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  • 特開-雨量警報装置 図1
  • 特開-雨量警報装置 図2
  • 特開-雨量警報装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084626
(43)【公開日】2023-06-19
(54)【発明の名称】雨量警報装置
(51)【国際特許分類】
   G01W 1/14 20060101AFI20230612BHJP
   G08B 21/24 20060101ALI20230612BHJP
   G08B 21/10 20060101ALI20230612BHJP
【FI】
G01W1/14 G
G08B21/24
G08B21/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021209938
(22)【出願日】2021-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】505035873
【氏名又は名称】茂木 芳次
(72)【発明者】
【氏名】茂木 芳次
【テーマコード(参考)】
5C086
【Fターム(参考)】
5C086AA12
5C086AA45
5C086CA19
5C086CB21
5C086FA02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】台風や局地的な集中豪雨などで生命にかかわる甚大な被害を受ける前に、各時刻の雨の状態から危険を事前に予知して警報を自動的に発する雨量警報装置を提供する。
【解決手段】雨量警報装置は、受水器1と、流量一定の流出部3と、受水器1を支持する圧縮ばね4と、測定位置に応じて変位する可動接点5と、可動接点5が所定位置となったときに接触する固定接点6と、を備える。受水器1の雨量により圧縮ばね4は収縮し、可動接点5と固定接点6が接触すると警報器7が鳴動する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受水器1と流量一定の流出部3とを備えた測定容器を支持する圧縮ばね4と測定位置に応じて変位する可動接点5が所定位置となったときに接触する固定接点6と、前記可動接点5と固定接点6が接触すると鳴動する警報器7とを備えた雨量警報装置。
【請求項2】
前記受水器1は上方が上部内径Rである略円形で開口し、受水器1の傾斜壁1aは下方に向けて直径が小さくなる方向に傾斜し狭まる円錐形であり、第1の傾斜壁1aと水平面が作る角度αをなし、受水器1の下端に流出部3が設けられており、前記流出部は第1の傾斜壁1aに連続する第2の傾斜壁3aによって形成され、傾斜壁3aと水平面とにより傾斜角度βをなし、傾斜角度αに対し傾斜角度βが大きく、この流出部3は、この漏斗状の長さhと、この開口の上部内径R、流出部3の小孔11の穴径Rからなり、R>R>Rの関係とされていることを特徴とする請求項1に記載の雨量警報装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台風や局地的な集中豪雨などで生命にかかわる甚大な被害を受ける前に各時刻の雨の状態から危険を事前に予知して警報を自動的に発し、避難を促し洪水災害や土石流災害から自助手段として各家庭などに備えるようにした雨量警報装置。
【背景技術】
【0002】
今までは、危険を予測して洪水警報発令、その後解除、再び洪水警報を発令したが、真夜中でもあり避難が困難になった。間もなく局地的に猛烈な雨が降り周辺各地で土砂崩れや土石流が発生した事例があった。これは2014年8月20日に広島市で起きた集中豪雨で、死者、行方不明者多数の犠牲者が出て大惨事になった事故。その後、気象庁によるとこの広島県上空に、当時停滞した雨雲のレーダー画像解析から積算雨量が256mmに達したと報告された。人命にかかわるこの大惨事の被害を最小限に食い止めるには、局地的に的確な予報が要求されるが、局地的予測はいまだ困難とされている。積乱雲が同じ場所に停滞する現象の予測は難しいと気象庁も言っている。これは一例であるが当時、新潟や福島、京都福知山などでも同様に予測しにくく被害が出て、自治体の対応に限界がきていた。この広島の例では避難指示の遅れが指摘されていて自治体もこれを認めている。
その後、幾つかの事例が挙げられるがその一つ、2018年7月6日広島県東広島市などでも、的確な警報が出されたとは言い難い。
【0003】
