(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084602
(43)【公開日】2023-06-19
(54)【発明の名称】線状部材の操作具
(51)【国際特許分類】
A61M 25/09 20060101AFI20230612BHJP
【FI】
A61M25/09 530
A61M25/09 540
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021198894
(22)【出願日】2021-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】599140507
【氏名又は名称】株式会社パイオラックスメディカルデバイス
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】弁理士法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 悟
(72)【発明者】
【氏名】大宮 由裕
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA05
4C267AA28
4C267AA32
4C267BB04
4C267BB05
4C267BB31
4C267BB40
4C267CC07
(57)【要約】
【課題】医療用チューブに接続された接続部材に対して、保持部材を介して線状部材を回転させることができると共に、必要に応じて接続部材から保持部材を取外すことができる、線状部材の操作具を提供する。
【解決手段】この線状部材の操作具10は、医療用チューブ1の基端部に接続される接続部材20と、線状部材2を保持する保持部材70とを有しており、保持部材70は、接続部材20に着脱構造を介して着脱可能に取付けられると共に、接続部材20を介して医療用チューブ1に対して回転可能とされている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用チューブ内に挿入される線状部材を操作するための操作具であって、
前記医療用チューブの基端部に接続される接続部材と、
前記線状部材を保持する保持部材とを有しており、
前記保持部材は、前記接続部材に着脱構造を介して着脱可能に取付けられると共に、前記接続部材を介して前記医療用チューブに対して回転可能とされていることを特徴とする線状部材の操作具。
【請求項2】
前記接続部材は、
前記医療用チューブの基端部に接続されるロック部と、
該ロック部に対して回転可能に装着されると共に、前記保持部材を着脱可能とするホルダーとを有しており、
前記ホルダーは、
少なくとも周方向に分かれた第1ホルダー部と第2ホルダー部とを有しており、
両ホルダー部は、前記ロック部の一部及び前記保持部材の一部を外側から抱え込むように組付けられる請求項1記載の線状部材の操作具。
【請求項3】
前記保持部材は、
前記線状部材を保持するチャック部を設けた本体部と、
該本体部の先端部に装着されるキャップとを有しており、
前記ロック部に対して、前記ホルダーを介して前記キャップが着脱可能に取付けられるようになっており、
前記ホルダーには、その内周に軸方向に沿った溝が形成されており、
前記キャップは、前記溝に挿脱される突部が軸方向に延びている請求項2記載の線状部材の操作具。
【請求項4】
前記ホルダーに係合部が設けられており、
該係合部が前記キャップの基端部に係合することで、前記ロック部に対して、前記ホルダーを介して前記キャップが取付けられるように構成されている請求項3記載の線状部材の操作具。
【請求項5】
前記保持部材は、
前記線状部材を保持するチャック部を設けた本体部と、
該本体部の先端部に装着されるキャップとを有しており、
前記キャップの先端部又は前記ロック部の基端部の一方に、凸部が設けられており、
前記キャップの先端部又は前記ロック部の基端部の他方に、前記凸部が入り込む凹部が設けられている請求項2~4のいずれか1つに記載の線状部材の操作具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ガイドワイヤ等の線状部材を押し引きや回転等の各種操作を容易に行うための、線状部材の操作具に関する。
【背景技術】
【0002】
以前から、胆管や膵管、血管、尿管、気管等の人体の管状器官や、体腔等の人体組織における検査・治療のために、カテーテル等の医療用チューブを挿入して、造影剤や制癌剤等の薬剤を投与したり、医療用チューブを通して鉗子等によって組織の一部を採取したりすることが行われている。このような医療用チューブの挿入に際しては、管状器官等の内部に、比較的細くて柔軟なガイドワイヤを挿入し、その先端を目的箇所に到達させた後、このガイドワイヤの外周に沿って医療用チューブを挿入するようにしている。
【0003】
上記のガイドワイヤを操作する際には、ガイドワイヤの所定箇所を把持して行うが、ガイドワイヤは細いため、把持しづらく操作しにくい。そこで、ガイドワイヤよりも外径の大きい操作具を、ガイドワイヤの所定箇所に取付けて、操作具にガイドワイヤを保持した後、この操作具を把持してガイドワイヤを操作することが行われている。
【0004】
従来のこの種の操作具として、下記特許文献1の第3図には、カテーテルの基端部に螺着する略円筒状の嵌合部材と、ガイドワイヤを挟持する挟持用チャック部材と、該挟持用チャック部材を収容保持する略円筒状の線材操作クリップと、線材操作クリップの先端部外周に羅着されると共に、前記嵌合部材に連結される連結部材とを備えた、線材操作器具が記載されている。前記嵌合部材の基端部内周からは、円周突起部が突設されている。また、前記連結部材は、大径部と、その先端側に連設され、大径部よりも縮径した小径部とを有しており、小径部の先端外周から、先端外部凸部が突設されている。
