(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084623
(43)【公開日】2023-06-19
(54)【発明の名称】紙工作用絵本及び紙工作用絵本の製作方法
(51)【国際特許分類】
A63H 33/38 20060101AFI20230612BHJP
B42D 1/00 20060101ALI20230612BHJP
A63H 33/16 20060101ALI20230612BHJP
【FI】
A63H33/38 B
B42D1/00 B
A63H33/16 B
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021198926
(22)【出願日】2021-12-07
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)令和3年2月11日 youtube https://www.youtube.com/watch?v=luCIgFqwlT8 (2)令和3年8月25日 第15回キッズデザイン賞 受賞発表 https://kidsdesignaward.jp/docs/2021/15thKDawardPressrelease20210825.pdf (3)令和3年8月25日 株式会社ピコトンウェブサイト https://workshop.picoton.com/wp_news/2021/08/25/craftbook/ (4)令和3年8月25日 株式会社ピコトンウェブサイト https://picotonws.kawaiishop.jp/ (5)令和3年8月27日 中野経済新聞ウェブサイト https://nakano.keizai.biz/headline/2204/、https://nakano.keizai.biz/photoflash/3505/ (6)令和3年10月25日 第15回キッズデザイン賞 受賞作品検索サイト https://kidsdesignaward.jp/search/detail_210445 (7)令和3年11月2日 株式会社ピコトンウェブサイト https://picoton.com/craft-book-kids-design-award2021/ (8)令和3年11月17日~12月10日:産業交流展2021 公式オンライン会場(https://www.sangyo-koryuten.tokyo/)、令和3年11月24日~11月26日:産業交流展2021 東京ビッグサイト南展示棟 (東京都江東区有明3丁目11-1) (9)令和3年11月25日~12月17日:オンライン展示会(https://eco-pro.com/2021/)、令和3年12月8日~12月10日:エコプロ2021 東京ビッグサイト東2~3ホール(東京都江東区有明3丁目11-1)
(71)【出願人】
【識別番号】510136390
【氏名又は名称】株式会社ピコトン
(74)【代理人】
【識別番号】100139996
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 洋子
(72)【発明者】
【氏名】久保 麻衣子
(72)【発明者】
【氏名】内木 広宣
(72)【発明者】
【氏名】笠原 信城
(72)【発明者】
【氏名】田中 大
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150BA44
2C150BA47
2C150BA49
2C150CA01
2C150CA02
2C150CA06
2C150CA09
2C150FB04
2C150FB45
2C150FD04
2C150FD12
(57)【要約】
【課題】 シンプルな構成で生産性及び取り扱い性に優れた紙工作を可能とした紙工作用絵本を提供すること。
【解決手段】 同一形状で同じ大きさの用紙100を重ね合わせて用紙100の中央部位100aを綴じるとともに中央部位100aにて線対象となるよう用紙100を二つ折りにすることにより製本される紙工作用絵本10であって、用紙100の両面104,106には中央部位100aにて線対称となるよう外周縁部200aが一致する関係にある絵200が夫々印刷され、夫々の絵200の外周縁部200aの近傍には所定の距離を存して夫々切り取り線300が設けられていることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一形状で同じ大きさの用紙を重ね合わせてこの用紙の中央部位を綴じるとともに当該中央部位にて線対象となるよう当該用紙を二つ折りにすることにより製本される紙工作用絵本であって、
上記用紙の両面には、上記中央部位にて線対称となるよう外周縁部が一致する関係にある絵が夫々印刷され、
