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特開2023-84590子宮頚管模型の製造方法、及び、子宮頚管模型
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084590
(43)【公開日】2023-06-19
(54)【発明の名称】子宮頚管模型の製造方法、及び、子宮頚管模型
(51)【国際特許分類】
   G09B 23/30 20060101AFI20230612BHJP
   B29C 39/24 20060101ALI20230612BHJP
【FI】
G09B23/30
B29C39/24
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021198868
(22)【出願日】2021-12-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】521536431
【氏名又は名称】株式会社ノースブル
(74)【代理人】
【識別番号】100131428
【弁理士】
【氏名又は名称】若山 剛
(72)【発明者】
【氏名】菅原 紀
(72)【発明者】
【氏名】中田 彰輝
【テーマコード(参考)】
2C032
4F204
【Fターム(参考)】
2C032CA03
4F204AA45
4F204AC05
4F204AG08
4F204AG25
4F204AH81
4F204AJ05
4F204EA03
4F204EB01
4F204EF27
4F204EK17
4F204EK24
(57)【要約】
【課題】子宮頚管を高い精度にて再現することが可能な子宮頚管模型を提供すること。
【解決手段】子宮頚管模型の製造方法は、子宮頚管の少なくとも一部を切開し(S102)、切開された子宮頚管の内壁を平面状に進展させた状態にて、当該内壁の型を取ることにより第1雌型を形成し(S103)、硬化性を有する液状ゴムを第1雌型に注入し(S104)、注入された液状ゴムを硬化させることにより第1形成体を形成し(S105)、第1形成体を用いて、円筒状であり且つ内壁に複数の凸部を有する本体を形成する(S106)、ことを含む。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
子宮頚管の少なくとも一部を切開し、
前記切開された子宮頚管の内壁を平面状に進展させた状態にて、当該内壁の型を取ることにより第1雌型を形成し、
硬化性を有する液状ゴムを前記第1雌型に注入し、
前記注入された液状ゴムを硬化させることにより第1形成体を形成し、
前記第1形成体を用いて、円筒状であり且つ内壁に複数の凸部を有する本体を形成する、
ことを含む子宮頚管模型の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の子宮頚管模型の製造方法であって、
前記第1形成体を、前記子宮頚管の内壁が転写された側の面である内壁転写面が内方に位置するように、前記第1形成体の両端部を互いに接合することにより前記本体を形成する、
ことを含む子宮頚管模型の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の子宮頚管模型の製造方法であって、
前記第1形成体を、前記子宮頚管の内壁が転写された側の面である内壁転写面が外方に位置するように円柱体に巻回し、
前記第1形成体が前記円柱体に巻回された状態にて、当該第1形成体の外壁の型を取ることにより第2雌型を形成し、
前記第2雌型の内部に円柱状の中子を保持した状態にて、硬化性を有する液状ゴムを前記第2雌型に注入し、
前記第2雌型に注入された液状ゴムを硬化させることにより第2形成体を形成し、
前記第2形成体を裏返すことにより前記本体を形成する、
ことを含む子宮頚管模型の製造方法。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の子宮頚管模型の製造方法であって、
前記第1形成体の前記内壁転写面に形成された凸部を高くするように当該凸部にゴムを付加する、