【0005】
そして、連結部材の小径部が、嵌合部材内に挿入されることで、嵌合部材に対して連結部材や線材操作グリップが回転可能に連結されるようになっている。また、小径部の先端外部凸部が、嵌合部材の円周突起部に係合することで、嵌合部材から連結部材や線材操作グリップが外れることが防止されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、ガイドワイヤの先端を、管状器官等の目的箇所に到達させるためには、ガイドワイヤを押し込んだり、ガイドワイヤを回転させたりする以外にも、例えば、医療用チューブの留置位置を保持しつつ、ガイドワイヤのみを手元側に引き戻す等といった、ガイドワイヤの先端の、微妙な位置調整が必要な場合もある。
【0008】
上記特許文献1の線材操作器具においては、カテーテル基端部に螺着した嵌合部材に対して連結部材や線材操作グリップが回転可能となっているが、嵌合部材から連結部材や線材部材を取外すことはできない。そのため、管状器官内にてカテーテルの留置位置を保持しつつ、ガイドワイヤのみを手元側に引き戻すことはできず、ガイドワイヤの先端の、微妙な位置調整はできない。
【0009】
したがって、本発明の目的は、医療用チューブに接続された接続部材に対して、保持部材を介して線状部材を回転させることができると共に、必要に応じて接続部材から保持部材を取外すことができる、線状部材の操作具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、医療用チューブ内に挿入される線状部材を操作するための操作具であって、前記医療用チューブの基端部に接続される接続部材と、前記線状部材を保持する保持部材とを有しており、前記保持部材は、前記接続部材に着脱構造を介して着脱可能に取付けられると共に、前記接続部材を介して前記医療用チューブに対して回転可能とされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、保持部材は、接続部材を介して医療用チューブに対して回転可能とされているので、医療用チューブの基端部に接続部材が接続された状態で、医療用チューブに対して、接続部材を介して保持部材を回転させることで、医療用チューブに対して、線状部材を回転させることができる。また、保持部材は、接続部材に着脱構造を介して着脱可能に取付けられるので、必要に応じて、接続部材から保持部材を取外すことができ、体内における線状部材の位置を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る線状部材の操作具の一実施形態を示しており、その分解説明図である。
【
図4】同線状部材の操作具を構成するロック部の断面図である。
【
図5】同線状部材の操作具を構成する第1ホルダー部を示しており、(a)は
図1のA-A矢視線における断面図、(b)は縦断面図である。
【
図6】同線状部材の操作具を構成する第2ホルダー部を示しており、(a)は
図1のB-B矢視線における断面図、(b)は縦断面図である。
【
図7】同線状部材の操作具を構成する第1ホルダー部及び第2ホルダー部を組付けた状態の断面図である。
【
図8】同線状部材の操作具を構成する保持部材の断面図である。
【
図9】同線状部材の操作具を構成するホルダーの変形例を示しており、(a)は第1ホルダー部及び第2ホルダー部が開いた状態の断面図、(b)は第1ホルダー部及び第2ホルダー部が閉じて組付けられた状態の断面図である。
【
図10】本発明に係る線状部材の操作具の他の実施形態を示しており、(a)は第1使用状態を示す断面図、(b)は第2使用状態を示す断面図、(c)は第3使用状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(線状部材の操作具の一実施形態)
以下、
図1~8を参照して、本発明に係る線状部材の操作具の、一実施形態について説明する。
【0014】
図1~3に示すように、この実施形態における線状部材の操作具10(以下、単に「操作具10」ともいう)は、医療用チューブ1内に挿入される線状部材2を操作するためのものであって、医療用チューブ1の基端部に接続される接続部材20と、線状部材2を保持する保持部材70とを有しており、保持部材70は、接続部材20に着脱構造を介して着脱可能に取付けられると共に、接続部材20を介して医療用チューブ1に対して回転可能とされている。
【0015】
なお、以下の説明で、医療用チューブ1や、接続部材20、ロック部30、ホルダー40、第1ホルダー部50、第2ホルダー部60、保持部材70、本体部80、キャップ90等の各部材における「基端部」又は「基端」とは、操作具10を操作する操作者の、手元に近い方の端部や端(近位端部,近位端)を意味し、「先端部」又は「先端」とは、上記基端部又は基端とは反対側の端部や端(遠位端部,遠位端)を意味する。
【0016】
この実施形態における医療用チューブ1は、所定長さで延びる略円筒状をなしており、例えば、カテーテルやシース等となっている。一方、この実施形態における線状部材2は、所定長さで延びる線状をなしており、例えば、ガイドワイヤとなっている。また、医療用チューブ1の基端部には、コネクタ3が装着されている。更に医療用チューブ1の先端部側には、バルーン6が装着されている共に、X線不透過性のマーカー7が複数配置されている。
【0017】