この印刷された夫々の絵の外周縁部近傍には所定の距離を存して夫々切り取り線が設けられていることを特徴とする紙工作用絵本。
【請求項2】
上記用紙の一方の面にはキャラクタ等のパーツが印刷され、
このパーツは、他方の面に印刷される同様なまたは他の異なるパーツとは重ならない位置に存するようにしたことを特徴とする請求項1記載の紙工作用絵本。
【請求項3】
上記切り取り線に沿って上記用紙を切ると、上記綴じられた中央部位を中心にして開閉自在に立設可能としたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の紙工作用絵本。
【請求項4】
同一形状で同一面積の用紙の中央部位にて線対称となるよう当該用紙の両面に同一形状で同一面積の絵を印刷し、
この両面に線対称となるよう同一形状で同一面積の絵及びこの絵の外周縁部近傍に所定の距離を存した切り取り線が印刷された用紙を重ね合わせて束ね、
この重ね合わせて束ねられた用紙の上記中央部位を複数箇所ホチキス留めにより綴じ
この綴じられた用紙の上記中央部位にて線対象となるよう当該用紙を二つ折りにして製本することを特徴とする紙工作用絵本の製作方法。
【請求項5】
上記用紙の一方の面にはキャラクタ等のパーツが印刷され、
このパーツは、他方の面に印刷される同様なまたは他の異なるパーツとは重ならない位置に存するよう印刷されることを特徴とする請求項4記載の紙工作用絵本の製作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗り物や建築物或いは人や動物等のキャラクタやイラストの絵が印刷された紙面を切ることにより工作物を作成する紙工作用絵本及び紙工作用絵本の製作方法、特に紙面を所定の指示線に沿って切りまたは任意に紙面を切り取ることにより紙製の工作物を作成可能とする紙工作用絵本及び紙工作用絵本の製作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、絵本を開くと人や動物等のキャラクタや乗り物等が絵本の紙面上にポップアップ的に出現する立体絵本が提供されてきた。また、物語性を強調したり補強するために付録の紙製工作物を絵本の紙面上に置き、読み手に楽しみや夢を与える絵本も提供されてきた。さらには、ページを開くと絵がジグソーパズルになっている絵本や知育用に例えば乗り物や動物或いは建築物等がジグソーパズルになった絵本も提供されてきた。
【0003】
下記特許文献1には、幼児が自分のペースで立体絵柄、メロディ及び光の点滅といった仕掛けを味わったり楽しんだりすることを可能としたポップアップ絵本が開示されている。このものにあっては、絵本を開くと立体的な絵柄が構成されて幼児は好きなだけそれを眺めたり、そこに現れた例えば動物や乗り物等の絵柄を元にして自分で物語を作ったりして味わえるようにしたものである。また、ページを貫いて設けられた孔からスイッチを押すと、音がして絵柄に設けられた発光素子が点滅するよう構成したので、幼児はもう一度この立体絵柄、或いは他のページの絵柄を味わってさらに自分で物語を作ったりして遊ぶことができるものである。
【0004】
下記特許文献2には、絵や模様の一部をポップアップさせることのできる立体絵本が開示されている。このものにあっては、絵本を構成する厚紙に、平坦部と、切線や折線によってまわりの平坦部と区画されて、この平坦部から折線により立ち上げることのできるポップアップ部を設け、厚紙の平坦部を下地となる別の厚紙に貼り付け、ポップアップ部の裏面及びポップアップ部を立ち上げた際に表に現れる下地の部分にも平坦部と連続する絵柄が印刷されて絵柄が欠落することのないよう構成したものである。
【0005】
下記特許文献3には、ジグソーパズル等のパズル付き合紙絵本が開示されている。このものにあっては、絵本が不用意に開いてジグソーのピースが脱落しないように各ページの小口側縁辺等に結合材料が取り付けられており、この結合材料を嵌め込むために形成される開口の抜き跡が台紙シートにまで達しないよう、台座シートにプラスチックシートが貼着されているので、絵本を開く際に台紙シートが破損して結合材料が剥がれてしまうようなことが生じないようにしたものである。
【0006】
下記特許文献4には、クラフト体を単体で用いて遊んだり、絵本のページシートに装着して絵本のポップアップ体として用いることができるクラフト体を設けた絵本が開示されている。このものにあっては、折り畳み線より二つ合わせに折り畳みできる台紙本体上に、所定の部材に設けた折り畳み線より二つ合わせに折り畳みできるクラフト本体を、クラフト本体の折り畳み線を台紙本体の折り畳み線の線上に合わせて貼りつけてクラフト体を構成し、台紙本体を開にして折り畳まれたクラフト本体を立体にした際、クラフト本体に夫々設けるロック片とスリットを係合させて、クラフト本体が立体に且つ台紙本体が略平面に維持されるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平7-27699号公報