ことを含む子宮頚管模型の製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の子宮頚管模型の製造方法であって、
前記本体の内部空間を狭窄するように前記本体の外壁を押圧する輪状体を前記本体に装着する、
ことを含む子宮頚管模型の製造方法。
【請求項6】
ゴムからなる円筒状であり、且つ、内壁に複数の凸部を有する本体と、
前記本体の内部空間を狭窄するように前記本体の外壁を押圧する輪状体と、
を備える、子宮頚管模型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、子宮頚管模型の製造方法、及び、子宮頚管模型に関する。
【背景技術】
【0002】
牛に対して、受精卵を移植する場合、受精卵を採取する場合、人工授精を行う場合、又は、子宮体内に液体(例えば、還流液、薬液、又は、洗浄液等)を注入する場合等においては、術者は、腟から子宮頚管を介して棒状器具を挿入することにより、棒状器具の先端部を子宮体に到達させる。
【0003】
ところで、子宮頚管は、比較的硬く、且つ、内壁に複数の凸部を有する。例えば、複数の凸部は、輪状環、又は、輪状のヒダと表されることがある。更に、受精卵の移植、又は、受精卵の採取(例えば、黄体期)において、子宮頚管は、緊縮することが多い。従って、棒状器具の挿入は、子宮頚管において阻害されやすい。このため、術者にとって、棒状器具の先端部を子宮体に到達させることは困難である。
そこで、術者による棒状器具の挿入を訓練するため、実際の子宮頚管を高い精度にて再現する子宮頚管模型が求められている。
【0004】
例えば、特許文献1に記載の器官模型の製造方法を用いて、子宮頚管模型を製造することが考えられる。この製造方法においては、器官の内部に硬化性の液体を注入することによって、器官の内壁の型を取ることにより雌型を形成し、雌型を中子として用いることにより器官模型が製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭60-260986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、子宮頚管は、内部空間において複数の凸部が密集している。このため、複数の凸部が互いに接していることがある。また、子宮頚管は、複数の凸部によって、内部空間が複数の空間に区画されることがある。
【0007】
このため、上記器官模型の製造方法を用いても、子宮頚管の内壁の型を高い精度にて取ることができない。従って、子宮頚管を高い精度にて再現する子宮頚管模型を製造できない虞があった。この種の課題は、牛以外の子宮頚管を有する動物に対する子宮頚管模型においても同様に生じ得る。
【0008】
本発明の目的の一つは、子宮頚管を高い精度にて再現することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一つの側面では、子宮頚管模型の製造方法は、子宮頚管の少なくとも一部を切開し、切開された子宮頚管の内壁を平面状に進展させた状態にて、当該内壁の型を取ることにより第1雌型を形成し、硬化性を有する液状ゴムを第1雌型に注入し、注入された液状ゴムを硬化させることにより第1形成体を形成し、第1形成体を用いて、円筒状であり且つ内壁に複数の凸部を有する本体を形成する、ことを含む。
【0010】
また、子宮頚管模型は、ゴムからなる円筒状であり、且つ、内壁に複数の凸部を有する本体と、本体の内部空間を狭窄するように本体の外壁を押圧する輪状体と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
子宮頚管を高い精度にて再現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態の子宮頚管模型の製造方法の概要を表すフローチャートである。
図2】子宮頚管の概略を表す説明図である。
図3】第1実施形態の子宮頚管模型の製造方法の工程を表す説明図である。
図4】第1実施形態の子宮頚管模型の製造方法の工程を表す説明図である。
