沿って内側にガゼット折りされており、片面壁6の主部6b(更に詳しくは主部6bの下半部)及び他面壁8の主部8b(更に詳しくはその下半部)と協働して断面においてW字形状を形成している。
【0019】
上記W字形状において、片面壁6の主部6bとガゼット折りされた下部6aとは、ガゼット折り線10の幅方向(図1において左右方向)両側部から幅方向両側向かって上方に傾斜して両側縁まで延びる傾斜線14(図3も参照されたい)に沿って接合されている。同様に、他面壁8の主部8bとガゼット折りされた下部8aとは、ガゼット折り線12の幅方向両側部から幅方向両側向かって上方に傾斜して両側縁まで延びる傾斜線16(図3も参照されたい)に沿って接合されている。傾斜線14及び16はガゼット折り線10及び12に対して45度の傾斜角度αをなすのが好適である。加えて、幅方向両側縁において、片面壁6の主部6b及びガゼット折りされた下部6a並びに他面壁8の主部8b及びガゼット折りされた下部8aがガゼット折り線10及び12に垂直に延びる垂直線18に沿って接合されている。傾斜線14及び16並びに垂直線18に沿った接合は、合成樹脂製フィルムを局部的に加熱溶着することによって達成されているのが好都合である。
【0020】
図示の実施形態においては、図1に図示する如く、片面壁6の主部6bの幅方向両端部における上部及び他面壁8の主部8bの幅方向両端部における上部に略円弧形状でよい切欠20(図3も参照されたい)が形成されている。片面壁6の上部6c及び他面壁8の上部8cの各々の両側縁は、上記ガゼット折り線10及び12に対して垂直に延在するのではなくて、上方(図1に図示する状態では下方)に向かって幅方向に傾斜している。更に、片面壁6の上部6cの上端部且つ幅方向中央部及び他面壁8の上部8cの上端部且つ幅方向中央部には、幅方向に細長く延びる形態であるのが好都合である開口22及び24が形成されている。
【0021】
而して、従来の合成樹脂フィルム製包装袋においては、図1及び図2に二点鎖線で図示するとおり、片面壁6の上部6c及び他面壁8の上部8cは、夫々、片面壁6の主部6b及び他面壁8の主部8bに続いて上方に延在せしめられていた。然るに、本発明に従って構成された包装袋2においては、片面壁6の上部6c及び他面壁8の上部8cは、夫々、上記ガゼット折り線10及び12に平行に延在する折り返し線26及び28に沿って外側に折り返されていて、片面壁6の主部6bの外面及び他面壁8の主部8bの外面上に重ね合わされていることが重要である。
【0022】
上記のとおりの本発明に従って構成された包装袋2は、図1及び図2に図示するとおりの状態(実際上は包装袋2の重ね合わされた各部分は隙間なく密接されるが、図2においては各部分の関係が明確に理解されるように各部分間に若干の隙間を存在せしめて図示している)で製造工場から出荷され、需要者に届けられる。従って、従来の包装袋は比較的大きい高さPLを有しているのに対して、本発明に従って構成された包装袋2の高さは上記PLよりも相当小さいILである。それ故に、例えば小売店のレジ等に比較的大きな空間を必要とすることなくコンパクトに装備することができる。
【0023】
次に、上述したとおりの包装袋2の使用様式について説明する。二点鎖線で図示している略直方体の物品30を包装袋2によって包装する際には、包装袋2の片面壁6の主部6b及び上部6cと他面壁8の主部8b及び上部8cとを夫々指で摘まんで両者を相互に離間する方向に移動すると共に、片面壁6のガゼット折り線10及び他面壁8のガゼット折り線12並びにこれらの近傍に指を沿わせてガゼット折りを解消して、片面壁6の下部6a及び他面壁8の下部8aが略平坦に延在する状態にする。かくすると、図3に図示するとおり、片面壁6の下部6a及び主部6b並びに他面壁8の下部8a及び主部8bによって、受面が開放された略直方体の物品収納空間32が規定される。