【特許文献2】特開2003-71151号公報
【特許文献3】特開2006-130661号公報
【特許文献4】特開2011-194006号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
さて、絵本は、子供たち、特に幼児の想像力や感性を高めることは勿論、知育等に極めて有効なツールの一つである。このため、例えば上述した特許文献1乃至特許文献4のような種々の工夫を凝らした絵本が提供されてきている。
【0009】
また、子供たちの想像力や感性を高める知育等の一助として紙工作も有効であることは既知の事実である。紙工作は、思考力及び空間認知能力が鍛えられ、手や指を動かすことにより脳が鍛えられ、器用になるという効果をも期待できるものである。
【0010】
特許文献1乃至特許文献4に開示されたものは、絵本が持つ既存の機能・効果の範囲に止まるものである。従って、紙工作による特有の効果を期待することは難しいものである。
【0011】
本発明は上記事情を考慮してなされたものであり、紙工作を可能とした紙工作用絵本及び紙工作用絵本の製作方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、シンプルな構成で生産性及び取り扱い性に優れた紙工作用絵本及び紙工作用絵本の製作方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記目的を達成するために以下の構成を有する。
【0013】
(1) 同一形状で同じ大きさの用紙を重ね合わせてこの用紙の中央部位を綴じるとともに当該中央部位にて線対象となるよう当該用紙を二つ折りにすることにより製本される紙工作用絵本であって、
上記用紙の両面には上記中央部位にて線対称となるよう外周縁部が一致する関係にある絵が夫々印刷され、この印刷された夫々の絵の外周縁部近傍には所定の距離を存して夫々切り取り線が設けられているよう構成したことを特徴とする。
【0014】
(2) 上記(1)の構成にあって、紙工作用絵本は、上記用紙の一方の面にキャラクタ等のパーツが印刷され、このパーツは他方の面に印刷される同様なまたは他の異なるパーツとは重ならない位置に存するよう構成したことを特徴とする。
【0015】
(3) 上記(1)または(2)の構成にあって、紙工作用絵本は、上記切り取り線に沿って上記用紙を切ると、上記綴じられた中央部位を中心にして開閉自在に立設可能となるよう構成したことを特徴とする。
【0016】
(4) 紙工作用絵本の製作方法は、同一形状で同一面積の用紙の中央部位にて線対称となるよう当該用紙の両面に同一形状で同一面積の絵及びこの絵の外周縁部近傍に所定の距離を存した切り取り線を印刷し、この両面に線対称となるよう同一形状で同一面積の絵が印刷された用紙を重ね合わせて束ね、この重ね合わせて束ねられた用紙の上記中央部位を複数箇所ホチキス留めにより綴じ、この綴じられた用紙の上記中央部位にて線対象となるよう当該用紙を二つ折りにして製本されることを特徴とする。
【0017】
(5) 上記(4)の構成にあって、紙工作用絵本の製作方法は、上記用紙の一方の面にはキャラクタ等のパーツが印刷され、このパーツは他方の面に印刷される同様なまたは他の異なるパーツとは重ならない位置に存するよう印刷されることを特徴とする。
【0018】
上記構成によれば、絵本が本来有する機能に加え、思考力及び空間認知能力と脳が鍛えられることで器用になるという効果を期待できる。また、上記構成によれば、実用的で取り扱い性に優れた知育教育に寄与する紙工作用絵本を提供できるものである。
【0019】
また、本発明は、シンプルな構成としたので、生産性、量産性及び経済性に於いても優位となるものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、絵本が本来有する機能に加えて紙工作を可能としたので、思考力及び空間認知能力の向上のみならず、脳トレの効果を期待できるとともに、実用的で取り扱い性に優れるものである。
また、本発明によれば、シンプルな構成としたので、生産性、量産性及び経済性の面で優れるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係わる紙工作用絵本の全体を表表紙側からみた状態を模式的に示す図である。
【
図2】同実施形態に係わり、紙工作用絵本の全体を裏表紙側からみた状態を模式的に示す図である。
【
図3】同実施形態に係わり、紙工作用絵本を開いた状態を模式的に示す図である。
【