また、上記コネクタ3は、医療用チューブ1の軸心に沿って延びる接続ポート4と、該接続ポート4に対して斜め外方に延びる流体注入ポート5とを有している。接続ポート4は、医療用チューブ1内の図示しない線状部材挿通用のルーメンに連通する筒状をなしており、線状部材2が挿通されるようになっている。また、接続ポート4の基端外周からは、螺合突部4аが突設されている。一方、流体注入ポート5は、医療用チューブ1内の図示しないバルーン拡張用のルーメンに連通しており、この流体注入ポート5に、例えば、生理食塩水や造影剤等の流体が注入されることで、バルーン6が拡張されるようになっている。
【0018】
また、この実施形態の接続部材20は、医療用チューブ1の基端部に接続されるロック部30と、該ロック部30に対して回転可能に装着されると共に、保持部材70を着脱可能とするホルダー40とを有している。
【0019】
以下、
図1、
図3、及び
図4を参照して、接続部材20を構成するロック部30について詳述する。なお、接続部材20を構成する他の部材であるホルダー40については、後で詳述する。
【0020】
この実施形態のロック部30は、外周が円形状をなした本体31を有している。この本体31の基端部側外周からは、フランジ部32が径方向外方に向けて広がっている。また、本体31の外周には、軸方向に沿って延びる突条部31aが複数形成されており、ロック部30を把持しやすくなっている。また、本体31の基端面33aからは、円筒状をなした筒状部33が突出している。更に、本体31の径方向中央であって、本体31の先端部側からは、本体31の軸方向に沿って挿通孔34が形成されている。
【0021】
また、本体31の径方向中央であって、本体31の基端部側には、前記挿通孔34に連通する凹部35が形成されている。この凹部35は、前記筒状部33の基端面から本体31の軸方向先端に向けて次第に縮径するテーパ部35aを介して形成された、円形の凹み形状をなしている。更に、凹部35よりも奥側(本体31の先端側)には、本体31の軸方向先端に向けて次第に縮径するテーパ部35bが設けられており、該テーパ部35bを介して、凹部35は前記挿通孔34に連通している。
【0022】
更に、前記筒状部33の基端外周からは、環状突起状をなした係止部36が突設されている。
【0023】
また、本体31の先端部側であって、挿通孔34の周囲には、環状溝状をなした挿入溝37が形成されている。この挿入溝37の、径方向外方に位置する内側面からは、螺旋状突部37aが突設されている。そして、
図3に示すように、挿入溝37内には、医療用チューブ1の基端部に装着されたコネクタ3の接続ポート4が挿入されると共に、該接続ポート4の螺合突部4aが、螺旋状突部37aが螺合することで、医療用チューブ1の基端部に、コネクタ3を介して、接続部材20を構成するロック部30が接続されるようになっている(いわゆるルアーロック構造やスクリューロック構造)。なお、本体31の先端面であって、前記挿入溝37の、径方向内方に位置する内側面周縁からは、接続ポート4内に挿入される、円筒状の挿入突部38が突出している(
図3参照)。
【0024】
次に、保持部材70について詳しく説明する。
【0025】
図1及び
図8に示すように、この実施形態の保持部材70は、線状部材2を保持するチャック部85を設けた本体部80と、該本体部80の先端部83に装着されるキャップ90とを有している。
【0026】
本体部80は、全体として線状部材2を挿通可能な筒状をなしている。具体的に、この実施形態における本体部80は、操作者が把持する部分となる略円筒状をなした把持部81と、該把持部81の先端から本体部80の軸方向先端に向けて次第に縮径するテーパ部82と、該テーパ部82の先端から前記把持部81よりも縮径して略円筒状に延びると共に、キャップ90内に挿入される先端部83とを有している。
【0027】
また、前記先端部83の基端部外周には、雄ネジ部84が設けられている。更に、先端部83の軸方向先端側には、4つ割爪状をなし、線状部材2を挟持して保持可能とするチャック部85が設けられている。
【0028】
一方、キャップ90も、本体部80と同様に、全体として線状部材2を挿通可能な筒状をなしている。具体的に、この実施形態におけるキャップ90は、本体部80の先端部83が挿入される略円筒状をなした筒状部91と、該筒状部91の先端からキャップ90の軸方向先端に向けて次第に縮径するテーパ部92とを有している。なお、
図3に示すように、前記テーパ部92の内面には、先端部83に設けたチャック部85の先端面が当接するようになっている。
【0029】
また、キャップ90の先端部には、ロック部30の基端部に設けた凹部35に入り込む、凸部93が設けられている。この実施形態の場合、上記のテーパ部92の先端から前記筒状部91よりも縮径して略円筒状に延びる、凸部93が設けられている。
【0030】
更に、筒状部91の内周であって、基端側から先端側に向かう所定範囲には、本体部80の雄ネジ部84が螺合する、雌ネジ部94が設けられている。そのため、筒状部91の内部に本体部80の先端部83を挿入し、雄ネジ部84を雌ネジ部94に螺合させることで、本体部80の先端部83の外周に、キャップ90が螺着されるようになっている(
図8参照)。
【0031】
そして、本体部80及びキャップ90の内部に線状部材2を挿通させた状態で、
図8の矢印F1に示すように、本体部80の先端部83の最先端面が、キャップ90のテーパ部92の内面に近接する方向となるように、本体部80とキャップ90とを相対回転させる。すると、先端部83に設けたチャック部85の最先端面が、テーパ部92の内面に押圧されて、4つ割爪状のチャック部85が本体部80の径方向内方へと撓むので、線状部材2が挟持されて保持される。その結果、保持部材70によって、線状部材2を、その軸方向移動を規制しつつ回転規制した状態で保持できるようになっている。
【0032】