雨雲のレーダー画像から時刻ごとの雨量は解析できても、局地的な豪雨を事前に予測するのは、気象関係者が鋭意開発中というが、今の予報技術では困難であるという。広島県内の土砂災害警戒区域は3万2000か所に上り、これが指定され(2019年8月)、都道府県の中でも突出して多い。全国約57万4000か所が指定された(2019年3月)。広島県は日頃からの備えがどこよりも求められている。さらに非常に激しく降る雨は年々増える傾向にあり、土石流の起こりやすい目安の「1時間に50mm以上の雨」が全国で降った回数は2014年当時、年平均200回以上でこの数字は増える傾向にある。一因として「地球温暖化の影響」も考えられている。2018年7月の西日本豪雨では、広島県内の土砂災害の犠牲者87人のうち41人が警戒区域内で被害に遭った。
【0004】
避難指示が出れば早急に避難所に入るのが原則だ。ただ、状況が急変し局地的な豪雨が夜間であったり、雨が強く危険を感じたりする場合には、屋外への非難がかえって危険な場合もある。臨機応変に判断し行動することが必要だ。危険を察知して自宅の上層階への非難、あるいは山側の部屋から離れるなどの対応が求められる。ただこの際に必要なことは危険雨量をいちはやく、その地域における当事者や自治体関係者が直接知る必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-328642
【特許文献2】特開2001-032353
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上述べてきたように、現在の気象分析技術では狭い範囲の局地的な豪雨を正確に、予測することが難しく、今後も困難が予想される。積乱雲が次々にできる「線状降水帯」が原因で急速に発達して、局地的に大雨となるため予測は難しいという。上述の広島の消防局の危機管理部長も避難指示の遅れを認めている。また、台風接近で、特別警報を発表すべきである町トップの出張中の不在(東京都大島町)は、危機意識の欠落を印象付けた。普段から、あらゆる事態を想定し、自ら率先して身を守りたい。降雨量と共に、河川流域の地形、地質、居住環境の実態によって危険度は異なる。年ごとに繰り返される土砂災害事故で、あるアンケート調査によると、情報だけで危機感をもった人は少なく、目の前の激しい気象現象に直面して「ただごとではない」と感じたというのである。このことからも災害を現象として一刻も早く事前に察知する必要がある。この独自に設置した計測器で、時間ごとの雨量からの流出残量を計測し、早期に危険を予知して自動的に警報を発し、危機の接近を当事者が直接知る事が出来るようにする必要がある。またこのような情報の共有化も必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
受水器1と流量一定の流出部3とを備えた測定容器を支持する圧縮ばね4と測定位置に応じて変位する可動接点5が所定位置となったときに接触する固定接点6と、前記可動接点5と固定接点6が接触すると鳴動する警報器7とを備えた雨量警報装置。
前記受水器1は上方が上部内径Rである略円形で開口し、受水器1の傾斜壁1aは下方に向けて直径が小さくなる方向に傾斜し狭まる円錐形であり、第1の傾斜壁1aと水平面が作る角度αをなし、受水器1の下端に流出部3が設けられており、前記流出部は第1の傾斜壁1aに連続する第2の傾斜壁3aによって形成され、傾斜壁3aと水平面とにより傾斜角度βをなし、傾斜角度αに対し傾斜角度βが大きく、この流出部3は、この漏斗状の長さhと、この開口の上部内径R、流出部3の小孔11の穴径Rからなり、R>R>Rの関係とされていることを特徴とする請求項1に記載の雨量警報装置。
【0008】
危険雨量が迫った際に、予め設定される、危険度から算出される危険流出残量と受水器1の受口面積から算出される重量を感知して警報が鳴り、危険を察知して避難が可能になる。局部・局地的にしかも急激に発生する集中豪雨を直接の影響を受ける当事者が、被害にあう前に危険な雨量を警報により自ら感知して、実感できるようにした。これにより、雨が情報よりも急激に増すか、また夜間で避難が困難なときなど、家の中でより安全な高層階や部屋の中でも山側から離れて身の安全を自ら守ることができるようになる。また、地域としても、情報を共有することで、より狭い範囲において的確な情報が発信できる。
【発明の効果】
【0009】
表4では、土砂災害が発生する危険性があるとされる雨量の50mm/時に達した当時の時刻が示されている。時間差とは、土砂災害発生までの時間差。流出残量とは各々の危険度に応じた危険流出雨量に達した時の流出残量である。これらの結果から、土砂災害発生までの時間差では、雨量50mm/時では、時間にぶれもあり状況に応じた限定が難しい。これに対し流出残量では、1時間前後から30分以内で、危険が緊急に迫っていることが分かる。地域差や各自の体力に応じた効果的な非難が選定され身の安全を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態を示す雨量警報装置の概略図。