しかる後に、物品収納空間32内に物品30を収納する。物品収納空間32はその上面が直接的に開放されており、物品収納空間32の上方には物品30の収納を阻害する部分が存在せず、そしてまた物品収納空間32は略直方体形状であるので、特に指等で形状維持操作をする必要なくして充分安定して略直方体形状に維持される。それ故に、物品収納空間32内に充分容易に且つ迅速に物品30を収納することができる。物品収納空間32内に物品30を収納した後には、図4に図示する如く、片面壁6の上部6c及び他面壁8の上部8cの折り返しを解消して、片面壁6の上部6c及び他面壁8の上部8cが夫々主部6b及び8bに続いて上方に延びる状態に戻し、上部6c及び上部8cに形成されている開口22及び24に指を通して包装袋2を吊下げることができる。
【0024】
次いで、上述したとおりの包装袋2を製造する方法の好適形態について説明する。図5は、包装袋2を製造する製造工程の好適形態を模式的に図示している。この図5においては、製造される包装袋2の上下を逆転して、即ち包装袋2の片面壁6及び他面壁8の下部6a及び8aが上方に上部6c及び8cが下方に位置する状態で、図示されている。
【0025】
図5を参照して説明すると、従来の包装袋を製造する方法と同様に、包装袋2の製造に際しては、連続して延在する合成樹脂フィルム製チューブ36を準備し(準備工程)し、かかるチューブ36を、図6に図示する如く平坦な帯形状にして、所要経路を通して連続的に搬送しながら、所要加工を順次に施して包装袋2を製造する。図示の実施形態においては、上記準備工程に続いて、チューブ36の上端縁(片端縁)を切断刃38によって長手方向に連続的に切断して、図7に図示するとおり下端縁4において連続し且つ相互に重ね合わされた片面壁6及び他面壁8を有数する形態にする(長手方向切断工程)。次いで、チューブ36の下部、即ち片面壁6の下部6a及び他面壁8の下部8a、を内側にガゼット折りして、図8に図示する如くW字形状を形成する(ガゼット折り工程)。所望ならば、長手方向切断工程に先立ってガゼット折り工程を遂行することもできる。ガゼット折り工程の後に、上記W字形状において片面壁6の主部6bとガゼット折りされた下部6aとをガゼット折り線10の幅方向両側部から幅方向両側に向かって上方に傾斜して両側縁まで延在する傾斜線14(図1及び図3も参照されたい)に沿って接合し且つ他面壁8の主部8bとガゼット折りされた下部8aとをガゼット折り線12の幅方向両側部から幅方向両側に向かって上方に傾斜して両側縁まで延在する傾斜線16(図1及び図3も参照されたい)に沿って接合する(傾斜接合工程)。この傾斜接合工程においては、片端壁6のガゼット折りされた下部6aと他面壁8のガゼット折りされた下部8aとの間に適宜の遮熱板(図示していない)を介在せしめて片面壁6と他面壁8の両側からV字形状の加熱された接合具(図示していない)を押圧し、先行する包装袋2の後側部(他側縁部)と引き続く包装袋2の前側部(片側縁部)とにおいて同時に傾斜線14及び16に沿って接合する。次に、幅方向両側縁において片面壁6の主部6b及びガゼット折りされた下部6a並びに他面壁8の主部8b及びガゼット折りされた下部8aを垂直線18に沿って接合する(両側縁接合工程)。この両側縁接合工程においては、幅方向両側部の各々において2本の平行に延在する垂直線18に沿って接合するのが好都合である(この場合には、2本の垂直線18の一方に沿った接合は先行する包装袋2の後側縁における接合であり、他方の垂直線18に沿った接合は引き続く包装袋2の前側縁における接合であり、後に両者間においてチュ-ブ36が切断される)。ガゼット折り工程の後に、傾斜接合工程に先立って両側縁接合工程を遂行することもできる。
【0026】