図4】同実施形態に係わり、紙工作用絵本の製作工程の流れを示す図である。
【
図5】同実施形態に係わり、切り取り線に沿って切った後に立設した状態を模式的に示す図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態に係わる紙工作用絵本の全体を表表紙側からみた状態を模式的に示す図である。
【
図7】同実施形態に係わり、紙工作用絵本の全体を裏表紙側からみた状態を模式的に示す図である。
【
図8】同実施形態に係わり、紙工作用絵本を開いた状態を模式的に示す図である。
【
図9】同実施形態に係わり、切り取り線に沿って切った後に各頁を所定間隔で開いて水平方向に倒した状態を模式的に示す図である。
【
図10】同実施形態に係わり、切り取り線に沿って切った後に各頁を所定間隔で開いて水平方向に倒しパーツを付けた状態を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下本発明の実施形態につき、図を参照して説明する。
【0023】
(第1の実施形態)
先ず、第1の実施形態について、
図1乃至
図5を参照して説明する。
本実施形態に係わる紙工作用絵本10(以下「絵本10」と称す)は、A4サイズの中綴じ製本によるのものであり、中綴じのホチキス留め部分を利用して簡単に立体的な工作が楽しる。そのため、子供たち、特に幼児の想像力や感性を高め、思考力及び空間認知能力を鍛えることができる。また、手や指を動かすことにより、子供たち、特に幼児の脳が鍛えられるため、器用になるという効果を意図した新規且つ有用なものである。
【0024】
即ち、絵本10は、同一形状で同じ大きさの例えば長方形状の用紙100を重ね合わせて、用紙100の中央部位100aに設けられる折り目102部分を例えば2箇所綴じ、中央部位100aの折り目102にて線対象となるよう用紙100を二つ折りにすることにより製本されるものである。そして、用紙100の両面104,106には、中央部位100aの折り目102にて線対称となるようその外周縁部200aが一致する関係にある絵(例えば家の絵)200が夫々印刷されている。また、この印刷された夫々の絵200の外周縁部200aの近傍には、所定の距離(例えば5mm)を存して夫々切り取り線300が設けられている。
【0025】
さらに、用紙100の一方の面104には、キャラクタ等のパーツ400が印刷されている。ここで、パーツ400は、他方の面106に印刷される同様なまたは他の異なるパーツ400とは重ならない位置に存するものである。なお、本実施形態に於けるキャラクタ等とは、人や動物に限らず、家具や道具或いは建築物他のイラストをも含むものとする。
【0026】
さて、用紙100は、A3サイズの厚紙(例えば0.22mm~0.25mmの厚さ)であり、絵本1冊につき3枚が用意されている。夫々の用紙100の両面104,106には、絵200やパーツ400等が印刷されている。本実施形態では、絵本1冊につき3枚の用紙としたが、これに限らず絵本のストーリーに応じて適宜枚数は変更してもよいことは勿論である。
【0027】
絵200は、夫々の用紙100の中央部位100aの折り目102にて線対称となるように同一形状で同一面積のものである。また、その外周縁部200aは、絵本10を閉じたときに(厚み方向で)同一線上に位置する関係にある。なお、絵200は同色で統一してもよいし、異なる色であってもよい。
【0028】
同様に、夫々の絵200の外周縁部200aの近傍に存する夫々の切り取り線300も、絵本10を閉じたときに(厚み方向で)同一線上に位置する関係にある。本実施形態の切り取り線300は、線の太さが0.5mmの点線を用いている。しかし、これに限らず線の太さは適宜変更可能である。また、線種もこれに限らず、例えば破線、一点鎖線或いは直線であってもよい。
【0029】
パーツ400には、その外周縁部近傍に切り取り線を設けてはないが、絵200と同様に切り取り線を設けてもよい。ここで、一方の面104に描かれたパーツ400は、他方の面106に描かれたパーツ400とは重ならない位置に存するようにしてある。
【0030】
斯様な構成の絵本10は、以下のようにして製作・製本されるものである。
【0031】
先ず、A3サイズの用紙100の両面104,106に絵200やパーツ400等を印刷する(
図4のステップS402参照)。このとき、絵200は、中央部位100aに設けられる折り目102にて線対称となるよう用紙100の両面104,106に印刷される。
【0032】
次に、予め定められた順、即ち絵本10のストーリーの展開順に用紙100を3枚重ね合わせて束ねる(ステップS404)。
【0033】
続いて、重ね合わせて束ねられた用紙100の中央部位100aの折り目102部分の少なくとも2箇所をホチキスにて綴じる(ステップS406)。所謂中綴じである。