また、キャップ90の外周には、その軸方向に沿って突条に延びる、複数の突部95が設けられている。この実施形態の場合、テーパ部92及び筒状部91に亘って、突条をなした突部95が軸方向に沿って延びており、該突部95は、キャップ90の外周において周方向に均等な間隔を空けて複数設けられている。この実施形態では、キャップ90の外周において、周方向に90°の間隔を空けて、4つの突部95が延設されている。各突部95は、
図7に示すようなホルダー40に設けた溝54,54,57,67に、それぞれ挿入されるようになっている。
【0033】
また、キャップ90の基端部には、ホルダー40の係合部(後述するキャップ係合部56,66)が係脱するようになっている。この実施形態の場合、各突部95の基端面には、キャップ90の外周からの突部95の突出量が、キャップ90の基端側に向けて次第に小さくなるテーパ面状をなした、被係合部96が形成されている。そして、複数の突部95のうち、キャップ90の径方向に対向配置された所定の一対の突部95,95の被係合部96,96に、ホルダー40のキャップ係合部56,66が係脱するようになっている。上記の被係合部96が、本発明におけるキャップ90の「基端部」をなしている。
【0034】
次に、接続部材20を構成するホルダー40について詳しく説明する。
【0035】
図1、
図2、及び
図7に示すように、この実施形態のホルダー40は、少なくとも周方向に分かれた第1ホルダー部50と第2ホルダー部60とを有しており、両ホルダー部50,60は、少なくともロック部30の一部を外側から抱え込むように組付けられる構造となっている。
【0036】
図5や
図7に示すように、第1ホルダー部50は、略半割円筒状をなした本体51を有している。同様に
図6や
図7に示すように、第2ホルダー部60も、略半割円筒状をなした本体61を有しており、両ホルダー部50,60が互いに組付けられることで、略円筒状をなしたホルダー40が構成されるようになっている。なお、第1ホルダー部50と、第2ホルダー部60とは、一体形成されておらず、互いに分離独立した別体となっている。
【0037】
また、第1ホルダー部50の本体51の周方向両端部であって、且つ、軸方向両端部からは、撓み変形可能な弾性片状をなした、ホルダー組付け部53が突設されている(
図5(a),(b)参照)。各ホルダー組付け部53は、本体51の周方向各端部から周方向に突出した基部53aと、該基部53aの先端内側から本体51の径方向内方に向けて突出した爪部53bとからなる。
【0038】
一方、第2ホルダー部60の本体61の周方向両端部であって、且つ、軸方向両端部には、ホルダー組付け部53が係合可能な、凹状をなしたホルダー組付け部63が突設されている(
図6(a),(b)参照)。各ホルダー組付け部63は、本体61の周方向各端部に形成され、前記ホルダー組付け部53の基部53аが挿入される、基部挿入凹部63аと、該基部挿入凹部63аに連設され、前記ホルダー組付け部53の爪部53bが入り込んで係合する、爪部係合凹部63bとからなる。
【0039】
そして、
図7に示すように、両ホルダー部50,60の周方向両端部どうしを互いに突き合わせるよう近接させると、各第1ホルダー部50のホルダー組付け部53の基部53аが、各第2ホルダー部60のホルダー組付け部63の基部挿入凹部63аに挿入されると共に、ホルダー組付け部53の爪部53bが、ホルダー組付け部63の爪部係合凹部63bに入り込んで係合するので、両ホルター部50,60が互いに組付けられるようになっている。
【0040】
また、
図5(а)や
図6(а)に示すように、本体51,61の周方向両端部の内側には、本体51,61の軸方向に沿って延びる、溝形成凹部54a,64aがそれぞれ形成されている。そして、
図7に示すように、両ホルダー部50,60が互いに組付けられた状態で、本体51の溝形成凹部54аと、本体61の溝形成用凹部64аとによって、両ホルダー部50,60の突き当て部分(周方向両端部どうしが互いに当接する部分)の内側に、断面略コ字状をなし本体51,61の軸方向に沿って延びる凹溝状とされた、一対の溝54,54が形成されるようになっている。
【0041】
更に、本体51,61の周方向中央部(一対の溝54,54に対して直交する位置)には、本体51,61を径方向に貫通し、且つ、本体51,61の軸方向に沿って延びる、空隙55,65がそれぞれ形成されている。
【0042】
本体51,61には、上記の空隙55,65を介して、撓み変形可能なキャップ係合部56,66がそれぞれ形成されている。各キャップ係合部56,66は、その固定端部側が本体51,61の先端部側に配置され、自由端部側が本体51,61の基端部側に配置されている。
【0043】
すなわち、
図5(b),
図6(b)に示すように、各キャップ係合部56,66は、空隙55,65の、先端部側の内面であって、本体51,61の径方向内方の位置から、本体51,61の基端部側へ向けて延出する、細長板状をなした延出片56а,66аと、該延出片56а,66аの延出方向先端部の内側から本体51,61の径方向内方に向けて突出した爪部56b,66bとからなる。また、爪部56b,66bの、本体51,61の基端部側に向く面が、本体51,61の先端側から基端側に向けて次第に高さが低くなるテーパ面56c,66cをなしている。
【0044】
また、本体51,61の空隙55,65内には、キャップ係合部56,66を介して、溝57,67がそれぞれ形成されている。すなわち、
図5や
図6に示すように、本体51,61の空隙55,65内であって、キャップ係合部56,66よりも本体51,61の内側には、断面略コ字状をなし本体51,61の軸方向に沿って延びる凹溝状とされた、溝57,67が形成されている。
【0045】