次に、片面壁6の上端部且つ幅方向中央部及び他面壁8の上端部且つ幅方向中央部の各々に開口22及び24を形成する(開口形成工程)。次いで、片面壁6の主部6bの幅方向両側端部における上端部並びに他面壁8の主部8bの幅方向両側端部における上端部に切欠20を形成する(切欠形成工程)。次に、片面壁6の上部6c及び他面壁8の上部8cの各々の幅方向両側縁を切断して上方に向かって幅方向内側に傾斜する形態にする(上部側縁整形工程)。上記切欠形成工程及び上部側縁整形工程においても、先行する包装袋2の後側部(他側縁部)と引き続く包装袋2の前側部(片側縁部)とにおいて同時に切欠20が形成され上部側縁が整形される。上記切欠形成工程、上部側縁整形工程及び開口形成工程は、特にこの順番で遂行する必要はなく、上記準備工程の後の任意の時点で遂行することができる。但し、上記切欠形成工程は後述する折り返し工程に先立って遂行することが望ましい。
【0027】
次に、図9に図示する如く、片面壁6の上部6cが折り返し線26に沿って折り返されて片面壁6の主部6bの外面に重ね合わされ、次いで他面壁8の上部8cが折り返し線28に沿って他面壁8の主部8bの外面に重ね合わされる(折り返し工程)。しかる後に、片面壁6及び他面壁8の両側縁に沿ってチューブ36が切断され、製造された包装袋2が切り離される(切り離し工程)。この切り離し工程においても、先行する包装袋2の後側部(他側縁部)と引き続く包装袋2の前側部(片側縁部)とにおいて切断が同時に遂行される(即ち、2本の垂直線18の間に沿って切断が遂行される。
【0028】
上述した長手方向切断工程、ガゼット折り工程、傾斜接合工程、両側縁接合工程、開口形成工程、切欠形成工程、上部側縁整形工程及び切り離し工程を遂行するための機構は、従来の包装袋の製造に使用されている当業者に周知の機構と実質上同一の機構でよく、それ故にこれらの機構の説明は本明細書においては省略する。
【0029】
図10には、片面壁6の上部6cを折り返し線26に沿って折り返す機構が図示されている。上端縁(片端縁)が切断されて片面壁6と他面壁8とを有する形態のチューブ36は回転自在な案内ローラ40、42及び44に案内されて搬送される。案内ローラ42は案内ローラ40及び44よりも短く、片面壁6の上部6c及び他面壁8の上部8cは案内ローラ40及び44には接触して案内されるが案内ローラ42には接触することなく案内ローラ42からはみ出した状態で搬送される。案内ローラ42と案内ローラ44との間には、片面壁6の上部6cと他面壁8の上部8cとの間に進入する折り返し片46と共に、片面壁6の主部6bの外面に接触乃至近接して位置する静止板48が配設されている。チューブ36が案内ローラ42を通過して案内ローラ44に到達する際には、折り返し片46が片面壁6の上部6cに作用して漸次折り返して静止板48に押し付け、かくして静止板48を通過して案内ローラ44に到達する際には、片面壁6の上部6cは折り返し線26に沿って折り返されて片面壁6の主部6bの外面に重ね合わされる。案内ローラ44の下流には案内ローラ40、42及び44並びに折り返し片46及び静止板48と実質上同一の機構(図示していない)が配設されており、チューブ36がかかる機構を通過する間に他面壁8の上部8cが折り返し線28に沿って折り返されて他面壁8の主部8bの外面に重ね合わされる。
【符号の説明】
【0030】
2:包装袋
4:下端縁
6:片面壁
6a:片面壁の下部
6b:片面壁の主部
6c:片面壁の上部
8:他面壁
8a:他面壁の下部
8b:他面壁の主部
8c:他面壁の上部
10:ガゼット折り線
12:ガゼット折り線
14:傾斜線
16:傾斜線
18:垂直線
20:切欠
22:開口
24:開口
26:折り返し線
28:折り返し線
30:物品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10