図5】第1実施形態の子宮頚管模型の斜視図である。
図6】第1実施形態の第1変形例の子宮頚管模型の斜視図である。
図7】第2実施形態の子宮頚管模型の製造方法の概要を表すフローチャートである。
図8】第2実施形態の子宮頚管模型の製造方法の工程を表す説明図である。
図9】第2実施形態の子宮頚管模型の製造方法の工程を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の、子宮頚管模型の製造方法、及び、子宮頚管模型に関する各実施形態について図1乃至図9を参照しながら説明する。
【0014】
<第1実施形態>
(概要)
第1実施形態の子宮頚管模型の製造方法は、子宮頚管の少なくとも一部を切開し、切開された子宮頚管の内壁を平面状に進展させた状態にて、当該内壁の型を取ることにより第1雌型を形成し、硬化性を有する液状ゴムを第1雌型に注入し、注入された液状ゴムを硬化させることにより第1形成体を形成し、第1形成体を用いて、円筒状であり且つ内壁に複数の凸部を有する本体を形成する、ことを含む。
【0015】
これによれば、切開された子宮頚管の内壁を平面状に進展させた状態において、子宮頚管の内壁が有する複数の凸部が互いに接することを抑制できる。これにより、子宮頚管の内壁が有する複数の凸部を高い精度にて第1雌型に反映できる。この結果、子宮頚管模型の本体の内壁に、子宮頚管の内壁の複数の凸部が高い精度にて再現される。換言すると、子宮頚管模型は、子宮頚管を高い精度にて再現できる。
【0016】
次に、第1実施形態の子宮頚管模型の製造方法、及び、子宮頚管模型について、より詳細に説明する。
【0017】
(子宮頚管模型の製造方法)
第1実施形態の子宮頚管模型の製造方法は、子宮頚管模型を製造するための方法である。本例では、子宮頚管模型は、牛の子宮頚管の模型である。なお、子宮頚管模型は、人、馬、羊、犬、又は、猫等の牛以外の動物の子宮頸管の模型であってもよい。
【0018】
図1に表されるように、子宮頚管模型の製造方法は、ステップS101乃至ステップS106の工程を含む。
子宮頚管模型の製造方法において、先ず、子宮頚管を用意する(ステップS101)。
図2の(A)に表されるように、子宮頚管CCは、筒状である。なお、図2においては、子宮頚管CCは、概略を説明するために円筒状であるように表される。
図2の(A)におけるB-B’線による子宮頚管CCの断面を表す図2の(B)に表されるように、子宮頚管CCは、内壁に複数の凸部CVを有する。
【0019】
次いで、図3の(A)に表されるように、子宮頚管CCを切断線CLに沿って切開する(ステップS102)。本例では、切断線CLは、子宮頚管CCの長手方向における一方の端から他方の端まで連続する曲線である。図3の(A)においては、切断線CLは、概略を説明するために直線状であるように表される。なお、切断線CLは、直線であってもよい。
【0020】
次いで、図3の(B)に表されるように、切開された子宮頚管CC1の内壁IWを平面状に進展させる。
次いで、図3の(C)に表されるように、切開された子宮頚管CC1の内壁IWを平面状に進展させ、且つ、子宮頚管CC1の内壁IWが鉛直上方側に位置する状態にて、容器CN1の底面BSに載置する。本例では、容器CN1は、四角柱状の内部空間を有するとともに鉛直上方側の端面が開口し、且つ、有底である。従って、子宮頚管CC1が容器CN1の底面BSに載置された状態において、子宮頚管CC1の内壁IWの、複数の凸部CVは、鉛直上方へ突出する。
【0021】
次いで、図3の(D)に表されるように、硬化性を有する型取り材LPを容器CN1に注入する。本例では、型取り材LPは、石膏を含む。なお、型取り材LPは、石膏に代えて、石膏以外の材料(例えば、樹脂等)を含んでいてもよい。
【0022】
次いで、型取り材LPを硬化させることにより、図4の(E)に表されるように、第1雌型PM1を形成する。第1雌型PM1は、子宮頚管CC1の内壁IWの、複数の凸部CVにそれぞれ対応する複数の凹部RCを有する。
このようにして、切開された子宮頚管CC1の内壁IWを平面状に進展させた状態にて、当該内壁IWの型を取ることにより第1雌型PM1を形成する(ステップS103)。