図2】雨量警報装置の受水器1と流出部3の概略図。
図3】A部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は上記目的を達成するために考案されたものである。この雨量警報装置を作製するにあっては、降雨量を測定するのに必要な測定容器と、その容器の雨の受け皿の口径とその容器の底部に設けた小孔の大きさである。通常、容器と底部の小孔から流れ出る流速は水深に依存する。従って流速の測定が必要になる。その前提としてのモデルケースとして次のテストを行った。この水深と流速の測定結果は表1のようになる。
【実施例0012】
【表1】
容器の内寸が口径8cm×8cm×高さ10cmの立体でのテスト。
これは、初期水深40mmのとき、穴径2mmでは82g/分であり、穴径3mmでは、186g/分である。この結果から初期水深が大きいほど流れきる時間(分)で割った流速は大きくなっている。
【0013】
表1の結果から流速は水深と穴径で決まる。しかし初期水深によって流速は変わり一定ではない。そのため流速が一定になる条件を求めるため、受水器1の形状、流出部3の形状と小孔11の穴径につき次の実験を行った。
【実施例0014】
【表2】
受水器、流出部の各径、各寸法の詳細は図2に記載。
このテストに先立ち、受水器1の下部に流出部3をもたない小孔のみのテストをしたが、終了時の液キレが悪く、いつまでもボタ落ちが続きさらに残量もあり中止した。
【0015】
表2の結果から、流出部3の形状がh/R=1.27以下は不良、1.64以上必要、受水器1の高さHが一定であり、流出部3が一定であれば受水器1の内径Rによらず流速は一定となる。No.7は穴径が小さすぎ流速が不安定である。
追加で、穴径0.75mmのNo.9について260gをテストしたら 7.3分であり、260/7.3=35.6g/分となり全体でも一定流速の関係は良好であった。
【0016】
流速関係が良好なものにつき以下検討する。上の表2で、穴径が1mmのNo.3、4、5、6について見ると、3を除きほぼ同じである。3を除き平均をみると、50/1=50g/分 100/1.8=55.6g/分 125/2.2=56.8g/分
これらの平均は54.1g/分 すなわち541g/10分となる。これはRの大小によらず一定である。
【0017】
穴径が0.75mmのNo.8、9について見て上と同様に平均してみると 360g/10分である。この流速の違いは、流出部3の穴径と形状に関係する。土石流の起こりやすいとされる1時間当たり降水量50mmを想定し、8.3mm/10分で流出するものとするときの、受口9の大きさと実際の流速の関係は、それぞれ次のようになる。
穴径 1mmのとき、受口は 541/0.83=652cm この時内径R=28.8 cm
穴径 0.75mmのとき、受口は 360/0.83=434cm この時内径R=23.6cm
No.10についてみると、流速は受口の大きさRによらないことから、Rが20cmのときを計算すると、Rは高さHと比例関係にあるとして、穴1mmのとき計算するとH=6.9cmとなる。このH=6.9cmを使って実験したのがNo.10である。
表2の結果から、流速は50/1.8=27.8 100/4.0=25 125/5.0=25
この平均は25.9g/分
これは計算でも算出でき、高さHの比の2乗に比例するとし
流出量は 54.1×(6.9/10)=25.8g/分
実験の結果とも実によく合致する。
上の様にして、R=20cmであれば、258/314=0.82mmとなり、10分当たりの流速はほぼ8.3mmとなる。
【0018】
本発明を広島豪雨の例にして表3に示す。雨量は各時刻の雨雲のレーダー画像解析の報告によるもの。(14.8.27読売新聞記事)
この表3に、上の流速8.3mm/10分を当てはめて計算している。
雨量(mm/10分)は各時刻における前後5分の10分間の雨量、雨量(mm/時)は各時刻の、前1時間の総雨量を示す。表3の結果から計算して、2:20ごろに50mm/時に達して、流出後の量は14.8mmとなる。この50mm/時は、一般に言われる土石流が発生するという時間帯である。
次に危険流出残量につき説明する。この危険流出残量の算出には先ず危険度を設定する。この際、流出量50mm/60分を基準とし、これは8.3mm/10分でありこの時間当たりの雨量8.3×6の係数6に対し3.5と4.0及び4.5
を選びこれを危険度と呼ぶ。危険流出残量は危険度3.5を例に計算すると
危険流出残量=50-8.3×3.5=20.9mmとなる。同様にして
危険度4.0では 危険流出残量=50-8.3×4.0=16.8mm
危険度4.5では 危険流出残量=50-8.3×4.5=12.6mm