【0034】
この後、用紙100の中央部位100aの折り目102部分にて線対象となるよう用紙100の束を二つ折りにする(ステップS408)。
【0035】
而して、A3サイズ3枚の用紙100から全12頁のA4サイズの絵本10が完成する。
【0036】
上記構成につき、その作用を以下に説明する。
【0037】
絵本10に設けられた切り取り線300に沿って、例えば鋏を使用して切っていくと、絵200だけが絵本10として綴じられた状態になり、他の部位は絵本10から切り取られて分離された状態になる。
【0038】
絵200だけが綴じられた状態の絵本10を縦にして、例えばテーブル1000の水平面(
図5中、矢印X方向)に各頁が等間隔を存するよう開くと、絵本10が起立した状態、即ちテーブル1000の水平面に対して立設されて絵200が立体的に出現することになる。なお、頁を開く間隔は等間隔に限らず、任意の間隔で開いてもよい。
【0039】
切り離された他の部位に存する所望のパーツ400を鋏で切り取れば、そのパーツ400を立体的に出現した絵200の所望の位置に置くことが可能である。ここで、所望のパーツ400を切り取っても、他のパーツ400への影響はないので、パーツ400を自由に切り取ることが可能である。
【0040】
また、切り離された他の部位でパーツ400が印刷されてない部位を例えば長方形状に切り取り、それを半分のところで直角または鋭角に折って、パーツ400の背面に当接させれば、当該パーツ400を立たせることができるものである。
【0041】
上記実施形態によれば、絵本が本来有する機能に加え、思考力及び空間認知能力と脳が鍛えられて器用になるという効果を期待できる。また、実用的で取り扱い性に優れた知育教育に大いに寄与する紙工作用絵本10を提供できるものである。
【0042】
また、上記実施形態によれば、シンプルな構成としたので、生産性、量産性及び経済性に於いても優位となるものである。
【0043】
さらに、上記実施形態によれば、中綴じにより製本を行っているので、綴じ代まで開け、工作がし易くなることは勿論、容易に絵本を開いた状態で立たせることが可能となるものである。特に、子供たち、特に幼児にとっては、取り扱い易く極めて有用なものである。
【0044】
さらに、上記実施形態によれば、従来は「本を切る」という行為は決して推奨されるものではなかったが、逆転の発想的に敢えて「本を切って工作する」という行為により、子供たちの自由で想像力を刺激する効果を期待できるものである。
【0045】
しかも上記実施形態によれば、鋏さえあれば紙工作が可能であり、また切り離された他の部位も有効に利用できるので、環境にも優しくSDGs(Sustainnable Development Goals)の流れにも貢献できるものである。
【0046】
(第2の実施形態)
続いて本発明の第2の実施形態について、
図6乃至
図10並びに
図4を参照して説明する。前述第1の実施形態と同一部分、同一機能については、同一符号を付して説明する。
【0047】
本実施形態に係わる紙工作用絵本20(以下「絵本20」と称す)は、A4サイズの中綴じ製本によるのものであり、中綴じのホチキス留め部分を利用して簡単に立体的な工作が楽しめる。そのため、前述第1の実施形態と同様に子供たち、特に幼児の想像力や感性を高め、思考力及び空間認知能力を鍛えることができる。また、手や指を動かすことにより、子供たち、特に幼児の脳が鍛えられるため、器用になるという効果を意図した新規且つ有用なものである。また、宇宙船を主体とした素材により、宇宙関連の様子を学べるよう構成してある。
【0048】
即ち、絵本20は、同一形状で同じ大きさの例えば長方形状の用紙100を重ね合わせて、用紙100の中央部位100aに設けられる折り目102部分を例えば2箇所綴じ、中央部位100aの折り目102にて線対象となるよう用紙100を二つ折りにすることにより製本されるものである。そして、用紙100の両面104,106には、中央部位100aの折り目102にて線対称となるようその外周縁部500aが一致する関係にある絵(例えば宇宙船の絵)500が夫々印刷されている。また、この印刷された夫々の絵500の外周縁部500aの近傍には、所定の距離(例えば5mm)を存して夫々切り取り線600が設けられている。
【0049】
なお、外周縁部500aと切り取り線600は、所定の距離を存するよう構成しているが、これに限らず外周縁部500aと切り取り線600とは重なるよう同一線上に存するよう構成してもよいものである。
【0050】
さらに、用紙100の一方の面104には、パーツ700が印刷されている。ここで、パーツ700は、他方の面106に印刷される同様なまたは他の異なるパーツ700とは重ならない位置に存するものである。なお、本実施形態に於けるパーツ700は、宇宙船に関連するもの(例えば、ソーラーパネル、ロボットアーム等)である。