【0023】
次いで、図4の(F)に表されるように、硬化性を有する液状ゴムLGを第1雌型PM1に注入する(ステップS104)。本例では、液状ゴムLGは、シリコンゴムである。例えば、液状ゴムLGは、1液型又は2液型のRTV(Room Temperature Vulcanizing)ゴムである。なお、液状ゴムLGは、シリコンゴム以外のゴムであってもよい。
【0024】
次いで、注入された液状ゴムLGを硬化させることにより、図4の(G)に表されるように、第1形成体FB1を形成する(ステップS105)。
次いで、図5に表されるように、第1形成体FB1を、子宮頚管CCの内壁IWが転写された側の面である内壁転写面IW1が内方に位置するように、第1形成体FB1の両端部を互いに接合することにより、円筒状であり且つ内壁に複数の凸部を有する本体MBを形成する(ステップS106)。
【0025】
例えば、接合は、第1形成体FB1の両端部の少なくとも一部を溶融させることにより行われてもよいし、硬化性を有する液状ゴムLGを用いて当該両端部を互いに接着することにより行なわれてもよい。
このようにして、第1形成体FB1を用いて、円筒状であり且つ内壁IWに複数の凸部を有する本体MBを形成する。
【0026】
以上により、ゴムからなる円筒状であり、且つ、内壁IWに複数の凸部を有する本体MBを備える子宮頚管模型CMが製造される。
【0027】
以上、説明したように、第1実施形態の子宮頚管模型の製造方法は、子宮頚管CCの少なくとも一部を切開し、切開された子宮頚管CC1の内壁IWを平面状に進展させた状態にて、当該内壁IWの型を取ることにより第1雌型PM1を形成し、硬化性を有する液状ゴムLGを第1雌型PM1に注入し、注入された液状ゴムLGを硬化させることにより第1形成体FB1を形成し、第1形成体FB1を用いて、円筒状であり且つ内壁IWに複数の凸部を有する本体MBを形成する、ことを含む。
【0028】
これによれば、切開された子宮頚管CC1の内壁IWを平面状に進展させた状態において、子宮頚管CC1の内壁IWが有する複数の凸部CVが互いに接することを抑制できる。これにより、子宮頚管CC1の内壁IWが有する複数の凸部CVを高い精度にて第1雌型PM1に反映できる。この結果、子宮頚管模型CMの本体MBの内壁IWに、子宮頚管CCの内壁IWの複数の凸部CVが高い精度にて再現される。換言すると、子宮頚管模型CMは、子宮頚管CCを高い精度にて再現できる。
【0029】
更に、第1実施形態の子宮頚管模型の製造方法は、第1形成体FB1を、子宮頚管CC1の内壁IWが転写された側の面である内壁転写面IW1が内方に位置するように、第1形成体FB1の両端部を互いに接合することにより本体MBを形成する、ことを含む。
【0030】
これによれば、子宮頚管模型CMを容易に製造できる。
【0031】
<第1実施形態の第1変形例>
次に、第1実施形態の第1変形例の子宮頚管模型の製造方法について説明する。第1実施形態の第1変形例の子宮頚管模型の製造方法は、第1実施形態の子宮頚管模型の製造方法に対して、輪状体を本体に装着する工程を含む点において相違している。以下、相違点を中心として説明する。なお、第1実施形態の第1変形例の説明において、第1実施形態にて使用した符号と同じ符号を付したものは、同一又は略同様のものである。
【0032】
第1実施形態の第1変形例の子宮頚管模型の製造方法においては、第1実施形態の子宮頚管模型の製造方法のステップS101乃至ステップS106の工程の後に、図6に表されるように、本体MBの内部空間を狭窄するように本体MBの外壁OWを押圧する輪状体RBを本体MBに装着する。本例では、2つの輪状体RBが装着される。なお、1つ、又は、3つ以上の輪状体RBが装着されてもよい。
【0033】
本例では、輪状体RBは、輪ゴムである。なお、輪状体RBは、紐、ゴムバンド、又は、結束バンド等であってもよい。
【0034】
以上により、ゴムからなる円筒状であり、且つ、内壁IWに複数の凸部を有する本体MBと、本体MBの内部空間を狭窄するように本体MBの外壁OWを押圧する輪状体RBと、を備える子宮頚管模型CM1が製造される。