ここで、危険度を設定するにあたっては、大雨の際の流域の地形構造、そこの地質、そこに住む人の環境や「住居の構造」などによって決められるものである。一般には、危険度4.0を平均的な標準として4.0~4.5の範囲で決め、3.5は災害発生までの時間に余裕が少なくてもよい比較的安全地帯に適用される。また、4.5は小さい残量で警告することになり災害発生までの時間に余裕を持たせ、危険度の大きい方4.5がより危険地帯で適用されることになる。この際には過去の経験値を含め、自治体などの指示を仰ぐことが欠かせない。
【0019】
表3につき更に詳細に見てみると、先ず時間当たり雨量は、2:20ごろ、前後から計算して2:19に50mm/時に到達している。流出残量から、各々の危険流出時間を同様に前後から計算してみると、危険流出残量12.6mmでは、2:27に到達している。16.8mmでは2:38に、20.9mmでは2:40各々が到達している。
【実施例0020】
【表3】
【0021】
最近の土砂災害の発生状況を以下の表4に示す。
当時の記録を記したネットや新聞記事を参照してまとめたものである。
ここで、雨量(mm)とは土砂災害が発生する危険性のある雨量の50mm/時間に達した当時の時刻を示している。時間差とは、土砂災害発生時刻までの時間の差。流出残量とは、流出部3の小孔11からの流出量8.3mm/10分のとき、危険度に応じた危険流出残量の危険度4.5の危険流出残量12.6mm、危険度4.0の危険流出残量16.8mmまた、危険度3.5では危険流出残量20.9mmに達した時の到達時間、及び土砂災害発生までの時間差である。
【実施例0022】
【表4】
【0023】
表4の結果から、土砂災害発生までの時間差では、雨量50mm/時では、1時間以内もあるが2時間以上もあり、状況に応じた限定が難しい。また、流出残量では、1時間前後から30分以内で、危険が緊急に迫っていることが分かる。ただし、危険度3.5ではすでに土砂災害が発生している日田市の例もあり、これを選定することは好ましくない。
東広島市の例は、広範囲に長時間にわたり連続的な豪雨であり、河川の氾濫などによる事故であり、警報装置の検証例としては不向きであって、広範囲、長期間の天気情報による警告を重視すべきと言える。
危険流出残量についてみると、この危険流出残量に相当する重量は、
重量(g)=受水器1の受口面積(cm)×(0.1)×危険流出残量(mm)
表4では、雨量と共に流出残量も危険数値に達しており、土砂災害発生時刻より前の危険流出残量に達したそれぞれの危険度に応じ流出残量例えば、16.8mmに達した時点で、危険流出残量と受水器1の受口面積から算出される重量を感知し警報が鳴ることになる。表4の例では、危険度4.0~4.5で、いずれも土砂災害発生前に警報が鳴り、危険を察知して避難が可能になっている。表4の東広島市の例では、72時間にもおよぶ広範囲、長時間連続降雨のため、土砂災害時刻がかなり遅れて発生している。
【0024】
雨量警報装置は安全確保のための最終手段として用いるべきもので、止むを得ない最終手段として、災害の発生前に事前に危険を察知して自主避難する事が出来る。ここで、地域、自治体の注意報、警告などを最優先すべきことは言うまでもない。
「避難の定義」として、立ち退き避難(水平避難)と屋内安全確保(垂直避難)があるが、立ち退き避難は市長村長の指定する避難場所などに移動するのに対し、垂直避難は急激な降雨や浸水に見舞われ屋外に出て移動すると危険な場合に自宅の2階以上などその場でできるだけ安全と思われる場所に移動しとどまる。いずれも「避難対策基本法」で位置づけられている。本装置の場合、予想以上の降雨に遭遇した時が想定されるので、避難は「避難の定義」の垂直避難のケースにあたると思われる。
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図1図2に基づいて説明する。
図1は基本部分が漏斗状の受水器1とその下部に繋がる流出部3の概略断面図、それに圧縮ばね4と、電源8、警報器7を含む警報電気回路からなる雨量警報装置の全体の概略図を示している。本発明の基本となる受水器1の下部にある流出部3は、この漏斗状の長さhと、この上部内径R、流出部3の小孔11の穴径Rからなり、この小孔11からの流速が8.3mm/10分となるようにした雨量警報装置である。
図2は降雨量測定の主要部の概略断面図を示し、この受水器1の雨の受水器受口9の口部は漏斗状に底部へ延び流出部3に繋がり流出部の小孔11を示している。この小孔11は穴径Rが0.75~1.0mmで良く、0.75mm以下では水深との比例関係がなく、1.0mm以上になると比例関係は良いが、雨の受口9が大きくなりすぎる傾向にある。
【0026】
図2は受水器受口9(内径R)、受水器の高さ(H)と流出部3を示し、流出部の小孔11(穴径R)が1.0mmのとき受水器の高さ(H)が100mm、受水器受口9の(内径R)は70~120mmで、さらに流出部3の漏斗状の流出部上部10(内径R)は14mmで高さ(h)は31mmのとき、一定の流量541g/10分になる。