なお、両ホルダー部50,60が互いに組付けられた状態では、
図7に示すように、一対の溝54,54と、溝57,67とが直交して配置される。これらの溝54,54,57,67に、保持部材70を構成するキャップ90の外周に設けられた複数の突部95を位置合わせして、ホルダー40に対してキャップ90を押し込むことで、溝54,54,57,67内に、キャップ90の対応する突部95がそれぞれ挿入されて、ホルダー40に対してキャップ90が回転規制されるようになっている。
【0046】
また、ホルダー40の溝54,54,57,67に、キャップ90の突部95が挿入されて、ホルダー40に対してキャップ90が押し込まれていくと、キャップ90のテーパ部92によって、キャップ係合部56,66の爪部56b,66bのテーパ面56c,66cが押圧されて、キャップ係合部56,66の延出片56a,66bが、ホルダー40の径方向外方に撓み変形する。更にキャップ90が押し込まれて、キャップ係合部56,66の爪部56b,66bが、キャップ90の基端部に設けた被係合部96,96に至ると、キャップ係合部56,66の延出片56a,66bが弾性復帰して、
図3に示すように、キャップ係合部56,66の爪部56b,66bが、キャップ90の基端部の被係合部96,96に係合する。その結果、ホルダー40に対してキャップ90が抜け止めされた状態(ホルダー40に対するキャップ90の軸方向移動が規制された状態)で、ホルダー40にキャップ90が取付けられて、ホルダー40とキャップ90とが一体化する。
【0047】
このように、この実施形態においては、本発明における「係合部」をなすキャップ係合部56,66が、キャップ90の基端部に設けた被係合部96,96に係合することで、ロック部30に対して、ホルダー40を介してキャップ90が取付けられるように構成されている。
【0048】
また、上記のように、ホルダー40にキャップ90が取付けられた状態では、ロック部30の基端部に設けた凹部35内に、キャップ90の先端部に設けた凸部93が入り込むようになっている(
図3参照)。この実施形態の場合、
図3に示すように、ロック部30側のテーパ部35aの内面に、キャップ90側のテーパ部92の外面が当接した状態で、凹部35内に凸部93が入り込むようになっている。その結果、保持部材70は、凹凸嵌合する凹部35及び凸部93によって、接続部材20を構成するロック部30に対して、
図2や
図3の矢印R1や矢印R2に示すように、操作具10の軸心Cを中心として回転可能に構成されている。
【0049】
更に上記のように、ホルダー40にキャップ90が取付けられた状態では、両ホルダー部50,60の内側に、保持部材70を構成するキャップ90が配置され、更に、このキャップ90の内側に、本体部80の先端部83が配置されるようになっている。言い換えると、本体部80の先端部83を含む保持部材70のキャップ90の外側に、両ホルダー部50,60が配置される。すなわち、この実施形態における両ホルダー部50,60は、本体部80の先端部83を含む保持部材70のキャップ90を外側から抱え込む構造(抱持する構造)となっている。
【0050】
また、上記のように、ホルダー40にキャップ90が取付けられた状態で、キャップ係合部56,66とキャップ90の基端部との係合力よりも大きい力でもって、
図3の矢印F2に示すように、ホルダー40からキャップ90を引き抜くと、キャップ90の被係合部96,96によって、キャップ係合部56,66の爪部56b,66bが押圧される。すると、キャップ係合部56,66の延出片56a,66bが、ホルダー40の径方向外方に撓み変形して、被係合部96,96から爪部56b,66bが外れるので、ホルダー40からキャップ90を取外し可能となっている。
【0051】
更に、本体51,61の先端部側であって、前記キャップ係合部56,66の延出片56а,65аよりも内側からは、本体51,61の径方向内方に向けて突出し、且つ、本体51,61の周方向に沿って形成された、被係止部58,68がそれぞれ設けられている。そして、
図3に示すように、ホルダー組付け部53,63を介して、両ホルダー部50,60が組付けられた状態では、上記の被係止部58,68に、ロック部30の係止部36が係止して、接続部材20を構成する構成するロック部30に対して、接続部材20を構成するホルダー40が、回転可能に且つ抜け止め状態で装着されるようになっている。また、この状態では、両ホルダー部50,60は、ロック部30の一部である筒状部33及び係止部36を外側から抱え込むようになっている(
図3参照)。
【0052】
以上説明したように、この実施形態の場合、接続部材20を構成するホルダー40は、接続部材20を構成するロック部30に対して回転可能に装着されると共に、保持部材70を構成するキャップ90に対して着脱可能に構成されるようになっている(
図3参照)。なお、本発明における接続部材と保持部材との「着脱構造」は、ホルダー40に設けたキャップ係合部56,66と、キャップ90の基端部に設けた被係合部96,96とからなる。
【0053】
(変形例)
以上説明した実施形態における医療用チューブや、接続部材、該接続部材を構成するロック部やホルダー、また、保持部材や、該保持部材を構成する本体部やキャップの等の、形状や構造は、上記態様に限定されるものではない。
【0054】
例えば、この実施形態のロック部30は、外周が円形状をなしているが、ロック部は、例えば、その外周が角形状や楕円形状等をなしていてもよく、操作者が把持可能であればよい。また、この実施形態のロック部30は、いわゆるルアーロック構造等により、医療用チューブ1の基端部に接続されているが、ロック部としては、例えば、圧入構造等によって、医療用チューブの基端部に対して接続するようにしてもよい。