【0035】
以上、説明したように、第1実施形態の第1変形例の子宮頚管模型の製造方法は、第1実施形態の子宮頚管模型の製造方法と同様の作用及び効果を奏する。
更に、第1実施形態の第1変形例の子宮頚管模型の製造方法は、本体MBの内部空間を狭窄するように本体MBの外壁OWを押圧する輪状体RBを本体MBに装着する、ことを含む。
【0036】
これによれば、輪状体RBが本体MBの外壁OWを押圧する程度を調整することにより、本体MBの内部空間が狭窄する程度を容易に調整できる。
【0037】
また、第1実施形態の第1変形例の子宮頚管模型CM1は、ゴムからなる円筒状であり、且つ、内壁IWに複数の凸部を有する本体MBと、本体MBの内部空間を狭窄するように本体MBの外壁OWを押圧する輪状体RBと、を備える。
【0038】
これによれば、子宮頚管模型CM1は、子宮頚管CCを高い精度にて再現できる。更に、輪状体RBが本体MBの外壁OWを押圧する程度を調整することにより、本体MBの内部空間が狭窄する程度を容易に調整できる。
【0039】
<第1実施形態の第2変形例>
次に、第1実施形態の第2変形例の子宮頚管模型の製造方法について説明する。第1実施形態の第2変形例の子宮頚管模型の製造方法は、第1実施形態の子宮頚管模型の製造方法に対して、第1形成体の凸部を高くするように当該凸部にゴムを付加する工程を含む点において相違している。以下、相違点を中心として説明する。なお、第1実施形態の第1変形例の説明において、第1実施形態にて使用した符号と同じ符号を付したものは、同一又は略同様のものである。
【0040】
第1実施形態の第2変形例の子宮頚管模型の製造方法においては、第1実施形態の子宮頚管模型の製造方法の、ステップS105の工程と、ステップS106の工程と、の間に、第1形成体FB1の内壁転写面IW1に形成された凸部CVを高くするように当該凸部CVにゴムを付加する。
【0041】
本例では、ゴムの付加は、硬化性を有する液状ゴムLGを用いて行なわれてもよい。例えば、ゴムの付加は、液状ゴムLGを硬化させることによりゴムの小片を予め用意するとともに、液状ゴムLGを用いて、ゴムの小片を凸部CVに接着することにより行なわれてもよい。また、付加されるゴムは、凸部CVを形成するゴムと異なるゴムであってもよい。
【0042】
以上、説明したように、第1実施形態の第2変形例の子宮頚管模型の製造方法は、第1実施形態の子宮頚管模型の製造方法と同様の作用及び効果を奏する。
更に、第1実施形態の第2変形例の子宮頚管模型の製造方法は、第1形成体FB1の内壁転写面IW1に形成された凸部CVを高くするように当該凸部CVにゴムを付加する。
【0043】
ところで、切開された子宮頚管CC1の内壁IWを平面状に進展させた場合、当該内壁IWの凸部CVは、倒れること等により低くなりやすい。その結果、子宮頚管模型の内壁の凸部が過度に小さくなる虞がある。これに対し、上記製造方法によれば、第1形成体FB1の内壁転写面IW1に形成された凸部CVが高くなる。従って、子宮頚管模型CMの内壁IWの凸部を十分に大きくすることができる。この結果、子宮頚管模型CMは、子宮頚管CCを高い精度にて再現できる。
【0044】
なお、第1実施形態の第2変形例の子宮頚管模型の製造方法は、第1実施形態の第1変形例の、輪状体RBを本体MBに装着する工程を含んでいてもよい。
【0045】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態の子宮頚管模型の製造方法について説明する。第2実施形態の子宮頚管模型の製造方法は、第1実施形態の子宮頚管模型の製造方法に対して、第1形成体を用いて第2雌型を形成する工程、第2雌型を用いて第2形成体を形成する工程、及び、第2形成体を用いて本体を形成する工程を含む点において相違している。以下、相違点を中心として説明する。なお、第2実施形態の説明において、第1実施形態にて使用した符号と同じ符号を付したものは、同一又は略同様のものである。
【0046】