また、穴径が0.75mmのとき受水器の高さ(H)が100mm、受水器受口9(内径R)は70~120mmで、さらに流出部3の漏斗状の流出部上部10(内径R)は14mmで高さ(h)は23mmのとき、一定の流量360g/10分になる。
図2の最も好ましい実施例としては受水器受口9(内径R)が200mmのとき、高さ(H)が69mmとなり、流出部3の漏斗状の流出部上部10(内径R)は14mm、高さ(h)は31mm、流出部の小孔11(穴径R)が1mmのときが好ましいと考える。気象庁も受水器内径200mmを指定している。この条件を満たしていると、流速は8.3mm/10分になる。
この条件のとき、受水器1が降雨によりオーバーフローする雨量は、流出残量が受水器1の容量に達したときである。
受水器の容量=1/3×(R/2)×πH=722cm
流出残量をVmmとすると
これを満たす雨量722=(R/2)×π×0.1V V=722/31.4=23mm
この流出残量23mmでオーバーフローすることになるが、表4に示す危険度に対応した流出残量であればオーバーフローすることはない。受水器外枠13は受水器1の受口より上はオーバーフローするように網目状の枠(図示せず)のみで良い。
【0027】
以上のようにして測定が可能になるが、空中の塵埃で、小孔が目詰まりすることがある。これを防ぐのにろ過器12を使う。水の流れの障害にならない程度のメッシュであればよい。これを受水器1の下方部に設置する。次に警報を出す仕組みを説明する。
受水器1と流量一定の流出部3は以上の通り時間ごとの雨量から、容器内の流出残量を計測し、さらに、外枠2は受水器1を取り囲むように設けた受水器外枠13がスライドして、滑らかに上下できるようにする。受水器1に連結して下方に設けた圧縮ばね4は、前後左右計4個からなり、受水器1が上下するのを安定して支える。 雨の重量に比例して下降し受水器1に連結した可動接点5は、危険流出残量に達した時、すなわち、予め設定される地域固有の危険度から算出される危険流出残量に達して、この重みで圧縮ばね4が歪こみ、これに連動する可動接点5は固定接点6に接触し、接点端子に電流が流れ警報器7で警報する。たとえば、表4に示した広島市のケースでは危険度4.5のとき流出残量12.6mmに達した時刻は2:27であり、このときの雨の重量は
重量=受水器1の口径200mmの面積314cm×0.1×流出残量12.6mm=396g
すなわち、396gの重量を感知して、警報を発するシステムにすることができる。
この警報装置のリレー部はあくまでも概略図を示していて、この部分は当然耐水・密封構造とする。電源は、災害時の停電を配慮して、充電器や電池が良い。警報器7は受水器1の近傍に置き、または室内に引き込みにしても良いが警報を聞きやすい場所に設ける。
【0028】
本体の材質としては、陶器、ステンレス、耐候性のプラスチックなど、これらの組み合わせでも良い。
電源8は、本雨量測定装置を室外に固定設置のときは、一般電池の他にソーラー方式にしてもよい。特に管理上重要なことは、装置全体の清掃と共に流出部小孔11の目詰まり防止、電池の寿命の確認など定期的に保守管理を欠かさないことである。
【産業上の利用の可能性】
【0029】
局地的な大雨や集中豪雨の際、受水器1と流量一定の流出部3からなる測定容器を用いて、時間ごとの雨量から、容器内の流出残量を計測し、予め設定された地域固有の危険度を設け、この危険度から算出される危険流出残量に達した時、警報を発する機能の雨量警報装置であり、流出部の小孔11からの流速が8.3mm/10分となるようにしている。
このようにして予想に反して、発生する積乱雲による極狭い地域で、突発的な豪雨に対し、土石流による被害が発生する前に、緊急に対処することができる。
【0030】
技術の発展によって、降雨予測の技術も更に向上が見込めるが、この他に各地域の地形環境や他の環境条件で異なり降雨予測のみで的確な避難指示を出すことは難しい。
そこで、本件発明の雨量警報装置によって、個々各自が危険を事前に察知し、迅速に、より安全な場所へ避難する事が出来て、人命を救い、大怪我を免れることができるものである。人命保全に関し、特に山間地域の住民には、何物にも勝る必需品といえるものである。このようにして、産業上の利用価値は極めて大きい。
【符号の説明】
【0031】
1 受水器
1a 受水器の傾斜壁
2 外枠
3 流出部
3a 流出部の傾斜壁
4 圧縮ばね
5 可動接点
6 固定接点
7 警報器
8 電源
9 受水器受口(内径R
10 流水部上部(内径R
11 流出部の小孔(穴径R
12 ろ過器
13 受水器外枠
α 受水器の傾斜壁と水平面が作る角度
β 流出部の傾斜壁と水平面が作る角度
図1
図2
図3