【0055】
また、この実施形態の保持部材70を構成する本体部80は、把持部81等に対してチャック部85が一体的に形成されているが、例えば、チャック部は、把持部等とは別体の金属チャックからなる構成としてもよい。更に、本体部80やキャップ90は、全体として略円筒状をなしているが、例えば、角筒状等としてもよく、線状部材を挿通可能であればよい。また、キャップ90の外周には、突条をなした4つの突部95が設けられているが、突部の個数は、1~3個、5個以上であってもよく、突部の形状も、突条に延びる形状ではなく、単なる突起形状等であってもよく、ホルダーに設けた溝に適合する形状であればよい。
【0056】
更に、この実施形態のホルダー40は、別体の第1ホルダー部50及び第2ホルダー部60からなるが、
図9に示すように、これらは一体形成されていてもよい。
【0057】
図9に示す変形例のホルダー40Aは、第1ホルダー部50の周方向一端部に、弾性片状をなしたホルダー組付け部53を設け、第2ホルダー部60の周方向一端部に、ホルダー組付け部53が係合可能な、凹状のホルダー組付け部53を設ける一方、両ホルダー部50,60の周方向他端部どうしが、薄肉板状をなしたヒンジ部59を介して互いに連結されており、両ホルダー部50,60が一体形成された構造となっている(
図9(a)参照)。
【0058】
そして、
図9(b)に示すように、ヒンジ部59を折り曲げながら、両ホルダー部50,60の周方向一端部どうしを互いに近接させると、第1ホルダー部50のホルダー組付け部53が、第2ホルダー部60のホルダー組付け部63に入り込んで係合するので、両ホルター部50,60が互いに組付けられるようになっている。
【0059】
また、この実施形態のホルダー40は、それぞれ半割円筒状をなした第1ホルダー部50及び第2ホルダー部60からなるが、ホルダーとしては、例えば、略U字枠状をなした第1ホルダー部及びその開口を覆う蓋状の第2ホルダー部としたり、互いに略コ字枠状をなした第1ホルダー部及び第2ホルダー部としたりしてもよく、少なくとも周方向に分かれた第1ホルダー部と第2ホルダー部とを有し、両ホルダー部は、ロック部の一部及び保持部材の一部を外側から抱え込むように組付けられることが可能な構造であればよい。
【0060】
更に、この実施形態では、ホルダー40に4つの溝54,54,57,67を設けたが、溝の個数は、1~3個、5個以上であってもよい。また、この実施形態の溝54,54,57,67は、ホルダー40の軸方向の広い範囲に亘って延びる凹溝状をなしているが、溝としては、ホルダーの所定範囲に比較的短い長さで延びる凹溝状であってもよい。
【0061】
更に、この実施形態では、接続部材20と保持部材70との「着脱構造」は、ホルダー40に設けたキャップ係合部56,66と、キャップ90の基端部に設けた被係合部96,96とからなるが、保持部材と接続部材の着脱構造としては、例えば、(1)ホルダーの基端部側に弾性変形可能な部材を設け、この部材をキャップの基端部に係脱させる構造としたり(これについては後述する)、(2)キャップ側に、撓み変形可能な弾性片状の係合部を設け、ホルダー側に、弾性変形状の係合部が係合する被係合部を設けたり、(3)ホルダー及びキャップの両方に、互いに係合可能な係合部を設けたりしてもよく、接続部材と保持部材とが着脱可能であればよい。
【0062】
また、この実施形態では、ホルダー40に設けたキャップ係合部56,66が、キャップ90の基端部の被係合部96,96に係合するが、係合部と被係合部との係合位置は、特に限定されず、例えば、キャップの軸方向の途中位置にて係合するようにしてもよい。
【0063】
更に、この実施形態では、キャップ90の先端部に凸部93が設けられ、ロック部30の基端部に、凸部93が入り込む凹部35が設けられているが、ロック部の基端部に凸部を設け、キャップの先端部に、凸部が入り込む凹部を設けてもよい。
【0064】
(作用効果)
次に、上記構造からなる本発明に係る操作具10の使用方法の一例及び作用効果について説明する。
【0065】
この実施形態における線状部材2は、例えば、血管や、胆管、膵管、尿管、気管等の各種の管状器官や、体腔等の人体組織の所定位置に、カテーテル等の医療用チューブ1を配置したり、ステント等の医療具を留置したりする際に用いることができ、使用箇所については特に限定されない。本発明の操作具10は、このような線状部材2を操作しやすくするためのものであるが、実際の使用に際しては、例えば、以下のようにして、線状部材2を操作具10により保持する。
【0066】
すなわち、まず、医療用チューブ1の基端部に装着されたコネクタ3の接続ポート4を、ロック部30の挿入溝37内に挿入し、接続ポート4の螺合突部4aと、螺旋状突部37aとが螺合させることで、医療用チューブ1の基端部に、コネクタ3を介してロック部30を接続することができる。
【0067】
また、ロック部30の係止部36に、両ホルダー部50,60の被係止部58,68を位置合わせした状態で、ホルダー組付け部53,63を介して、両ホルダー部50,60を組付けることで、ロック部30に対してホルダー40を、回転可能に且つ抜け止めされた状態で装着することができる。
【0068】
上記状態で、ホルダー40の溝54,54,57,67に、キャップ90の複数の突部95をそれぞれ位置合わせして、ホルダー40に対して保持部材70、すなわち、本体部80に装着されたキャップ90を押し込む。すると、ホルダー40の溝54,54,57,67内に、キャップ90の対応する突部95がそれぞれ挿入されて、ホルダー40に対してキャップ90が回転規制されると共に、各キャップ係合部56,66が、キャップ90の基端部の被係合部96,96に係合して、ホルダー40に対してキャップ90が抜け止めされた状態で取付けることができる。すなわち、医療用チューブ1の基端部に、接続部材20であるロック部30及びホルダー40を介して、保持部材70を構成するキャップ90、ひいては保持部材70全体を取付けることができる。