第2実施形態の子宮頚管模型の製造方法においては、図7に表されるように、第1実施形態の子宮頚管模型の製造方法のステップS106に代えて、ステップS201乃至ステップS205の工程を実行する。
【0047】
従って、ステップS105の工程の後に、図8の(H)に表されるように、第1形成体FB1を、子宮頚管CC1の内壁IWが転写された側の面である内壁転写面IW1が外方に位置するように円柱体CB1に巻回する(ステップS201)。本例では、円柱体CB1は、中空の円柱状である。例えば、円柱体CB1は、ポリ塩化ビニル製の管である。なお、円柱体CB1は、中実の円柱状であってもよい。
【0048】
次いで、図8の(I)に表されるように、第1形成体FB1が円柱体CB1に巻回された状態にて、第1形成体FB1を、容器CN2の内部空間にて容器CN2と同軸となるように配置する。本例では、容器CN2は、円柱状の内部空間を有するとともに鉛直上方側の端面が開口し、且つ、有底である。従って、第1形成体FB1が容器CN2の内部空間に配置された状態において、第1形成体FB1の内壁転写面IW1は、所定の距離を隔てて容器CN2の内壁に取り囲まれる。
【0049】
次いで、図8の(J)に表されるように、硬化性を有する型取り材LPを容器CN2に注入する。本例では、型取り材LPは、石膏を含む。なお、型取り材LPは、石膏に代えて、石膏以外の材料(例えば、樹脂等)を含んでいてもよい。
【0050】
次いで、型取り材LPを硬化させるとともに、円柱体CB1及び第1形成体FB1を取り除くことにより、図8の(K)に表されるように、第2雌型PM2を形成する。第2雌型PM2は、中空の円柱状である。第2雌型PM2の内壁は、子宮頚管CC1の内壁IWの、複数の凸部CVにそれぞれ対応する複数の凹部を有する。
このようにして、第1形成体FB1が円柱体CB1に巻回された状態にて、当該第1形成体FB1の外壁の型を取ることにより第2雌型PM2を形成する(ステップS202)。
【0051】
次いで、図9の(L)に表されるように、第2雌型PM2の内部にて円柱状の中子CRを第2雌型PM2と同軸となるように保持した状態にて、硬化性を有する液状ゴムLGを第2雌型PM2に注入する(ステップS203)。本例では、液状ゴムLGは、シリコンゴムである。例えば、液状ゴムLGは、1液型又は2液型のRTVゴムである。なお、液状ゴムLGは、シリコンゴム以外のゴムであってもよい。
【0052】
本例では、中子CRは、中空の円柱状である。例えば、中子CRは、ポリ塩化ビニル製の管である。なお、中子CRは、中実の円柱状であってもよい。本例では、中子CRの直径は、円柱体CB1の直径と同じである。例えば、中子CRは、円柱体CB1と共用されてもよい。なお、中子CRの直径は、円柱体CB1の直径と異なっていてもよい。
【0053】
次いで、注入された液状ゴムLGを硬化させることにより、図9の(M)に表されるように、第2形成体FB2を形成する(ステップS204)。
【0054】
次いで、図9の(N)に表されるように、内壁転写面IW1が内壁IWを構成するように第2形成体FB2を裏返すことにより本体MBを形成する(ステップS205)。
このようにして、第1形成体FB1及び第2形成体FB2を用いて、円筒状であり且つ内壁IWに複数の凸部を有する本体MBを形成する。
【0055】
以上により、ゴムからなる円筒状であり、且つ、内壁IWに複数の凸部を有する本体MBを備える子宮頚管模型CMが製造される。
【0056】
以上、説明したように、第2実施形態の子宮頚管模型の製造方法は、第1実施形態の子宮頚管模型の製造方法と同様の作用及び効果を奏する。
更に、第2実施形態の子宮頚管模型の製造方法は、第1形成体FB1を、子宮頚管CCの内壁IWが転写された側の面である内壁転写面IW1が外方に位置するように円柱体CB1に巻回し、第1形成体FB1が円柱体CB1に巻回された状態にて、当該第1形成体FB1の外壁の型を取ることにより第2雌型PM2を形成し、第2雌型PM2の内部に円柱状の中子CRを保持した状態にて、硬化性を有する液状ゴムLGを第2雌型PM2に注入し、第2雌型PM2に注入された液状ゴムLGを硬化させることにより第2形成体FB2を形成し、第2形成体FB2を裏返すことにより本体MBを形成する、ことを含む。