【0051】
さて、用紙100は、A3サイズの厚紙(例えば0.22mm~0.25mmの厚さ)であり、絵本1冊につき3枚が用意されている。夫々の用紙100の両面104,106には、絵500やパーツ700等が印刷されている。本実施形態では、絵本1冊につき3枚の用紙としたが、これに限らず絵本のストーリーに応じて適宜枚数は変更してもよいことは勿論である。
【0052】
絵500は、夫々の用紙100の中央部位100aの折り目102にて線対称となるように同一形状で同一面積のものである。また、その外周縁部500aは、絵本20を閉じたときに(厚み方向で)同一線上に位置する関係にある。なお、絵500は同色で統一してもよいし、異なる色であってもよい。
【0053】
同様に、夫々の絵500の外周縁部500aの近傍に存する夫々の切り取り線600も、絵本20を閉じたときに(厚み方向で)同一線上に位置する関係にある。本実施形態の切り取り線600は、線の太さが0.5mmの点線を用いている。しかし、これに限らず線の太さは適宜変更可能である。また、線種もこれに限らず、例えば破線、一点鎖線或いは直線であってもよい。
【0054】
パーツ700には、その外周縁部近傍に切り取り線を設けてはないが、絵500と同様に切り取り線を設けてもよい。ここで、一方の面104に描かれたパーツ700は、他方の面106に描かれたパーツ700とは重ならない位置に存するようにしてある。
【0055】
斯様な構成の絵本20は、以下のようにして製作・製本されるものである。
【0056】
先ず、A3サイズの用紙100の両面104,106に絵500やパーツ700等を印刷する(
図4のステップS402参照)。このとき、絵500は、中央部位100aに設けられる折り目102にて線対称となるよう用紙100の両面104,106に印刷される。
【0057】
次に、予め定められた順、即ち絵本20のストーリーの展開順に用紙100を3枚重ね合わせて束ねる(ステップS404)。
【0058】
続いて、重ね合わせて束ねられた用紙100の中央部位100aの折り目102部分の少なくとも2箇所をホチキスにて綴じる(ステップS406)。所謂中綴じである。
【0059】
この後、用紙100の中央部位100aの折り目102部分にて線対象となるよう用紙100の束を二つ折りにする(ステップS408)。
【0060】
而して、A3サイズ3枚の用紙100から全12頁のA4サイズの絵本20が完成する。
【0061】
上記構成につき、その作用を以下に説明する。
【0062】
絵本20に設けられた切り取り線600に沿って、例えば鋏を使用して切っていくと、絵500だけが絵本20として綴じられた状態になり、他の部位は絵本20から切り取られて分離された状態になる。
【0063】
絵500だけが綴じられた状態の絵本20を横にして水平方向(
図9中、矢印X方向)に各頁が等間隔を存するよう開くと、絵本20が横になった状態、即ち水平面に対して平行に置かれた絵500があたかも宇宙船の母船を模した状態で立体的に出現することになる。なお、頁を開く間隔は等間隔に限らず、任意の間隔で開いてもよい。
【0064】
切り離された他の部位に存する所望のパーツ700を鋏で切り取れば、そのパーツ700を立体的に出現した絵500の所望の位置に設けることが可能である。ここで、所望のパーツ700を切り取っても、他のパーツ700への影響はないので、パーツ700を自由に切り取ることが可能である。
【0065】
上記実施形態によれば、絵本が本来有する機能に加え、思考力及び空間認知能力と脳が鍛えられて器用になるという効果を期待できる。また、知育教育に大いに寄与する紙工作用絵本20を提供できるものである。
【0066】
また、上記実施形態によれば、シンプルな構成としたので、実用的で取り扱い性に優れ、生産性、量産性及び経済性に於いても優位となるものである。
【0067】
さらに、上記実施形態によれば、中綴じにより製本を行っているので、綴じ代まで開け、工作がし易くなることは勿論、容易に絵本を開いた状態で立たせることが可能となるものである。特に、子供たち、特に幼児にとっては、取り扱い易く極めて有用なものである。
【0068】
さらに、上記実施形態によれば、従来は「本を切る」という行為は決して推奨されるものではなかったが、逆転の発想的に敢えて「本を切って工作する」という行為により、子供たちの自由で想像力を刺激する効果を期待できるものである。加えて、宇宙への関心を高める効果を期待できるものである。
【0069】
しかも上記実施形態によれば、鋏さえあれば紙工作が可能であり、また切り離された他の部位も有効に利用できるので、環境にも優しくSDGsの流れにも貢献できるものである。