【0069】
その後、医療用チューブ1、コネクタ3の接続ポート4、ロック部30の挿通孔34、キャップ90及び本体部80に、線状部材2を挿通させ(これらに予め線状部材2を挿通しておいてもよい)、
図8の矢印F1に示す方向に、本体部80とキャップ90とを相対回転させ、4つ割爪状のチャック部85が線状部材2を挟持して保持することで、操作具10で線状部材を保持することができる(
図3参照)。
【0070】
そして、この操作具10においては、保持部材70は、接続部材20を介して医療用チューブ1に対して回転可能とされている、すなわち、保持部材70は、接続部材20に取付けられた状態で、医療用チューブ1に対して回転可能とされているので、医療用チューブ1の基端部に接続部材20が接続された状態で、医療用チューブ1に対して、接続部材20を介して保持部材70を回転させることで、医療用チューブ1に対して、線状部材2を回転させることができる。
【0071】
また、保持部材70は、接続部材20に着脱構造(ここではホルダー40のキャップ係合部56,66及びキャップ90の被係合部96,96))を介して着脱可能に取付けられるので、必要に応じて、接続部材20から保持部材70を取外すことができ、体内における線状部材2の位置を調整することができる。
【0072】
更に、接続部材20に保持部材70が取付けられて、接続部材20と保持部材70とが一体化した状態で、医療用チューブ1を操作することができるので、プッシュアビリティを向上させることができる。すなわち、医療用チューブ1内に線状部材2が挿入された状態が維持されて、あたかも医療用チューブ1と線状部材2とが一体化すると共に、操作者が把持可能な部分を大きくすることができるため、医療用チューブ1に押込み力を伝達しやすくなり、プッシュアビリティを向上させることができる。
【0073】
その結果、以下のような場合に好適に用いることができる。すなわち、例えば、人工透析に際して、血液の循環量増大のために、動脈と静脈とを吻合してなる大きな血管(シャント)に、医療用チューブを挿入することがある。この際、血管内に内膜肥厚が生じて、血管内腔が狭くなってしまって、医療用チューブ1を押し込みにくくなることがあった。また、血管内に内膜肥厚が生じる以外にも、例えば、管状器官内に狭窄部や石灰化病変部等が生じることで、医療用チューブ1を押し込みにくい事態が生じることがある。このような場合であっても、この操作具10においては、上述したように大きなプッシュアビリティを得られるので、好適に用いることができる。
【0074】
また、この実施形態においては、
図3に示すように、接続部材20は、医療用チューブ1の基端部に接続されるロック部30と、該ロック部30に対して回転可能に装着されると共に、保持部材70を着脱可能とするホルダー40とを有しており、ホルダー40は、少なくとも周方向に分かれた第1ホルダー部50と第2ホルダー部60とを有しており、両ホルダー部50,60は、ロック部30の一部及び保持部材70の一部を外側から抱え込むように組付けられる構成となっている。
【0075】
上記態様によれば、ホルダー40は、少なくとも周方向に分かれた第1ホルダー部50と第2ホルダー部60とを有しており、両ホルダー部50,60は、ロック部30の一部を外側から抱え込むように組付けられるように構成されているので、ロック部30にホルダー40を組付けやすくなる。
【0076】
また、両ホルダー部50,60は、保持部材70の一部を抱え込むように組付けられる構成でもあるので、抱え込んだ保持部材70の一部を適切に保護することができる。
【0077】
更に、ロック部30に対するホルダー40の係止しろ(ここでは係止部36と被係止部58,68との係止面積)を比較的大きく確保することができるので、ロック部30からホルダー40を外れにくくすることができる。
【0078】
ところで、医療用チューブ1の基端部に対する接続構造と、保持部材70に対する着脱構造との、機能が異なる2つの構造を、一つの部材に設けようとした場合、スペースに余裕がないと、それらの2つの構造を設けにくい。この実施形態では、接続部材20は、医療用チューブ1の基端部に接続されるロック部30と、ロック部30に対して回転可能に装着されると共に、保持部材70を着脱可能とするホルダー40との、構造が異なる2つの部材を有しているので、医療用チューブ1の基端部に対する接続構造、及び、保持部材70に対する着脱構造を、設けやすい。
【0079】
更に、この実施形態においては、保持部材70は、線状部材2を把持するチャック部85を設けた本体部80と、該本体部80の先端部83に装着されるキャップ90とを有しており、ロック部30に対して、ホルダー40を介してキャップ90が着脱可能に取付けられるようになっており、ホルダー40には、その内周に軸方向に沿った溝54,54,57,67が形成されており、キャップ90は、溝54,54,57,67に挿脱される突部95が軸方向に延びている。
【0080】
上記態様によれば、ホルダー40の内周の溝54,54,57,67に、キャップ90の突部95を位置合わせして、ホルダー40に対してキャップ90を押し込むだけの簡単な作業で、ホルダー40の溝54,54,57,67にキャップ90の突部95が挿入されて、ホルダー40に対してキャップ90を回転規制することができると共に、ホルダー40にキャップ90を組付けしやすくなり、且つ、ホルダー40からキャップ90を取外しやすい。
【0081】