【0057】
ところで、出産を経験したか否か、又は、黄体期であるか否か、等によって、子宮頚管CCの内部空間が狭窄している程度は、比較的大きく異なる。従って、内部空間が狭窄している程度が異なる子宮頚管模型を容易に製造できれば、種々の子宮頚管CCに対して、術者による棒状器具の挿入を訓練できる。
【0058】
これに対し、上記製造方法によれば、円柱状の中子CRの直径を調整することにより、本体MBの内部空間が狭窄する程度を容易に調整できる。従って、内部空間が狭窄している程度が異なる子宮頚管模型CMを容易に製造できる。
【0059】
なお、第2実施形態の子宮頚管模型の製造方法は、第1実施形態の第1変形例の、輪状体RBを本体MBに装着する工程を含んでいてもよい。
また、第2実施形態の子宮頚管模型の製造方法は、第1実施形態の第2変形例の、第1形成体FB1の凸部CVを高くするように当該凸部CVにゴムを付加する工程を含んでいてもよい。
【0060】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されない。例えば、上述した実施形態に、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において当業者が理解し得る様々な変更が加えられてよい。
【符号の説明】
【0061】
BS 底面
CB1 円柱体
CC,CC1 子宮頚管
CL 切断線
CM,CM1 子宮頚管模型
CN1,CN2 容器
CR 中子
CV 凸部
FB1 第1形成体
FB2 第2形成体
IW 内壁
IW1 内壁転写面
LG 液状ゴム
LP 型取り材
MB 本体
PM1 第1雌型
PM2 第2雌型
RB 輪状体
RC 凹部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2022-03-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
子宮頚管の少なくとも一部を切開し、
前記切開された子宮頚管の内壁を平面状に進展させた状態にて、当該内壁の型を取ることにより第1雌型を形成し、
硬化性を有する液状ゴムを前記第1雌型に注入し、
前記注入された液状ゴムを硬化させることにより第1形成体を形成し、
前記第1形成体を用いて、円筒状であり且つ内壁に複数の凸部を有する本体を形成する、
ことを含む子宮頚管模型の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の子宮頚管模型の製造方法であって、
前記第1形成体を、前記子宮頚管の内壁が転写された側の面である内壁転写面が内方に位置するように、前記第1形成体の両端部を互いに接合することにより前記本体を形成する、
ことを含む子宮頚管模型の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の子宮頚管模型の製造方法であって、
前記第1形成体を、前記子宮頚管の内壁が転写された側の面である内壁転写面が外方に位置するように円柱体に巻回し、
前記第1形成体が前記円柱体に巻回された状態にて、当該第1形成体の外壁の型を取ることにより第2雌型を形成し、
前記第2雌型の内部に円柱状の中子を保持した状態にて、硬化性を有する液状ゴムを前記第2雌型に注入し、
前記第2雌型に注入された液状ゴムを硬化させることにより第2形成体を形成し、
前記第2形成体を裏返すことにより前記本体を形成する、
ことを含む子宮頚管模型の製造方法。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の子宮頚管模型の製造方法であって、
前記第1形成体の前記内壁転写面に形成された凸部を高くするように当該凸部にゴムを付加する、
ことを含む子宮頚管模型の製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の子宮頚管模型の製造方法であって、
前記本体の内部空間を狭窄するように前記本体の外壁を押圧する輪状体を前記本体に装着する、
ことを含む子宮頚管模型の製造方法