【0070】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、印刷される絵は、用紙共通の統一しての同一形状で同一面積のものに限らず、用紙毎に中央部位にて線対称となるよう外周縁部が一致する関係にある絵であってもよい。
【0071】
また、本発明は、子供用の紙工作用絵本に限らず、他に例えば「企業の地域貢献活動」をテーマにした独自の紙工作用絵本や販売促進用の紙工作用絵本としての活用も可能である。
本発明の要旨を逸脱しない限り種々の変形が可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0072】
10,20 …紙工作用絵本
100 …用紙
100a …中央部位
102 …折り目
104 …一方の面
106 …他方の面
200,500 …絵
200a,500a …外周縁部
300,600 …切り取り線
400,700 …パーツ
【手続補正書】
【提出日】2023-03-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一形状で同じ大きさの用紙を重ね合わせてこの用紙の中央部位を綴じるとともに当該中央部位にて線対称となるよう当該用紙を二つ折りにすることにより製本される紙工作用絵本であって、
上記用紙の両面には、上記中央部位にて線対称となるよう外周縁部が一致する関係にある絵が夫々印刷され、
この印刷された夫々の絵の外周縁部近傍には所定の距離を存して夫々切り取り線が設けられていることを特徴とする紙工作用絵本。
【請求項2】
上記用紙の一方の面にはキャラクタ等のパーツが印刷され、
このパーツは、他方の面に印刷される同様なまたは他の異なるパーツとは重ならない位置に存するようにしたことを特徴とする請求項1記載の紙工作用絵本。
【請求項3】
上記切り取り線に沿って上記用紙を切ると、上記綴じられた中央部位を中心にして開閉自在に立設可能としたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の紙工作用絵本。
【請求項4】
同一形状で同一面積の用紙の中央部位にて線対称となるよう当該用紙の両面に同一形状で同一面積の絵を印刷し、
この両面に線対称となるよう同一形状で同一面積の絵及びこの絵の外周縁部近傍に所定の距離を存した切り取り線が印刷された用紙を重ね合わせて束ね、
この重ね合わせて束ねられた用紙の上記中央部位を複数箇所ホチキス留めにより綴じ
この綴じられた用紙の上記中央部位にて線対称となるよう当該用紙を二つ折りにして製本することを特徴とする紙工作用絵本の製作方法。
【請求項5】
上記用紙の一方の面にはキャラクタ等のパーツが印刷され、
このパーツは、他方の面に印刷される同様なまたは他の異なるパーツとは重ならない位置に存するよう印刷されることを特徴とする請求項4記載の紙工作用絵本の製作方法。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一形状で同じ大きさの用紙を重ね合わせてこの用紙の中央部位を綴じるとともに当該中央部位にて線対称となるよう当該用紙を二つ折りにすることにより製本される紙工作用絵本であって、
上記用紙の両面には、上記中央部位にて線対称となるよう外周縁部が一致する関係にある絵が夫々印刷され、
この印刷された夫々の絵の外周縁部近傍には所定の距離を存して夫々切り取り線が設けられていることを特徴とする紙工作用絵本。
【請求項2】
上記用紙の一方の面にはキャラクタのパーツが印刷され、
このパーツは、他方の面に印刷される同様なまたは他の異なるパーツとは重ならない位置に存するようにしたことを特徴とする請求項1記載の紙工作用絵本。
【請求項3】
上記切り取り線に沿って上記用紙を切ると、上記綴じられた中央部位を中心にして開閉自在に立設可能としたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の紙工作用絵本。
【請求項4】
同一形状で同一面積の用紙の中央部位にて線対称となるよう当該用紙の両面に同一形状で同一面積の絵を印刷し、
この両面に線対称となるよう同一形状で同一面積の絵及びこの絵の外周縁部近傍に所定の距離を存した切り取り線が印刷された用紙を重ね合わせて束ね、
この重ね合わせて束ねられた用紙の上記中央部位を複数箇所ホチキス留めにより綴じ
この綴じられた用紙の上記中央部位にて線対称となるよう当該用紙を二つ折りにして製本することを特徴とする紙工作用絵本の製作方法。
【請求項5】
上記用紙の一方の面にはキャラクタのパーツが印刷され、
このパーツは、他方の面に印刷される同様なまたは他の異なるパーツとは重ならない位置に存するよう印刷されることを特徴とする請求項4記載の紙工作用絵本の製作方法。