また、この実施形態においては、
図3に示すように、ホルダー40に係合部(ここではキャップ係合部56,66)が設けられており、該係合部がキャップ90の基端部(ここでは被係合部96,96)に係合することで、ロック部30に対して、ホルダー40を介してキャップ90が取付けられるように構成されている。
【0082】
上記態様によれば、ホルダー40に設けられたキャップ係合部56,66が、キャップ90の基端部に係合するので、操作具10の軸方向長さを短くしてコンパクト化を図ることができる(ホルダー40のキャップ係合部56,66が、キャップ90の基端部に係合することで、ホルダー40とキャップ90との軸方向に重なる(ラップする)部分が増えるため)。
【0083】
また、ホルダー40にキャップ係合部56,66が設けられていると共に、キャップ90の基端部を利用して、キャップ係合部56,66がキャップ90に係合するので、キャップ90に、キャップ係合部56,66が係合する構造をわざわざ設ける必要がないため、キャップ90側の形状を簡素化することができ、キャップ90の汎用化を図ることができる。
【0084】
更に、ホルダー40のキャップ係合部56,66がキャップ90の基端部に係合することで、ホルダー40とキャップ90との係合箇所を、操作者の手元に近い位置にすることができるため、線状部材2の操作性を向上させることができる。
【0085】
更に、この実施形態においては、
図3に示すように、保持部材70は、線状部材2を保持するチャック部85を設けた本体部80と、該本体部80の先端部83に装着されるキャップ90とを有しており、キャップ90の先端部に凸部93が設けられており、ロック部30の基端部に、凸部93が入り込む凹部35が設けられている。
【0086】
上記態様によれば、ロック部30に対して、ホルダー40を介してキャップ90を取付ける場合に、凸部93が凹部35に入り込むので(
図3参照)、接続部材20がホルダー40を有し、保持部材70がキャップ90を有する構造のように、接続部材20と保持部材70との間に、複数の部材が介在している場合でも、ロック部30とキャップ90との軸ブレを防止して、ロック部30に対してキャップ90、ひいては保持部材70全体を回転させやすくすることができる。なお、ロック部30の基端部に、凸部が設けられており、キャップ90の先端部に、凸部が入り込む凹部が設けられている場合も、上記と同様の効果を得ることができる。
【0087】
(線状部材の操作具の他の実施形態)
図10には、本発明に係る線状部材の操作具の、他の実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0088】
この第2実施形態の線状部材の操作具10A(以下、単に「操作具10A」ともいう)は、接続部材20Aと保持部材70との「着脱構造」が、前記実施形態と異なっている。
【0089】
すなわち、この実施形態の接続部材20Aを構成するホルダー40Aは、その基端部の端面に、薄肉円板状をなし且つ弾性変形な弾性係合部材45が、押え部材47を介して抜け止め状態で取付けられており、該弾性係合部材45によって、ホルダー40Aの基端開口が閉塞されている。また、弾性係合部材45の径方向中央には、円形孔状をなした挿通孔45aが形成されている。そして、この弾性係合部材45が、保持部材70を構成するキャップ90の基端部に係脱するようになっている(
図10(a),(c)参照)。
【0090】
すなわち、
図10(a)に示すように、ホルダー40Aにキャップ90が取付けられていない状態では、弾性係合部材45の挿通孔45aの表側周縁部に、キャップ90のテーパ部92の外面が当接している。この状態でホルダー40Aに対してキャップ90ごと保持部材70を押し込むと(
図10(a)の矢印F1参照)、
図10(b)に示すように、挿通孔45aの周縁部がキャップ90のテーパ部92により押し広げられていき、更にキャップ90が押し込まれて、その基端部が挿通孔45aを通り抜けると、弾性係合部材45が弾性復帰して、その挿通孔45аの裏側周縁部が、キャップ90の基端部の被係合部96а,96а(この実施形態ではテーパ面状をなした部分及びその内側部分)に係合して、ホルダー40Aに対してキャップ90が抜け止め状態で取付けられるようになっている。
【0091】
なお、ホルダー40Aからキャップ90を取外したい場合には、
図10(c)に示す状態から、矢印F2に示すように、弾性係合部材45の挿通孔45aの裏側周縁部とキャップ90の基端部との係合力よりも大きい力でもって、ホルダー40Aからキャップ90を引き抜くと、キャップ90の被係合部96а,96аによって、弾性係合部材45が裏側から押圧されて捲り上げられて、被係合部96а,96аと弾性係合部材45の挿通孔45aの裏側周縁部との係合が解除されるので、ホルダー40Aからキャップ90を取外し可能となっている。
【0092】
この実施形態においては、前記実施形態の作用効果に加えて、接続部材20Aと保持部材70との着脱構造を比較的簡単に設けることができるという利点が得られる。
【0093】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、各種の変形実施形態が可能であり、そのような実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0094】
1 医療用チューブ
2 線状部材
10,10A 線状部材の操作具(操作具)
20,20A 接続部材
30 ロック部
35 凹部
40,40A ホルダー
50 第1ホルダー部
60 第2ホルダー部
56,66 キャップ係合部(係合部)
70 保持部材
80 本体部
85 チャック部
90 キャップ
93 凸部